JP6448475B2 - 飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響を評価する方法 - Google Patents

飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響を評価する方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響を評価する方法に関する。
飲食品に対する人の嗜好性や知覚は、飲食品のブランド、パッケージ、価格情報等の情報に左右されることが知られている(非特許文献1)。
生体内で起きている生理応答、特に脳血流を測定するための方法として、近赤外分光分析法(Near−Infrared Spectroscopy:NIRS)が開発されている。これは、近赤外光を用いて人体を傷つけることなく安全に生体組織の酸素状態を測定する方法である。脳が活動すると、活動部位の血流量が増加し、組織の酸素状態が変化する。近赤外分光分析法を用いて脳組織の酸素状態の変化を連続的に測定することによって、大脳表面の活動部位を知ることができる。例えば、特許文献1、2には、脳血流量変化の応答強度を利用して、飲食物の嗜好性を評価する方法が開示されている。
特開2011−117839号公報 特開2010−51610号公報
相良泰行、食感性モデルによる「おいしさ」の評価法、日本食品科学工学会誌、第56巻、第6号、317−325頁、2009年6月
脳血流変化の応答強度を利用した飲食品の評価方法においては、人が感じる嗜好性の評価は試みられているものの、飲食品に付随する情報が人の嗜好性又は知覚に与える影響を定量的に評価する方法は確立されていない。
本発明は、飲食品に付随する情報が飲食品の官能特性に与える影響を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、同一の飲食品を摂取する場合であっても、当該飲食品に付随する情報を認知しているか否かによって、飲食品を摂取する前後の脳血流変化量に差分が生じ得ることを見出した。飲食品摂取前後の脳血流変化量は、摂取によって人が感じる官能特性に応じて異なる値を示すことが分かっている。そこで、摂取前後の脳血流変化量を、飲食品に付随する情報が提示される前後で比較することにより、当該情報が官能特性に与える影響を評価できることを見出した。
本発明は、飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響を評価する方法であって、上記情報を提示することなく被験者が上記飲食品を摂取する前後の第一脳血流変化量と、上記被験者が上記情報の提示後に上記飲食品を摂取する前後の第二脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者が感じる官能特性に与える上記情報の影響を評価する評価工程とを含む方法を提供する。
上記方法は、上記情報を提示することなく被験者が上記飲食品を摂取する前後の第一脳血流変化量を測定する、第一測定工程を更に含むことができる。
上記方法は、上記被験者が上記情報の提示後に上記飲食品を摂取する前後の第二脳血流変化量を測定する、第二測定工程を更に含むことができる。
上記評価工程において、上記情報が影響を与える官能特性の種類が、上記差分が表れる脳の部位に基づいて特定されてもよい。
上記方法は、被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、被験者が感じる官能特性の程度とが相関する脳の部位を特定する特定工程を更に含むことができる。
上記方法において、上記情報がブランドであることが好ましい。
上記方法において、上記脳血流変化量が近赤外分光分析法によって測定されることが好ましい。
本発明の方法により、飲食品に付随する情報が飲食品の官能特性に与える影響を評価することができる。
本実施形態に係る評価方法に用いるチャンネル配置の一例を示す模式図である。 各分析期間における脳血流変化量と覚醒感との相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量と覚醒感との相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量と味の濃さとの相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量と味の濃さとの相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量とのど越しとの相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量とのど越しとの相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量と嗜好性との相関を示すチャンネルを表す図である。 各分析期間における脳血流変化量と嗜好性との相関を示すチャンネルを表す図である。 第一脳血流変化量及び第二脳血流変化量の間の差分があるチャンネルを表す図である。 第一脳血流変化量及び第二脳血流変化量の間の差分があるチャンネルを表す図である。 第一脳血流変化量及び第二脳血流変化量の間の差分があるチャンネルを表す図である。
以下に、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。
本発明は、飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響を評価する方法(以下、単に「評価方法」ともいう。)であって、飲食品に付随する情報を提示することなく被験者が上記飲食品を摂取する前後の第一脳血流変化量と、上記被験者が上記情報の提示後に上記飲食品を摂取する前後の第二脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者が感じる官能特性に与える上記情報の影響を評価する評価工程とを含む。
本実施形態に係る評価方法において、飲食品に付随する情報としては、例えば、商品名、ブランド、企業名、価格、原産地、商品又は商品パッケージの外観、販促物、商品コンセプト、他者の評価情報、希少性等が挙げられるが、これらに限られない。
被験者に情報を提示する手段としては、例えば、情報を見せる、聞かせる等、被験者が当該情報を認知し得る方法であればどのようなものでもよい。
本明細書において、官能特性とは、知覚及び嗜好性を含むものである。知覚とは、飲食品に備わる性質に由来して、飲食品を摂取する際に被験者に生じるものであり、被験者が感じる嗅覚・味覚刺激、食感刺激等である。知覚の具体例としては、覚醒感、のど越し、味の濃さ等が挙げられる。
上記評価方法により、飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響の有無を判定することができる。また、複数の飲食品間で比較する場合には、当該影響の大きさを相対的に判定することができる。
飲食品を摂取する前後の脳血流変化量は、被験者が飲食品を摂取する前後にわたって脳血流量の変化を経時的に測定することにより得ることができる。したがって、上記評価方法は、飲食品に付随する情報を提示することなく被験者が上記飲食品を摂取する前後の第一脳血流変化量を測定する、第一測定工程を更に含んでいてもよく、被験者が上記情報の提示後に上記飲食品を摂取する前後の第二脳血流変化量を測定する、第二測定工程を更に含んでいてもよい。
本実施形態の評価方法が第一測定工程及び第二測定工程を含む場合、第一測定工程が第二測定工程より先に行われてもよく、第二測定工程が第一測定工程より先に行われてもよい。第二測定工程が第一測定工程より先に行われる場合には、それぞれの測定工程において被験者に提供する飲食品試料を差し替える等することにより、第一測定工程で提供される飲食品試料と既に提示された情報との関係が被験者に伝わらないようにする。また、第一測定工程は第二測定工程より先に行われることが好ましい。この順に行うことにより、評価の精度を更に高めることができる。
本明細書において脳血流変化量とは、大脳表面付近の血液中のオキシヘモグロビン量を測定することによって測定されるものである。血液中のオキシヘモグロビン量の変化は、例えば、近赤外分光分析法、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)、ポジトロン断層法(PET)等によって測定することができる。血液中のオキシヘモグロビン量の変化は、近赤外分光分析法により測定することが好ましい。近赤外分光分析法としては、機能的近赤外分光分析法(fNIRS)を用いてもよい。
本実施形態に係る評価方法において用いられる指標は、飲食品を摂取する前後の脳血流変化量であり、具体的には、飲食品を摂取する直前(摂取開始時0秒)の脳血流量を0とした場合の、摂取後の脳血流変化量である。以下、飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を、単に脳血流変化量と呼ぶこともある。なお、変化量とは正負を考慮した概念であり、例えば、飲食品摂取後の脳血流量が摂取前に対して0.01mM・cm減少した場合は、脳血流の変化量は「−0.01mM・cm」である。また、例えば第一脳血流変化量が−0.01mM・cmであり、第二脳血流変化量が−0.02mM・cmであるとき、第二脳血流変化量の第一脳血流変化量に対する差分は−0.01mM・cmである。差分がマイナスの値である場合は、第二脳血流変化量の方が、第一脳血流変化量よりも低いことを意味する。逆に差分がプラスの値であれば、高いことを意味する。
以下には、近赤外分光分析法によって、被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定する場合を説明する。
近赤外分光分析法装置により脳血流変化量の測定を行うには、被験者の頭表に送光プローブ、及び受光プローブを装着する。送光プローブは被験者の脳内へ近赤外光を照射し、被験者の脳内へ照射された近赤外光は大脳皮質等で反射されて頭表へ戻り、受光プローブによって検出される。脳血流に含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンは近赤外波長領域の光に対してそれぞれ異なる吸収スペクトルを有するので、送光プローブから照射された近赤外光は脳血流に含まれるオキシヘモグロビン又はデオキシヘモグロビンによって吸収され、受光プローブによって検出される光量は、上記オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの量を反映して減少する。したがって、照射時と検出時の光量変化から、近赤外光が通過した部位の脳血流量やそれに含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの量を推定することができる。上記光量変化を経時的に計測することで、光照射部位の脳血流量やそれに含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの時間的変化を脳活動時系列データとして記録することができる。近赤外分光分析法装置としては、例えば、島津製作所社製のfNIRS計測装置「LABNIRS」を用いることができる。
本明細書では、送光プローブ及び受光プローブの組み合わせによって、脳血流変化量が実際に測定されるそれぞれの部位をチャンネルと呼び、被験者の頭部に配置された送光プローブと受光プローブの間がチャンネル位置になる。各チャンネルを被験者の頭部の任意の位置に設けて脳血流量を測定することができるが、測定の再現性のために、頭部の一定の位置にチャンネルを設けることが望ましい。
各チャンネルは、国際10−20法規格に基づいて配置することができる。図1に示すチャンネル配置は、島津製作所社製のfNIRS計測装置「LABNIRS」で用いられる前頭測定用のチャンネル配置の一例である。図1に示すチャンネル配置は、チャンネル47とチャンネル48の中央が被験者頭部のFpzとなるように合わせ、FpzからCzの方向に向かう正中線上にチャンネル37、チャンネル16が位置するように配置されている。図1に示すチャンネル配置では、各チャンネルの間に設置されているプローブが横一列に3cm間隔で設置され、上下に隣り合う列が3cm間隔で配置されている。横及び上下に隣り合うプローブは送光プローブと受光プローブとが交互に配置されており、したがって、上下に隣り合うチャンネルの列は各チャンネルが1.5cmずつ横方向にずれるように配置されている。各チャンネルの番号は、測定者が任意に設定可能であり、図1に示すチャンネル配置の番号とは異なっていてもよい。チャンネル番号は、図1に示す番号に設定されることが好ましい。全ての被験者の頭部において一定の位置に取り付けられるよう、プローブは、国際10−20法規格に基づいて装着することが好ましい。
本明細書で用いている脳の各領野名は、大脳新皮質の解剖学的区分として一般的に用いられているコルビニアン・ブロードマンの区分(通称、「ブロードマンの脳地図」と呼ばれる。)による。ブロードマンの脳地図では、組織構造が均一である部分をひとまとまりの領域として区分して、1から52までの番号が振られている。この明細書において脳の領野名は、脳内の解剖学的位置を指すために用いられるものであって、必ずしも各領野で発揮されると考えられている脳の機能と関連付けられるものではない。また、脳の部位を分ける基準は、上記区分に限られず、その他の区分法を用いてもよい。
脳血流量が測定される脳の部位は、被験者の頭部に配置された各チャンネルの位置によって特定することができる。島津製作所社製、fNIRS計測装置「LABNIRS」を用いて、図1のとおりに配置されたチャンネルを用いる場合、各チャンネルにより測定される部位と脳の各領野との関係は表1に示すとおりである。領野番号はブロードマンの脳地図による。なお、前頭前野背外側部は、対応する領野番号としてBA9及びBA46の2つがある。本明細書では、単に前頭前野背外側部と表記するときは、BA9及びBA46で表される2つの領野を含み、前頭前野背外側部(BA9)、前頭前野背外側部(BA46)と表記するときは、それぞれの領野番号で表わされる領野を意味する。
近赤外分光分析用のプローブを装着され、脳血流量の測定可能な状態とされた被験者に、評価対象である飲食品が提供される。被験者が飲食品を摂取する方法としては、官能試験に用いられる任意の方法を適用することができる。近赤外分光分析法においては、飲食品摂取中に被験者が頭部を極力動かさないことが望ましい。複数の飲食品を比較評価する場合には、各飲食品の摂取量及び摂取時間は同程度であることが望ましい。
脳血流変化量を測定する分析期間は、例えば、飲食品を摂取開始後0−60秒後の間のいずれかの時刻とすることができ、また、上記期間のうち一部の期間の平均値を用いてもよい。例えば、分析期間は、飲食品の摂取開始後8−18秒の間としてもよく、18−33秒の間としてもよい。
各評価方法においては、近赤外分光分析法によって測定された脳血流量のデータについて、被験者の頭の大きさの違いによるバラつきを差し引くための補正処理を行ってもよい。なお、本実施形態に係る各評価方法では、評価対象と脳血流変化量とが十分に対応を示すため、上記補正を行わなくても十分に信頼性のある評価を行うことが可能である。
本実施形態に係る評価方法は、任意の飲食品に対して用いることができる。飲食品は、加工品であってもよく、生鮮品であってもよい。飲食品は、飲料であることが好ましい。飲料は、水、茶、コーヒー、ココア、ジュース、清涼飲料水、アルコール飲料等が挙げられる。本実施形態に知覚評価方法は、特にビールテイスト飲料に適している。
本明細書においてビールテイスト飲料とは、ビール様の香味を有する飲料を意味し、酒税法(昭和二十八年二月二十八日法律第六号)で定義されるビールも含む。ビールテイスト飲料には、アルコール度数が1v/v%未満であるノンアルコールビールテイスト飲料、及びアルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料が含まれる。ノンアルコールビールテイスト飲料には、アルコールを全く含まないアルコール度数0.00v/v%のものも含まれる。ビールテイストアルコール飲料としては、例えば、ビール、発泡酒、その他の醸造酒、発泡酒にスピリッツを添加してなる発泡性アルコール飲料(日本の酒税法で定義されるリキュール類)等が挙げられる。なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
上記評価方法の評価工程においては、提示される情報が影響を与える官能特性の種類が、第一脳血流変化量と第二脳血流変化量との差分が表れる脳の部位に基づいて特定されてもよい。これにより、飲食品に付随するある情報が、どのような官能特性に影響を与えるか、また、その情報がどの程度の影響を与えるかを予測することができる。
例えば情報が飲食品のブランドである場合、情報が影響を与える官能特性の種類及び程度を知ることにより、当該ブランドが消費者にどのようなイメージを持たれているかを調べることもできる。また、例えば、情報が商品パッケージ外観である場合、当該情報が官能特性にどのような影響を与えるか調べることによって、より消費者に好まれるパッケージや、商品イメージに対応するパッケージの開発等に応用することができる。
被験者が感じる官能特性の程度と脳血流変化量とが相関する脳の部位が知られている場合には、これを利用して上記判定を行うことができる。また、被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、被験者が感じる官能特性の程度とが相関する脳の部位を特定する特定工程を行ってもよい。上記特定工程を行うことにより、任意の官能特性の種類について評価することができる。したがって、上記評価方法は、被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、被験者が感じる官能特性の程度とが相関する脳の部位を特定する特定工程を更に含んでいてもよい。
被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、被験者が感じる官能特性の程度とが相関する脳の部位を特定する特定工程は、具体的には例えば、以下の方法により行うことができる。被験者に複数の飲食品を摂取させ、各飲食品の摂取前後の脳血流変化量を測定する。各飲食品の摂取の際には、併せて、被験者にアンケートを行う。アンケートの内容は、摂取した飲食品について、例えば、好ましいと感じるか、リフレッシュすると感じるか等、評価しようとする官能特性に対応する質問とする。そして、アンケートで得られた各官能特性の程度と、摂取前後の脳血流変化量とが相関する脳の部位を特定する。特定工程に用いる飲食品は、本実施形態に係る評価方法で評価しようとする飲食品の同種であることが好ましい。
また、異なる種類の官能特性であっても、局所的には重複する部位で脳血流変化量の差分が観察されることがあり得る。その場合は、例えば、脳血流変化量の差分が表れる部位のパターンを観察することにより、どのような知覚を感じたかを予測することが可能である。
以下には、飲食品の官能特性として、覚醒感、味の濃さ、のど越し及び嗜好性への影響を評価する場合をそれぞれ説明する。
(覚醒感)
本明細書において、覚醒感とは、覚醒したと感じる感覚をいう。覚醒感が強いと、例えば、リフレッシュすると感じたり、爽快感を感じたりし、覚醒感が弱いと、例えば、リラックスすると感じる。
前運動野、眼窩前頭野、下前頭前野、中側頭回及び上側頭回からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位において、第一脳血流変化量と第二脳血流変化量との差分が検出された場合、提示された情報は飲食品の覚醒感に影響を与えると判定することができる。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。
より詳細には、上記領野のいずれかに含まれる部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品の覚醒感に正の影響を与えると判定することができる。ここでいう正の影響を与えるとは、より覚醒感を強く感じさせることをいう。また、図1に示す配置のチャンネル1、2、3、6、12、15、17、22、23、24、30、31、32、33、34、35、36、40、41、42、43、44、45、46、47、48、51及び52のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル1、2、3、12、15、22、23、24、30、31、32、33、35、41、42、43、44、45、46、47、51及び52のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
一方、図1に示す配置のチャンネル4、5、14、16、18、19、20、28及び29のいずれかにより測定される部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品の覚醒感に負の影響を与えると判定することができる。ここでいう負の影響を与えるとは、より覚醒感を弱く感じさせることをいう。上記部位は、チャンネル5、16及び28のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
(味の濃さ)
本実施形態に係る評価方法は、飲食品に付随する情報が官能特性としての飲食品の味の濃さに与える影響を評価することができる。ここでいう味とは、基本五味の味覚に限られるものではなく、例えばコク、香り等によってもたらされる風香味を含む。また、味の濃さとは、飲食品中の調味料成分濃度等によって直接定まるものではなく、被験者が摂取する際に味の濃さとして感じられる知覚を指す。
前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部(BA46)及び眼窩前頭野からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位において、第一脳血流変化量と第二脳血流変化量との差分が検出された場合、提示された情報は飲食品の味の濃さに影響を与えると判定することができる。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。
より詳細には、前運動野又は眼窩前頭野に含まれる部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品の味の濃さに正の影響を与えると判定することができる。ここでいう正の影響を与えるとは、より味が濃いと感じさせることをいう。また、図1に示す配置のチャンネル1、30、31、41、42、47、50、51及び52のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル1、30、41、42、47、51及び52のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
一方、前頭眼野又は前頭前野背外側部(BA46)に含まれる部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品の味の濃さに負の影響を与えると判定することができる。ここでいう負の影響を与えるとは、より味が薄いと感じさせることをいう。また、図1に示す配置のチャンネル2、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、25、26、27、28、29、34、35、36、37、38、39及び40のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル5、7、8、9、14、15、16、19、25、28、29、38及び39のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
(のど越し)
本実施形態に係る評価方法は、飲食品に付随する情報が飲食品ののど越しに与える影響を評価することができる。
前運動野、中側頭回、上側頭回及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位において、第一脳血流変化量と第二脳血流変化量との差分が検出された場合、提示された情報は飲食品ののど越しに影響を与えると判定することができる。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。
より詳細には、上記領野のいずれかに含まれる部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品ののど越しに正の影響を与えると判定することができる。ここでいう正の影響を与えるとは、よりのど越しが強いと感じさせることをいう。また、図1に示す配置のチャンネル1、20、23、24、30、31、32、34、40、41、42、43、44、45、47、50、51及び52のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル1、23、24、30、31、32、40、41、43、44、47、51及び52のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
一方、図1に示す配置のチャンネル5、6、8、14、15、16、17、18、25、26、27、28、29、35、36、37、38、39及び49のいずれかにより測定される部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品ののど越しに負の影響を与えると判定することができる。ここでいう負の影響を与えるとは、よりのど越しが弱いと感じさせることをいう。上記部位は、チャンネル6、8、14、15、16、18、25、26、27、28、35、36、37、38、39及び49のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
(嗜好性)
本実施形態に係る評価方法は、飲食品に付随する情報が飲食品の嗜好性に与える影響を評価することができる。ここでいう嗜好性とは、より好ましいと感じるか、好ましくないと感じるかを意味する。
前運動野、前頭極、眼窩前頭野及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位において、第一脳血流変化量と第二脳血流変化量との差分が検出された場合、提示された情報は飲食品の嗜好性に影響を与えると判定することができる。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。
より詳細には、前運動野及び下前頭回弁蓋部のいずれかに含まれる部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品の嗜好性に正の影響を与えると判定することができる。ここでいう正の影響を与えるとは、より好ましく感じさせることをいう。また、図1に示す配置のチャンネル1、20、23、24、31、34及び41のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル23又は31により測定される部位であることが好ましい。
一方、前頭極及び眼窩前頭野のいずれかに含まれる部位において、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量より高い場合には、提示された情報が飲食品の嗜好性に負の影響を与えると判定することができる。ここでいう負の影響を与えるとは、より好ましくないと感じさせることをいう。また、図1に示す配置のチャンネル3、4、5、6、14、15、16、17、25、26、27、28、29、35、36、37、38、39、45、46、48、49及び50のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル4、5、6、14、15、16、17、25、26、27、28、35、36、37、38、39、45、46及び49のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。
以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
試料を摂取するときに感じる種々の知覚及び嗜好性と脳血流変化量との相関を確認した。
下記の各実験例において、脳血流変化量は近赤外分光分析法によって測定した。計測には、fNIRS計測装置LABNIRS(島津製作所社製)を用いた。図1に示すとおりにチャンネルの配置及び番号付けを行った。チャンネルを一定の位置に配置するため、国際10−20法規格に基づいて頭部を計測し、図1に示すチャンネル47とチャンネル48の中央を被験者頭部のFpzとし、FpzからCzに向かう正中線上にチャンネル37、チャンネル16が位置するようにチャンネルを配置した。各チャンネル間に設置するプローブを横一列に3cm間隔で配置し、上下に隣り合う列を3cm間隔で配置した。横及び上下にそれぞれ隣り合うプローブは送光プローブと受光プローブとが交互となるように配置した。各チャンネル番号が属する脳の領野名は表1のとおりである。
評価用試料として、市販のビール2種(試料A、試料C)、及びビールテイストである「その他の醸造酒(発泡性)(1)」1種(試料B)の計3種を用いた。被験者には、試料に関する一切の情報は伏せたままとし、各試料をプラスチックカップに分注した状態で提供した。
各被験者に上記試料各20mlを一気に飲用させ、各試料を摂取する直前(摂取開始後0秒)を基準(0)としたときの、摂取後8−18秒後、及び18−33秒後の脳血流変化量をそれぞれ測定した。被験者は計30名とし、各被験者は同一試料につき測定を2回ずつ行った。
被験者には、各試料を摂取する度にアンケートによる評価を併せて行った。質問内容は、摂取した試料について、「リフレッシュすると感じたか・爽快感を感じたか」(覚醒感)、「味が濃いと感じたか」(味の濃さ)、「のど越しを感じたか」(のど越し)及び「好きか」(嗜好性)とした。各評価は視覚的評価スケール(VAS)法により行い、各質問項目について全く感じない場合を0、これ以上ないくらい強く感じる場合を100とし、各試料につき被験者自身が点数で評価した。
各分析期間(試料摂取後8−18秒後、及び18−33秒後)の、各チャンネルにおける脳血流変化量の面積値を算出した。そして、各分析期間の脳血流変化量の平均値と、アンケートによる評価結果との相関性をPearsonの積率相関分析により調べた(素点評価)。また、同じ測定結果を用いて、脳血流変化量の標準化を行った。具体的には、各被験者の各分析期間について、全ての試料での平均値を0とし、分散を1として換算し、標準化した値を得た。そして、素点の場合と同様に、アンケートによる評価結果との相関性をPearsonの積率相関分析により調べた。
(覚醒感評価結果)
覚醒感アンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図2、3に示す。図2(a)では、分析期間8−18秒における、図2(b)では、分析期間18−33秒における、覚醒感アンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネル(p値が0.1未満、又は0.1超0.2未満であるチャンネル)が強調されている。ここでいう正の相関とは、覚醒感が強く感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、覚醒感が弱く感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、覚醒感が弱く感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、覚醒感が強く感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。
また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、覚醒感アンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図3に示す。図3(a)では分析期間8−18秒における、図3(b)では分析期間18−33秒における、覚醒感アンケート結果と脳血流変化量(素点)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。
上記の結果から、図2(a)、図2(b)、図3(a)及び図3(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を強く感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を強く感じたと判定することができる。
逆に、図2(a)、図2(b)、図3(a)及び図3(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を弱く感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を弱く感じたと判定することができる。
(味の濃さ評価結果)
味の濃さアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図4、5に示す。図4(a)では、分析期間8−18秒における、図4(b)では、分析期間18−33秒における、味の濃さアンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より味が濃いと感じられるほどより脳血流変化量が高いこと、及び、より味が薄いと感じられるほどより脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、より味が薄いと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、より味が濃いと感じられるほど、より脳血流量が低いことを意味する。
また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、味の濃さアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図5に示す。図5(a)では分析期間8−18秒における、図5(b)では分析期間18−33秒における、味の濃さアンケート結果と脳血流変化量との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。
上記の結果から、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも被験飲食品に対して味が濃いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が濃いと感じたと判定することができる。
逆に、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも当該飲食品に対して味が薄いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が薄いと感じたと判定することができる。
(のど越し評価結果)
のど越しアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図6、7に示す。図6(a)では、分析期間8−18秒における、図6(b)では、分析期間18−33秒における、のど越しアンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、よりのど越しが強いと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、よりのど越しが弱いと感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、よりのど越しが弱いと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、よりのど越しが強いと感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。
また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、のど越しアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図7に示す。図7(a)では分析期間8−18秒における、図7(b)では分析期間18−33秒における、のど越しアンケート結果と脳血流変化量との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。
上記の結果から、図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも被験飲食品に対してのど越しが強いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが強いと感じたと判定することができる。
逆に、図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも被験飲食品に対してのど越しが弱いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが強いと感じたと判定することができる。
(嗜好性評価結果)
嗜好性評価結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図8、9に示す。図8(a)では、分析期間8−18秒における、図8(b)では、分析期間18−33秒における、嗜好性アンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より好ましいと感じられるほどより脳血流変化量が高いこと、及び、より好ましくないと感じられるほどより脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、より好ましくないと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、より好ましいと感じられるほど、より脳血流量が低いことを意味する。
また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、嗜好性アンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図9に示す。図9(a)では分析期間8−18秒における、図9(b)では分析期間18−33秒における、嗜好性アンケート結果と脳血流変化量との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。
上記の結果から、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照ビールテイスト飲料の場合よりも高いとき、当該被験者が対照ビールテイスト飲料よりも被験ビールテイスト飲料に対して好ましいと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験ビールテイスト飲料摂取前後の脳血流変化量が対照ビールテイスト飲料に対して高いとき、当該被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましいと感じたと判定することができる。
逆に、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照ビールテイスト飲料の場合よりも高いとき、当該被験者が当該ビールテイスト飲料に対して好ましくないと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験ビールテイスト飲料摂取前後の脳血流変化量が対照ビールテイスト飲料に対して高いとき、当該被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましくないと感じたと判定することができる。
[実験例2]
上記実験例1において試料の情報を提示することなく脳血流変化量を測定した後、続けて、実験例1で用いた試料A、B、Cについて、それぞれ市販の製品パッケージ(缶)を被験者に提示し、各被験者に再度同一の試料を同量飲用してもらい、摂取前後の脳血流変化量(第二脳血流変化量)を測定した。製品パッケージは一般に流通しているもので、商品名、ブランド名、企業名等が表示され、それぞれ独特のデザインが施された外観を有している。提示後の摂取及び脳血流量測定は各試料につき2回ずつ行い、平均値を得た。
得られた第二脳血流変化量と、実験例1での脳血流変化量(第一脳血流変化量)について平均値の差をt検定により調べ、有意に差分が検出されたチャンネルを特定した。結果を図10(試料A)、図11(試料B)、図12(試料C)に示す。分析期間8−18秒の結果を図10(a)、図11(a)、図12(a)に、分析期間18−33秒の結果を図10(b)、図11(b)、図12(b)に示す。
図中、正の差分とは、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量よりも高かったことを指し、負の差分とは、第二脳血流変化量が第一脳血流変化量よりも低かったことを指す。各試料について、それぞれ正の差分又は負の差分が見られるチャンネルは異なるパターンを示した。
実験例2で判明した、第二脳血流変化量及び第一脳血流変化量の間に有意差のある脳の部位と、実施例1で判明した各種知覚における脳血流変化量が応答する部位とに基づいて、被験者が各試料についてどのようなイメージを有しているかを予測することができる。例えば、試料Aでは、パッケージ情報の提示後の脳血流変化量が、提示前と比べてチャンネル17、22、30、31、33、41、42、51、52等において高く、覚醒感と脳血流変化量とに正の相関が見られるチャンネル(図2、3参照)と多く重複していることから、当該情報が覚醒感に正の影響を与えたと判定することができる。また、この結果から、被験者は、試料Aのパッケージに表示されたブランド等に対し、よりリフレッシュする等のイメージを有していたと考えられる。また、例えば試料Cでは、覚醒感と脳血流変化量とに正の相関が見られるチャンネルの多くにおいて、パッケージ情報提示後の脳血流変化量が提示前と比べて低いことから、当該情報が覚醒感に負の影響を与えたと判定することができ、被験者が試料Cのパッケージに表示されたブランド等に対し、よりリラックスする等のイメージを有していたと考えられる。

Claims (7)

  1. 飲食品に付随する情報が官能特性に与える影響を評価する方法であって、
    前記情報を提示することなく被験者が前記飲食品を摂取する前後の第一脳血流変化量と、前記被験者が前記情報の提示後に前記飲食品を摂取する前後の第二脳血流変化量と、の差分に基づいて、前記被験者が感じる官能特性に与える前記情報の影響を評価する評価工程とを含む、方法。
  2. 前記情報を提示することなく被験者が前記飲食品を摂取する前後の第一脳血流変化量を測定する、第一測定工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被験者が前記情報の提示後に前記飲食品を摂取する前後の第二脳血流変化量を測定する、第二測定工程を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記評価工程において、前記情報が影響を与える官能特性の種類が、前記差分が表れる脳の部位に基づいて特定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、被験者が感じる官能特性の程度とが相関する脳の部位を特定する特定工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記情報がブランドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記脳血流変化量が近赤外分光分析法によって測定される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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