JP6095232B2 - 撹拌装置 - Google Patents

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本発明は、練り餡、クリーム、ジャム、カレールー、ソース、スープ、煮物、炒め物などの各種食材を釜内で混合するための撹拌装置に関し、特に、釜の内側面上部付近に付着した食材の掻き取り機能を撹拌棒に追加することにより、その付着した食材の作業者による掻き取り作業を省略できるようにしたものである。
従来、この種の撹拌装置としては、例えば、特許文献1に記載された撹拌機が知られている。同文献の撹拌機は、主動軸(18)の回転に連動して、傾斜した従動軸(22)が自転しながら主動軸(18)周りに公転する構造になっている。
そして、従動軸(22)の先端にはジョイント(25)を介して図示しない撹拌棒が連結されており、この撹拌棒が従動軸(22)と一体に主動軸(18)周りに公転しながら自転することで、釜(20)内の食材は撹拌される。
しかしながら、特許文献1のような従来の撹拌機にあっては、前記のように公転・自転する撹拌棒で釜(20)内の食材を撹拌している。このため、例えば、練り餡のように水分を含んだ食材(練り餡の場合は粉末状の餡と砂糖と水分)を釜(20)内に投入し、それらを釜(20)の熱で加熱しながら撹拌棒で撹拌する場合は、投入した食材の一部が撹拌棒の自転・公転によって釜(20)の内側面上部方向に押し出されて付着し、付着した食材中の水分が蒸発することで、釜(20)の内側面上部付近に食材の一部が乾いて張り付くので、それを作業者がヘラ等で掻き取る面倒な作業が必要となる点で、使い勝手が悪い。
また、作業者の安全を第一に確保するとしたら、前記のようなヘラ等による掻き取り作業中は撹拌棒の公転と自転を停止すべきであり、そうすると、掻き取り作業中は撹拌棒による食材の撹拌と練り込みができないことから、撹拌機の稼動効率が低下するという問題点もある。
以上の説明において、カッコ内の符号は特許文献1で用いられている符号である。
特開2005−318983号公報
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、釜の内側面上部付近に付着した食材の掻き取り機能を撹拌棒に追加することにより、その付着した食材の作業者による掻き取り作業を省略でき、装置稼動効率を高めるのに好適な使い勝手のよい撹拌装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、モータにより回転駆動される主動軸と該主動軸に対して傾斜した従動軸とを備え、前記主動軸の回転に連動して前記従動軸が自転しながら前記主動軸周りに公転する構造の回転機構部と、前記従動軸に対して傾斜した状態で前記従動軸の先端部に連結された1本以上の撹拌棒と、前記撹拌棒が挿入されるとともに食材が投入される釜と、を備え、前記撹拌棒は、その先端に前記釜の内底面または内側面に当接可能な当接子を有し、この当接子から前記釜の内底面または内側面までの距離に応じて伸縮可能な構造、前記釜の内底面または内側面に向って伸びる方向にバネ力で付勢されている構造、および、前記従動軸の自転の角度に応じて前記釜の内側面を昇ったり降りたりする構造になっており、前記当接子は、その先端部が円弧面になっていて、その円弧面外周部は、前記撹拌棒の昇りと降りの折り返し点付近で前記釜の内側面上部に付着している食材との接触面積を拡大する手段として、傾斜した平面になっていることを特徴とする。
本発明では、主動軸が回転し始めると、従動軸と撹拌棒が主動軸周りに公転しながら自転する。このとき、従動軸の自転はその軸心周りに回転するだけの単純な回転運動であるが、撹拌棒の自転が鉛直方向に対して傾斜した円錐運動(従動軸上に頂点を持った円錐を描くような運動)になることで、撹拌棒は自転の角度に応じて釜の内側面を昇ったり降りたりする。
ところで、本発明によると、撹拌棒の当接子に前記傾斜面が設けられることにより、前記のような撹拌棒の昇りと降りの折返し点付近、すなわち、釜の内側面上部付近に付着している食材と撹拌棒先端の当接子との接触面積が増え、釜の内側面上部付近に付着している食材を撹拌棒で十分に掻き取ることが可能となる、つまり、釜の内側面上部付近に付着した食材の掻き取り機能を撹拌棒が備えるから、その付着した食材を作業者がヘラ等で掻き取る必要もなく、かかる掻き取り作業を省略することができる点で、使い勝手のよい撹拌装置を提供し得る。
また、本発明によると、前記のような撹拌棒の掻き取り動作は、その撹拌棒の公転・自転によって実行されるものであり、かつ、撹拌棒の公転・自転による食材の撹拌や練り込み動作と同時並列的に行なわれるものであるから、従来のように作業者の安全を確保する観点から掻き取り作業中に撹拌棒の公転と自転を停止する必要はなく、よって、装置稼動効率を高めるのに好適な撹拌装置を提供し得る。
本発明を適用した撹拌装置の全体図。 図1の撹拌装置における回転機構部付近の拡大断面図。 図1の撹拌装置における撹拌棒の一部破断図。 図1の撹拌装置における撹拌棒の動作説明図。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明を適用した撹拌装置の全体図、図2は図1の撹拌装置における回転機構部付近の拡大断面図、図3は図1の撹拌装置における撹拌棒の一部破断図、図4は図1の撹拌装置における撹拌棒の動作説明図である。
《撹拌装置の概要》
図1の撹拌装置Mは、ベース1上の支柱2に架台3を固定し、架台3上に回転機構部4を設置するとともに、ベース1上の支持脚5で釜6を揺動可能に支持し、その釜6と回転機構部4との間に1本以上の撹拌棒7(図1の例では7A、7B、7Cの3本)が配置されるように構成してある。
《回転機構部の詳細構成》
図2を参照すると、回転機構部4は、モータ8と、このモータ8により回転駆動される主動軸9と、該主動軸9に対して傾斜した従動軸10とを備え、主動軸9の回転に連動して従動軸10が自転しながら主動軸9周りに公転する構造になっている。
モータ8の出力軸8Aは鉛直方向に沿って配置されている。また、主動軸9は、モータ8を収容するモータケース11の下面側に位置し、かつ、モータ8の出力軸8Aと同様に鉛直方向に沿って配置してある。そして、モータ8により主動軸9を回転駆動する機構例として、図1の撹拌装置Mでは、主動軸9とモータ8の出力軸8Aとを同軸状に配置し、かつ、主動軸9の上端をモータ8の出力軸8Aに直結しているが、この機構例に限定されることはない。
前記のように傾斜した従動軸10を主動軸9回りに公転させる機構として、図1の撹拌装置Mでは、図2に示したように、傾斜した従動軸10をギヤケース12内に収容し、ギヤケース12を主動軸9の下端に一体に固定することで、ギヤケース12全体のうち従動軸10を収容した部分12Aが主動軸9の中心から横方向(水平方向)へオフセットした位置に配置されるように構成している。
前記のように傾斜した従動軸10を自転させる機構として、図1の撹拌装置Mでは、図2に示したように、傾斜した従動軸10をギヤケース12内のベアリング13で回転可能に支持し、支持した従動軸10の上端外周に遊星歯車14を取付けることで、従動軸10やギヤケース12と同様に遊星歯車14も主動軸9回りに公転する構成、及び、その遊星歯車14の公転軌道上(具体的には主動軸9の周囲)に太陽歯車15を設置し、太陽歯車15と遊星歯車14とが互いに噛み合うように設定するとともに、太陽歯車15が取付けスペーサ16を介してモータケース11の下面側に位置決め固定される構成を採用している。この構成では、従動軸10も遊星歯車14もギヤケース12と一緒に主動軸9回りに公転するが、太陽歯車15は固定されているので、公転する遊星歯車14が太陽歯車15上を転がることで、従動軸10は自転する。
《撹拌棒の詳細構成》
いずれの撹拌棒7(7A、7B、7C)も、従動軸10に対して傾斜した状態で従動軸10の先端部に連結されている。このため、それぞれの撹拌棒7は、従動軸10の公転と自転により、主動軸9周りに公転しながら自転する。
ところで、図1の撹拌装置Mでは、従動軸10の軸中心線から径方向に少しオフセットした位置で、撹拌棒7(7A、7B、7C)を従動軸10に連結しているので、前記のように傾斜した撹拌棒7の自転は、従動軸10上に頂点を持った円錐を描くような運動(以下「円錐運動」という)になる。また、前記のようなオフセットがない場合でも、従動軸10に対して撹拌棒7が傾斜していることにより、撹拌棒7の自転は円錐運動になる。さらに、主動軸9に対して従動軸10が傾斜していることにより、その撹拌棒7の自転による円錐運動は鉛直方向に対して傾斜したものとなるため、撹拌棒7は自転の角度に応じて釜6の内側面を登ったり降りたりするものである。
撹拌棒7(7A、7B、7C)と従動軸10を連結する手段として、図1の撹拌装置Mでは、撹拌棒7ごとにその傾斜角度を調整可能なジョイントJを採用しているため、撹拌棒7ごとに傾斜角度が異なるように設定することが可能である。
いずれの撹拌棒7(7A、7B、7C)も、その先端から釜6の内底面または内側面までの距離に応じて伸縮可能に設けられ、かつ、釜6の内底面または内側面に向って伸びる方向にコイルスプリング17(図3参照)のバネ力で付勢されている。
図3を参照すると、前記撹拌棒7(7A、7B、7C)は、所定長の芯棒71と、該芯棒71の先端側外周にスライド可能に取付けたスライド筒72と、該スライド筒72の先端に設けられていて釜6の内底面または内側面に当接する当接子73と、を備えた構成になっている。
そして、スライド筒72が釜6の内底面または内側面に向って前記コイルスプリング17のバネ力で付勢されていて、そのバネ力に抗してスライド筒72がスライドしたり、前記バネ力でスライド筒72が押し戻されたりすることにより、撹拌棒7(7A、7B、7C)は伸縮可能になっている。
図1の撹拌装置Mにおいては、3本の撹拌棒7(7A、7B、7C)のうち、撹拌棒7A先端(具体的にはスライド筒72の先端)の当接子73の具体的構成として、かかる撹拌棒7Aの当接子73は、その最先端部が円弧面73Aになっていて、その円弧面73A外周部は釜6の内側面上部に付着した食材との接触面積を拡大する手段として傾斜面73Bとした。
これにより、図1の撹拌装置Mでは、前記のように撹拌棒7Aが釜6の内側面を最大に登った地点、すなわち、図4に示したように、撹拌棒7Aの昇りと降りの折返し点RE付近において、釜6の内側面上部付近に付着している食材Pと当接子73との接触面積が増え、釜6の内側面上部に付着している食材Pを撹拌棒7Aで十分に掻き取ることが可能となる。前記のような傾斜面73Bの採用により接触面積が増えるのは、図3及び図4に示したように、傾斜面73Bが円弧面73Aのような頂点を持たない平面で構成されるからである。他の撹拌棒7B、7Cの当接子73にも同様の傾斜面73Bを設けることが可能である。
図1の撹拌装置Mでは、前記の通り、撹拌棒7ごとにその傾斜角度を調整可能なジョイントJを採用しているため、ジョイントJにおいて例えば撹拌棒7Aのみの傾斜角度を調整することで、前記のような撹拌棒7Aの昇りと降りの折返し点REだけを高く設定したり低く設定したりすること(折り返し点REの高さ調整)が可能である。
《釜の簡単な説明》
釜6には前記撹拌棒7が挿入されるとともに食材(図示省略)が投入される。また、この釜6は、2枚の鉄板6A、6Bからなる二重鉄板構造になっていて、その鉄板6A、6B間の隙間に蒸気供給管19からの蒸気が供給されることで、釜6内で食材を加熱できるように構成してある。
《その他の構成》
図1の撹拌装置Mは、装置起動ボタンなどの各種操作ボタンを備えたコントロールボックスCB内に、図示しない回転方向変更手段を有している。この回転方向変更手段は、主動軸9を正回転(例えば右回り)から逆回転(例えば左回り)または逆回転から正回転に切替えることで、従動軸10および撹拌棒7の自転と公転の方向を正回転から逆回転に変更できるように構成してある。
特に、図1の撹拌装置Mでは、前述の通り、主動軸9の回転駆動原としてモータ8を採用しているため、先に説明したコントロールボックスCB内の回転方向変更手段は、モータ8の回転方向を電気的に変更することにより、正回転から逆回転や逆回転から正回転への主動軸9の回転方向の切換え、および、それによる従動軸10と撹拌棒7の回転方向の変更(正回転から逆回転または逆回転から正回転)を可能としている。
前記コントロールボックスCB内には、先に説明した回転方向変更手段のほか、主動軸9の回転数を設定し、設定した回転数で主動軸9を回転させる、および、シーケンス制御によって主動軸9の正回転と逆回転が所定間隔で繰り返し行なわれるようにする等、主動軸9の回転に関する各種の制御手段を備えている。
《撹拌装置の動作説明》
次に、以上のように構成された図1の撹拌装置Mの動作について図3、図4を参照して説明する。
食材の一例として練り餡を図1の撹拌装置Mで作製する場合は、蒸気供給管19からの蒸気で釜6を加熱し、粉末状の餡と砂糖と水分を加熱された釜6に投入する。そして、コントロールボックスCBのタッチパネル等を操作することで、モータ8を起動し、主動軸9を回転させる。
前記のようにして主動軸9が回転し始めると、従動軸10と撹拌棒7(7A、7B、7C)が主動軸9周りに公転しながら自転する。このとき、従動軸10の自転はその軸心周りに回転するだけの単純な回転運動であるが、撹拌棒7の自転は前述のように鉛直方向に対して傾斜した円錐運動になることで、撹拌棒7は自転の角度に応じて釜6の内側面を図4のように昇ったり図3のように降りたりする。
前記のような撹拌棒7の昇降動作に伴い、撹拌棒7の先端から釜6の内底面や内側面までの距離は撹拌棒7の自転の角度に応じて変化する。この距離の変化は撹拌棒7の伸縮によって吸収されるから、撹拌棒7先端の当接子73が釜6の内底面や内側面から離れることはない。
図1の撹拌装置Mにおいても、釜6内に投入した食材(本動作説明では餡と砂糖と水分の混合物)の一部が撹拌棒7B、7Cの自転・公転によって釜6の内側面上部方向に押し出されて付着し、付着した食材中の水分が蒸発することによって、釜6の内側面上部付近に食材の一部が乾いて張り付く可能性がある。しかしながら、そのような釜6の内側面上部付近に付着している食材Pは、その水分が蒸発する前に(または水分の蒸発後でも)、釜6の内側面を摺動する撹拌棒7A先端の当接子73で掻き取られる。
すなわち、図1の撹拌装置においては、前述の通り、3本の撹拌棒7(7A、7B、7C)のうち、1本の撹拌棒7Aの当接子73に傾斜面73Bを設けることで、撹拌棒7Aが釜6の内側面を最大に昇った地点、すなわち、撹拌棒7Aの昇りと降りの折返し点RE付近において、釜6の内側面上部付近に付着している食材Pと当接子73との接触面積が増え、釜6の内側面上部に付着している食材Pを撹拌棒7Aで十分に掻き取ることが可能となるので、釜6の内側面上部付近に乾いて貼り付いた食材が残ることはなく、そのような食材をヘラ等で作業者が掻き取る必要もない。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
1 ベース
2 支柱
3 架台
4 回転機構部
5 支持脚
6 釜
6A、6B 鉄板
7(7A、7B、7C) 撹拌棒
8 モータ
8A モータの出力軸
9 主動軸
10 従動軸
11 モータケース
12 ギヤケース
13 ベアリング
14 遊星歯車
15 太陽歯車
16 取付けスペーサ
17 コイルスプリング
19 蒸気供給管
71 芯棒
72 スライド筒
73 当接子
73A 円弧面
73B 傾斜面
CB コントロールボックス
J ジョイント
M 撹拌装置
P 釜の内側面上部に付着している食材
RE 撹拌棒の昇りと降りの折返し点

Claims (1)

  1. モータにより回転駆動される主動軸と該主動軸に対して傾斜した従動軸とを備え、前記主動軸の回転に連動して前記従動軸が自転しながら前記主動軸周りに公転する構造の回転機構部と、
    前記従動軸に対して傾斜した状態で前記従動軸の先端部に連結された1本以上の撹拌棒と、
    前記撹拌棒が挿入されるとともに食材が投入される釜と、を備え、
    前記撹拌棒は、その先端に前記釜の内底面または内側面に当接可能な当接子を有し、この当接子から前記釜の内底面または内側面までの距離に応じて伸縮可能な構造、前記釜の内底面または内側面に向って伸びる方向にバネ力で付勢されている構造、および、前記従動軸の自転の角度に応じて前記釜の内側面を昇ったり降りたりする構造になっており、前記当接子は、その先端部が円弧面になっていて、その円弧面外周部は、前記撹拌棒の昇りと降りの折り返し点付近で前記釜の内側面上部に付着している食材との接触面積を拡大する手段として、傾斜した平面になっていること
    を特徴とする撹拌装置。
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