以下、図面を参照して、本発明の送風装置の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の羽根車の構成例>
図1は、本実施の形態の羽根車の一例を示す断面図、図2は、本実施の形態の羽根車の一例を示す斜視図である。
本実施の形態の羽根車1は、多翼の羽根部10と、羽根部10が設けられた羽根支持部11を備える。羽根部10は、羽根車1の回転軸方向に沿って所定の高さを有すると共に、羽根車1の径方向に沿って所定の幅を有し、羽根車1の回転方向に対して前向きに傾斜した複数枚の羽根10aが設けられる。
羽根部10は、複数枚の羽根10aが、羽根車1の回転軸方向に沿って羽根支持部11の一の側に立設された形態で、羽根支持部11の外周に沿って円周方向に並列されて構成される。
羽根支持部11は、羽根部10の内側に凸状部12が設けられる。羽根支持部11は、羽根車1の回転軸方向に沿って一の側に突出する形態で凸状部12が形成され、凸状部12の中心に軸穴部12aが設けられる。
羽根車1は、羽根部10の外径をA、凸状部12の外径をB、羽根部10の内径をCとしたとき、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aと、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aが規定される。
本実施の形態の羽根車1では、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aを、0.68〜0.83とした。また、羽根車1では、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを、0.83〜0.89とした。
更に、羽根車1では、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aと、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを異なる値とし、羽根部10の内径Cより凸状部12の外径Bを小さくした。
羽根車1では、凸状部12の外周と羽根部10の内周との間に所定の空間を形成して、羽根10aの高さ方向の全体に空気が流れるようにするため、本例では、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aが、0.68〜0.77程度であることが好ましい。
本実施の形態の羽根車1において、羽根部10の外径Aは、羽根車1が適用される送風装置等の大きさの制約と、送風装置に要求される風量等の能力で規定される。このため、羽根車1では、羽根部10の外径Aを、120〜250mm程度とした。羽根部10の外径Aは、本例では、160〜220mm程度、より具体的には、170〜200mm程度であることが好ましい。
また、本実施の形態の羽根車1において、凸状部12の外径Bは、凸状部12の内部に収納される構造物である後述するモータの大きさ等で規定される。このため、羽根車1では、凸状部12の外径Bを、125mm以上とした。
<本実施の形態の送風装置の構成例>
図3は、本実施の形態の送風装置の一例を示す断面図、図4は、本実施の形態の送風装置の一例を示す平面図である。本実施の形態の送風装置2は、上述した羽根車1が適用され、羽根車1と、羽根車1を回転駆動するモータ20と、風路を形成するファンケース21を備える。
ファンケース21は風路形成手段の一例で、羽根車1が回転駆動されることで空気が吸い込まれる吸込部であるファン吸込口21aと、ファン吸込口21aから吸い込まれた空気が吹き出される吹出部であるファン吹出口21bを備える。また、ファンケース21は、ファン吸込口21aから吸い込んだ空気をファン吹出口21bから吹き出す空気の流れを生成する風路であるファンケース風路21cを備える。
送風装置2は、ベルマウスと称される円形の開口で構成されるファン吸込口21aが、羽根車1の回転軸方向に設けられる。また、送風装置2は、羽根車1の外周に沿ってファンケース風路21cが設けられる。これにより、送風装置2では、羽根車1の回転軸方向に沿ってファン吸込口21aから吸い込まれた空気が、羽根車1の回転方向に沿ってファン吹出口21bから吹き出される。
送風装置2は、羽根車1の回転軸を縦向きとして使用される形態で、ファンケース21の一の面である本例では下面部21dに、ファン吸込口21aが設けられる。また、送風装置2は、ファンケース21の他の面である本例では上面部21eに、軸20aを下向きとしてモータ20が取り付けられる。
送風装置2は、凸状部12を下向きとした羽根車1の軸穴部12aに、モータ20の軸20aが挿入されて、モータ20の軸20aに羽根車1が固定される。これにより、送風装置2は、羽根車1の凸状部12にモータ20が入り込む形態で、羽根車1がモータ20に取り付けられる。また、送風装置2は、凸状部12を下向きとした羽根車1が、ファン吸込口21aの内側に配置される。
送風装置2は、羽根車1の凸状部12にモータ20が入り込む形態とすることで、羽根車1の一の端部である本例では下端から、モータ20の他の端部である本例では上端までの長さが、ファンケース21の高さである下面部21dから上面部21eまでの長さより短く構成される。
このため、送風装置2は、モータ20をファンケース21に固定するモータ取付部22が、ファンケース21の上面部21eの下側に設けられ、モータ20が、ファンケース21の上面部21eより下側に取り付けられる。
これにより、送風装置2は、ファンケース21の上面部21eより上側に、モータ20を退避させる空間を設ける必要がなく、ファンケース21の上面部21eにモータ20を退避させるような凸形状が設けられない構成である。
<本実施の形態の送風装置の作用効果例>
送風装置では、一般的に、羽根車の回転数を増加させることで、風量の増加は可能になるが、音が大きくなる。これに対して、羽根車の外径を大きくすることで、羽根車の回転数を低く抑えても、風量の増加が可能で、静音化が可能である。但し、送風装置が大型化する。
更に、遠心ファンと称される羽根車では、羽根部の内側に凸状の部位が設けられていない構成とすることで、風量を増加させることが可能になるが、ファンケースからモータが突出する形態となり、送風装置の高さ方向の寸法が大きくなるので、送風装置が適用される装置の大型化につながる。
これに対して、羽根車の内側にモータが入り込む構成とすることで、送風装置の高さ方向の寸法が抑えられ、送風装置が適用される装置の小型化につながる。但し、羽根車の内側にモータが入り込むための凸状の部位が設けられることで、風量の低下につながる。
そこで、本実施の形態の送風装置2では、高さ方向の寸法を抑えるため、モータ20が入り込む凸状部12が設けられる構成の羽根車1において、風量の低下を抑え、かつ、羽根車1の大径化を抑えられるようにするため、上述したように、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aを、0.68〜0.83、好ましくは0.68〜0.77程度とした。
また、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを、0.83〜0.89とした。更に、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aと、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを異なる値とした。
本実施の形態の送風装置2においても、羽根車1の羽根部10の外径Aは、送風装置2の大きさの制約と、送風装置2に要求される風量等の能力で規定される。このため、送風装置2では、羽根車1の羽根部10の外径Aを、120〜250mm程度とした。羽根部10の外径Aは、本例では、160〜220mm程度、より具体的には170〜200mm程度であることが好ましい。
また、モータ20が入り込む凸状部12が設けられる構成の羽根車1を備えた送風装置2において、羽根車1の凸状部12の外径は、凸状部12の内部に収納されるモータ20の大きさ等で規定される。
モータを小型化すれば、モータが入り込む凸状部の外径を小さくできるが、一般的に、径が小さいモータは、径が大きいモータに比較してトルクが弱くなり、送風装置に求められる所定の風量を得るための回転数で羽根車を駆動することができなくなる。
径の小さいモータでトルクを得ようとすると、回転軸方向に沿った長さが長いモータを使用する必要があるが、ファンケースからモータが突出する形態となり、送風装置の高さ方向の寸法が大きくなるので、送風装置が適用される装置の大型化につながる。
そこで、本実施の形態の送風装置2では、所定の風量を得るための回転数で羽根車1を駆動することができるモータ20を使用し、かつ、ファンケース21の上面に凸状の部位を設けることなく、羽根車1の羽根部10の内側にモータ20が入り込む構成とするため、羽根車1の凸状部12の外径Bを、125mm以上とした。
<本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置の構成例>
図5は、本実施の形態の送風装置である浴室等の空間の天井等に設置される換気装置であり空調装置としての浴室暖房換気乾燥装置の一例を示す全体構成図、図6は、本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置の一例を示す内部構成図である。
本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置3は、図5に示すように、浴室100の天井100aに設けた図示しない開口部に装置本体30が入れられる形態で設置される。浴室暖房換気乾燥装置3は、空気が吸い込まれる吸込口グリル31a及び空気が吹き出される吹出口グリル31bを備えたフロントパネル31が装置本体30の下面に取り付けられ、フロントパネル31が浴室100の天井100aに露出する。
浴室100の天井100aに設置された浴室暖房換気乾燥装置3は、排気ダクト32が接続される。排気ダクト32は、図示しない建物の外壁101に設置された屋外グリル32aと接続される。
また、浴室暖房換気乾燥装置3は、1つあるいは複数の副吸込ダクト、本例では、2本の副吸込ダクト33が接続される。一方の副吸込ダクト33は、他室である洗面脱衣所102の天井に102aに設置された副吸込口グリル33aと接続され、他方の副吸込ダクト33は、別の他室であるトイレ103の天井に103aに設置された副吸込口グリル33aと接続される。
なお、本例では、他室として洗面脱衣所102とトイレ103の両方から空気が吸い込まれる構成としたが、どちらか一方から空気が吸い込まれる構成としても良い。
浴室暖房換気乾燥装置3は、浴室100の空気を、装置本体30の吸込口グリル31aから吸い込んで、装置本体30の吹出口グリル31bから浴室100に吹き出す循環ファン5を備える。
また、浴室暖房換気乾燥装置3は、浴室100の空気を、装置本体30の吸込口グリル31aから吸い込んで、排気ダクト32を介して屋外に排気すると共に、他室である洗面脱衣所102及びトイレ103の空気を、副吸込口グリル33aから副吸込ダクト33を介して吸い込んで、排気ダクト32を介して屋外に排気する換気ファン6を備える。
浴室暖房換気乾燥装置3は、循環ファン5の上側に換気ファン6が重なる配置で取り付けられる構成で、循環ファン5及び換気ファン6の外側に、装置本体30の側面及び上面を覆う形状の金属ケース7が取り付けられる。
循環ファン5は循環送風手段の一例で、図1及び図2で説明した羽根車1が適用された図3及び図4で説明した送風装置2の一例で、多翼の羽根車1と、羽根車1を回転駆動する循環ファンモータ51と、風路を形成する循環ファンケース52を備える。羽根車1は、50〜80枚程度の羽根10aが、羽根車1の回転軸方向に沿って羽根支持部11の一の側に立設された形態で、羽根支持部11の外周に沿って円周方向に並列されて構成される。
循環ファンケース52は風路形成手段の一例で、羽根車1が回転駆動されることで空気が吸い込まれる吸込部である循環ファン吸込口52aと、循環ファン吸込口52aから吸い込まれた空気が吹き出される吹出部である循環ファン吹出口52bを備える。
また、循環ファンケース52は、循環ファン吸込口52aから吸い込んだ空気を循環ファン吹出口52bから吹き出す空気の流れを生成する風路である循環ファンケース風路52cを備える。
循環ファン5は、羽根車1の回転軸を縦向きとして使用される形態で、ベルマウスと称される円形の開口で構成される循環ファン吸込口52aが、羽根車1の回転軸方向に設けられる。
浴室暖房換気乾燥装置3は、装置本体30の下面の一部が循環ファンケース52の下面部52dで構成され、循環ファン5は、羽根車1の回転軸方向に沿った循環ファンケース52の下面である装置本体30の下面に循環ファン吸込口52aが設けられる。
また、循環ファン5は、羽根車1の外周に沿った形状の循環ファンケース52で循環ファンケース風路52cが設けられる。更に、循環ファン5は、装置本体30の下面に、循環ファンケース風路52cと連通して循環ファン吹出口52bが設けられ、循環ファン吹出口52bの内側にヒータ8が設けられる。
ヒータ8は加熱手段の一例で、本例ではPTCヒータで構成される。浴室暖房換気乾燥装置3は、ヒータ8が通電されることで発熱し、循環ファン吹出口52bから吹き出される空気が加熱される。
循環ファン5は、循環ファンケース52の上面部52eの下側にモータ取付部53が設けられ、モータ取付部53に、軸51aを下向きとして循環ファンモータ51が取り付けられる。循環ファン5は、凸状部12を下向きとした羽根車1の軸穴部12aに、循環ファンモータ51の軸51aが挿入されて、循環ファンモータ51の軸51aに羽根車1が固定される。
これにより、循環ファン5は、羽根車1の凸状部12に循環ファンモータ51が入り込む形態で、羽根車1が循環ファンモータ51に取り付けられる。また、循環ファン5は、凸状部12を下向きとした羽根車1が、循環ファン吸込口52aの内側に配置される。
これにより、循環ファン5は、循環ファンモータ51で羽根車1が回転駆動されると、羽根車1の回転軸方向に沿って循環ファン吸込口52aから空気が吸い込まれ、循環ファン吸込口52aから吸い込まれた空気が、羽根車1の回転方向に沿って循環ファン吹出口52bから吹き出される。
循環ファン5は、羽根車1の凸状部12に循環ファンモータ51が入り込む形態とすることで、羽根車1の回転軸方向に沿った下端から、循環ファンモータ51の上端までの長さが、循環ファンケース52の高さである下面部52dから上面部52eまでの長さより短く構成される。
このため、循環ファン5は、循環ファンモータ51を循環ファンケース52に固定するモータ取付部53が、循環ファンケース52の上面部52eの下側に設けられ、循環ファンモータ51が、循環ファンケース52の上面部52eより下側に取り付けられる。
これにより、循環ファン5は、循環ファンケース52の上面部52eより上側に、循環ファンモータ51を退避させる空間を設ける必要がなく、循環ファンケース52の上面部52eに循環ファンモータ51を入り込ませて退避させるような凸形状が設けられない構成である。
換気ファン6は換気送風手段の一例で、多翼の羽根車60と、羽根車60を回転駆動する換気ファンモータ61と、風路を形成する換気ファンケース62を備える。
換気ファンケース62は風路形成手段の一例で、羽根車60が回転駆動されることで空気が吸い込まれる吸込部である換気ファン吸込口62aと、換気ファン吸込口62aから吸い込まれた空気が吹き出される吹出部である換気ファン吹出口62bを備える。
また、換気ファンケース62は、換気ファン吸込口62aから吸い込んだ空気を換気ファン吹出口62bから吹き出す空気の流れを生成する風路である換気ファンケース風路62cを備える。
換気ファン6は、循環ファン5と同様に、羽根車60の回転軸を縦向きとして使用される形態で、ベルマウスと称される円形の開口で構成される換気ファン吸込口62aが、羽根車60の回転軸方向に沿った換気ファンケース62の上面部62dに設けられる。
また、換気ファン6は、羽根車60の外周に沿った形状の換気ファンケース62で換気ファンケース風路62cが設けられ、換気ファンケース風路62cに連通して、羽根車60の横方向に換気ファン吹出口62bが設けられる。
更に、換気ファン6は、羽根車60が循環ファン5の羽根車1と重なるような配置で、循環ファン5の上側に重ねて取り付けられ、換気ファンケース62の下面が、循環ファンケース52の上面部52eの一部で構成される。
換気ファン6は、換気ファン吸込口62aの上側にモータ取付部63が設けられる。モータ取付部63は、換気ファン吸込口62aとの間に所定の隙間が形成される形状で、換気ファンケース62の上面部62dの上側に支持される。
換気ファン6は、換気ファンモータ61が軸61aを下向きとしてモータ取付部63に取り付けられ、換気ファンモータ61が換気ファン吸込口62aから換気ファンケース62内に入り込む形態となる。換気ファン6は、羽根車60の図示しない軸穴部に換気ファンモータ61の軸61aが挿入されて、換気ファンモータ61の軸61aに羽根車60が固定される。
これにより、換気ファン6は、換気ファンモータ61で羽根車60が回転駆動されると、羽根車60の回転軸方向に沿って換気ファン吸込口62aから空気が吸い込まれ、換気ファン吸込口62aから吸い込まれた空気が、羽根車60の回転方向に沿って換気ファン吹出口62bから吹き出される。
換気ファン6の下側に配置される循環ファン5は、上述したように、循環ファンケース52の上面部52eに循環ファンモータ51を入り込ませて退避させるような凸形状が設けられない構成である。
これにより、換気ファン6の羽根車60と循環ファン5の羽根車1が重なるような配置で、循環ファン5の上側に換気ファン6を重ねて取り付けて、換気ファンケース62の下面を、循環ファンモータ51が取り付けられる部位の循環ファンケース52の上面部52eで構成することができる。
そして、循環ファン5側の循環ファンモータ51等が、換気ファン6側の風路、本例では、換気ファンケース風路62cで空気の流れの妨げになることはない。なお、換気ファンケース62の下面を構成する部位の循環ファンケース52は、上面部52eが全て平面状である必要はなく、例えば、循環ファンモータ51に接続される図示しない配線が通されるような凸状の部位や、整流作用を持たせる凸状の部位等が設けられていても良い。
浴室暖房換気乾燥装置3は、樹脂材料で構成された循環ファンケース52及び換気ファンケース62が金属ケース7で覆われ、循環ファンケース52及び換気ファンケース62と、金属ケース7との間に設けられる空間で、換気ファン6の換気ファン吸込口62aと連通する風路が形成される。
すなわち、浴室暖房換気乾燥装置3は、金属ケース7と、循環ファンケース52及び換気ファンケース62の側面との間、金属ケース7と、換気ファンケース62の上面との間に設けられる連通した空間で、浴室吸込風路34aが形成される。
浴室暖房換気乾燥装置3は、換気ファン6の換気ファン吸込口62aと浴室吸込風路34aが連通し、浴室吸込風路34aを介して換気ファン吸込口62aと連通した換気吸込口35が、装置本体30の下面に形成される。
また、浴室暖房換気乾燥装置3は、金属ケース7と、循環ファンケース52及び換気ファンケース62の上面との間に設けられる空間で、他室吸込風路34bが形成される。
浴室暖房換気乾燥装置3は、換気ファン6の換気ファン吸込口62aと他室吸込風路34bが連通し、他室吸込風路34bを介して換気ファン吸込口62aと連通した単数または複数の副吸込口36が、装置本体30の一の側面に形成される。
更に、浴室暖房換気乾燥装置3は、換気ファン6の換気ファン吹出口62bと連通した排気吹出口37が、装置本体30の他の側面に形成される。
浴室暖房換気乾燥装置3は、換気吸込口35と循環ファン吸込口52aが、フロントパネル31の吸込口グリル31aと連通し、循環ファン吹出口52bが、フロントパネル31の吹出口グリル31bと連通する。
浴室暖房換気乾燥装置3は、排気吹出口37に排気ダクトジョイント38が取り付けられ、排気ダクトジョイント38に排気ダクト32が接続される。また、浴室暖房換気乾燥装置3は、本例では2つの副吸込口36にそれぞれ副吸込ダクトジョイント39が取り付けられ、各副吸込ダクトジョイント39に副吸込ダクト33が接続される。
これにより、浴室暖房換気乾燥装置3は、浴室100と、洗面脱衣所102及びトイレ103が、装置本体30内の浴室吸込風路34a及び他室吸込風路34bと、副吸込ダクト33を介して繋がる風路構成となっている。
<本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置の作用効果例>
浴室暖房換気乾燥装置3は、循環ファン5が駆動されると、浴室100の空気が、装置本体30の吸込口グリル31aから循環ファン5に吸い込まれ、浴室100から吸い込まれた空気が、循環ファン5で装置本体30の吹出口グリル31bから浴室100に吹き出される。
浴室暖房換気乾燥装置3では、循環ファン5の駆動と連動してヒータ8が駆動されることで、温風が浴室100に吹き出されると共に、ヒータ8が非駆動であれば、浴室100の温度に応じた風が浴室100に吹き出される。
また、浴室暖房換気乾燥装置3は、換気ファン6が駆動されると、浴室100の空気が、装置本体30の吸込口グリル31aから換気ファン6に吸い込まれ、換気ファン6から排気ダクト32を介して屋外に排気されると共に、洗面脱衣所102及びトイレ103の空気が、副吸込口グリル33aから副吸込ダクト33を介して吸い込まれ、排気ダクト32を介して屋外に排気される。
本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置3は、予め設定された所定のプログラムに従って実行される運転モードとして、換気ファン6を駆動することで、所定の換気風量で常時の換気運転を行う24時間換気運転モードを備える。
また、浴室暖房換気乾燥装置3は、循環ファン5とヒータ8を駆動することで、浴室100に温風を吹き出す暖房運転を行う暖房運転モードと、換気ファン6を駆動することで、24時間換気運転モードでの換気風量より多い所定の換気風量で主に浴室100の換気運転を行う換気運転モードを備える。
更に、浴室暖房換気乾燥装置3は、循環ファン5とヒータ8と換気ファン6を駆動して、浴室100内の換気動作を行いながら、浴室内に温風を吹き出して乾燥運転を行う乾燥運転モードと、循環ファン5を駆動して、浴室100内に浴室100の温度に応じて風を吹き出す涼風運転を行う涼風運転モードを備える。
24時間換気運転モードでは、浴室100、洗面脱衣所102及びトイレ103を含む図示しない建物の全体の換気が行われる。24時間換気運転モードでの換気風量は、連続的あるいは断続的な常時換気を行うことで、所定時間で浴室100、洗面脱衣所102及びトイレ103を含む図示しない建物全体の空気が入れ替えられる風量に設定される。
このように、浴室暖房換気乾燥装置3では、24時間換気運転モードが実行されることで、換気ファン6が常時あるいは長時間に亘り駆動されることから、換気ファン6の静音性が求められる。
このため、浴室暖房換気乾燥装置3は、換気ファン6を循環ファン5の上側に重ねて配置することで、換気ファンモータ61等で発生する音を、循環ファン5で遮蔽する。また、換気ファン6の換気ファン吸込口62aを、換気ファンケース62の上面に形成することで、換気ファン吸込口62aからの音を漏れにくくし、吸込口グリル31aから換気ファン吸込口62aまでの長さで、換気ファン吸込口62aから漏れる音を減衰させる構成としている。
一方、浴室暖房換気乾燥装置3は、図5で説明したように、浴室100の天井100aに設けた図示しない開口部に装置本体30が入れられる形態で設置されるので、装置本体30の高さが、設置場所となる天井裏の高さ方向の寸法に収まる必要がある。
このため、換気ファン6を循環ファン5の上側に重ねて配置する構成の浴室暖房換気乾燥装置3では、循環ファン5と換気ファン6の高さ方向の寸法を低く抑える必要がある。
特に、浴室暖房換気乾燥装置3が設置される建物によっては、浴室暖房換気乾燥装置3が設置される天井裏の高さ方向の寸法が低い場合がある。低層の集合住宅等では、天井裏の高さ方向の寸法が190mm以下、例えば、175mm程度にまで抑えられている場合がある。
このような建物に設置される浴室暖房換気乾燥装置3としては、装置本体30の高さを180mm以下、好ましくは175mm以下、更に好ましくは170mm程度にする必要がある。
浴室暖房換気乾燥装置3では、上述したように、24時間換気運転モードにおいては所定の換気風量が得られる必要があることから、回転数を上げることなく、換気ファン6での風量が多くできるように、換気ファン6の高さ方向の寸法を、例えば100mm程度としている。
また、換気ファン6は、換気ファンケース62の上面に換気ファン吸込口62aが形成されると共に、換気ファンケース62の上面に浴室吸込風路34aと他室吸込風路34bが形成されるので、換気ファンケース62の上面の空間を利用して、浴室吸込風路34aと他室吸込風路34bに突出する形態で、換気ファンモータ61が取り付けられる。このため、浴室暖房換気乾燥装置3では、換気ファン6における制約が少ない。
これに対して、循環ファン5は、高さ方向の寸法を80mm以下、好ましくは70mm程度とする必要がある。そこで、循環ファン5は、循環ファンモータ51が入り込む形状の凸状部が設けられる構成の羽根車を備えて、高さ方向の寸法を抑える。
また、循環ファン5と換気ファン6との間には、風路が形成されず、循環ファンモータ51が突出するような空間も必要ないので、換気ファンケース62の下面を循環ファンケース52で構成するようにして循環ファン5と換気ファン6を重ねる配置とすることで、高さ方向の寸法を抑えられる。
ここで、浴室暖房換気乾燥装置3でも、各ファンで羽根車の回転数を増加させることで、風量の増加は可能になる。しかし、換気ファン6の下側に配置され、循環ファン吸込口52aが浴室100に面した下面側に設けられる構成の循環ファン5では、羽根車の回転数を増加させることで風量を増加させると、静音化を図ることができない。
これに対して、羽根車の外径を大きくすることで、羽根車の回転数を低く抑えても、風量の増加が可能で、静音化が可能である。但し、循環ファン5で羽根車の外径を大きくすると、循環ファン5が大型化し、循環ファン5が設けられた装置本体30が大型化する。
浴室暖房換気乾燥装置3は、図5で説明したように、浴室100の天井100aに設けた図示しない開口に装置本体30が入れられる形態で天井100aに取り付けられるので、装置本体30が大型化すると、設置に必要な面積が大きくなる。また、施工性が悪化する。
また、循環ファン5では、羽根車の回転軸に沿った高さ方向の寸法を大きくすることでも、風量の増加は可能であるが、循環ファン5の高さ方向の寸法を80mm以下、好ましくは70mm程度とする必要があることから、羽根車が取り得る高さ方向の寸法は45〜75mm程度、好ましくは60mm程度である。
更に、循環ファン5では、羽根車の内側に循環ファンモータ51が入り込む構成とすることで、高さ方向の寸法を抑えているが、羽根車の内側にモータが入り込むための凸状の部位が設けられることで、風量の低下につながる。
そこで、本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置3では、循環ファン5は、図3及び図4で説明した送風装置2を適用する。すなわち、羽根車として、循環ファンモータ51が入り込む凸状部12が設けられる構成の図1及び図2で説明した羽根車1を適用して、循環ファン5の高さ方向の寸法を抑える。
また、本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置3では、循環ファン5の高さ方向の寸法を抑えるために、循環ファンモータ51が入り込む凸状部12が設けられる構成の羽根車1において、風量の低下を抑え、かつ、羽根車1の大径化を抑えられるようにするため、上述したように、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aを、0.68〜0.83、好ましくは0.68〜0.77程度とした。
また、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを、0.83〜0.89とした。更に、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aと、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを異なる値とした。
本実施の形態の浴室暖房換気乾燥装置3においても、循環ファン5の羽根車1の羽根部10の外径Aは、循環ファン5の大きさの制約と、循環ファン5に要求される風量等の能力で規定される。このため、循環ファン5では、羽根車1の羽根部10の外径Aを、120〜250mm程度とした。羽根部10の外径Aは、本例では、160〜220mm程度、より具体的には170〜200mm程度であることが好ましい。
また、循環ファンモータ51が入り込む凸状部12が設けられる構成の羽根車1を備えた循環ファン5において、羽根車1の凸状部12の外径は、凸状部12の内部に収納される循環ファンモータ51の大きさ等で規定される。
ファンケースからモータが突出する形態では、換気ファンケース62の下面を循環ファンケース52で構成するようにして循環ファン5と換気ファン6を重ねる配置とすることができない。
循環ファン5で所定の風量を得るための回転数で羽根車1を駆動することができ、かつ、循環ファンケース52の上面に凸状の部位を設けることなく、羽根車1の羽根部10の内側に入り込む大きさの循環ファンモータ51としては、直径が90mm程度必要である。
そこで、モータ取付部53を含めて、羽根車1の羽根部10の内側に循環ファンモータ51が入り込む構成とするため、羽根車1の凸状部12の外径Bを、125mm以上とした。
<実施例>
以下に、羽根車1において、羽根部10の外径Aを同じ値とし、凸状部12の外径Bと羽根部10の内径Cを変化させて、羽根車1の回転数と騒音値の変化を測定した。また、比較例として、凸状部のない羽根車での回転数と騒音値の変化を測定した。なお、騒音値の測定は、JIS 9603に基づき行った。
以下の表1〜表3では、測定に使用した羽根車1の羽根部10の外径Aと、凸状部12の外径Bと、羽根部10の内径Cの値を示す。また、表4では、凸状部を設けていない羽根車の羽根部の外径Aと羽根部の内径Cの値を示す。
また、図7〜図9は、凸状部の外径を変化させた場合における羽根車の回転数と騒音値との関係を示すグラフ、図10は、凸状部を設けていない場合における羽根車の回転数と騒音値との関係を示すグラフである。
ここで、図7は、凸状部12の外径Bを130mmとした場合における羽根車1の回転数と騒音値との関係を示す。また、図8は、凸状部12の外径Bを147mmとした場合における羽根車1の回転数と騒音値との関係を示す。更に、図9は、凸状部12の外径Bを160mmとした場合における羽根車1の回転数と騒音値との関係を示す。
図7に示すように、羽根部10の外径Aを192mm、凸状部12の外径Bを130mmとした場合は、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aが、C/A=0.83〜0.89の間で羽根車1の回転数が下がり、騒音値が低下することが判った。
一方、図10に示す凸状部が設けられていない羽根車において、回転数及び騒音値が最も低かったC/A=0.78となる条件では、回転数と騒音値が上昇している。これは、凸状部12の外周と羽根部10の内周との隙間が狭いためと考えられる。また、C/A=0.94となる条件では、風切音が大きくなり騒音値が上昇した。
以上の結果から、羽根部10の外径Aを192mm、凸状部12の外径Bを130mmとした羽根車1では、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aが、B/A=0.68となり、所定の目標音量(騒音値)Nに対して、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aの適正な範囲Pを、C/A=0.83〜0.89とすることが好ましいことが判った。
図8に示すように、羽根部10の外径Aを192mm、凸状部12の外径Bを147mmとした場合は、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aが、C/A=0.89で羽根車1の回転数が最も下がり、騒音値も最も低下することが判った。
一方、C/A=0.78となる条件では、回転数が上昇している。これは、凸状部12の外周と羽根部10の内周との隙間が狭く、羽根部10の根元まで風が流せなくなったためと考えられる。
以上の結果から、羽根部10の外径Aを192mm、凸状部12の外径Bを147mmとした羽根車1では、羽根部10の外径Aと凸状部12の外径Bとの比率B/Aが、B/A=0.77となり、所定の目標音量(騒音値)Nに対して、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aの適正な範囲Pを、C/A=0.83〜0.89、回転数の上昇を考慮すると、0.89程度とすることが好ましいことが判った。
図9に示すように、羽根部10の外径Aを192mm、凸状部12の外径Bを160mmとした場合は、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aが、C/A=0.89で羽根車1の回転数が最も下がるが、騒音値は十分に低下しないことが判った。
また、C/A=0.83となる条件では、回転数が大きく上昇している。以上の結果から、羽根部10の外径Aを192mm、凸状部12の外径Bを160mmとした羽根車1では、羽根部10の外径Aと羽根部10の内径Cとの比率C/Aを最適化しても、低騒音化が困難であることが判った。
以上のことから、羽根車1における凸状部12の外径Bは、循環ファン5で所定の風量を得るための回転数で羽根車1を駆動することができ、循環ファンケース52の上面に凸状の部位を設けることなく、羽根車1の羽根部10の内側に入り込み得る循環ファンモータ51の大きさを考慮して、125mm以上とすることが好ましいことが判った。また、凸状部12の外径Bは、低騒音化を図るため、160mmより小さく、より具体的には、155mm程度以下とすることが好ましいことが判った。