JP6094422B2 - 温度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、光の透過率が高く、透明な部分等に設置可能な温度センサに関する。
従来、温度センサとしてサーミスタ薄膜を使用した薄型の温度センサが知られている。例えば、特許文献1では、希土類遷移金属酸化物からなるNTCサーミスタ薄膜を用いたサーミスタ素子が記載されている。このサーミスタ素子では、アルミナ基板上に、ペロブスカイト型結晶構造のランタンコバルト酸化物のサーミスタ薄膜と、Ni若しくはNi及びCu等の薄膜電極とが形成されている。
また、特許文献2では、ポリイミドフィルム上に、Ta−Al複合窒化物材料で形成された薄膜のセンサ感応部と、Ni及びCuの電極とを有した熱伝導式水分計が記載されている。
特開2000−348911号公報 特開2011−85568号公報 特開2004−319737号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
例えば、ガラス(例えば車のフロントガラス)やフィルム等の透明な部材や、ソーラーパネルのように太陽光を受光する面等の温度を測定する際、その部分に温度センサを直接設置すると温度センサによって光が遮られてしまい測定対象の機能等に影響を与えてしまう問題があった。上記従来の薄膜サーミスタを用いたセンサでは、薄膜サーミスタの光の透過率が低く、上記用途に用いると採光等に支障が出て、弊害が生じる場合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、光の透過率が高く、透明な部分等に設置可能な温度センサを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、透明基板と、前記透明基板の表面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、前記薄膜サーミスタ部の上及び下の少なくとも一方に互いに対向してパターン形成された一対の電極とを備え、前記電極が、透明電極で形成され、前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、基板面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向していることを特徴とする。
この温度センサでは、電極が、透明電極で形成され、薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、基板面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向しているので、光の透過率の高い薄膜サーミスタ部と透明電極とが透明基板に形成されていることで、全体として高い透過率が得られる。
なお、一般に、温度センサ等に使用されるサーミスタ材料は、高精度、高感度のために、高いB定数が求められている。従来、このようなサーミスタ材料には、Mn,Co,Fe等の遷移金属酸化物が一般的である。また、これらのサーミスタ材料では、安定なサーミスタ特性を得るために、600℃以上の焼成が必要である。
また、上記のような金属酸化物からなるサーミスタ材料の他に、例えば特許文献3では、一般式:M(但し、MはTa,Nb,Cr,Ti及びZrの少なくとも1種、AはAl,Si及びBの少なくとも1種を示す。0.1≦x≦0.8、0<y≦0.6、0.1≦z≦0.8、x+y+z=1)で示される窒化物からなるサーミスタ用材料が提案されている。また、この特許文献3では、Ta−Al−N系材料で、0.5≦x≦0.8、0.1≦y≦0.5、0.2≦z≦0.7、x+y+z=1としたものだけが実施例として記載されている。このTa−Al−N系材料では、上記元素を含む材料をターゲットとして用い、窒素ガス含有雰囲気中でスパッタリングを行って作製されている。また、必要に応じて、得られた薄膜を350〜600℃で熱処理を行っている。
近年、樹脂フィルム上にサーミスタ材料を形成したフィルム型サーミスタセンサの開発が検討されており、フィルムに直接成膜できるサーミスタ材料の開発が望まれている。すなわち、フィルムを用いることで、フレキシブルなサーミスタセンサが得られることが期待される。さらに、0.1mm程度の厚さを持つ非常に薄いサーミスタセンサの開発が望まれているが、従来はアルミナ等のセラミックス材料を用いた基板材料がしばしば用いられ、例えば、厚さ0.1mmへと薄くすると非常に脆く壊れやすい等の問題があったが、フィルムを用いることで非常に薄いサーミスタセンサが得られることが期待される。
従来、TiAlNからなる窒化物系サーミスタを形成した温度センサでは、フィルム上にTiAlNからなるサーミスタ材料層と電極とを積層して形成する場合、サーミスタ材料層上にAu等の電極層を成膜し、複数の櫛部を有した櫛型にパターニングしている。しかし、このサーミスタ材料層は、曲率半径が大きく緩やかに曲げられた場合には、クラックが生じ難く抵抗値等の電気特性に変化がないが、曲率半径が小さくきつく曲げた場合に、クラックが発生し易くなり、抵抗値等が大きく変化して電気特性の信頼性が低くなってしまう。特に、フィルムを櫛部の延在方向に直交する方向に小さい曲率半径できつく曲げた場合、櫛部の延在方向に曲げた場合に比べて櫛型電極とサーミスタ材料層との応力差により、電極エッジ付近にクラックが発生し易くなり、電気特性の信頼性が低下してしまう不都合があった。
また、樹脂材料で構成されるフィルムは、一般的に耐熱温度が150℃以下と低く、比較的耐熱温度の高い材料として知られるポリイミドでも300℃程度の耐熱性しかないため、サーミスタ材料の形成工程において熱処理が加わる場合は、適用が困難であった。上記従来の酸化物サーミスタ材料では、所望のサーミスタ特性を実現するために600℃以上の焼成が必要であり、フィルムに直接成膜したフィルム型サーミスタセンサを実現できないという問題点があった。そのため、非焼成で直接成膜できるサーミスタ材料の開発が望まれているが、上記特許文献3に記載のサーミスタ材料でも、所望のサーミスタ特性を得るために、必要に応じて、得られた薄膜を350〜600℃で熱処理する必要があった。また、このサーミスタ材料では、Ta−Al−N系材料の実施例において、B定数:500〜3000K程度の材料が得られているが、耐熱性に関する記述がなく、窒化物系材料の熱的信頼性が不明であった。
本発明者らは、窒化物材料の中でもAlN系に着目し、鋭意、研究を進めたところ、絶縁体であるAlNは、最適なサーミスタ特性(B定数:1000〜6000K程度)を得ることが難しいが、Alサイトの電気伝導を向上させる特定の金属元素で置換すると共に、特定の結晶構造とすることで、非焼成で良好なB定数と耐熱性と高い透過率とが得られることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。さらに、c軸に強く配向した結晶構造を有していることで、可視光域で50%以上の高い透過性が得られる。
なお、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.70未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、NaCl型相との共存相又はNaCl型相のみの相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。さらに、c軸に強く配向しているウルツ鉱型の単相の場合、上記「y/(x+y)」が0.85未満であると、透過率が低くなってしまう。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.95をこえると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の正しい化学量論比は、N/(Ti+Al+N)=0.5であることに起因する。
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記透明基板が、絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、透明基板が、絶縁性フィルムであるので、上述したように、薄膜サーミスタ部が非焼成で絶縁性フィルム上に成膜可能であり、薄くフレキシブルなフィルム型センサを得ることができる。
第3の発明に係る温度センサは、第1又は第2の発明において、前記透明電極が、ITO又はIGZOで形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、透明電極が、ITO(スズがドープされた酸化インジウム)、IGZO(インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を含む酸化物In−Ga−ZnO)、AZO(Alがドープされた酸化亜鉛)又はGZO(Gaがドープされた酸化亜鉛)で形成されているので、生産性に優れ、電極として良好な低抵抗と光の透過率とを得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、電極が、透明電極で形成され、電極が、透明電極で形成され、薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、基板面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向しているので、光の透過率の高い薄膜サーミスタ部と透明電極とが透明基板に形成されていることで、全体として柔軟で高い透過率が得られる。
したがって、本発明の温度センサによれば、採光が必要な用途において設置によって光を遮らずに高い透過率で透過させることができ、例えば車のフロントガラスやソーラーパネルの受光面などにおいても採光に影響を与えずに温度の測定が可能になる。また、透明基板を絶縁性フィルムとすることで、設置部分が曲面で構成されていても、フレキシブルに湾曲可能であるため、容易に密着させて設置可能である。
本発明に係る温度センサの一実施形態を示す平面図及びA−A線断面図である。 本実施形態において、薄膜サーミスタ部に使用するサーミスタ用金属窒化物材料の組成範囲を示すTi−Al−N系3元系相図である。 本実施形態において、薄膜サーミスタ部形成工程を示す平面図及びB−B線断面図である。 本実施形態において、電極形成工程を示す平面図及びC−C線断面図である。 熱酸化膜付きSi基板上に、Al比85%でc軸配向の強いサーミスタ膜を形成した実施例(a)と、Al比80%でc軸配向の強いサーミスタ膜を形成した比較例(b)とにおけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 熱酸化膜付きSi基板上に、Al比90%でc軸配向の強いサーミスタ膜を形成した実施例(a)と、Al比60%でNaCl型のサーミスタ膜を形成した比較例とにおけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 Al比60%でNaCl型のサーミスタ膜を形成した比較例(a)と、Al比80%でc軸配向の強いサーミスタ膜を形成した比較例(b)について、波長と透過率との関係を示すグラフである。 Al比85%でc軸配向の強いサーミスタ膜を形成した実施例(a)と、Al比90%でc軸配向の強いサーミスタ膜を形成した実施例(b)について、波長と透過率との関係を示すグラフである。 本発明に係る温度センサの実施例及び比較例について、サーミスタ膜の合金組成(Al比)と透過率との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る温度センサにおける一実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態の温度センサ1は、図1に示すように、透明基板2と、透明基板2の表面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部3と、薄膜サーミスタ部3の上に互いに対向してパターン形成された一対の電極4とを備えている。
上記電極4は、透明電極で形成され、特に、透明電極は、ITO(スズがドープされた酸化インジウム)、IGZO(インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を含む酸化物In−Ga−ZnO)、AZO(Alがドープされた酸化亜鉛)又はGZO(Gaがドープされた酸化亜鉛)でパターン形成されていることが好ましい。
なお、上記透明基板2及び透明電極は、いずれも可視光域(波長λ=400〜830nm)において少なくとも50%以上の透過率が得られる透明な材料で形成されたものである。
上記薄膜サーミスタ部3は、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、基板面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向している。すなわち、この薄膜サーミスタ部3は、図2に示すように、Ti−Al−N系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
なお、上記点A,B,C,Dの各組成比(x、y、z)(atm%)は、A(7.5、42.5、50),B(2.5、47.5、50),C(3、57、40),D(9、51、40)である。
また、この薄膜サーミスタ部3は、例えば膜厚100〜1000nmの膜状に形成され、基板面に対して垂直方向に延在している柱状結晶である。
なお、基板面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べることで、(100)(a軸配向を示すミラー指数)と(002)(c軸配向を示すミラー指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満であることで、c軸配向が強いものとする。
この薄膜サーミスタ部3は、特に可視光域(波長λ=400〜830nm)において膜単体において透過率が50%以上であると共に、1500K以上のB定数(25〜50℃)が得られる材料である。
上記透明基板2は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の絶縁性フィルムである。なお、絶縁性フィルムとしては、PETフィルムの他に、ポリイミド樹脂シート,PEN(ポリエチレンナフタレート)等でも構わない。また、透明基板としては、例えばガラス基板等も採用可能である。
上記電極4は、互いに対向状態に配した櫛形パターンの一対の櫛部4aと、これら櫛部4aに先端部が接続され基端部が透明基板2の端部に配されて延在した一対の直線延在部4bとを有している。
また、一対の直線延在部4bの基端部上には、リード線の引き出し部としてAuめっき等のめっき部4cが形成されている。このめっき部4cには、リード線の一端が半田材等で接合される。さらに、めっき部4cを含む透明基板2の端部を除いて該透明基板2上に透明な樹脂の保護膜5が加圧接着又は印刷されている。
上記薄膜サーミスタ部3の製造方法及びこれを用いた温度センサ1の製造方法について、図3及び図4を参照して以下に説明する。
具体的な製造方法の例としては、図3に示すように、まず厚さ100μmのPETフィルムである絶縁性フィルムの透明基板2上に、Ti−Al合金スパッタリングターゲット及びメタルマスクを用いて、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、TiAlのサーミスタ膜を膜厚100nmで形成する。その時のスパッタ条件は、到達真空度3.8×10−5Pa、スパッタガス圧0.17Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を31%で作製する。
次に、薄膜サーミスタ部3及び透明基板2上に、スパッタ法にて、電極層としてITO膜を膜厚20nm形成する。さらに、メタルマスクで必要な場所のみにAu膜(めっき部4c)を膜厚100nmで形成する。
次に、成膜した電極層の上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒のプリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のITOエッチャントでウェットエッチングを行い、図4に示すように、レジスト剥離にて櫛部4aを有する所望の電極4を形成する。
さらに、図1に示すように、その上に保護膜5として透明なカバーレイフィルムを接着することで、温度センサ1が作製される。
なお、複数の温度センサ1を同時に作製する場合、透明基板2となる絶縁性フィルムの大判シートに複数の薄膜サーミスタ部3、電極4及び保護膜5を上述のように形成した後に、大判シ−トから各温度センサ1に切断する。
このように本実施形態の温度センサ1では、電極4が、透明電極で形成され、薄膜サーミスタ部3が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、基板面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向しているので、光の透過率の高い薄膜サーミスタ部3と透明電極4とが透明基板2に形成されていることで、全体として柔軟で高い透過率が得られる。
また、透明電極4が、ITO、IGZO、AZO又はGZOで形成されているので、生産性に優れ、電極として良好な低抵抗と光の透過率とを得ることができる。
また、薄膜サーミスタ部3が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。さらに、c軸に強く配向した結晶構造を有していることで、可視光域で50%以上の高い透過性が得られる。
また、薄膜サーミスタ部3は、基板面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
なお、本実施形態のサーミスタ材料層(薄膜サーミスタ部3)の製造方法では、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記TiAlNからなる上記金属窒化物材料を非焼成で成膜することができる。
したがって、透明基板2として絶縁性フィルム上に上記サーミスタ材料層で薄膜サーミスタ部3を形成することで、非焼成で形成され高B定数で耐熱性の高い薄膜サーミスタ部3により、耐熱性の低い絶縁性フィルムを用いることができると共に、良好なサーミスタ特性を有した薄型でフレキシブルかつ透明なサーミスタセンサを得ることも可能である。
次に、本発明に係る温度センサについて、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図5から図9を参照して具体的に説明する。
まず、反応性スパッタ法にて、様々な組成比のTi−Al合金ターゲットを用いて、評価用の厚さ500μmのガラス基板上に、表1に示す組成比(Al比)、膜厚、スパッタ条件及び配向性でそれぞれ形成された金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部を形成した。その時のスパッタ条件は、到達真空度:3.8×10−5Pa、スパッタガス圧:0.17Pa、ターゲット投入電力(出力):200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を31%として作製した。
次に、上記薄膜サーミスタ部3の上に、上述した方法で透明電極4となるITO膜を膜厚20nmで所望の領域にパターン形成し、さらに、所望の領域にAu膜を膜厚100nmでメタルマスク用いて形成して電極4を形成した。
このように形成した実施例について、それぞれ透過率、B定数及び屈曲試験の評価を行った結果を表1,2に示す。
なお、比較としてTiAlの組成比が本発明の範囲外の比較例についても同様に作製して評価を行った。
(1)組成分析
反応性スパッタ法にて得られた上記薄膜サーミスタ部のTiAl膜は、電子線マイクロアナライザー(EPMA)にて元素、定量分析を実施した。その結果を、Al比(Al/(Ti+Al)[%])として算出し、表1に示す。
(2)比抵抗測定
反応性スパッタ法にて得られた上記薄膜サーミスタ部のTiAl膜を、4端子法にて25℃での比抵抗を測定した。
(3)B定数測定
温度センサの25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。
なお、本発明におけるB定数算出方法は、上述したように25℃と50℃とのそれぞれの抵抗値から以下の式によって求めている。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
なお、TiAlの組成比が図2に示す3元系の三角図において、点A,B,C,Dで囲まれる領域内、すなわち、「0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1」となる領域内の実施例全てで、抵抗率:100Ωcm以上、B定数:1500K以上のサーミスタ特性が達成されている。
(4)薄膜X線回折(結晶相の同定)
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部のTiAl膜を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=30〜80度の範囲で測定した。
この結果、本発明の実施例はいずれもウルツ鉱型(六方晶、AlNと同じ相)の単一相であった。
なお、Al/(Ti+Al)≧0.7の領域においては、ウルツ鉱型相(六方晶、AlNと同じ相)であり、Al/(Ti+Al)<0.65の領域においては、NaCl型相(立方晶、TiNと同じ相)である。また、0.65< Al/(Ti+Al)<0.7においては、ウルツ鉱型相とNaCl型相との共存する結晶相である。
このようにTiAlN系においては、高抵抗かつ高B定数の領域は、Al/(Ti+Al)≧0.7のウルツ鉱型相に存在している。なお、本発明の実施例では、不純物相は確認されておらず、ウルツ鉱型の単一相である。
また、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、同様にウルツ鉱型相の単一相が形成されていることを確認している。また、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、配向性は変わらないことを確認している。
なお、熱酸化膜付きSi基板上に薄膜サーミスタ部を形成した場合において、Al比が85%でc軸に強く配向したものとAl比が80%でc軸に強く配向したものとのXRDプロファイルの一例を、図5の(a)(b)に示す。これらの結果からわかるように、c軸に強く配向している本発明の実施例では、(100)よりも(002)の強度が非常に強くなっている。
また、Al比が90%でc軸に強く配向したものとNaCl型のものとのXRDプロファイルの一例を、図6の(a)(b)に示す。
(5)分光光度測定
ガラス基板上に反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部と電極膜とが成膜された状態で透過率を測定した。その結果を表1に示す。なお、透過率は、可視光域(波長:400〜830nm)において平均した透過率値であり、薄膜サーミスタ部単体(表1で「サーミスタ単体」と表示)と、薄膜サーミスタ部上にITO膜を形成した状態(表1で「サーミスタ+ITO」と表示)とのそれぞれについて透過率を測定した。なお、薄膜サーミスタ部単体の透過率は、成膜後の透過率を成膜前の透過率で割って算出した。
なお、Al比が60%でNaCl型の薄膜サーミスタ部を形成した比較例(a)と、Al比が80%でc軸に強く配向した薄膜サーミスタ部を形成した比較例(b)とについて、波長に対する透過率のグラフを図7に示す。また、Al比が85%でc軸に強く配向した薄膜サーミスタ部を形成した実施例(a)と、Al比が90%でc軸に強く配向した薄膜サーミスタ部を形成した実施例(b)とについて、波長に対する透過率のグラフを図8に示す。なお、これらの薄膜サーミスタ部の膜厚は、いずれも100nmとした。
<配向性比較>
次に、配向性について、薄膜サーミスタ部においてa軸に強く配向したものとc軸に強く配向したものとで、それぞれAl比を替えて透過率を測定したものを表2に示す。なお、薄膜サーミスタ部単体は、表2で「サーミスタ膜単体」と表示し、薄膜サーミスタ部上にITO膜を形成した状態は、表2で「ITO+サーミスタ」)と表示している。また、Al比と透過率(サーミスタ膜単体)との関係を、c軸に強く配向した実施例とa軸に配向した比較例とのそれぞれについて、図9に示す。
これらの結果からAl比が85%以上かつc軸に強く配向した本発明の実施例は、いずれも薄膜サーミスタ部単体の透過率が膜厚100nmで50%以上であった。
<結晶形態の評価>
本発明の実施例はいずれも高密度な柱状結晶で形成されている。すなわち、基板面に垂直な方向に柱状の結晶が成長している様子が、薄膜サーミスタ部を成膜した熱酸化膜付きSi基板をへき開破断して断面を観察したSEM写真で確認されている。
<膜の耐熱試験評価>
本発明の実施例について、大気中,125℃,1000hの耐熱試験前後における抵抗値及びB定数を評価した。その結果、Al濃度及び窒素濃度は異なるものの、Ta−Al−N系である比較例と同じB定数で比較したとき、耐熱試験前後における電気特性変化でみたときの耐熱性は、Ti−Al−N系のほうが優れている。なお、この耐熱性評価では、薄膜サーミスタ自体の評価を行うために、透明電極ではなく、Cr膜とAu膜との積層膜を便宜的に電極とした実施例で行った。
例えば、Al比が85%の本発明の実施例では、耐熱試験の結果、B定数の変化率は0.2%であり、抵抗値の変化率は−0.5%であった。
なお、Ta−Al−N系材料では、Taのイオン半径がTiやAlに比べて非常に大きいため、高濃度Al領域でウルツ鉱型相を作製することができない。TaAlN系がウルツ鉱型相でないがゆえ、ウルツ鉱型相のTi−Al−N系の方が、耐熱性が良好であると考えられる。
<屈曲試験>
上記実施形態に基づいて絶縁性フィルム(PETフィルム)を用いて作製した温度センサに対して、薄膜サーミスタ部を半径6mm(R3mm)の曲率で凹と凸とに交互に100回ずつ屈曲試験を行い、試験の前後で電気抵抗の測定を行なった。その結果を表1に示す。この結果、本発明の実施例は、いずれもクラックが発生しなかったと共に、抵抗値変化率が0.3%と小さく、B定数の変化率も0.2%と非常に小さかった。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…温度センサ、2…透明基板、3…薄膜サーミスタ部、4…電極

Claims (3)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板の表面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、
    前記薄膜サーミスタ部の上及び下の少なくとも一方に互いに対向してパターン形成された一対の電極とを備え、
    前記電極が、透明電極で形成され、
    前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.85≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、基板面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向していることを特徴とする温度センサ。
  2. 請求項1に記載の温度センサにおいて、
    前記透明基板が、絶縁性フィルムであることを特徴とする温度センサ。
  3. 請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
    前記透明電極が、ITO、IGZO、AZO又はGZOで形成されていることを特徴とする温度センサ。
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