以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
まず、図1を参照して、本実施形態における飲食物評価システムの機能及び構成を説明する。図1は、飲食物評価システムのブロック図である。飲食物評価システム1は、対象の飲食物の評価を行う。飲食物評価システム1は、対象の飲食物の評価として、対象の飲食物の成分データを取得し、取得した成分データに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる複数種の感覚を推定する。飲食物に対して感じられる複数種の感覚は、飲食物に対して感じられる味覚、視覚、食感、及び、香りを含んでいる。飲食物に対して感じられる感覚は、飲食物を飲食した場合に感じられる感覚だけでなく、飲食物の飲食前に感じられる視覚及び香りなども含んでいる。成分データは、飲食物に含まれる複数の成分の各々の含有量を含んでいる。
対象の飲食物は、たとえば、飲料である。飲料としては、たとえば、アルコール飲料が挙げられる。アルコール飲料としては、たとえば、ワイン及び日本酒などの醸造酒、並びに、ウィスキー及び焼酎などの蒸留酒が挙げられる。本実施形態における飲食物の評価によって、アルコール飲料と食品との相性を判断することができる。本実施形態における飲食物の評価において、対象の飲食物は、食事中に飲むことの多い醸造酒がより好ましい。
飲食物評価システム1は、特定情報取得部10と、成分データ取得部11と、格納部12と、推定モデル取得部13と、評価値推定部14と、推定情報取得部15と、グラフ作成部16と、出力部17とを備えている。飲食物評価システム1は、これらに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる複数種の感覚を推定する。たとえば、飲食物評価システム1は、対象の飲食物に対して感じられる複数種の感覚に関する情報として、味覚に関する情報と、炭酸度及び香りの少なくとも一つに関する情報とを推定する。以下、飲食物に対して感じられる感覚を単に「感覚」ともいう。以下、飲食物評価システム1によって推定される情報を「推定情報」という。本実施形態において、推定情報は、複数種の味覚と、炭酸度と、複数種の香りとに関する情報を含んでいる。本実施形態において、飲食物評価システム1は、対象の飲食物を飲食した場合に感じられる複数種の味覚と、対象の飲食物の炭酸度及び香りの少なくとも一方とを推定する。推定情報に含まれる複数種の味覚は、たとえば、塩味、酸味、甘味、旨味、及び、苦味を含んでいる。以下、塩味、酸味、甘味、旨味、及び、苦味の複数種の味覚を纏めて五味と呼ぶ。飲食物評価システムは、推定した推定情報を示すグラフを作成する。
特定情報取得部10は、対象の飲食物を特定する特定情報を取得する。特定情報は、例えば、対象の飲食物の名称である。特定情報は、対象の飲食物を示す識別番号又は品番であってもよい。特定情報は、対象の飲食物を示す画像情報であってもよい。特定情報取得部10は、ユーザから直接入力された特定情報を取得してもよいし、ネットワークを介して他の機器から出力された特定情報を取得してもよい。
成分データ取得部11は、対象の飲食物について、成分データを取得する。成分データは、飲食物に含まれる複数の成分の各々の含有量に関する情報を含んでいる。成分データ取得部11は、特定情報取得部10によって取得された特定情報に基づいて、対象の飲食物の成分データを取得する。たとえば、成分データ取得部11は、特定情報に予め関連付けられている成分データを格納部12から取得する。成分データ取得部11は、飲食物評価システム1の外部から成分データを取得してもよいし、成分データ取得部11における測定結果を成分データとして取得してもよい。成分データ取得部11は、特定情報取得部10を兼ねていてもよい。例えば、成分データ取得部11によって取得される成分データが、対象の飲食物を特定する特定情報であってもよい。
成分データ取得部11によって取得される成分データにおいて、この成分データに含まれる複数の成分は、たとえば、全ての飲食物に含まれると考えられる全ての成分である。成分データ取得部11は、たとえば、全ての飲食物に含まれていると考えられる全ての成分から、対象の飲食物に対して感じられる感覚に関係しない又は関係性が低いと考えられる成分を除いた成分に関する成分データを取得してもよい。成分データ取得部11によって取得される成分データは、測定可能な成分の成分データであり、たとえば、各種のクロマトグラフィに基づいて測定され得る成分データである。
各種のクロマトグラフィは、たとえば、イオンクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、誘導体化を用いたガスクロマトグラフィ質量分析法、及び、ヘッドスペースガスクロマトグラフィ質量分析法の少なくとも1つを含んでいる。イオンクロマトグラフィによれば、主として有機酸の含有量が測定され得る。液体クロマトグラフィによれば、主としてアミノ酸及び糖成分の含有量が測定され得る。誘導体化を用いたガスクロマトグラフィ質量分析法によれば、主として有機酸、アミノ酸、及び糖成分の含有量が測定され得る。成分データは、香り成分に関する情報を含んでいてもよい。ヘッドスペースガスクロマトグラフィ質量分析法によれば、主として香り成分の含有量が測定され得る。たとえば、イオンクロマトグラフィであれば、イオンの価数、イオン半径、疎水性などの性質の違いにより、イオン成分を分離して、各イオン成分量を検出できる。この結果、複数種の有機酸の各々について成分量が測定される。
成分データ取得部11によって取得される成分データは、対象の飲食物の炭酸度に関する情報を含んでいてもよい。炭酸度は、たとえば、CO2の含有量である。本実施形態の変形例として、炭酸度は、CO2以外も含むガスの含有量であってもよいし、泡の大きさであってもよいし、ガスの含有量と泡の大きさとの双方に関する指標値であってもよい。
炭酸度の取得には、たとえば、CO2測定機が用いられる。たとえば、CO2測定機は、ヴァイサラ株式会社のVAISALA GMT222である。炭酸度は、たとえば、飲食物が入ったカップにCO2測定機を配置した状態で測定される。たとえば、CO2測定機は、飲食物に触れないようにカップの内部に配置される。たとえば、CO2測定機がカップの内部に配置された状態において、カップはラップなどの蓋によって覆われる。この状態において所定時間待機した後に、CO2測定機から出力されるCO2量を炭酸度として取得する。待機する所定時間は、たとえば、180秒である。
格納部12は、種々の情報を予め格納しており、各種の機能部からの情報を格納する。格納部12は、たとえば、成分データ取得部11によって取得された成分データを格納する。格納部12は、成分データ取得部11において取得される成分データを予め格納していてもよい。格納部12は、互いに異なる複数種の感覚にそれぞれ対応する複数の推定モデルを格納している。推定モデルは、複数種の飲食物の各々における成分データと、複数種の飲食物の各々に対して感じられる複数種の感覚の各々を定量的に示す仮データと、各感覚と各成分との相関係数とに基づいて作成されている。仮データは、たとえば、複数種の飲食物の各々について複数種の味覚の各々を定量的に示すデータと、複数種の飲食物の各々について炭酸度を定量的に示すデータと、複数種の飲食物の各々について香りを定量的に示すデータとの少なくとも一つを含んでいる。
推定モデル取得部13は、対象の飲食物に対して感じられる感覚の判定に用いられる推定モデルを取得する。推定モデル取得部13は、互いに異なる複数種の感覚にそれぞれ対応する複数の推定モデルを取得する。換言すれば、推定モデル取得部13によって取得される推定モデルと、飲食物評価システム1によって推定される感覚とは、一対一の関係にある。推定モデル取得部13は、たとえば、飲食物評価システム1によって推定される感覚の種類の数と同一の数の推定モデルを取得する。推定モデル取得部13は、たとえば、五味のそれぞれに対応する5つの推定モデルと、炭酸度と香りとのそれぞれに対応する2つの推定モデルとを取得する。推定モデルは、対象の飲食物における複数の成分の各々の含有量に関する情報の入力に応じて、対象の飲食物に対して感じられる感覚に関する評価値を出力する。
評価値は、たとえば、味覚値と、炭酸度及び香り値の少なくとも一つとを含んでいる。たとえば、味覚に関する評価値は味覚値を含んでおり、炭酸度に関する評価値は炭酸度を含んでおり、香りに関する評価値は香り値を含んでいる。味覚値は、たとえば、対象の味覚の度合いを示す数値である。炭酸度は、たとえば、飲食時における発泡の度合いを示す数値である。香り値は、たとえば、対象の香りの強さの度合いを示す数値である。推定モデル取得部13は、飲食物評価システム1の外部から推定モデルを取得してもよいし、格納部12に予め格納されている推定モデルを取得してもよい。
評価値推定部14は、成分データ取得部11によって取得された成分データと、推定モデル取得部13によって取得された推定モデルとに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚に関する評価値を推定する。評価値推定部14は、成分データ取得部11によって取得された成分データと、推定モデル取得部13によって取得された複数の推定モデルとに基づいて、対象の飲食物について各推定モデルに対応する感覚に関する評価値を推定する。評価値推定部14は、たとえば、複数の推定モデルによって、対象の飲食物の評価値として、対象物の飲食物における複数種の味覚の味覚値と、炭酸度と、複数種の香りの香り値とを推定する。本実施形態において、評価値推定部14は、複数種の味覚と、炭酸度と、複数種の香りの香り値との各々に対応する推定モデルから、対象の飲食物における各味覚の味覚値と、炭酸度と、各香りの香り値とを出力する。評価値推定部14は、たとえば、五味の各々の味覚値と、炭酸度と、2種類の香り値とを、それぞれ段階評価によって示した評価値を出力する。2種類の香り値は、たとえば、リンゴ香の香り値と、バナナ香の香り値である。リンゴ香が第一種の香りである場合、バナナ香が第二種の香りに相当する。
評価値推定部14は、格納部12、推定情報取得部15、及び、出力部17の少なくとも1つに、推定モデルによって推定された評価値を出力する。評価値推定部14によって推定される味覚値が第一評価値である場合、評価値推定部14によって推定される炭酸度と香り値との少なくとも一方は第二評価値に相当する。
推定情報取得部15は、対象の飲食物の味覚に関する評価値と、対象の飲食物の炭酸度及び香りの少なくとも一方に関する評価値とを含んでいる推定情報を取得する。推定情報取得部15は、特定情報取得部10によって取得された特定情報に基づいて、推定情報を取得する。本実施形態では、推定情報取得部15は、特定情報に基づいて取得された成分データと推定モデルとを用いて、評価値推定部14によって推定された推定情報を取得する。推定情報取得部15は、評価値推定部14から推定情報を取得する。推定情報取得部15は、特定情報に基づいて、格納部12から推定情報を取得してもよい。推定情報取得部15は、特定情報に基づいて、飲食物評価システム1の外部から推定情報を取得してもよい。推定情報取得部15は、取得した情報をグラフ作成部16に出力する。
グラフ作成部16は、推定情報に基づいて、対象の飲食物の味覚に関する評価値と、対象の飲食物の炭酸度及び香りの少なくとも一方に関する評価値とを示すグラフを作成する。グラフの作成は、たとえば、グラフを表示するためのデータの作成を含んでいる。グラフ作成部16によって作成されるグラフは、対象の飲食物の味覚に関する評価値を示すレーダチャートと、対象の飲食物の味覚以外の評価値をレーダチャートの周囲において示すサブチャートとを含んでいる。サブチャートは、たとえば、対象の飲食物の炭酸度及び香りの少なくとも一方に関する評価値を示す。サブチャートは、円環グラフ及び棒グラフなど種々の図表を含んでいる。「評価値を示す」とは、評価値自体を表示するだけでなく、評価値に関する情報を表示することを含んでいる。グラフ作成部16は、格納部12及び出力部17の少なくとも1つに、作成されたグラフを出力する。
グラフ作成部16は、たとえば、基準データを取得し、基準データと推定情報とを比較した値に基づいて推定情報を示すグラフを作成する。グラフ作成部16は、たとえば、基準データを格納部12から取得する。基準データは、たとえば、複数種の飲食物の味覚に関する評価値と、複数種の飲食物の炭酸度に関する評価値と、複数種の飲食物の香りに関する評価値との少なくとも一つに基づく。基準データは、第一基準データと、第二基準データと、第三基準データとの少なくとも一つを含んでいる。第一基準データは、複数種の飲食物の味覚に関する評価値のうちの最小値と最大値との少なくとも一方を含んでいる。第二基準データは、複数種の飲食物の炭酸度に関する評価値のうちの最小値と最大値との少なくとも一方を含んでいる。第三基準データは、複数種の飲食物の香りに関する評価値のうちの最小値と最大値との少なくとも一方を含んでいる。
グラフ作成部16は、たとえば、対象の飲食物に対する感覚に関する評価値を、基準データに含まれている最小値を下限すると共に基準データに含まれている最大値を上限とする相対評価によって示すグラフを作成する。このグラフは、たとえば、対象の飲食物の複数の味覚に関する評価値を、第一基準データにおける最小値を下限とすると共に第一基準データにおける最大値を上限とする相対評価によって示す。このグラフは、たとえば、対象の飲食物の炭酸度に関する評価値を、第二基準データにおける最小値を下限とすると共に第二基準データにおける最大値を上限とする相対評価によって示す。このグラフは、たとえば、対象の飲食物の香りに関する評価値を、第三基準データにおける最小値を下限とすると共に第三基準データにおける最大値を上限とする相対評価によって示す。グラフ作成部16は、対象の飲食物に対する感覚に関する評価値を、基準データに含まれている最小値と基準データに含まれている最大値との一方のみを基準する相対評価によって示すグラフを作成してもよい。
たとえば、グラフ作成部16は、対象の飲食物の塩味に関する評価値を、基準データに対する相対評価によって示すグラフを作成する。この場合、第一基準データは、たとえば、複数種の飲食物の各々における塩味の度合いを示す複数の数値のうち最小値と最大値とを含んでいる。たとえば、グラフ作成部16は、塩味に関する第一基準データの最小値をグラフの下限の0とし、塩味に関する第一基準データの最大値をグラフの上限の9とし、対象の飲食物の塩味に関する評価値を0~10の11段階の相対評価によって示すグラフを作成する。この場合、たとえば、グラフ作成部16は、{10/(基準データにおける最大値-基準データにおける最小値)}×(評価値-基準データにおける最小値)の式を用いて、対象の飲食物の塩味に関する評価値を相対値に変換する。
たとえば、塩味に関する第一基準データの最小値が2であり、塩味に関する第一基準データの最大値が10であり、対象の飲食物の塩味に関する評価値が5であるとする。この場合、グラフ作成部16は、対象の飲食物の塩味に関する評価値の相対値は0~10のうち3.75であることを示すグラフを作成する。
出力部17は、対象の飲食物に対して評価値推定部14において推定された情報を出力する。出力部17は、たとえば、推定情報及びグラフ作成部16において作成されたグラフの少なくとも一方を含む評価データを出力する。出力部17は、たとえば、表示部を含み、グラフ作成部16において作成されたグラフを表示する。
図2は、グラフ作成部16において作成されるグラフの一例を示している。出力部17は、たとえば、図2に示されているグラフ20を表示部に表示する。図2に示されているグラフ20は、レーダチャート21と2種のサブチャート22,24と枠25とを含んでいる。グラフ作成部16は、レーダチャート21を表示するためのデータを作成する。グラフ作成部16は、2種のサブチャート22,24の少なくとも1つを表示するためのデータを作成する。グラフ作成部16は、枠25を表示するためのデータを作成する。
レーダチャート21は、たとえば、対象の飲食物に関する各味覚の味覚値を示している。グラフ作成部16は、グラフ20の中心点26を基準として、各味覚の味覚値に対応する位置を決定する。複数種の味覚の味覚値に対応する位置は、それぞれ、中心点26から放射状に延在する複数の直線27上に位置する。各味覚の味覚値に対応する位置は、対応する直線27上に配置される。グラフ作成部16は、決定された各味覚の味覚値に対応する位置を頂点とする多角形によってレーダチャート21を示す。たとえば、評価値推定部14によって五味の味覚値が推定される場合において、グラフ作成部16は、各味覚の味覚値を五角形で示すレーダチャート21を作成する。グラフ作成部16は、各味覚の味覚値と第一基準データとに基づいて各味覚の相対値を演算し、演算された相対値を示すレーダチャート21を作成する。
レーダチャート21は、枠25に囲われている。枠25は、中心点26を中心とする円形状を呈している。各直線27は、中心点26から枠25まで延在している。枠25は、レーダチャート21の形状に対応する多角形状を呈していてもよい。たとえば、評価値推定部14によって五味の味覚値が推定される場合において、グラフ作成部16は、正五角形の枠25を作成してもよい。この場合、複数の直線27は、それぞれ、対応する枠25の頂点まで延在してもよい。複数の直線27は、それぞれ互いに異なる味覚に対応している。
レーダチャート21において、各味覚の相対値は、対応する直線27に沿ってプロットされる。各味覚の相対値がプロットされる位置に、各味覚を示す多角形の頂点が表示される。したがって、レーダチャート21において、各味覚を示す多角形の頂点は、対応する直線27に沿って表示される。レーダチャート21において、各味覚を示す多角形の頂点は、各味覚の相対値が小さいほど中心点26の近くに表示され、各味覚の相対値が大きいほど枠25の近くに表示される。
サブチャート22,24は、たとえば、対象の飲食物の炭酸度と香りとに関する評価値を示している。サブチャート22は、特定領域αが枠25の内部を占める度合いによって、評価値を示す。特定領域αは、たとえば、枠25の内部において延在する直線23と枠25とによって画定される。特定領域αは、たとえば、枠25の最下点の側に示されている。枠25の最下点からの特定領域αが占める面積が、示す評価値に応じて変化する。たとえば、評価値が大きいほど、枠25の最下点からの特定領域αが占める面積も大きい。直線23は、たとえば、水平方向に延在している。示す評価値に応じて、枠25の最下点からの直線23の高さが変化する。たとえば、評価値が大きいほど、枠25の最下点からの直線23の高さも大きい。
本実施形態において、サブチャート22は、対象の飲食物の炭酸度に関する評価値を示している。グラフ作成部16は、たとえば、炭酸度と第二基準データとに基づいて炭酸度の相対値を演算し、演算された相対値を示すサブチャート22を作成する。サブチャート22において、炭酸度の相対値は、枠25の最下点からの直線23の高さに対応する。炭酸度の相対値が対応する高さに直線23が位置するように、特定領域αが表示される。炭酸度の相対値が小さいほど、直線23は枠25の最下点の近くに表示され、特定領域αの面積は小さい。炭酸度の相対値が大きいほど、直線23は枠25の最上点の近くに表示され、特定領域αの面積は大きい。
図2において、特定領域αは、レーダチャート21の外部のみに示されている。特定領域αは、直線23に対応するように、レーダチャート21の内部の一部に示されていてもよい。図2において、特定領域αは、ハッチングによって示されている。特定領域αは、枠25の内部の他の部分と異なる色によって着色された領域であってもよい。特定領域αは、炭酸度又は香りに関連する図柄によって表されてもよい。特定領域αは、たとえば、炭酸をイメージさせるように、複数の泡を示す図柄によって表されてもよい。
サブチャート24は、レーダチャート21よりも下方の位置からレーダチャート21を囲うように延在するバー24a,24bの長さによって、評価値を示す。バー24a,24bは、中心点26を中心とする円弧上において延在している。本実施形態において、サブチャート24は、対象の飲食物の香りに関する評価値を示している。サブチャート24は、たとえば、2種類の香りを、それぞれバー24aとバー24bとによって示す。バー24aとバー24bは、レーダチャート21よりも下方の位置において接続されている。バー24aとバー24bとの境界は、枠25の最下点を通る直線上に延在している。バー24aは、レーダチャート21よりも下方の位置からレーダチャート21を囲うようにレーダチャート21の左側に延在している。バー24bは、レーダチャート21よりも下方の位置からレーダチャート21を囲うようにレーダチャート21の右側に延在している。図2において、バー24a,24bは、それぞれ異なるハッチングによって示されている。バー24a,24bは、それぞれ異なる色によって着色されていてもよい。
サブチャート24は、たとえば、リンゴ香に関する評価値を、バー24aの長さによって示し、バナナ香に関する評価値を、バー24bの長さによって示している。バー24a及びバー24bの長さは、示す評価値に応じて変化する。たとえば、評価値が大きいほど、バー24a,24bの長さは長い。グラフ作成部16は、たとえば、各香りの香り値と第三基準データとに基づいて香りの相対値を演算し、演算された相対値を示すサブチャート24を作成する。サブチャート24において、香りの相対値は、バー24a,24bの長さに対応する。香りの相対値が小さいほど、バー24a,24bの長さは短い。香りの相対値が大きいほど、バー24a,24bの長さは長い。
図3は、本実施形態の変形例におけるグラフ作成部16において作成されるグラフの一例を示す図である。図3に示されているグラフ20Aは、レーダチャート21と2種のサブチャート22,29と枠25とを含んでいる。本変形例は、サブチャート24の代わりにサブチャート29が用いられている点において、上述した実施形態と異なる。
サブチャート29は、たとえば、対象の飲食物の炭酸度と香りとに関する評価値を示している。本変形例において、サブチャート29は、対象の飲食物の香りに関する評価値を示している。サブチャート29は、矩形状の領域を占めるバー29a,29bの長さによって、評価値を示す。バー29a,29bは、矩形状を呈している。本変形例において、バー29a,29bは、水平方向に延在している。サブチャート29は、たとえば、2種類の香りを、それぞれバー29aとバー29bとによって示す。バー29aは、レーダチャート21よりも下方の位置において水平方向に延在している。バー29bは、バー29aよりも下方の位置に置いて水平方向に延在している。バー29aとバー29bとは、平行に配列されている。図3において、バー29a,29bは、それぞれ異なるハッチングによって示されている。バー29a,29bは、それぞれ異なる色によって着色されていてもよい。
サブチャート29は、たとえば、リンゴ香に関する評価値を、バー29aの長さによって示し、バナナ香に関する評価値を、バー29bの長さによって示している。バー29a及びバー29bの長さは、示す評価値に応じて変化する。たとえば、評価値が大きいほど、バー29a,29bの長さは長い。グラフ作成部16は、たとえば、各香りの香り値と第三基準データとに基づいて香りの相対値を演算し、演算された相対値を示すサブチャート29を作成する。サブチャート29においても、香りの相対値は、バー29a,29bの長さに対応する。香りの相対値が小さいほど、バー29a,29bの長さは短い。香りの相対値が大きいほど、バー29a,29bの長さは長い。
次に、図4を参照して、推定モデル作成システムの機能及び構成を説明する。図4は、推定モデル作成システムのブロック図である。推定モデル作成システム30は、対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する推定モデルを作成する。飲食物評価システム1と推定モデル作成システム30とは、一体であってもよい。
推定モデル作成システム30は、成分データ取得部31と、仮データ取得部32と、格納部33と、第一成分データ選別部34と、相関係数演算部35とを備えている。推定モデル作成システム30は、さらに、第二成分データ選別部36と、仮推定モデル作成部37と、仮評価値演算部38と、推定モデル決定部39と、出力部40とを備えている。
成分データ取得部31は、複数種の飲食物の各々における成分データを取得する。上述したように、成分データは、飲食物に含まれる複数の成分の各々の含有量に関する情報を含んでいる。成分データ取得部31は、推定モデル作成システム30の外部から成分データを取得してもよいし、成分データ取得部31における測定結果を成分データとして取得してもよい。
成分データ取得部31によって成分データを取得する複数種の飲食物は、作成される推定モデルが対象とする種別の飲食物であり、推定対象の飲食物と同種の飲食物である。たとえば、推定モデルによって感覚を推定する飲食物がアルコール飲料に分類される場合には、成分データ取得部31は、複数種のアルコール飲料をサンプルとして、各サンプルにおける成分データを取得する。以下、成分データ取得部31によって成分データを取得する飲食物を「サンプル」と呼ぶ。
成分データ取得部31によって取得される成分データにおいて、この成分データに含まれる複数の成分は、たとえば、全ての飲食物に含まれると考えられる全ての成分である。成分データ取得部31によって取得される成分データにおいて、この成分データに含まれる複数の成分は、サンプル又は推定対象の飲食物と同種の飲食物に含まれると考えられる全ての成分であってもよい。推定対象の飲食物は、作成される推定モデルの対象の飲食物である。成分データ取得部31によって取得される成分データは、測定可能な成分の成分データであり、各種のクロマトグラフィに基づいて測定され得る成分データである。成分データ取得部31によって取得される成分データは、複数種のサンプルの炭酸度に関する情報を含んでいてもよい。成分データ取得部31によって取得される成分データは、香り成分に関する情報を含んでいてもよい。
たとえば、成分データ取得部31によって取得される成分データは、153種の成分毎の含有量に関する情報を含んでいる。推定モデル作成システム30がアルコール飲料に対して感じられる感覚う味覚の推定を行う推定モデルを作成する場合、成分データ取得部31によって取得される成分データは、アルコール飲料に含まれる測定可能な成分毎の含有量に関する情報を含んでいる。アルコール飲料に含まれる測定可能な成分は、たとえば、85種の成分である。成分データ取得部31は、たとえば、50種以上の成分毎の含有量に関する情報を成分データとして取得する。
仮データ取得部32は、複数種のサンプルの各々について仮データを取得する。仮データ取得部32は、推定モデル作成システム30の外部から仮データを取得してもよいし、仮データ取得部32における測定結果を仮データとして取得してもよい。仮データは、複数種の飲食物の各々に対して感じられる複数種の感覚の各々を定量的に示すデータである。仮データは、既知の味覚センサなどのセンサによって取得される。本実施形態の変形例として、仮データは、官能試験に基づいて取得されたデータであってもよい。
たとえば、味覚に関する仮データは、既知の味覚センサによって取得される。味覚センサは、たとえば、塩味、酸味、甘味、旨味、及び、苦味を含む複数種の味覚について、各味覚の度合いを示す味覚値を検出する。味覚センサは、たとえば、脂質膜の電位変化を測定する。味覚センサは、各味覚に対応する成分が脂質膜に付着することによって生じる電位変化に基づいて味覚値を検出する。以下、味覚センサなどのセンサによって検出される評価値を、検出評価値という。
塩味に対応する成分は、たとえば、NaCl、KCl、及び、LiClなどを含んでいる。酸味に対応する成分は、たとえば、塩酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、及びコハク酸などを含んでいる。甘味に対応する成分は、たとえば、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、グリシン、及び、アスパルテームなどを含んでいる。旨味に対応する成分は、グルタメート、イノシン酸、及び、グアニル酸などを含んでいる。苦味に対応する成分は、カフェイン、キニーネ、タンニン、フェニルアラニン、及び、Mg2+などを含んでいる。
既知の味覚センサでは、複数の成分が同時に脂質膜に付着するため、成分ごとの含有量を測定することは困難である。既知の味覚センサにおける検出結果に影響を及ぼす成分の種類は、各種のクロマトグラフィに基づいて測定され得る成分の種類よりも圧倒的に少ない。
格納部33は、種々の情報を予め格納しており、各種の機能部からの情報を格納する。格納部33は、たとえば、成分データ取得部31によって取得された成分データを格納する。格納部33は、仮データ取得部32によって取得された仮データを格納する。
第一成分データ選別部34は、成分データ取得部31において取得された成分データから、推定対象の飲食物と同種の飲食物に対して感じられる感覚に関係しない又は関係性が低いと考えられる成分の成分データを除いた第一成分データを選別する。換言すれば、第一成分データ選別部34は、成分データ取得部31において取得された成分データから不要データを削除する。第一成分データ選別部34は、成分データ取得部31において取得された成分データから、推定対象の飲食物と同種の飲食物において測定値がゼロである又はゼロに近い成分に関する成分データを除去する。第一成分データにおける成分の種類は、既知の味覚センサなどのセンサにおける検出結果に影響を及ぼす成分の種類よりも多い。第一成分データは、たとえば、50種以上の成分毎の含有量に関する情報を含んでいる。
相関係数演算部35は、複数種のサンプルの各々における成分データと仮データとに基づいて、複数種の感覚の各々について各成分と感覚との相関係数を演算する。この相関係数は、各感覚に対する各成分の影響の度合いを示す。相関係数演算部35は、第一成分データ選別部34において選別された第一成分データと、仮データ取得部32において取得された仮データとに基づいて、各成分と各感覚との相関係数を演算する。換言すれば、相関係数演算部35は、第一成分データ選別部34において選別された第一成分データにおける各成分と各感覚との相関係数を、第一成分データと味覚センサなどから出力された検出評価値とに基づいて演算する。
一例として、19種のアルコール飲料について、複数種の感覚のうち酸味に対する相関係数を演算する場合について説明する。たとえば、相関係数演算部35は、19種のアルコール飲料の各々における第一成分データと、19種のアルコール飲料の各々における酸味に関する検出評価値とに基づいて、各成分の含有量と酸味との相関係数を演算する。相関係数の算出は、既知の手法によって行われる。相関係数は、-1から1までの値をとる。相関係数が-1である場合は、負の方向で影響が大きい。相関係数が1である場合は、正の方向で影響が大きい。相関係数がゼロである場合は、相関がない。
たとえば、19種のアルコール飲料をそれぞれi(i=1,・・・,19)とし、酒種ごとの酸味に関する検出評価値をxiとし、酒種ごとのグルタミン酸の含有量をyiをとする。この場合、相関係数演算部35は、酸味に関するグルタミン酸の相関係数として、酒種ごとの酸味に関する検出評価値xiと、酒種ごとのグルタミン酸の含有量yiとの相関係数を演算する。相関係数演算部35は、同様に、第一成分データにおけるグルタミン酸以外の各成分の含有量と酸味との相関係数を演算する。以上の処理を繰り返し、相関係数演算部35は、酸味を含む全ての感覚に対して各成分との相関係数を演算する。
第二成分データ選別部36は、第一成分データにおける各成分の相関係数に基づいて、第一成分データから成分データを選別する。第二成分データ選別部36によって選別された選別データは、第一成分データにおける成分のうち一部の成分毎の含有量に関する情報を含む。第二成分データ選別部36は、感覚ごとに、上記相関係数が所定の条件を満たす成分の成分データを選別データとして選別する。
第二成分データ選別部36は、感覚ごとに、上記相関係数に関する条件に応じて、複数のパターンの選別データを選別する。換言すれば、第二成分データ選別部36は、第一成分データにおける各成分の相関係数に基づいて、成分データから、互いに異なる数の成分毎の含有量に関する情報を含む複数種の選別データを選別する。これら複数種の選別データは、互いに異なる条件を上記相関係数が満たしている成分データである。
たとえば、第二成分データ選別部36は、第一成分データにおける成分のうち、上記相関係数の絶対値が一番目に高い成分から五番目に高い成分の成分データを第一パターンの選別データとして選別する。たとえば、第二成分データ選別部36は、上記相関係数の絶対値が0.6以上の成分の成分データを第二パターンの選別データとして選別する。たとえば、第二成分データ選別部36は、上記相関係数の絶対値が0.4以上の成分の成分データを第三パターンの選別データとして選別する。第二成分データ選別部36は、さらに、第一成分データの全てを第四パターンの選別データとして取得してもよい。第二成分データ選別部36が選別する選別データのパターンの数は、4つに限定されない。これらパターンの数、及び、相関係数の条件は、サンプルの数に応じて適宜決定されてもよい。パターンの数が多いほど、推定の正確度は高い。しかし、パターンの数が多すぎれば、推定モデルの作成における計算負荷は大きい。
仮推定モデル作成部37は、成分データと仮データと相関係数とに基づいて、仮推定モデルを作成する。仮推定モデル作成部37は、感覚ごとに仮推定モデルを作成する。仮推定モデル作成部37は、互いに異なる条件を相関係数が満たしている成分データによって、複数の仮推定モデルを作成する。換言すれば、仮推定モデル作成部37は、第二成分データ選別部36において選別された複数のパターンの各々の選別データに基づいて、それぞれの選別データに対応する仮推定モデルを作成する。
仮推定モデル作成部37は、たとえば、回帰分析によって仮推定モデルを作成する。回帰分析には、既知の手法が用いられる。仮推定モデル作成部37は、感覚ごとに回帰分析を行い、感覚ごとに仮推定モデルを作成する。仮推定モデル作成部37は、たとえば、第二成分データ選別部36において選別された選択データを説明変数とし、仮データを目的関数とした回帰分析を行う。仮推定モデル作成部37は、複数種のサンプルにおける対象の感覚の選択データと仮データとに基づいて、回帰分析を行う。
仮推定モデル作成部37は、たとえば、線形回帰とランダムフォレスト回帰とのそれぞれを用いて、仮推定モデルを作成する。たとえば、仮推定モデル作成部37は、4つのパターンの各々の選別データに基づいて、線形回帰によって4つのパターンの仮推定モデルを作成し、さらに、ランダムフォレスト回帰によって4つのパターンの仮推定モデルを作成する。この場合、仮推定モデル作成部37は、各感覚ごとに、8つのパターンの仮推定モデルを作成する。
仮評価値演算部38は、第二成分データ選別部36において選択された選択データと、仮推定モデル作成部37において作成された仮推定モデルとに基づいて、仮評価値を演算する。仮評価値演算部38は、感覚ごとに仮評価値を演算する。本実施形態において、仮評価値演算部38は、仮推定モデル作成部37において作成された複数の仮推定モデルに基づいて、各推定モデルに対応する複数の仮評価値を演算する。
推定モデル決定部39は、複数のパターンの仮推定モデルを用いて演算される複数の仮評価値に基づいて、推定モデルを決定する。推定モデル決定部39は、感覚ごとに、推定モデルを決定する。推定モデル決定部39は、感覚ごとに、複数のパターンの仮推定モデルのうち最も推定の正確度が高いと判断される仮推定モデルを、最終的な推定モデルとして決定する。たとえば、推定モデル決定部39は、仮データと仮評価値に基づいて、上述した8つのパターンの仮推定モデルから推定モデルを決定する。
図5を参照して、推定モデル決定部39による推定モデルの決定方法の一例を説明する。図5は、異なる条件によって作成された仮推定モデルを用いて演算された仮評価値をプロットしたグラフである。縦軸は仮評価値と基準値との差分であり、横軸は、サンプルの種類である。図5において、19種のサンプルa~sが示されている。図5に示されている例では、基準値として仮データが用いられ、サンプルとしてアルコール飲料が用いられている。図5は、一例として、複数種の感覚のうち酸味に関するデータを示している。
図5は、横軸のメモリごとに、メモリが示すサンプルの仮評価値と、メモリが示すサンプルの検出評価値との差分を示している。メモリが示すサンプルの仮評価値は、メモリが示すサンプル以外の18種のサンプルを用いて作成された仮推定モデルによって演算されている。たとえば、横軸の「a」のメモリでは、サンプルa以外の18種のサンプルb~sを用いて作成された仮推定モデルによるサンプルaの仮評価値と、仮データのうち味覚センサなどによって検出されたサンプルaの検出評価値との差分が示されている。横軸の「b」のメモリでは、サンプルb以外の18種のサンプルa,c~sを用いて作成された仮推定モデルの仮評価値と、仮データのうち味覚センサなどによって検出されたサンプルbの検出評価値との差分が示されている。
データD1~D8は、それぞれ、上述した8つのパターンの仮推定モデルのうち対応する仮推定モデルを用いて演算された仮評価値に関するデータである。データD1は、上述した第四パターンの選別データに基づいてランダムフォレスト回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。データD2は、第四パターンの選別データに基づいて線形回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値を示している。データD3は、上述した第一パターンの選別データに基づいてランダムフォレスト回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。データD4は、第一パターンの選別データに基づいて線形回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。データD5は、上述した第二パターンの選別データに基づいてランダムフォレスト回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。データD6は、第二パターンの選別データに基づいて線形回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。データD7は、上述した第三パターンの選別データに基づいてランダムフォレスト回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。データD8は、第三パターンの選別データに基づいて線形回帰を用いて作成された仮推定モデルの仮評価値に関する。
推定モデル決定部39は、これらデータD1~D8に基づいて、8つのパターンの仮推定モデルの各々について、決定係数R2、差分の絶対値の和、差分の絶対値の最大値、及び、差分の絶対値の平均値の少なくとも一つを演算する。推定モデル決定部39は、決定係数R2、差分の絶対値の和、差分の絶対値の最大値、及び、差分の絶対値の平均値の少なくとも一つに基づいて、推定モデルを決定する。推定モデル決定部39は、決定係数R2を用いる場合には、最も決定係数R2が大きいパターンの仮推定モデルを推定モデルとして決定する。推定モデル決定部39は、差分の絶対値の和を用いる場合には、最も差分の絶対値の和が小さいパターンの仮推定モデルを推定モデルとして決定する。推定モデル決定部39は、差分の絶対値の最大値を用いる場合には、最も差分の絶対値の最大値が小さいパターンの仮推定モデルを推定モデルとして決定する。
推定モデル決定部39は、たとえば、決定係数R2、差分の絶対値の和、及び、差分の絶対値の最大値に基づいて、推定モデルを決定する。たとえば、推定モデル決定部39は、差分の絶対値の和による条件、差分の絶対値の最大値による条件、決定係数R2による条件の順で優先順位に重み付けをして推定モデルを決定する。これによって、推定モデル決定部39は、全体的に差分が小さく、突出した差分が少なく、かつ、説明変数が少ないパターンの仮推定モデルを最終的な推定モデルとして決定する。この結果、変数のばらつきによる影響が低減される。
たとえば、第一の選択として、推定モデル決定部39は、差分の絶対値の和が所定の値よりも小さいパターンの仮推定モデルを選択する。第一の選択において選択されたパターンが複数ある場合には、推定モデル決定部39は、第二の選択として、第一の選択において選択されたパターンのうち、差分の絶対値の最大値が所定の値よりも小さいパターンの仮推定モデルを選択する。第二の選択において選択されたパターンが複数ある場合には、推定モデル決定部39は、第三の選択として、第二の選択において選択されたパターンのうち、決定係数R2が大きいが所定の値よりも大きいパターンの仮推定モデルを選択する。第三の選択において選択されたパターンが複数ある場合には、推定モデル決定部39は、第四の選択として、第三の選択において選択されたパターンのうち、最も説明変数が少ないパターンの仮推定モデルを選択する。第四の選択において選択されたパターンが複数ある場合には、推定モデル決定部39は、第五の選択として、第四の選択において選択されたパターンのうち、ランダムフォレスト回帰を用いたパターンの仮推定モデルを選択する。
出力部40は、推定モデル決定部39において決定された推定モデルを飲食物評価システム1の格納部12に出力する。格納部12と格納部33とが一体である場合には、出力部40は、推定モデル決定部39において決定された推定モデルを格納部33に格納してもよい。
次に、図6を参照して、飲食物評価システム1及び推定モデル作成システム30のハードウェア構成について説明する。図6は、飲食物評価システム1及び推定モデル作成システム30のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示されている例において、飲食物評価システム1と推定モデル作成システム30とは、一体に構成されている。飲食物評価システム1と推定モデル作成システム30とは、互いに分離して構成されていてもよい。
飲食物評価システム1と推定モデル作成システム30とは、システム100を含んでいる。システム100は、プロセッサ101と、主記憶装置102と、補助記憶装置103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106とを備えている。システム100は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータを含んでいる。飲食物評価システム1と推定モデル作成システム30は、ハードウェアと協働して実現されている。
システム100が、複数のコンピュータによって構成される場合には、これらのコンピュータはローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの飲食物評価システム1と推定モデル作成システム30とが構築される。
プロセッサ101は、オペレーティングシステム及びアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶装置102は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。たとえば、評価値推定部14、グラフ作成部16、第一成分データ選別部34、相関係数演算部35、第二成分データ選別部36、仮推定モデル作成部37、仮評価値演算部38、及び、推定モデル決定部39の少なくとも一部は、プロセッサ101及び主記憶装置102によって実現される。
補助記憶装置103は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶装置103は、一般的に主記憶装置102よりも大量のデータを記憶する。たとえば、格納部12,33の少なくとも一部は、補助記憶装置103によって実現される。
通信装置104は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。たとえば、成分データ取得部11、推定モデル取得部13、出力部17、成分データ取得部31、仮データ取得部32、及び出力部40の少なくとも一部は、通信装置104によって実現される。入力装置105は、キーボード、マウス、及び、タッチパネルなどにより構成される。たとえば、成分データ取得部11、推定モデル取得部13、成分データ取得部31、及び仮データ取得部32の少なくとも一部は、入力装置105によって実現される。出力装置106は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。たとえば、出力部17及び出力部40の少なくとも一部は、出力装置106によって実現される。たとえば、出力装置106は、評価値推定部14において推定された各感覚の推定情報、及び、グラフ作成部16において作成された対象の飲食物の推定情報を示すグラフの少なくとも1つを表示する。
補助記憶装置103は、予め、プログラム及び処理に必要なデータを格納している。飲食物評価プログラムは、飲食物評価システム1又は推定モデル作成システム30の各機能要素をコンピュータに実行させる。プログラムによって、たとえば、後述する処理S1から処理S10又は処理S21から処理S25がコンピュータにおいて実行される。このプログラムは、たとえば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に記録された上で提供されてもよい。このプログラムは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
次に、図7を参照して、推定モデルの作成方法における処理の一例について説明する。図7は、推定モデルの作成方法を示すフローチャートである。
まず、成分データ取得部31が、複数種のサンプルの各々における成分データを取得する(処理S1)。換言すれば、成分データ取得部31は、複数種の飲食物の各々における複数の成分の各々の含有量に関する情報を含む成分データを取得する。成分データは、香り成分に関する情報及び炭酸度に関する情報の少なくとも一方を含んでいてもよい。
次に、仮データ取得部32が、複数種のサンプルの各々にける仮データを取得する(処理S2)。換言すれば、仮データ取得部32は、複数種の飲食物の各々に対して感じられる複数種の感覚の各々を定量的に示す仮データを取得する。
次に、第一成分データ選別部34が、処理S1において取得された成分データから不要データを削除する(処理S3)。第一成分データ選別部34は、成分データ取得部31において取得された成分データから、推定対象の飲食物と同種の飲食物に対する感覚に関係しない又は関係性が低いと考えられる成分の成分データを除いた第一成分データを選別する。第一成分データにおける成分の種類は、既知の味覚センサなどのセンサにおける検出結果に影響を及ぼす成分の種類よりも多い。
次に、相関係数演算部35が、対象の感覚に対する成分の相関係数を演算する(処理S4)。相関係数演算部35は、複数種の飲食物の各々における第一成分データと仮データとに基づいて、対象の感覚と各成分との相関係数を演算する。
次に、第二成分データ選別部36が、相関係数に基づいて、処理S3の処理後の成分データから選別を行う(処理S5)。第二成分データ選別部36は、各成分の相関係数に基づいて、成分データから選別データを選別する。選別データは、たとえば、複数の成分のうち一部の成分毎の含有量に関する情報を含んでいる。
次に、仮推定モデル作成部37が、仮推定モデルを作成する(処理S6)。仮推定モデル作成部37は、たとえば、処理S5において選別された選別データと仮データとに基づいて、仮推定モデルを作成する。
次に、仮評価値演算部38が、仮推定モデルを用いて仮評価値の演算を演算する(処理S7)。仮評価値演算部38は、直前の処理S5において選択された選択データと、直前の処理S6において作成された仮推定モデルとに基づいて、仮評価値を演算する。
次に、推定モデル決定部39が、全ての仮推定モデルの仮評価値が演算されたか判断する(処理S8)。全ての仮推定モデルとは、処理S5における全てのパターンに基づいて作成された仮推定モデルである。処理S8において、全ての仮推定モデルの仮評価値が演算されていないと判断された場合には、処理は処理S5に戻る。この結果、処理S5が繰り返し実行されることによって、第二成分データ選別部36は、たとえば、各成分の相関係数に基づいて、成分データから、互いに異なる数の成分毎の含有量に関する情報を含む第一及び第二選別データを選別する。処理S5と処理S6とが繰り返し実行されることによって、仮推定モデル作成部37は、たとえば、第一選別データと仮データとに基づく第一仮推定モデルと、第二選別データと仮データとに基づく第二仮推定モデルとを作成する。
処理S8において全ての仮推定モデルの仮評価値が演算されたと判断された場合には、推定モデル決定部39は、対象の感覚に対する推定モデルを決定する(処理S9)。処理S4から処理S9のステップによって、成分データと仮データと相関係数とに基づいて、対象の飲食物における成分データの入力に応じて、対象の飲食物の推定情報を出力する推定モデルが作成される。換言すれば、選別データと仮データとに基づいて、推定モデルが作成される。たとえば、成分データのうち相関係数が所定の値以上の少なくとも1つの成分の含有量に関する情報を含む選別データと、仮データとに基づいて、推定モデルが作成される。
処理S5及び処理S6とが繰り返し実行されることによって、複数の仮推定モデルが作成される。推定モデル決定部39は、仮データに基づいて、複数の仮推定モデルのうち一つを推定モデルとして決定する。たとえば、推定モデル決定部39は、第一仮推定モデル及び第二仮推定モデルのうち一方を推定モデルとして決定する。
次に、推定モデル決定部39は、全ての感覚について推定モデルが決定されたかを判断する(処理S10)。全ての感覚について推定モデルが決定されたと判断された場合には、処理は処理S4に戻る。全ての感覚について推定モデルが決定されていないと判断された場合には、一連を処理が終了される。処理S4が繰り返し実行されることによって、相関係数演算部35は、複数の感覚の各々について、飲食物に対して感じられる感覚と各成分との相関係数を演算する。処理S4から処理S9が繰り返し実行されることによって、推定モデルは、感覚ごとに作成される。
以上、推定モデルの作製方法の一例について説明したが、各処理の順序はこれに限定されない。たとえば、処理S2は、処理S1の前に実行されてもよいし、処理S3の後に実行されてもよい。
次に、図8を参照して、推定方法における処理の一例について説明する。本実施形態では、推定モデルを用いて対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する。図8は、推定モデルを用いた推定方法を示すフローチャートである。
まず、特定情報取得部10が、対象の飲食物の特定情報を取得する(処理S21)。たとえば、特定情報取得部10は、対象の飲食物の名称を取得する。特定情報は、対象の飲食物の成分データであってもよい。この場合、成分データ取得部11が特定情報取得部10を兼ね、処理S21又は処理S22が省略されてもよい。
次に、成分データ取得部11が、対象の飲食物の成分データを取得する(処理S22)。たとえば、成分データ取得部11は、処理S21において取得された特定情報に基づいて、対象の飲食物の成分データを取得する。成分データ取得部11は、対象の飲食物について、複数の成分の各々の含有量に関する情報を含む成分データを取得する。成分データは、香り成分に関する情報及び炭酸度に関する情報の少なくとも一方を含んでいてもよい。
次に、推定モデル取得部13が、推定モデルを取得する(処理S23)。この推定モデルは、複数種の飲食物の各々における成分データと、複数種の飲食物の各々に対して感じられる複数種の感覚のうち1つを定量的に示す仮データと、対象の感覚と各成分との相関係数とに基づいて作成されている。
次に、評価値推定部14が、推定モデルを用いて評価値を演算する(処理S24)。換言すれば、評価値推定部14は、対象の飲食物における成分データと直前の処理S23において取得された推定モデルとに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する。
次に、評価値推定部14が、全ての感覚の評価値が取得されたかを判断する(処理S25)。換言すれば、評価値推定部14は、全ての感覚に関する評価値が取得されたかを判断する。処理S24において全ての感覚に関する評価値が取得されていないと判断された場合には、処理は処理S23に進む。処理S23が繰り返し実行されることによって、互いに異なる感覚に対応する複数の推定モデルが取得される。処理S23と処理S24とが繰り返し実行されることによって、対象の飲食物における成分データと複数の推定モデルとに基づいて、対象の飲食物について各推定モデルに対応する感覚に関する評価値が推定される。換言すれば、処理S21において取得された特定情報に基づいて、推定情報が推定され、取得される。本実施形態において、処理S23と処理S24とが繰り返し実行されることによって、五味の味覚値と炭酸度と香り値とが推定される。処理S23と処理S24とを繰り返し実行されることによって、複数の味覚の味覚値が推定され、炭酸度及び香り値の少なくとも一方は格納部12から取得されてもよい。
処理S24において全ての感覚に関する評価値が取得されたと判断された場合には、グラフ作成部16が、取得された評価値に基づいて対象の飲食物の推定情報を示すグラフを作成する(処理S26)。たとえば、グラフ作成部16は、レーダチャートとサブチャートとを含んでいるグラフを作成する。グラフ作成部16は、たとえば、図2に示されているグラフ20、又は、図3に示されているグラフ20Aを作成する。
次に、出力部17が、評価データを出力する(処理S27)。処理S27において、出力部17において出力される評価データは、グラフ作成部16において作成されたグラフ及び評価値推定部14において演算された評価値の少なくとも一つを含んでいる。出力部17は、たとえば、図2に示されているグラフ20又は図3に示されているグラフ20Aを不図示の表示部に表示させる。出力部17は、グラフ作成部16によって作成されたグラフのデータを外部に出力してもよい。
以上、味覚推定方法の一例について説明したが、各処理の順序はこれに限定されない。たとえば、処理S22は、処理S23の後に実行されてもよい。
次に、本実施形態における推定モデルの作成方法、飲食物評価システム1、及び、飲食物評価プログラムの作用効果について説明する。
この飲食物評価システム1において、対象の飲食物を特定する特定情報に基づいて、第一評価値と第二評価値とが取得される。したがって、対象の飲食物の味覚に関する評価値だけでなく、対象の飲食物の炭酸度及び香りの少なくとも一方に関する評価値も取得される。味覚に関する評価値はレーダチャート21によって示され、対象の飲食物の炭酸度及び香りの少なくとも一方に関する評価値はサブチャート22,24,29によって示される。味覚に関する評価値は、レーダチャート21において纏めて示される。したがって、この飲食物評価システム1によれば、飲食物に対して感じられる感覚が明瞭に示され得る。対象の飲食物の潜在顧客は、グラフ20,20Aを参考することによって、直観的に対象の飲食物の評価を把握することができる。このため、購買意欲の向上が期待される。
グラフ20は、レーダチャート21を囲う枠を含んでいる。サブチャート22は、特定領域αが枠25の内部を占める度合いによって第二評価値を示している。この場合、第一評価値と第二評価値とが纏まりよく示されながら、推定情報の認識され易さが確保される。
サブチャート24は、レーダチャート21よりも下方の位置からレーダチャート21を囲うように延在するバー24a,24bの長さによって、第二評価値を示している。この場合、第一評価値と第二評価値とが纏まりよく示されながら、推定情報の認識され易さが確保される。
第二評価値は、第一種の香りに関する評価値と、第二種の香りに関する評価値とを含んでいる。サブチャート24は、第一種の香りに関する評価値を、レーダチャート21よりも下方の位置からレーダチャート21を囲うようにレーダチャート21の左側に延在するバーの長さによって示している。サブチャート24は、第二種の香りに関する評価値を、レーダチャート21よりも下方の位置からレーダチャート21を囲うようにレーダチャート21の右側に延在するバー24bの長さによって示している。この場合、2種類の香りに関する評価値が示され得る。第一評価値と香りに関する評価値とが纏まりよく示されながら、第一評価値と香りに関する評価値との認識され易さが確保される。
グラフ作成部16は、複数種の飲食物の味覚に関する評価値と、複数種の飲食物の炭酸度に関する評価値と、複数種の飲食物の香りに関する評価値との少なくとも一つに基づく基準データを取得している。グラフ20は、基準データと推定情報とを比較した値に基づいて推定情報を示している。この場合、飲食物に対して感じられる感覚がより明瞭に示され得る。
基準データは、第一基準データと第二基準データと第三基準データとの少なくとも一つを含んでいる。第一基準データは、複数種の飲食物の味覚に関する評価値のうちの最小値と最大値とを含んでいる。第二基準データは、複数種の飲食物の炭酸度に関する評価値のうちの最小値と最大値とを含んでいる。第三基準データは、複数種の飲食物の香りに関する評価値のうちの最小値と最大値とを含んでいる。グラフ20は、対象の飲食物の味覚に関する評価値と、対象の飲食物の炭酸度に関する評価値と、対象の飲食物の香りに関する評価値との少なくとも一つを、基準データに含まれている最小値を下限すると共に基準データに含まれている最大値を上限とする相対評価によって示している。この場合、飲食物に対して感じられる感覚がより明瞭に示され得る。
飲食物を飲食した場合に感じる感覚の評価は、たとえば、官能評価又は味覚センサによって行われることが考えられる。しかし、官能評価による各飲食物の評価は、膨大な労力と時間を要すると共に、評価者の感覚及び評価時の環境に左右される。この点、味覚センサによれば、飲食物の成分から味覚を定性的かつ容易に推定できる。しかし、味覚センサなどのセンサによって検知される成分は限られている。このため、飲食物に含まれている成分のうち、既知の味覚センサなどのセンサでは検出されない成分の影響によって、実際に感じられる感覚と上記センサの出力結果との間に差異が生じる場合がある。たとえば、味覚は、単に舌による感覚だけでなく、香り及びのどごしなどによっても変化する。これらを考慮して、飲食物のどの成分がどのように感覚に影響を与えるかは、未だ知られていない。少なくとも既知の味覚センサなどのセンサにおいて検出される成分よりも多くの成分が、飲食物に対して感じられる感覚に影響を与えている。
飲食物評価システム1は、評価値推定部14をさらに備えている。評価値推定部14は、特定情報に基づいて、第一評価値と第二評価値との少なくとも一方を推定する。たとえば、特定情報は、対象の飲食物について、複数の成分の各々の含有量に関する情報を含む成分データである。推定情報取得部15は、評価値推定部14において推定された第一評価値と第二評価値とを推定情報として取得している。この場合、成分データに基づいて第一評価値と第二評価値との少なくとも一方が推定されるため、より正確度の高い情報が示され得る。
上述したように、推定モデルの作成方法は、成分データと仮データとに基づいて、複数種の感覚の各々について感覚と成分との相関係数を演算する。成分データと仮データと相関係数とに基づいて、上記推定モデルを作成する。この推定モデルによれば、仮データのみに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する場合よりも、推定の正確度が向上する。
飲食物評価システム1において、推定モデル取得部13が複数種の飲食物の各々における成分データと、複数種の飲食物の各々について複数種の感覚の各々を定量的に示す仮データと、感覚と各成分との相関係数とに基づく推定モデルを取得する。評価値推定部14は、成分データ取得部11によって取得された情報と、推定モデル取得部13によって取得された推定モデルとに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する。この場合、仮データのみに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する場合よりも、推定の正確度が向上する。
飲食物評価プログラムにおいて、成分データと、仮データと、感覚と各成分との相関係数とに基づく推定モデルが取得される。対象の飲食物における成分データと推定モデルとに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚が推定される。この場合、仮データのみに基づいて、対象の飲食物に対して感じられる感覚を推定する場合よりも、推定の正確度が向上する。
特に、実際にヒトが感じる甘味は、既知の味覚センサにおいて甘味の推定に利用されている成分以外の成分の含有比率に応じても大きく変化する。このため、既知の味覚センサにおいて甘味の推定に利用されている成分の含有量のみの定量評価では、実際にヒトが感じる甘味と乖離するおそれがある。したがって、既知の味覚センサにおいては、特に、甘味に関する推定の正確度が低い。上記作成方法によって作成された推定モデル、飲食物評価システム1、及び、飲食物評価プログラムによれば、甘味を含む味覚の推定の正確度が向上する。
推定モデルを作成するステップにおいて、各成分の相関係数に基づいて、成分データから、複数の成分のうち一部の成分毎の含有量に関する情報を含む選別データが選別され、選別データと仮データとに基づいて、推定モデルが作成されてもよい。この場合、不要な成分の情報が排除されるため、演算処理負荷が抑制される。関係性の高い成分の情報が用いられるため、推定の正確度がさらに向上する。
推定モデルを作成するステップにおいて、複数の成分の各々の相関係数に基づいて、成分データから、第一選別データと、第一選別データと異なる数の成分毎の含有量に関する情報を含む第二選別データとが選別される。第一選別データと仮データとに基づく第一仮推定モデルと、第二選別データと仮データとに基づく第二仮推定モデルとが作成される。仮データに基づいて、第一仮推定モデル及び第二仮推定モデルのうち一方が推定モデルとして決定される。この場合、不要な成分の情報が排除されるため、演算処理負荷が抑制される。関係性の高い成分の情報が用いられるため、推定の正確度がさらに向上する。
成分データは、各種のクロマトグラフィに基づくデータを含んでいる。この場合、より多くの種類の成分の含有量に関する情報が取得され得る。
飲食物は、アルコール飲料であってもよい。アルコール飲料の場合、味覚だけでなく炭酸度及び香りも重要視される。飲食物評価システム1、及び、飲食物評価プログラムによれば、味覚と、炭酸度及び香りの少なくとも一方とに関して評価が示される。アルコール飲料の場合、味覚として甘味が重要視される。この作成方法によって作成される推定モデル、飲食物評価システム1、及び、飲食物評価プログラムによれば、従来の推定では正確度が低かった甘味の推定も向上され得る。
成分データは、香り成分に関する情報及び炭酸度に関する情報の少なくとも一方を含んでいてもよい。この場合、推定モデルは香り成分及び炭酸度の少なくとも一方も考慮して作成される。ヒトの味覚には、例えば、香り及びのどごしも関係している。この推定モデルによれば、香り成分及び炭酸度の少なくとも一方も考慮して味覚が推定され得るため、味覚の推定の正確度がさらに向上する。たとえば、対象の飲食物の香り成分及び炭酸度の少なくとも一方に関する情報と推定モデルとに基づいて塩味、酸味、甘味、旨味、及び、苦味の少なくとも一つを推定することによって、これらの推定の正確度も向上し得る。
推定モデル取得部13は、互いに異なる味覚に対応する複数の推定モデルを取得する。評価値推定部14は、成分データ取得部11によって取得された情報と複数の推定モデルとに基づいて、対象の飲食物について各推定モデルに対応する感覚を推定する。この場合、感覚ごとに作成された推定モデルによって、飲食物に対して感じられる感覚が推定される。したがって、1つの推定モデルによって複数種の感覚を推定する場合よりも、推定の正確度が向上する。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
たとえば、飲食物評価システム1は、推定モデル取得部13と、評価値推定部14とを備えていなくてもよい。この場合、格納部12は、複数種の飲食物と各飲食物の推定情報とを関連付けた情報を格納していてもよい。この場合、飲食物評価システム1は、たとえば、特定情報取得部10によって取得された対象の飲食物の特定情報を取得し、取得された特定情報に関連付けられている推定情報を格納部12から取得する。