しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された巻き取りボビン110aでは、満巻きされた巻き取りボビン110aを人が転がして移動するようになっている。したがって、製造工場において、多くの製造工程が存在して巻き取りボビン110aを各製造工程で使い回しするためには、重たい巻き取りボビン110aを人力で転がして移動させなければならないので、重労働となる。一方、この重たい巻き取りボビン110aを台車に乗せて搬送することが考えられるが、満巻きされた巻き取りボビン110aを台車に乗せる作業自体が重労働である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、複数の製造工程において板材を巻き出し又は巻き取るボビンを使い回しする場合に、作業性のよい板材ボビン及び付属装置を提供することにある。
本発明の板材ボビンは、上記課題を解決するために、板材を巻き出し又は巻き取るボビンを備えた板材ボビンにおいて、上記ボビンは、移動可能な車輪付き台車に取り付けられていると共に、上記ボビンが車輪付き台車に取り付けられた状態で板材を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっていることを特徴としている。
例えば、板材を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能なボビンを採用する場合において、複数の製造工程において板材を巻き出し又は巻き取るボビンを使い回しする場合には、満巻きされたボビンを次の製造工程に持って行く必要がある。
その場合に、重たいボビンを人力で転がして持って行くことになるので、重労働が伴う。一方、この重たいボビンを台車に乗せて搬送することが考えられるが、満巻きされたボビンを台車に乗せる作業自体が重労働である。また、ある製造工程における製造装置の前まで持って行ったときに、そのボビンを、製造装置におけるボビン取り付け装置にセットすることも重労働である。
そこで、本発明では、ボビンは、移動可能な車輪付き台車に取り付けられていると共に、上記ボビンが車輪付き台車に取り付けられた状態で板材を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっている。
これにより、ボビンの搬送が軽作業となり、作業の安全性を高めることができる。また、板材ボビンをある製造工程における製造装置の前まで持って行ったときに、その持って行った場所において、ボビンが車輪付き台車に取り付けられた状態で板材を左右トラバースして巻き出し又は巻き取りすることができる。この結果、重量物の取り付け作業及び取り外し作業が不要となる。
したがって、複数の製造工程において板材を巻き出し又は巻き取るボビンを使い回しする場合に、作業性のよい板材ボビンを提供することができる。
本発明の板材ボビンでは、前記車輪付き台車には、前記ボビンの軸を架橋して取り付けるための一対の立ち上げ支持部材が設けられており、上記立ち上げ支持部材における一対のうちの少なくとも一方には、前記ボビンの軸を回転可能に取り付けた駆動伝達部材が設けられていると共に、上記駆動伝達部材は、上記車輪付き台車を進退移動させることにより、該車輪付き台車とは別途に設けられたモータの駆動系と断接可能になっているとすることができる。
すなわち、ボビンを回転駆動させるためには、回転駆動用のモータが必要となるが、このモータを車輪付き台車に取り付けたのでは、満巻きされたボビンを搭載した車輪付き台車を搬送するのがより重くなる。そこで、本発明では、モータは、車輪付き台車とは別途に設けられている。これにより、車輪付き台車の軽量化を図ることができる。
一方、モータを、車輪付き台車とは別途に設けた場合には、モータの駆動系をボビンの回転軸に結合しなければならない。このため、本発明では、車輪付き台車には、ボビンの軸を架橋して取り付けるための一対の立ち上げ支持部材を設けると共に、一対の立ち上げ支持部材のうち少なくとも一方には、ボビンの軸を回転可能に取り付けた例えばチェーン等の駆動伝達部材を設けている。
そして、車輪付き台車を進出移動させることにより、モータの駆動系を例えばチェーン等の駆動伝達部材に接続することによって駆動系を直結する。これにより、モータにてボビンから板材を巻き出し又は巻き取りすることができる。
一方、モータの駆動系を断ち切るときには、車輪付き台車を退却移動させる。これにより、モータの駆動系と例えばチェーン等の駆動伝達部材との接続を断ち切ることができ、板材ボビンを次の製造工程に容易に搬送することが可能となる。
本発明の板材ボビンでは、前記駆動伝達部材は前記立ち上げ支持部材の内側に取り付けられていると共に、上記立ち上げ支持部材には、前記モータの回転軸を挿入する開口部が設けられているとすることができる。
すなわち、立ち上げ支持部材の外側に駆動伝達部材が取り付けられている場合には、駆動伝達部材が露出するので、安全性において問題がある。そこで、本発明では、駆動伝達部材を立ち上げ支持部材の内側に取り付けると共に、モータの駆動系と断接させるために、立ち上げ支持部材には、モータの回転軸を挿入する開口部を設けている。
この結果、モータの回転軸を挿入する開口部を通して、駆動伝達部材とモータの駆動系との断接を行うことが可能となると共に、立ち上げ支持部材の外側には駆動伝達部材が露出しないので、安全性の高い板材ボビンを提供することができる。
本発明の板材ボビンでは、前記一対の立ち上げ支持部材には、車輪付き台車を進退移動させるための取っ手が、ボビンの軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられていることが好ましい。
これにより、取っ手を把持して車輪付き台車を進退移動させることができる。また、本発明では、取っ手が、ボビンの軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられている。これにより、逆方向からモータの駆動系を直結する場合においても、取っ手をボビンの軸を挟んで前後に付け替えることによって、車輪付き台車を反転することにより、逆方向からモータの駆動系を容易に直結することができる。したがって、汎用性の高い板材ボビンを提供することができる。
本発明の板材ボビンでは、前記車輪付き台車には、一対の第1主車輪、補助輪及び第2主車輪が互いに対向して設けられていると共に、上記補助輪は、上記第1主車輪又は第2主車輪に近接して設けられており、かつ該補助輪の車輪接地面が上記第1主車輪又は第2主車輪の車輪接地面よりも高い位置となるように車輪付き台車に取り付けられているとすることができる。
これにより、第1主車輪又は第2主車輪のいずれかがエレベータと階床との隙間に嵌り込んでも、直ちに、補助輪がエレベータ又は階床に接地するので、補助輪と嵌り込んでいない第1主車輪又は第2主車輪との4輪にて容易に脱出することができる。したがって、移動場所を選ばない板材ボビンを提供することができる。
本発明の板材ボビンでは、前記ボビンは、前記車輪付き台車に上下に少なくとも2段に設けられていると共に、上下少なくとも2段のボビンにおける各フランジは、上下のボビンとの間で同一面から互いに所定寸法だけ左右方向にずれており、上のボビンに巻き出し又は巻き取られる板材は、下のボビンに巻き出し又は巻き取られる板材に対して左右方向に対して互いに上記所定寸法の間隔を有して左右方向に同期してトラバースされることが好ましい。
これにより、ボビンは、車輪付き台車に上下少なくとも2段に設けられているので、ボビンの交換時間の削減を図ると共に、交換に伴う工数の削減を図ることができる。また、例えば、上下少なくとも2段のボビンを同時巻き取りすることによって、生産性の向上と作業効率改善とを図ることができる。さらに、少なくとも2段のボビンを高さ方向に積み重ねることによって、収容において空間の有効利用を図ることができる。
また、本発明では、上下少なくとも2段のボビンにおける各フランジは、上下のボビンとの間で同一面から互いに所定寸法だけ左右方向にずれており、上のボビンに巻き出し又は巻き取られる板材は、下のボビンに巻き出し又は巻き取られる板材に対して左右方向に対して互いに上記所定寸法の間隔を有して左右方向に同期してトラバースされる。
これにより、上下少なくとも2段の板材の巻き出し位置及び巻き取り位置が互いに重なるのを防止することができる。
本発明の付属装置は、上記課題を解決するために、前記記載の板材ボビンに供せられる付属装置であって、板材を左右にトラバースさせて巻き取る案内部材を備えていると共に、上記案内部材は、板材の搬送方向に3つのローラを有しており、かつ中央のローラは、板材を挟んで搬送すべくさらにローラを追加した一対の当接ローラとなっていることを特徴としている。
本発明では、ボビン自体を左右にトラバースさせるのではなく、案内部材を用いて板材を左右にトラバースさせるので、高出力のトラバース手段を回避すると共に、少スペースにて板材を左右にトラバースさせることができる。
また、案内部材は、板材の搬送方向に3つのローラを有しており、かつ中央のローラは、板材を挟んで搬送すべくさらにローラを追加した一対の当接ローラとなっているので、板材を搬送方向に3点支持すると共に、中央のローラでは一対の当接ローラにより板材を挟んで搬送する。
したがって、板材を左右に適切にトラバースさせてボビンに巻き取ることができる付属装置を提供することができる。
本発明の付属装置は、上記課題を解決するために、前記記載の板材ボビンに供せられる付属装置であって、板材をボビンに巻き取るときに該板材を左右に進退移動させる左右トラバース制御手段を備えており、上記左右トラバース制御手段は、上記ボビンにおける左右トラバース方向の中央部では第1移動速度にて板材を左右にトラバースさせると共に、板材の左右トラバースを反転させるときには、上記第1移動速度よりも速い第2移動速度にて板材を反転させることを特徴としている。
上記の発明によれば、左右トラバース制御手段は、ボビンにおける左右トラバース方向の中央部では第1移動速度にて板材を左右にトラバースさせるように制御する。一方、左右トラバース制御手段は、板材の左右トラバースを反転させるときには、上記第1移動速度よりも速い第2移動速度にて板材を反転させるように制御する。
これにより、ボビンのフランジ近傍における板材の巻き取りにおいて板材が歪んで積層がされることを防止することができる。
したがって、板材を左右に適切にトラバースさせてボビンに巻き取ることができる付属装置を提供することができる。
本発明の付属装置は、上記課題を解決するために、前記記載の板材ボビンに供せられる付属装置であって、板材を巻き取るときに板材の間に介在させる帯状シートを巻き出し又は巻き取る帯状シート用ボビンと、上記板材を巻き出し又は巻き取るボビンと上記帯状シート用ボビンとの間に設けられて、帯状シート用ボビンにおける帯状シートの巻き出し又は巻き取りの張力を調整する張力調整手段とを備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、板材を巻き取るときに板材の間に帯状シートを介在させることができるので、部品を搭載した板材を板材ボビンにて巻き取るときに部品を保護することができ、品質を安定させることができる。例えば、製品の酸化防止及び製品の損傷を防止することができる。
また、本発明では、板材を巻き出し又は巻き取るボビンと帯状シート用ボビンとの間には、帯状シート用ボビンにおける帯状シートの巻き出し又は巻き取りの張力を調整する張力調整手段が設けられている。これにより、製造工程における流れ作業において、板材の搬送速度が均一でなくても、張力調整手段にて帯状シート用ボビンにおける帯状シートの巻き出しの張力を調整することにより、帯状シートを円滑に供給し、板材の間に帯状シートの均一な積層状態を確保することができる。さらに、帯状シートを巻き取りする場合にも張力調整手段にて巻き取りの張力を調整することにより、帯状シート用ボビンに帯状シートの均一な積層状態を確保して巻き取ることができる。この結果、従来は帯状シートを廃棄していたが、本発明では帯状シートを再利用することができるので、帯状シートのコストダウンを図ることができる。
したがって、板材を左右に適切にトラバースさせてボビンに巻き取ることができる付属装置を提供することができる。
本発明の板材ボビンは、以上のように、ボビンは、移動可能な車輪付き台車に取り付けられていると共に、上記ボビンが車輪付き台車に取り付けられた状態で板材を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっている。
本発明の付属装置は、以上のように、前記記載の板材ボビンに供せられる付属装置であって、板材を左右にトラバースさせて巻き取る案内部材を備えていると共に、上記案内部材は、板材の搬送方向に3つのローラを有しており、かつ中央のローラは、板材を挟んで搬送すべくさらにローラを追加した一対の当接ローラとなっている。
本発明の付属装置は、以上のように、前記記載の板材ボビンに供せられる付属装置であって、板材をボビンに巻き取るときに該板材を左右に進退移動させる左右トラバース制御手段を備えており、上記左右トラバース制御手段は、上記ボビンにおける左右トラバース方向の中央部では第1移動速度にて板材を左右にトラバースさせると共に、板材の左右トラバースを反転させるときには、上記第1移動速度よりも速い第2移動速度にて板材を反転させる。
本発明の付属装置は、以上のように、前記記載の板材ボビンに供せられる付属装置であって、板材を巻き取るときに板材の間に介在させる帯状シートを巻き出し又は巻き取る帯状シート用ボビンと、上記板材を巻き出し又は巻き取るボビンと上記帯状シート用ボビンとの間に設けられて、帯状シート用ボビンにおける帯状シートの巻き出し又は巻き取りの張力を調整する張力調整手段とを備えている。
それゆえ、複数の製造工程において板材を巻き出し又は巻き取るボビンを使い回しする場合に、作業性のよい板材ボビン及び付属装置を提供するという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態の板材ボビン及び付属装置は、例えば、板材に材料部品を搭載し、その材料部品に各種の部品を組み付ける製造工場にて使用されている。
すなわち、製造工場では、例えば、図2(a)に示すように、板材1に材料状態の部品2を搭載する第1工程と、図2(b)に示すように、板材1に搭載された材料状態の部品2を溶接及び成形する第2工程と、図2(c)に示すように、溶接及び成形された部品2にさらに各種の部品を組み付ける第3工程によって、製品が完成するようになっている。尚、本実施の形態の各工程は、例示であり、必ずしも3つの工程が必要というわけではなく、第1工程でもよく、又は第4工程以上が存在していてもよい。
本実施の形態では、図2(a)(b)(c)に示すように、工程毎に板材ボビン10から板材の巻き出しと部品2を搭載した板材の巻き取りが行われるようになっている。
詳細には、本実施の形態の板材ボビン10は、板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11を備えており、ボビン11は、移動可能な車輪付き台車20に取り付けられていると共に、ボビン11が車輪付き台車20に取り付けられた状態で板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっている。
すなわち、板材を巻き出し又は巻き取るボビンを備えた板材ボビンは、従来、左右トラバースを採用しておらず、そのために、例えば、100mの板材が存在する場合に、10m巻きのボビンを使用して巻き取るときには、巻き取り及び巻き出しのためにそれぞれ0.5mが必要であるとした場合には、1ボビン毎に1mの端材が発生し、100mの板材においては合計10mの端材が発生することになる。
そこで、本実施の形態の板材ボビン10では、板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能としている。これにより、左右トラバースを採用しない場合に比べて、板材1における端材の発生を抑制することができ、板材1の利用率を高めることによりコストの低減を図ることができる。また、1つの製造工程におけるボビンの取替え頻度が減少するので、取替えに伴う工数の削減を図り、かつ設備稼働率を上げることができる。
さらに、板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能とした結果、左右トラバース幅に応じて巻き取り量を増加させることができると共に、各種のサイズ幅のボビン11を左右トラバースによる共用化により、ボビン11の標準化を図ることができる。例えば、従来、1cm〜数cm幅における3種類のサイズ幅のボビン11が存在していた場合に、新たに例えば左右トラバース幅45cmのボビン11とすれば、従来3種類のサイズ幅のボビンが存在していたのに対して、サイズ幅45cmの1種類のボビン11とすることができる。
ところで、このような板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能なボビン11を採用する場合において、複数の製造工程において板材を巻き出し又は巻き取るボビン11を使い回しする場合には、満巻きされたボビン11を次の製造工程に持って行く必要がある。
その場合に、重たいボビンを人力で転がして持って行くことになるので、重労働を伴う。一方、この重たいボビンを台車に乗せて搬送することが考えられるが、満巻きされたボビンを台車に乗せる作業自体が重労働である。また、ある製造工程における製造装置の前まで持って行ったときに、そのボビンを、製造装置におけるボビン取り付け装置にセットすることも重労働である。
そこで、本実施の形態の板材ボビン10では、ボビン11は移動可能な車輪付き台車20に取り付けられていると共に、該ボビン11が車輪付き台車20に取り付けられた状態で板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっている。
これにより、ボビン11の搬送が軽作業となり、作業の安全性を高めることができる。また、板材ボビン10をある製造工程における製造装置の前まで持って行ったときに、その持って行った場所において、ボビン11が車輪付き台車20に取り付けられた状態で板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取りすることができる。この結果、重量物の取り付け作業及び取り外し作業が不要となる。
したがって、複数の製造工程において板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11を使い回しする場合に、作業性のよい板材ボビン10を提供することができる。
ここで、本実施の形態の板材ボビン10の詳細構造について、図1(a)(b)(c)に基づいて説明する。図1(a)は本実施の形態の板材ボビン10の構成を示す側面図であり、図1(b)は上記板材ボビン10の構成を示す正面図であり、図1(c)は上記板材ボビン10の構成を示す平面図である。
上記板材ボビン10は、図1(a)(b)(c)に示すように、移動可能な車輪付き台車20を有しており、この車輪付き台車20に上下2段にボビン11・11が設けられている。このように、ボビン11を上下に2段に積層することによって、ボビン11の交換時間の削減を図ると共に、交換に伴う工数の削減を図ることができる。また、例えば、上下2段のボビン11を同時巻き取りすることによって、生産性の向上と作業効率改善とを図ることができる。さらに、2段のボビン11を高さ方向に積み重ねることによって、収容において空間の有効利用を図ることができるものとなっている。尚、本実施の形態では、ボビン11は上下2段に設けられているが、本発明においては、必ずしもこれに限らず、例えば、1段でもよいし、3段以上であってもよい。
上記車輪付き台車20は、側面形状が略逆T字状になっており、下側に設けられた一対の棒状の脚部21・21と、この脚部21・21から立ち上げられた立ち上げ支持部材22・22と、脚部21・21間に架け渡された架橋部材とを有している。したがって、部21は、平面形状がH字状となっている。これにより、車輪付き台車20の重量を軽減するものとなっている。
上記脚部21・21には、一対の第1主車輪21a、補助輪21b及び第2主車輪21cが互いに対向して設けられている。上記補助輪21bは、第1主車輪21a又は第2主車輪21cに近接して設けられており、かつ補助輪21bの車輪接地面が第1主車輪21a又は第2主車輪21cの車輪接地面よりも例えば5mmだけ高い位置となるように取り付けられている。
このような構成とした理由は、例えば、ボビン11を搭載した車輪付き台車20を、エレベータを使用して他の階における製造装置のところへ搬送する場合があるからである。すなわち、エレベータを使用する場合、一般的な4輪車である場合には、エレベータに乗り込むときのエレベータと階床との隙間に、第1主車輪21a又は第2主車輪21cが嵌り込み、動けなくなるときがある。
そこで、本実施の形態では、このような事態を回避するために、車輪付き台車20には、互いに対向して設けられた一対の第1主車輪21a・21a及び第2主車輪21c・21cからなる4輪に加えて、第1主車輪21a又は第2主車輪21cの内側にかつ第1主車輪21a又は第2主車輪21cに近接して補助輪21bが設けられている。そして、この補助輪21bは、該補助輪21bの車輪接地面が第1主車輪21a又は第2主車輪21cの車輪接地面よりも例えば5mmだけ高い位置となるように車輪付き台車20に取り付けられている。
これにより、第1主車輪21a又は第2主車輪21cのいずれかがエレベータと階床との隙間に嵌り込んでも、直ちに、補助輪21bがエレベータ又は階床に接地するので、補助輪21bと嵌り込んでいない第1主車輪21a又は第2主車輪21cとの4輪にて容易に脱出することができる。したがって、移動場所を選ばない板材ボビン10を提供することができる。
次に、本実施の形態の板材ボビン10におけるボビン11は、コア11aとフランジ11b・11bとからなっており、コア11aの内径は例えば300mmであり、フランジ11b・11bの外径は例えば600mmとなっている。コア11aの内径を例えば300mmとしたことによって、板材1の巻き癖を回避するものとなっている。すなわち、板材1の巻き癖を回避の観点から、コア11aの内径は300mm以上とすることが好ましい。
また、本実施の形態のコア11aの幅は、例えば約450mmとなっている。このようにコア11aの幅を大きく採ることによって、各種幅の板材1を左右にトラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっている。ここで、板材1は、例えばプラスチックシート等のテープ状のシートからなっており、例えば22mm幅にてなっている。このため、1つのボビン11は、一層に約20列の板材1を巻き取ることができるようになっている。ただし、コア11aの幅及び板材1の幅は、これに限るものではない。
ここで、本実施の形態の板材ボビン10では、上述したように、ボビン11が上下2段になっているが、上下2段のボビン11における各フランジ11b・11bは、図1(b)に示すように、上下のボビン11・11との間で同一面から互いに例えば50mmからなる所定寸法だけ左右方向にずれており、上のボビン11に巻き出し又は巻き取られる板材1は、下のボビン11に巻き出し又は巻き取られる板材1に対して左右方向に対して互いに上記所定寸法である例えば50mmの間隔を有して左右方向に同期してトラバースされるようになっている。
これにより、上下2段の板材1の巻き出し位置及び巻き取り位置が互いに重なるのを防止することができる。すなわち、上下2段の板材1の巻き出し及び巻き取りにおいて、板材1が放物線状に垂れ下がることが考えられるが、そのような場合においても上下の板材1の接触を防止することができるものとなっている。
ところで、上記板材ボビン10におけるボビン11を回転駆動させるためには、回転駆動用のモータが必要となるが、このモータを車輪付き台車20に取り付けたのでは、満巻きされたボビン11を搭載した車輪付き台車20を搬送するのがより重くなる。そこで、本実施の形態では、後述するモータ60を、車輪付き台車20とは別途に設けている。例えば、各種の製造工程における製造装置にこのモータ60が備えられている。これにより、車輪付き台車20の軽量化を図ることができる。
一方、このように、モータ60を、車輪付き台車20とは別途に設けた場合には、モータ60の駆動系をボビン11の回転軸に結合しなければならない。このため、本実施の形態では、図1(a)(b)に示すように、車輪付き台車20における一対の立ち上げ支持部材22にボビン11の軸が架橋されており、一対の立ち上げ支持部材22・22のうちの少なくとも一方には、ボビン11の軸を回転可能に取り付けた駆動伝達部材としての例えばチェーン23が設けられている。すなわち、ボビン11の軸に軸用スプロケット23aが設けられ、この軸用スプロケット23aと他端用スプロケット23bとの間にチェーン23が懸架されている。
そして、車輪付き台車20を手で押して進出移動させることにより、モータ60の駆動系をチェーン23に接続することによって駆動系を直結する。具体的には、モータ60の軸に設けられた後述するモータ軸スプロケット61をチェーン23に結合させる。これにより、モータ60にてボビン11から板材1を巻き出し又は巻き取りすることができる。
一方、モータ60の駆動系を断ち切るときには、車輪付き台車20を退却移動させる。これにより、モータ60の駆動系とチェーン23との接続を断ち切ることができる。したがって、板材ボビン10を次の製造工程に搬送することが可能となる。
尚、本実施の形態では、駆動伝達部材としての例えばチェーン23を用いているが、必ずしもこれに限らず、例えば、歯車等の駆動伝達部材を用いることも可能である。
ところで、駆動伝達部材としてのチェーン23が立ち上げ支持部材22の外側に取り付けられている場合には、チェーン23が露出するので、安全性において問題がある。そこで、本実施の形態では、チェーン23を立ち上げ支持部材22の内側に取り付けている。そして、モータ60の駆動系と断接させるために、立ち上げ支持部材22には、モータ60の回転軸を挿入する開口部24を設けている。
この結果、モータ60の駆動系であるモータ軸スプロケット61を、開口部24を通してチェーン23に結合させることにより、モータ60とボビン11との駆動系を直結することができる。したがって、駆動系の断接を行うことが可能となる。また、立ち上げ支持部材22の外側にはチェーン23が露出しないので、安全性の高い板材ボビン10を提供することができる。
ここで、上記車輪付き台車20を、人手を介して進退移動する場合に、取っ手が必要である。そこで、本実施の形態では、図1(a)(b)に示すように、一対の立ち上げ支持部材22には、上下2段のボビン11・11の略間に、該立ち上げ支持部材22を挟んで前後に等寸法だけ水平に延びた一対の取っ手支持棒25が設けられていると共に、この取っ手支持棒25の両自由単端には、取っ手26が取り付け可能となっている。すなわち、本実施の形態では、車輪付き台車20を進退移動させるための取っ手26が、ボビン11の軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられている。
これにより、取っ手26を把持して車輪付き台車20を進退移動させることができる。
ここで、本実施の形態では、上述したように、取っ手26は、ボビン11の軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられている。すなわち、一対の立ち上げ支持部材22に対してボビン11の軸を挟んで前後の両方に取っ手26を固定して取り付けた場合には、取っ手26が邪魔になり、ボビン11の軸を一対の立ち上げ支持部材22に懸架することができない。
このため、例えば、ボビン11の軸を挟んで前後のいずれか一方に取っ手26を固定して取り付けることが考えられる。しかし、製造装置においては、モータ60の駆動系の直結方向が必ずしも一定ではなく、逆方向からモータ60の駆動系を直結する必要がある場合も存在する。そこで、本実施の形態では、取っ手26が、ボビン11の軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられている。
これにより、逆方向からモータ60の駆動系を直結する場合においても、取っ手26をボビン11の軸を挟んで前後に付け替えることによって、車輪付き台車20を反転することにより、逆方向からモータ60の駆動系を容易に直結することができる。したがって、汎用性の高い板材ボビン10を提供することができる。
次に、本実施の形態の板材ボビン10では、板材1を巻き取るときに板材1の間に介在させる帯状シートとしての中間紙を巻き出し又は巻き取り可能となっている。これにより、板材1を巻き取るときに板材1の間に中間紙を介在させることができるので、部品を搭載した板材1をボビン11にて巻き取るときに部品を保護することができ、品質を安定させることができる。例えば、製品の酸化防止及び製品の損傷を防止することができる。尚、本実施の形態では、帯状シートとしての紙を使用しているが、必ずしもこれに限らず、他のシートを使用することも可能である。
上記中間紙を巻き出し又は巻き取るための付属装置としての帯状シート用ボビンの構成を図3に基づいて説明する。図3は、板材ボビン10に取り付けられる帯状シート用ボビンの構成を示す側面図である。
上記帯状シート用ボビン30は、図3に示すように、本実施の形態では、例えば2つの中間紙ボビン31を有している。これにより、1つの中間紙ボビン31の帯状シートとしての中間紙Pが無くなった場合においても、直ぐに、他方の中間紙ボビン31に切り替えることができるものとなっている。尚、帯状シート用ボビン30は、必ずしもこれに限らず、1つの中間紙ボビン31から構成されていてもよく、又は3つ以上の中間紙ボビン31を有していてもよい。
また、中間紙ボビン31のコアを押圧するための中間紙押さえ部材32が設けられている。この中間紙押さえ部材32は、上端部が回動自在に軸支されており、自重で、中間紙Pを押圧するようになっている。これにより、中間紙Pを中間紙ボビン31のコアに整頓された状態で、巻き出し又は巻き取りすることができるようになっている。
ここで、特に、本実施の形態の帯状シート用ボビン30は、板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11と中間紙ボビン31との間には、中間紙ボビン31における中間紙Pの巻き出し又は巻き取りの張力を調整する張力調整手段33が設けられている。
上記張力調整手段33は、本実施の形態では、例えば、上側に設けられた3つの定滑車33a・33a・33aと、該3つの定滑車33a・33a・33aの間に設けられた2つの動滑車33b・33bとからなっている。動滑車33b・33bは、立設部材33cに平行に上下移動自在に支持されている。すなわち、動滑車33b・33bは、自重で下方移動するものとなっている。立設部材33cの上側及び下側の所定位置には、図示しないセンサが設けられており、動滑車33b・33bが一定以上の上側又は下側に移動するのを防止するようになっている。
この構成により、製造工程における流れ作業において、板材1の搬送速度が均一でなくても、張力調整手段33にて中間紙ボビン31における中間紙Pの巻き出しの張力を調整することにより、板材1の搬送速度に応じて中間紙Pを円滑に供給し、板材1の間に中間紙Pの均一な積層状態を確保することができる。また、中間紙Pの巻き取りする場合にも張力調整手段33にて巻き取りの張力を調整することにより、板材1の搬送速度に応じて中間紙Pを円滑に巻き取ることができるので、中間紙ボビン31に中間紙Pの均一な積層状態を確保して巻き取ることができる。
この結果、従来は中間紙Pを廃棄していたが、本実施の形態では中間紙Pを再利用することができるので、中間紙Pのコストダウンを図ることができる。例えば、本実施の形態では、中間紙Pを30回程度、再利用が可能であるので、大幅なコストダウンを図ることができる。
尚、上記の説明では、張力調整手段33は、3つの定滑車33a・33a・33aと2つの動滑車33b・33bとで構成されていたが、必ずしもこれに限らず、2つの定滑車33a・33aと1つの動滑車33bとで構成することも可能である。すなわち、動滑車33bの数を多くする方が、中間紙Pに多くの張力を与えることが可能である。尚、より多くの張力を与えるために、例えば、動滑車33bを下側から図示しないバネで引っ張ることも可能である。
次に、本実施の形態の板材ボビン10では、板材1を左右にトラバースさせてボビン11に巻き取る案内部材が付属装置として設けられている。上記案内部材の構成を図3及び図4に基づいて説明する。図4は、ボビン11にて板材1を巻き取りかつ中間紙ボビン31にて中間紙Pを巻き出すべく、帯状シート用ボビン30を取り付けた板材ボビン10の構成を示す側面図である。
すなわち、従来、板材を左右にトラバースさせるために、板材ボビン自体を左右にトラバースさせていた。しかしながら、板材ボビンの重さが重くなると板材ボビン自体を左右にトラバースさせるために高出力のトラバース手段が必要となる。また、ボビンの幅が大きくなると、左右にトラバースするスペースも確保しなければならない。
そこで、本実施の形態では、図4に示すように、案内部材としてのガイド40を用いて板材1を左右にトラバースさせるようになっている。これにより、高出力のトラバース手段を回避すると共に、少スペースにて板材1を左右にトラバースさせることができる。
ここで、本実施の形態では、ガイド40は、図3にも示すように、板材1の搬送方向に3つのローラ41・42・43を有しており、かつ中央のローラ42は、板材1を挟んで搬送すべくさらにローラを追加した一対の当接ローラ42a・42bとなっている。このため、板材1を搬送方向に3点支持すると共に、中央のローラ42では一対の当接ローラ42a・42bにより板材1を挟んで搬送する。この結果、板材1を左右に適切にトラバースさせてボビン11に巻き取ることができる。すなわち、板材1を左右にトラバースさせると、板材1の左右の端部が浮き上がってよじれた状態で巻き取りや巻き出しが行われることがある。しかし、本実施の形態では、このような不具合を防止することができる。
次に、本実施の形態の板材ボビン10におけるトラバース制御について、図5及び図6に基づいて説明する。図5は、ガイド40にて板材1を左右トラバース制御するときのガイド40の移動範囲を示す正面図である。図6は、ガイド40にて板材1を左右トラバース制御するための制御動作を示すフローチャートである。
まず、本実施の形態の板材ボビン10は、図5に示すように、板材1をボビン11に巻き取るときに、該板材1を左右に進退移動させる左右トラバース制御手段としての左右トラバース制御部50を備えている。そして、この左右トラバース制御部50は、ボビン11における左右トラバース方向の中央部では第1移動速度V1 にて板材1を左右にトラバースさせるように制御する。一方、左右トラバース制御部50は、板材1の左右トラバースを反転させるときには、第1移動速度V1 よりも速い第2移動速度V2 にて板材1を反転させるように制御する。
これにより、ボビン11のフランジ11b・11bの近傍における板材1の巻き取りにおいて板材1が歪んで積層がされることを防止することができる。
上記の左右トラバース制御部50の制御動作について、より詳細に、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
図6に示すように、まず、図示しない操作パネルに設けられた左右トラバース制御部50にて、ガイド40の原点復帰を行う(S1)。次いで、中間紙ボビン31に中間紙Pをセットし(S2)、さらに、ボビン11に板材1をセットする(S3)。この状態で、ガイド40を第1移動速度V1 にて左右トラバースをスタートさせる(S4)。尚、第1移動速度V1 は、任意に設定可能であり、例えば、22mm移動/360度に設定する。これにより、ガイド40が左方向又は右方向に移動することによって、板材1が左方向又は右方向に移動する。そして、板材1が端点まで移動すると(S5)、その位置が端点であるか否かが判断される(S6)。尚、この場合の端点とは、フランジ11b・11bに接触する位置ではなく、フランジ11b・11bに接触位置の少し手前の設定された位置をいう。
S6において、端点でない場合には、S5に戻って端点になるまで横移動が続けられるが、端点であると判断されると、端点にて設定回転角度分だけ横移動が停止される(S7)。すなわち、同じ位置で巻き続けられる。尚、設定回転角度は、任意に設定することができる。次いで、横移動が停止された後、反転動作が行われる(S8)。このとき、本実施の形態では、第1移動速度V1 よりも速い第2移動速度V2 にて反転横移動を行う(S9)。第2移動速度V2 は、例えば、例えば30mm移動/360度に設定する。これにより、フランジ11b・11bの近傍において、板材1が多層にならずに反転される。次いで、この第2移動速度V2での反転後の横移動は設定量になると、第1移動速度V1 の遅い速度に戻される(S10)。これにより、元の第1移動速度V1 にて板材1が逆方向に移動する(S11)。そして、あるところまでくると、ボビン11が満巻き取りになったか否かが判断され(S12)、満巻き取りになれば、ボビン11を回転するモータ60が自動停止し、トラバース制御も終了する。一方、ボビン11が満巻き取りでない場合には、S6に戻って、S5〜S12の動作が繰り返される。
次に、上記構成の板材ボビン10及び帯状シート用ボビン30の使用方法について、図2(a)(b)(c)、図4及び図7に基づいて説明する。図7は、ボビン11にて板材1を巻き出しかつ中間紙ボビン31にて中間紙Pを巻き取るべく、帯状シート用ボビン30を取り付けた板材ボビン10の構成を示す側面図である。尚、板材ボビン10及び帯状シート用ボビン30の両方を使用する場合の方法を主に説明する。
例えば、図2(c)に示すように、図2(b)に示す第2工程によってボビン11に巻き取られた中間紙P入りの板材1を搭載した板材ボビン10が、第3工程装置の入口側まで搬送される。この第3工程においては、例えば、板材1に搭載された部品2に対して他の部品を組み合わせる組み立て作業が行われるので、ボビン11に巻き取られた中間紙P入りの板材1を第3工程用装置に巻き出す際に、中間紙Pの巻き取りが必要となる。したがって、板材ボビン10には、帯状シート用ボビン30が搭載される。尚、帯状シート用ボビン30の中間紙ボビン31には、中間紙Pは巻回されていない。また、帯状シート用ボビン30は、板材ボビン10に取り付け、取り外し自在となっている。
ここで、第2工程用装置から第3工程用装置に板材ボビン10を搬送する場合に、本実施の形態では、ボビン11が車輪付き台車20に搭載されている。そして、図7に示すように、車輪付き台車20には取っ手26が設けられているので、この取っ手26を押して容易に車輪付き台車20を押すことができる。次いで、第3工程用装置の入口側に到着すると、その近傍にモータ60が取り付けられているので、モータ60の軸に設けられた前記モータ軸スプロケット61をチェーン23に結合させる。これにより、モータ60にてボビン11から板材1を巻き出すことができる。尚、取っ手26は、板材ボビン10の前後において取り外し自在となっているので、板材ボビン10の押す方向を容易に変更することができる。また、車輪付き台車20を反転させることにより、車輪付き台車20における一方の立ち上げ支持部材22の内側に設けられたチェーン23に対してモータ60のモータ軸スプロケット61を容易に結合させることができる。
このとき、図7に示すように、帯状シート用ボビン30における中間紙ボビン31には、中間紙Pが巻き取られる。この中間紙Pの巻き取りの際に、板材1の巻き出し速度が均一でない場合がある。しかし、そのような場合においても、本実施の形態の帯状シート用ボビン30においては、張力調整手段33が設けられているので、円滑に巻き取られ、整然と積層された状態で中間紙Pを巻き取ることができる。したがって、中間紙Pの再利用が可能である。
次に、板材ボビン10における板材1の巻き取り及び帯状シート用ボビン30における中間紙ボビン31の中間紙Pの巻き出しについて説明する。
図2(b)に示すように、第2工程においては、例えば、材料状態の部品2を溶接及び成形し、第2工程用装置の出口側に用意された板材ボビン10のボビン11に板材1を巻き取る。その際、部品2の保護のために、中間紙Pを板材1の間に挟む必要がある。そこで、第2工程用装置の出口側には、付属装置である帯状シート用ボビン30を取り付けた板材ボビン10を用意する。
ここで、第2工程用装置の出口側に板材ボビン10を搬送する場合に、前述したと同様に、本実施の形態では、図4に示すように、板材ボビン10が車輪付き台車20に搭載されている。そして、車輪付き台車20には取っ手26が設けられているので、この取っ手26を押して容易に車輪付き台車20を押すことができる。そして、第3工程用装置の入口側に到着すると、その近傍にモータ60が取り付けられているので、モータ60の軸に設けられたモータ軸スプロケット61をチェーン23に結合させる。これにより、モータ60の駆動力にてボビン11に板材1を巻き取ることができる。尚、取っ手26は、板材ボビン10の前後において取り外し自在となっているので、板材ボビン10の押す方向を容易に変更することができる。また、車輪付き台車20を反転することにより、車輪付き台車20の一方の立ち上げ支持部材22の内側に設けられたチェーン23に対してモータ60のモータ軸スプロケット61を容易に結合させることができる。
このとき、図4に示すように、帯状シート用ボビン30における中間紙ボビン31から中間紙Pが巻き出される。この中間紙Pを巻き出す際に、板材1の巻き取り速度が均一でない場合がある。しかし、そのような場合においても、本実施の形態の帯状シート用ボビン30においては、張力調整手段33が設けられているので、円滑に中間紙Pを巻き出すことができる。したがって、板材1の間に整然と積層された状態で中間紙Pを挿入することができる。
ここで、本実施の形態では、板材ボビン10は、帯状シート用ボビン30を用いなくても該板材ボビン10単独で、板材1の巻き出し又は巻き取りが可能である。
すなわち、例えば、図2(a)に示すように、第1工程では、板材1に材料状態の部品2を搭載する作業であるので、第1工程用装置の入口側に、板材1のみが巻回されているボビン11が車輪付き台車20に搭載された板材ボビン10を手で押して第1工程用装置の入口側に持っていく。これにより、モータ60との駆動系を直結して、板材ボビン10のボビン11から板材1を巻き出すことが可能である。
また、第1工程用装置の出口側では、中間紙Pを介在せずに、材料状態の部品2を搭載した板材1を板材ボビン10のボビン11にて巻き取る必要があるので、第1工程用装置の出口側に、何も巻回されていないボビン11を車輪付き台車20に搭載した板材ボビン10を手で押して持っていく。
これにより、第1工程用装置の出口側では、材料状態の部品2を搭載した板材1を、板材ボビン10のボビン11にて巻き取ることが可能となる。
このように、本実施の形態の板材ボビン10は、板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能としている。これにより、左右トラバースを採用しない場合に比べて、板材1における端材の発生を抑制することができ、板材1の利用率を高めることによりコストの低減を図ることができる。また、1つの製造工程におけるボビンの取替え頻度が減少するので、取替えに伴う工数の削減を図り、かつ設備稼働率を上げることができる。
また、本実施の形態では、ボビン11は、移動可能な車輪付き台車20に取り付けられていると共に、ボビン11が車輪付き台車20に取り付けられた状態で板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取り可能となっている。
これにより、ボビン11の搬送が軽作業となり、作業の安全性を高めることができる。また、板材ボビン10を各種の製造工程における製造装置の前まで持って行ったときに、その持って行った場所において、ボビン11が車輪付き台車20に取り付けられた状態で板材1を左右トラバースして巻き出し又は巻き取りすることができる。この結果、重量物の取り付け作業及び取り外し作業が不要となる。
したがって、複数の製造工程において板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11を使い回しする場合に、作業性のよい板材ボビン10を提供することができる。
また、本実施の形態の板材ボビン10では、車輪付き台車20には、ボビン11の軸を架橋して取り付けるための一対の立ち上げ支持部材22が設けられており、立ち上げ支持部材22における一対のうちの少なくとも一方には、ボビン11の軸を回転可能に取り付けたチェーン23が設けられていると共に、チェーン23は、車輪付き台車20を進退移動させることにより、該車輪付き台車20とは別途に設けられたモータ60の駆動系と断接可能になっている。これにより、板材ボビン10を軽量化することができる。
さらに、車輪付き台車20を進出移動させることにより、モータ60の駆動系をチェーン23に接続することにより、駆動系を直結するので、モータ60にてボビン11から板材1を巻き出し又は巻き取りすることができる。
一方、モータの駆動系を断ち切るときには、車輪付き台車を退却移動させることにより可能となる。
また、本実施の形態の板材ボビン10では、チェーン23は立ち上げ支持部材22の内側に取り付けられていると共に、立ち上げ支持部材22には、モータ60の回転軸を挿入する開口部24が設けられている。
この結果、モータ60の回転軸を挿入する開口部24を通して、チェーン23とモータ60の駆動系との断接を行うことが可能となると共に、立ち上げ支持部材22の外側にはチェーン23が露出しないので、安全性の高い板材ボビン10を提供することができる。
また、本実施の形態の板材ボビン10では、一対の立ち上げ支持部材22には、車輪付き台車20を進退移動させるための取っ手26が、ボビン11の軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられている。
これにより、取っ手26を把持して車輪付き台車20を進退移動させることができる。また、取っ手26が、ボビン11の軸を挟んで前後に取り外し自在に設けられている。
これにより、逆方向からモータ60の駆動系を容易に直結することができるので、汎用性の高い板材ボビン10を提供することができる。
また、本実施の形態の板材ボビン10では、車輪付き台車20には、一対の第1主車輪21a、補助輪21b及び第2主車輪21cが互いに対向して設けられていると共に、補助輪21bは、第1主車輪21a又は第2主車輪21cに近接して設けられており、かつ該補助輪21bの車輪接地面が第1主車輪21a又は第2主車輪21cの車輪接地面よりも高い位置となるように車輪付き台車20に取り付けられている。
これにより、第1主車輪21a又は第2主車輪21cのいずれかがエレベータと階床との隙間に嵌り込んでも、直ちに、補助輪21bと嵌り込んでいない第1主車輪21a又は第2主車輪21cとの4輪にて容易に脱出することができる。したがって、移動場所を選ばない板材ボビン10を提供することができる。
また、本実施の形態の板材ボビン10では、ボビン11は、車輪付き台車20に上下に少なくとも2段に設けられていると共に、上下少なくとも2段のボビン11における各フランジ11b・11bは、上下のボビン11との間で同一面から互いに所定寸法だけ左右方向にずれており、上のボビン11に巻き出し又は巻き取られる板材1は、下のボビン11に巻き出し又は巻き取られる板材1に対して左右方向に対して互いに上記所定寸法の間隔を有して左右方向に同期してトラバースされる。
これにより、ボビン11は、車輪付き台車20に上下少なくとも2段に設けられているので、ボビン11の交換時間の削減を図ると共に、交換に伴う工数の削減を図ることができる。また、例えば、上下少なくとも2段のボビンを同時巻き取りすることによって、生産性の向上と作業効率改善とを図ることができる。さらに、少なくとも2段のボビン11を高さ方向に積み重ねることによって、収容において空間の有効利用を図ることができ、上下少なくとも2段の板材1の巻き出し位置及び巻き取り位置が互いに重なるのを防止することができる。
また、本実施の形態の付属装置は、板材1を巻き出し又は巻き取るボビンを備えた板材ボビン10に供せられる付属装置であって、板材1を左右にトラバースさせて巻き取る案内部材としてのガイド40を備えていると共に、ガイド40は、板材1の搬送方向に3つのローラ41・42・43を有しており、かつ中央のローラ42は、板材1を挟んで搬送すべくさらにローラを追加した一対の当接ローラ42a・42bとなっている。
このように、本実施の形態では、ボビン11自体を左右にトラバースさせるのではなく、ガイド40を用いて板材1を左右にトラバースさせるので、高出力のトラバース手段を回避すると共に、少スペースにて板材1を左右にトラバースさせることができる。
また、ガイド40は、板材1の搬送方向に3つのローラ41・42・43を有しており、かつ中央のローラ42は、板材1を挟んで搬送すべくさらにローラを追加した一対の当接ローラ42a・42bとなっているので、板材1を搬送方向に3点支持すると共に、中央のローラ42では一対の当接ローラ42a・42bにより板材1を挟んで搬送する。
したがって、板材1を左右に適切にトラバースさせてボビン11に巻き取ることができる付属装置を提供することができる。
また、本実施の形態の付属装置は、板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11を備えた板材ボビン10に供せられる付属装置であって、板材1をボビン11に巻き取るときに該板材1を左右に進退移動させる左右トラバース制御部50を備えており、左右トラバース制御部50は、ボビン11における左右トラバース方向の中央部では第1移動速度V1 にて板材1を左右にトラバースさせると共に、板材1の左右トラバースを反転させるときには、第1移動速度V1 よりも速い第2移動速度V2 にて板材1を反転させる。
これにより、ボビン11のフランジ11b・11b近傍における板材1の巻き取りにおいて板材1が歪んで積層がされることを防止することができる。
また、本実施の形態の付属装置は、板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11を備えた板材ボビン10に供せられる付属装置であって、板材1を巻き取るときに板材1の間に介在させる中間紙Pを巻き出し又は巻き取る帯状シート用ボビン30と、板材1を巻き出し又は巻き取るボビン11と帯状シート用ボビン30の中間紙ボビン31との間に設けられて、中間紙ボビン31における中間紙Pの巻き出し又は巻き取りの張力を調整する張力調整手段33とを備えている。
これにより、板材1に搭載された部品2を保護することができ、品質を安定させることができる。例えば、製品の酸化防止及び製品の損傷を防止することができる。
また、本実施の形態では、張力調整手段33が設けられているので、製造工程における流れ作業において、板材1の搬送速度が均一でなくても、中間紙Pを円滑に供給し、張力調整手段33にて板材1の間に中間紙Pの均一な積層状態を確保することができる。また、中間紙Pを巻き取りする場合にも、中間紙ボビン31に中間紙Pの均一な積層状態を確保して巻き取ることができる。この結果、中間紙Pを再利用することができるので、中間紙Pのコストダウンを図ることができる。
尚、本実施の形態の付属装置は、本実施の形態の板材ボビン10に好適に適用することができるが、必ずしもこれに限らず、例えば、本実施の形態の板材ボビン10以外にも適用することが可能である。
尚、本発明は、上述した本実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、本実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。