JP6099546B2 - 吸音構造体 - Google Patents

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Description

この発明は、ヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造体に関する。
従来、ヘルムホルツ共鳴器の原理を利用して吸音を行う吸音構造体が知られている。こうしたヘルムホルツ共鳴器は、一般に多数の空気孔が形成された多孔板を使用して構成され、空気孔の径や吸音室の容積などで規定される所定の周波数域の音が吸音構造体の内部に進入したときに共鳴が発生し、空気孔部分の振動によって摩擦熱が生じ、振動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されることで吸音作用を生じるものである。
こうしたヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造体を天井面等に配置するには、例えば特許文献1に記載されたような構造を利用可能である。すなわち、特許文献1には、上方開口の溝形形状をなす主体の底面部の長手方向所要部位に、該底面部の下面側を凹ませることによって底面部の上面側に突出せしめられた一条あるいは複数条の隆起突起部を設け、該隆起突起部の頂面部に吸音用の孔部を並設するとともに、主体の一方の側壁外面部には、その長手方向に連結用突片を側設し、かつ主体の他方の側壁外面部には、該連結用突片の先端縁部分を挿入させうる嵌込溝部を設けた天井材が開示されている。この特許文献1記載の構造を応用し、孔部の裏側に閉塞した吸音室を設ければ、ヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造体を天井面等に配置することができる。
実開昭63−8309号公報
しかし、上記したような吸音構造体では、吸音室を複数設けたとしても、それぞれの吸音室の容積がすべて同じになるため、吸音できる周波数域が限定されるという問題があった。なお、複数の吸音室の外観形状を互いに異なるように形成すれば吸音室の容積を変えることができるが、外観形状を異ならせた場合には意匠の統一感が失われるため、意匠性が悪くなり、且つ部品数が増え、コストがかかるという問題がある。
そこで、本発明は、意匠の統一感を失うことなく様々な周波数域に対応して吸音が可能な吸音構造体を提供することを課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
(請求項1)
請求項1に記載の吸音構造体は、ヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造体であって、建物躯体側に固定される受部材と、前記受部材に嵌合する共鳴器本体材と、備え、前記共鳴器本体材は断面略コ字状であり、記共鳴器本体材の長手開口部に前記受部材を嵌合させて吸音室を形成し、該吸音室に空気口を開口させてヘルムホルツ共鳴器を形成し、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部に長手方向に延びる隔壁を設け、前記受部材の側部に前記空気口を開口させたことを特徴とする。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記隔壁は、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部を非対称に隔てていることを特徴とする。
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、建物躯体側にパネル材を固定し、前記パネル材の平坦面に前記受部材を固定したことを特徴とする。
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記パネル材の表面に凹部を設け、前記凹部に前記受部材を固定したことを特徴とする。
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項3又は4記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記パネル材の裏面に脚部を設け、前記脚部を建物躯体側に当接させたことを特徴とする。
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項1〜のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記受部材と前記共鳴器本体材とを直接的または間接的に連結する落下防止手段を備えることを特徴とする。
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項1〜のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記共鳴器本体材の表面に化粧溝を施したことを特徴とする。
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、建物躯体側に固定される受部材と、前記受部材に嵌合する共鳴器本体材と、備え、前記共鳴器本体材は断面略コ字状であり、記共鳴器本体材の長手開口部に前記受部材を嵌合させて吸音室を形成し、該吸音室に空気口を開口させてヘルムホルツ共鳴器を形成し、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部に長手方向に延びる隔壁を設けたので、受部材に共鳴器本体材を嵌合させだけで容易にヘルムホルツ共鳴器を製作できるので、作業性が良い。また、隔壁を設けることで吸音室の容積を変化させることできるので、意匠の統一感を失うことなく様々な周波数域の吸音が可能となる。また、ヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造であるため、グラスウール等の吸音材も不要である。
また、前記受部材の側部にヘルムホルツ共鳴器の前記空気口を開口させたので、外部から視認しにくい位置に空気口を設けることができ、意匠性が良い。
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記隔壁は、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部を非対称に隔てているので、それぞれの吸音室で異なる周波数域の吸音をすることができる。
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、建物躯体側にパネル材を固定し、前記パネル材の平坦面に前記受部材を固定したので、平坦面を備えていない箇所であっても吸音構造体を取り付けることができ、吸音構造体の設置場所を選ばないので使用範囲を広げることができる。また、パネル材のアクセントとしてヘルムホルツ共鳴器を取り付けることも可能であるので、吸音構造体を化粧材として使用して意匠性を向上させることができる。
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記パネル材の表面に凹部を設け、前記凹部に前記受部材を固定したので、凹部をガイドにすることで受部材を容易に取り付けることができる。
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記パネル材の裏面に脚部を設け、前記脚部を建物躯体側に当接させたので、パネル材に受部材をビス等の止具で止める際に、脚部で支持することで凹みを防止することができる。すなわち、パネル材が凹んだ場合、共鳴器本体材と受部材との接合が確実に行えないおそれがあるが、このような現象を抑制することができる。
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記受部材と前記共鳴器本体材とを直接的または間接的に連結する落下防止手段を備えているので、共鳴器本体材と受部材との嵌合が万が一外れてしまっても、共鳴器本体材の落下を防止する事ができる。
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記共鳴器本体材の表面に化粧溝を施したので、共鳴器本体材の裏面に隔壁などを形成した場合において、仮にストラクチャストリーク等の外観欠陥が発生した場合でも、化粧溝によってストリーク等の外観欠陥を視認し辛くすることができるので、意匠性を損なう事がない。
吸音構造体を天井に配設して下から見た図である。 第1の実施形態に係る一部拡大正面図(図1におけるA方向から見た図。但し小口フタを省略)である。 第1の実施形態に係る一部拡大側面図(図1におけるB方向から見た図)である。 第1の実施形態に係る一部拡大側面図(図1におけるC方向から見た図)である。 第1の実施形態に係る吸音構造体の分解図である。 第1の実施形態に係る共鳴器本体材の(a)正面図、(b)底面図である。 (a)(b)(c)は、第1の実施形態に係る落下防止手段の取り付け方法を説明する図である。 第1の実施形態に係る別の落下防止手段の取り付け方法を説明する図である。 第2の実施形態に係る一部拡大正面図(図1におけるA方向から見た図。但し小口フタを省略)である。 第2の実施形態に係る一部拡大側面図(図1におけるB方向から見た図)である。 第2の実施形態に係る一部拡大側面図(図1におけるC方向から見た図)である。 第2の実施形態に係る吸音構造体の分解図である。 第2の実施形態に係る共鳴器本体材の(a)正面図、(b)底面図である。 (a)(b)(c)は、第2の実施形態に係る落下防止手段の取り付け方法を説明する図である。 第2の実施形態に係る別の落下防止手段の取り付け方法を説明する図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1〜8を参照しながら説明する。
本実施形態に係る吸音構造体は、ヘルムホルツ共鳴器を利用して吸音を行うものであり、本実施形態においては図1に示すように屋内の天井面に配設されている。この吸音構造体は、建物躯体50の天井面に固定された下地材35と、下地材35の下部に固定されたパネル材38と、パネル材38に対してリブ状に固定された受部材10と、受部材10に嵌合する共鳴器本体材20と、共鳴器本体材20の両端に固定される小口フタ30と、を備えて構成されている。
下地材35は、図2〜4に示すように、例えば建物躯体50の天井面からハンガー40によって吊支持された受材39の下面に固定され、建物躯体50の天井面に固定されている。
パネル材38は、下地材35を介して建物躯体50の天井面に固定されることで平坦面を形成するアルミニウム製の押出形材であり、図2〜4に示すように、下地材35の下部にネジなどで固定される。本実施形態においては、このパネル材38で天井部を覆っているため、後述する共鳴器本体材20を取り付けたときにスパンドレルのような外観となる。
このパネル材38は、図2に示すように、表面38a(受部材10を固定する面)に溝状の凹部38bが形成されている。この凹部38bは受部材10を固定するためのガイドとして使用されるものである。また、パネル材38の裏面38c(下地材35に固定する面)には一対の脚部38dがリブ状に突出形成されており、この脚部38dが下地材35に当接している。この脚部38dは、受部材10を固定するために使用される受部材固定用ビス32の両側に立設されており、受部材固定用ビス32を締め込んだときの負荷を受ける役割を果たしている。すなわち、受部材固定用ビス32を締め込んだときにパネル材38に過剰な負荷がかかって凹む現象を防止する役割を果たしている。
受部材10は、図5等に示すように、上記したパネル材38の平坦面に固定される長尺材である。この受部材10は、パネル材38に当接して固定される支持部11と、この支持部11の両端から略直角に立ち上げ形成される突出縁部14と、で構成される断面略コ字状のアルミニウム製の押出形材である。支持部11には、パネル材38の凹部38bに嵌合するように凸部12が形成されるとともに、受部材固定用ビス32を貫通させるビス孔13が穿設されており、凸部12を凹部38bに嵌合させて受部材固定用ビス32で固定することにより、受部材10をパネル材38に固定できるようになっている。また、突出縁部14の外側先端部には矢尻状の係止爪15が形成されており、この係止爪15を後述する共鳴器本体材20の係止爪23に係合させることで、受部材10にワンタッチで共鳴器本体材20を嵌合固定できるようになっている。なお、突出縁部14の根元には、共鳴器本体材20の係止爪23の先端を受ける段部16が形成されており、嵌合固定された共鳴器本体材20がガタつきなく固定されるように形成されている。
また、この段部16よりも更に根元側には小孔18a及び大孔18bが開口形成されている。この小孔18a及び大孔18bは、受部材10の側部にヘルムホルツ共鳴器の空気口18を形成するためのものである。本実施形態においては、左右の突出縁部14にそれぞれ異なる大きさの空気口18を設けており、具体的には、一方の突出縁部14に小孔18aを所定間隔で連続して設け、他方の突出縁部14に小孔18aよりも大きく開口する大孔18bを所定間隔で連続して設けている。この小孔18a及び大孔18bは、図2に示すように、後述する共鳴器本体材20の側面部22で覆われない位置に開口している。
また、この受部材10の内側面には、突出縁部14と略平行にL字形の隔壁受片19が突出形成されている。この隔壁受片19は、後述する共鳴器本体材20の隔壁片28と密接することで、ヘルムホルツ共鳴器の内部を分割するためのものである。この隔壁受片19は、受部材10の長手方向全長に渡って設けられている。
共鳴器本体材20は、図5等に示すように、受部材10に嵌合固定される長尺材であり、受部材10と同じ長さに設定されている。この共鳴器本体材20は、前面部21と、この前面部21の両端から略直角に形成された側面部22と、からなる断面略コ字状のアルミニウム製の押出形材である。側面部22の端部内側には、矢尻状の係止爪23が形成されており、受部材10の係止爪15と係合可能となっている。また、係止爪23よりも根元側には、後述する小口フタ30を固定するためのフタ固定用ビスホール25が設けられている。このフタ固定用ビスホール25は内方に突出して形成されており、受部材10の係止爪15の先端が当接するようになっている。このようにフタ固定用ビスホール25に係止爪15の先端を当接させることで、受部材10に嵌合させたときに係止爪15が入り込むのを防ぎ、確実に固定される。
また、この共鳴器本体材20内側面には、側面部22と略平行にL字形の隔壁片28が突出形成されている。この隔壁片28は、前述した受部材10の隔壁受片19に対応する位置に設けられており、この隔壁受片19と密接することで、ヘルムホルツ共鳴器の内部を分割している。この隔壁片28は受部材10の長手方向全長に渡って立設されているため、図2等に示すように、ヘルムホルツ共鳴器の内部は2つの吸音室に分割されている。本実施形態においては、隔壁片28及び隔壁受片19が左右に偏った位置に配設されているため、ヘルムホルツ共鳴器の内部が非対称に隔てられており、比較的大きな内部空間である第1吸音室S1と、第1吸音室S1よりも容積が小さい第2吸音室S2と、に分割されている。なお、本実施形態においては、第1吸音室S1の側に小孔18aを開口させ、第2吸音室S2の側に大孔18bを開口させているが、これに限らず、吸音室の容積や空気口18の大きさは、吸音したい周波数域に応じて適宜変更すればよい。
小口フタ30は、図5等に示すように、共鳴器本体材20の両端に固定される板状のアルミニウム部材である。この小口フタ30には固定孔30aが貫通形成されており、この固定孔30aに貫通させたフタ固定用ビス31を、共鳴器本体材20のフタ固定用ビスホール25に螺合させることで、小口フタ30が共鳴器本体材20に固定される。
上記したような吸音構造体においては、図2〜4に示すように、共鳴器本体材20の両端開口部が小口フタ30で覆われ、かつ、共鳴器本体材20の長手開口部に受部材10が取り付けられるため、共鳴器本体材20と小口フタ30と受部材10とで構成される箱状部材の内部には、外部から遮蔽された第1吸音室S1及び第2吸音室S2が形成されることとなる。しかしながら、この第1吸音室S1及び第2吸音室S2は完全に外部から遮断されてはおらず、受部材10の側部に開口する空気口18を通じて第1吸音室S1及び第2吸音室S2が外部と連通している。
具体的には、図2に示すように、共鳴器本体材20が受部材10を介してパネル材38の平坦面に固定されることで、共鳴器本体材20の側面部22の先端がパネル材38に接触しないように設定されている。このため、共鳴器本体材20とパネル材38の平坦面との間に間隙Gが形成される。この間隙Gに臨むように、受部材10の突出縁部14に小孔18a及び大孔18bが形成されているため、この小孔18a及び大孔18bを利用して、第1吸音室S1及び第2吸音室S2を外部と連通させるヘルムホルツ共鳴器の空気口18が形成されている。
このように、本実施形態によれば、第1吸音室S1及び第2吸音室S2と小孔18a及び大孔18bとによってヘルムホルツ共鳴器が構成されており、所定の吸音効果を得られるようになっている。
なお、本実施形態に係る共鳴器本体材20は、前面部21の裏面側に隔壁片28を突出形成しているため、押出時にストリーク等の外観欠陥が発生する場合がある。例えば、隔壁片28が設けられていることによって前面部21の押出形材の肉厚が変化するため、金属組織や合金組成の不均一さの影響で押出方向に線状に模様が現れるストラクチャストリークが発生し、意匠性を損なうおそれがある。本実施形態においては、このような問題を回避するため、図6に示すように、共鳴器本体材20の表面に化粧溝27を施している。化粧溝27を施すことで、仮にストラクチャストリーク等の外観欠陥が発生した場合でも、化粧溝27によってストリーク等の外観欠陥を視認し辛くすることができるので、意匠性を損なう事がない。
また、本実施形態においては、係止爪15、23を互いに係合させることで受部材10に共鳴器本体材20を固定している。この係合が万が一外れた場合には共鳴器本体材20が落下する恐れがあるため、受部材10と共鳴器本体材20とを直接的または間接的に連結する落下防止手段を設けてもよい。
たとえば、図7に示すように、落下防止手段として落下防止索33を設けてもよい。この落下防止索33は、両端部にリング状の固定部33aを備えており、一端の固定部33aを小口フタ30に固定するとともに、他端の固定部33aをパネル材38に固定することで、受部材10と共鳴器本体材20とを間接的に連結している(なお、一端の固定部33aを共鳴器本体材20に固定して、受部材10と共鳴器本体材20とを直接的に連結してもよい。また、吸音構造体を壁等の平坦面に直に取付けた場合は、一端の固定部33aを吸音構造体に固定するとともに、他端の固定部33aを壁等の平坦面へ固定してもよい。)。
この落下防止索33を取り付ける場合の手順は以下の通りである。すなわち、まず、図7(a)に示すように、小口フタ30の索固定孔30bに対して、落下防止索33の一端の固定部33aを、索固定用ビス34によって固定する。その後、図7(b)に示すように、小口フタ30を共鳴器本体材20に固定する。一方、パネル材38には受部材10を固定する。そして、図7(c)に示すように、受部材10に共鳴器本体材20を嵌合固定し、落下防止索33の他端の固定部33aを索固定用ビス34によってパネル材38に固定する。これにより、受部材10と共鳴器本体材20とが落下防止索33を介して連結されるので、仮に受部材10と共鳴器本体材20との係合が外れてしまったとしても、共鳴器本体材20の落下を防止することができる。
また、落下防止手段として別の態様を採用してもよい。たとえば、図8に示すように、小口フタ30を落下防止手段として使用してもよい。この場合には、受部材10に小口フタ30を固定するためのフタ固定用ビスホール17を設ければよい。
この落下防止手段を取り付ける場合の手順は以下の通りである。すなわち、まず、パネル材38に受部材10を固定する。次に、受部材10に共鳴器本体材20を嵌合固定する。そして、小口フタ30の固定孔30aに挿通したフタ固定用ビス31を共鳴器本体材20のフタ固定用ビスホール25に螺合させるとともに、小口フタ30の受部材固定孔30cに挿通したフタ固定用ビス31を受部材10のフタ固定用ビスホール17に螺合させ、小口フタ30を受部材10及び共鳴器本体材20に固定する。これにより、受部材10と共鳴器本体材20とが小口フタ30を介して連結されるので、共鳴器本体材20の落下を防止することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、建物躯体50の天井面に固定される受部材10と、前記受部材10に嵌合する共鳴器本体材20と、前記共鳴器本体材20の両端に固定される小口フタ30と、を備え、前記共鳴器本体材20は断面略コ字状であり、前記共鳴器本体材20の両端開口部を前記小口フタ30で覆うとともに、前記共鳴器本体材20の長手開口部に前記受部材10を嵌合させてヘルムホルツ共鳴器を形成し、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部に長手方向に延びる隔壁を設けたので、受部材10に共鳴器本体材20を嵌合させて小口フタ30を取り付けるだけで容易にヘルムホルツ共鳴器を製作できるので、作業性が良い。また、隔壁を設けることで吸音室の容積を変化させることできるので、意匠の統一感を失うことなく様々な周波数域の吸音が可能となる。また、ヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造であるため、グラスウール等の吸音材も不要であり、リサイクル性に優れている。
また、前記隔壁は、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部を非対称に隔てているので、それぞれの吸音室で異なる周波数域の吸音をすることができる。
また、前記受部材10の突出縁部14にヘルムホルツ共鳴器の空気口18を開口させたので、外部から視認しにくい位置に空気口18を設けることができ、意匠性が良い。
また、下地材35が必要な面にパネル材38を固定し、前記パネル材38の平坦面に前記受部材10を固定したので、平坦面を備えていない箇所であっても吸音構造体を取り付けることができ、吸音構造体の設置場所を選ばないので使用範囲を広げることができる。また、パネル材38のアクセントとしてヘルムホルツ共鳴器を取り付けることも可能であるので、吸音構造体を化粧材として使用して意匠性を向上させることができる。
また、前記パネル材38の表面38aに凹部38bを設け、前記凹部38bに前記受部材10を固定したので、凹部38bをガイドにすることで受部材10を容易に取り付けることができる。
また、前記パネル材38の裏面38cに脚部38dを設け、前記脚部38dを建物躯体50の天井面に当接させたので、パネル材38に受部材10をビス等の止具で止める際に、脚部38dで支持することで凹みを防止することができる。すなわち、パネル材38が凹んだ場合、共鳴器本体材20と受部材10との接合が確実に行えないおそれがあるが、このような現象を抑制することができる。
また、前記受部材10と前記共鳴器本体材20とを直接的または間接的に連結する落下防止手段を備えているので、共鳴器本体材20と受部材10との嵌合が万が一外れてしまっても、共鳴器本体材20の落下を防止する事ができる。
また、前記共鳴器本体材20の表面に化粧溝27を施したので、共鳴器本体材20の裏面に隔壁などを形成した場合において、仮にストラクチャストリーク等の外観欠陥が発生した場合でも、化粧溝27によってストリーク等の外観欠陥を視認し辛くすることができるので、意匠性を損なう事がない。
また、吸音構造体を構成する受部材10、共鳴器本体材20、小口フタ30、パネル材38等がすべてアルミで構成されているため、容易にリサイクルすることができる。
なお、本実施形態においてはパネル材38を介して受部材10を固定しているが、これに限らず、パネル材38を使用せずに建物躯体50の平坦面に直接受部材10を固定してもよい。このようにすれば、共鳴器本体材20を取り付けたときにルーバー材のような外観とすることができる。このように、本実施形態に係る吸音構造体は、スパンドレルやルーバーと同じ感覚で施工することができるとともに、意匠性を考慮してパネル材38の有無等を選択することも可能である。
また、共鳴器本体材20の縦横比を増減して容積を変更したり、隔壁の位置や形状を変更したり、空気口18の大きさを変更したりすることにより、様々な音域を吸音させることができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図9〜15を参照しながら説明する。なお、本実施形態の基本構造は第1の実施形態と同様であるので、重複する記載を避けて、第1の実施形態との相違点について説明する。
本実施形態に係る廻縁材36は、図9〜11に示すように分割されており、化粧カバー37が接続固定されている。この化粧カバー37は、共鳴器本体材20よりも下方において共鳴器本体材20の端部を覆うように設けられている。このような化粧カバー37を設けるようにすれば、意匠性が高められる。
本実施形態はパネル材38を使用しておらず、受部材10を両側に張り出した形状とすることで、受部材10がパネル材38を兼ねるように形成されている。すなわち、本実施形態に係る受部材10は、図9や図12等に示すように、下地材35を介して建物躯体50の天井面に固定されるアルミニウム製の押出形材であり、下地材35の下部にネジなどで固定される。この受部材10は、平坦面を形成する支持部11と、この支持部11から略直角に立ち上げ形成される突出縁部14と、を備えている。
支持部11の両端は幅広方向に張り出し形成されており、一方端側に張り出した第1張出片11aと、他方端側に張り出した第2張出片11cと、を備えている。第1張出片11aの端部には下地材35に当接して止具で固定される固定端部11bが設けられており、隣り合った別材の受部材10の第1張出片11aと第2張出片11cとは互いに係合するようになっている。このため、複数の受部材10を平行に並べて配設し、隣り合った別材の受部材10の第1張出片11aと第2張出片11cとを係合させることで、共鳴器本体材20を取り付け可能な平坦面を形成することができる。
なお、この受部材10においても、突出縁部14の外側先端部には矢尻状の係止爪15が形成されており、この係止爪15を共鳴器本体材20の係止爪23に係合させることで、受部材10にワンタッチで共鳴器本体材20を嵌合固定できるようになっている。また、突出縁部14の根元にはヘルムホルツ共鳴器の空気口18を形成するための小孔18a及び大孔18bが開口形成されている。そして、この受部材10の内側面には、共鳴器本体材20の隔壁片28と密接することでヘルムホルツ共鳴器の内部を分割するための隔壁受片19が、受部材10の長手方向全長に渡って立設されている。
共鳴器本体材20は、第1の実施形態とほぼ同様の構成であり、内側面には隔壁片28が突出形成されている。また、図13に示すように、ストラクチャストリーク等の外観欠陥を視認し辛くするために、共鳴器本体材20の表面に化粧溝27が施されている。
上記したような吸音構造体においては、図9〜11に示すように、共鳴器本体材20の両端開口部が小口フタ30で覆われ、かつ、共鳴器本体材20の長手開口部に受部材10が取り付けられるため、共鳴器本体材20と小口フタ30と受部材10とで構成される箱状部材の内部には、外部から遮蔽された第1吸音室S1及び第2吸音室S2が形成されることとなる。しかしながら、この第1吸音室S1及び第2吸音室S2は完全に外部から遮断されてはおらず、受部材10の側部に開口する空気口18を通じて第1吸音室S1及び第2吸音室S2が外部と連通している。
具体的には、図9に示すように、共鳴器本体材20が受部材10の平坦面に固定されることで、共鳴器本体材20の側面部22の先端が平坦面(第1張出片11a及び第2張出片11c)に接触しないように設定されている。このため、共鳴器本体材20と受部材10の平坦面との間に間隙Gが形成される。この間隙Gに臨むように、受部材10の側部に小孔18a及び大孔18bが形成されているため、この小孔18a及び大孔18bを利用して、第1吸音室S1及び第2吸音室S2を外部と連通させるヘルムホルツ共鳴器の空気口18が形成されている。
このように、本実施形態によれば、第1吸音室S1及び第2吸音室S2と小孔18a及び大孔18bとによってヘルムホルツ共鳴器が構成されており、所定の吸音効果を得ることができる。
なお、受部材10と共鳴器本体材20とを直接的または間接的に連結する落下防止手段としては、図14及び図15に示すように、第1の実施形態と同様の構造を適用することができる。
以上説明したような第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
10 受部材
11 支持部
11a 第1張出片
11b 固定端部
11c 第2張出片
12 凸部
13 ビス孔
14 突出縁部
15 係止爪
16 段部
17 フタ固定用ビスホール
18 空気口
18a 小孔
18b 大孔
19 隔壁受片
20 共鳴器本体材
21 前面部
22 側面部
23 係止爪
25 フタ固定用ビスホール
27 化粧溝
28 隔壁片
30 小口フタ
30a 固定孔
30b 索固定孔
30c 受部材固定孔
31 フタ固定用ビス
32 受部材固定用ビス
33 落下防止索(落下防止手段)
33a 固定部
34 索固定用ビス
35 下地材
36 廻縁材
37 化粧カバー
38 パネル材
38a 表面
38b 凹部
38c 裏面
38d 脚部
39 受材
40 ハンガー
50 建物躯体
S1 第1吸音室
S2 第2吸音室
G 間隙

Claims (7)

  1. ヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音構造体であって、
    建物躯体側に固定される受部材と、
    前記受部材に嵌合する共鳴器本体材と、
    備え、
    前記共鳴器本体材は断面略コ字状であり、記共鳴器本体材の長手開口部に前記受部材を嵌合させて吸音室を形成し、該吸音室に空気口を開口させてヘルムホルツ共鳴器を形成し、
    前記ヘルムホルツ共鳴器の内部に長手方向に延びる隔壁を設け
    前記受部材の側部に前記空気口を開口させたことを特徴とする、吸音構造体。
  2. 前記隔壁は、前記ヘルムホルツ共鳴器の内部を非対称に隔てていることを特徴とする、請求項1記載の吸音構造体。
  3. 建物躯体側にパネル材を固定し、前記パネル材の平坦面に前記受部材を固定したことを特徴とする、請求項1又は2記載の吸音構造体。
  4. 前記パネル材の表面に凹部を設け、前記凹部に前記受部材を固定したことを特徴とする、請求項記載の吸音構造体。
  5. 前記パネル材の裏面に脚部を設け、前記脚部を建物躯体側に当接させたことを特徴とする、請求項3又は4記載の吸音構造体。
  6. 前記受部材と前記共鳴器本体材とを直接的または間接的に連結する落下防止手段を備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の吸音構造体。
  7. 前記共鳴器本体材の表面に化粧溝を施したことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の吸音構造体。
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