JP6767462B2 - 食感刺激の嗜好性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食感刺激評価方法に関する。特に、飲食品摂取時の脳血流量の変化を測定することにより、飲食品の有する食感刺激を評価する方法に関する。
飲食品においては、味や香りだけでなく、種々の食感刺激も、消費者に特徴的な印象を与える重要な要素である。飲食品から得られる食感刺激を評価する方法として、アンケートによる官能評価方法がある。アンケートには、人が感じた感覚情報をデータとして収集するために、言葉による回答方法の他に、順位法、採点法などの評価によって相対的に数値化する回答方法がある。一方、例えば、飲食品の刺激強度、粘度、温度などを機械的に測定する、炭酸飲料の炭酸濃度を測定するなど、飲食品が有する特性を物理的又は化学的方法で直接分析することによって、飲食品が人に与える食感刺激を推定し評価することが考えられる。
生体内で起きている生理応答、特に脳血流を測定するための方法として近赤外分光分析法(Near−Infrared Spectroscopy:NIRS)がある。これは、近赤外光を用いて人体を傷つけることなく安全に生体組織の酸素状態を測定する方法である。脳が活動すると、活動部位の血流量が増加し、組織の酸素状態が変化する。近赤外分光分析法を用いて脳組織の酸素状態の変化を連続的に測定することによって、大脳表面の活動部位を知ることができる。例えば、特許文献1には、脳血流量変化を測定することによって味覚刺激及び嗅覚刺激の嗜好性を評価する方法が開示されている。
特開2011−117839号公報
飲食品が有する食感刺激を評価しようとする場合、従来のアンケートによる官能評価方法では、回答結果が感覚疲労、体調変化などの要因に影響されやすい。また、アンケートの回答に表れない被験者の無意識を探ることは難しい。さらに、主観的な判断であることから、定量的に評価を行うことは困難である。一方、飲食品を物理的又は化学的に直接分析する方法では被験者が実際に感じた食感刺激を評価することが難しい。このように、被験者が実際に感じた食感刺激を客観的に把握する方法は今までにない。
そこで、アンケートによる回答を要せずに、客観的に被験者の感じた食感刺激に関するデータを収集することができる評価方法が望まれている。
本発明は、飲食品の食感刺激を客観的に評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、摂取した飲食品が有する食感刺激の度合いによって、被験者の脳血流量が変化することを見出した。そして、飲食品摂取時の脳血流量を測定し、測定した脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を客観的に評価することができることを見出した。
本発明に係る食感刺激評価方法は、被験者が飲食品を摂取した時の脳血流量を測定する脳血流量測定工程と、測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する食感刺激評価工程とを含む。
上記食感刺激評価方法では、食感刺激評価工程は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、眼窩前頭野、上側頭回、中側頭回、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野からなる群から選ばれる1つ以上の領野内において測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する工程とすることが好ましい。また、食感刺激評価工程は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、眼窩前頭野、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野からなる群から選ばれる1つ以上の領野内において測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する工程とすることがより好ましい。食感刺激評価工程は、前運動野、前頭前野背外側部、下前頭回弁蓋部及び下前頭回三角部からなる群から選ばれる1つ以上の領野内において測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する工程とすることが更に好ましい。
上記食感刺激評価方法では、食感刺激評価工程は、国際10−20法規格に基づいて配置されたチャンネル1、7〜10、16、18、19、24、25、31〜33、40、41、43、48〜50のいずれかにより測定される部位からなる群から選ばれる1つ以上の部位において測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する工程とすることができる。また、食感刺激評価工程は、国際10−20法規格に基づいて配置されたチャンネル1、7、10、16、19、24、33、40、41、43、48のいずれかにより測定される部位からなる群から選ばれる1つ以上の部位において測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する工程とすることが好ましい。
上記食感刺激評価方法では、食感刺激は、飲食品の炭酸感であることが好ましい。
上記食感刺激評価方法では、脳血流量の変化が近赤外分光分析法によって測定されることが好ましい。
本発明の食感刺激評価方法により、飲食品を摂取した時に被験者が感じた食感刺激を客観的に評価することができる。
本実施形態に係る食感刺激評価方法に用いるチャンネル配置の一例を示す模式図である。 脳血流量増加量と食感刺激の有無における関係を示すチャンネルを表す図である。 右脳側で有意差の大きいチャンネルにおける炭酸濃度と脳血流量の関係を示す図である。 左脳側で有意差の大きいチャンネルにおける炭酸濃度と脳血流量の関係を示す図である。 (a)は脳血流変化量と嗜好性アンケート結果とにおいて正の相関を示すチャンネル、(b)は脳血流変化量と嗜好性アンケート結果とにおいて負の相関を示すチャンネルを表す図である。 (a)は脳血流変化量と覚醒感アンケート結果とにおいて正の相関を示すチャンネル、(b)は脳血流変化量と覚醒感アンケート結果とにおいて負の相関を示すチャンネルを表す図である。 (a)は脳血流変化量と強度アンケート結果とにおいて正の相関を示すチャンネル、(b)は脳血流変化量と強度アンケート結果とにおいて負の相関を示すチャンネルを表す図である。
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。
本発明に係る食感刺激評価方法は、被験者が飲食品を摂取した時の脳血流量を測定する脳血流量測定工程と、測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する食感刺激評価工程とを含む。
(脳血流量の変化)
本明細書において脳血流量とは、大脳表面付近の血液中のオキシヘモグロビン量を測定することによって測定されるものである。血液中のオキシヘモグロビン量の変化は、例えば、近赤外分光分析法、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)、ポジトロン断層法(PET)などによって測定することができ、血液中のオキシヘモグロビン量の変化は、近赤外分光分析法により測定することが好ましい。近赤外分光分析法としては、機能的近赤外分光分析法(fNIRS)を用いてもよい。
(近赤外分光分析法)
近赤外分光分析法装置により測定を行うには、被験者の頭表に送光プローブ、及び受光プローブを装着する。送光プローブは被験者の脳内へ近赤外光を照射し、被験者の脳内へ照射された近赤外光は大脳皮質などで反射されて頭表へ戻り、受光プローブによって検出される。脳血流に含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンは近赤外波長領域の光に対してそれぞれ異なる吸収スペクトルを有するので、送光プローブから照射された近赤外光は脳血流に含まれるオキシヘモグロビン又はデオキシヘモグロビンによって吸収され、受光プローブによって検出される光量は、上記オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの量を反映して減少する。したがって、照射時と検出時の光量変化から、近赤外光が通過した部位の脳血流量やそれに含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの量を推定することができる。上記光量変化を経時的に計測することで、光照射部位の脳血流量やそれに含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの時間的変化を脳活動時系列データとして記録することができる。近赤外分光分析法装置としては、例えば、島津製作所社製のfNIRS計測装置「LABNIRS」を用いることができる。
(チャンネル)
本明細書では、送光プローブ及び受光プローブの組み合わせによって、脳血流量が実際に測定されるそれぞれの部位をチャンネルと呼び、被験者の頭部に配置された送光プローブと受光プローブの間がチャンネル位置になる。各チャンネルを被験者の頭部の任意の位置に設けて脳血流量を測定することができるが、測定の再現性のために、頭部の一定の位置にチャンネルを設けることが望ましい。
各チャンネルは、国際10−20法規格に基づいて配置することができる。図1に示すチャンネル配置は、島津製作所社製のfNIRS計測装置「LABNIRS」で用いられる前頭測定用のチャンネル配置の一例である。図1に示すチャンネル配置は、チャンネル38とチャンネル39の中央が被験者頭部のFpzとなるように合わせ、FpzからCzの方向に向かう正中線上にチャンネル30、チャンネル13が位置するように配置されている。図1に示すチャンネル配置では、各チャンネルの間に設置されているプローブが横一列に3cm間隔で設置され、上下に隣り合う列が3cm間隔で配置されている。横及び上下に隣り合うプローブは送光プローブと受光プローブとが交互に配置されており、したがって、上下に隣り合うチャンネルの列は各チャンネルが1.5cmずつ横方向にずれるように配置されている。各チャンネルの番号は、測定者が任意に設定可能であり、図1に示すチャンネル配置の番号とは異なっていてもよい。チャンネル番号は、図1に示す番号に設定されることが好ましい。
(領野名)
本明細書で用いている脳の各領野名は、大脳新皮質の解剖学的区分として一般的に用いられているコルビニアン・ブロードマンの区分(通称、「ブロードマンの脳地図」と呼ばれる。)による。ブロードマンの脳地図では、組織構造が均一である部分をひとまとまりの領域として区分して、1から52までの番号が振られている。この明細書において脳の領野名は、脳内の解剖学的位置を指すために用いられるものであって、必ずしも各領野で発揮されると考えられている脳の機能と関連付けられるものではない。
(飲食品)
本実施形態に係る食感刺激評価方法は、飲食品から感じられる食感刺激の度合いを評価することができる。例えば、複数の飲食品を評価対象とし、各飲食品の食感刺激を比較して評価することができる。また、食感刺激の検量線を予め作成しておき、検量線に基づいて飲食品の食感刺激を単独で評価してもよい。複数の飲食品を比較する場合には、任意の飲食品を組み合わせて評価することができるが、食感刺激を効率的に評価するために、複数の飲食品は、評価対象とする食感刺激以外の味覚刺激、嗅覚刺激、その他の食感刺激を同程度に有するものであることが好ましい。飲食品としては、任意のものを用いることができるが、本実施形態に係る食感刺激評価方法は、飲料の食感刺激を評価することに適している。
(食感刺激)
本明細書では、食感刺激とは、飲食品を摂取する際に口腔内又は咽頭内で感じられる感覚刺激のうち、味覚刺激を含まないものをいう。味覚刺激とは、甘味、塩味、酸味、苦味及び旨味の5種の基本味を指す。
本実施形態に係る食感刺激評価方法では、飲食品の食感刺激は、好ましくは飲食品のテクスチャーとして感じられるものである。本明細書でテクスチャーとは「日本語テクスチャー用語体系」(Ver.1.1 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構、食品総合研究所、早川文代、2013年6月)に収載されている用語を指す。この用語体系によれば、テクスチャーは、幾何学的特性、力学的特性及びその他の特性の3つの大分類に分けられている。
力学的特性に分類されるテクスチャーは、更に、噛みごたえ、破砕、凝集の小ささ、変形しやすさ、粘りとぬめり、流動となめらかさに分類されている。噛みごたえについては、例えば引き締まった感じの弾力を表す「ぶるぶる」などがある。破砕については、例えば繰り返しの破砕を表す「シャリシャリ」などがある。凝集の小ささについては、例えばつぶれやすさと流れにくさを表す「ぽってり」、「もったり」などがある。変形しやすさについては、例えばやわらかさを表す「ふるふる」、柔らかい弾力を表す「ぷるぷる」、張りの喪失感を表す「ぶちぶち」、つぶれやすさを表す「だらだら」などがある。粘りとぬめりについては、付着と濃厚感を表す「ねちねち」、ぬめり感を表す「ぬめぬめ」などがある。流動となめらかさについては、例えば流れやすさやすべりを表す「さらさら」、「ズルズル」、なめらかさを表す「つるつる」、流れやすさと濃厚感を表す「とろとろ」などがある。
幾何学的特性に分類されるテクスチャーは、更に、空気、粒子、なめらかさと均一性、粗さと不均一性、薄さ、及び密という項目に分類されている。空気については、例えば泡を表す「シュワシュワ」、軽さと膨らみを表す「ふわふわ」などがある。粒子については、例えば小さな球の集まりを表す「ぷつぷつ」などがある。なめらかさと均一性については、例えば、なめらかさと細かさを表す「クリーミー」、なめらかさとすべりを表す「ずるずる」、「つるつる」などがある。粗さと不均一性については、例えば、粗さを表す「ざらざら」などがある。
その他の特性に分類されるテクスチャーは、更に、脂肪、乾燥、水分などの項目に分類されている。脂肪については、例えば、口どけを表す「とろける」、水分については、例えば、にじみ出る感じの水分を表す「ジュワジュワ」、多量の水分を表す「じゅるじゅる」などがある。
その他の飲食品の食感刺激として、例えば飲食品の温度による刺激を表す冷温感が挙げられる。
本実施形態に係る食感刺激評価方法は、上記大分類のうち、幾何学的特性に含まれるテクスチャーを評価するために用いられることにより適しており、中でも、空気についてのテクスチャーを評価するために用いられることに適している。評価対象である食感刺激としては、空気に関するテクスチャーの中でも、泡に関するテクスチャーが好ましく、「シュワシュワ」感として表現される炭酸感がより好ましい。
本実施形態に係る食感刺激評価方法は、飲食品の炭酸感、特に炭酸飲料の炭酸感を評価することに適している。炭酸飲料などのシュワシュワという刺激味(炭酸感)は、甘味、苦味等の基本味とは区別されるものである。炭酸感は、それ自体で炭酸飲料の重要な要素であるが、炭酸を含む飲料水において感じられる「のど越し」、及び「キレ」にも関与している可能性がある。
(脳血流量測定工程)
本実施形態に係る食感刺激評価方法では、まず、被験者が飲食品を摂取した時の脳血流量を測定する脳血流量測定工程が行われる。以下には、近赤外分光分析法によって測定する場合を説明する。
脳血流量を測定するために、被験者の頭部に近赤外分光分析法用のプローブを装着する。全ての被験者の頭部において一定の位置に取り付けられるよう、プローブを上述のとおり国際10−20法規格に基づいて装着することが好ましい。
近赤外分光分析法によって対象とする活動を行っている間の脳の活動状態を調べるためには、安静時の脳の血流量を測定し、活動時の脳の血流量と比較する必要がある。この脳を安静化させるための時間を「レスト期間」と呼び、刺激を与え脳を活動化させるための時間を「タスク期間」と呼び、タスク期間後、脳が安静化するまでの時間を「ポストタスク期間」と呼ぶ。脳血流量の測定は、レスト期間、タスク期間及びポストタスク期間を組み合わせて行われる。レスト期間、タスク期間及びポストタスク期間中、脳血流量が継続して測定される。本実施形態に係る食感刺激評価方法では、目的の飲食品を摂取している時間がタスク期間に相当する。被験者が飲食品を摂取し始めた時がタスク期間の開始時であり、その後任意の時間をタスク期間とすることができる。
近赤外分光分析用のプローブを装着され、脳血流量の測定可能な状態とされた被験者に、評価対象である飲食品が提供される。被験者が飲食品を摂取する方法としては、官能試験に用いられる任意の方法を適用することができる。近赤外分光分析法においては、飲食品摂取中に被験者が頭部を極力動かさないことが望ましい。複数の飲食品の食感刺激を比較評価する場合には、各飲食品の摂取量及び摂取時間は同程度であることが望ましい。
本実施形態に係る食感刺激評価方法は、評価対象である食感刺激を有する飲食品を複数用いて脳血流量を比較することによって、飲食品間で食感刺激の程度を比較することができる。また、食感刺激の度合いの異なる基準品を用いて、食感刺激の度合いと脳血流量との関係を把握するために予め検量線を作成しておき、この検量線に基づいて、評価対象である飲食品の食感刺激の度合いを評価してもよい。
(食感刺激評価工程)
次に、測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価する食感刺激評価工程が行われる。
活動時の脳の血流量の分析を行う時間を「分析期間」と呼ぶ。上述の方法により測定された各チャンネルにおける分析期間の脳血流量について、レスト期間の脳血流量を基準(変化量0)として脳血流量変化量を求める。具体的には、例えば、一定のレスト期間中の脳血流量の平均値と、一定の分析期間中の脳血流量の平均値とを比較することによって、飲食品を摂取した時の脳血流量変化量を求めることができる。レスト期間と比較して脳血流量の変化量を算出するためには、分析期間は、全タスク期間及びポストタスク期間の脳血流量データを用いる必要はなく、タスク期間及びポストタスク期間中の任意の一部の期間の脳血流量データを用いることができ、例えば、飲食品の摂取開始後、5−40秒後の分析期間のデータを用いることができる。15秒−35秒後の分析期間のデータを用いることが好ましく、25秒−30秒後又は30−35秒後の分析期間のデータを用いることがより好ましい。そして、飲食品を摂取した時の脳血流量変化量に基づいて、飲食品を摂取した時に感じられた食感刺激の有無又は度合いを評価することができる。
本実施形態に係る食感刺激評価方法では、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、眼窩前頭野、上側頭回、中側頭回、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野内において測定された脳血流量に基づいて、被験者が感じた飲食品の食感刺激を評価することができる。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。これらの領野の中でも、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、眼窩前頭野、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかにおいて測定された脳血流量に基づくことが、飲食品の食感刺激の度合いと脳血流量との関係がより強く、より評価の精度を高められる点から好ましい。
さらに、前運動野、前頭前野背外側部、下前頭回弁蓋部及び下前頭回三角部のいずれかの領野内において測定された脳血流量に基づいて評価を行うことがより好ましい。これらの領野は、その内部で脳血流量と食感刺激との関係性が見られる部位がより広い範囲であるため好ましい。
脳血流量が測定される脳の部位は、被験者の頭部に配置された各チャンネルの位置によって特定することができる。島津製作所社製、fNIRS計測装置「LABNIRS」を用いて、図1のとおりに配置されたチャンネルを用いる場合、各チャンネルにより測定される部位と脳の各領野との関係は表1に示すとおりである。領野番号はブロードマンの脳地図による。
本実施形態に係る食感刺激評価方法では、脳血流量を測定するためには、上記領野内の部位を測定することのできるチャンネルであればいずれのチャンネルを用いてもよいが、チャンネル1、7〜10、16、18、19、24、25、31〜33、40、41、43、48〜50のいずれかにより測定される部位の脳血流量に基づいて食感刺激を評価することが好ましい。脳血流量の測定に用いるチャンネルは、1、7、10、16、19、24、33、40、41、43、48のいずれかであることがより好ましい。これらのチャンネルによって測定される部位における脳血流量変化量を比較することによって、より高い精度で食感刺激を評価することができる。
(食感刺激の嗜好性評価方法、覚醒感評価方法及び強度評価方法)
被験者が食感刺激を有する飲食品を摂取した時の脳血流量を測定し、脳血流量が変化した脳の部位に基づいて、被験者がその飲食品の食感刺激に対して感じた嗜好性、覚醒感及び食感刺激強度を評価することもできる。
食感刺激を有する飲食品に対する食感刺激の嗜好性、覚醒感、強度等を評価するには、アンケートによる官能評価によって評価することが考えられる。しかしながら、アンケートによる評価方法では、回答結果が感覚疲労、体調変化などの要因に影響されやすい。また、アンケートの回答に表れない被験者の無意識を探ることは難しい。さらに、主観的な判断であることから、定量的に評価を行うことは困難である。一方、本嗜好性評価方法、覚醒感評価方法又は強度評価方法によれば、脳血流量測定によって、食感刺激に対して被験者の感じた嗜好性、覚醒感又は食感刺激強度を評価することが可能であり、アンケートによらずに客観的に評価することができる。
(食感刺激の嗜好性評価方法)
本発明者らは、食感刺激を有するある飲食品を被験者が摂取した時に、その飲食品が有する食感刺激を好ましいと感じるか、好ましくないと感じるかによって、血流量が変化する脳の部位が異なることを見出した。そして、食感刺激を有する飲食品に対する被験者の嗜好性アンケート結果と、特定の脳の部位における脳血流変化量との相関関係を統計的に解析した結果、特定部位の脳血流変化が被験者のその食感刺激に対する嗜好性の判定に利用できることを見出した。
食感刺激の嗜好性評価方法では、食感刺激を有するある1つの飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量の変化を測定する脳血流量測定工程と、脳血流量が変化した脳の部位に基づいて、飲食品の食感刺激に対する被験者の嗜好性を判定する嗜好性評価工程とを含む。
「食感刺激の嗜好性評価」とは、評価対象である飲食品が有する食感刺激が被験者にとって「好ましい」と感じられるものであるか、「好ましくない」と感じられるものであるかを評価することをいう。
(食感刺激の覚醒感評価方法)
本発明者らはまた、食感刺激を有するある飲食品を被験者が摂取した時に、その飲食品が有する食感刺激をリフレッシュすると感じるか、リラックスすると感じるかによって、血流量が変化する脳の部位が異なることを見出した。そして、食感刺激を有する飲食品に対する被験者の覚醒感アンケート結果と、特定の脳の部位における脳血流変化量との相関関係を統計的に解析した結果、特定部位の脳血流変化が被験者のその食感刺激に対する覚醒感の判定に利用できることを見出した。
食感刺激の覚醒感評価方法では、食感刺激を有するある1つの飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量の変化を測定する脳血流量測定工程と、脳血流量が変化した脳の部位に基づいて、飲食品の食感刺激に対する被験者の覚醒感を判定する覚醒感評価工程とを含む。
「食感刺激の覚醒感評価」とは、評価対象である飲食品が有する食感刺激が被験者にとって「リフレッシュする」と感じられるものであるか、逆に「リラックスする」と感じられるものであるかを評価することをいう。本明細書では、「リフレッシュすると感じる」とは覚醒感が強いことを意味し、「リラックスすると感じる」とは覚醒感が弱いことを意味する。
(食感刺激の強度評価方法)
本発明者らはまた、食感刺激を有するある飲食品を被験者が摂取した時に、その飲食品が有する食感刺激を強く感じるか、弱く感じるかによって、血流量が変化する脳の部位が異なることを見出した。そして、食感刺激を有する飲食品に対する被験者の食感刺激強度アンケート結果と、特定の脳の部位における脳血流変化量との相関関係を統計的に解析した結果、特定部位の脳血流変化が、被験者が感じた食感刺激強度の判定に利用できることを見出した。
食感刺激の強度評価方法では、食感刺激を有するある1つの飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量の変化を測定する脳血流量測定工程と、脳血流量が変化した脳の部位に基づいて、食感刺激を有する飲食品に対して被験者が感じた食感刺激の強度を判定する強度評価工程とを含む。
「食感刺激の強度評価」とは、評価対象である食感刺激を有する飲食品から被験者が自覚しうる食感刺激の強度を評価することをいう。実際に被験者が感じた食感刺激の強度は、飲食品を物理的又は化学的方法によって分析した場合の物質の特性の程度と必ずしも連動しない可能性がある。そのため、本強度評価方法は、実際に被験者が感じたと自覚する食感刺激の強度を評価するために効果的である。
(脳血流量測定工程)
上記食感刺激の嗜好性評価方法、覚醒感評価方法及び強度評価方法において、それぞれの脳血流量測定工程は、上記食感刺激評価方法と同様の方法により行うことができる。各評価方法では、必ずしも基準品となる飲食品との比較は必要ではなく、対象となる飲食品の食感刺激の嗜好性、覚醒感又は強度を単独で絶対評価することが可能である。したがって、レスト期間、タスク期間及びポストタスク期間は、1つの飲食品について1セット行われればよい。判定の精度を上げるために、複数セットを連続して行い、各セットの変化量の平均値によって後述する判定を行ってもよい。また、異なる飲食品を用いたセットが連続して行われてもよい。
(評価工程)
脳血流量測定工程で脳血流量の変化が検出された脳の部位に基づいて、食感刺激を有する飲食品に対する被験者の食感刺激の嗜好性、覚醒感又は被験者が感じた強度を判定する各評価工程が行われる。
食感刺激の嗜好性評価工程、覚醒感評価工程又は強度評価工程では、測定された各チャンネル等の部位における分析期間の脳血流量を、レスト期間の脳血流量と比較することによって、分析期間の脳血流量の変化量を求める。すなわち、分析期間の脳血流量の変化量とは、レスト期間の脳血流量を基準とした脳血流量の増加量又は減少量である。具体的には、例えば、一定のレスト期間中の脳血流量の平均値と、一定の分析期間中の脳血流量の平均値とを比較することによって、対象の飲食品を摂取した時の脳血流量の変化量を求めることができる。レスト期間と比較して脳血流量の変化量を算出するためには、分析期間は、全タスク期間及びポストタスク期間の脳血流量データを用いる必要はなく、タスク期間及びポストタスク期間中の任意の一部の期間の脳血流量データを用いることができる。
次に、食感刺激を有する飲食品を摂取した時に脳血流量が変化した脳の部位を特定する。特定された脳の部位に基づいて、被験者がその飲食品が有する食感刺激に対して感じた嗜好性、覚醒感又は強度をそれぞれ判定する。各評価工程においては、脳血流量がオキシヘモグロビン量として0.001mM・cm以上変化した部位を、脳血流量が変化した脳の部位とすることが好ましい。
(食感刺激の嗜好性評価工程)
本実施形態に係る食感刺激の嗜好性評価方法では、被験者が飲食品を摂取した時に脳血流量が変化する脳の部位を特定することにより、摂取した飲食品の食感刺激に対して被験者が好ましいと感じたのか好ましくないと感じたのかを判定することができる。
食感刺激の嗜好性評価工程において、脳血流量の変化を検出する脳の部位は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。脳の部位は、上記領野の中でも、前運動野、下前頭回弁蓋部のいずれかの領野に含まれる部位であることがより好ましい。これらの領野は、その内部のより広い範囲で脳血流量と食感刺激の嗜好性との相関関係が見られ、より精度の高い判定を行うことができるため好ましい。
嗜好性評価工程では、前運動野、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野に含まれる部位、又は前頭眼野及び前頭前野背外側部のいずれかの領野の右側頭部に含まれる部位において脳血流量の増加が検出された場合には、被験者が摂取した食感刺激を有する飲食品を好ましいと感じたと判定することができ、当該部位において脳血流量の減少が検出された場合には、被験者が摂取した食感刺激を有する飲食品を好ましくないと感じたと判定することができる。これらの部位の中でも、前運動野、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部、下前頭前野、前頭眼野及び前頭前野背外側部のいずれかの領野の右側頭部に含まれる部位が好ましい。なお、本明細書では、右側頭部とは、被験者頭部の中央(国際10−20法規格に基づくFpzとCzとを結ぶ直線)を基準として、より右側に位置する部位であることをいう。右側頭部は、ここでは、好ましくは、国際10−20法規格に基づくFp2とCzとを結んで得られる直線を基準としてより右側に位置する部位である。さらには、判定に用いる部位としては、図1に示す配置のチャンネル1、10、18、36及び49のいずれかにより測定される部位が好ましく、チャンネル18、36、49のいずれかにおいて測定される部位が更に好ましい。これらの部位で脳血流量の増加を検出した場合に被験者が好ましいと感じたと判定する、又はこれらの部位で脳血流量の減少を検出した場合に被験者が好ましくないと感じたと判定することによって、より精度の高い判定を行うことができる。
嗜好性評価工程では、前頭極の領野に含まれる部位、又は、前頭前野背外側部及び前頭眼野のいずれかの領野の左側頭部に含まれる部位において脳血流量の増加が検出された場合には、被験者が摂取した食感刺激を有する飲食品を好ましくないと感じたと判定することができ、当該部位において脳血流量の減少が検出された場合には、被験者が摂取した食感刺激を有する飲食品を好ましいと感じたと判定することができる。なお、本明細書では、左側頭部とは、被験者頭部の中央(国際10−20法規格に基づくFpzとCzとを結ぶ直線)を基準として、より左側に位置する部位であることをいう。左側頭部は、ここでは、好ましくは、国際10−20法規格に基づくFp1とCzとを結んで得られる直線を基準としてより左側に位置する部位である。さらには、判定に用いる部位としては、図1に示す配置のチャンネル17、21のいずれかにより測定される部位がより好ましい。これらの部位で脳血流量の増加を検出した場合に被験者が好ましくないと感じたと判定する、又はこれらの部位で脳血流量の減少を検出した場合に被験者が好ましいと感じたと判定することによって、より精度の高い判定を行うことができる。
上記食感刺激の嗜好性評価方法では、脳血流量の変化が検出された脳の部位における脳血流の変化量の程度によって、飲食品が有する食感刺激に対する好ましさの度合いを判定することもできる。すなわち、例えば、好ましいと感じたときに脳血流量が増加するとされる領野又はチャンネルにおいて、その増加量が大きいほど、より強く好ましいと感じたと判定することができ、逆に、当該領野又はチャンネルにおいて脳血流量の減少量が大きいほど、より強く好ましくないと感じたと判定することもできる。同様に、好ましくないと感じたときに脳血流量が増加するとされる領野又はチャンネルにおいて、その増加量が大きいほど、より強く好ましくないと感じたと判定することができ、逆に、当該領野又はチャンネルにおいて脳血流量の減少量が大きいほど、より強く好ましいと感じたと判定することもできる。
(食感刺激の覚醒感評価工程)
本実施形態に係る覚醒感評価方法では、被験者が飲食品を摂取した時に脳血流量が変化する脳の部位を特定することにより、摂取した飲食品の食感刺激に対して被験者がリフレッシュすると感じたのか、又はリラックスすると感じたのかを判定することができる。
食感刺激の覚醒感評価工程において、脳血流量の変化を検出する脳の部位は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、眼窩前頭野、上側頭回、中側頭回、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。脳の部位は、上記領野の中でも、前運動野、眼窩前頭野、上側頭回、中側頭回及び下前頭回弁蓋部のいずれかの領野に含まれる部位であることがより好ましい。これらの領野は、その内部のより広い範囲で脳血流量と食感刺激の覚醒感との相関関係が見られ、より精度の高い判定を行うことができるため好ましい。
覚醒感評価工程では、下前頭回弁蓋部の領野に含まれる部位、又は、前頭前野背外側部、前頭眼野、前運動野、下前頭回三角部のいずれかの領野の右側頭部に含まれる部位において脳血流量の増加が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品が有する食感刺激に対してリフレッシュすると感じたと判定することができ、当該部位において脳血流量の減少が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品が有する食感刺激に対してリラックスすると感じたと判定することができる。これらの部位の中でも、前頭前野背外側部、前頭眼野、前運動野、下前頭回弁蓋部及び下前頭回三角部のいずれかの領野の右側頭部に含まれる部位が好ましい。右側頭部は、ここでは、好ましくは、国際10−20法規格に基づくFp2とCzとを結んで得られる直線を基準としてより右側に位置する部位である。さらには、判定に用いる部位としては、図1に示す配置のチャンネル3、10、18及び49のいずれかにより測定される部位がより好ましく、チャンネル49により測定される部位が更に好ましい。これらの部位で脳血流量の増加を検出した場合に被験者がリフレッシュすると感じたと判定する、又はこれらの部位で脳血流量の減少を検出した場合に被験者がリラックスすると感じたと判定することにより、より精度の高い判定を行うことができる。
覚醒感評価工程では、前頭極、眼窩前頭野、上側頭回、中側頭回及び下前頭前野のいずれかの領野に含まれる部位、又は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部及び下前頭回三角部のいずれかの領野の左側頭部に含まれる部位において脳血流量の増加が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品が有する食感刺激に対してリラックスすると感じたと判定することができ、当該部位において脳血流量の減少が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品が有する食感刺激に対してリフレッシュすると感じたと判定することができる。これらの部位の中でも、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、上側頭回、中側頭回、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野の左側頭部に含まれる部位が好ましい。さらには、判定に用いる部位としては、図1に示す配置のチャンネル5、17、21、30、33、38、41、44、46及び47のいずれかにより測定される部位がより好ましく、チャンネル17、21、44及び46のいずれかに含まれる部位が更に好ましい。これらの部位で脳血流量の増加を検出した場合に被験者がリラックスすると感じたと判定する、又はこれらの部位で脳血流量の減少を検出した場合に被験者がリフレッシュすると感じたと判定することにより、より精度の高い判定を行うことができる。
上記食感刺激の覚醒感評価方法では、脳血流量の変化が検出された脳の部位における脳血流の変化量の程度によって、飲食品が有する食感刺激に対する覚醒感の度合いを判定することもできる。すなわち、例えば、リフレッシュすると感じたときに脳血流量が増加するとされる領野又はチャンネルにおいて、その増加量が大きいほど、より強くリフレッシュすると感じたと判定することができ、逆に、当該領野又はチャンネルにおいて脳血流量の減少量が大きいほど、より強くリラックスすると感じたと判定することもできる。同様に、リラックスすると感じたときに脳血流量が増加するとされる領野又はチャンネルにおいて、その増加量が大きいほど、より強くリラックスすると感じたと判定することができ、逆に、当該領野又はチャンネルにおいて脳血流量の減少量が大きいほど、より強くリフレッシュすると感じたと判定することもできる。
(食感刺激強度評価工程)
本実施形態に係る食感刺激強度評価方法では、被験者が飲食品を摂取した時に脳血流量が変化する脳の部位を特定することにより、摂取した飲食品について被験者が感じた食感刺激の強度を評価することができる。
食感刺激強度評価工程において、脳血流量の変化を検出する脳の部位は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。脳の部位は、上記領野の中でも、前運動野、前頭前野背外側部、下前頭回弁蓋部及び下前頭回三角部のいずれかの領野に含まれる部位であることがより好ましい。これらの領野は、その内部のより広い範囲で脳血流量と被験者が感じた食感刺激の強度との相関関係が見られ、より精度の高い判定を行うことができるため好ましい。
食感刺激の強度評価工程では、前頭極、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野に含まれる部位又は、前運動野、前頭眼野及び前頭前野背外側部のいずれかの領野の右側頭部に含まれる部位において脳血流量の増加が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品について感じられた食感刺激を強く感じたと判定することができ、当該部位において脳血流量の減少が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品について感じられた食感刺激を弱く感じたと判定することができる。これらの部位の中でも、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野のいずれかの領野の右側頭部に含まれる部位が好ましい。さらには、判定に用いる部位としては、図1に示す配置のチャンネル1、3、7、10、14、18、28、31、36及び49のいずれかにより測定される部位が好ましく、チャンネル1、7、10、18、28、36、及び49のいずれかにより測定される部位がより好ましい。これらの部位で脳血流量の増加を検出した場合に被験者が食感刺激を強く感じたと判定する、又はこれらの部位で脳血流量の減少を検出した場合に被験者が食感刺激を弱く感じたと判定することにより、より精度の高い判定を行うことができる。
食感刺激の強度評価工程では、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部の左側頭部に含まれる部位において脳血流量の増加が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品について感じられた食感刺激を弱く感じたと判定することができ、当該部位において脳血流量の減少が検出された場合には、被験者が摂取した飲食品について感じられた食感刺激を強く感じたと判定することができる。左側頭部は、ここでは、好ましくは、国際10−20法規格に基づくFp1とCzとを結んで得られる直線、より好ましくはF7とCzとを結んで得られる直線を基準としてより左側に位置する部位である。さらには、判定に用いる部位としては、図1に示す配置のチャンネル17又は44により測定される部位が好ましい。
上記食感刺激強度の評価方法では、脳血流量の変化が検出された脳の部位における脳血流の変化量の程度によって、被験者が感じた食感刺激の強度を判定することもできる。すなわち、例えば、食感刺激を強いと感じたときに脳血流量が増加するとされる領野又はチャンネルにおいて、その増加量が大きいほど、より強く食感刺激を感じたと判定することができ、逆に、当該領野又はチャンネルにおいて脳血流量の減少量が大きいほど、より弱く食感刺激を感じたと判定することもできる。同様に、食感刺激を弱いと感じたときに脳血流量が増加するとされるチャンネルにおいて、その増加量が大きいほど、より食感刺激を弱く感じたと判定することができ、逆に、当該領野又はチャンネルにおいて脳血流量の減少量が大きいほど、より強く食感刺激を感じたと判定することもできる。
本実施形態に係る各評価方法においては、近赤外分光分析法によって測定された脳血流量のデータについて、被験者の頭の大きさの違いによるバラつきを差し引くための補正処理を行ってもよい。なお、本実施形態に係る各評価方法では、評価対象と脳血流変化量とが十分に対応を示すため、上記補正を行わなくても十分に信頼性のある評価を行うことが可能である。
以下の実験により、食感刺激と脳血流量変化量の関係を確認した。
実験例1 炭酸感評価
近赤外分光分析法による計測には、fNIRS計測装置LABNIRS(島津製作所社製)を用いた。図1に示すとおりにチャンネルの配置及び番号付けを行った。チャンネルを一定の位置に配置するため、国際10−20法規格に基づいて頭部を計測し、図1に示すチャンネル38とチャンネル39の中央を被験者頭部のFpzとし、FpzからCzに向かう正中線上にチャンネル30、チャンネル13が位置するようにチャンネルを配置した。各チャンネル間に設置するプローブを横一列に3cm間隔で配置し、上下に隣り合う列を3cm間隔で配置した。横及び上下にそれぞれ隣り合うプローブは送光プローブと受光プローブとが交互となるように配置した。各チャンネル番号が属する脳の領野名は表1のとおりである。
(試料)
評価用試料として、市販の炭酸水(ガスボリューム3.79)及び炭酸を含まない市販の水(ミネラルウォーター)を使用した。また、市販の炭酸水及び水を同量ずつ混ぜた炭酸水(以下、「50%炭酸水」と称す。)を用意した。4名の被験者に各3回、計12回の試験を繰り返した。レスト期間を10秒間、タスク期間を10秒間、ポストタスク期間を30秒間とした。タスク期間中に被験者は各試料20mlを一気に飲用した。なお、市販の炭酸水のガスボリュームについては、20℃に調整した恒温水槽に30分以上静置した後、ガスボリューム測定装置GVA−500B(京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。
近赤外分光分析法により、レスト期間及びタスク期間及びポストタスク期間中の被験者の脳血流量をチャンネルごとに経時的に記録した。レスト期間の5−10秒の脳血流量の平均値を基準(0)として、飲用後の脳血流量変化量を算出した。
分析期間の25−30秒又は30−35秒のいずれかの区間のうち、最も変化量が大きい区間の平均値において、市販の炭酸水を飲用した時と、水を飲用した時の脳血流量変化量を比較し、t−検定(対応あり)により有意差が確認されたチャンネルを図2に示す。検定の結果、p値が0.1未満であったのは、チャンネル1、7、10、16、19、24、33、40、41、43及び48であった。p値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル8、9、18、25、31、32、49及び50であった。
有意差の高かった上記チャンネルにおいて、市販の炭酸水及び水のデータとともに、50%炭酸水摂取時の脳血流量変化量をチャンネル別に比較したグラフを図3及び図4に示す。図3は脳の右脳側において、炭酸水と水との比較で有意差の高かった(t−検定(対応あり)p値が0.2未満)チャンネル、図4は左脳側において、炭酸水と水との比較で有意差の高かった(t−検定(対応あり)p値が0.2未満)チャンネルでの脳血流量変化量を示すグラフの集合である。配置は図1に示すチャンネルに対応している。図3及び4に示すチャンネルでの脳血流量変化量は、試料の炭酸濃度と関係していることが確認された。
以上の結果から、それぞれの試料を飲用した時の脳血流量変化量を比較することにより、被験者が感じた炭酸感を評価することが可能であることが分かった。すなわち、食感刺激が炭酸感である場合、炭酸濃度が高いほど脳血流量増加量が大きいため、脳血流量増加量によって、試料の炭酸感の度合いを評価することができる。
実験例2 炭酸感の嗜好性、覚醒感及び強度評価
上述の炭酸感評価の場合と同様に、被験者にチャンネルの配置を行い、3種類の評価用試料(炭酸水、50%炭酸水、水)を用いて摂取時の脳血流量測定を行った。被験者は飲用後にアンケートによる各種評価を行った。炭酸感に対して感じた嗜好性については、+3〜−3の7段階によって評価した。試料の炭酸感に対して感じた覚醒感を0〜5の6段階によって評価し、炭酸感の強度を0〜5の6段階によって評価した。レスト期間の5−10秒の脳血流量の平均値を基準(0)として、分析期間(タスク期間及びポストタスク期間中の25−30秒又は30−35秒)の各チャンネルにおける脳血流量の変化量の平均値を算出した。分析期間のうち、最も変化量が大きい区間の平均値と、アンケートによる評価結果との相関性をPearsonの積率相関分析により調べた。
(炭酸感の嗜好性アンケート結果)
炭酸感の嗜好性アンケート結果と脳血流量の変化量との間に相関関係が見られたチャンネルを図5に示す。図5(a)では、炭酸感の嗜好性アンケート結果と脳血流量の変化量との間に正の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より好ましいと感じられるほど、より脳血流量が増加すること、及び、より好ましくないと感じられるほど、より脳血流量が減少することを意味する。相関分析の結果、正の相関としてp値が0.1未満であったのは、チャンネル18、36及び49であった。正の相関としてp値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル1及び10であった。
図5(b)では、炭酸感の嗜好性アンケート結果と脳血流量の変化量との間に負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう負の相関とは、より好ましくないと感じられるほど、より脳血流量が増加すること、及び、より好ましいと感じられるほど、より脳血流量が減少することを意味する。相関分析の結果、負の相関としてp値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル17及び21であった。
以上の結果から、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル1、10、18、36及び49のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、その被験者は当該飲食品の食感刺激を好ましいと感じた可能性が高い。さらにチャンネル18、36及び49のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、好ましいと感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルで脳血流の増加が検出されたとき、その被験者が当該飲食品の食感刺激を好ましいと感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量増加量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより強く好ましいと感じたと判定することができる。逆に、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル1、10、18、36及び49のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、その被験者は当該飲食品の食感刺激を好ましくないと感じた可能性が高く、さらにチャンネル18、36及び49のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、好ましくないと感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルで脳血流の減少が検出されたとき、その被験者が当該飲食品の食感刺激を好ましくないと感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量減少量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより強く好ましくないと感じたと判定することができる。
一方、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル17及び21のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、被験者が当該飲食品の食感刺激を好ましくないと感じた可能性が高い。したがって、これらのチャンネルで脳血流量の増加が検出されたとき、その被験者が当該飲食品の食感刺激を好ましくないと感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量増加量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより強く好ましくないと感じたと判定することができる。逆に、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル17及び21のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、被験者が当該飲食品の食感刺激を好ましいと感じた可能性が高い。したがって、これらのチャンネルで脳血流量の減少が検出されたとき、その被験者が当該飲食品の食感刺激を好ましいと感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量減少量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより強く好ましいと感じたと判定することができる。
(炭酸感の覚醒感アンケート結果)
炭酸感の覚醒感アンケート結果と脳血流量の変化量との間に相関関係が見られたチャンネルを図6に示す。図6(a)では、炭酸感の覚醒感アンケート結果と脳血流量の変化量との間に正の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より覚醒感が感じられる、すなわちよりリフレッシュすると感じられるほど、より脳血流量が増加すること、及び、よりリラックスすると感じられるほど、より脳血流量が減少することを意味する。相関分析の結果、正の相関としてp値が0.1未満であったのは、チャンネル49であった。正の相関としてp値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル3、10及び18であった。
図6(b)では、炭酸感の覚醒感アンケート結果と脳血流量の変化量との間に負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう負の相関とは、よりリラックスすると感じられるほど、より脳血流量が増加すること、及び、よりリフレッシュすると感じられるほど、より脳血流量が減少することを意味する。相関分析の結果、負の相関としてp値が0.1未満であったのは、チャンネル17、21、44及び46であった。負の相関としてp値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル5、30、33、38、41及び47であった。
以上の結果から、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル3、10、18及び49のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、被験者が当該飲食品の食感刺激に対してリフレッシュすると感じた可能性が高い。さらにチャンネル49で脳血流量の増加が検出されたとき、リフレッシュすると感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルで脳血流の増加が検出されたとき、その被験者が当該食感刺激に対してリフレッシュすると感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量増加量が大きいほど、被験者が当該食感刺激に対してより強くリフレッシュすると感じたと判定することができる。逆に、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル3、10、18及び49のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、被験者が当該飲食品の食感刺激に対してリラックスすると感じた可能性が高い。さらにチャンネル49で脳血流量の減少が検出されたとき、リラックスすると感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルで脳血流の減少が検出されたとき、その被験者が当該食感刺激に対してリラックスすると感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量減少量が大きいほど、被験者が当該食感刺激に対してより強くリラックスすると感じたと判定することができる。
一方、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル5、17、21、30、33、38、41、44、46及び47のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、被験者が当該飲食品の食感刺激に対してリラックスすると感じた可能性が高い。さらにチャンネル17、21、44及び46のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、リラックスすると感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルにおいて脳血流量の増加が検出されたとき、その被験者が当該食感刺激に対してリラックスすると感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量増加量が大きいほど、被験者が当該食感刺激に対してより強くリラックスすると感じたと判定することができる。逆に、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル5、17、21、30、33、38、41、44、46及び47のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、被験者が当該飲食品の食感刺激に対してリフレッシュすると感じた可能性が高い。さらにチャンネル17、21、44及び46のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、リフレッシュすると感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルにおいて脳血流量の減少が検出されたとき、その被験者が当該食感刺激に対してリフレッシュすると感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量減少量が大きいほど、被験者が当該食感刺激に対してより強くリフレッシュすると感じたと判定することができる。
(炭酸感の強度アンケート結果)
炭酸感の強度アンケート結果と脳血流量の変化量との間に相関関係が見られたチャンネルを図7に示す。図7(a)では、炭酸感の強度アンケート結果と脳血流量の変化量との間に正の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より炭酸感を強く感じるほど、より脳血流量が増加すること、及び、より炭酸感を弱く感じるほど、より脳血流量が減少することを意味する。相関分析の結果、正の相関としてp値が0.1未満であったのは、チャンネル1、7、10、18、28、36及び49であった。正の相関としてp値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル3、14、及び31であった。
図7(b)では、炭酸感の強度アンケート結果と脳血流量の変化量との間に負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう負の相関とは、より炭酸感を弱く感じるほど、より脳血流量が増加すること、及び、より炭酸感を強く感じるほど、より脳血流量が減少することを意味する。相関分析の結果、負の相関としてp値が0.1超0.2未満であったのは、チャンネル17及び44であった。
以上の結果から、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル1、3、7、10、14、18、28、31、36、及び49のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、その被験者が当該食感刺激を強く感じた可能性が高い。さらにチャンネル1、7、10、18、28、36及び49のいずれか1つ以上で脳血流量の増加が検出されたとき、食感刺激を強く感じた可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルにおいて脳血流量の増加が検出されたときに、その被験者が当該食感刺激を強く感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量増加量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより強く感じたと判定することができる。逆に、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル1、3、7、10、14、18、28、31、36、及び49のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、その被験者が当該食感刺激を弱く感じた又は感じなかった可能性が高い。さらにチャンネル1、7、10、18、28、36及び49のいずれか1つ以上で脳血流量の減少が検出されたとき、食感刺激を弱く感じた又は感じなかった可能性がより高い。したがって、これらのチャンネルにおいて脳血流量の減少が検出されたときに、その被験者が当該食感刺激を弱く感じた又は感じなかったと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量減少量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより弱く感じたと判定することができる。
一方、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル17及び44のいずれか1つ以上で増加することが検出されたとき、その被験者が当該食感刺激を弱く感じた又は感じなかった可能性が高い。したがって、これらのチャンネルにおいて脳血流量の増加が検出されたとき、その被験者が当該食感刺激を弱く感じた又は感じなかったと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量増加量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより弱く感じたと判定することができる。逆に、食感刺激を有するある飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量が、チャンネル17及び44のいずれか1つ以上で減少することが検出されたとき、その被験者が当該食感刺激を強く感じた可能性が高い。したがって、これらのチャンネルにおいて脳血流量の減少が検出されたとき、その被験者が当該食感刺激を強く感じたと判定することができる。また、これらのチャンネルでの脳血流量減少量が大きいほど、被験者が当該食感刺激をより強く感じたと判定することができる。
本発明に係る食感刺激評価方法を用いることによって、被験者が感じた飲食品の食感刺激の評価を客観的に行うことが可能である。また、食感刺激の嗜好性評価方法、覚醒感評価方法又は強度評価方法によって、被験者が感じた飲食品の食感刺激に対する嗜好性、覚醒感、又は食感刺激の強度を客観的に評価することができる。したがって、例えば、飲食品の開発にこれらの評価方法を応用することができる。


Claims (5)

  1. 食感刺激を有するある1つの飲食品を摂取した時の被験者の脳血流量の変化を測定する脳血流量測定工程と、脳血流量が変化した脳の部位に基づいて、前記飲食品の前記食感刺激に対する前記被験者の嗜好性を判定する嗜好性評価工程とを含み、前記食感刺激が炭酸感であり、前記飲食品が炭酸飲料である、食感刺激の嗜好性評価方法。
  2. 前記脳の部位が、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部、前頭極、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる、請求項1に記載の嗜好性評価方法。
  3. 前記脳血流量測定工程において、前頭眼野又は前頭前野背外側部の右側頭部、前運動野、下前頭回弁蓋部、下前頭回三角部及び下前頭前野からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位において脳血流量の増加を検出した場合に、前記嗜好性評価工程は、前記被験者が前記飲食品を好ましいと感じたと判定する工程であり、減少を検出した場合に、前記嗜好性評価工程は、前記被験者が前記飲食品を好ましくないと感じたと判定する工程である、請求項1又は2に記載の嗜好性評価方法。
  4. 前記脳血流量測定工程において、前頭前野背外側部又は前頭眼野の左側頭部、及び前頭極からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位において脳血流量の増加を検出した場合に、前記嗜好性評価工程は、前記被験者が前記飲食品を好ましくないと感じたと判定する工程であり、減少を検出した場合に、前記嗜好性評価工程は、前記被験者が前記飲食品を好ましいと感じたと判定する工程である、請求項1又は2に記載の嗜好性評価方法。
  5. 前記脳血流量の変化が近赤外分光分析法によって測定される、請求項1〜のいずれか一項に記載の嗜好性評価方法。
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