JP5889779B2 - 呈味と香気の調和の評価方法 - Google Patents

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本発明は、飲食物の風味評価方法に関する。さらに詳しくは、飲食物の風味を構成する要素を呈味と香気に分け、呈味のみの組成物、香気のみの組成物、呈味のみの組成物に香気のみの組成物を加えた総合的な風味組成物のそれぞれを飲食したときの被験者に対して、生体光計測装置を利用して、こめかみ部付近を含む領域で信号強度の変化を計測し、そのときの応答強度比により、呈味と香気の統合による調和の程度を評価する方法に関する。
人がある飲食物に対しておいしいとかまずいと感じる感覚は、呈味、香気およびテクスチャーに起因する感覚の統合によりもたらされると一般的に考えられている。そして、おいしいと感じる感覚は、人に対して、その食品を、さらに食べたいという気持ちを起こさせると、人々は経験的に考え、多くの人々はおそらくあまり疑うこともなくその通りであると信じていると思われる。最近の研究では、ある1つの飲食物からもたらされる呈味、香気、テクスチャーに起因する感覚はそれぞれ異なる感覚器官および受容体で認知され、脳の異なる領域で扱われることが明らかになってきており、脳内でこれらが統合されることが次第に明確になりつつある。統合のメカニズムはこれからの研究成果を待たなければならないが、ある飲食物を味わう場合には、呈味、香気およびテクスチャーに起因する感覚が人においしいという感覚をもたらすことは科学的に見ても異論はないと考えられる。
一方、飲食物の風味評価方法に関して多くの提案がある。従来より、専らヒトの感覚に頼った官能評価が重用されている。官能評価は、総合的な評価には適しているが個人差、感覚疲労、体調変化などの主観的要素が影響する欠点がある。その主観的な評価に客観性を与えた手法としてQDA法(定量的記述分析法)があるが、共通用語の選定やパネルの訓練などに時間を要するという欠点がある。
また、液体クロマトグラフをはじめとする種々のクロマトグラフや匂いセンサ、味センサなどの機器による評価が利用されている。液体クロマトグラフなどの機器による評価は客観的であるが、対象項目ごとの分析が必要であり総合的な評価を行うにはかなりの時間を要する。そして、ヒトの嗅覚、味覚を代用したセンサは、測定時間は短いが、安定性や再現性、被験者による官能評価との相関性に問題がある。
そこで、ヒトによる主観評価を客観化するために、これらに加えて、生体内に生じている生理応答を観察・計測する精神生理学の手法を採用することが試みられている。精神生理学とは、瞳孔の大きさ、心拍数、血圧、脳波、脳磁波、脳血流、ストレスホルモン濃度など計測できる生体反応の指標を手がかりにして、心の状態や動きを研究する心理学の新しい領域である。ヒトは匂いを嗅ぐことによって感覚や情動が変化すると同時に、血圧の変動や心拍数、唾液中ストレス物質の変化といった生理応答を示す。これらの生理応答の観察・計測は、従来の機器分析や官能評価とは異なった角度から風味を評価する方法であり、風味評価の新たな一手法となる。
生理応答を計測する装置として知られている生体光計測装置は、可視から近赤外の光を用いて生体内に照射し、生体の表面近傍から反射あるいは生体内通過光を検出し、光の強度に対応する電気信号を発生する装置であり、無侵襲的に生体機能をリアルタイムに計測することができる(例えば、特許文献1、2)。
また、近年、光ファイバーを用いて複数の位置から光を照射し、複数の検出点で生体通過光強度を計測し、これら検出点を含む比較的広い領域の通過光強度情報を得て、脳活動の応答信号を時間波形(タイムコ−ス)や2次元の画像(トポグラフィ画像)として表示する生体光計測装置(以下、「光トポグラフィ装置」という。)も開発されている(例えば、特許文献3)。
これらの装置による生体光計測は、主として、刺激等の負荷前後の血中物質の相対的変化と脳機能との関連性に基づくものであり(例えば、視覚刺激を与え、視覚野の脳活動を知る。)、一般的に脳機能計測手法として利用されている。脳の特定部位は生体の特定機能の制御に関連しており、その特定機能を動作することで、脳の特定部位の血液動態が変化する。神経活動が起こった脳の部位では、神経活動に数秒遅れて、毛細血管の拡張、酸素化ヘモグロビンの増加、脱酸素化ヘモグロビンの減少が起こる。生体光計測装置はこのヘモグロビン濃度の変化を非侵襲的に測定する。血液中のヘモグロビンには近赤外光を吸収しやすいという性質があり、この性質を利用して近赤外光を頭皮上に照射して反射光を検出すれば、大脳皮質の血流量が分かり、ひいてはその活性の状態も分かることになる。
ところで、従来、脳以外の器官の機能変化・生理変化を計測する生体光計測装置はほとんどなかったが、この装置を用いて、こめかみ部付近で計測された信号が味刺激に伴う唾液腺応答、なかでも耳下腺活動に付随した血流変化に基づくものであることが報告されている(非特許文献1)。
脳以外の器官である唾液腺の機能変化を臨床検査する場合、一般的には、MRIや超音波エコ−、シンチグラフィ−が利用されているが、計測時間が長く、拘束性や侵襲性があり、リアルタイムに機能変化をモニタ−することができなかった。通常、こうした唾液分泌能を計測するためには、数分〜数十分かけて唾液を吐き出す、脱脂綿を口腔内へ入れて取り出すという手法がとられているが、リアルタイムに唾液腺分泌能を計測することはできなかった。
唾液分泌量の変化は、口腔状態(ドライマウス、口臭、嚥下や咀嚼のしやすさ、発話)、精神状態の変化とも関連している。こうした状態変化による影響を避けるため、唾液分泌量を計測する場合には、上記のように、脱脂綿を噛む、数分間にわたり自分で唾液を吐き出すという方法がとられている。このように、唾液腺の機能変化を無侵襲にリアルタイムで計測することは困難であることから、拘束性の低い装置による計測方法の開発が求められていた。こうした状況に対し、近年、唾液腺機能をリアルタイムに計測することができる生体光計測装置が報告されるに至り(特許文献4)、光トポグラフィ装置により唾液腺機能を測定できることが次第に明らかとなってきた。
このような背景の元、本出願人は光トポグラフィ装置を用いた飲食物の風味評価方法として、以前より研究を重ねてきており、これまでに、以下の多数の発明を開発し開示してきた。例えば、特許文献5では、ターゲットとする風味をコントロールとして飲用した後に試料を飲用する比較呈示法により、該試料飲用時のこめかみ部付近の血流量の変化がコントロール飲用時の血流量の変化に対してより少ない試料がターゲットとする風味に近い味覚を有するものとしてスクリーニングを行うことにより、該風味改良剤の種類若しくは添加量を選択することを特徴とする味覚物質又は飲食物の風味改良方法を開示している。
また、特許文献6では、飲食物を飲食する際に、匂いを嗅ぐ段階(フェーズ1)、口に含む段階(フェーズ2)および飲み込む段階(フェーズ3)の各フェーズごとの血流の変化を測定することにより匂いと味の調和を評価する飲食品の風味評価方法において、フェーズ2の血流の変化量が相対的に高いほど匂いと味が調和しているものとして評価することを特徴とする飲食物の風味評価方法を開示している。
また、特許文献7では、被験者にコントロール(1回目)、評価対象試料、コントロール(2回目)の順で順次風味評価させ、その際の血流の変化量を測定し、コントロール(1回目)の応答強度に対しコントロール(2回目)の応答強度が小さいときほど、評価対象試料の風味がコントロールに近いと判断する評価方法を開示している。
また、特許文献8では、あらかじめターゲットとなるフレーバーが存在する場合に、被験者に飲食物基材にターゲットフレーバーを添加した飲食物、次いで、飲食物基材にターゲットフレーバーあるいはイミテーションフレーバーを添加した飲食物を飲食させて風味を評価させる際に血流の変化量を測定し、ターゲットフレーバーを2回続けて飲食させたときは、2回目のターゲットフレーバーにおける応答強度が順応により低下するが、イミテーションフレーバーの官能的な差がターゲットフレーバーと比べて大きい時ほど応答強度の低下が少ないことを利用して、イミテーションフレーバーの評価を行う方法を開示している。
また、特許文献9では、被験者に濃度の異なる味覚物質水溶液を複数飲用させ、そのときに官能評価と血流量変化の測定を行い、官能評価による味の強度と血流量変化の応答強度が正の相関を有することを利用して味覚物質の適正濃度を評価する方法を開示している。
また、特許文献10では、被験者に、被験者の好みの飲食物に属する同一カテゴリー上の複数の飲食物を飲食させ、その際の血流量変化を測定し、その際の応答強度が大きいほど、被験者の嗜好性に合う飲食品であると評価する方法を開示している。
また、特許文献11では、被験者に2以上の同種の刺激を連続して呈示し、各呈示時間内に被験者の感覚的応答である血流変化を測定して得られる、該血流変化の大きさに基づいた2以上の刺激の嗜好性評価方法であって、該測定前に該嗜好性評価の課題を与えて、該課題が付加された状態で血流変化を測定することを特徴とする2以上の刺激の嗜好性評価方法を開示している。
また、特許文献12では、特定濃度の味覚物質水溶液に対し、既知の風味改良剤を添加したものを被験者に飲用させ、被験者に対して、生体光計測装置を利用して、こめかみ部付近を含む領域で信号強度の変化を計測し、血流量変化の信号強度が変化する被験者をあらかじめ選抜し、その後、この選抜された被験者を対象にして風味改良剤を添加した味覚物質水溶液を飲用させ、そのときの血流量変化の信号強度を計測することによる風味改良剤の評価を行う方法を開示している。
特開昭57−115232号公報 特開昭63−275323号公報 特開平9−98972号公報 特開2010−100号公報 特許第4557917号公報 特許第4673341号公報 特許第4814152号公報 特許第4966790号公報 特許第4974383号公報 特開2010−51610号公報 特開2011−117839号公報 特願2011−276277
J.Biomed.Opt.,16(4)、2011、047002
しかしながら、上記研究を含め、これまでの研究では、風味は味と香りから総合的にもたらされるものとして評価されているだけであり、味のみの構成成分に対し、香りのみの構成成分を加えた場合に、その香りがその味に適合するものであるかどうかを評価した報告、さらには、味のみの構成成分に対し、香りのみの構成成分を加えた場合に、その香りがその味に適合した場合、その味と香りに起因する感覚の統合によりもたらされる効果を客観的な手法により評価した報告は全く見当たらない。
本発明者らは前記課題に鑑み、被験者に梅干しの呈味(0.25%クエン酸水溶液)のみの試料を飲用させた場合と、梅干しの呈味に梅干しの香気を再現した香気組成物を添加したものを飲用させた場合の、こめかみ部付近の血流量変化を近赤外分光法による生体光計測装置で測定、比較した。その結果、梅干しの呈味のみの試料を飲用させた場合と比べ、梅干しの呈味に梅干しの香気組成物を添加したものを飲用させた場合、変化信号の応答強度が有意に増加することを見出した。
この現象について、本発明者らは、ある呈味(この場合は、梅干しの呈味)に対し、その香気(この場合は、梅干しの香気)が合わさったときに、呈味と香気が調和の取れた、相性の良い好ましい組み合わせに、これらに起因する感覚が脳内で統合され、結果として、こめかみ周辺の唾液腺活動にともなうヘモグロビン量の増加として表れると考えた。
そこで、上記推論を裏付けるために梅干に替え、ピーチで次なる実験を試みた、すなわち、ピーチの呈味のみの試料、ピーチの呈味にピーチの香気組成物を添加した試料、シトラスの呈味のみの試料、および、シトラスの呈味にピーチの香気組成物を添加した試料のそれぞれを被験者に飲用させて、こめかみ部付近の血流量変化を近赤外分光法による生体光計測装置で測定、比較した。
その結果、ピーチの呈味のみの試料を飲用させた場合と比べ、ピーチの呈味にシトラスの香気組成物を添加した場合は変化信号の応答強度が変化しないが、ピーチの呈味にピーチの香気組成物を添加した場合は変化信号の応答強度が有意に増加することを確認した。
以上の事実から、呈味と香気が調和の取れた、相性の良い、好ましい組み合わせの場合にこめかみ部付近の唾液腺活動にともなうヘモグロビン量の増加が引き起こされていることが確認された。また、こめかみ部付近のヘモグロビン量の変化信号の応答強度と唾液の分泌量には正の相関関係があることも確認された。
また、飲食物を口にした場合に唾液の分泌量は、被験者の、摂食モチベーションの強さを表すと考えられるが、こめかみ部付近のヘモグロビン量の変化信号の応答強度と唾液の分泌量は、応答強度が強い場合には正の相関関係があることが見出された。なお、本発明において、摂食モチベーションとは、飲食物をもっと食べたいと思う意欲を意味する。このことにより、例えば、唾液の分泌量が少量である場合においては唾液自体の分泌量は測定が技術的に困難と考えられるが、このような場合でもこめかみ部付近のヘモグロビン量の変化信号の応答強度は唾液腺活動にともなう血流変化を表していると考えられることから、この応答強度は、摂食モチベーションの強度として用いることが可能と考えられる。
以上の結果より、本発明者らは飲食品の呈味と香気の好ましい組み合わせ、すなわち呈味と香気の統合による調和の程度を、被験者のこめかみ付近のヘモグロビン量の測定で評価する方法を確立した。
かくして、本発明は、以下のものを提供する。
[1]次の工程(1)〜(5)を含む、呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の統合による調和の程度の評価方法。
(1)呈味組成物を調製する工程、
(2)香気組成物を調製する工程、
(3)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
(4)工程(3)における被験者の生体信号を測定する工程、
(5)工程(4)における、呈味組成物を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度比により、呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の統合による調和の程度を評価する工程。
[2]次の工程(1)〜(6)を含む飲食物の、呈味と香気の統合による調和の程度の評価方法。
(1)飲食物の風味を構成する要素を、呈味と香気に分ける工程、
(2)呈味に関する要素を呈味組成物として調製する工程、
(3)香気に関する要素を香気組成物として調製する工程、
(4)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
(5)工程(4)における被験者の生体信号を測定する工程、
(6)工程(5)における、呈味組成物を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度比を、飲食物の呈味と香気の統合による調和の程度とする工程。
[3]次の工程(1)〜(5)を含む、呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の組合せに対する、被験者の摂食モチベーションの評価方法。
(1)呈味組成物を調製する工程、
(2)香気組成物を調製する工程、
(3)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
(4)工程(3)における被験者の生体信号を測定する工程、
(5)工程(4)における、呈味組成物を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度比を、被験者の、風味組成物における呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の組み合わせに対する、摂食モチベーションとする工程。
[4]次の工程(1)〜(6)を含む、飲食物に対する、被験者の摂食モチベーションの評価方法。
(1)飲食物の風味を構成する要素を、呈味と香気に分ける工程、
(2)呈味に関する要素を呈味組成物として調製する工程、
(3)香気に関する要素を香気組成物として調製する工程、
(4)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
(5)工程(4)における被験者の生体信号を測定する工程、
(6)工程(5)における、呈味組成物と香気組成物のそれぞれ単独の試料を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度比を、被験者の、飲食物に対する摂食モチベーションとする工程。
[5]香気が、香料を添加することにより付加された香気を含むものであることを特徴とする[2]または[4]に記載の評価方法。
[6]生体信号が、生体光計測装置により近赤外光を被験者に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の評価方法。
[7]生体信号が、唾液腺活動の応答信号であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の評価方法。
[8]生体信号が、唾液腺活動に伴うヘモグロビン量の変化信号であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の評価方法。
[9]生体信号が、耳下腺活動に伴うヘモグロビン量の変化信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
[10]生体信号が、被験者の唾液分泌量であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の評価方法。
本発明によれば、飲食物の風味を呈味と香気に分け、呈味組成物と香気組成物のそれぞれを調製し、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたときに、呈味組成物と香気組成物が上手く調和しているかどうかを客観的に確認でき、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたときの調和の程度を評価できる。また、これらの呈味組成物と香気組成物を組み合わせたときの調和の程度によりもたらされる、摂食モチベーションの高さを評価できる。また、さらに、飲食物に香料を添加した場合にその飲食物に対して、添加した香料が調和しているかどうかを客観的に評価することができる。
図1は試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールを示した説明図である(実施例1〜3)。 図2は実施例1−1におけるアンケート用紙を示した説明図である。 図3は未添加品(梅干の呈味組成物)と添加品(1)(梅干の呈味組成物に梅干の香気組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の官能評価を示した説明図である(実施例1−1)。 図4は未添加品(梅干の呈味組成物)と添加品(1)(梅干の呈味組成物に梅干の香気組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の平均血流変化(52個のチャンネルの測定結果)を示した説明図である(実施例1−1)。 図5は未添加品(梅干の呈味組成物)と添加品(1)(梅干の呈味組成物に梅干の香気組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の累積唾液分泌量の平均値の経時変化を示した説明図である(実施例1−2)。 図6は未添加品(梅干の呈味組成物)と添加品(1)、(2)、(3)(梅干の呈味組成物にそれぞれ梅干の香気組成物、梅干の香気組成物のうち酸パート、梅干の香気組成物のうち酸パート以外を添加したもの)を飲用したときの被験者の官能評価(いずれの呈示順においても3試料目)を示した説明図である(実施例1−3)。 図7はそれぞれの呈示順における未添加品(梅干の呈味組成物:2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)に対する、添加品(1)、(2)、(3)(梅干の呈味組成物にそれぞれ梅干の香気組成物、梅干の香気組成物のうち酸パート、梅干の香気組成物のうち酸パート以外を添加したもの:それぞれ3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)の比を示した説明図である(実施例1−3)。 図8は添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)または添加品(5)(柑橘様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の平均的な官能評価を示す説明図である(実施例2)。 図9はピーチ様呈味組成物および添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の平均血流変化(52個のチャンネルの測定結果)を示す説明図である(実施例2)。 図10はピーチ様呈味組成物および添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の平均血流変化を示す説明図である(実施例2)。 図11はピーチ様呈味組成物(2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)に対する、添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香気組成物を添加したもの:3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)の比(左図)、および、柑橘様呈味組成物(2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)に対する、添加品(5)(柑橘様呈味組成物にピーチ様香気組成物を添加したもの:3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)の比(右図)を示した説明図である(実施例1−3)。 図12はレモン様呈味組成物と添加品(6)、(7)(レモン様呈味組成物にそれぞれオーソドックスタイプのレモン様香料組成物、フレッシュタイプのレモン様香料組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の官能評価を示す説明図である(実施例3−1)。 図13はレモン様呈味組成物(2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH44)に対する、レモン様呈味組成物(3試料目)、添加品(6)(レモン様呈味組成物にオーソドックスタイプのレモン様香料組成物を添加したもの:3試料目)または添加品(7)(レモン様呈味組成物にフレッシュタイプのレモン様香料組成物を添加したもの:3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH44)の比を示す説明図である(実施例3−1)。 図14は呈示順(I)の官能評価結果を示す説明図である(実施例3−2)。 図15は呈示順(J)の官能評価結果を示す説明図である(実施例3−2)。 図16は呈示順(I)の血流計測結果(CH44)における、血流測定結果の比率(3試料目の血流測定結果/2試料目の血流測定結果)を示す説明図である(実施例3−2)。 図17は呈示順(J)の血流計測結果(CH44)における、血流測定結果の比率(3試料目の血流測定結果/2試料目の血流測定結果)を示す説明図である(実施例3−2)。
本発明の風味評価方法は、まず、特定の飲食物の風味を構成する要素を呈味組成物と香気組成物に分けて、それぞれ1種類以上調製する工程を行う。
本発明における飲食物はいかなる飲食物であっても良いが、特に、香料によってその香気のイメージが再現できる飲食物、あるいは香料が添加される飲食物を例示することができる。本発明における飲食物としては、例えば、各種の嗜好飲料類、果実あるいは果汁類、野菜類、茸類、ハーブ・スパイス類、冷菓類、乳製品類、焼き菓子類、各種麺類、発酵食品類、酒類、海産物類、畜肉製品類、調味料類、その他加工食品などの広範囲な飲食物を挙げることができる。さらに具体的には特定の天然物などの様に、すでにある程度、何らかのイメージを伴った風味であることが好ましく、例えば、コーヒー、ミルクコーヒー、紅茶、ミルクティー、緑茶、抹茶、烏龍茶、麦茶、ハトムギ茶、マテ茶、ルイボス茶などの嗜好飲料類;オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、温州ミカン、ユズ、イチゴ,ブルーベリー、ビルベリー、クランベリー、ブラックカラント、木イチゴ、バナナ、パイナップル、ピーチ、さくらんぼ、アプリコット、いちじく、ババコ、グレープ、マスカット、アップル、梨、メロン、キウイフルーツ、グァバ、マンゴー、ドリアン、パッションフルーツ、スイカなどの果実あるいは果汁類;アサツキ、アスパラガス、カボチャ、カラシナ、カリフラワー、キャベツ、キュウリ、ゴボウ、ザーサイ、サツマイモ、シソ、シュンギク、ショウガ、セリ、セロリ、タカナ、タマネギ、チンゲンサイ、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ、ハクサイ、パセリ、ピーマン、ホウレンソウ、ミズガラシ、ミョウガ、モヤシ、ワケギなどの野菜類;シイタケ、マツタケ、シメジ、ブナシメジ、ナメコ、マイタケ、エノキダケ、マッシュルーム、トリュフなどの茸類;オールスパイス、カルダモン、カラシ、カレー、キャラウェイ、クミン、クローブ、ペッパー、コリアンダー、ゴマ、サフラン、サンショウ、シャロット、ジンジャー、シソ、スターアニス、セージ、セイボリー、タイム、タラゴン、チャービル、チャイブ、ディル、チリー、ナツメグ、バジル、フェネグリーク、フェンネル、ホースラディシュ、マジョラム、リーク、ローレル、ワサビ、ヨモギ、ミックススパイスなどのハーブ・スパイス類;アーモンド、ココナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、クルミ、ピーカンナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアンナッツなどのナッツ類;アイスクリーム、シャーベット、氷菓などの冷菓類;牛乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料、バター、生クリーム、チーズ、練乳などの乳製品類;クッキー、ビスケット、スナックなどの焼き菓子類;うどん、そば、ラーメン、冷や麦、そうめん、ビーフン、焼きそば、スパゲッティなどの各種麺類;漬け物、キムチ、納豆、味噌、醤油などの発酵食品類、ビール、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどの酒類;魚類、エビ、カニ、イカ、鰹節類、貝類、海藻などの海産物類;牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉、ターキー、およびそれらの加熱調理品などの畜肉製品類;ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、酢などの調味料類;蒲鉾、ちくわ、ごはん、パン、プリン、ゼリー、ケーキ、チョコレートなどのその他加工食品類を挙げることができる。
本発明では、まず、これらの飲食物の呈味のみの試料(呈味組成物)および香気のみの試料(香気組成物)を調製する。飲食物からの呈味組成物および香気組成物の調製方法としては、実際の飲食物を水蒸気蒸留、超臨界炭酸ガス抽出などの香気成分を選択的に抽出する方法により香気成分を回収して、香気部分である香気組成物と呈味部分である呈味組成物とを得る方法を例示することができる。また、飲食物は溶液とした方が評価を行いやすいが、溶液とするためには飲食物から呈味部分を水やエタノールなどの水性溶媒にて抽出し、抽出の前、あるいは抽出後に、水蒸気蒸留、超臨界炭酸ガス抽出、活性炭処理などの各種脱臭方法により香気成分のみを脱臭して、呈味部分のみの呈味組成物を得る方法を例示することができる。
また、呈味組成物を得るための、別な方法としてリコンストラクトを例示することができる。リコンストラクトとは、飲食物の呈味成分の分析データを基に、各種呈味成分を混合し、再現する手法である(以下、得られる調合による呈味組成物の混合物を呈味リコンストラクト品と呼ぶ)。呈味リコンストラクトの一般的な方法としては、まず、飲食物中の各種呈味成分を高速液体クロマトグラフィーなどの一般的手法により分析する。各種呈味成分としては糖類などの甘味物質;食塩その他の塩類などの塩味物質;有機酸などの酸味物質;カフェイン、ポリフェノール、アルカロイドなどの苦味物質;核酸、アミノ酸などのうま味物質を挙げることができる。その後、分析値に基づき、甘味物質、塩味物質、酸味物質、苦味物質およびうま味物質からなる群から選ばれる呈味成分を調合し、飲食物の呈味部分のみの呈味リコンストラクト品を調製することができる。
本発明では、また、飲食物の香気のみの試料、すなわち香気組成物を調製する。香気組成物は、原則としては前記の呈味組成物と同一の飲食物の香気部分のみを再現した香料組成物を意味する。香気組成物の調整方法としては前記の香気抽出物の他、その飲食物向けの、あるいはその飲食物の香気を再現したとされる一般的な既存処方、または、文献等に記載の香気分析データ、あるいは、独自の分析データに基づいて、あるいは、これらを参考にして調合した処方などを意味する。しかしながら、実験的に本願発明の効果を確認するためであれば、前記の呈味組成物とやや異なる、あるいは、全く異なる飲食物の香気を再現したものであってもよい。
本発明の風味評価方法では、次いで、前記の方法により調製した呈味組成物と香気組成物をそれぞれ単独で、および、呈味組成物から選択した任意の1種と香気組成物から選択した任意の1種を組み合わせたものを風味組成物として、それぞれを被験者に飲食させる工程を行う。また、これらの試料を飲食および評価している間、被験者の生体信号を測定する工程、被験者の唾液の分泌量を測定する工程および被験者にアンケートにより風味評価を記載させる工程を行う。
試料の飲食は、例えば、被験者の生体信号を測定する場合であれば、次のように行う。1回の測定で3品の試料を下記いずれかの呈示順により順次評価する。呈示順は下記の通り2通り用意する。呈示順が下記いずれの呈示順であるかは、被験者には、事前には判らないようにしておく。各々の呈示順について、それぞれ数回(N回)ずつ行う(合計N×2回測定)。これらの呈示順についてランダムに同じ時間帯に行い、合計で(N×2)回の測定を行う操作を1つのセットとする。
呈示順(1):試料1:飲食物の呈味組成物の試料、試料2:飲食物の呈味組成物の試料、試料3:飲食物の呈味組成物の試料。
呈示順(2):試料1:飲食物の呈味組成物の試料、試料2:飲食物の呈味組成物の試料、試料3:飲食物の呈味組成物に香気組成物を添加した試料。
1つの試料の評価は、例えば、試料が溶液であれば次のように行う。被験者をまず安静な状態にしておき(60秒程度)、次に、検査者による「試料を味わってください。」の合図により、試料(試料溶液)を口に含み、普段、飲食物を飲むように口に含んだ後、特に保持せず自然なタイミングで飲み込み、口に含んでから30秒後は、飲み込んだ後の後味も含めておいしさを中心に積極的に評価する。次いで検査者の「安静にしてください。」の合図により、再び60秒間安静にする。その後検査者の「終了です。」の合図により、アンケートの記載を行う。このように、あらかじめ選択した3点の試料を前記手順にて順次評価する。
アンケートは、例えば、複数の官能的な項目について、あらかじめ設定しておき、0〜12の範囲(13段階)程度で採点する。複数の項目は、例えば、「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、「旨味」、「辛味」、「好ましさ」「おいしさ」、「香りの強さ」、「広がり」、「まとまり・調和」、「複雑さ」、「その食品らしさ」(例えば、果汁であれば「果汁感」、ピーチジュースであれば「ピーチ感」など)などであるが、これらに限定されるものではない。
これらの試料を評価している間、飲食時や安静の時間もふくめ生体信号を測定し、その変化を記録する。生体信号の測定としては、例えば、生体光計測装置で、被験者のこめかみ部分付近の信号強度の変化を計測する方法が例示できる。
被験者が試料溶液を飲用すると、試料溶液中の呈味組成物と香気組成物の情報が脳に伝達されて神経活動が起こり、神経活動が起こった脳では、神経活動に数秒遅れて毛細血管の拡張、酸素化ヘモグロビンの増加、および脱酸素化ヘモグロビンの減少が起こるが、生体光計測装置はこのヘモグロビン濃度変化を測定し、信号強度の変化として表示する。すなわち、生体光計測装置を用いて被験者の頭皮上から脳に近赤外光(700〜1500nm)を当てると、近赤外光は脳組織を通った後、反射して頭皮上に戻ってくるが、近赤外光はヘモグロビンにより吸収されるため、この反射光の減衰度合いの経時的変化からヘモグロビン濃度の変化(血流の経時的変化)が分かる。本発明の評価方法では、脳で認知された味覚物質と風味改良剤による刺激を、こめかみ部付近の唾液腺活動の応答信号、詳しくは主に耳下腺活動に伴うヘモグロビン量の変化信号として計測する。
本発明の評価方法で使用する生体光計測装置は、光子エネルギーが低く、人体に対して良く透過する近赤外光を利用して、光ファイバーを通じて頭皮上から照射し、頭皮・頭蓋骨を透過して大脳で反射してきた光を再び頭皮上で電気信号に変えて検出する装置である。この装置を用いて、血液中に含まれる色素タンパク質であるヘモグロビンに吸収された近赤外光の反射光強度を計測することにより、血流変化を計測することができる。本発明の評価方法では、生体光計測装置の中でも、特に光トポグラフィ装置、すなわち近赤外分光法を利用して大脳皮質の神経活動に伴い変化するヘモグロビンの相対的変化量を多点で測定し、脳機能画像として表示する装置を使用することが好ましい。脳は、活動した部位で血流が増加することが知られていることから、光トポグラフィ装置を用いると、局所的な脳血流変化を多点で完全に同時計測することができ、脳活動を画像として観察できる。
光トポグラフィ装置の基本構造は、近赤外半導体レーザから照射される光を光ファイバーに送る照射装置と、照射用ファイバーと検出用ファイバーを頭皮上の決められた位置に配置するための照射検出装置(プローブ)と、検出された光信号を処理し、演算・表示する計算部分からなる。頭皮から反射してきた光は検出用ファイバーからフォトダイオードに入り電気信号に変換され、その後、この電気信号はどの照射点から到達した光であるかが判別され、各計測点に対応した検出光強度データを基に、ヘモグロビンの濃度変化を演算し、トポグラフィ画像が生成される。
風味組成物の評価は、生体光計測装置で被験者のこめかみ部分付近の信号強度の変化を計測し、こめかみ部付近に対応する各チャンネル(CH)の血流量のデータを統計処理することによって行うことができる。本発明で使用する光トポグラフィ装置としては、例えば、日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)を例示することができる。
本発明の評価方法において、血流量変化の応答強度を計測するための部位は、上記のとおり、こめかみ部付近とする。この部位においては、唾液腺、特に耳下腺活動に伴う信号がリアルタイムに計測される。こめかみ部の血流量変化の応答は、日立ETG−4000型光トポグラフィ装置を使用した場合、左側ではチャンネル20、21、30、31、40、41、42、50、51、52を挙げることができ、また右側ではチャンネル11、12、22、23、32、33、34、43、44、45を挙げることができる。またこれらのチャンネルのうち、左側ではチャンネル40、41、51、52、右側ではチャンネル33、34、43、44が特に好ましい。
前述の手順で試料の飲食または試料溶液の飲用を行った場合、こめかみ部付近において、口に含んでから徐々に血流量が上昇し、約5秒から約30秒程度の間に血流量が最大値を示す。その後、徐々に血流量は下降し、口に含んでから約60秒でほぼ元のレベルとなる。そこで、ある特定の部位における口に含んでから約5秒から約30秒までの血流量の「最大値」から、口に含んだ瞬間から約15秒までの血流量の「最小値」を引いた値、すなわち血流量変化の「応答強度」を、こめかみ部付近の信号強度の変化とする。
また、唾液の分泌量の測定は、例えば、以下の手法が例示できる。1つの試料について、0秒で安静唾液を計測後、試料15mlを口に含みすぐ飲み込む。そのまま口をなるべく動かさないようにして30秒間に分泌された唾液をカップにはき出す。さらに30秒後(飲み込んでから1分後)に唾液をカップにはき出し、その後は飲み込んでから10分経過まで1分ごとに唾液をカップにはき出し、飲み込んでから10分経過までの唾液分泌量を計測する。
本発明の風味評価方法では、次いで前記の生体信号を測定する工程または被験者の唾液の分泌量を測定する工程から、風味組成物における呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の統合による調和の程度を求める。
基準となる計測値としては、再現しようとする飲食品の風味として調製した呈味組成物のうち、適当と思われる呈味組成物を特定の被験者が飲食したときにおける前記生体光計測により計測された応答強度を用いることができる。次いで、この呈味組成物に対して香気組成物を添加した風味組成物を調製し、その風味組成物をその被験者が飲食したときの生体光計測により計測された応答強度を計測する。この計測値と、前記の基準とする計測値を比較する。また、アンケートの結果から、被験者が香気組成物の添加により風味がどのように変化したと感じているかを調査する。
その結果、後に記載する実施例に例示する通り、複数の系において、呈味組成物のみの試料に対し、その呈味組成物に対して調和の取れていない香気組成物を添加しても応答強度はあまり増加しないが、その呈味組成物に対し、調和の取れた香気組成物を添加したときは応答強度が大幅に増加する現象が見出された。このような現象が生じる場合、すなわち、ある呈味組成物に対し香気組成物を添加したときに、その呈味と香気が調和の取れた状態での統合がなされ、生体信号の応答強度が増加する現象が見られる。本発明ではこのような場合を、呈味と香気の調和度が高いとする。呈味と香気の調和の程度は、例えば、呈味組成物の試料に対し香気組成物を添加したものを評価したときの応答強度を、呈味組成物の試料を評価したときの応答強度で割った値を「応答強度比」として求めることができる。すなわち、応答強度比が1より小さい場合または1に近い場合、全く調和していないか調和の程度は極めて低いといえる。また、1をやや超えた場合はやや調和しているといえ、1.5程度となると良く調和しているといえ、2を超えるような場合、非常に良く調和しているといえる。さらに、3を超えた場合は極めて良く調和しているといえる。
また、被験者の唾液分泌量についても、後に記載する実施例に例示する通り、その呈味組成物に対し、調和の取れた香気組成物を添加したときは唾液分泌量が大幅に増加する現象が見出された。この現象から、呈味組成物に対し、香気組成物を添加したときに、その呈味と香気が調和の取れた状態での統合がなされている場合、唾液分泌量が増加することが示されていると考えられる。調和の程度は、例えば、呈味組成物の試料に対し香料組成物を添加したものを評価したときの唾液分泌量を、呈味組成物の試料を評価したときの唾液分泌量で割った値を「唾液分泌量比」として求めることができ、この値を呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の統合による調和の程度を表す指標として使用することが可能である。
さらにまた、被験者の唾液の分泌量は、その風味組成物の有する摂食モチベーションの高さにより左右されると考えられることから、被験者の唾液の分泌量を指標として、その風味組成物の有する摂食モチベーションの高さを評価することができると考えられる。前記の結果から唾液の分泌量の増加と、応答強度比の間には正の相関が見られることから、唾液分泌量から求められた調和の程度の高さは、その風味組成物の有する摂食モチベーションの高さであると考えられる。
唾液分泌量は、実質的には摂食モチベーションの高さをほぼ正確に表していると考えられるにもかかわらず、特に唾液分泌量が少ない場合には、実際の計測は誤差を生じやすく、計測を正確に行うことは困難である。一方、生体光計測による応答強度を測定する操作は、簡便であり、また精度も高い。したがって、本願発明により、生体信号の応答強度から、風味組成物における呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の統合による調和の程度を求めることができ、これを風味組成物の有する摂食モチベーションとして用いることができると考えられる。
さらに、本発明の評価方法は、これまで述べてきた呈味組成物、香気組成物、呈味組成物と香気組成物からなる風味組成物のみならず、飲食物そのものにも応用できる。すなわち、ターゲットとする飲食物を、前述した各種の抽出方法、分離方法、リコンストラクト法、調合方法などを駆使して呈味と香気に分け、呈味、香気、および、呈味と香気を含む飲食物のそれぞれについて、これらを飲食したときの被験者の生体信号を測定し、飲食物の呈味と香気の統合による調和の程度を被験者の生体信号により測定し、生体信号から調和の程度を評価することができる。
また、飲食物を呈味と香気に分け、呈味、香気、および、呈味と香気を含む飲食物のそれぞれについて、これらを飲食したときの被験者の唾液分泌量を測定して、唾液分泌量から呈味と香気の統合による調和の程度を評価することもできる。
さらにまた、香気の部分として、飲食物の本来有する香気のみならず、香料を添加することにより外部から付加された香気を含むものである様な場合にも、飲食物の有する呈味部分と香気部分が統合されたものとして調和の程度を評価することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1−1)梅干の呈味組成物と香気組成物の統合の評価
梅干の呈味組成物として0.25%クエン酸水溶液および梅干の良好な香気を有する香気組成物として表1に記載する処方の調合香料組成物(梅干フレーバー(トータル))を調製した。この0.25%クエン酸水溶液を「未添加品」とし、この梅干フレーバー(トータル)を0.25%クエン酸水溶液(梅干の呈味組成物)に0.05%で添加した試料を「添加品(1)」として被験者に飲用させて、こめかみ部付近の血流量を測定すると共に、官能評価アンケートに記載させた。
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[被験者]
9名(20〜30代の男性7名、女性2名)
[測定方法]
安静60秒→試料飲用(30秒間飲用した試料の酸味強度を評価)→安静60秒→(180秒:その間に評価アンケートに記入)→(再度、最初の安静からの手順を繰り返す)
[呈示順(A)]
呈示順(1):未添加品→未添加品→未添加品。
呈示順(2):未添加品→未添加品→添加品(1)。
呈示順(1)および(2)を各1回ずつ計測した。
試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールを図1に示す。
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[官能評価アンケート]
においの強さについて最低を「無」、最高を「非常に強い」として、その間を「弱い」、「普通」、「強い」として13段階、酸味の強さについて最低を「無」、最高を「非常に強い」として、その間を「弱い」、「普通」、「強い」として13段階に分けた評価表を用いて被験者に記載させた。
アンケート用紙を図2に示す
[結果]
未添加品と添加品(1)を飲用したときの被験者の官能評価を図3に示す。
未添加品と添加品(1)を飲用したときの被験者の平均血流変化(52個のチャンネルの測定結果)を図4に示す。
官能評価の結果、被験者は未添加品と比べて、添加品(1)は有意ににおいの強さと酸味の強さを感じていた。
血流増加量の大きいチャンネルとしては左側ではチャンネル20、21、30、31、40、41、42、50、51、52、右側ではチャンネル11、12、22、23、32、33、34、43、44、45であった。これらのうち、左側ではチャンネル40、41、51、52、右側ではチャンネル33、34、43、44が特に大きかった。これらのチャンネルは左右のこめかみ部付近の血流量変化の応答を反映するものであるが、この部位においては、唾液腺、特に耳下腺活動に伴う信号がリアルタイムに計測されることが知られている。
血流量については、9名中8名は未添加品を飲用させた場合と比較して、添加品(1)を飲用させた場合血流量が増加した。8名の被験者の平均血流変化について、梅干フレーバー(トータル)添加の有無による差をピーク比を用いて比較したところ、クエン酸を連続して呈示した場合(呈示順(1))と比較して、左右のこめかみ部の計測領域で、梅干フレーバー(トータル)添加により血流が増加するという結果であった。なお、9名中残りの1名は、添加品(1)に対し梅干のにおいを感じなかったと評価しており、この時、梅干フレーバー(トータル)の添加による血流の増加は見られなかった。
(実施例1−2)梅干の呈味組成物と香気組成物の統合による唾液量の測定
実施例1−1で使用した、梅干の呈味組成物としての0.25%クエン酸水溶液およびこれに表1に記載の梅干の香気組成物を0.05%で添加した試料を「添加品(1)」を実施例1−1と同じ被験者に飲用させて、唾液の分泌量を測定した。
[被験者]
9名(20〜30代の男性7名、女性2名:実施例1−1と同一)
[測定方法]
0秒で安静時唾液を計測後、試料15mlを口に含み、すぐに飲み込む。そのまま口をなるべく動かさないようにして30秒間に分泌された唾液をカップに吐き出した。更に30秒後に唾液を吐き出し(刺激から1分後)その後は10分まで1分毎にカップに吐き出し、唾液分泌量を計測した。
[呈示順(B)]
未添加品と添加品(1)を交互に1時間の間隔をあけて計測した(1名につき各1回ずつ)
[結果]
未添加品と添加品(1)を飲用したときの被験者の平均的な官能評価を図5に示す。
未添加品と添加品(1)を飲用したときの被験者の累積唾液分泌量の平均値の経時変化を図5に示す。
唾液の分泌速度は未添加品、添加品(1)いずれも0分(飲み込んだとき)から30秒までが最も速く、その後1〜2分にかけて急激に減少した。梅干のにおいの有無の差は、計測後30秒において明確な差が見られる被験者もいたが、ほぼ全被験者においてその後の経時変化で梅干のにおいの有無により計測結果に差が見られた。図5に示す通り、全被験者の平均経時変化において、梅干フレーバーの添加により経時的に唾液分泌速度が速くなることが計測された。
食物の味と香りによる唾液腺活動の増強は、摂食モチベーションの増強を反映し、被験者の食経験に基づく脳活動によりおこると考えられる。実施例1−1の結果により、呈味と香気が調和の取れた状態での統合がなされている場合、こめかみ部付近の唾液腺活動にともなうヘモグロビン量の増加が引き起こされることが、また実施例1−2の結果により、呈味と香気が調和している場合に唾液の分泌量が増加することが確認された。これらの結果より、呈味組成物と香気組成物の調和の程度が被験者のこめかみ付近の血流量変化または被験者の唾液の分泌量で確認可能であること、および、呈味組成物と香気組成物の調和の程度を指標として風味組成物の有する摂食モチベーションを評価することができることが示唆された。そこで、実施例1−3において、呈味組成物と香気組成物が必ずしも調和しているとはいえない場合についての確認を行った。
(実施例1−3)梅干の呈味組成物と部分的な香気組成物による統合の評価
梅干の調合香料組成物のうち、表1に示す梅干フレーバー(酸パート)および梅干フレーバー(酸パート以外)を調製した。
なお、これらの調合香料組成物の香気は梅干をイメージさせる香気を有せず、次のような香気特性であった。
酸パート:やや刺激のある腐敗的な臭気であるが、何が腐ったのかを特定できないような臭気
酸パート以外:ややフローラルな香気であるが、花の種類を特定できないような香気
0.25%クエン酸水溶液を「未添加品」とし、これらの梅干フレーバー(酸パート)を0.25%クエン酸水溶液(梅干の呈味組成物)に対し0.05%添加した試料を「添加品(2)」、梅干フレーバー(酸パート以外)を0.25%クエン酸水溶液(梅干の呈味組成物)に対し0.05%添加した試料を「添加品(3)」とした。これらの試料を、実施例1において未添加品を飲用させた場合と比較して、添加品(1)を飲用させた場合こめかみ部付近の血流量が最も増加した被験者1名を被験者として飲用させて、実施例1と同様にこめかみ部付近の血流量を測定すると共に、官能評価アンケートに記載させた。
[被験者]
1名(30代、女性1名)
[測定方法]
安静60秒→試料飲用(30秒間飲用した試料の酸味強度を評価)→安静60秒→(180秒:その間に評価アンケートに記入)→(再度、最初の安静からの手順を繰り返す)
[呈示順(C)]
呈示順(3):未添加品→未添加品→未添加品。
呈示順(4):未添加品→未添加品→添加品(2)。
呈示順(3)および(4)を各5回ずつ計測した。
[呈示順(D)]
呈示順(5):未添加品→未添加品→未添加品。
呈示順(6):未添加品→未添加品→添加品(3)。
呈示順(5)および(6)を各5回ずつ計測した。
試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールは実施例1−1と同じとした。
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[結果]
未添加品(梅干の呈味組成物)と添加品(1)、(2)、(3)(梅干の呈味組成物にそれぞれ梅干の香気組成物、梅干の香気組成物のうち酸パート、梅干の香気組成物のうち酸パート以外を添加したもの)を飲用したときの被験者の官能評価(いずれの呈示順においても3試料目)を図6に示す。
それぞれの呈示順における未添加品(梅干の呈味組成物:2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)に対する、添加品(1)、(2)、(3)(梅干の呈味組成物にそれぞれ梅干の香気組成物、梅干の香気組成物のうち酸パート、梅干の香気組成物のうち酸パート以外を添加したもの:それぞれ3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)の比を図7に示す。
本被験者は未添加品の飲用に対し、添加品(1)の飲用においてこめかみ部付近の血流量が有意に増加したが、添加品(2)(梅干フレーバー(酸パート)を添加したもの)および添加品(3)(梅干フレーバー(酸パート以外)を添加したもの)は、いずれも増加せず、未添加品(0.25%クエン酸水溶液)と差が生じなかった。梅干の香気を酸パートと酸以外のパートに分けた香気組成物のいずれかを添加した場合、血流量の増加分(添加品(2)または添加品(3)の血流量から未添加品の血流量を引いた値)は、添加品(2)および添加品(3)それぞれの増加分を足し合わせても添加品(1)の増加分(添加品(1)の血流量から未添加品の血流量を引いた値)には及ばないことから、梅干の呈味に添加される香気組成物が梅干香気(酸パート)または梅干香気(酸パート以外)だけでは、呈味と香気の調和が取れておらず、こめかみ部付近の唾液腺活動にともなうヘモグロビン量の増加が引き起こされないことが判明した。
このことから逆に、呈味組成物と香気組成物のそれぞれ単独の試料を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度から、風味組成物における呈味組成物と香気組成物の調和の程度を求めることができ、求められた調和の程度を指標として風味組成物の有する摂食モチベーションを評価することができるといえる。
また、呈味組成物と香気組成物のそれぞれ単独の試料を飲食したときの唾液分泌量と、風味組成物を飲食したときの唾液分泌量から、風味組成物における呈味組成物と香気組成物の調和の程度を求めることができ、求められた調和の程度を指標とする飲食物の有する摂食モチベーションを評価することができるといえる。
(実施例2)ピーチ様呈味組成物または柑橘様呈味組成物とピーチ様香料組成物との適合
ピーチ様呈味組成物および柑橘様呈味組成物として表2に示す処方の呈味組成物水溶液を調製した。また、ピーチ様香料組成物として表3に示す処方の香料組成物を調製した。ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を0.05%で添加したものを添加品(4)、柑橘様呈味組成物にピーチ様香料組成物を0.05%で添加したものを添加品(5)とした。
これらのピーチ様呈味組成物、柑橘様呈味組成物、添加品(4)および添加品(5)の各試料を被験者に飲用させて、こめかみ部付近の血流量を測定すると共に、官能評価アンケートに記載させた。
Figure 0005889779
Figure 0005889779
[被験者]
1名(20代の女性1名)
[測定方法]
安静60秒→試料飲用(30秒間飲用した試料の酸味強度を評価)→安静60秒→(180秒:その間に評価アンケートに記入)→(再度、最初の安静からの手順を繰り返す)
[呈示順(E)]
呈示順(7):ピーチ様呈味組成物→ピーチ様呈味組成物→ピーチ様呈味組成物。
呈示順(8):ピーチ様呈味組成物→ピーチ様呈味組成物→添加品(4)。
測定回数:各5回
[呈示順(F)]
呈示順(9):柑橘様呈味組成物→柑橘様呈味組成物→柑橘様呈味組成物。
呈示順(10):柑橘様呈味組成物→柑橘様呈味組成物→添加品(5)。
測定回数:各5回
試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールは実施例1−1と同じとした。
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[官能評価アンケート]
ピーチ様呈味組成物または柑橘様呈味組成物に対してそれぞれにピーチ様香料組成物を添加した試料(添加品(4)または添加品(5))がどのように感じるかを評価項目として、甘味強度、酸味強度、におい強度、果肉感、完熟度、果汁感、まとまり・調和、好ましさの8項目を設定し、それぞれ最低を「無:0」、最高を「非常に強い:6」として、その間を1、2、3、4、5として7段階に分けた評価表を用いて被験者に記載させた。
[結果]
添加品(4)または添加品(5)を飲用したときの被験者の平均的な官能評価を図8に示す。
ピーチ様呈味組成物および添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の平均血流変化(52個のチャンネルの測定結果)を図9に示す。
ピーチ様呈味組成物および添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)、または、柑橘様呈味組成物および添加品(5)(柑橘様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したもの)を飲用したときの被験者の平均血流変化(CH51)を図10に示す。
ピーチ様呈味組成物(2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)に対する、添加品(4)(ピーチ様呈味組成物にピーチ様香気組成物を添加したもの:3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)の比(左図)、および、柑橘様呈味組成物(2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)に対する、添加品(5)(柑橘様呈味組成物にピーチ様香気組成物を添加したもの:3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH51)の比(右図)を図11に示す。
官能評価の結果、添加品(4)ではピーチ呈味組成物に対し、甘味強度、好ましさ、まとまり・調和、完熟感、果肉感、におい強度は大きく増加し、また、果汁感はやや増加し、酸味強度が低減した。すなわち、全体として果実らしい好ましさが増強しているという結果であった。一方、添加品(5)では柑橘様呈味組成物に対し、甘味強度およびにおい強度はやや増加したものの、好ましさ、まとまり・調和、果汁感、完熟感、果肉感はほとんど変化せず、また、酸味強度についてもやや増加しているという結果であった。
血流量測定の結果、ピーチ様呈味組成物にピーチ様香料組成物を添加したものでは、唾液腺部位の血流変化量は顕著に増加した。一方、より酸味の強い柑橘様呈味組成物に全く同じピーチ様香料組成物を添加したものでは、柑橘様呈味組成物に対する唾液腺部位の血流変化量の増加は見られなかった。
食物のフレーバーによる唾液腺活動の増強は、摂食モチベーションの増強を反映し、被験者の食経験に基づく脳活動により起こると考えられる。従って、上記の結果により、ピーチ様香料組成物とこのフレーバー(香料組成物)に適合する糖酸水という、調和した組み合わせの場合にこめかみ部付近の唾液腺活動にともなう血流量の増加が引き起こされていることが確認された。
実施例2の結果からも、呈味組成物と香気組成物のそれぞれ単独の試料を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度から、風味組成物における呈味組成物と香気組成物の調和の程度を求めることができ、求められた調和の程度を指標として風味組成物の有する摂食モチベーションを評価することができることが裏付けられた。
(実施例3−1)レモン様呈味組成物と、タイプの異なる2種類のレモン様香料組成物との適合
レモン様呈味組成物としてスリーシュガーHF55(群栄化学工業社製果糖ブドウ糖液糖:固形分74% 成分中グルコース約40%含有)8%およびクエン酸0.1%含有する水溶液(pH2.60)およびレモンの香気を有する香気組成物として表4に記載する処方の調合香料組成物(オーソドックスタイプとフレッシュタイプ)を調製した。フレッシュタイプにはオーソドックスタイプに対し、柑橘のフレッシュ感、天然感に寄与する成分である(E)−6−ノネナールと6,8,10−ウンデカトリエンを微量追加することにより調製した。香料組成物の官能評価ではフレッシュタイプはオーソドックスと比べ、フレッシュ感、果汁感が増強している他、唾液分泌促進のイメージを有しているという評価であった。レモン様呈味組成物にオーソドックスタイプのレモン香料組成物を0.05%添加した試料を「添加品(6)」、レモン様呈味組成物にフレッシュタイプのレモン香料組成物を0.05%添加した試料を「添加品(7)」とし、被験者に飲用させて、こめかみ部付近の血流量を測定すると共に、官能評価アンケートに記載させた。
Figure 0005889779
[被験者]
1名(30代、女性)
[測定方法]
安静60秒→試料飲用(30秒間飲用した試料の酸味強度を評価)→安静60秒→(180秒:その間に評価アンケートに記入)→(再度、最初の安静からの手順を繰り返す)
[呈示順(G)]
呈示順(11):レモン様呈味組成物→レモン様呈味組成物→レモン様呈味組成物。
呈示順(12):レモン様呈味組成物→レモン様呈味組成物→添加品(6)。
呈示順(11)および(12)を各5回ずつ計測した。
[呈示順(H)]
呈示順(13):レモン様呈味組成物→レモン様呈味組成物→レモン様呈味組成物。
呈示順(14):レモン様呈味組成物→レモン様呈味組成物→添加品(7)。
呈示順(13)および(14)を各5回ずつ計測した。
試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールは実施例1−1と同じとした。
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[官能評価アンケート]
レモン様呈味組成物に対して添加品(6)(オーソドックスタイプのレモン香料組成物を添加したレモン様呈味組成物)と添加品(7)(フレッシュタイプのレモン香料組成物を添加したレモン様呈味組成物)がどのように感じるかを評価項目として、甘味、酸味、果汁感、香りの強さ、好ましさの5項目を設定し、それぞれ最低を「無:0」、最高を「非常に強い:12」として、13段階に分けた評価表を用いて被験者に記載させた。
[結果]
レモン様呈味組成物と添加品(6)、(7)を飲用したときの被験者の官能評価を図12に示す。
レモン様呈味組成物(2試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH44)に対する、レモン様呈味組成物(3試料目)、添加品(6)(レモン様呈味組成物にオーソドックスタイプのレモン様香料組成物を添加したもの:3試料目)または添加品(7)(レモン様呈味組成物にフレッシュタイプのレモン様香料組成物を添加したもの:3試料目)を飲用したときの被験者の応答強度(CH44)の比を図13に示す。
官能評価においては、レモン様呈味組成物に対し、添加品(6)と添加品(7)のいずれも酸味や果汁感を強く感じており、好ましさも高かった。特に唾液分泌促進イメージを付与した添加品(7)は添加品(6)よりも酸味や果汁感を強く感じるという評価であった。また、全体の風味評価として、添加品(6)はレモンシロップという評価であるのに対し、添加品(7)はレモン果汁が加わったようなリアルな果汁感を持つレモン風味という評価であった。
血流量測定については、レモン様呈味組成物(2試料目)飲用後のレモン様香料組成物添加品(3試料目)を飲用した時のこれらのこめかみ部付近の血流変化量の比率(3試料目のこめかみ部付近の血流変化量/2試料目のこめかみ部付近の血流変化量)がどの程度増強したかを用いて解析を行った。その結果、レモン様呈味組成物の連続呈示時と比較して、左右のこめかみ部の計測領域でどちらのレモン様香料組成物の添加によっても血流が有意に増強するという結果を得た(図13は代表としてCH44の結果を示す)。このように、レモン様呈味組成物との比較では、オーソドックスタイプとフレッシュタイプのどちらのレモン様香料組成物の添加によっても血流増強が見られたため、香料組成物間の差は明確には検出できなかった。
(実施例3−2)タイプの異なる2種類のレモン様香料組成物の直接比較
実施例3−1では、レモン様呈味組成物との比較では、オーソドックスタイプとフレッシュタイプのどちらのレモン様香料組成物の添加によっても血流増強が見られ、香料組成物間の差は検出できなかったので香料組成物間の直接比較を行った。
実験方法は、呈示順を除き実施例3−1と同じである。
[呈示順(I)]
呈示順(15):添加品(6)→添加品(6)→添加品(6)。
呈示順(16):添加品(6)→添加品(6)→添加品(7)。
呈示順(15)および(16)を各5回ずつ計測した。
試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールは実施例1−1と同じとした。
[呈示順(J)]
呈示順(17):添加品(7)→添加品(7)→添加品(7)。
呈示順(18):添加品(7)→添加品(7)→添加品(6)。
呈示順(17)および(18)を各5回ずつ計測した。
試料の呈示、飲用、評価のタイムスケジュールは実施例1−1と同じとした。
[結果]
呈示順(I)の官能評価結果を図14に、呈示順(J)の官能評価結果を図15に示す。
呈示順(I)の血流変化計測結果(CH44)における、こめかみ部付近の血流測定結果の比率(3試料目のこめかみ部付近の血流変化量/2試料目のこめかみ部付近の血流変化量)を図16に示す。
呈示順(J)の血流変化計測結果(CH44)における、こめかみ部付近の血流測定結果の比率(3試料目のこめかみ部付近の血流変化量/2試料目のこめかみ部付近の血流変化量)を図17に示す。
官能評価においては、呈示順(I)、呈示順(J)のいずれの呈示順においても添加品(7)は添加品(6)と比べて被験者は果汁感や酸味を強く感じており、好ましさも高いと評価した。
また、血流変化量においては呈示順(I)において、添加品(6)(オースドックスタイプのレモン香料組成物を添加したレモン様呈味組成物)を連続して呈示した場合と比較して添加品(6)の後に添加品(7)(フレッシュタイプのレモン香料組成物を添加したレモン様呈味組成物)を呈示した場合は、左右のこめかみ部の計測領域で有意な血流の増強が計測された。さらにまた、呈示順を変えた呈示順(J)において、添加品(7)(フレッシュタイプのレモン香料組成物を添加したレモン様呈味組成物)を連続して呈示した場合では血流変化量はあまり変わらないのに対して、添加品(7)の後に添加品(6)(オーソドックスタイプのレモン香料組成物を添加したレモン様呈味組成物)を呈示した場合は、血流が下がるという結果であった。この結果より、フレッシュタイプのレモン香料組成物添加による血流の増強は呈示順によるものではないことが認められた。これらの呈示順の影響を考慮した香料組成物間の直接比較の検討から、オーソドックスタイプのレモン香料組成物添加品よりもフレッシュタイプのレモン香料組成物添加品の方がより被験者の血流を増強し、唾液腺活動に伴う血流に強く影響を与えることが分かった。
これらの官能評価および血流変化量の結果から、糖酸水(レモン様呈味組成物)とこの糖酸水に適合するレモン様香料組成物の調和の程度が高い場合にこめかみ部付近の唾液腺活動にともなうヘモグロビン量の増加がより大きく引き起こされていることが確認された。
食物のフレーバーによる唾液腺活動の増強は、摂食モチベーションの増強を反映し、被験者の食経験に基づく脳活動により起こると考えられる。よって、実施例3の結果からも、呈味組成物と香気組成物のそれぞれ単独の試料を飲食したときの生体信号と、風味組成物を飲食したときの生体信号の応答強度から、風味組成物における呈味組成物と香気組成物の調和の程度を求めることができ、求められた調和の程度を指標として風味組成物の有する摂食モチベーションを評価することができることが裏付けられた。
さらにまた、この手法は、飲食物を、例えば、詳細な説明で記載した手法で呈味の部分と香気の部分に分け、飲食物の呈味と香気の調和の程度を被験者の生体信号により測定し、生体信号から求められた調和の程度を指標とする飲食物の有する摂食モチベーションの評価方法として応用可能と考えられる。また、実施例3においては、フレッシュタイプのレモン様香料組成物はオーソドックスタイプのレモン様香料組成物に対し、特定のフレッシュ感を醸し出す成分を添加したものであることから、飲食物の呈味と香気の調和の程度を被験者の生体信号により測定する際の香気が香料を添加することにより付加された香気を含むものである場合においても、生体信号から求められた調和の程度を指標とする飲食物の有する摂食モチベーションの評価方法として応用可能と考えられる。

Claims (8)

  1. 次の工程(1)〜(6)を含む、呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の統合による調和の程度の評価方法。
    (1)呈味組成物を調製する工程、
    (2)香気組成物を調製する工程、
    (3)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
    (4)工程(3)における被験者の生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ部付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号を測定する工程、
    (5)工程(4)における、呈味組成物を飲食したときの前記変化信号と、風味組成物を飲食したときの前記変化信号の応答強度比を求める工程、
    (6)工程(5)における応答強度比により、調和の程度を以下の基準で分類する工程、分類基準:
    応答強度比が1より小さい場合または1に近い場合:全く調和していないか調和の程度は極めて低い
    応答強度比が1をやや超えた場合:やや調和している
    応答強度比が1.5程度:良く調和している
    応答強度比が2を超える場合:非常に良く調和している
    応答強度比が3を超える場合:極めて良く調和している
  2. 次の工程(1)〜(7)を含む飲食物の、呈味と香気の統合による調和の程度の評価方法。
    (1)飲食物の風味を構成する要素を呈味と香気に分ける工程、
    (2)呈味に関する要素を、呈味組成物として調製する工程、
    (3)香気に関する要素を香気組成物として調製する工程、
    (4)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
    (5)工程(4)における被験者の生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ部付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号を測定する工程、
    (6)工程(5)における、呈味組成物を飲食したときの前記変化信号と、風味組成物を飲食したときの前記変化信号の応答強度比を求める工程、
    (7)工程(6)における応答強度比により、調和の程度を以下の基準で分類する工程、分類基準:
    応答強度比が1より小さい場合または1に近い場合:全く調和していないか調和の程度は極めて低い
    応答強度比が1をやや超えた場合:やや調和している
    応答強度比が1.5程度:良く調和している
    応答強度比が2を超える場合:非常に良く調和している
    応答強度比が3を超える場合:極めて良く調和している
  3. 被験者の唾液分泌量が少ない場合における被験者の摂食モチベーションの評価方法であって、次の工程(1)〜(5)を含む、呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の組合せに対する、被験者の摂食モチベーションの評価方法。
    (1)呈味組成物を調製する工程、
    (2)香気組成物を調製する工程、
    (3)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
    (4)工程(3)における被験者の生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ部付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号を測定する工程、
    (5)工程(4)における、呈味組成物を飲食したときの前記変化信号と、風味組成物を飲食したときの前記変化信号の応答強度比を、被験者の、風味組成物における呈味組成物からもたらされる呈味と、香気組成物からもたらされる香気の組み合わせに対する、摂食モチベーションとする工程。
  4. 被験者の唾液分泌量が少ない場合における被験者の摂食モチベーションの評価方法であって、次の工程(1)〜(6)を含む、飲食物に対する、被験者の摂食モチベーションの評価方法。被験者の唾液分泌量が少ない場合における
    (1)飲食物の風味を構成する要素を呈味と香気に分ける工程、
    (2)呈味に関する要素を、呈味組成物として調製する工程、
    (3)香気に関する要素を香気組成物として調製する工程、
    (4)呈味組成物を単独で、および、呈味組成物と香気組成物を組み合わせたものを風味組成物として被験者に飲食させる工程、
    (5)工程(4)における被験者の生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号を測定する工程、
    (6)工程(5)における、呈味組成物と香気組成物のそれぞれ単独の試料を飲食したときの前記変化信号と、風味組成物を飲食したときの前記変化信号の応答強度比を、被験者の、飲食物に対する摂食モチベーションとする工程。
  5. 香気が、香料を添加することにより付加された香気を含むものであることを特徴とする請求項2または4に記載の評価方法。
  6. 生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号が、唾液腺活動の応答信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
  7. 生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号が、唾液腺活動に伴うヘモグロビン量の変化信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
  8. 生体光計測装置により近赤外光を被験者のこめかみ付近に照射して得られた血液中のヘモグロビン量の変化信号が、耳下腺活動に伴うヘモグロビン量の変化信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
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