発明者等は、シボリの穴径を縮小すると共に、電子線が照射されるシボリを含めた部品の高温加熱により、輝度が低下する原因について検討した。その結果、シボリの保持具の熱変形に起因してシボリの位置が電子線の光軸から外れ、従来はシボリの穴径が1mmφ程度の寸法を有していたため問題にならなかったものが、シボリの穴径を縮小したために顕在化したことが分かった。
さらに、磁界重畳型FE電子銃の場合には、磁界レンズのコイルを耐熱温度以上に加熱する危険があること、また、磁極を不均一に加熱すると磁場が軸回転対称性でなくなり、電子源と磁界レンズの磁場中心とが同一軸上から外れて軸上非点収差が増加することが分かった。本発明は上記新たな知見に基づいており、これらに対する対策から生まれたものである。
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、各実施例では電子線を用いた場合について説明するが、イオン等他の荷電粒子線にも適用することができる。また、後述する装置構成や処理動作の内容は発明を説明するための一例であり、本発明は、後述する装置構成や処理動作に既知の技術を組み合わせた発明や、後述する装置構成や処理動作の一部を既知の技術と置換した発明も含有する。
本発明の第1の実施例について図1〜図5、図6A、図6Bを用いて説明する。なお、同一符号は同一構成要素を表わす。図1は、本実施例に係る電子銃(磁界重畳型FE電子銃)構造の一例を示す断面図である。電子銃は中心軸で対称な構造をもち、図1は中心軸を通る面できった断面図である。
電子源1にはタングステンヘアピンの先端にとりつけた<310>結晶方位のタングステン単結晶を用いる。単結晶の先端は直径100nmに先鋭化し、先端中央には仕事関数が4.3eVと低い(310)結晶面が配置される。電子源1は室温またはそれ以下の温度に冷却して電子線を放出させる。この結果、輝度が高く、エネルギー幅の狭い電子線が放出する。
電子源1はチップホルダー2を介してチップフランジ3に固定する。チップホルダー2は絶縁部分をもち、電子源1とチップフランジ3とは電気的に絶縁する。チップフランジ3は伸縮可能なベローズ4を介して、ヘッドフランジ5に接続する。ヘッドフランジ5は磁界レンズ6に固定し、磁界レンズ6は電子銃チャンバー7に固定する。電子銃チャンバー7には複数台のイオンポンプ8と複数台の非蒸発ゲッターポンプ9を接続する。チップフランジ3、ヘッドフランジ5、電子銃チャンバー7などは、パーマロイなどの高透磁率の材料で製作し、外部磁場を遮断する。この結果、内部の電子線は外部磁場の影響を受けにくくなる。
チップフランジ3、ヘッドフランジ5、磁界レンズ6、電子銃チャンバー7を接続すると、これらの内部は密封された容器となる。容器の内部はイオンポンプ8と非蒸発ゲッターポンプ9で排気する。イオンポンプ8は超高真空中にある希ガスとCO、CO2、CH4などのガスを効率良く排気する。非蒸発ゲッターポンプ9は水素ガスを効率良く排気する。これらのポンプを組み合わせて排気することで、容器内を超高真空よりも真空度の高い10−9Paから10−10Pa台の極高真空にする。
容器の内面と真空に面する全ての部品の表面は電解複合研磨を行い、中心線平均荒さを0.4μm以下にする。表面を平滑にすることで材料からの放出ガスが低減し、到達真空度が高くなる。さらに、高い真空度を得るためのベーキングなどの工程が短くてすむ。
これらの構成で真空度を高めることで、電子線の電流変化は小さくなり安定になる。また、従来の真空度では使用できなかった電子源の清浄表面から放出する電子線を使用できる。清浄表面の仕事関数は低いことから、従来のガス吸着した表面から放出する電子線よりも輝度が高く、エネルギー幅が狭い電子線が得られる。電子線の安定性は例えば、電子源から放出するプローブ電流がフラッシング直後の値から90%まで減衰するのに要する時間が300分以上になり、この間のプローブ電流の1分間あたりの触れ幅(Peak to Peakの絶対値)はプローブ電流の10%以下になる。
磁界レンズ6の下にはシボリ11を固定するための保持具(以下、シボリフランジ10)を接続する。この接続は、磁界レンズ6の下面の外周部において嵌合で行い、磁界レンズ6とシボリフランジ10の中心軸を一致させる。シボリフランジ10の中心にはシボリ11を取り付ける。シボリ11の上部には反射電子捕獲機構(以下、キャップ12)を固定する。シボリ11とキャップ12の側面には加熱機構(以下、ヒータ13)を取り付け、シボリ11とキャップ12を局所的に加熱する。
チップフランジ3はベローズ4を介してヘッドフランジ5に固定されている。従って、図示していない微動機構をチップフランジ3の側面に取り付けることで、チップフランジ3とそれに固定されたチップホルダー2、電子源1の位置を水平と垂直方向にμmオーダの精度で微調整する。
チップフランジ3を水平に動かすことで、電子源1の先端を磁界レンズ6の中心軸上に配置し、電子線がレンズの中心から外れることで生じる軸外非点収差を低減する。電子源1とチップホルダー2の直径は、直下にある磁界レンズ6の上磁極の孔径よりも小さくする。チップフランジ3を垂直下方向に動かすことで、電子源1を磁界レンズ6の内部に挿入する。電子源1の先端を磁界レンズの主面の近くに配置することで、磁界レンズ6の球面収差と色収差を低減する。
シボリフランジ10の下方には非点補正器14とX軸偏向器15、Y軸偏向器16を取り付ける。磁界レンズ6の磁極の孔は、機械加工の精度によって真円から外れた非対称な形状になり、磁場に偏りをもつ場合がある。また、加工時の残留応力や、材質の磁気的不均一性などでも磁場の偏りが増す。この磁場の偏りが原因で、磁界レンズに軸上非点収差が生まれる。そこで、磁界レンズ6の直下に非点補正器14を配置することで、軸上非点収差を補正する。
電子線の光軸をZ軸とした場合、X軸偏向器15とY軸偏向器16は、電子線の進行角度をそれぞれX軸、Y軸方向に調整する。電子線の進行方向を調整することで、電子銃の下方に配置する加速管やコンデンサレンズの中心軸上に電子線を入射させる。この結果、加速管やコンデンサレンズでの軸外非点収差が低減する。
電子線が高い電圧で加速されて速度が増えるほど、非点補正器14による補正量と、X軸偏向器15、Y軸偏向器16による偏向量、また磁界レンズ6による収束作用は小さくなる。そのため、これらを大型化して、コイルの巻き数を大きく、または、流す電流を大きくしなければならない問題がある。そこで、非点補正器14とX軸偏向器15、Y軸偏向器16、磁界レンズ6は、加速管などで電子線が高速に加速される手前の、引出電圧の電位の場所におく。電子源1には、磁界レンズ6に対して−2〜−5kV程度の引出電圧を印加して、電子線を放出させる。このときの電子線は、比較的速度が遅い状態にある。非点補正器14と、X軸偏向器15、Y軸偏向器16を磁界レンズ6と同じ電位にすると、この遅い電子がこれらの中を通過することになる。従って、小型でも十分な補正と偏向を行うことができる。
本電子銃における電子線の移動過程をまとめる。まず、電子源1に磁界レンズ6に対して負の引出電圧を印加し、電子源1の先端から電子線を放出させる。放出した電子線は磁界レンズ6によって収束されながら、シボリ11の穴を通過する。観察に用いる電子線は、全放出電子のうちシボリ11の穴を通過した中心軸付近のみの電子を使う。シボリ11の穴を通過した電子線は非点補正器14とX軸偏向器15、Y軸偏向器16の中を通過して補正と偏向作用を受ける。その後、電子線は電子銃の下方に接続する図示していない加速管とコンデンサレンズの中を通過する。電子線は加速管によって加速されて速度を増し、コンデンサレンズで収束されて、観察試料に照射される。シボリ11を通過した電子は、後段の別のシボリで量を減らされることはなく、全て試料に照射されて観察に用いられる。
図2に磁界レンズ6の詳しい断面図を示す。磁界レンズ6はコイル101と非磁性材料102とヨーク103などで構成する。ヨーク103は導電性があり、飽和磁束密度の高いパーメンジュールなどの材料で製作し、高い磁場を発生させる。コイル101は、セラミック材料などで絶縁被覆した導線で製作し、耐熱温度250℃から300℃程度まで高める。
ヨーク103は電子線の中心軸を取り囲むように配置され、上磁極105と下磁極106とを備える。これら磁極は、コイル101の内側側面から磁界レンズの中心軸方向に向かって伸びる。上磁極105は下向きの傾きをもち、磁界レンズ6の上側に空間を作る。下磁極106は上向きの傾斜をもち、磁界レンズ6の下側に空間を作る。上磁極105と下磁極106との間隔は、中心軸に近づくほど狭くし、中心軸近傍で最も狭くする。この結果、中心軸近傍に強い磁場が集中する。この磁場によって、上磁極105と下磁極106の間にレンズの主面107を形成する。
上磁極105と下磁極106には、複数の排気口104を設け、真空排気のコンダクタンスを高める。これにより、電子源1の近傍の真空度がより高くなり、電子線の安定性が向上する。
図3に磁界レンズの上面図を示す。排気口104は、磁界レンズ6の中心軸に対して対称な位置に設け、磁場の経路が対称になるようにする。この結果、磁界レンズが発生させる磁場に偏りが生じるのを防ぎ、軸上非点収差の増加を防ぐ。排気口104を長穴や、長方形、台形、三角形など、またはそれらに類似したアスペクト比をもつ形状にすることで、開口面積が大きくなり、コンダクタンスがより向上する。このとき、排気口を磁界レンズの半径方向に伸びるように配置することで、磁極中の磁場の経路の断面積が低下するのを最小限に抑え、かつ中心軸上で高い磁場を発生させることを両立させる。また、排気口を開ける位置は、磁場の経路の断面積を著しく低下させない範囲で、電子源1に近い場所に開けることで、真空排気の経路の長さを短くでき、コンダクタンスが向上する。
図2に示したように、上磁極105の中心の孔径をd1(mm)、下磁極106の孔径をd2(mm)、孔径の平均値をD=(d1+d2)/2、上磁極と下磁極の最も中心軸に近い位置での間隔(ギャップ長)をS(mm)、電子源1の先端と主面107との距離をa(mm)、磁界レンズ6の焦点距離をf(mm)とする。このとき、一般的な近似式として、磁界レンズの球面収差Cs(mm)と色収差Cc(mm)は物面換算でおおよそ次の式で表される。
この式(1)(2)からわかるように、距離aを短くするほど球面収差と色収差は低減する。
磁界レンズの焦点距離fは観察目的に応じて任意の値を取る。ここで、電子線を収束させて実像を作る場合のために、fはaよりも小さくできる必要がある。電子線の電圧をV(V)、コイル101の巻き数をN、コイル101に流す電流をI(A)とすると、焦点距離fは経験的に以下の式で表される。
この式(3)からわかるように、巻き数Nと流す電流Iを大きくするほど、焦点距離fが短くなる。
コイルに流す電流Iを大きくすると、コイルが発熱してヨーク103や非磁性材料102の温度が上昇し、これら材料からの脱ガス量が多くなる。従って、電子銃の真空度が低下する。そこで、図1に示したように磁界レンズ6の外側の側面、または上面などは外気にさらす。コイルに大きな電流を流し、発熱量が増加した場合でも、外気で冷却されることでヨーク103や非磁性材料102の温度は上がりにくくなる。この結果、真空度の低下はおこりづらくなる。
コイルの巻き数Nを大きくすると、コイルが大型化して電子銃が大きくなる。また、電子源を磁界レンズ内に挿入することが難しくなり、収差を増加させる。そこで、図2に示したように、磁界レンズの中心軸方向に傾斜をもって伸びる上磁極105と下磁極106をヨーク103に設ける。これにより、磁界レンズの中央部分の上下に十分な空間を作ることができる。図1に示すように、この磁界レンズ6の上下の空間内に電子源1やシボリ11を配置することで電子銃を小型化できる。また、電子源1とシボリ11を磁界レンズ内に挿入し、レンズの主面107の直近に置くことも容易になる。電子源1の先端を主面107の近くに配置することで、式(1)(2)のaが短くなり、球面収差と色収差が低減する。また、シボリ11を主面107の近くに配置することで、後述のように、広角の電子が、使用する電子線に混入するのを防ぐ。また、磁界レンズ6の使用条件に依らずほぼ一定量の電流を使用できるようにする。
磁界レンズ6に磁極をもたせることで、電子源1とシボリ11を主面107の直近に配置することと、磁極の孔径d1、d2、および、ギャップ長Sを小さくすることを両立できる。式(1)と(2)から、DとSを大きくするほど収差を低減できる。一方、式(3)からDとSを小さくするほど、強い磁場が形成されて、短い焦点距離fを得ることができる。実現可能なコイルの巻き数Nと電流Iには上限があることから、実装上、DとSを小さくすることが望ましい。典型的な使用条件では、fは10mm以下、より好適には5mm以下であり、これを実現するためにd1、d2、Sはおよそ20mm以下、より好適には10mm以下にする。d1、d2、Sを小さくすることで、コイル101の巻き数が少なくても、十分な強さの磁場を発生させて、任意の位置に電子線を収束できる。また、磁界レンズ6自体を小型化できる。さらに、コイル101に流す電流を小さくできるので、磁界レンズ6の温度上昇による真空度低下が起こりにくくなる。
電子源1の近い位置に磁界レンズ6の上磁極105を配置する。上磁極105と電子源1との間に引出電圧を印加することで、この間に電界を発生させる。先端を尖らせた電子源1に電界が集中することで、電子線が放出する。通常、上磁極とは別に引出電極を設ける場合、上磁極の孔径を大きくし、その中に引出電極を設ける必要がある。しかし、上磁極105を導電性にし、電子源の引出電極とすることで、上磁極の孔径を小さくできる。また、電子源1と磁界レンズの主面107との距離を短くできる。式(1)(2)(3)において、aとDが小さくなることから、球面収差と色収差が低減し、磁界レンズに強い磁場を発生させることができる。
図4に磁界レンズの中心軸で発生する磁場の強さの分布図を示す、なお、磁界レンズは軸対称の構造であることから、中心軸より左側の断面図のみを示し、右側に垂直方向の位置と対応した磁場の強さを示した。また、中心軸に最も近い場所での上磁極105の厚みをL1、下磁極の厚みをL2とした。
磁界レンズの中心軸には磁場分布110が形成される。磁場分布110は上磁極105と下磁極106との間に最も強いピークをもつ。このピークの位置付近に主面107が形成される。主面107から離れるほど磁場分布110の磁場の強さは低下するが、ギャップ長Sよりも広い範囲に磁場が発生する。これは上磁極105と下磁極106が厚みL1とL2をもち、それぞれの側面や主面107から見て反対側の面(上磁極の上面108や下磁極の下面109)などへも磁力線が広がって放出することが原因である。
電子源の先端がこの磁場の分布内にあると、放出した電子線がレンズ作用を受けて収束する。従来の静電レンズを用いた電子銃と比較した場合、磁界重畳型FE電子銃の収差が低減する。磁界重畳型FE電子銃で電子線の放射角を従来よりも広く用いることで、電流量が増え、かつ集光径が小さくなることから、大電流で高輝度な電子線を得ることができる。
電子源の先端の位置は、上磁極の上面108からL1離れた位置よりも内側であれば、磁場分布の中に入る。より好適には、電子源の先端を、上磁極の上面108よりも主面側(磁界レンズの内側)に配置することで強い磁場の中に入り、電子線をより収束させることができる。磁界レンズの焦点距離fを10mm以下にするためには、上磁極105の厚みL1と下磁極106の厚みL2を10mm以下にする。焦点距離fを5mm以下にするためには、L1とL2を5mm以下にする。
磁界レンズ6を以上の構成にすることで、電子銃を小型にでき、かつ電子源1とシボリ11を磁界レンズ内に配置できる。この結果、磁界レンズの球面収差と色収差が低減する。また、磁極の中心の孔径とギャップ長を小さくできるので、短い焦点距離を実現できる。さらに、磁界レンズは外気に面していることから、コイルに大きい電流を流しても、温度上昇は小さくなる。この結果、電子銃の真空度は低下しにくくなる。
図5にシボリフランジ10とこれに取り付けるシボリ11、キャップ12、ヒータ13の斜視図を示す。なお、これらの部品は軸対称の構造をもつことから、中心軸より右側は断面図で示した。
シボリフランジ10はシボリの保持部201と、断熱部202と、固定部203とで構成する。保持部201は円筒構造をもち、この中心軸上を電子線が通過する。シボリ11は保持部201の中心穴内の段差をつけた箇所に配置する。この段差にはシボリ11と同じ直径の溝を掘る。ここにシボリ11を配置することで、シボリ11とシボリフランジ10との中心軸が一致する。保持部201の上部にはキャップ12をネジ止めで接続する。キャップ12と前述の保持部201の段差に挟まれてシボリ11が固定される。磁界レンズ6とシボリフランジ10は嵌合で接続し、中心軸が一致することから、磁界レンズ6とシボリ11の中心軸も一致する。電子源1はチップフランジ3の位置を微調整させて、磁界レンズ6の中心軸上に配置されることから、磁界レンズ6と電子源1とシボリ11は同一の中心軸上に配置される。この結果、電子線が磁界レンズの中心から外れることで生じる軸外非点収差が最小限になる。
シボリ11の電子線が通る穴の直径(穴径)は0.1mmから0.2mm程度が好適である。電子源1の先端とシボリ11との距離および位置関係、そしてシボリ11の穴の大きさによって、電子線の軌道と入射角、電流量が決まる。
保持部201にはヒータ13を配置する。ヒータ13はパイロティックボロンナイトライドなどの脱ガス量の少ない材料で製作する。電子銃内を10−9Pa台以下の極高真空にすると、ESDガスによる真空度の低下が特に顕著になる。また電子線を大電流にするほど、ESDガスの発生量は増える。従って、真空度が低下して、電流が不安定になる。そこで、ヒータ13で電子線が照射されるシボリ11とキャップ12を一度500℃程度に加熱する。この結果、ESDガスの発生量が低減し、大電流の電子線を放出しても安定な電子線を得ることができる。
ヒータ13は円筒構造にし、シボリ11とキャップ12の側面に接するように配置する。接触面積が大きくなることから、ヒータからの熱がシボリ11とキャップ12に効率的に伝わる。また、ヒータ13をシボリ11とキャップ12の側方の直近の位置に配置することから、熱伝導の距離が短くなり、少ない熱入力で効率的にシボリ11とキャップ12を高温にすることができる。さらに、シボリ11とキャップ12以外の部品を加熱しにくいことから、後述する熱歪によるズレ量を低減できる。さらに、後述する断熱部202で熱伝導を抑制することで、シボリ11とキャップ12のみを局所的に高温にし、シボリフランジ10全体の温度を上がりにくくする。
保持部201に取り付けられたシボリ11とキャップ12は、磁界レンズ6の下磁極106の中心孔内に挿入する。下磁極106の孔径d2は、上述のように強い磁場を発生させるために狭くする。従って通常、シボリ11とキャップ12をこの狭小空間に配置し、さらにこれらの直近にヒータ13を配置するのは難しい。特に、ヒータ13をシボリ11の上部に取り付けることは、電子源1と干渉して難しく、シボリ11の下部に取り付けることは、熱を十分に伝えるための接触面積を確保しにくく難しい。しかし、ヒータ13を円筒構造にし、シボリ11とキャップ12の側面に接して配置させ、シボリフランジ10で磁界レンズ内に挿入する構造にすることで、狭小空間内の配置と、大きな接触面積による効率的な加熱を両立できる。
シボリ11の表面とキャップ12の内面は、金、白金、オスミウムなどの表面酸化膜が形成されにくい金属、または、タンタルなどの水素の拡散速度が遅い金属、または、チタンナイトライドなどの緻密で原子の拡散を遮断する金属をコーティングする。このコーティングをすることで、電子線が照射されたときに表面酸化膜から放出する有機系ガス、または、材料内部からの拡散に起因した水素などの放出が抑制される。この結果、ESDガスの放出量はさらに低減する。
キャップ12は筒状の構造をもち、内面に凹凸構造を設ける。通常、シボリ11に電子線が照射されると、そこから反射電子が放出し、電子銃内に広がる。反射電子がヒータ13で高温に加熱していない電子銃内の部品に衝突すると、そこから多くのESDガスが放出して真空度が低下してしまう。そこで、筒状のキャップ12をシボリ11の上に取り付けることで、反射電子をキャップ12の内部に閉じ込め、電子銃内の広い範囲に散逸するのを防ぐ。さらに、内面に凹凸構造をつけることで、反射電子が凸部に衝突してキャップ12の内部に戻され、よりキャップ12の外部に放出しにくくなる。キャップ12はヒータ13で一度高温に加熱されていることから、ESDガスの発生量は最小限に抑えられる。
保持部201とキャップ12とヒータ13の直径は磁界レンズ6の下磁極106の中心孔径d2よりも小さくし、磁界レンズ内に挿入する。この結果、シボリ11を磁界レンズの主面に近くに配置でき、さらに電子源1の先端とシボリ11、およびキャップ12との距離が短くなる。
通常、電子顕微鏡では目的に応じて磁界レンズの焦点距離を変え、電子線の収束位置(像面)を変える。このとき、シボリを磁界レンズの主面から離れて配置すると、像面の位置によって電子線の放射角が変わり、電流量が大きく変わってしまう。このため、電流調整用に新たな磁界レンズとシボリを後段に追加する必要が生じる。これらは電子顕微鏡の操作を複雑にするとともに、新たな収差を増やす原因になる。一方、シボリを磁界レンズの主面に近い位置に配置すると、磁界レンズの使用条件に依らず、ほぼ一定の放射角を使用することになり、一定の電流を得ることができる。
また、電子源1とシボリ11の距離が近くなることで、電子源から放出する電子線のうち、放射角度の大きい電子(高角度電子)をシボリ11で遮断することができる。高角度電子は電子源から放出したとき、水平方向のエネルギーを大きくもつ。この電子を使用すると、電子線のエネルギー幅が増加する。また、高角度電子が使用する電子線に含まれると、レンズの収差によって電子線の中心部分に入り込み、火面(カウスティク)を形成する。この火面は補正器や後段のシボリで除去できないことから、観察像の質を低下させる。しかし、前述のようにシボリ11と電子源1の距離が近くなることで、高角度電子はシボリ11を通過せず、使用する電子線に含まれなくなる。この結果、エネルギー幅の増加と、火面の発生を防ぐことができる。
その他に、電子源1とシボリ11の距離が近くなることで、電子源1から放出する電子のうち、シボリ11を通過して試料に照射されるプローブ電流と、その他の電流が早い段階で分離される。この結果、電子同士のクーロン力による反発(ベルシェ効果)でエネルギー幅が増加するのが抑えられる。
電子源1からみたシボリ11の穴の立体角は、その他の図示していない後段のシボリの立体角よりも小さくする。シボリ11の立体角を最も小さくすることで、電子源1に近い位置で観察に使用する電子のみを選別する。シボリ11より後段では最小限の電子のみを輸送することから、上述の広角度電子の電子線への混入と、ベルシェ効果によるエネルギー幅の増加を最小限になる。
電子源1とキャップ12の距離が近くなることで、電子源1から放出する全ての電子線をキャップ12の内側に照射させることができる。よって、電子線が電子銃内に散逸させることがなくなり、ESDガスを発生させる頻度がより低下する。電子源1の先端がキャップ12の中に入ると、電子源1のまわりの真空排気のコンダクタンスが低下し、真空度が低下する。そこで、キャップ12は、シボリ11の水平位置から電子源1の先端よりも下までの間に配置し、電子源1の側方にキャップ12が配置されないようにする。
電子源から放出する電子線の放射角(半角)は最大で30°程度であることを考慮すると、全ての電子線をキャップ12内に入射させるためには、キャップ12の内側の開口直径をLとして、電子源1の先端とキャップ12の上面との距離を31/2L/2以下にするのが望ましい。Lはd2よりも小さく、d2は20mm以下、より好適には10mm以下であるので、電子源1の先端とキャップ12の上面との距離は、17mm以下、より好適には9mm以下とする。
ヒータ13を用いたシボリ11とキャップ12の加熱は、電子銃を200℃でベーキングしている最中に行う。このとき、ヒータ13で発生した熱が磁界レンズに伝わると、コイル101の温度がさらに上がり、耐熱温度以上になる危険がある。また、上磁極105と下磁極106の中心孔の近傍の温度が上昇すると透磁率が変化する。温度上昇に偏りがあると、ベーキング後の磁界レンズの磁場に偏りが生じ、軸上非点収差が大きくなる。さらに、シボリフランジ10全体が高温になると熱歪が生じ、シボリ11の中心軸がずれて軸外非点収差が大きくなる。
そこで、ヒータ13は磁界レンズ6の磁極と接触しないように配置し、熱が直接伝わらないようにする。さらに、保持部201の下部には断熱部202を設ける。断熱部202は0.5mm以下、より好適には0.2mm以下の薄肉円筒構造にする。ヒータ13から発生した熱は、シボリフランジ10を流れて磁界レンズ6に伝わるが、薄肉の断熱部202があることで熱伝導の経路の断面積が小さくなり、熱の移動量が低下する。この結果、シボリ11とキャップ12、および保持部201は500℃程度まで局所的に加熱され、固定部203と磁界レンズ6の温度はほぼ上がらなくなる。コイル101と上磁極105、下磁極106の温度もほぼ上がらなくなることから、コイルの断線や、軸上非点収差、軸外非点収差の増加が防がれる。
図6A、図6Bにヒータ13を用いた加熱時の断熱部202の熱歪を示す。(図6A:斜視図、図6B:断面図)。ヒータ13の加熱によって保持部201が高温になり、熱伝導で断熱部202の上側の温度が特に上昇する。このとき、上板301に熱歪302が生じる。熱歪302に偏りがあると断熱部202が曲がり、シボリ11の中心軸がずれる。この結果、軸外非点収差が増加する。
そこで、保持部201と断熱部202は軸対称の円筒構造にする。熱歪は軸対称で均等に全周にわたって生じることから、シボリ11はずれにくくなる。また、円筒構造は軸方向、および半径方向の力に対して強く、座屈や塑性変形が起こりにくくなる。円筒の長さは短くするほど、熱歪みによる変形量も小さくなる。固定部203も軸対称の構造にすることで、さらに不均一な熱歪を起こさないようにする。
断熱部202の直径は保持部201より大きくし、薄肉円筒側面には環状の凸部(輪帯204)を一つ以上設ける。これにより、断熱部202の断面二次モーメントが増加し、熱歪で曲がりにくくなる。また、保持部201と断熱部202はモリブデンやタングステン、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などの高耐熱材料で製作し、熱応力で塑性変形するのを防ぐ。アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などの絶縁材料を用いる場合は、電子線が通過する側の面を金属薄膜でコーティングする。絶縁材量がチャージアップするのを防ぎ、電子線が曲げられなくする。
これらの構成によって、シボリ11の軸がずれにくくなり、ヒータ13で500℃に加熱しても、加熱前後のシボリ11の中心穴のズレは±10μm以下に抑えられる。なお、輪帯204に代わって任意の凹凸構造を設けても、断面二次モーメントが増加し、同様の効果を得ることができる。
図5に示したように、高耐熱材料で製作された断熱部202は固定部203と溶接面205で溶接で接続する。なお、固定部203を同様の高耐熱材料で作成しても良く、この場合、溶接は不要になる。固定部203には凸部206を設け、磁界レンズ6と嵌合で接続する。固定部203と磁界レンズ6との接続は、磁界レンズ6下面の外周部で行う。この結果、固定部203の直径が大きくなり、ヒータ13から磁界レンズ6までの熱伝導の経路が長くなる。従って、磁界レンズの温度が上昇しにくくなる。また、磁界レンズの外周部は磁極の中心とも離れていることから、磁極中心の温度が最も上がりにくくなる。
固定部203と磁界レンズ6とは、ネジ穴207でネジ止めで接続する。固定部203の底面には複数の排気口208を設け、電子源まわりの排気コンダクタンスを向上させる。排気口208はシボリフランジの中心軸に対して対称な位置に作り、熱歪に偏りが生じるのを防ぐ。また、排気口208は長穴にしても良い。
以上のシボリフランジ10の構成によって、磁界レンズ6の温度を上げることなく電子線が照射される部品を局所的に高温にすることができる。この結果、ESDガスの発生量が低減し、大電流でも安定な電子線が得られる。また、シボリフランジ10は高温加熱しても中心軸がずれにくいことから、軸外非点収差の増加による輝度の低下が防がれる。さらに、シボリ11とキャップ12を磁界レンズの主面107の近くに配置するので、磁界レンズの使用条件に依らず、一定の電流を得ることができる。また、電子線に広角電子が混入するのを防ぎ、放出する電子線を全てキャップ内に閉じ込めることができる。
以上、本実施例によれば、穴径の小さなシボリを用いて電子線が照射されるシボリを含めた部品の高温加熱を行うような場合であっても、高輝度で安定な電子銃を提供することができる。また、磁界重畳の場合には、更に大電流の電子線を得ることができる。
本発明に係る第5の実施例について図10、図11を用いて説明する。なお、実施例1又は4に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
図10は本実施例に係る電子銃の断面図であり、実施例1で説明したシボリフランジ10を磁界レンズがない静電レンズ型のFE電子銃に適用した場合の一例を示す。本シボリフランジ10は、電子源1とシボリ11の中心軸がずれにくく、シボリ11を局所加熱できるという効果をもつ。よって磁界重畳型でない静電レンズ型FE電子銃に搭載した場合、小型で真空度の高い電子銃を提供できる
電子源1には<310>結晶方位のタングステン単結晶を用いる。電子源1はチップホルダー2を介してチップフランジ3に固定する。チップフランジ3は伸縮可能なベローズ4を介して、ヘッドフランジ5に接続する。ヘッドフランジ5はチャンバー501に固定する。シボリフランジ10は絶縁材502に固定して、電子源1の直下に配置する。チップフランジ3は図示していない微動機構を備える。この微動機構を用いて、電子源1の位置を水平と垂直方向に微調整する。
シボリフランジ10は実施例1と同様の構成をもつ。シボリフランジ10にはシボリ11とキャップ12とヒータ13を取り付ける。ただし、本実施例ではシボリフランジ10は排気口をもたず、シボリフランジ10の上側の電子源1を配置する電子源室503と、下側の試料室427とを隔てる間壁の役割をもつ。シボリフランジ10は絶縁材502で保持することから、チャンバー501とは電気的に絶縁される。チャンバー501はグランド電位にする。
電子源室503は、チップフランジ3と、ヘッドフランジ5、チャンバー501、シボリフランジ10、絶縁材502とで囲まれた密封空間である。電子源室503にはイオンポンプ8と非蒸発ゲッターポンプ9を接続し、真空排気する。電子源室503と試料室427はシボリ11の中心の穴でのみつながり、両者は差動排気構造をもつ。電子源室503の圧力は典型的には10−8Pa以下である。電子源1の周囲に配置されるのは、下方のキャップ12のみであり、側方には真空排気の遮蔽物がない。この結果、真空排気のコンダクタンスが高くなり、電子源1まわりの圧力は好適には10−9Pa以下となる。よって、電子源1から安定な放出電流を得ることができる。
シボリ11とキャップ12は、ヒータ13で500℃まで加熱する。この結果、これらに電子線が照射された時に生じるESDガスが低減し、真空度を高く維持できる。電子源1とキャップ12との距離を短くすることで、放出する電子線を全てキャップ12内に入射させ、ESDガスの発生量を最小限にする。
シボリフランジ10は、実施例1で記載したように耐熱材料で製作した薄肉円筒の断熱部を備える。この結果、シボリ11とキャップ12のみがヒータ13で局所的に加熱される。通常、チャンバー501が高温になると、表面が酸化され、ガスケット面などが劣化する。この結果、リークが発生し、高い真空度が保てなくなる。この高温によるチャンバー501の劣化は、寸法の小さい小型SEMなどで特に顕著となる。しかし、シボリフランジ10によってシボリ11とキャップ12のみが局所的に加熱され、チャンバー501の温度は上がりにくいことから、このチャンバー501の劣化はおこりにくくなる。
図11に本実施例の静電レンズ型FE電子銃を適用した小型SEMの一例を示す。シボリフランジ10の下方には、第1電極504を配置する。第1電極504の下方には第2電極505を配置する。第1電極504と第2電極505は絶縁物で接続し、電気的に絶縁する。第2電極505の下方に、観察する試料411を配置する。試料411が配置された試料室427は、ターボ分子ポンプ425で真空排気する。第1電極504の側方には、X軸偏向器15とY軸偏向器16を配置する。X軸偏向器15とY軸偏向器16を用いて電子線の進行方向を調整し、静電レンズの中心を通るようにする。
シボリフランジ10にはフィードスルー423を介して引出電圧電源421を接続する。引出電圧電源421を用いて、電子源1に対してシボリフランジ10に2〜5kVの引出電圧を印加することで、キャップ12と電子源1の間に電界が生じる。この結果、電子源1の先端に電界が集中して電子線が放出する。放出した電子線は、シボリ11の中心の穴を通り、下方の第1電極504と第2電極505の中心の穴を通って試料室427に進む。このとき試料411には、シボリ11によって制限された電流量が照射されることになる。シボリ11以外に、電子線の電流を制限するその他のシボリを追加する必要がないことから、装置を簡略化できる。
第1電極504には、第2フィードスルー506を介して、対物電極電源507を接続する。第2電極505はグランド電位に接続する。シボリフランジ10と第1電極504、第2電極505の電位はそれぞれ異なる。この結果、シボリフランジ10と第1電極504との間、及び、第1電極504と第2電極505との間で静電レンズ作用が働き、電子線が集光される。集光された電子線は、試料411上を走査し、二次電子を放出する。この二次電子を検出器424で検出することで観察像を得る。X軸偏向器15とY軸偏向器16には、第2フィードスルー506を介して、電源420を接続する。電子線の集光を磁界レンズでなく静電レンズで行うことで、寸法が大きいヨークやコイルを配置する必要がなくなり、SEMの鏡筒の直径を70mm以下にまで小型化できる。
シボリ11と第1電極504、第2電極505の中心軸はあらかじめ組立て時に一致させておき、各静電レンズの軸外非点収差の増加を防ぐ。寸法の小さい小型SEMでは静電レンズの寸法も小さくなる。この結果、ヒータ13を用いてシボリ11を加熱して、中心軸がずれた場合の軸外非点収差の増加はより大きくなる。しかし、シボリフランジ10は、実施例1に記載したように、加熱を行っても電子源1とシボリ11の軸ずれがおこりにくい。この結果、小型SEMであっても軸外非点収差が増加しにくくなる。また、電子源1とシボリ11の軸ずれが起こりにくいことから、出荷時に電子源1の位置を決めて以降、ユーザが微動機構で電子源1の位置を調整する必要はほぼなくなる。
電子源1には、フラッシング電源418と加速電圧電源422を接続する。フラッシング電源418は、電子源1のフィラメントにパルス電流を流し、フラッシングとマイルドフラッシングを行う。電子源1には、加速電圧電源422を用いてグランド電位に対して−0.1から−30kVの加速電圧をかける。この結果、電子線はこの加速電圧の速度で試料411に照射される。
フラッシング電源418、引出電圧電源421、加速電圧電源422、電源420、対物電極電源507は、制御器426と電気的に接続する。制御器426でこれらの稼動状態をモニタリングするとともに、動作を制御する。
以上のようにシボリフランジ10を静電レンズ型電子銃に適用することで、小型でも軸外非点収差が小さく、真空度の高く、高輝度で安定性のよい小型SEMを実現できる
以上、本実施例によれば、穴径の小さなシボリを用いて電子線が照射されるシボリを含めた部品の高温加熱を行うような場合であっても、高輝度で安定な電子銃及び高分解能で安定な荷電粒子線装置を提供することができる。
以上、本願発明を詳細に説明したが、以下に主な発明の形態を列挙する。
(1)電子源とシボリと、シボリの保持具を備え、電子源とシボリの間に引出電圧を印加することで、電子源から電子線が放出する電子銃において、前記保持具はシボリを加熱する加熱機構を備え、前記保持具は、固定部と加熱機構との間に断熱部をもつことを特徴とする電子銃。
(2)前記電子銃において、前記断熱部が輪帯をもつ薄肉円筒構造であり、モリブデン、タングステン、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などの耐熱材料で構成されることを特徴とする電子銃。
(3)前記電子銃において、磁界レンズを備え、電子源が磁界レンズの磁場中に配置され、シボリと加熱機構が磁界レンズ内に配置され、保持具が磁界レンズに固定され、加熱機構が磁界レンズの磁極と接触しないことを特徴とする電子銃。
(4)電子源と磁界レンズとを備え、磁界レンズの磁場中に電子源が配置される磁界重畳型電子銃において、磁界レンズの磁極は複数の排気口を備え、排気口は磁界レンズの中心軸に対して対称な位置に配置され、排気口は前記磁界レンズの中心軸から半径方向に広がる開口をもつことを特徴とする電子銃。