JP6099820B2 - 排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリおよびこれを用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステム - Google Patents

排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリおよびこれを用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステム Download PDF

Info

Publication number
JP6099820B2
JP6099820B2 JP2016521231A JP2016521231A JP6099820B2 JP 6099820 B2 JP6099820 B2 JP 6099820B2 JP 2016521231 A JP2016521231 A JP 2016521231A JP 2016521231 A JP2016521231 A JP 2016521231A JP 6099820 B2 JP6099820 B2 JP 6099820B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular orbital
library
extended
molecular
distribution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016521231A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016529591A (ja
Inventor
スンヨプ・イ
ヒスン・チョ
Original Assignee
エルジー・ケム・リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エルジー・ケム・リミテッド filed Critical エルジー・ケム・リミテッド
Publication of JP2016529591A publication Critical patent/JP2016529591A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6099820B2 publication Critical patent/JP6099820B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B61/00Other general methods
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16CCOMPUTATIONAL CHEMISTRY; CHEMOINFORMATICS; COMPUTATIONAL MATERIALS SCIENCE
    • G16C10/00Computational theoretical chemistry, i.e. ICT specially adapted for theoretical aspects of quantum chemistry, molecular mechanics, molecular dynamics or the like
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F17/00Digital computing or data processing equipment or methods, specially adapted for specific functions
    • G06F17/10Complex mathematical operations

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Computing Systems (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Data Mining & Analysis (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Mathematical Analysis (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Software Systems (AREA)
  • Databases & Information Systems (AREA)
  • Pure & Applied Mathematics (AREA)
  • Mathematical Optimization (AREA)
  • Computational Mathematics (AREA)
  • Algebra (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Description

本発明は、排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリを用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステムに関するものであって、より詳細には、定量的に分子軌道(molecular orbital)分布を比較することができる新たな分析方法を用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステムに関するものである。
物質固有の電気化学的特性は、電子の移動および分布特性に大きな影響を受けるため、分子内で電子の挙動をシミュレーションすることは、物質の開発に非常に重要である。電子の挙動は、分子内の特定点で電子が存在する確率として示すことができるが、このような電子の挙動をシミュレーションするために導入された概念がまさに分子軌道(molecular orbital)である。分子構造内の特定位置において確率的な概念で電子の分布を示す分子軌道は実験的に求めることができず、量子力学的方法を利用したシュレディンガー方程式(Schrodinger equation)を計算して求めることができる。
現在まで量子力学で計算された分子の分子軌道分布は、等高線プロット(contour plot)を通した3次元や2次元の図を生成して視覚的に比較する、例えば、非特許文献1におけるような定性的な方法(qualitative measurement)で評価している。例えば、図1は、OLEDの薄膜に使用されるNPB(N,N’‐Di[(1‐naphthyl)‐N,N’‐diphenyl]‐1,1’‐(biphenyl)‐4,4’‐diamine)分子のNeutral(中性)/HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital,最高被占分子軌道)の分子軌道分布を示すものである。図1を描くために、分子軌道視覚化プログラムのMATERIAL STUDIOのプログラムであるビジュアライザ(visualizer)を用いた。分子軌道分布となっている領域(黄色/緑色で表示された領域)にのみ電子が位置する確率があるもので、図1の場合には、分子軌道が全般的に分子の全領域にわたって均一に分布していることが分かる。
しかし、前記ケースから分かるように、視覚化による定性的確認だけでは、同一の分子軌道分布に対しても、解析する基準によって評価が異なることがあって、正確に比較しにくい。例えば、前記ケースにおいても、(1)分子軌道が全般的に分子全体によく分布しているため、「分子軌道がよく分布する」と評価することができるが、(2)両端のNaphthaleneで分布がよくなっていないため、「分子軌道が適当に分布している」のように、互いに異なる評価結果が出ることがある。このような定性的な比較方法が有する問題は、前記例のように、1つの物質に対する分子軌道分布評価の場合よりも、2個の分子軌道分布を互いに比較しなければならない場合により大きくなる。すなわち、物質の開発では、分子軌道Aの分布が、分子軌道Bの分布と互いにどの程度類似するかを評価して電気化学的物性評価を行わなければならない場合が多いが、この場合、視覚による定性的比較は、基準によって評価結果が大きく異なり得るため、1個の分子軌道を評価することよりも不正確である。このような問題は、定性的な方法による分子軌道分布の比較でのみ発生するのではなく、すべての定性的な比較方法が有する最も根本的な限界点の一つである。現在まで定性的な比較のみが可能な分子軌道分布を効果的に正確かつ信頼性あるように比較できる方法があれば、物質の開発において電子親和度(electron affinity)などのような電子の移動によって決定される基本物性とともに、分子軌道分布をより効果的に利用することができる。
これに関連し、従来の技術として、例えば、特許文献1の場合、フロンティア軌道以外の反応性分子軌道をも考慮した量子学的計算に基づき算出された分子の反応性指標を利用した新たな化学物質の活性度の予測方法について開示しているが、2つの分子間の分子軌道分布の差を定量的に比較するには限界がある問題がある。
このために、本発明の発明者らは、既存の定性的な方法が有する限界点を克服するために、分子軌道分布特性を定量的に評価することができる新たな方法として、MOD‐Dscoreを開発した。前記MOD‐Dscore方法は、0.0から1.0の間の値を有するが、2つの分子軌道分布が同一の場合、1.0の値を示し、分布の差が大きくなるほど、1.0より小さい値を示す。前記MOD‐Dscoreを利用すれば、2つの物質の間の分子軌道分布の差をデジタル化(Digitalized)された値で知ることができて、定量的に正確に評価することができる。
例えば、分子軌道が全体構造に均一に分布している分子Aに対してMOD‐Dscoreを計算した結果、A1、A2、A3がそれぞれ0.995、0.875、0.893の値を示すとすれば、A1の分子軌道分布は、MOD‐Dscore値が0.995でほぼ1.0に近いため、Aと類似の分子軌道分布を有し、A2とA3は、いずれもAに対するMOD‐Dscoreが1.0より小さい値を有するため、Aと異なる分子軌道分布特性を示す。このように、MOD‐Dscore計算により、A2とA3は、分子全体に分子軌道が均一に分布しないことが分かるが、A2とA3のどの細部領域にのみ分子軌道が分布し、分子全体に均一に分布する分子軌道を有するAと異なる分子軌道特性を示すかを知ることはできない。このように分子軌道が分布する領域を評価するためには新たな方法が必要であり、本発明の発明者らは、このための第1ステップとして、分子軌道分布領域の評価において比較基準として使用可能なR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library;R‐MO Library;領域特有分子軌道ライブラリ)を開発した。R‐分子軌道ライブラリは、分子の細部構造領域に対して固有の分子軌道分布特性を有する物質で構成されていて、分子軌道分布領域の評価において基準として使用可能であり、ひいては、これに対する拡張の必要性が要求される。
特開2011−173821号公報
Analysis of Electron Delocalization in Aromatic Systems:Individual Molecular Orbital Contributions to Para‐Delocalization Indexes(PDI)
本発明は、多様なパターンで固有の分子軌道分布領域特性を代表できるR‐分子軌道ライブラリおよび拡張R‐分子軌道ライブラリによって定量的に分子軌道分布領域を評価することができる分子軌道分布領域評価方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、
a)特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択した後、前記A(1)に対して、下記のi)〜iii)ステップによって求めたMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を選択するステップ:
i)分子軌道(molecular orbital)分布を比較する2個の分子軌道を選択した後、量子力学計算法を利用してこれらの分子軌道(molecular orbital)分布を計算するステップ、
ii)各分子軌道に対するRDM(radially discrete mesh,動径離散メッシュ)計算方法によって構造特性を計算した後、前記i)ステップで計算された分子軌道(molecular orbital)分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めるステップ、および
iii)前記ii)ステップで求めた構造特性に応じた分子軌道(molecular orbital)分布を利用して、下記の式2のMOD‐Dscore(Molecular Orbital Distribution‐Deviation Score,分子軌道分布差スコア)値を求めるステップ、
b)前記a)ステップで得たA(1)とA(2)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific−Molecular Orbital Library,領域特有分子軌道ライブラリ)に構成物質として含ませるステップと、
c)前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリ(Region specific−Molecular Orbital Library)に含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値がq以下で、かつ最小値がr以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)の構成物質A(m)として含ませるステップと、
d)前記c)ステップを繰り返して、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求めるステップと、
e)前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択した後、前記d)ステップで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)に拡張物質Am(k’)として含ませるステップと、
f)前記e)ステップを繰り返して、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認するステップとを含み、
前記pは0.7≦p≦0.8で、qは0.85≦q≦0.95で、rは0.65≦r≦0.75で、前記p’は0.90≦p’<1.0である、拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築方法を提供する。
(式2)
MOD‐Dscore=1.0 − TPD
(式中、TPDは、下記の式3の通りである。)
(式中、Prof(A)とProf(B)はそれぞれ、RDM(k)に属する分子軌道の値を示し、Nは、RDMの総数である。)
また、本発明は、a)特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択した後、前記A(1)に対して、下記のi)〜iii)ステップによって求めたMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を選択した後、前記A(1)とA(2)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に構成物質A(m)として含ませる初期設定モジュール:
i)分子軌道(molecular orbital)分布を比較する2個の分子軌道を選択した後、量子力学計算法を利用してこれらの分子軌道(molecular orbital)分布を計算するステップ、
ii)各分子軌道に対するRDM(radially discrete mesh)計算方法によって構造特性を計算した後、前記i)ステップで計算された分子軌道(molecular orbital)分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めるステップ、および
iii)前記ii)ステップで求めた構造特性に応じた分子軌道(molecular orbital)分布を利用して、下記の式2のMOD‐Dscore(Molecular Orbital Distribution‐Deviation Score)値を求めるステップ、
b)前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値がq以下で、かつ最小値がr以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)の構成物質A(m)として含ませた後、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求める構成物質確認モジュールと、
c)前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択した後、前記構成物質確認モジュールで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)に拡張物質Am(k’)として含ませた後、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認して、拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質を求める拡張物質確認モジュールとを含み、
前記pは0.7≦p≦0.8で、qは0.85≦q≦0.95で、rは0.65≦r≦0.75で、前記p’は0.90≦p’<1.0である、拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築システムを提供する。
(式2)
MOD‐Dscore=1.0 − TPD
(式中、TPDは、下記の式3の通りである。)
(式中、Prof(A)とProf(B)はそれぞれ、RDM(k)に属する分子軌道の値を示し、Nは、RDMの総数である。)
本発明にかかる排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリを用いた分子軌道分布領域評価方法によれば、多様なパターンで固有の分子軌道分布領域特性を代表できる拡張R‐分子軌道ライブラリによって定量的に分子軌道分布領域を正確に評価することができ、定量的な分子軌道分布評価の適用範囲を大きく拡大させて、分子軌道情報が物質の開発においてより体系的に利用できる効果がある。
NPB分子の構造および分子軌道分布を示す図である。 RDM計算方法を示す図である。 4’‐ビス(N‐カルバゾリル)1,1’‐ビフェニル (4’‐Bis(N‐carbazolyl)1,1’‐biphenyl)の分子軌道分布を示す図である。 本発明のR‐分子軌道ライブラリの分子軌道の分布関係を示す図である。 本発明にかかるR‐分子軌道ライブラリの構築過程をフローチャート(FLOW‐CHART)で示す図である。 本発明の拡張R‐分子軌道ライブラリの分子軌道の分布関係を示す図である。 本発明にかかる拡張R‐分子軌道ライブラリの構築過程をフローチャート(FLOW‐CHART)で示す図である。 ベンゼン(Benzene)の分子軌道を示す図である。 本発明にかかる分子軌道(molecular orbital)分布特性の定量的比較方法をフローチャート(FLOW‐CHART)で示す図である。 本発明にかかる実施例で構築した拡張R‐分子軌道ライブラリを示す図である。 本発明にかかる実施例で構築した分子軌道(molecular orbital)分布特性の定量的比較方法を示す図である。 本発明にかかる実施例で構築した分子軌道(molecular orbital)分布特性の定量的比較結果を示す図である。
本発明の発明者らは、比較基準として使用するために開発されたR‐分子軌道ライブラリに基づいてさらに拡張して分子軌道分布領域特性を多様なパターンで示すことのできる拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐R‐MO Library)を開発した。前記拡張R‐分子軌道ライブラリは、固有の分子軌道分布領域特性を示すR‐分子軌道ライブラリの構成物質と各構成物質が示す分布領域特性を多様なパターンで示すことのできる拡張物質で構成されている。また、本発明の発明者らは、拡張R‐分子軌道ライブラリを用いて定量的に分子軌道分布領域を評価することができる新たな方法であるMODREM(Molecular Orbital Distributing Region Estimation Method,分子軌道分布領域推定方法)を開発した。本発明にかかる前記拡張R‐分子軌道ライブラリとこれを用いたMODREMによって定量的な分子軌道分布評価方法を分子軌道分布領域の評価まで拡張させることができて、分子軌道情報をより体系的に利用することができると期待される。以下、前記本発明の拡張R‐分子軌道ライブラリとこれを用いたMODREMを用いた定量的な分子軌道分布評価方法を詳細に説明する。
本発明にかかる拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築方法は、 a)特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択した後、前記A(1)に対して、下記のi)〜iii)ステップによって求めたMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を選択するステップ:
i)分子軌道(molecular orbital)分布を比較する2個の分子軌道を選択した後、量子力学計算法を利用してこれらの分子軌道(molecular orbital)分布を計算するステップ、
ii)各分子軌道に対するRDM(radially discrete mesh,動径離散メッシュ)計算方法によって構造特性を計算した後、前記i)ステップで計算された分子軌道(molecular orbital)分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めるステップ、および
iii)前記ii)ステップで求めた構造特性に応じた分子軌道(molecular orbital)分布を利用して、下記の式2のMOD‐Dscore(Molecular Orbital Distribution‐Deviation Score,分子軌道分布差スコア)値を求めるステップ、
b)前記a)ステップで得たA(1)とA(2)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に構成物質A(m)として含ませるステップと、
c)前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値がq以下で、かつ最小値がr以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)の構成物質A(m)として含ませるステップと、
d)前記c)ステップを繰り返して、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求めるステップと、
e)前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択した後、前記d)ステップで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)に拡張物質Am(k’)として含ませるステップと、
f)前記e)ステップを繰り返して、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認するステップとを含み、
前記pは0.7≦p≦0.8で、qは0.85≦q≦0.95で、rは0.65≦r≦0.75で、前記p’は0.90≦p’<1.0であることを特徴とする。
本発明者らは、前記拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法を、「Ext‐R‐MOライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)」の構築方法と名付けた。前記Ext‐R‐MO Libraryの構築方法は、多様なパターンで固有の分子軌道分布領域特性を代表できる拡張R‐分子軌道ライブラリによって定量的に分子軌道分布領域を正確に評価することができる方法である。以下、Ext‐R‐MOライブラリの構築方法を詳細に説明する。
本発明のa)ステップでは、特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択した後、前記選択されたA(1)とのMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を、下記の方法によって得ることを特徴とする。
本発明で使用するMOD‐Dscore値は、i)分子軌道(molecular orbital)分布を比較する2個の分子軌道を選択した後、量子力学計算法を利用してこれらの分子軌道(molecular orbital)分布を計算するステップと、ii)各分子軌道に対するRDM(radially discrete mesh)計算方法によって構造特性を計算した後、前記i)ステップで計算された分子軌道(molecular orbital)分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めるステップと、iii)前記ii)ステップで求めた構造特性に応じた分子軌道(molecular orbital)分布を利用して、下記の式2のMOD‐Dscore(Molecular Orbital Distribution‐Deviation Score)値を求めるステップとを含んで求めることができる。
(式2)
MOD‐Dscore=1.0 − TPD
(式中、TPDは、下記の式3の通りである。)
(式中、Prof(A)とProf(B)はそれぞれ、RDM(k)に属する分子軌道の値を示し、Nは、RDMの総数である。)
本発明のMOD‐Dscore値の計算方法は、まず、前記i)ステップで分子軌道(molecular orbital)分布を比較する2個の分子軌道を選択した後、量子力学計算法を利用してこれらの分子軌道(molecular orbital)分布を計算することを特徴とする。分子軌道は、分子内における電子の波動的(wave‐like)挙動を示す数学的な関数で定義することができる。本発明において、分子軌道分布を比較しようとする2個の分子軌道対象は、1個の分子に対する2つの電子状態に対するものになっていてもよいし(例えば、同一の分子に対するNeutral(中性)/HOMOとNeutral/LUMO)、2個の分子に対する同一または互いに異なる電子状態になっていてよい(例えば、A分子のNeutral/HOMOとB分子のNeutral/HOMO、またはA分子のNeutral/HOMOとB分子のAnion(アニオン)/LUMO)。前記のように、分子軌道分布の比較のための2個の分子軌道を定めてから、それぞれに対する量子力学計算により分子軌道分布を求める。分子軌道分布を求めるための量子力学的計算は、量子力学を利用した方法であれば特別な制限はないが、好ましくは、物質の分子構造で計算される各点における軌道波動関数(orbital wave function、ψ)の二乗である電子密度(ψ)の分布によって計算するものを使用することができ、単一点エネルギー(single point energy)計算、または構造最適化(geometry optimization)計算を利用してもよい。具体的には、本発明の発明者らは、DFT(Density Functional Theory,密度汎関数理論)に根拠をおいた、ACCELRYS社開発のMATERIAL STUDIOのDMol3を用いて分子軌道の分布を計算した。
本発明のMOD‐Dscore値の計算方法は、前記ii)ステップで各分子軌道の構造特性を計算した後、前記i)ステップで計算された分子軌道(molecular orbital)分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めることを特徴とする。
前記構造特性の計算は、(x,y,z)の原子座標(atomic coordinates)を用いて計算することができ、このような情報を、構造特性の計算によって計算された分子軌道分布と連結させなければならない。前記のような構造特性化計算過程が必要な理由は、分子構造の座標(coordinates)情報をそのまま使用すれば、分子軌道分布は単に分子全体に散らばっているデータに過ぎず、何ら情報を与えることができないからである。したがって、与えられた分子構造に対する特性化の計算は、分子内の中心から出発するRDM(radially discrete mesh,動径離散メッシュ)を構成した後、各RDMに属している領域を求めることにより、分子構造全体に対するRDMを計算する。前記RDMは、分子の中心から出発して動径方向(radial direction)に一定の間隔をもって増加するメッシュ(mesh)を示す。前記RDMによる分子構造の計算において、分子内の中心(x,y,z)を求める方法は、次の式1−1〜1−3の通りである。
前記式1−1〜1−3において、NATは、分子を構成する原子座標の総数を示す。
前記のように構成されたRDM方法を使用することにより、分子構造を細分化して、これを分子軌道分布とマッチングさせる。
RDMの計算は、図2を通してより具体的に知ることができるが、分子構造の原子がすべて含まれるまで、RDM(1),RDM(2),…,RDM(n)に増加し、ここで、RDM(1)は、分子中心に最も近いRDMであり、RDM(n)は、すべての分子が含まれた分子中心から最も外郭にあるRDMである。前記RDMの計算において、RDMの総数であるn値は、比較対象である2個の分子軌道に対して同一に設定し、前記n値は特別な制限はないが、好ましくは50〜300の範囲を有し、より好ましくは100〜300の範囲を有する。このように計算されたRDMに対して、各RDMに含まれる分子軌道分布を計算する。これにより、分子構造に対して計算された分子軌道情報を、総n個のRDMに変換された構造特性に関する分子軌道情報にマッチング(matching)させる。前記求められたRDM情報を用いて、後述のiii)ステップでグラフベースのプロファイル(graph‐based profile)の計算に利用する。
本発明のMOD‐Dscore値の計算方法は、前記iii)ステップにおいて、前記ii)ステップで求めた2個のRDMを通した構造特性に応じた分子軌道(molecular orbital)分布を、プロファイル方法を利用して比較することを特徴とする。
本発明は、前記ii)ステップで計算された2個のRDM計算により、それぞれのRDMに対して分子軌道がどのように分布しているかを計算することができ、これをRDM‐profileという。本発明では、前記2個の分子軌道に対するRDM構造の特性化により、マッチングされた分子軌道分布に対してグラフベースのプロファイル(graph‐based profile)を構成し、グラフの分子軌道分布に対するプロファイルの差(profile deviation)、すなわち、それぞれのRDMでの分子軌道分布の差を構造全体に対して計算するが、1つのRDMでのプロファイルの差は、0〜1.0の間の値を有することとなる。前記プロファイルの差が0であれば、2つのプロファイルは同一であり、その値が大きくなるほど、差が大きいことを意味する。このように比較されたプロファイルの比較により、2個の分子軌道による構造に対して、それぞれRDM構成によってマッチングされた分子軌道分布に対する定量的な差を知ることができ、これは、前記求めたすべてのRDMの場合に対して合算した下記の式3のTPD(total profile deviation,総プロファイル差)値を求めることにより、さらに具体化することができる。
(式中、Prof(A)とProf(B)はそれぞれ、RDM(k)に属する分子軌道の値を示し、Nは、RDMの総数である。)
また、前記求めたTPD値を用いて、2個の分子軌道分布の差をより定量的に比較可能なMOD‐Dscoreを、下記の式2のように計算することができる。
(式2)
MOD‐Dscore=1.0 − TPD
前記のように計算されたMOD‐Dscoreは、0.0〜1.0の間の値を有し、2個の分子軌道分布が正確に同一の場合には、TPD値は0.0で、最終MOD‐Dscoreの値は1.0を有する。したがって、2個の分子軌道分布の差が大きければ大きいほど、MOD‐Dscoreは1.0より小さい値を有することとなる。このように2個の分子軌道間の分布の差を、MOD‐Dscoreによって定量的に分析することができる。
前記のように、a)ステップで特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択した後、前記選択されたA(1)とのMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を得た後、b)ステップでは、a)ステップで得たA(1)とA(2)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に構成物質A(m)として含ませる。前記一定の値(p)は、使用者が所望する値であれば特別な制限はないが、A(1)とA(2)の分子軌道の分布が十分な差を有するために、0.7≦p≦0.8の範囲を有することが好ましい。
その後、c)ステップでは、前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値(q)が発明者の設定した一定の値以下で、かつ最小値が発明者の設定した一定の値以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に構成物質A(m)として含ませる。前記最大値(q)は、使用者が所望する値であれば特別な制限はないが、分子軌道の分布が類似性を有するために、0.85≦q≦0.95の範囲を有することが好ましく、前記最小値(r)は、使用者が所望する値であれば特別な制限はないが、分子軌道の分布が十分な差を有するために、0.65≦r≦0.75の範囲を有することが好ましい。
その後、d)ステップにおいて、前記c)ステップを繰り返して、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求める。
その後、e)ステップでは、前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択した後、前記d)ステップで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)に拡張物質Am(k’)として含ませる。
その後、f)ステップでは、前記e)ステップを繰り返して、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認して、拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質Am(k’)を求める。
本発明において、前記b)ステップ〜d)ステップで求めるR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築方法の概念は、図3〜図5を通してより具体的に知ることができる。
まず、図3で説明するように、分子軌道分布が分子構造全体に均一に分布しているA1に対して、分子軌道分布が、(1)の両端にのみ分布するL1と、(2)中央にのみ分布するL2に対して、MOD‐Dscoreを計算して評価すれば、いずれも0.900より小さい値を有し、A1に対してL1とL2の分布特性が類似しないことは分かるが、L1とL2がどの特定領域にのみ分子軌道が分布して、均一に分布したA1と異なる特性を示すかを知ることはできない。この時、MOD‐Dscoreを用いた分子軌道分布の定量的評価方法の能力を向上させるためには、分子軌道の分布領域に対する探索により分子軌道が分布している特定領域に関する情報を知らなければならない。このように分子軌道分布の差がある領域を計算するために、本発明者らは、比較基準としての役割を果たすことのできるR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)を提案した。R‐分子軌道ライブラリは、比較しようとする物質の分子軌道分布領域を評価するにあたり、予め指定した比較基準としての役割を果たすことができる。
R‐分子軌道ライブラリは、互いに排他的な分子軌道分布(Mutually Exclusive Molecular Orbital Distribution)を有する3個以上の物質からなる集合である。互いに排他的でなければ、分布領域の重なる部分が生じるため、比較しようとする分子軌道が分布する領域に対して正確に評価することができない。R‐分子軌道ライブラリを構成するための必要条件である、互いに排他的な分子軌道の分布関係に関する説明を、図4に示した。
図4において、四角形は分子構造内の細部領域を示す。すなわち、Class0〜3は、3つの細部領域で構成された全体分子構造を有する。四角形内の色は、分子軌道分布の程度を示し、色が濃いほど、分子軌道が細部領域でよく分布することを示し、色がない場合は、細部領域で分子軌道分布がされていないことを示す。
図4の第1ケース(Case1)をみると、Class1は、3つの細部領域でいずれも分子軌道分布が均一によくなっている。これに対し、互いに排他的な分子軌道分布を有するものは、Class0のように、3つの細部領域に分子軌道が全く分布しないものである。しかし、分子全体領域で分子軌道が分布しない場合は、実際には可能でないため、Class0は、Class1に対して理想的な互いに排他的な軌道分布を示す。したがって、互いに排他的な分子軌道分布に対して新たに定義を出して使用する必要がある。
図4の第2ケース(Case2)をみると、3つの細部領域にいずれも分子軌道がよく分布しているClass1に対して、(1)Class2は、両端の2つの細部領域にのみ分子軌道が分布し、(2)Class3は、中央の1つの細部領域にのみ分子軌道が分布する。したがって、Class1が示すことのできない分子軌道分布特性を、Class2とClass3が示す。ここでは、このようにそれぞれの分子軌道分布が固有であり、互いに異なる特性を示すこのような関係を、互いに排他的な分子軌道特性を有すると定義する。Class2とClass3をみても、Class2が示すことのできない中央の1つの細部領域にのみ分布する分子軌道特性を、Class3が示していることが分かる。このように互いに排他的な分子軌道特性を有する分子軌道分布形態を有する物質でR‐分子軌道ライブラリを構成する。
図5は、本発明のR‐分子軌道ライブラリを構成する方法に関する詳細なアルゴリズムを示すフローチャート(Flow‐Chart)に関するもので、下記のステップ1〜4で示すことができる。
(ステップ1)
ある形態の分子軌道を有する物質を、初期物質(k=1)のA(1)に定める。例えば、前記説明したClass1〜3のうちのいずれもがA(1)になっていてよい。
(ステップ2)
他の分子軌道を有する物質のA(k)を選択する(k=k+1)。この時、kが2より小さいか等しければ、A(1)とA(k)との間の分子軌道の差を定量的に計算するMOD‐Dscoreを計算する。この時のMOD‐Dscore値が0.76より小さければ、A(k)を、R‐分子軌道ライブラリに含ませ、そうでなければ、さらに他のA(k)を選択し、MOD‐Dscore値が0.76より小さい場合を見つけるまで繰り返す。これにより、R‐分子軌道ライブラリには互いに排他的な分子軌道を有するA(1)とA(2)が存在する。
(ステップ3)
R‐分子軌道ライブラリに含まれた物質が2つの場合、他の分子軌道特性を有する物質のA(k)を選択する(k=k+1)。新たに選択されたA(k)に対して、既存の含まれている物質とのMOD‐Dscoreをそれぞれ計算する。計算されたMOD‐Dscoreのうち、最大値(MAX)と最小値(MIN)を計算する。この時、MAX<0.90で、かつMIN<0.70であれば、新たに選択されたA(k)は、R‐分子軌道ライブラリに含まれた既存の物質に対してすべて互いに排他的な分子軌道特性を有すると判断され、R‐分子軌道ライブラリに含ませる。
(ステップ4)
kがカットオフ(cutoff)より小さい場合は、新たにA(k)を選択し、ステップ3を繰り返す。kがカットオフ(cutoff)より大きい場合は、R‐分子軌道ライブラリを構成する互いに排他的な分子軌道を有する物質をすべて選択したため、R‐分子軌道ライブラリの構築を完了する。R‐分子軌道ライブラリにおいて、カットオフ(cutoff)の最小値は3である。すなわち、R‐分子軌道ライブラリには、少なくとも3個以上の互いに排他的な分子軌道を有する物質が含まれなければならないことを意味する。
このような過程を経て構築された固有の分子軌道分布特性を有し、互いに排他的な関係を有する3種以上の物質で構成されたR‐分子軌道ライブラリは、全体分子構造内において各細部領域に分布可能な分子軌道の多様なケースを示すことができるため、今後、特定物質の分子軌道特性を分布領域の観点で比較評価するにあたり、比較基準として有用に利用可能になる。
しかし、ある物質の分子軌道分布だけで分子軌道分布領域特性を示すには、分子軌道分布が複雑なパターンを有する。その例として、図8は、芳香族炭化水素物質のうち、最も簡単な構造を有するベンゼン(benzene)に対して、互いに異なる電荷状態に対する分子軌道を計算した結果を図に示すものである。図8において、分子軌道が分布する領域は、黄色/緑色で表した部分であり、それ以外の領域は、分子軌道が分布しないものであり、分子軌道分布領域特性は、すべての分子軌道が分子全体領域に均一に分布している。しかし、4つの場合、いずれも同一の分子軌道分布領域特性を示すが、その特性を示す分子軌道の分布形態は非常に多様である。このように固有の分子軌道分布領域特性は、単一分子軌道分布だけをもって示すには複雑であることが分かる。すなわち、固有の分子軌道分布領域特性は、R‐分子軌道ライブラリの構成物質だけで示すには不十分である。したがって、分子軌道分布領域特性を示す比較基準として使用されるためには、固有の分子軌道分布特性を多様なパターンで示すことができなければならない。
このような必要性から、本発明の発明者らは、R‐分子軌道ライブラリに基づいてこのような分布パターンの多様性を示すことのできる向上した方法である、拡張R‐分子軌道ライブラリを開発した。
このために、本発明において、前記e)ステップ〜f)ステップで求める拡張R分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)を構築し、これに関する概念は、図6〜図7を通してより具体的に知ることができる。
図6は、拡張R‐分子軌道ライブラリに関する全体的な説明を示す。図中のA{1}〜A{3}は、R分子軌道ライブラリの構成物質で、各四角形は全体分子構造内の細部領域を示す。3つの構成物質は、3つの細部領域で構成されている。各細部領域において、色が濃いほど、分子軌道分布が均一によく分布していることを、色がなければ、分子軌道が分布しないことを示し、具体的には、以下のように示すことができる。
(R‐MOライブラリの示す分子軌道分布領域特性)
(1)A{1}:3つの細部領域に対して分子軌道がよく分布する。
(2)A{2}:3つの細部領域のうち、中央の領域にのみ分子軌道が分布する。
(3)A{3}:3つの細部領域のうち、両端にのみ分子軌道が分布する。
このようなR分子軌道ライブラリの構成物質に対して分子軌道分布パターンの多様性を示すことのできる分子軌道分布を有する拡張物質を見つけなければならない。例えば、E‐A{1,1}のように、両端の2つの細部領域には、A{1}と同様に、分子軌道がよく分布しているが、中央では分子軌道がややよく分布していない場合も、A{1}の示す分子軌道分布領域特性を示すことができる。このように、A{1}と同一の分布領域特性を示すが、異なるパターンを示す物質を、A{1}に対する拡張物質(E‐A{1,1})と定義することができ、このような物質が集まった集合が分子軌道分布領域特性の多様性を示すことができる。
このように、R分子軌道ライブラリに含まれたそれぞれの構成物質が示す分子軌道分布領域特性を多様に示すことのできる拡張物質を見つけ、これを含ませたのがまさに拡張R‐分子軌道ライブラリである。拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質は、図7のフローチャート(Flow‐Chart)に具体的に示しているように、下記の計算過程を経て、R分子軌道ライブラリの構成物質(A{m}、m=1〜N)ごとに選択できる。
(拡張R‐分子軌道ライブラリのための拡張物質の探索過程)
ステップ1−1)
候補物質AX{k}に対して分子軌道を計算する。量子力学に根拠をおいたいずれの方法でも分子軌道の計算に用いることができる。
ステップ2−1)
選択したAX{k}とR分子軌道ライブラリの構成物質(A{m}、m=1〜N)との間の定量的な分子軌道分布の差を、MOD‐Dscore(Mkm)を用いて計算する。Nは、R分子軌道ライブラリに含まれた構成物質の全体個数である。
ステップ3−1)
計算されたMkmのうち、最大値(Max{k,m})を探す。最大値を示す時のmをm_maxとする。Max{k,m}が0.900より大きい場合には、AX{k}を、A{m_max}に対する拡張物質(E‐A{m_max,k})として選択する。Max{k,m}が0.900より小さければ、新たなAX{k}を選択し、ステップ2と3を繰り返して、0.900より大きい値を有するAX{k}を探索する。kがカットオフ(cutoff)より小さければ、k=k+1に増加させて新たなAX{k}を選択し、ステップ2−1と3−1を繰り返し、そうでなければ終了する。
これによってそれぞれの構成物質に対する拡張物質を求めることができ、これによって拡張R分子軌道ライブラリを構築して、互いに排他的な分子軌道分布特性についてより多様なパターンで示すことができる。
また、本発明は、前記構築方法を用いて構築された、拡張R分子軌道ライブラリおよびR分子軌道ライブラリを用いた分子軌道(molecular orbital)分布特性の定量的比較方法を提供する。
前記定量的比較方法は、
a’)対象物質Tと、前記R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)のうちのいずれか1つ、および前記構成物質A(m)に対応する拡張物質Am(k’)の間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、そのうちの最小値MIN(m)を得た後、前記拡張R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)の全部に対して前記最小値MIN(m)を求めるステップと、
b’)前記a’)ステップで求められた最小値MIN(m)のうち、最も大きい値をM_MAXとして選択し、前記M_MAXがp”より大きければ、前記対象物質Tが、前記最小値MIN(m)がM_MAXの構成物質A(m)と類似すると評価するステップとを含み、前記p”は0.84≦p”<1.0であることを特徴とする。
本発明の発明者らは、前記のように、多様なパターンで固有の分子軌道分布領域特性を示すことのできる拡張R‐分子軌道ライブラリを用いて、定量的な方法に基づいて分子軌道分布領域を評価することのできる新たな定量的比較方法であるMODREM(Molecular Orbital Distributing Region Estimation Method)を開発した。前記MODREMを用いた定量的な比較方法の計算アルゴリズムは、図9に詳細に示した。前記図9を参照して、MODREMを用いた分子軌道分布領域評価方法の詳細な説明は、下記の通りである。
(MODREMを用いた分子軌道分布領域評価方法)
ステップ1−2)
分子軌道分布領域を評価したい対象物質TGTに対して分子軌道を計算する。分子軌道の計算は、量子力学に根拠をおいた方法であればいずれの計算方法でも利用可能である。
ステップ2−2)
分子軌道分布領域を評価するために、拡張R‐分子軌道ライブラリを用いる。拡張R‐分子軌道ライブラリには、N_all個の構成物質(A{k}、k=1〜N_all)とそれによる拡張物質(E‐A{k,m}、m=1〜N{k}、N{k}は、k番目構成物質に対する拡張物質の全体個数)が含まれている。MOD‐Dscoreを用いて、(1)TGTと構成物質(A{k})に対する分子軌道の差(M{0})と、(2)TGTと拡張物質(E‐A{k,m})に対する分子軌道の差(M{m}、m=1、N{k})を計算する。このように計算されたN{k}+1個のM{m}のうち、最小値(MIN{k})を計算する。MIN{k}は、TGTがA{k}の代表する分子軌道分布領域特性に対して最も類似しない場合を示す。
ステップ3−2)
前記ステップ2−2で最終計算されたN_all個のMIN{k}のうち、最も大きい値である最大値(M‐MAX)を計算し、この時のkをk_maxとして示す。M‐MAXが0.84より大きい場合は、TGTの分子軌道分布領域がA{k}の代表する分子軌道分布領域特性と類似すると評価し、M‐MAXが0.84より小さい場合は、TGTの分子軌道分布領域は、拡張R‐分子軌道ライブラリを用いて評価することができないと判断する。
また、本発明は、前記説明したR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築方法を用いた拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築システムを提供する。
前記構築システムは、a)特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択した後、前記A(1)に対して、MOD‐Dscore値がp以下のA(2)を選択した後、前記A(1)とA(2)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に構成物質A(m)として含ませる初期設定モジュールと、b)前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)に含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値がq以下で、かつ最小値がr以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリ(Region specific‐Molecular Orbital Library)の構成物質A(m)として含ませた後、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求める構成物質確認モジュールと、c)前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択した後、前記構成物質確認モジュールで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)に拡張物質Am(k’)として含ませた後、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認して、拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質を求める拡張物質確認モジュールとを含むことを特徴とする。ここで、前記pは0.7≦p≦0.8で、qは0.85≦q≦0.95で、rは0.65≦r≦0.75で、前記p’は0.90≦p’<1.0であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記構築システムにおいて、分子軌道分布を比較しようとする2個の分子軌道対象は、1個の分子に対する2つの電子状態に対するものになっていてもよいし(例えば、同一の分子に対するNeutral/HOMOとNeutral/LUMO)、2個の分子に対する同一または互いに異なる電子状態になっていてよい(例えば、A分子のNeutral/HOMOとB分子のNeutral/HOMO、またはA分子のNeutral/HOMOとB分子のAnion/LUMO)。
また、本発明は、前記説明した拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)の構築方法を用いた分子軌道(molecular orbital)分布特性の定量的比較システムで、a’)対象物質Tと、前記R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)のうちのいずれか1つ、および前記構成物質A(m)に対応する拡張物質Am(k’)の間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、そのうちの最小値MIN(m)を得た後、前記拡張R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)の全部に対して前記最小値MIN(m)を求める最小値設定モジュールと、b’)前記最小値設定モジュールで求められた最小値MIN(m)のうち、最も大きい値をM_MAXとして選択し、前記M_MAXがp”より大きければ、前記対象物質Tが、前記最小値MIN(m)がM_MAXの構成物質A(m)と類似すると評価する類似性評価モジュールとを含み、前記p”は0.84≦p”<1.0であることを特徴とする、分子軌道(molecular orbital)分布特性の定量的比較システムを提供する。
本発明において、モジュール(module)という用語は、特定の機能や動作を処理する1つの単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの結合で実現することができる。
以下、本発明を、実施例に基づいてより詳細に説明するが、下記に開示される本発明の実施形態はあくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲に示されており、さらに、特許請求の範囲の記録と均等な意味および範囲内でのすべての変更を含む。
(実施例)
本発明の拡張R‐分子軌道ライブラリ(Extended‐Region specific‐Molecular Orbital Library)を、次のように実際に構築した。図10は、3種の細部領域に分けられた場合に対して拡張R‐分子軌道ライブラリを構築した場合である。拡張物質の下端に記載された値は、R‐分子軌道ライブラリの構成物質と拡張物質との間に計算されたMOD‐Dscore値を示す。前記計算では、ACCELRYS社開発のMATERIAL STUDIOのDMol3を用いて分子軌道の分布を計算し、RDMの計算のためのN値は200に設定した。
(実施例1.拡張R‐分子軌道ライブラリの構築)
拡張R‐分子軌道ライブラリは、R‐分子軌道ライブラリの構成物質と構成物質が示す固有の分子軌道分布領域特性をより多様なパターンで示すことのできる拡張物質で構成されている。図10は、3つの細部領域に対して示すことのできる互いに排他的な分子軌道分布領域特性を有するR‐分子軌道ライブラリの構成物質に対して選択された拡張物質を含む拡張R‐分子軌道ライブラリを示す。
構成物質A{1}の示す分子軌道分布領域特性は、3つの細部領域に対して均一に分布する分子軌道特性であり、これに対する拡張物質を、先に提示した方法を利用して探索した結果、2つの物質が、A{1}に対して、Max値がそれぞれ0.985と0.971の値を有し、拡張物質として選択された。新たに選択された拡張物質E‐A{1,1}とE‐A{1,2}によって、A{1}の示す分子軌道分布領域特性を多様に示すことができる。A{2}は、分子軌道が中央の1つの細部領域にのみ分子軌道が分布する領域特性を示し、これに対して選択された拡張物質E‐A{2,1}も同一の分布領域特性を異なって示している。A{3}に対しては選択された拡張物質がない。このように拡張R‐分子軌道ライブラリは、固有の分子軌道分布領域特性を、新たに選択された拡張物質によって多様なパターンで示すため、R‐分子軌道ライブラリより分子軌道分布領域の評価にさらに有用に利用可能である。
(実施例2.拡張R‐分子軌道ライブラリを用いた分子軌道分布領域評価方法:MODREM)
本発明のMODREMを用いた分子軌道分布領域特性評価能力を確認するために、実施例1で示していた3つの細部領域に対して互いに排他的な分子軌道分布特性を示す構成物質と拡張物質で構成された拡張R‐分子軌道ライブラリを用いたMODREM方法を、図11のように、分子軌道分布領域特性を評価しようとする物質であるTGTに対して適用した。
MODREMを用いて、A{1}、A{2}、A{3}の示す分子軌道分布領域特性に対してMIN{k}を計算し、最終的にM‐MAXを計算した結果、TGTは、A{3}の示す分子軌道分布特性に対して0.964の値を示し、非常に高い類似性を示すことが分かる。すなわち、TGTの分子軌道分布領域は、両端にのみ分子軌道が分布すると評価される。MODREMで評価した結果を確認するために、TGTの分子軌道分布を、図12のように示した。図12から確認できるように、TGTは、MODREMで評価したのと同様に、両端の細部領域でのみ分子軌道が分布し、A{3}の示す分子軌道分布領域特性を示す。このように拡張R‐分子軌道ライブラリを用いるMODREMは、分子軌道分布領域特性を正確に評価することを確認した。
このように多様な分子軌道分布領域を有する互いに排他的な関係で構成された拡張R‐分子軌道ライブラリは、固有の分子軌道分布領域特性を示す構成物質を有する既存のR‐分子軌道ライブラリを発展させたもので、固有の分子軌道分布領域特性を多様なパターンで示すことができて、より正確に分子軌道分布領域評価のための比較基準として使用可能である。また、拡張R‐分子軌道ライブラリを用いて定量的に分子軌道分布領域の評価を行うことのできるMODREMを開発し、これを実際のケースに適用した結果、物質の分子軌道分布領域を正確に評価することを確認した。これにより、拡張R‐分子軌道ライブラリを用いたMODREM方法の効用性を確認し、定量的な分子軌道分布評価方法を分子軌道分布領域評価まで拡張させることができて、今後、物質の開発において分子軌道分布情報がこのような方法を通してより体系的に利用できると期待される。

Claims (14)

  1. a)特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択し、前記A(1)に対して、
    i)分子軌道分布を比較する2個の分子軌道を選択し、量子力学計算法を利用して該2個の分子軌道の分子軌道分布を計算するステップ、
    ii)各分子軌道に対するRDM計算方法によって構造特性を計算し、前記i)ステップで計算された分子軌道分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めるステップ、および
    iii)前記ii)ステップで求めた構造特性に応じた分子軌道分布を利用して、下記の(式2)のMOD‐Dscore値を求めるステップ
    によって求めたMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を選択するステップと、
    b)前記a)ステップで得たA(1)とA(2)を、R‐分子軌道ライブラリに構成物質として含ませるステップと、
    c)前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリに含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値がq以下で、かつ最小値がr以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリの構成物質として含ませるステップと、
    d)前記c)ステップを繰り返して、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求めるステップと、
    e)前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択し、前記d)ステップで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質Am(k’)として含ませるステップと、
    f)前記e)ステップを繰り返して、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認するステップとを含み、
    前記pは0.7≦p≦0.8であり、前記qは0.85≦q≦0.95であり、前記rは0.65≦r≦0.75であり、前記p’は0.90≦p’<1.0であり、
    (式2)
    MOD‐Dscore=1.0 − TPD
    であり、
    前記(式2)中、TPDは、下記の(式3)
    の通りであり、
    前記(式3)中、Prof(A)とProf(B)はそれぞれ、RDM(k)に属する分子軌道の値を示し、Nは、RDMの総数であることを特徴とする、拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法。
  2. 前記i)ステップの量子力学計算法は、物質の分子構造で計算される各点における軌道波動関数(ψ)の二乗である電子密度(ψ)の分布によって計算されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法。
  3. 前記i)ステップの量子力学計算法は、単一点エネルギー計算、または構造最適化計算を利用することを特徴とする、請求項1に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法。
  4. 前記ii)ステップの構造特性の計算は、(x,y,z)の原子座標を用いて計算されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法。
  5. 前記ii)ステップのRDM計算方法は、分子の中心から出発して動径方向に一定の間隔をもって増加するメッシュを生成して計算されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法。
  6. 前記ii)ステップのRDM計算方法のRDMの総数(N)は、50以上300以下の整数であることを特徴とする、請求項5に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築方法。
  7. R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)と、請求項1に記載の構築方法を用いて構築された拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質Am(k’)とを用いた分子軌道分布特性の定量的比較方法であって、
    a’)対象物質Tと、前記R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)のうちのいずれか1つ、および前記構成物質A(m)に対応する拡張物質Am(k’)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、そのうちの最小値MIN(m)を得て、前記拡張R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)の全部に対して前記最小値MIN(m)を求めるステップと、
    b’)前記a’)ステップで求められた最小値MIN(m)のうち、最も大きい値をM_MAXとして選択し、前記M_MAXがp”より大きければ、前記対象物質Tが、前記最小値MIN(m)がM_MAXの構成物質A(m)と類似すると評価するステップとを含み、
    前記p”は0.84≦p”<1.0であることを特徴とする、分子軌道分布特性の定量的比較方法。
  8. a)特定形態の分子軌道を有する複数の物質のうちのいずれか1つであるA(1)を選択し、前記A(1)に対して、
    i)分子軌道分布を比較する2個の分子軌道を選択し、量子力学計算法を利用して該2個の分子軌道の分子軌道分布を計算するステップ、
    ii)各分子軌道に対するRDM計算方法によって構造特性を計算し、前記i)ステップで計算された分子軌道分布とマッチングさせて、構造特性に応じた分子軌道分布を求めるステップ、および
    iii)前記ii)ステップで求めた構造特性に応じた分子軌道分布を利用して、下記の式2のMOD‐Dscore値を求めるステップ
    によって求めたMOD‐Dscore値がp以下のA(2)を選択し、前記A(1)と前記A(2)を、R‐分子軌道ライブラリに構成物質として含ませる初期設定モジュールと、
    b)前記複数の物質のうちの他の1つであるA(3)を選択し、すでにR‐分子軌道ライブラリに含まれた複数の物質とのMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、最大値がq以下で、かつ最小値がr以下であれば、A(3)を、R‐分子軌道ライブラリの構成物質として含ませ、複数の物質の全部に対してR‐分子軌道ライブラリに含まれるかを確認して、R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)を求める構成物質確認モジュールと、
    c)前記複数の物質のうち、R‐分子軌道ライブラリの構成物質に含まれていない候補物質AX(k)のうちのいずれか1つであるAX(1)を選択し、前記構成物質確認モジュールで求められたR‐分子軌道ライブラリのすべての構成物質A(m)とAX(1)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、その最大値がp’以上であれば、最大値を有する構成物質A(m)の拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質Am(k’)として含ませ、前記候補物質AX(k)の全部に対して拡張R‐分子軌道ライブラリに拡張物質として含まれるかを確認して、拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質を求める拡張物質確認モジュールとを含み、
    前記pは0.7≦p≦0.8であり、前記qは0.85≦q≦0.95であり、前記rは0.65≦r≦0.75であり、前記p’は0.90≦p’<1.0であり、
    (式2)
    MOD‐Dscore=1.0 − TPD
    であり、
    前記(式2)中、TPDは、下記の(式3)
    の通りであり、
    前記(式3)中、Prof(A)とProf(B)はそれぞれ、RDM(k)に属する分子軌道の値を示し、Nは、RDMの総数であることを特徴とする、拡張R‐分子軌道ライブラリの構築システム。
  9. 前記量子力学計算法は、物質の分子構造で計算される各点における軌道波動関数(ψ)の二乗である電子密度(ψ)の分布によって計算されることを特徴とする、請求項8に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築システム。
  10. 前記量子力学計算法は、単一点エネルギー計算、または構造最適化計算を利用することを特徴とする、請求項8に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築システム。
  11. 前記構造特性の計算は、(x,y,z)の原子座標を用いて計算されることを特徴とする、請求項8に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築システム。
  12. 前記RDM計算方法は、分子の中心から出発して動径方向に一定の間隔をもって増加するメッシュを生成して計算されることを特徴とする、請求項8に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築システム。
  13. 前記RDM計算方法のRDMの総数(N)は、50以上300以下の整数であることを特徴とする、請求項12に記載の拡張R‐分子軌道ライブラリの構築システム。
  14. R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)と、請求項1に記載の構築方法を用いて構築された拡張R‐分子軌道ライブラリの拡張物質Am(k’)とを用いた分子軌道分布特性の定量的比較システムであって、
    a’)対象物質Tと、前記R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)のうちのいずれか1つ、および前記構成物質A(m)に対応する拡張物質Am(k’)との間のMOD‐Dscore値をそれぞれ求めて、そのうちの最小値MIN(m)を得て、前記拡張R‐分子軌道ライブラリの構成物質A(m)の全部に対して前記最小値MIN(m)を求める最小値設定モジュールと、
    b’)前記最小値設定モジュールで求められた最小値MIN(m)のうち、最も大きい値をM_MAXとして選択し、前記M_MAXがp”より大きければ、前記対象物質Tが、前記最小値MIN(m)がM_MAXの構成物質A(m)と類似すると評価する類似性評価モジュールとを含み、
    前記p”は0.84≦p”<1.0であることを特徴とする、分子軌道分布特性の定量的比較システム。
JP2016521231A 2013-07-18 2014-07-16 排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリおよびこれを用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステム Active JP6099820B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR10-2013-0084624 2013-07-18
KR1020130084624A KR101586386B1 (ko) 2013-07-18 2013-07-18 배타적 분자 오비탈 분포를 갖는 분자 오비탈 라이브러리 및 이를 이용한 분자 오비탈 분포 영역 평가 방법 및 이를 이용한 시스템
PCT/KR2014/006423 WO2015009046A1 (ko) 2013-07-18 2014-07-16 배타적 분자 오비탈 분포를 갖는 분자 오비탈 라이브러리 및 이를 이용한 분자 오비탈 분포 영역 평가 방법 및 이를 이용한 시스템

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016529591A JP2016529591A (ja) 2016-09-23
JP6099820B2 true JP6099820B2 (ja) 2017-03-22

Family

ID=52346427

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016521231A Active JP6099820B2 (ja) 2013-07-18 2014-07-16 排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリおよびこれを用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステム

Country Status (4)

Country Link
US (1) US10133851B2 (ja)
JP (1) JP6099820B2 (ja)
KR (1) KR101586386B1 (ja)
WO (1) WO2015009046A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101586382B1 (ko) * 2013-07-15 2016-01-18 주식회사 엘지화학 분자 오비탈 유사성 편차 평가 방법 및 이를 이용한 시스템
US20160378910A1 (en) * 2015-06-25 2016-12-29 Florida Institute of Technology, Inc. Molecular active center identification using tunneling barriers and/or associated measurements for sub-molecular qsar
US20200294630A1 (en) * 2019-03-12 2020-09-17 California Institute Of Technology Systems and Methods for Determining Molecular Structures with Molecular-Orbital-Based Features

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3990130B2 (ja) 2001-09-25 2007-10-10 独立行政法人科学技術振興機構 並列計算方法
WO2005029385A1 (ja) * 2003-09-22 2005-03-31 Nec Corporation 分子シミュレーション方法及び装置
US8386193B2 (en) 2004-09-27 2013-02-26 Japan Science And Technology Agency Molecular orbital computing device for elongation method
GB2456080A (en) 2006-09-29 2009-07-08 Fujitsu Ltd Method of assigning molecular force field,apparatus for assigning molecular force field and program for assigning molecular force field
JP2011173821A (ja) 2010-02-24 2011-09-08 Sumitomo Chemical Co Ltd 化学物質の活性度の予測方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR101586386B1 (ko) 2016-01-18
US20160140325A1 (en) 2016-05-19
US10133851B2 (en) 2018-11-20
KR20150010106A (ko) 2015-01-28
WO2015009046A1 (ko) 2015-01-22
JP2016529591A (ja) 2016-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rovinelli et al. Assessing reliability of fatigue indicator parameters for small crack growth via a probabilistic framework
JP6113358B2 (ja) 分子軌道分布に対する定量的比較分析方法及びこれを利用したシステム
JP6099820B2 (ja) 排他的分子軌道分布を有する分子軌道ライブラリおよびこれを用いた分子軌道分布領域評価方法およびこれを用いたシステム
Ma et al. DreamAI: algorithm for the imputation of proteomics data
KR101655912B1 (ko) 전하 상태에 따른 분자 오비탈 분포 특성의 정량적 비교 분석 방법 및 이를 이용한 시스템
Lui et al. A comparison of molecular representations for lipophilicity quantitative structure–property relationships with results from the SAMPL6 logP Prediction Challenge
Agliari et al. Hitting and trapping times on branched structures
JP5951901B2 (ja) 順次ブロック構成による分子オービタル特性解析方法及びこれを利用したシステム
Györffy et al. " Pull moves" for rectangular lattice polymer models are not fully reversible
de Oliveira et al. Enriching networks with edge insertion to improve community detection
JP5933130B2 (ja) 分子オービタルの類似性偏差評価方法およびこれを用いたシステム
KR101692322B1 (ko) 배타적 분자 오비탈 분포를 갖는 분자 오비탈 라이브러리 구축 방법 및 이를 이용한 시스템
Rosenthal et al. Impact of population size, selection and multi-parent recombination within a customized NSGA-II and a landscape analysis for biochemical optimization
KR101614430B1 (ko) 특정 영역에 대한 분자 오비탈 분포의 정량적 비교 분석 방법 및 이를 이용한 시스템
Manavi et al. Simulation and analysis of antibody aggregation on cell surfaces using motion planning and graph analysis
KR20150010102A (ko) Homo-lumo 간의 분자 오비탈 분포의 정량적 비교 분석 방법 및 이를 이용한 시스템
KR101554362B1 (ko) 세분화된 핵심 영역을 이용한 분자 오비탈의 정량적 평가 방법 및 이를 이용한 시스템
KR101566993B1 (ko) 복합적 미세 탐색을 통한 분자 오비탈 분포 경향 평가 방법 및 이를 이용한 분자 오비탈 분포 경향 평가 시스템
KR101578815B1 (ko) 분자 오비탈의 핵심 영역 결정 방법, 이를 이용한 정량적 평가 방법 및 이를 이용한 시스템
KR101655909B1 (ko) 분자 오비탈 유사성에 대한 정성적 판단의 타당성 평가 방법 및 이를 이용한 시스템
KR101566991B1 (ko) 부분 블록 집합을 이용한 분자 오비탈의 세부 특성 평가 방법 및 이를 이용한 시스템
Cichy et al. Application of Contractor Renormalization Group (CORE) to the Heisenberg zig-zag and the Hubbard chain
KR20150006710A (ko) 블록 서열 비교를 통한 정량적인 분자 오비탈 유사성 비교방법 및 이를 이용한 시스템
KR20150014643A (ko) 정량적 검색이 가능한 분자 오비탈 데이터베이스 구축 방법 및 이를 이용하는 시스템

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6099820

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250