JP6090833B2 - AlNウィスカー及びAlNウィスカーの製造方法 - Google Patents

AlNウィスカー及びAlNウィスカーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、AlNウィスカー及びAlNウィスカーを製造する方法に関する。
AlN(窒化アルミニウム)ウィスカーは、熱伝導率が高く、絶縁性に優れている特性を有する。AlNウィスカーを製造する方法として、特許文献1には、アルミナ及びカーボンブラックを原材料とし、遷移金属化合物を成長活性剤として用い、アルミナを遷移金属化合物と混和した後に、カーボンブラックを均質混合し、その混合物を黒鉛坩堝の容器に填め、1650から1850[℃]の範囲で窒素ガスと反応させる方法が開示されている。又、特許文献2には、一定の形状及びアスペクト比(例えば3以上)を有するアルミナを炭素源と混合し、その混合物を還元窒化法により窒化し、一定の形状及びアスペクト比を維持したAlNウィスカーを製造する方法が開示されている。
特開昭62−283900号公報 特開2010−138056号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では以下の2つの課題がある。1つ目は、AlNウィスカー以外に粒状AlNを生成し、AlNウィスカーの生成効率が悪いことである。AlNウィスカーのみが必要な場合には、粒状AlNの除去が必要となる。2つ目は、カーボンブラックを原材料として用いるので、AlNウィスカーに炭素が不純物として混入し、AlNウィスカーの絶縁性が劣り、この混入した炭素を除去する処理が必要となることである。又、特許文献2に開示されている方法では以下の2つの課題がある。1つ目は、所定のアスペクト比を有するアルミナを予め用意しておく必要があり、高いアスペクト比を有するAlNウィスカーを製造する場合には、高いアスペクト比を有するアルミナを予め用意しておく必要があることである。2つ目は、炭素源を除去する処理が必要となることである。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高いアスペクト比を有するアルミナを予め用意することなく製造可能な高いアスペクト比を有するAlNウィスカーを提供することにある。又、粒状AlNの生成を抑制することで、AlNウィスカーの生成効率を高めると共に、AlNウィスカーに炭素が混入する可能性を低減することで、炭素を除去する処理を不要とすることができるAlNウィスカーの製造方法を提供することにある。
請求項1に記載したAlNウィスカーによれば、Alを原材料とし、窒素雰囲気下で加熱温度を1500から1800℃の範囲としてSi及びTiを成長活性剤として成長させた。これにより、AlNウィスカーの成長が成長活性剤であるSi及びTiにより促進されることで、高いアスペクト比を有するAlNウィスカーを実現することができる。この場合、高いアスペクト比を有するアルミナを予め用意する必要はない。又、Si及びTiの量を最終生成物であるAlNウィスカーの特性に悪影響を及ぼさない程度の微量とすることで、AlNウィスカーにおけるSi及びTiの含有量を微量に抑えることができ、高品質とすることができる。
請求項に記載したAlNウィスカーの製造方法によれば、Alを原材料として含みTi及びSiを成長活性剤として含む材料を容器内に配置し、前記材料を加熱して溶液とし、窒素雰囲気下で加熱温度を1500から1800℃の範囲としてAlNウィスカーを成長させ、AlNウィスカーを製造するようにした。Al−Ti−Siの組成により、粒状AlNの生成を抑制し、AlNウィスカーを優先して成長させることができ、AlNウィスカーの生成効率を高めることができる。即ち、生成されるAlNは、殆どがウィスカー状のものであり粒状のものが含まれ難い。又、カーボンブラックを原材料として用いないので、AlNウィスカーが成長する際に炭素が不純物として混入する可能性を低減することができ、炭素を除去する処理を不要とすることができる。ここでいうAlNウィスカーとは、例えば直径が0.1〜50[μm]で長さが数[μm]〜数[cm]のサイズを有する事実上無傷の(表面に凹凸がなく表面が滑らかな)糸状単結晶や、枝分かれした糸状結晶、複合した糸状結晶も含む生成物を意味する。
本発明の一実施形態を示すもので、AlNウィスカーの製造装置を示す図 温度勾配を示す図 XRDの分析結果を示す図 AlNウィスカーの成長の過程を模式的に示す図 AlNウィスカーの生成量を示す図 AlNウィスカーを撮像した画像を示す図 走査型電子顕微鏡により撮像した画像を示す図 図7相当図 図7相当図 図7相当図 図7相当図 図6相当図 図6相当図 断面SEM像を示す図 点分析結果を示す図 Siのモル比とAlNウィスカーにおけるSiの含有量との関係を示す図 分析断面の箇所を示す図 図14相当図 面分析結果を示す図 図14相当図 図15相当図 GD−MSによる微量元素の分析結果を示す図 AlNウィスカーが樹脂組成物に混合された態様を示す図
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、AlNウィスカー(AlNファイバー)の製造装置1は、横型の成長炉2であり、円筒状の石英管3と、石英管3の周囲に配置された加熱用の高周波コイル4とを有する。石英管3の内部には、カーボンヒーター5と、石英管3とカーボンヒーター5とを隔離するインシュレータ6とが配置されている。カーボンヒーター5にはアルミナボート(アルミナの容器)7が配置可能になっている。アルミナボート7には凹部7aが形成されている。又、石英管3の内部にはアルゴンガス(Ar)や窒素ガス(N)がガス管8から流入されるようになっている。本実施形態では、アルミナボート7を使用しているが、カーボンボート(黒鉛ボート)を用いても良い。即ち、黒鉛ボートの分解温度は約3600℃であり、AlNウィスカーの成長温度である1700℃付近では分解・蒸発する炭素量が極めて少なく、AlNウィスカーが成長する過程において炭素が含有したとしても、その含有量は極めて微量である。
このように構成されたAlNウィスカーの製造装置1を用い、AlNウィスカーを成長させる方法について説明する。最初に、アルミナボート7の凹部7aに、Al−Ti−Siを主成分とする材料(合金)を配置し、Al−Ti−Siを主成分とする材料を配置したアルミナボート7をカーボンヒーター5の所定位置に配置する。次に、石英管3の内部(炉内)を所定圧力まで(例えば10−2[Torr]以下まで)真空引きした後に、アルゴンガス(非酸化ガス)をガス管8から炉内に流しながら炉内の温度を1700[℃]まで昇温させる。この際、炉内を真空にせずに炉内の温度を1700[℃]まで昇温させても良い。このとき、Al−Ti−Siを主成分とする材料は溶解して溶液9となる(図1参照)。尚、本実施形態では、炉内の温度を1700[℃]まで昇温させたが、AlNウィスカーが成長する温度まで昇温させれば良く、1500から1800[℃]の範囲まで昇温させれば良い。
次に、炉内の温度が1700[℃]まで達した後に、炉内に流すガスをアルゴンガスから窒素ガスに切換え、窒素ガスをガス管8から例えば1[L/min]の流量で炉内に流して常圧の窒素雰囲気を形成する。本実施形態では、常圧の窒素雰囲気を形成するが、減圧下又は加圧下としても良い。尚、窒素ガスを流す方向は溶液9の液面に対して例えば平行方向とする。ここでいう平行とは、窒素ガスが溶液9の液面に沿って一端側(図1では右側)から他端側(図1では左側)に向かって流れることを意味する。窒素ガスを炉内に流してから炉内の温度を1700[℃]で所定時間(例えば15分以上)保持し、AlNウィスカーを成長させる。このとき、Al−Ti−Siを主成分とする溶液9中のSiは、Alと窒素ガスとの反応(AlNの核の成長)を促進させ、AlNウィスカーの成長を促進させるように作用する。又、Al−Ti−Siを主成分とする溶液9中のTiは、窒素ガスが溶液9中に取り込まれるように作用する。そして、AlNウィスカーを成長させた後に常温まで冷却し、成長したAlNウィスカーをアルミナボート7から取出す。これらの手順はAlNウィスカーの成長において、絶対的なものではない。例えばアルゴンガスから窒素ガスへの切換え、窒素ガスの使用、Al−Ti−Siを主成分とする材料の配置は常温から行っても良い。
上記した条件下では、図6から図11に示すように、アルミナボート7の内側の壁面上及びAl−Ti−Siを成分とする溶液9の液面上でAlNウィスカーの成長を観察することができた。尚、図6から図11は異なるサンプルの画像も含む。この場合、本発明で定義するAlNウィスカーは、直径(断面の幅)が0.1〜50[μm]で、且つ長さが1[μm]〜数[cm]のサイズを有する事実上無傷の(表面に凹凸がなく表面が滑らかな)糸状単結晶や、例えば枝分かれした糸状結晶、複合した糸状結晶も含む生成物を意味する。図6から図11から明らかなように、AlNは殆どがウィスカー状のものであり粒状のものが含まれていない。これはAl−Ti−Siの組成が原因となって実現されるものである。このようにして製造したAlNウィスカーは、例えば樹脂や油脂に混合されて熱伝導率及び絶縁性が高い複合部材として用いられたり、例えばアルミニウム材料等の金属材料と混合されて強度部材として用いられたりする。又、AlNウィスカー自身は、発光素子として用いられることも可能である。
又、AlNウィスカーの製造装置1においては、AlNウィスカーの生成量を評価した結果、1500℃以上の加熱温度であれば、AlNウィスカーが成長し、且つ粒状AlNが殆ど成長しないことも観察することができた。又、AlNウィスカーの生成量を評価した結果、炉内に温度分布を発生させた場合に、低温側よりも高温側で多量のAlNウィスカーの成長を観察することができた。即ち、カーボンヒーター5は中央部で発熱量が相対的に大きく、端部で発熱量が相対的に小さいので、図1に示したように、アルミナボート7の一端側(図1では右側)がカーボンヒーター5の中央部に位置すると共に他端側(図1では左側)がカーボンヒーター5の中央部に位置するようにアルミナボート7を配置すると、アルミナボート7の一端側で温度を相対的に高く、他端側で温度を相対的に低くすることができる。本実施形態では、図2に示すように、カーボンヒーター5の左端からの距離が長くなるにしたがってアルミナボート7の温度が高くなり、低温側であるカーボンヒーター5の端部よりも高温側であるカーボンヒーター5の中央部で多量のAlNウィスカーの成長を観察することができた。尚、本実施形態では、炉内に温度分布を発生させたが、例えばAlNウィスカーの大量生産を目的とする場合には、炉内の温度分布を均一とすることで、AlNウィスカーを広範囲にわたって成長させることも可能である。
又、図3に示すように、生成物のXRD(X-Ray Diffraction)分析により、生成物の殆どがAlNであることを確認することができた。AlN以外の物質(不純物)が混入していないことを確認することができ、AlNの生成効率(収率)が高いと判断することができる。これらの結果を勘案すると、以下の(1)から(4)に示す成長メカニズムを想定することができる。即ち、図4に示すように、
(1)Al−Ti−Siを主成分とする溶液9の液面(表面)上でAlと窒素ガスとが反応し、溶液9の液面上にAlNの核10が生成する(核生成する)。即ち、溶液9の液面上ではAlNの核10が液相法により成長する。
(2)Al−Ti−Siを主成分とする溶液9が蒸気となる。
(3)蒸気となったAlと窒素ガスとが反応し、アルミナボート7の内側の壁面上にもAlNの核10が生成する(核生成する)。即ち、アルミナボート7の内側の壁面上ではAlNの核10が気相法により成長する。
(4)溶液9の液面上やアルミナボート7の内側の壁面上に生成したAlNの核10からAlNウィスカー11が成長する。
尚、以上は、溶液9の液面上やアルミナボート7の内側の壁面上にAlNの核10が生成し、溶液9の液面上やアルミナボート7の内側の壁面上にAlNウィスカー11が成長する場合を説明したが、例えばアルミナ基板やサファイア基板がアルミナボート7以外の近くに配置されており、蒸気となったAlと窒素ガスとが当該基板の近くで反応すれば、当該基板の基板面上にAlNの核10が生成し、当該基板の基板面上にAlNウィスカー11が成長することになる。即ち、(1)〜(4)の成長メカニズムは、アルミナボート7の内側に限定されるものでなく、所定温度の所定場所に例えばアルミナ基板やサファイア基板を設置した場合にも該当し、当該基板の基板面上にAlNウィスカー11が成長する。
又、成長活性剤であるSi及びTiの比率と、AlNウィスカーの生成量との関係を実験し、図5に示す実験結果を得た。サンプルは、Alを1.3[g]の量とし、Al23Ti[モル比]、Al23TiSi20[モル比]、Al23TiSi70[モル比]、Al23Si70[モル比]、Al23Ti25Si70[モル比]の5個を用意した。ここで、各元素記号の添え字は各元素のモル比を表す。Siについては、図5(a)に示すように、AlNウィスカーの生成量をyとし、Siの比率をx[モル比]とすると、3点のプロットによる最小二乗法により、
y=0.01977x+2.608x
の計算式を得ることができた。Siの比率が約70[モル比]であるときに、AlNウィスカーの生成量が飽和に近づくと判断することができる。
Tiについては、図5(b)に示すように、AlNウィスカーの生成量をyとし、Tiの比率をx[モル比]とすると、3点のプロットによる最小二乗法により、
y=−0.3242x+6.839x+53.71
の計算式を得ることができた。Tiの比率が約21[モル比]以下であるときに、Tiを混入しないときよりもAlNウィスカーの成長が促進され、Tiの比率が約21[モル比]を越えてしまうと、Tiを混入しないときよりもAlNウィスカーの成長が阻害されると判断することができる。
このように本願発明のAlNウィスカー11を製造する方法では、成長活性剤であるSi及びTiが重要な役割を果たしている。Si及びTiを成長活性剤として使用しな
い方法ではAlNウィスカー11が全く成長しないのに対し、Si及びTiを成長活性剤として使用する方法ではAlNウィスカー11が効率良く成長する。しかしながら、Si及びTiはAlNウィスカー11が成長する過程で常に作用するので、結果的に最終生成物であるAlNウィスカー11の全体にわたって微量ながら含有されることになる。その一方で、これらのSi及びTiはAlNウィスカー11に過剰に混入すると熱伝導率や絶縁性の低下を招くことが知られている。例えば酸素を例として挙げると、0.1[wt%](0.13at%に相当)が含まれると熱伝導率が200[W/mK]まで低下し、1[wt%](1.3at%に相当)が含まれると熱伝導率が100[W/mK]まで低下し、2[wt%]2.5at%に相当)が含まれると熱伝導率が50[W/mK]まで低下することが知られている。この点を考慮すると、Si等の不純物濃度は、2[wt%](1.5at%に相当)以下、望ましくは1[wt%](0.7at%に相当)以下、より望ましくは0.1[wt%](0.07at%に相当)以下にする必要がある。又、絶縁性についても、不純物濃度が数十[%]程度に過剰に含まれると低下することが知られている。尚、熱伝導率については、「K.Watari,M.Kawamoto and K.Ishizaki,J.Mater Sci,26,4727-31(1991)」を引用している。
尚、アルミナボート7の全体がカーボンヒーター5の中央部に位置するようにアルミナボート7を配置すると、アルミナボート7の全体で温度が均一に高くなるので、図12に示すように、アルミナボート7の全体で均一にAlNウィスカーの成長を観察することができた。又、アルミナボート7の凹部7aに、Al−Ti−Siを主成分とする材料と共にサファイア基板を配置すると、図13に示すように、サファイア基板の基板面上でもAlNウィスカーの成長を観察することができた。
又、図14に示すように、Al23TiSi20、Al23TiSi70、Al23TiSi120の3個のサンプルについて、断面について点分析を行った。図15及び図16に示すように、Al23TiSi20とAl23TiSi70とではAlNウィスカー11におけるSiの含有量に大差はないが、Al23TiSi20やAl23TiSi70とAl23TiSi120とではAlNウィスカー11におけるSiの含有量に大差があると確認することができた。即ち、Siの比率が約70[モル比]を超えると、AlNウィスカー11におけるSiの含有量が増大すると判断することができる。以上のように、Siの比率が約70[モル比]以下である場合に、AlNウィスカー11の成長が効果的に促進され、且つAlNウィスカー11の特性に悪影響が及ぼされないと判断することができる。尚、図16では、Siの含有量を検出不可能な検出限界値(0.1[at%])以下を0.05[at%]と仮定して平均値を算出している。
又、図17、図18及び図20に示すように、Al23TiSi70のサンプルについて、3ケ所の断面について面分析及び点分析を行った。図19に示すように、面分析ではSiの濃度に優位な差がないことから、SiがAlNウィスカー11の軸方向(図17に示す横方向)に均一に分布しながらAlNウィスカー11が成長していると確認することができた。又、図21に示すように、各々の分析断面での点分析でもSiの濃度に優位な差がないことから、SiがAlNウィスカー11の断面方向(図17に示す縦方向)に均一に分布しながらAlNウィスカー11が成長していると確認することができた。
又、Al23TiSi70のサンプルについて、GD−MS(Glow Discharge Mass Spectrometry、グロー放電質量分析法)による微量元素の分析を行った。図22に示すように、AlNウィスカー11におけるTiの含有量が15[ppm]程度であると確認することができた。
更に、図23に示すように、AlNウィスカー11が薄膜状の樹脂(例えば膜厚が200[μm])に混合される場合、直径が0.1〜50[μm]で、且つ長さが1[μm]〜数[cm]のサイズであり、AlNウィスカー11の長さが薄膜の厚みに比べて十分に小さければ、方向がランダムに混合され易くなり、AlNウィスカー11の熱伝導性や絶縁性を有効に活用することができ、熱伝導性や絶縁性に優れた樹脂組成物や樹脂成形体を実現することができる。即ち、AlNウィスカー11の長さが薄膜の厚みに比べて小さくなければ、方向が膜方向に混合され易くなり、AlNウィスカー11の熱伝導性や絶縁性を有効に活用することができないが、AlNウィスカー11のサイズを自在とし、樹脂に混合される態様を工夫することで、AlNウィスカー11の熱伝導性や絶縁性を有効に活用することができる。同様に、AlNウィスカー11が油脂に混合される場合も、熱伝導性や絶縁性に優れた油脂組成物を実現することができる。
以上に説明したように本実施形態によれば、Al−Ti−Siを主成分とする材料をアルミナボート7に配置し、その材料を加熱して溶液9とし、窒素雰囲気下でAlNウィスカー11を成長させるようにした。これにより、Al−Ti−Siの組成により、粒状AlNの生成を抑制し、AlNウィスカー11を優先して成長させることができ、AlNウィスカー11の生成効率を高めることができる。即ち、生成されるAlNは、殆どがウィスカー状のものであり粒状のものが含まれ難い。又、カーボンブラックを原材料として用いないので、AlNウィスカー11が成長する際に炭素が不純物として混入する可能性を低減することができ、炭素を除去する処理を不要とすることができる。
又、容器としてアルミナボート7を用いたので、溶液9の液面上にAlNの核10が生成するのみならず、アルミナボート7の内側の壁面上にもAlNの核10が生成し、AlNウィスカー11を広範囲にわたって成長させることができる。更に、窒素ガスを溶液9の液面と平行方向に流しながらAlNウィスカー11を成長させるようにしたので、窒素ガスの流量及び圧力を制御することで、AlNウィスカー11の成長量を容易に制御することができる。
又、この場合、高いアスペクト比を有するアルミナを予め用意する必要はない。又、Si及びTiの量を最終生成物であるAlNウィスカー11の特性に悪影響を及ぼさない程度の微量とすることで、AlNウィスカー11におけるSi及びTiの含有量を微量に抑えることができ、高品質とすることができる。又、直径が0.1〜50[μm]で、且つ長さが1[μm]〜数[cm]のサイズとすることで、AlNウィスカー11が樹脂に混合された樹脂組成物や油脂に混合された油脂組成物を製造する場合に、AlNウィスカー11が樹脂や油脂に混合され易くなり、AlNウィスカー11の用途を広めることができる。又、薄膜状の樹脂組成物に混合される場合に、AlNウィスカー11の長さが薄膜の厚みに比べて十分に小さければ、方向がランダムに混合され易くなり、AlNウィスカー11の熱伝導性や絶縁性を有効に活用することができ、熱伝導性や絶縁性に優れた樹脂組成物を実現することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
容器としては、アルミナボート7に限らず、1700℃程度の高温に耐え得る容器であれば良く、無機材料でも金属材料でも良く、例えばタングステン製のボート等であっても良い。又、非炭素系(炭素を含有しない)の容器を用いることが望ましい。
Alを原材料として含みTi及びSiを成長活性剤として含めば、Ti及びSiの成長活性剤としての作用を阻害しない範囲で他の元素(例えばCu、遷移金属(Fe、Ni、Co等)、B、F、Cl、Na、K、Ca等)を含む材料であっても良い。
カーボンヒーターに代えて、セラミックヒーターやタングステンヒーター等を用いても良い。
図面中、7はアルミナの容器、9は溶液、11はAlNウィスカーである。

Claims (7)

  1. Alを原材料とし、窒素雰囲気下で加熱温度を1500から1800℃の範囲としてSi及びTiを成長活性剤として成長させ、断面の幅が0.1〜50μmで、且つ長さが1μm〜数cmのサイズを有する糸状結晶を含んで得られたことを特徴とするAlNウィスカー。
  2. Alを原材料として含みTi及びSiを成長活性剤として含む材料を容器(7)内に配置し、前記材料を加熱して溶液(9)とし、窒素雰囲気下で加熱温度を1500から1800℃の範囲としてAlNウィスカー(11)を成長させ、AlNウィスカー(11)を製造することを特徴とするAlNウィスカーの製造方法
  3. 請求項2に記載したAlNウィスカーの製造方法において、
    AlNウィスカー(11)を前記溶液(9)の液面上から成長させることを特徴とするAlNウィスカーの製造方法
  4. 請求項2又は3に記載したAlNウィスカーの製造方法において、
    AlNウィスカー(11)を前記容器(7)の壁面上から成長させることを特徴とするAlNウィスカーの製造方法
  5. 請求項4に記載したAlNウィスカーの製造方法において、
    前記容器(7)としてアルミナの容器を用いることを特徴とするAlNウィスカーの製造方法
  6. 請求項からの何れか一項に記載したAlNウィスカーの製造方法において、
    窒素ガスを前記溶液(9)の液面と平行方向に流しながらAlNウィスカー(11)を成長させることを特徴とするAlNウィスカーの製造方法
  7. 請求項2から6の何れか一項に記載したAlNウィスカーの製造方法において、
    前記溶液(9)のモル比がAl 23 Ti Si 70 であるときにXが21以下であることを特徴とするAlNウィスカーの製造方法。
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