JP4663387B2 - 生体光計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人の頭部に光を照射し、表面に近い頭部内部で反射或いは散乱した光(以下、生体通過光ともいう)を計測し、高次脳機能を計測する装置(生体光計測装置)に関する。
生体光計測装置は、可視から近赤外の光を用いて生体通過光を検出し、無侵襲的に生体機能を計測する装置である。近年、光ファイバーを用いて複数の位置から光を照射し複数の検出点で生体通過光強度を計測し、これら検出点を含む比較的広い領域の情報を得て、脳機能を画像化する生体光計測装置が開発され、脳機能の研究や臨床への適用が試みられている。
このような生体光計測装置で得られる情報は、主として生体に言語刺激、光刺激、指タッピング等の刺激或いは課題(試行)を複数回与えたときの、試行前後の血中物質(例えばヘモグロビン)の変化に対応する信号である。このような血中物質のヘモグロビン変化信号は、通常、タイムコースを示すグラフ(信号波形)として或いは測定点の値を等高線状に結んだトポグラフィと呼ばれる画像として測定チャンネル毎に表示される。
この信号波形と脳機能との関連性の研究の蓄積により、信号波形から抽出した特徴をもとに脳疾患や精神疾患を判定する機能を備えた生体光計測装置も開発されている(特許文献1)。また信号波形を数量解析し、定量データを作成する手法も提案されている(特許文献2)。特許文献1では、計測されたヘモグロビン信号の波形から最大値、潜時などの特徴をテンプレートにして、健常者の特徴パタンと精神疾患感謝の特徴パタンを比較し、精神疾患診断の支援をする手法を開示している。
これまで生体光計測を利用した脳機能計測は、主として、刺激等負荷前後の血中物質変化波形と脳機能との関連性に基づくものであったが、近年、生体内での物質の代謝に伴いヘモグロビン信号波形も変化することがわかってきており、その生理的意味を解析すると共にヘモグロビン信号波形のパラメータと関連付けて表示できる生体光計測装置の開発が望まれている。例えば、アルコールを投与した場合、アセトアルデヒド分解酵素に関するALDH2遺伝子多型によって、アルコール代謝物質である血中アセトアルデヒド濃度や内分泌ホルモンの時間変化に応じてヘモグロビン波形が変化するが報告されている。
従来の生体光計測装置では、計測データであるヘモグロビン信号波形はタイムコースや平均値やトポグラフィとして表示されるのみであり、代謝物質の時間変化に関連したヘモグロビン信号波形をモニターすることはできない。
またヘモグロビン信号波形を表現するパラメータ(特徴)は種々の生理的反応と関連性を持つと思われるが、従来の生体光計測装置ではこれらの関連性を解析すること、また解析された結果に基づき特定の被験者の特性を判定することはできない。
特開2003−275191号公報 特開2002−177281号公報
そこで本発明は、血中物質濃度の時間変動をモニターすることができる生体光計測装置を提供することを目的とする。また本発明は、信号波形のパラメータの時間変動と関連する被検体の特性を判定し、或いは特性を解析することが可能な生体光計測装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の第1の態様による生体光計測装置は、被検体に光を照射し、前記生体の頭部で反射または透過した光を受光する光計測手段と、前記光計測手段が受光した計測信号をもとに、前記被検体に複数回試行を与えた場合の血中物質の変化を信号波形として描出する信号処理手段と、前記信号処理手段の処理結果を表示する表示手段とを備え、前記信号処理手段は、所定の時間間隔で計測された複数の信号波形から、それぞれ少なくとも一つの特徴を抽出し、その時間変動を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
信号処理手段が抽出する特徴は、例えば、信号波形の最大値、試行の開始時点から前記信号波形が最大値となるまでの時間(潜時)を含む。
また信号処理手段が表示させる特徴の時間変動は、例えば、時間を横軸とし前記特徴を数値化した値(特徴量)を横軸とするグラフである。
本発明の第2の態様による生体光計測装置は、被検体に光を照射し、前記被検体の頭部で反射または透過した光を受光する光計測手段と、前記光計測手段が受光した計測信号をもとに、前記生体に複数回試行を与えた場合の血中物質の変化を信号波形として描出する信号処理手段と、前記信号処理手段の処理結果を表示する表示手段と、前記信号処理手段に指令を送るための入力手段とを備え、前記入力手段は、複数の検査項目のうち、特定の検査項目の指定を入力する手段を備え、前記信号処理手段は、所定の時間間隔で計測された信号波形について、前記入力手段により指定された特定の検査項目に対応する少なくとも一つの特徴を抽出し、前記特徴の時間変動をグラフとして前記表示手段に表示させることを特徴とする。
本発明の生体光計測装置において、信号処理手段は、前記検査項目に属する下位項目と前記時間変動との関係を蓄積したデータを記憶する記憶手段と、前記被検体について得られたグラフと前記蓄積データに基き、当該被検体の特性を判定する判定手段とを備えたものとすることができる。
また検査項目は、例えば、被検体に投与される物質に応じて分類されており、前記所定の時間間隔で計測されたデータは、前記生体への物質投与時点前後のデータを含む。
また本発明の第3の態様による生体光計測装置は、被検体に光を照射し、前記被検体の頭部で反射または透過した光を受光する光計測手段と、前記光計測手段が受光した計測信号をもとに、前記被検体に複数回試行を与えた場合の血中物質の変化を信号波形として描出する信号処理手段と、前記信号処理手段の処理結果を表示する表示手段と、前記信号処理手段に指令を送るための入力手段とを備え、前記入力手段は、被検体情報及び検査項目を含む複数の検査条件の指定を入力する手段を備え、前記信号処理手段は、所定の時間間隔で計測された信号波形について、前記入力手段により指定された検査条件に基き信号波形を分類し記憶する手段と、前記記憶手段に格納された多数の計測データのうち、前記入力手段により指定された検査条件に該当する計測データを選択し、当該計測データの少なくとも一つの特徴の時間変動をグラフとして前記表示手段に表示させることを特徴とする。
本発明によれば、血中物質、例えばヘモグロビンの信号波形を特徴付けるパラメータ(特徴)を縦軸とし、時間を横軸としたグラフを表示することにより、その時間変化をモニターすることができる。これにより血中物質の時間変動に関連した高次脳機能活動や、代謝物質等の生体内動態の時間変化をモニターすることができる。また種々の検査しようとする被検体特性(身体的・心理的特徴、疾患、遺伝子型など)についてパラメータの時間変化のデータを蓄積することにより、種々の特性とパラメータの時間変化との関連性を解析することができ、その解析データをもとに検査対象となる被験者について特性の判定を行うことができる。
さらに本発明によれば、多様な計測条件で計測されたデータをカテゴリーに分けて解析するとともに結果を表示するようにしたので、操作者の解析処理に伴う手間や時間を大幅に低減することができる。
以下、本発明の生体光計測装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の生体光計測装置の全体を示すブロック図である。この生体光計測装置は、主として光計測部10と信号処理部20と刺激制御装置30とからなる。
光計測部10は、光源部11と光検出部12とからなる。光源部11は、所定の波長の光を発生するレーザー等の光源と、光源が発生した光を測定点の数に対応する数の異なる周波数の光に変調する光変調部と、変調された光を被検体40の頭部表面に導くための光ファイバー12とを備えている。光源11が発生する光の波長は、計測の対象である血中物質がヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビン)の場合、780nmと830nmである。計測対象物質が異なる場合には異なる波長を採用することができる。本実施の形態では、血中物質がヘモグロビンである場合を説明する。
生体光計測における計測点は、光照射位置と光検出位置とのほぼ中央に位置する点で、その位置及び数は、光照射位置と光検出位置の数及び配置によって決まる。通常、複数の光照射位置と複数の光検出位置は、3×3、4×4などのマトリクス上の点に交互に配置され、3×3マトリクスの場合、計測点は12となる。本発明の適用において測定点は必ずしも複数である必要はないが、複数の測定点からのデータを用いることにより、より正確な解析を行うことができる。
光検出部12は、先端が光検出位置に配置された光ファイバー13からの光を受光する受光素子と、受光した光を変調周波数により弁別し、計測点ごとのヘモグロビン変化信号を生成する検出回路などからなる。
信号処理部20は、ヘモグロビン変化信号に対し、生体内の血行動態変化の時系列処理(タイムコースデータの作成)や画像化(信号波形の作成)を行うヘモグロビン信号処理部21と、信号処理後の計測データを記憶する記憶部22と、計測データを被検体情報や検査項目など検査条件に応じて分類処理を行なうカテゴリー処理部23を備え、さらに外部装置として、ヘモグロビン信号処理部21やカテゴリー処理部23における処理に必要な指令を入力するためのキーボード、マウスなどの操作部24と、ヘモグロビン信号処理部21やカテゴリー処理部23の処理結果である画像を表示する表示部25を備えている。表示部25は、結果画像の表示のほか、操作部24と連動したGUIの表示を行う。
信号処理部20は、上述した時系列処理や画像化のほか、操作部24からの指令に基づき、形成した変化波形からパラメータ(特徴)を算出する処理、同一被検体から所定の時間間隔で得られたデータについてパラメータの時間変動を画像化する処理、パラメータの時間変動を解析し、検査カテゴリーにおける被検体の特性を判定する判定処理などを行う。
刺激制御装置30は、被検体40に与える刺激を制御する装置であり、刺激用の画像・音・音声・言語データなどをアナログまたはデジタルデータとして記憶する記憶部31、刺激用の画像・音・音声・言語データを被検体に呈示するためのスピーカ或いはPC画面等の刺激発生部32、刺激発生部からの刺激の発生タイミングを制御する制御部(図示せず)などからなる。このような刺激制御装置30は、生体光計測装置の一部として設けても良いが、独立の装置とすることもできる。その場合、刺激が出されたタイミング、時間、時刻などの情報を生体光計測装置(の信号処理部20)に送る。或いは生体光計測装置から刺激制御装置30に指示を送り、その指示によって記憶部に記憶された画像・音・音声・言語データの指示された刺激を指示されたタイミング、時間で発生させるようにしてもよい。
次にこのような構成における生体光計測装置の動作を説明する。
以下の説明では、アルコール投与条件での計測を例にして実施の形態を説明する。
アルコールを投与すると、時間経過に伴ってアルコール代謝物質である血中アセトアルデヒド濃度が上昇し、血管反応に影響を与えること、また数種類の内分泌ホルモンが放出されていることが知られている。これら生体反応は人によって異なる。それはアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが遺伝的に異なるためであり、ALDH2遺伝子多型(活性型、不活性型)と呼ばれる。そこで本実施の形態では、検査項目としてALDH2遺伝子多型を選択して計測を行なう場合を説明する。
図2は動作の手順を示すフローであり、始めに被検体のヘモグロビン信号を計測する(ステップ101)。ヘモグロビン信号の計測は、被検体にアルコールを投与する前、投与直後及び投与後の所定時間経過後(例えば20分後、40分後、60分後)に行う。計測は、刺激制御装置30から刺激の呈示時間と休息時間とを1組とする試行をその間のヘモグロビン変化信号を信号波形として求める。通常、試行を複数回行い、各回で得られた信号波形を平均する。パラメータの抽出を正確にするために、必要に応じてフィルター処理やベースライン処理を行う。
光計測部10で得られるヘモグロビン信号波形の一例を図3に示す。図中、横軸は時間軸で1組の試行の長さに対応している。横軸は試行を与える前の信号に対する信号変化をヘモグロビン量変化に換算したものであり、単位はmMmmである。また時間軸2-2は刺激を開始した時点を表す。ヘモグロビン信号波形2-1は、図示するように、刺激開始すると立上り、最大値2-3を経てもとの信号値に戻る。このようなヘモグロビン信号波形は、例えば、刺激開始時点から最大値に達するまでの時間2-4(これを潜時という)、最大値2-3、刺激開始時点から最大値までの波形の積分値(面積)や微分値、最大値からもとの信号値に至るまでの波形の積分値(面積)や微分値、変化量の平均値などで特徴付けることができ、検査項目に応じて、その判定に最適な指標となるパラメータの一つ又は複数が選択される。検査項目がALDH2遺伝子多型である本実施の形態では、最大値と潜時がパラメータとして選択される(ステップ102)。
なお図3では、一つの測定点(測定チャンネル)のヘモグロビン信号から得られた結果のみを示しているが、他の測定点についても同様の処理を行なうことができる。また上述した各パラメータは、全ての測定点を加算平均した波形から求めてもよいが、特定の測定点を2つ以上選択したものでもよい。また複数回の刺激を与えた時系列データについて、加算平均した波形から求めてもよいが、特定に選択した刺激によるヘモグロビン信号の波形でもよい。
信号波形からパラメータを求める処理、即ち、パラメータの抽出については、例えば特許文献1に記載された特徴抽出技術を用いることができる。信号処理部20は、このようなパラメータの抽出を、時系列的に行われた計測のそれぞれで得られたヘモグロビン変化波形について行い、計測時を横軸としパラメータを縦軸とするグラフを作成する。作成されたグラフは、表示部25に表示される(ステップ103)。計測データおよび作成されたグラフはその後の解析のために必要に応じて記憶部22に記憶される(ステップ104)。
ALDH2遺伝子多型の活性型と不活性型について、それぞれ最大値および潜時の時間変動を示すグラフを図4及び図5に示す。図示するように、活性型では最大値、潜時ともに時間経過による変動が殆どないのに対し、不活性型では大きな変動が見られる。従って、所定の検査項目、例えば遺伝子多型について、時間変動の知見があれば、図4及び図5に示すようなパラメータの時間変動グラフが表示されることにより、被験者が活性型であるか不活性型であるかを判定することができる(ステップ105)。
このように本実施の形態によれば、検査項目に応じて信号波形のパラメータの時間変動を表示するようにしたので、検査項目と関連する物質、例えばALDH2遺伝子多型であれば血中アルデヒド濃度などを間接的にモニターすることができる。また検査項目における被検体の特性、例えばALDH2遺伝子多型の活性型であるか不活性型であるかなどを判定することも可能となる。
なお以上の実施の形態では、検査項目としてALDH2遺伝子多型を例に説明したが、血中成分濃度や血流量の変化と関連性を有する特性や投与薬剤であれば検査の対象とすることができる。例えばトラピジルは、血管平滑筋に作用して血流量を増加させる血管拡張物質である。このような血管拡張剤の生体内での動態に相応する変化は、例えば、採血して血漿中濃度をモニターしなければ確認することができなかったが、本発明の生体光計測装置により、図6に示すように、無侵襲的に複数回計測されたヘモグロビン信号波形の最大値及び潜時の時間変化からモニターすることが可能である。
またα1遮断薬は、交感神経系の調節下にある動脈系のα1受容体を遮断し、動脈縮小作用を抑制するが、心機能は抑制されず、諸臓器の血流量は増加することが知られている。この作用に伴って、脳血流量が増加し、脳循環自動調節能が改善されるという報告がある(非特許文献9、10)。このような脳血流量改善薬の動態に相応する変化についても、SPECT(single photon emission CT)等を用いることなく、図7に示すような、複数回計測されたヘモグロビン信号波形の最大値及び潜時の時間変化からモニターすることが可能となる。図7では、複数の被験者についてドキサゾシン投与4週間後の脳血流量増加をモニターした結果を併せて表示している。
次に上記生体光計測装置において、種々の検査条件で計測された多数のデータを解析する場合の実施の形態を説明する。図8は、その手順を示すフロー図である。
上述した実施の形態では検査項目がALDH2遺伝子多型である場合を例に説明してきたが、生体光計測で可能な検査項目は多種である。また被検体情報などの検査条件も多様である。これらは、例えば、身長、体重、血液型などの身体特性、投与物質、遺伝子多型、疾患、性格やストレス度などのカテゴリーを含む。そこで本実施の形態の生体光計測装置では、個々の被験者についてヘモグロビン信号を計測した後(ステップ201)、計測されたデータをカテゴリー処理部23でカテゴリーに分類し、記憶部22に記録しておく(ステップ202)。またカテゴリー処理部23は、対象とする計測データのカテゴリーの入力を受け付け、特定されたカテゴリーの計測データを選び出し、解析を行う(解析のためにヘモグロビン信号処理部21にデータを渡す)(ステップ203)。
図8に示すステップ201は図2に示す実施の形態のステップ101と同様であり、ここでも検査項目がALDH2遺伝子多型である場合を例にしている。カテゴリーの入力のステップ202は、図9に例示するような入力画面により実現される。この入力画面は、被検体情報を入力するための入力部3-1、表示ボタン3-2、計測データ表示部3-3、カテゴリー項目選択部3-4、下位項目入力部3-7、関連物質入力部3-10、被験者情報表示部3-13、終了ボタン3-14などが設けられている。計測が終了している特定の被検体について被検体情報(例えば名前、IDなど)を入力し、表示ボタン3-2を操作すると、計測データ表示部3-3にその被検体の計測データが表示される。
カテゴリー項目選択部3-4には、予め記憶部22に登録されている複数のカテゴリー項目が呈示され、その中から任意の1ないし複数のカテゴリーを選択できるようになっている。また入力画面の追加ボタン3-5及び削除ボタン3-6を操作することにより新たな項目を追加登録したり、不要となった項目を削除することができる。
下位項目は、カテゴリーによってさらに下位のカテゴリーに分類する必要がある場合に入力される。また関連物質は、カテゴリーが例えばALDH2遺伝子多型のように投与される物質と関連する場合に入力される。これら下位項目及び関連物質も予め記憶部22に登録されているものを呈示し、その中から選択するようにしてもよい。下位項目及び関連物質も追加ボタンや削除ボタンの操作によってユーザーが追加したり削除したりすることが可能である。
特定の被検体について、検査カテゴリー及び必要に応じて下位項目、関連物質が入力されると、これら入力された情報が被験者情報表示部3-13に表示される。ユーザーは内容を確認の上、終了ボタン3-14を操作すると、入力された被験者情報はその計測データとともに記憶部22に格納される。
こうして記憶部22に格納される計測データは、種々の検査条件で計測されたデータが含まれているので、本実施の形態の生体光計測装置では、ユーザーが表示させたいものを指定し表示する(ステップ203)。図10は、表示情報を特定するための入力画面を示す図である。
図示する入力画面は、カテゴリー解析の指令を入力する画面を兼ねており、カテゴリー項目選択部4-1、下位項目選択部4-2、被験者選択部4-3、データ選択部4-6、カテゴリー表示部4-9、データ表示部4-10、関連物質表示部4-11、表示グラフ選択部4-12、表示ボタン4-13などが設けられている。
ユーザーがこの入力画面を介してカテゴリー解析を行う場合には、まずカテゴリー項目選択部4-1に表示された検査カテゴリーの中から任意の1つの項目を選択する。ここに表示されるカテゴリーは、それまでに生体光計測装置の記憶部22に格納された被験者情報として入力されているカテゴリーである。カテゴリーが選択されると、選択されたカテゴリーによってはその下位項目が下位項目選択部4-2に表示され、さらに下位項目を選択できるようになっている。検査カテゴリーや下位項目が選択されると、選択された項目で計測データが記録されている被験者のリストが被験者選択部4-4に表示されるので、解析の対象とする任意の被験者を選択する。被験者が選択されると、その被験者の計測データがデータ選択部4-6にリストとして表示される。この中から解析に必要なデータを選択する。被験者選択部4-4及びデータ選択部4-6に表示されるリストは、追加ボタン4-4、4-5や削除ボタン4-7、4-8を操作することにより、適宜、追加したり削除することが可能である。
以上の操作によって、記憶部22に格納されているデータから選択すべきデータが特定されると、選択されたカテゴリー、計測データ、関連物質名がそれぞれカテゴリー表示部4-9、データ表示部4-10、関連物質表示部4-11に表示される。
表示グラフ選択部4-12には、表示可能なグラフや画像がチェックボックスとともにリストされている。さらにリストにはないデータを追加、入力するための入力部4-16や、グラフや画像によっては表示の条件(範囲、時間分解能、空間分解能)などを指定するための入力部4-13、4-14が設けられている。ユーザーは、表示グラフ選択部4-12に表示されたリストのチェックボックスを選択し、必要な条件を設定する。
信号処理部21は、この設定操作を指令として受け付け、特定されたカテゴリーに含まれる計測データ(信号波形)について解析を行う(ステップ203)。例えば、検査項目がALDH2遺伝子多型であって、パラメータとして最大値と潜時が選択されている場合、ステップ102においてそのように分類された信号波形からパラメータを求め、時間変動のグラフを作成する。信号処理部21の解析結果は、表示部25に表示される。
図11に表示部25に表示される結果画像の一例を示す。図示する例では、カテゴリー項目として遺伝子多型が、下位項目として不活性型及び活性型が選択され、これに対応する被験者の計測データについて最大値、潜時、及び一定時間内のヘモグロビン変化量の平均値の時間変動8-1、8-2、8-3が表示部の上側に表示されている。また下側には、最大値を縦軸、潜時を横軸とする傾き8-4、全パラメータを不活性型及び活性型に分けたグラフ8-5、マップ8-6が表示されている。マップ8-6は、縦軸は複数回計測された場合の計測時点を表し、横軸は飲酒60分後の最大値を基準として規格化したヘモグロビン変化量を2秒毎のトポグラフィ画像に示している。8-4〜8-6において上段は不活性型、下段は活性型である。
このように本実施の形態によれば、多様な検査条件で計測された計測データをカテゴリー化し解析することにより、一度に複数のパラメータの結果を比較することができる。また選択されたカテゴリーのみを解析することができるので解析処理時間を短縮することができる。さらに本実施の形態の解析機能を用いることにより、血中成分濃度と検査項目との関連性や、被験者の特性を判定するのに最適なパラメータ、即ちパラメータの生理的意味などの理解を支援することができる。
本発明によれば、生体光計測装置において、信号波形から求めたパラメータの時間変動を表示する機能を備えたことにより、代謝物質や投与物質の時間変化をモニターすることができる。また時間変化グラフから被検体の特性を判定することも可能となる。さらに本発明によれば、生体光計測装置において、多様な検査条件で計測されたデータをカテゴリーに分類して記憶し、選択されたカテゴリーを解析する機能を備えたことにより、解析時間を短縮することができる。また一度に多数のパラメータを比較したり、パラメータの生理的意味の理解に役立てることができる。
本発明の生体光計測装置の全体構成を示す図 本発明の生体光計測装置を用いた計測手順の一実施の形態を示すフロー図 ヘモグロビン信号から生成した信号波形とそのパラメータを示す図 アルコール投与計測における、信号波形の最大値の時間変動を示す図 アルコール投与計測における、信号波形の潜時の時間変動を示す図 トラピジル経口投与後の、信号波形の最大値の時間変動を示す図 ドキサゾシン投与前後の、信号波形の最大値の変化を示す図 本発明の生体光計測装置を用いたデータ解析の一実施の形態を示すフロー図 図8の実施の形態における、カテゴリー情報入力画面を示す図 図8の実施の形態における、カテゴリー解析入力画面を示す図 図8の実施の形態における、解析結果の表示画面を示す図
符号の説明
10・・・光計測部、20・・・信号処理部、21・・・ヘモグロビン信号処理部、22・・・記憶部、23・・・カテゴリー処理部、24・・・操作部、25・・・表示部、30・・・刺激制御装置

Claims (7)

  1. 被検体に光を照射し、前記被検体の頭部で反射または透過した光を受光する光計測手段と、前記光計測手段が受光した計測信号をもとに、前記被検体に複数回試行を与えた場合の血中物質の変化を信号波形として描出する信号処理手段と、前記信号処理手段の処理結果を表示する表示手段と、前記信号処理手段に指令を送るための入力手段とを備えた生体光計測装置において、
    前記入力手段は、複数の検査項目のうち特定の検査項目を入力する手段を備え、
    前記信号処理手段は、所定の時間間隔で計測された信号波形について、前記入力手段で特定された特定の検査項目に対応する少なくとも一つの特徴を抽出し、前記特徴の時間変動の情報を表示手段に表示させ、
    前記信号処理手段は、前記検査項目に関連する関連項目と前記特徴の時間変動との関係を蓄積したデータを記憶する記憶手段と、前記被検体について得られたグラフと前記記憶手段に蓄積したデータに基づき、前記被検体の特性を判定する判定手段とを備え
    前記検査項目は、前記被検体に投与される物質に応じて分類されており、
    前記所定の時間間隔で計測されたデータは、被検体への物質投与前後のデータを含むことを特徴とする生体光計測装置。
  2. 請求項1に記載の生体光計測装置であって、
    前記特徴の時間変動は、時間を横軸とし、特徴を数値化した値(特徴量)を縦軸とするグラフであることを特徴とする生体光計測装置。
  3. 請求項1に記載の生体光計測装置であって、
    前記特定の検査項目は、被検体のALDH2遺伝子多型であり、
    当該検査項目に関連する関連項目は、血中アルデヒド濃度であり、
    前記特徴量は前記信号波形の最高値または潜時であり、
    前記判定手段は、前記特徴量の変化が閾値以下のとき、被検体は活性型と判定することを特徴とする生体光計測装置。
  4. 請求項1に記載の生体光計測装置であって、
    前記特定の検査項目は、薬剤投与の有効性であり、
    当該検査項目に関連する関連項目は、血流変化であり、
    前記特徴量は前記信号波形の最高値または潜時であり、
    前記判定手段は、前記特徴量の変化が閾値以上または以下のとき、薬剤投与が有効であると判定することを特徴とする生体光計測装置。
  5. 請求項4に記載の生体光計測装置であって、
    前記薬剤がα1遮断薬であることを特徴とする生体光計測装置。
  6. 請求項4に記載の生体光計測装置であって、
    前記薬剤がトラピジルであることを特徴とする生体光計測装置。
  7. 請求項4に記載の生体光計測装置であって、
    前記薬剤がドキサゾシンであることを特徴とする生体光計測装置。
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