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Description

本発明は、飲食物の風味を評価する方法に関する。さらに詳しくは、被験者に、被験者の食経験または嗜好により好みに差の出る飲食物を飲食させ、その際の脳血流量変化を測定することにより、飲食物の風味を評価する方法に関する。
飲食物の風味の評価方法としては、もっぱらヒトの感覚にたよった官能評価が重用されている。官能評価は、総合的な評価には適しているが個人差、感覚疲労、体調変化などの主観的要素が影響する欠点がある。その主観的な評価に客観性を与えた手法としてQDA法(定量的記述分析法)があるが、共通用語の選定やパネルの訓練などに時間を要する。
また、液体クロマトグラフをはじめとする種々のクロマトグラフや匂いセンサ、味センサなどの機器による評価が利用されている。液体クロマトグラフなどの機器による評価は客観的であるが、対象項目ごとの分析が必要であり総合的な評価を行うにはかなりの時間を要する。そして、ヒトの嗅覚、味覚を代用したセンサは、測定時間は短いが、安定性や再現性、被験者による官能評価との相関性に問題がある。
そこで、ヒトによる主観評価を客観化するために、これらに加えて、生体内に生じている生理応答を観察・計測する精神生理学の手法を採用することが試みられている。精神生理学とは、瞳孔の大きさ、心拍数、血圧、脳波、脳磁波、脳血流、ストレスホルモン濃度など計測できる生体反応の指標を手がかりにして、心の状態や動きを研究する心理学の新しい領域である。ヒトは匂いを嗅ぐことによって感覚や情動が変化すると同時に、血圧の変動や心拍数、唾液中ストレス物質の変化といった生理応答を示す。これらの生理応答の観察・計測は、従来の機器分析や官能評価とは異なった角度から風味を評価する方法であり、新たな風味評価の一手法となる。
ほとんどの感情情報を最終受容する場、演算処理の場、対応する出力を指示する場である大脳皮質には毛細血管が密に存在しており、血液中のヘモグロビンには近赤外線を吸収しやすいという性質がある。これを利用して近赤外線を頭皮上に照射して反射光を検出すれば、大脳皮質の血流量がわかり、ひいてはその活性の状態もわかることとなる。
非特許文献1は、近赤外線を使用してヘモグロビン量を計測する装置(以下、光トポグラフィ装置という)を開示している。この計測装置は、特定の波長域にある近赤外線(NIR)を光ファイバーを用いて被験者頭部の一方の側から入射する。被験者の頭部内に入射された近赤外線は一部が頭部内の組織により吸収され、残の部分は大脳皮質を経由して頭皮上の検出器で検出される。検出された近赤外線の強度を測定して被験者頭部内の吸収率が測定される。光トポグラフィ装置は、陽電子放射断層撮影法(PET法)や機能的磁気共鳴画像法(fMRI法)のように大がかりで拘束性が強いものではないという利点がある。
非特許文献2には、光トポグラフィ装置を用いて茶のフレーバーを官能評価する際の脳活動をモニタリングし、脳のどの部位が活動しているかを開示している。
電気学会誌,Vol.123,No.3,2003,160−163頁 Appetite,Vol.7,2006,220−232頁
本発明は、官能評価等に基づく欠点を解決し、上記の光トポグラフィ装置を使用し、飲食物を飲食する際の脳血流の変化を測定して飲食物の風味を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、先に、光トポグラフィ装置の有する上記特性に着目し、該光トポグラフィ装置を使用し、風味改良剤を添加した味覚物質又は飲食物を飲食したときの脳血流の変化を測定し、同じ試料を連続して飲用するとその順応性により脳血流量の変化は小さくなることを利用し、該測定結果に基づいて該風味改良剤の種類若しくは添加量を選択する味覚物質または飲食品の風味改良方法を開示した(特開2007−252350)。
また、本発明者らは、香料を添加した飲食物を飲食または嗅いだときの脳血流の変化量が、ターゲットフレーバーに対してイミテーションフレーバーが適正であるかどうかをファミリア度(「違和感のない」、「安心感」、「自然」、「慣れ親しんでいる」、「馴染み」などの度合い)として評価できることを開示した(特願2007−227994)。
しかしながら、特開2007−252350および特願2007−227994においては、被験者が、被験者の食経験または嗜好により好みに差の出る飲食物を飲食した時の脳血流量変化の応答強度と飲食物の官能的な好ましさの程度との相関関係までは解明できなかった。
本発明者らは、飲食物を飲食する際に、おいしくて馴染みがあると評価した官能評価の程度について、光トポグラフィ装置を用いて計測できないかと考え、鋭意検討した。その結果、今回、被験者に被験者の食経験または嗜好により好みに差の出る飲食物であって、同一のカテゴリーに属する数種の飲食物を飲食させた際の脳血流の変化量が、嗜好性の官能評価点の高い飲食物と低い飲食物では異なり、官能評価において評点の高い飲食物では脳血流変化の応答強度が大きく、官能評価において評点の低い飲食物では脳血流変化の応答強度が小さく、これにより被験者の嗜好性の程度を客観的に評価することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、被験者に、被験者の食経験または嗜好により好みに差の出る飲食物であって、その飲食物と同一のカテゴリーに属する複数の飲食物を飲食させ、その時の脳血流量変化を測定し、脳血流量変化の応答強度により、飲食物の風味を評価する方法を提供するものである。
また、本発明は被験者が、評価対象の飲食物と同一のカテゴリーに属する飲食物に対して高い嗜好性を持つ被験者であることを特徴とする、前記の飲食物の風味を評価する方法を提供するものである。
さらに本発明は、脳血流が、大脳皮質の血流であることを特徴とする前記の飲食物の風味を評価する方法を提供するものである。
さらにまた、本発明では、脳血流量変化が、血液中のヘモグロビン量の変化を近赤外分光法により測定することを特徴とする前記の飲食物の風味を評価する方法が提供される。
本発明では、さらに、脳血流量変化が大脳前頭外側部の脳血流量変化であることを特徴とする前記の飲食物の風味を評価する方法を提供することができる。
本発明によれば、飲食物などの嗜好性または食経験に基づく風味を効率的かつ客観的に評価することができる風味評価方法を提供することができる。
本発明では被験者に、評価対象の飲食物と同一のカテゴリーに属する複数の飲食物を飲食させ、その際の脳血流量変化を測定することにより飲食物の風味を評価する。その際の脳血流量変化の応答強度が大きいと、嗜好性が高いと評価することが可能である。
飲食物の飲食および脳血流量変化の測定は次のように行う。被験者を安静な状態にしておき、その後、評価しようとする試料の適当量をスプーンなどに採取し、検査を行う者の指示と同時に口に含み、味わいながら風味を評価し、口に含んでから30秒間において、後味を含め風味を積極的に評価する。その後、60秒間の安静の時間を経る。この間、脳血流量を測定し、その変化を記録する。その後、試料がどのくらいおいしいかについて官能評価を記入する。したがって1点の試料測定に要する時間は、官能評価表記入の時間を含めると4〜6分程度となる。
このような手順で飲食を行った場合、大脳前頭外側部において、口に含んでから徐々に脳血流量が上昇し、約15秒から約40秒程度の間に脳血流量が最大値を示す。その後、徐々に脳血流量は下降し、口に含んでから約60秒でほぼ元の応答値のレベルとなる。そこで、ある特定の脳の部位における口に含んでから約15秒から約40秒まで脳血流量の「最大値」から、口に含んだ瞬間から約15秒までの脳血流量の「最小値」を引いた値を脳血流量変化の応答強度とする。今回、この応答強度はある特定の脳の部位においては官能評価の結果と極めて良く一致し、応答強度がその被験者の嗜好の程度を現すことが見出された。
測定は1回の実験で試料4〜5点を連続して行い、1日に1回以内とすることが好ましい。また、日を代えて測定する場合は、同一時間帯に測定することが好ましい。
本発明における評価の対象とすることができる飲食物は被験者の食経験または嗜好により好みに差の出るいかなる飲食物であっても良いが、評価の対象となる飲食物として同一カテゴリーに属する飲食品同士を評価することにより、脳血流量変化の応答強度が大きいと嗜好性が高いという結果が得られる。すなわち、カテゴリーがアイスクリームであれば、アイスクリーム同士で比較を行い、アイスクリームとしてのおいしさがどの程度であるかが評価できることを意味する。また、カテゴリーがマヨネーズであれば、マヨネーズ同士での比較を指す。このようなカテゴリーに関しては幅を狭めることが可能である。また、ある程度までは広げることも可能である。例えば、マヨネーズというカテゴリーに対し、下位のカテゴリーとして低脂肪マヨネーズでも、特定の会社のマヨネーズであってもよい。しかしながら同一でないカテゴリー間での比較は、風味の官能的好ましさを比較するという目的からはあまり意味がなく、また通常の官能評価においても困難である。
評価可能な飲食物のカテゴリーとしては、例えば、穀類であれば、米(炊飯米)、パン、蕎麦、うどん、冷や麦、そうめん、ラーメン、ビーフン、焼きそば、スパゲッティーなど;調味料類としては、醤油、味噌、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、酢など;嗜好性飲料としては炭酸飲料、果汁飲料、スポーツドリンク、乳性飲料、栄養ドリンク、乳飲料、乳酸菌飲料、豆乳飲料など;茶類としては緑茶、紅茶、烏龍茶、麦茶、玄米茶、そば茶など;乳加工製品としてはバター、マーガリン、ショートニング、スナックチーズ、プロセスチーズ、デイリースプレッドなど;冷菓としてはアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓など;デザート類としてはヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなど;菓子類としてはキャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなど;魚肉・畜肉製品としてはハム、ソーセージ、サラミ、カマボコ、ちくわ、はんぺん、つみれなど;その他スープ、みそ汁、カップラーメン、缶詰などであるが、これら例示された飲食に限られず、いずれか選ばれた1種の飲食品について、それらと同一のカテゴリーに属する飲食品について比較し評価することができる。
本発明では、この同一のカテゴリーに属する飲食物の中から複数のものを選び、それらを被験者が比較して風味評価を行い、それらの官能的な評価を行う。
また、被験者は、評価対象の飲食物と同一のカテゴリーに属する飲食物に対して高い嗜好性を持つ被験者であることが好ましい。あるカテゴリーに対して特に高い嗜好性を持つ被験者の場合、そのカテゴリーに属する飲食物の中での官能的な評価に対して特に敏感に反応する傾向が見られる。
本発明における風味評価方法は、被験者が飲食物を官能評価している際に、被験者に装着した光トポグラフィ装置を用いて脳血流量の変化を測定することにより行うことができる。具体的には、被験者にその被験者の嗜好性・食経験に基づき好ましいと感じているカテゴリーに属する数点の試料を呈示し、被験者が官能評価している際の脳血流量の変化を測定することにより行うことができる。
このようにして得られる光トポグラフィ装置の各チャンネル(CH)の脳血流量のデータを統計処理することにより試料の風味の良否を評価することができる。本発明で使用する光トポグラフィ装置としては、例えば、日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)を例示することができる。
脳血流量変化の応答強度を計測するための脳の部位は大脳前頭外側部を使用することができる。この部位においては、被験者の官能評価と応答強度の間に相関関係が見られる傾向がある。大脳前頭外側部の脳血流量変化の応答は、日立ETG−4000型光トポグラフィ装置を使用した場合、左脳ではチャンネル8,9,10,18,19,20,21,29,30,31,39,40,41,42,50,51,52を挙げることができ、また右脳ではチャンネル1,2,3,11,12,13,14,22,23,24,32,33,34,35,43,44,45を挙げることができる。またこれらのチャンネルのうち、チャンネル33,34,43,44,40,41,51,52が特に好ましい。
本発明では上記の測定条件下においては、脳血流量変化の応答強度により、被験者の飲食物に対する嗜好性の高さを評価することが可能であり、飲食物の風味を評価できることを見出した。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)アイスクリームの評価
[試料]
ノンフレーバーアイスクリーム(プレミアムアイスグレード)(以下Nとする)
バニラフレーバーアイスクリーム(上記ノンフレーバーアイスクリーム基材にバニラエキスを1.5%添加したもの)(以下Fとする)
[被験者]
事前のアンケートで上記Fと類似の風味を持つ一般市販品である特定のメーカーの特定のバニラアイスクリームに対する嗜好性が共通して高い被験者5名を選択した。
(男性3名、女性2名)
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[測定方法]
光トポグラフィ装置に連結された多数のセンサを備えたプローブを被験者の頭部に装着した後、各試料を呈示し、測定を行った。図1に示すタイムスケジュールに従って安静後、各試料をプラスチックスプーンに適量のせ、指示により味わって評価した。口に入れて30秒間は、試料が溶けて無くなっても後味を含めた風味を積極的に評価するようにした。60秒間の安静後、試料がどの位おいしいかについて、図2に示したアンケート表を用いて評価を行った。被験者による測定は、日を代えて4日間にわたり4回行い、かつ同じ時間帯で行い、試料はランダムな順で飲食させた。
[結果]
図3にアイスクリームを口に入れ、舐めた時の大脳前頭外側部の代表的な計測点であるチャンネル51における典型的な脳血流の経時的な変化量のグラフを示す。被験者の大脳前頭外側部において、アイスクリームを口に入れた15秒〜30秒後に頂点を持つ脳血流量の変化が見られた。同図においてF試料とN試料を1日に各2回飲食させた時の脳血流の経時的な変化量の例を示す(計4本のグラフ)。
この応答強度(脳血流変化量の(15秒〜40秒間の最大値)―(0秒〜15秒間の最小値))とおいしさの程度を表す官能評価点を比較した。
図4にF試料とN試料のアイスクリームの官能評価結果を示す。N試料はおいしさの評価がばらつき、平均的な評価点はどちらでもないという評価の点数(0点)に近かった。N試料と比較してF試料は有意においしい評価値であり、バニラフレーバーを添加したアイスクリームは添加しないものに比べて、今回選別された被験者群にとって嗜好性の高いアイスクリームであった。
この嗜好性に差があるN試料とF試料で応答強度に差があるかt検定により解析した結果、CH51、41付近で嗜好性の高いF試料による応答強度は、飲食させた順に関係なくN試料による応答強度より有意に大きかった(図5)。
以上の結果、被験者に、被験者の食経験または嗜好により好みに差の出るアイスクリームを用いて、同一のカテゴリーに属するアイスクリーム2品を飲食させ、その時の脳血流量変化を測定した結果、嗜好性に差があるF試料とN試料で、被験者がおいしいと評価したF試料はN試料に比較して応答強度が大きいことを確認できた。したがって、嗜好性との応答強度の間に相関があり、風味の評価に有効であることが示された。
(実施例2)マヨネーズの評価
[試料]
市販の5種類のマヨネーズ
[被験者]
事前のアンケートで特定のメーカーの特定のマヨネーズに対する嗜好性が共通して高い被験者6名を選択した。(男性4名、女性2名)
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[測定方法]
光トポグラフィ装置に連結された多数のセンサを備えたプローブを被験者の頭部に装着した後、各試料を飲食させ、測定を行った。図1に示すタイムスケジュールに従って安静後、各試料をプラスチックスプーンに適量のせ、指示により味わって評価した。口に入れて30秒間は、試料が溶けて無くなっても後味を含めた風味を積極的に評価するようにした。60秒間の安静後、試料がどの位おいしいかについて、図2に示したアンケート表を用いて評価を行った。被験者による測定は、日を代えて4日間にわたり4回行い、かつ同じ時間帯で行い、試料はランダムな順で飲食させた。
[結果]
図6にマヨネーズを口に入れ舐めた時の大脳前頭外側部の代表的な計測点であるチャンネル51における典型的な脳血流の経時的な変化量のグラフを示す。被験者の大脳前頭外側部において、マヨネーズを口に入れた15秒〜30秒後に頂点を持つ脳血流量の変化が見られた。この応答強度(脳血流変化量の(15秒〜40秒間の最大値)―(0秒〜15間の最小値))とおいしさの程度を表す官能評価点を比較した。
同図において5種類のマヨネーズを試料番号順に飲食させた時の脳血流の経時的な変化量を示す。また、試料名の括弧内の数字はおいしさの程度を表す官能評価点を示している。この被験者は、試料2と5をおいしいと評価したが、試料1,3,4はおいしくないと評価した。5種の市販マヨネーズは被験者の評価点数に基づき、おいしい試料(2,5)とおいしくない試料(1,3,4)に分類されたが、おいしいと評価した試料に対しては応答が見られ、おいしくないと評価した試料に対しては応答が殆ど見られなかった。試料1〜5は異なる5種の市販マヨネーズであるが、おいしさの評価点数と大脳前頭外側部における応答強度には相関が見られ、被験者に、被験者の食経験または嗜好により好みに差の出るマヨネーズを用いて、同一のカテゴリーに属する複数のマヨネーズを飲食させ、その時の脳血流量変化を測定した結果、嗜好性の違いは応答強度の違いとして検出できた。
6人の応答強度と嗜好性の相関についても、6人全員について最もおいしかった試料の応答強度は最もおいしくなかった試料の応答強度よりもCH41,52で有意に大きかった(図7)。
以上、実施例1および実施例2の結果より、被験者の食経験または嗜好により好みに差の出る飲食物であって、その飲食物と同一のカテゴリーに属する複数の飲食物を飲食させ、その際の脳血流量変化を測定した場合、血流量変化の応答の強度により飲食物の風味が評価できることが示された。
試料を飲食させるときのタイムスケジュールを示す説明図である。 試料を味わったときのアンケート表の例である。 バニラフレーバー添加(F)とフレーバー無添加(N)のアイスクリーム試料を飲食させた時の脳血流の経時的な変化量を示す図である。 バニラフレーバー添加(F)とフレーバー無添加(N)のアイスクリームの官能評価結果を示す図である。 バニラフレーバー添加(F)とフレーバー無添加(N)のアイスクリームを飲食した時の脳血流変化量の応答強度の差が検出された部位を示す図である。 5種類の市販マヨネーズを試料番号順に飲食した時の脳血流の経時的な変化量と官能評価点を示す図である。 市販マヨネーズを飲食させ、最もおいしかった試料と最もおいしくなかった試料の応答強度の差が統計的に検出された部位を示す図である。

Claims (4)

  1. 飲食物の風味を評価する方法であって、
    (工程1)評価対象の試料である飲食物と同一のカテゴリーに属する特定の飲食物に対して高い嗜好性を持つ被験者を選択する工程、
    (工程2)工程1で選択された被験者に、評価対象の試料と同一のカテゴリーに属する複数の試料を飲食させ、その時の脳血流量変化を測定する工程、
    (工程3)工程2における被験者の脳血流量変化の応答強度が大きい試料を、被験者の嗜好性の官能評価点が高い試料であるとする工程、
    からなる、飲食品の風味を評価する方法。
  2. 脳血流が、大脳皮質の血流であることを特徴とする請求項1に記載の飲食物の風味を評価する方法。
  3. 脳血流量変化が、血液中のヘモグロビン量の変化を近赤外分光法により測定することを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲食物の風味を評価する方法。
  4. 脳血流量変化が大脳前頭外側部の脳血流量変化であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の飲食物の風味を評価する方法。
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