JP5433772B2 - 生体光計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は生体内部の情報、特に光吸収物質の濃度変化による信号を、光によって計測する生体光計測装置に関し、特に生体光計測で計測したデータを用いて脳活動を可視化する生体光計測装置に関する。また、脳活動だけでなく、他の生理変化を可視化する生体光計測装置にも関する。
生体に対する透過性が高い、可視から近赤外領域に光強度ピーク波長を持つ光を用いることにより、生体内部の情報を無侵襲に計測することが可能である。これは、計測される光信号の対数値が光路長と濃度の積に比例することを示したLambert-Beer則に基づく。この法則を発展させ、生体中のヘモグロビン(Hb)の相対的濃度変化を表す信号(以下Hb信号と呼ぶ)を計測する技術が開発されてきた。計測されるHb信号には「酸素化Hb(oxy-Hb)」と「脱酸素化Hb(deoxy-Hb)」に関する2種類があり、それぞれ「oxy-Hb信号」、「deoxy-Hb信号」と呼ぶ。この技術を用いて人間の大脳皮質におけるHb信号を多点同時計測し脳機能を画像化する技術が提案され(Medical Physics 22, 1997-2005 (1995))、脳神経科学分野の研究及び臨床において広まりつつある。本技術では、正確な有効光路長を見積もることが出来ないため、計測されるHb信号は相対変化であり、「計測目的とする脳活動が生じていない期間」のデータ(安静データ)を基準に算出する。あるいは、脳活動以外の生理変化を計測する場合は、「計測目的とする生理変化が生じていない期間」のデータを基準に算出する。以下に基本的な計算式を記す。
波長をλ、時刻をtとして、「計測目的とする脳活動が生じていない期間」に測定する透過光強度(安静データ)をT(l, t)とすると、以下の式(1)で表現できる。
-ln[T(l, t)] = eoxy(l)Coxy(t)d + edeoxy(l)Cdeoxy(t)d + a(l, t) + sc(l) (1)
ここで、eoxy(l)及びedeoxy(l)は波長λにおけるoxy-Hb及びdeoxy-Hbの分子吸光係数を表し、Coxy(t)及びCdeoxy(t)は時刻tにおけるoxy-Hb濃度及びdeoxy-Hb濃度、dは実効的光路長、a(l, t)はHb以外の吸収、sc(l)は生体中の散乱による減衰を表す。一方、脳活動が生じた際の透過光強度Ts(l,t)は、
-ln[Ts(l, t)] = eoxy(l)Csoxy(t)d + edeoxy(l)Csdeoxy(t)d + as(l, t) + scs(l) (2)
で表される。ここで、添字”s”は脳活動中の値であることを示す。また、脳活動の際に変化する吸光物質はHbのみと仮定し、Hb以外の吸収、散乱は一定とする(a(l, t)=as(l, t)、 sc(l) = scs(l))。その上で、式(2)を式(1)から引くと、
-ln[Ts(l, t)/T(l、t)]
= eoxy(l)[Csoxy(t)-Coxy(t)]d + edeoxy(l)[Csdeoxy(t)-Cdeoxy(t)]d
= eoxy(l)DCoxy(t) + edeoxy(l)DCdeoxy(t) (3)
が成り立つ。ここで、DCoxy(t)=[Csoxy(t)-Coxy(t)]d、DCdeoxy(t)=[Csdeoxy(t)-Cdeoxy(t)]dであり、それぞれoxy-Hb信号、deoxy-Hb信号と定義する。実効的光路長dを特定することは困難であるため、これらの相対値信号(oxy-Hb信号、deoxy-Hb信号)を用いて脳活動を評価する。計測に用いる可視から近赤外領域の光は、Hbの酸素化状態に応じて異なる光吸収特性を持つため、2波長の分光計測により、2波長分の(3)式が得られる。これを連立方程式として解き、oxy-Hb信号及びdeoxy-Hb信号(DCoxy(t)及びDCdeoxy(t))を求める。
単純に、計測開始時(刺激前)における初期値を安静データとして算出することも可能であるが、その信号には脳活動に無関係な長期的な変化が含まれる可能性があるため、目的とする脳活動を検出できるよう補正が必要である。
本技術の基本原理は、人の知覚機能や運動機能の活動に伴い増加した局所的な血液量を、oxy-y-Hb信号やdeoxy-Hb信号の変化として捉え、脳の活動状況を評価する点にある。脳活動に伴う典型的な変化は、oxy-Hb信号の増加とdeoxy-Hb信号の減少として知られている。これは、神経活動に伴う代謝活動で消費された酸素とグルコースを補うために血液流が増加することによって生じる。増加する血液は酸素を含んだ動脈血であるが、その増加は酸素消費に比べて過剰であるため、結果的にoxy-Hb信号は増加しdeoxy-Hb信号は減少すると考えられる。また、これらの血液量変化は、一般に神経活動から5〜7秒程度遅れることが知られている。そのため、従来研究では、計測目的とする脳機能に応じて異なる刺激や課題を設定するものの、時間的側面からは基本的に全て同様の計測パラダイム、解析方法が採用されている。つまり、「神経活動に伴う血液量変化が神経活動から5〜7秒程度遅れて生じる」という仮説に基づき、Hb信号は刺激呈示後5〜7秒から変化を始め、同じく刺激終了後5〜7秒後でベースラインに戻り始めると考え、刺激と刺激の間隔を20〜40秒程度に設定し、複数回の刺激呈示を繰り返して脳活動信号を得る方法が一般的であった。また、解析においても、「脳活動がないと仮定した安静期間」を刺激前の数秒間及び刺激終了後5〜7秒後以降と考え(安静時間パラメータを設定し)、例えば、刺激前5秒間の平均値と刺激終了後10〜15秒の5秒間の平均値を結んだ直線データを「安静時データ」として用いて算出する方法が採られる。また、刺激開始前の値(例.刺激前5秒間の平均値)を基準にHb信号を算出した場合でも、刺激開始前と刺激終了後5〜7秒以降を「計測目的とする脳活動が生じていない期間」と仮定して(例.刺激前5秒間の平均値と刺激終了後10〜15秒の5秒間の平均値を基準に)1次フィッティングあるいは周波数フィルタリングを用いたベースライン補正がされる。
また、脳活動の有無あるいは強度を統計的に評価する場合には、活動を示す代表値が必要となるが、それらも従来は、計測する脳機能に依存することなく、同様の時間変化(「計測目的とする脳活動が生じていない期間」)を仮定して(活動時間パラメータを設定し)算出されてきた(例.刺激開始後10秒〜刺激終了までの平均値あるいはピーク値)。
この技術により、視覚、運動、言語、短期記憶などの脳機能計測が可能であることが示
されており、臨床及び認知科学研究に広く利用されている。
味覚に関しては、従来は機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)を用いた脳機能計測が主流である。この方法は、非常に大きな騒音の中、仰向けに固定されたまま、口腔内に通されたチューブでごく少量の味覚サンプルを呈示されるなど、非日常的な環境で計測が行われる。その他、特公平3−74572号公報には、脳波計を用いた味覚認識判定装置が開示されている。また、NeuroImage31, 796-806 (2006)に、生体光計測を用いた味覚の脳機能計測についての検討が記載されている。
Medical Physics 22, 1997-2005 (1995) NeuroImage31, 796-806 (2006)
特公平3−74572号公報
fMRIや脳波などの脳機能計測技術では、装置上の制限から自然な環境下における味覚野の活動を計測することが出来なかった。特開平3−74572号公報の方法は、同様に口腔内に味サンプルを供給する機械的な装置を必要としており、日常的な「味わう」という機能とはかけ離れた非日常的機能が計測されている可能性があった。更に、脳波計測の場合は、活動部位の同定が困難で、味覚野の活動かどうかは知ることが出来なかった。
一方、生体光計測技術は、被験者に対し無侵襲且つ低拘束で、日常的な環境下にある自然な脳機能を計測できる特長を有するため、従来の基礎研究に留まらず、様々な応用への利用が期待されている。例えば、味覚や嗅覚は特に環境により左右されると考えられており、自然な環境下で脳機能を計測できる本技術の有効性は高いと考えられるが、味覚野の活動を計測した例は報告されていない。NeuroImage31, 796-806 (2006)は、味覚機能が反映される味覚野の活動ではなく、味覚を記憶、言語化する際に働く前頭葉の活動に焦点が当てられている。原因は明記されていないが、一般に知られている味覚野領域の活動は検出されていない。
また、生体光計測において、脳機能以外に、自発的な血流変化揺らぎや組織の酸素飽和度を計測する試みは一般的であるが、脳以外の器官においてその機能を計測する試みは殆ど見られない。脳の機能が計測される主な理由は、簡単な外部刺激(視覚刺激、聴覚刺激、認知タスクなど)により短時間に局所的な血流変化が生じ検出が容易であるためである。同様の手法を用いて機能を計測できる他の器官については殆ど検討されておらず、パラメータ設定を変えた場合に他の器官の機能(生理変化)を計測できる可能性については不明であった。
本発明は、従来は困難であった自然な環境下での味覚野の脳機能計測を、生体光計測装置により実現することを課題とする。また、脳機能以外にも味覚機能を反映する生理変化の計測を実現することを課題とする。
従来の生体光計測装置では、様々な脳機能(視覚、運動、言語など)を同一の手法で計測及び解析してきた。しかし、本発明者は、味覚野の活動信号が、他の典型的な活動信号とは異なる時間変化をすることを見出した。本発明は、この味覚野における特殊な活動信号を計測し得る機能を備えた生体光計測装置を提供し、上記の課題を解決する。また、本発明者は、味覚機能を反映した唾液腺の生理変化を、光により計測できることを見出した。本発明では、脳機能の活動信号だけでなく、唾液腺機能を反映した生理変化を計測して味覚機能を評価できる生体光計測装置を提供することにより、上記の課題を解決する。
はじめに、味覚野の活動信号の特殊性について説明する。図1に、運動野、視覚野、味覚野、それぞれの典型的な活動信号を示す。いずれの機能の場合にも刺激期間は24秒とし、運動野の計測では指の運動課題、視覚野の計測では赤黒の格子模様が8Hzで切り替わる視覚刺激、味覚野の計測ではショ糖水溶液15mlを口腔内刺激として与えた。運動野と視覚野の活動信号は類似しており、oxy-Hb信号は刺激開始直後から増加し始め、約10秒で最大値付近に達し、刺激呈示期間中はその値が維持される。刺激終了後は、0〜5秒でoxy-Hb信号が減少を始め、5〜15秒程度で元のベースラインに戻る。Oxy-Hb信号とは逆に減少するdeoxy-Hb信号に関しては、減少のスタート及び最小値に達するまでの時間が若干遅いという特徴はあるものの、基本的にはOxy-Hb信号と類似した時間変化パターンを示し、刺激終了後15秒以内には元のベースラインに戻る。一方、味覚野の活動信号は、これらと異なる時間変化パターンを示した。oxy-Hb信号は刺激開始直後から増加し始め、最大値付近に達するまでには約20秒を要する。また、刺激終了後、oxy-Hb信号がベースラインに戻るまでには約60秒かかり、運動野及び視覚野の場合と比べ減衰が約3倍も遅いことが分かった。deoxy-Hb信号に関しては、刺激開始から約30秒経過してから最小値に達し、ベースラインに戻るまでには、oxy-Hbと同様に刺激終了から約60秒かかっている。
図2は、運動野、視覚野、味覚野の活動信号波形を同じ座標軸に示した図である。図2より、味覚野の活動信号波形は、時間スケールだけでなく、信号変化の大きさも運動野や視覚野の活動信号波形とは大きく異なることが分かる。味覚野の活動信号波形は、運動野や視覚野の活動信号波形と比べて数倍変化量が多いため、従来は必要だった加算平均がなくても信号を検出できる。また、この信号は極端に大きいため、従来の解析では体動や筋
肉の動きによるアーチファクトと間違われていた可能性がある。
更に、図3に示すように、味覚野における活動信号の特徴として、刺激の呈示期間に依存せず、殆ど同じ活動波形を示すということを見出した。図3(a)のグラフは、ショ糖水溶液を5秒間口に含み嚥下した場合を示し、図3(b)のグラフは同じくショ糖水溶液を24秒間口に含み嚥下した場合のHb信号を示す。いずれの場合も、刺激呈示開始時(ショ糖水溶液を口に含んだ時点)を起点として、oxy-Hb信号では20〜25秒後、deoxy-Hb信号では30〜35秒後に最大変化量に達している。これは他の一般的な脳機能では見られない現象である。例えば、図4に視覚野の活動波形を示す。図4(a)に示すように、刺激呈示期間が短い場合、刺激呈示後約10秒で最大信号変化量に達した後、10〜15秒以内にベースラインに戻る。また、活動強度も小さい。これに対し、刺激呈示期間が長ければ、図4(b)のように、その期間中は信号変化量が維持され、刺激呈示後に10〜15秒かけてベースラインに戻る。
更に、この味覚野の活動波形における個人差は小さいことが分かった。図5に、ショ糖水溶液を5秒間口に含み嚥下した場合の10被験者分の加算平均データを示す。図5(a)はoxy-Hb信号、図5(b)はdeoxy-Hb信号であり、エラーバーは標準誤差を表す。エラーバーが示すとおり、被験者間のばらつきは極めて小さく、ほぼ同様の時間変化を示すことが分かる。10例のデータを解析した結果、味覚刺激の呈示からoxy-Hb信号の最大値に達するまでの時間は平均21.0秒後(標準偏差:2.0秒、レンジ:17.8〜23.5秒)、また、deoxy-Hb信号の最小値に達するまでの時間は平均32.7秒後(標準偏差:1.6秒、レンジ:29.5〜35.1秒)であった。
また、図19に示すように、頭だけではなく耳の周辺も計測した結果、同様のHb信号変化が頬骨あたりにも見られた。ここで、図19に示した複数の小さなグラフは、上に示した耳の周辺を2.1〜3.0 cm間隔で計測したHb信号変化である。場所によって波形が異なるが、特に、最も大きな変化が、耳の前あたり(丸印)において見られる。これは、場所的に脳活動の信号ではなく、唾液腺(耳下腺)に関連した生理変化であると考えられる。図20に示すように、この頬骨付近に見られたHb信号の時間変化は、上記の味覚野(脳)の活動波形とほぼ一致する。
本発明では、上記の味覚野における活動信号が特殊であるという知見を利用し、計測する脳機能に応じて、適切な計測法及び解析法を設定及び表示する生体光計測装置を提供する。例えば、計測する脳機能に「味覚」を選択した場合、80秒以上の刺激呈示間隔を任意の手段で呈示及び/もしくは実行し、味覚野と呼ばれる脳部位(下前頭回の弁蓋部及び三角部を中心とした領域)のHb信号を計測し、oxy-Hb信号では、刺激呈示後16秒から25秒までの任意期間を含む平均値もしくは最大値、deoxy-Hb信号では刺激後28秒から37秒までの任意期間を含む平均値もしくは最小値を活動指標として、活動強度もしくは前記Hb信号の統計的有意性を算出及び表示する生体光計測装置により、従来は困難であった味覚野の脳活動信号の計測が可能となる。
また、本発明では、上記の唾液腺に関連した生理変化により味覚機能が計測できるという知見を利用し、計測する生理機能に応じて、適切な計測法および解析法を設定および表示する生体光計測装置を提供する。この場合にも、80秒以上の刺激呈示間隔を任意の手段で呈示及び/もしくは実行し、唾液腺付近のHb信号を計測し、oxy-Hb信号では、刺激呈示後16秒から25秒までの任意期間を含む平均値もしくは最大値、deoxy-Hb信号では刺激後28秒から37秒までの任意期間を含む平均値もしくは最小値を活動指標として、活動強度もしくは前記Hb信号の統計的有意性を算出及び表示することにより、味覚機能の計測が可能となる。
本発明により、従来法では計測できなかった味覚野の脳活動信号を高感度で計測できる。また、唾液腺に関連した生理変化を計測することにより、味覚機能をより多面的に評価することができる。従来の生体光計測装置で計測されていた脳活動信号と比べて数倍〜10倍程度大きな脳活動信号が得られるため、必要な加算平均の回数は従来より大きく減少する。他の脳機能計測装置では出来なかった、自然な飲食(自然な動作、量、味)に伴う脳活動を評価することが出来るため、より実用的かつ正確な味覚機能の評価が可能である。
また、本発明を、味覚障害の診断や治療の支援ツール、あるいは飲料や食品の開発・評価に応用することが可能である。
運動野、視覚野、味覚野それぞれにおける典型的な活動Hb信号を示す図。 同一スケール上に示した、運動野、視覚野、味覚野における典型的な活動Hb信号を示す図。 異なる刺激呈示期間における味覚野の活動Hb信号を示す図。 異なる刺激呈示期間における視覚野の活動Hb信号を示す図。 10被験者の平均味覚野活動信号を示す図であり、(a)は oxy-Hb信号、(b)はdeoxy-Hb信号を示す図。 本発明の一実施形態の装置構成を示すブロック図。 本発明の一実施形態の装置構成を示すブロック図。 味覚野計測を行うための被験者インタフェース(計測プローブホルダ)の例を示す図。 全自動型味覚機能計測システムの概念図。 本発明の一実施形態の装置構成を示すブロック図。 味覚野Hb信号の例を示す図。 本発明の一実施形態の装置構成を示すブロック図。 視覚野Hb信号の例を示す図。 脳機能及び計測刺激に対応した各種パラメータの例を示す図。 味覚計測装置の表示画面例を示す図。 味覚計測装置の表示画面例を示す図。 味覚計測装置における味覚感度評価処理方法の一例を示すフローチャート。 味覚に関する2次元の主観評価表の例を示す図。 唾液腺機能を反映した生理変化データを示す図。 頬骨付近に見られたHb信号と味覚野(脳)の活動波形を比較して示した図。 味覚機能計測のための計測パラメータ入力画面例を示す図。 計測領域をカバーする被験者インタフェースの例を示す図。 データ解析用のパラメータ設定画面の例を示す図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
〔実施例1〕
本発明を実施するための基本形態を、図6、図7、図10及び図12を参照して説明する。図6、図7、図10及び図12には、本発明による生体光計測装置の概要を示すブロック図を共通で示した。
生体光計測部は、パーソナルコンピュータやワークステーションに代表される電子計算機から構成される制御装置602と、異なる波長にピーク波長を持つ2つのレーザダイオード608と609と、前記2つのレーザダイオードを異なった周波数で変調するための信号を生成する発振器606と607と、前記ピーク波長の異なる2つの光を混合する光混合器610と、光混合器610からの光を光ファイバ612経由で被検体上の光照射位置に照射する光照射手段と、光照射手段から適度に離れた光検出位置(本実施例では約3cm離れた点)から光ファイバ613経由で混合光を検出する光検出器611と、発振器からの変調周波数が参照信号として入力されたロックインアンプ604及び605と、ロックインアンプの出力である各波長帯の光の透過光信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するアナログ−デジタル変換器603を備える。光照射位置と光検出位置の略中点を、計測位置の中心とする。
図6、図7、図10及び図12には、光照射位置、光検出位置及び計測位置がそれぞれ1点しかない場合を示したが、実際には複数の光照射位置、光検出位置を交互に配置して、複数点の計測位置を設定することが可能である。本装置では、発振器を用いて複数の光信号を分離するため、一つの検出器でも複数の位置からの光信号を計測することが出来る。本実施例では発振器を用いて複数の光信号を分離しているが、発振器は使わずにパルス光を用いて点灯タイミングで光信号を分離することも可能である。
各波長帯の光の透過光信号はアナログ−デジタル変換器603でアナログ−デジタル変換された後、制御装置602に入力・記憶される。制御装置602では透過光信号を元に各計測部位における各Hb信号が算出され、元信号(透過光信号)と共に記憶される。透過光信号からHb信号を算出する方法については、Medical Physics 22, 1997-2005 (1995)に詳しく記されている。本実施例では、制御装置602において、計測の制御とデータの記憶・解析の両方を実施するように記載したが、制御装置と解析装置を分けて異なるPCで行うことも可能である。
制御装置602は、計測方法の提示機能及びデータ解析機能の2つの機能において、従来技術とは異なる特徴を持つ。
(計測方法の提示機能)
はじめに、図6及び図7を用いて、計測方法の提示機能について説明する。計測者は、はじめに表示画面601及び701において計測しようとする脳機能を選択する。図6(表示画面601)では、ラジオボタンにより「味覚」を選択した例、図7(表示画面701)では、ラジオボタンにより「視覚・その他」を選択した例を示す。なお、図示したグラフィカルユーザーインターフェースはあくまで一例であり、本発明をこの形態に限定するものではない。
図6における「味覚」計測では、次に呈示する味の種類を具体的に選択するラジオボタンを表示した。呈示する味として、甘味が選択された場合、次の計測パラメータ一覧を表示する。まず、1次味覚野として知られている弁蓋部、島などをカバーするこめかみを中心とした最小限必要な計測領域を表示する。この計測領域をカバーする計測インタフェースの例を図8に示す。味覚野の計測に特化したプローブキャップとして、ヘッドホンタイプ801、ヘアバンドタイプ802、めがねタイプ803を示した。いずれも、1次味覚野のあるこめかみ付近を計測できる構成になっており、かつ自然な「飲む」「食べる」動作を妨げないような形状を特徴とする。更に、表示画面601の計測パラメータ一覧に、甘味サンプルの適切な濃度(グルコース、ショ糖、砂糖、人口甘味料などの水溶液濃度)、1回の呈示量、呈示間隔、呈示回数などの刺激呈示法を表示する。味覚計測において、他の機能計測と最も明確に異なるパラメータは刺激呈示間隔である。図1、図2に示したように、味覚野の活動信号はベースラインの値に戻るまでに80〜90秒程度かかる(刺激呈示開始時を0秒とした場合)ので、呈示間隔は「80秒以上」とした。また、従来の脳活動信号と比べて信号変化量も数倍大きいため(図2)、同じ刺激の繰り返し呈示回数は少なくてよい。ここでは「2回以上」と表示したが、1回でも可能である。これらの計測パラメータは、制御装置602のメモリに記憶しておき、計測脳機能として味覚が選択されたとき、表示画面601デフォルト値として表示する。
また、味覚機能を選択する場合、図21に示すように、脳活動計測用のパラメータ以外に、唾液腺に関連した生理変化を計測するパラメータも表示することが可能である。このとき表示画面2102に表示されるパラメータは、計測部位の表示として、味覚野の代わりに唾液腺をカバーする領域が表示される以外、基本的に図6に示した脳活動計測用のパラメータと同じである。計測部位が唾液腺の場合に用いられる、計測領域をカバーする被験者インタフェースの例を図22に示す。ここでは唾液腺の計測に特化したプローブキャップとして、ヘッドホンタイプを示した。これは、耳下腺のある頬骨付近を計測するために有効な形状である。
また、これらの計測パラメータ一覧は、本実施例のように画面上に表示して計測者が実施するのを支援する方法以外に、刺激呈示システムへパラメータとして入力し、実際の刺激呈示を実行することも可能である。例えば、本計測パラメータに従って刺激の呈示タイミング(味サンプルの摂取タイミング)を画像あるいは音声で呈示する機能は、計測の自動化を進め、計測者の負担を軽くする。図9には、全て自動化した味覚機能計測システムの概念図を示した。被験者が装着した味覚野を計測するよう構成されたヘッドホン形プローブホルダ904から、光ファイバ901が計測ボックス902へ接続されており、計測した透過光データを記録する。この計測ボックス902は、被験者に装着してもよいが、計測椅子903と一体化することも可能である。計測ボックス902あるいは計測ボックスと一体化した計測椅子903は、生体光計測装置本体905と有線あるいは無線で通信できる機能を有する。生体光計測装置本体905では、計測パラダイムの実行及び計測信号の保存、解析及び結果の表示全てを行う。例えば、次に呈示する味サンプルを設定された味、量、タイミングで、直接コップ906に入れて呈示することが可能である。被験者は、呈示された飲料を呈示されたタイミング及び方法で摂取した後、自分の味覚野の活動信号を画像やグラフ、数値などで知ることが出来る。
なお、味覚野ではなく、唾液腺に関連した生理変化により味覚機能を計測する場合にも同様に、この味覚機能計測システムを利用することができる。
計測脳機能として「視覚・その他」を選択した図7(表示画面701)の例では、計測する脳機能を具体的にポップアップメニューから選択する。ここでは「視覚(チェッカーボード)」を選択したため、視覚機能を担う後頭葉を計測部位として表示する。さらに、チェッカーボード刺激の詳細な呈示法として、切替速度、呈示時間、呈示間隔、呈示回数などを表示する。「視覚・その他」を選択した場合でも、これらの計測パラメータ一覧を刺激呈示システムへ設定パラメータとして入力し、実際の刺激呈示に利用することも可能である。「視覚・その他」を選択した場合は、従来の生体光計測装置による脳機能計測方法が採用される。味覚野計測におけるパラメータとの主な違いは、呈示間隔が20秒から60秒程度で十分である点、また、信号強度が小さいため、繰り返し呈示回数を3回以上(図の例では5回に設定)必要とする点である。
(データ解析機能)
次に、図10、図11、図12及び図13を用いて、データ解析機能について説明する。
図10、図11には、計測機能として「味覚」を選択した場合のデータ解析例を示す。まず、刺激呈示期間を中心にデータ解析をする範囲を設定するため、「刺激前(pre-stimulation)」期間、「刺激後(post-stimulation)」期間、「緩和(relaxation)」期間を設定する必要がある(図11及び図13参照)。刺激前期間は、刺激による変化を見るために検討する刺激前の期間であり、長さに特に制限はない。ただし、繰り返し刺激を呈示する場合、刺激呈示間隔の長さにより前の刺激による変化が残ってしまう場合があるので、その影響を避けるために出来るだけ短く設定することが望ましい(通常1秒から10秒程度)。ここでは「5秒」と設定する。次の刺激後期間が、本発明では重要なパラメータとなる。これは刺激呈示終了後に解析する期間を表すが、図1、図2に示したように、味覚野の活動は刺激呈示開始から80秒から90秒かかるため、他の脳機能より長く設定する必要がある。ここでは、刺激呈示期間が24秒あるため、60秒間の刺激後期間を設定した(刺激呈示開始を基準とすると84秒間の呈示間隔)。また、緩和期間は、刺激呈示に依存せず変化する長期的な揺らぎ成分を除去する際に用いる。例えば、刺激前期間の平均値と、緩和期間を除く刺激後期間の平均値を基準に1次フィッティングを行い、ベースライン補正を行う。出来るだけ信号の変化が残っている期間を除去したいため、ここでは「50秒」と設定した。また、刺激前期間から刺激後期間まで含む全体の時間を基準に、周波数フィルタリング(低周波成分をカットする)を用いてベースライン補正を行う場合もある。また、「飲む」動作に起因する運動野の活動など、味覚野以外の脳活動信号を同時に計測し、その活動強度を基準に脳活動信号を補正する方法も可能である。更に、味覚野計測においては1回目に与える刺激に対する反応が極端に大きくなる場合が観察されており、1回目の反応は解析に用いない方法も有効である。また、逆に1回目の活動信号だけを評価することにより、その味に対する感度を評価することも可能である。
図10には、更に、刺激によるHb信号の変化を評価するためのパラメータ設定画面を表示した。ここでは、一例として解析活動期間を設定する。解析活動期間は、この期間における信号変化量を基準に活動の有無あるいは強度を評価するためのもので、最も信頼性と妥当性を有する活動期間を設定する必要がある。図5に示すように、平均的な味覚野活動信号において、味覚刺激の呈示からoxy-Hb信号の最大値に達するまでの時間が平均21.0秒後(標準偏差:2.0秒、レンジ:17.8〜23.5秒)、deoxy-Hb信号の最小値に達するまでの時間が平均32.7秒後(標準偏差:1.6秒、レンジ:29.5〜35.1秒)であることが分かったため、oxy-Hb信号では刺激開始後16秒から25秒までの期間、deoxy-Hb信号では刺激開始後28秒から37秒までの期間を解析活動期間の例として設定した。例えば、この解析活動期間における平均値、ピーク値、あるいはそれらを使ったt検定や分散分析などの統計解析の結果を活動マップなどで表示する。あるいは、図5に示された典型的な活動波形を基準に活動を評価する方法も有効である。この場合も、fMRIの解析などで用いられる一般的なヘモダイナミックスファンクションでは、発明者らが発見した味覚野の活動信号を検出できないため、oxy-Hb信号では刺激開始後16秒から25秒までの期間に最大値を示す、また、deoxy-Hb信号では刺激開始後28秒から37秒までの期間に最小値を示す図5のような多項式関数を参照波形として使用する。この参照波形は、研究例から理論的に作成したテンプレート波形や、実際のデータを蓄積したデータベースから作成した平均波形などが用いられる。また、解析するデータによっては、それらの波形を適宜フィルタリングしたものを用いる。これらの参照波形を利用し、相関解析や一般線形モデルを用いた解析を行う。さらに、味覚野の活動波形は、ピークからの減衰が他の脳機能活動信号と比べて遅い特徴を有するため、減衰曲線の時定数(定義例e-u*t )を指標に活動を評価することも可能である。
解析結果は、例えば、活動マップや活動波形により示される。活動マップには、単純な信号変化量以外に、t値、F値、p値などに代表される統計値、減衰曲線の時定数、相関係数、等を利用することが出来る。もちろん、パラメトリック解析だけでなくノンパラメトリック解析も利用できる。また、活動代表波形には、最も活動が顕著に現れた1計測点の波形、あるいは活動領域における複数計測点の平均波形を示す。これらの場合、予測される結果を示す「参照データ」と実際に計測された「実データ」を並べて表示する方法により比較が容易になる。「参照データ」には、これまで計測された同一の被験者の平均データ、被験者間の平均データ、あるいは理論的に導かれた理想的な活動データなどを用いることができる。
唾液腺に関連した生理変化により味覚機能を計測する場合の、データ解析用のパラメータ設定画面を図23に示す。刺激前期間、刺激後期間、緩和期間、及び解析活動期間には、上に説明した味覚野の機能を解析する場合と同じ理由で、ほぼ同じパラメータ値を設定する。例えば、解析活動期間は、酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対しては刺激開始後16秒から25秒までの期間を含んで設定し、脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対しては刺激開始後28秒から37秒までの期間を含んで設定する。生理変化の有無あるいは強度は、この解析活動期間における酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号あるいは脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号の平均値もしくは最大値によって評価する。解析パラメータには、生理変化の有無あるいは強度を評価するための生理変化の参照波形データが含まれ、酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対する参照波形データは刺激開始後16秒後から25秒までの期間に最大値を持つ多項式関数であり、脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対する参照波形データは刺激開始後28秒後から37秒までの期間に最小値を持つ多項式関数である。
味覚野計測の解析法と比較するために、図12、図13には、計測機能として「視覚・その他」を選択した場合のデータ解析例を示す。両者の主な相違点は、刺激前期間、緩和期間、及び解析活動期間であり、これは、活動信号波形の違いに起因するものである。図1、図4に示すように、視覚野の活動においては、oxy-Hb信号は刺激開始直後から増加し始め、約10秒で最大値付近に達し、刺激呈示終了後、0〜5秒で減少を始め、刺激終了後15秒以内には元のベースラインに戻る。また、Oxy-Hb信号とは逆に減少するdeoxy-Hb信号に関しても、減少の開始が若干遅いという特徴はあるものの、基本的には類似した時間変化パターンを示し、刺激終了後15秒以内には元のベースラインに戻る。そのため、刺激後期間、緩和期間は、それぞれ20秒、15秒以上あれば通常のケースでは十分である。また、解析活動期間についても、図1に示した典型的な視覚野の活動波形を基準に、oxy-Hb信号では刺激開始後10秒から終了後8秒までの期間、deoxy-Hb信号では刺激開始後15秒から終了後8秒までの期間と設定した例を示した。
以上に説明した「計測方法の提示機能」及び「データ解析機能」の特徴は、計測目的と
する脳機能に応じた「計測パラメータ」と「解析パラメータ」のデータベースを持ち、それらを活用することにある。このデータベースは、制御装置602のメモリ内に格納されている。図14に、各種パラメータの格納例を示す。計測者が、計測したい脳機能及びその具体的な刺激を設定することにより、それぞれの刺激に適したパラメータが与えられる仕組みとなっている。
なお、味覚に関して脳機能計測のための計測パラメータ及び解析パラメータとしてデータベースに格納されたデータは、唾液腺に関連した生理変化により味覚機能を計測する場合にそのまま適用可能である。
〔実施例2〕
実施例2では、実施例1の生体光計測装置を利用した味覚計測装置を示す。図15は、「甘さ」に対する味覚感度を計測している画面例を示す。表示項目は、現在呈示しているサンプルの特性(味、濃度、量など)、計測された味覚野活動(Hb信号の活動波形、活動部位など)及び味覚感度を評価するための参照データとの比較、次に呈示するサンプルの特性(味、濃度、量など)、被験者の味覚感度を表すグラフ、等である。ここでは、味覚感度を正確に計測するために、現在のサンプルに対する味覚野活動と参照データとの差異に応じて、味覚感度を評価する例を示した。味覚感度は、例えば参照データと比較したピーク値の差分や、参照データとの相関係数を基準にした相対値を用いて評価することが可能である。また、図17のフローチャートに示すように、現在の味覚野活動(Hb信号)と参照データの差異に応じて次に呈示するサンプルを決定し、計測される味覚野活動が参照データに近づくまで、その作業を繰り返し、正確な味覚感度を評価する方法も可能である。ここでは、味覚野活動として、oxy-Hb信号のみ表示したが、deoxy-Hb信号あるいはoxy-Hb信号とdeoxy-Hb信号の総和であるtotal-Hb信号を用いてもよい。
このような味覚感度計測は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」から成る基本5味のそれぞれに対して可能である。これらの味覚感度計測を順番に実行することによって、最終的には図16のように総合的な味覚感度の評価が可能である。図15、図16では、味覚また、味覚野活動(Hb信号)だけでなく被験者の主観評価及び味の評価に関係する前頭葉活動(Hb信号)も同時に計測することによって、より高精度な味覚感度の評価が可能になる。例えば、被験者の前に図18のような2次元の主観評価表を用意し、呈示された味サンプルを飲んだ後に、その容器を該当の升目に置いてもらう。そうすると、その味に対して被験者がどう感じたかを「甘さ」という軸と「好き−嫌い」という軸の2軸で評価することが出来る。この主観評価の結果と脳活動計測の結果を合わせて味覚感度だけでなく被験者の主観的な味の好みまで評価することが可能となる。また、図18の主観評価表を、圧力センサを備えた電子機器とすることにより、評価結果を自動的に解析装置へ入力することが可能になると同時に、重さを計測し、被験者が飲んだ量を自動計測、記録することも可能となる。
ここでは、味覚野を計測する生体光計測装置を利用した味覚計測装置について説明したが、唾液腺に関連した生理変化により味覚機能を計測する生体光計測装置を利用しても同様の味覚計測装置を構築することができる。
本実施例で示した味覚計測装置により、味覚障害の診断支援や、そのリハビリ支援が可能となる。味覚障害は1万人に14人程度見られる疾病で、診断は患者の主観報告に頼らざるを得ない状況があるため、本味覚計測装置の有効性は高い。また、逆に味覚感度を高める必要のある職業(飲料パネリスト、ソムリエなど)においては、本装置を味覚トレーニングあるいは味覚テストの一環として利用することが出来る。
一方、被験者の好みに関する情報を用いた場合には、飲料や食品の開発を支援するツールとしても利用可能である。更に、味の好みを報告できない乳幼児あるいはペットに対する飲料及び食品の開発にも役立つ。
601…表示部、602…制御装置、603…アナログデジタル変換器、604…ロックインアンプ、605…ロックインアンプ、606…発振器、607…発振器、608…光源、609…光源、610…光混合器、611…光検出器、612…光照射用光ファイバ、613…光検出用光ファイバ、701…表示部、901…光ファイバ、902…計測ボックス、903…計測椅子、904…ヘッドホン形プローブホルダ、905…生体光計測装置本体、906…呈示味覚サンプル、1001…表示部、1201…表示部

Claims (13)

  1. 被検体に光を照射する光照射手段と、
    前記光照射手段から照射され前記被検体内の計測点を伝播した通過光を検出する受光手段と、
    計測目的として脳機能及び唾液腺機能に属する生理変化の種類を入力する入力部と、
    前記入力部から入力された生理変化の種類に応じて異なる解析パラメータを設定して、前記受光手段により検出された信号に基づき、前記計測点における酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号及び脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号を演算する演算部と、
    前記演算部による演算結果を表示する表示部とを有することを特徴とする生体光計測装置。
  2. 請求項1記載の生体計測装置において、前記解析パラメータには、計測目的とする生理変化が生じていない期間を設定する時間パラメータが含まれることを特徴とする生体光計測装置。
  3. 請求項2記載の生体計測装置において、前記計測目的とする生理変化が生じていない期間は、前記計測目的とする生理変化が唾液腺機能の場合には、刺激開始からの経過時間を基準に設定されることを特徴とする生体光計測装置。
  4. 請求項2記載の生体計測装置において、前記計測目的とする生理変化が生じていない期間は、前記計測目的とする生理変化が唾液腺機能の場合には、刺激開始後60秒間の期間を含まないように設定されることを特徴とする生体光計測装置。
  5. 請求項1記載の生体計測装置において、前記解析パラメータには、生理変化の有無あるいは強度を評価する期間である解析活動期間が含まれることを特徴とする生体光計測装置。
  6. 請求項5記載の生体計測装置において、計測目的とする生理変化が唾液腺機能の場合、前記解析活動期間は、酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対しては刺激開始後16秒から25秒までの期間を含んで設定され、脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対しては刺激開始後28秒から37秒までの期間を含んで設定されることを特徴とする生体光計測装置。
  7. 請求項5記載の生体計測装置において、生理変化の有無あるいは強度を前記解析活動期間における酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号あるいは脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号の平均値もしくは最大値によって評価することを特徴とする生体光計測装置。
  8. 請求項1記載の生体計測装置において、前記解析パラメータには、生理変化の有無あるいは強度を評価するための生理変化の参照波形データが含まれることを特徴とする生体光計測装置。
  9. 請求項8記載の生体計測装置において、計測目的とする生理変化が唾液腺機能の場合に、酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対する前記生理変化の参照波形データは刺激開始後16秒後から25秒までの期間に最大値を持つ多項式関数であり、脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号に対する前記生理変化の参照波形データは刺激開始後28秒後から37秒までの期間に最小値を持つ多項式関数であることを特徴とする生体光計測装置。
  10. 請求項8記載の生体計測装置において、前記解析パラメータは予め記憶部に記憶されていることを特徴とする生体光計測装置。
  11. 被検体に光を照射する光照射手段と、
    前記光照射手段から照射され前記被検体内の計測点を伝播した通過光を検出する受光手段と、
    計測目的として脳機能及び唾液腺機能に属する生理変化の種類を入力する入力部と、
    前記受光手段により検出された信号に基づき、前記計測点における酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号及び脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化信号を演算する演算部と、
    刺激呈示法を含む計測パラメータ及び前記演算部による演算結果を表示する表示部とを有し、
    前記入力部から入力された生理変化の種類に応じて異なる計測パラメータを前記表示部に表示することを有することを特徴とする生体光計測装置。
  12. 請求項11記載の生体光計測装置において、計測目的とする生理変化が唾液腺機能の場合、前記計測パラメータの一つとして80秒以上の刺激呈示間隔を表示することを特徴とする生体光計測装置。
  13. 請求項11記載の生体光計測装置において、前記計測パラメータは予め記憶部に記憶されていることを特徴とする生体光計測装置。
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