JP6090254B2 - 変速機のクラッチ装置 - Google Patents

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本発明は、車両に搭載される変速機のクラッチ装置に関し、車両用変速機の技術分野に属する。
自動変速機等の車両に搭載される変速機は、プラネタリギヤセット等でなる動力伝達経路をクラッチやブレーキ等でなる複数の摩擦締結要素の選択的な締結によって切り換えて、車両の運転状態に応じた所定の変速段を達成するように構成されている。
このような変速機に用いられるクラッチは一般に、外側回転部材であるクラッチドラムと内側回転部材であるクラッチハブとの間に複数の摩擦板を配置し、油圧を供給したときにピストンによって複数の摩擦板を押圧して締結し、クラッチドラムとクラッチハブとを結合するようになっている。
例えば特許文献1には、このようなクラッチを備えた自動変速機が開示されている。図12に示すように、この自動変速機201では、変速機ケース内に同一軸心上に第1、第2、第3クラッチ210、220、230が配置され、第1、第2、第3クラッチ210、220、230はそれぞれ、クラッチドラム211、221、231及びクラッチハブ212、222、232間に配置される複数の摩擦板213、223、233と、複数の摩擦板213、223、233を押圧するピストン214、224、234と、ピストン214、224、234を摩擦板方向に付勢する作動油が供給される油圧室215、225、235とを有している。
そして、第1、第2、第3クラッチ210、220、230の軸心側から油圧室215、225、235に作動油(油圧)が供給されることにより、ピストン214、224、234によって摩擦板213、223、233が押圧されて締結され、クラッチドラム211、221、231とクラッチハブ212、222、232とが結合されるようになっている。
特開2002−242953号公報
近年、車両の燃費性能の向上等を目的として自動変速機の多段化が進められており、それに伴って、プラネタリギヤセットの個数が増加する傾向にあるが、プラネタリギヤセットの個数が増加すると変速機全体の軸方向寸法が増大し、車載性の問題が発生することとなる。特に、軸心が車体幅方向に延びる横置き式の自動変速機では、フレーム部材などとの干渉が問題となりやすく、車載性の問題がより顕著になり得る。
前記特許文献1に記載のものは、図12に示すように、有底円筒状に形成された第1クラッチ210のクラッチドラム211の内周側に第1、第2、第3クラッチ210、220、230の摩擦板213、223、233が配置され、該クラッチドラム211は、その径方向内方側に変速機ケースの縦壁部から軸心に沿って延びるボス部202の外周側に嵌合されると共に入力軸203に連結される円筒部217を備えている。
そして、クラッチドラム211の円筒部217に、第1、第2クラッチ210、220の油圧室215、225にそれぞれ供給するための作動油を導入する作動油導入部217a、217bが設けられると共に、第2クラッチ220の遠心バランス室226に供給するための作動油を導入する作動油導入部217cが設けられている。
クラッチドラム211の円筒部217には、油圧室215、225及び遠心バランス室226への作動油を導入する複数の作動油導入部217a、217b、217cが軸方向に並んで設けられ、作動油導入部217a、217b、217cには、円筒部217の内周側から作動油が導入されるようになっている。
自動変速機の多段化に伴って軸方向寸法を短縮するために第2クラッチ220や第3クラッチ230の内周側にプラネタリギヤセットやさらなるクラッチが配置されることが考えられるが、油圧室や遠心バランス室などの複数の作動油供給部へ作動油を導入する作動油導入部がクラッチドラム211の円筒部217に軸方向に並んで配置されると、軸方向寸法を効果的に短縮することが難しく、良好な車載性を確保するために作動油供給油路を如何に配置するかが問題となる。
そこで、本発明は、クラッチドラムに複数の作動油供給部へ作動油を導入する作動油導入部が設けられる場合に、軸方向寸法の短縮を図ることができ、軸方向にコンパクトに構成することができる変速機のクラッチ装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る変速機のクラッチ装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、変速機ケース内に同一軸心上に配置された複数のクラッチを備え、該複数のクラッチがそれぞれ、クラッチドラムと、クラッチハブと、該クラッチドラム及びクラッチハブ間に配置される複数の摩擦板と、該複数の摩擦板を押圧するピストンと、該ピストンを摩擦板方向に付勢する作動油が供給される油圧室とを有する変速機のクラッチ装置であって、前記複数のクラッチのうち1つのクラッチのクラッチドラムは、その径方向内方側に軸方向に延びる円筒部を備え、該円筒部は、前記変速機ケースの縦壁部から軸心に沿って延びるボス部の外周側に嵌合されると共に、当該クラッチ及び他のクラッチの前記油圧室を含む複数の作動油供給部に供給するための作動油を前記変速機ケースから導入する複数の作動油導入部を備え、前記作動油導入部は、前記円筒部における内周側及び外周側に設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の変速機のクラッチ装置において、前記作動油導入部は、前記円筒部における前記変速機ケースの縦壁部側にも設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の変速機のクラッチ装置において、前記変速機ケースに、前記ボス部の外周側に該ボス部に対向する対向部が設けられ、前記円筒部と前記ボス部との間に、前記変速機ケースから当該円筒部の内周側に設けられた前記作動油導入部に作動油を供給するための連通路を備えた第1スリーブが配設され、前記円筒部と前記対向部との間に、前記変速機ケースから当該円筒部の外周側に設けられた前記作動油導入部に作動油を供給するための連通路を備えた第2スリーブが配設され、前記第1スリーブと前記第2スリーブとが一体化されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項2又は請求項3に記載の変速機のクラッチ装置において、前記作動油供給部は、前記ピストンを反摩擦板方向に付勢する作動油が供給される遠心バランス室を含み、前記遠心バランス室用の前記作動油導入部は、前記円筒部における前記変速機ケースの縦壁部側に設けられていることを特徴とする。
上記の構成により、本願の請求項1に記載の発明によれば、同一軸心上に配置された複数のクラッチのうち1つのクラッチのクラッチドラムは、その径方向内方側に変速機ケースの縦壁部から軸心に沿って延びるボス部の外周側に嵌合される円筒部を備え、該円筒部に、複数の作動油供給部に供給するための作動油を変速機ケースから導入する複数の作動油導入部が設けられ、作動油導入部は、円筒部における内周側及び外周側に設けられる。これにより、作動油導入部を円筒部における内周側にのみ設ける場合に比して、軸方向寸法を短縮させて軸方向寸法の短縮を図ることができ、軸方向にコンパクトに構成することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、作動油導入部は、円筒部における変速機ケースの縦壁部側にも設けられることにより、クラッチドラムの円筒部の軸方向寸法をさらに短縮させて軸方向寸法の短縮を図ることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、円筒部とボス部との間に、変速機ケースから作動油導入部に作動油を供給するための連通路を備えた第1スリーブが配設され、円筒部と対向部との間に、変速機ケースから作動油導入部に作動油を供給するための連通路を備えた第2スリーブが配設され、第1スリーブと第2スリーブとが一体化されることにより、第1スリーブと第2スリーブとを別体で形成する場合に比して、部品点数を削減することができると共に第1スリーブと第2スリーブとの位置のバラツキを抑制することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、作動油供給部は、遠心バランス室を含み、遠心バランス室用の作動油導入部は、円筒部における変速機ケースの縦壁部側に設けられる。遠心バランス室は、油圧室より低圧の油圧が供給されることから、油圧室用の作動油導入部を円筒部における変速機ケースの縦壁部側に設ける場合に比して作動油によってクラッチドラムの円筒部が軸方向に付勢される付勢力を小さくすることができ、クラッチドラムの回転抵抗を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る自動変速機の後部の断面図である。 前記自動変速機の後部の他の断面で切断した断面図である。 前記自動変速機の後部のさらに他の断面で切断した断面図である。 前記自動変速機の後部のさらに他の断面で切断した断面図である。 図1の要部を拡大した前記自動変速機の後部の断面図である。 図4におけるY6−Y6線に沿った自動変速機の断面図である。 図4におけるY7方向から見た自動変速機の概略図である。 本発明の第2実施形態に係る自動変速機の後部の断面図である。 前記自動変速機の後部の他の断面で切断した断面図である。 前記自動変速機の後部のさらに他の断面で切断した断面図である。 図8の要部を拡大した前記自動変速機の後部の断面図である。 従来の自動変速機を示す断面図である。
以下、本発明を自動変速機に適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動変速機の後部の断面図であり、図2は、前記自動変速機の後部の他の断面で切断した断面図、図3及び図4は、前記自動変速機の後部のさらに他の断面で切断した断面図である。
図1から図4に示すように、本実施形態に係る自動変速機1は、変速機ケース2内に、例えばエンジンなどの駆動源に連結された入力軸3の軸線3a上に、複数のプラネタリギヤセットとクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結要素とを有する変速機構4を備えている。
自動変速機1は、前記複数の摩擦締結要素の締結状態を組み合わせることにより前記複数のプラネタリギヤセットを経由する動力伝達経路を切り換えて変速機構4の変速比を変更して所定の変速段を得るように構成されている。例えば、自動変速機1は、4つのプラネタリギヤセットと5つの摩擦締結要素とを備え、これらの摩擦締結要素のうちの3つを選択的に締結することにより、前進8段及び後退速が形成されるように構成されている。
本実施形態では、変速機ケース2の反駆動源側(以下、反駆動源側を後方、駆動源側を前方とする)の後部に、駆動源側から延びる入力軸3上に、駆動源側から反駆動源側に軸方向に並んで配置された第1、第2クラッチ10、20と、第2クラッチ20の内周側に配置された第3クラッチ30と、第1クラッチ10の内周側に配置された第1プラネタリギヤセット40と、第3クラッチ30の内周側に配置された第2プラネタリギヤセット50とが備えられている。
自動変速機1では、第3クラッチ30の内周側に第2プラネタリギヤセット50が配置されることにより、プラネタリギヤセット50、第3クラッチ30、第2クラッチ20を径方向に重ねて配置することができ、これらを軸方向に配置する場合に比して、軸方向寸法の短縮が図られている。また、第1クラッチ10の内周側に第1プラネタリギヤセット40が配置されることにより、軸方向の短縮が図られている。
第1、第2、第3クラッチ10、20、30はいずれも、外側回転部材であるクラッチドラム11、21、31と、内側回転部材であるクラッチハブ12、22、32と、クラッチドラム11、21、31とクラッチハブ12、22、32との間に軸方向に並べて配置されてクラッチドラム11、21、31とクラッチハブ12、22、32とに交互に係合された複数の摩擦板13、23、33と、複数の摩擦板13、23、33の反駆動源側に配置されて複数の摩擦板13、23、33を押圧するピストン14、24、34と、ピストン14、24、34の反駆動源側に設けられてピストン14、24、34を摩擦板方向に付勢する作動油(油圧)が供給される油圧室15、25、35を有している。
そして、油圧室15、25、35に油圧が供給されたときに、ピストン14、24、34が反駆動源側から摩擦板13、23、33を押圧してクラッチドラム11、21、31とクラッチハブ12、22、32とを結合することにより、クラッチ10、20、30が締結されるようになっている。
第1、第2、第3クラッチ10、20、30にはまた、ピストン14、24、34を挟んで油圧室15、25、35の反対側にピストン14、24、34を反摩擦板方向に付勢する作動油が供給される遠心バランス室16、26、36が設けられている。
遠心バランス室16、26、36は、クラッチ10、20、30の解放時に油圧室15、25、35内の油圧に作用する遠心力によりピストン14、24、34が摩擦板方向に押圧されることによる摩擦板13、23、33の引き摺りを防止するためのもので、供給された作動油に作用する遠心力によりピストン14、24、34を反摩擦板方向に付勢する付勢力を発生させ、この付勢力により前記摩擦板方向の押圧力をキャンセルする。
自動変速機1では、第1、第2、第3クラッチ10、20、30の油圧室15、25、35と遠心バランス室16、26、36とは、第1クラッチ10のクラッチドラム11を用いて形成されており、次に、油圧室15、25、35及び遠心バランス室16、26、36の構成について説明する。
図5は、図1の要部を拡大した前記自動変速機の後部の断面図である。図5に示すように、変速機ケース2の後部には、外周部2aの反駆動源側において径方向に延びる縦壁部2bから軸線3aに沿って駆動源側に延びるボス部2cが設けられ、ボス部2cの外周側に円筒状の第1スリーブ5が嵌合固定されている。変速機ケース2の後部にはまた、ボス部2cの外周側にボス部2cに離間して対向する軸方向に延びる対向部2dが設けられ、対向部2dの内周側に円筒状の第2スリーブ6が嵌合固定されている。
図1に示すように、第1クラッチ10のクラッチドラム11は、摩擦板13が係合される軸方向に延びる外側円筒部61と、外側円筒部61の反駆動源側において径方向に延びる底部62と、底部62の内方側において軸方向に延びる内側円筒部63とを備えて有底円筒状に形成され、内側円筒部63が第1スリーブ5の外周側及び第2スリーブ6の内周側に回転自在に嵌合され、第1スリーブ5及び第2スリーブ6を介して変速機ケース2に回転自在に支持されている。
クラッチドラム11は、内側円筒部63の軸方向中央部から変速機ケース2の縦壁部2bの前面に沿って径方向に延びる底部62に、底部62の径方向の中央部及び外周部からそれぞれ前方に延びる筒状の第1シリンダ部65と第2シリンダ部66とを備えている。
クラッチドラム11の内側円筒部63の前部外周面と第1シリンダ部65の内周面との間に第3クラッチ30のピストン34が嵌合され、第1シリンダ部65の外周面とクラッチドラム11の外側円筒部61の内周面との間に第2クラッチ20のピストン24が嵌合され、クラッチドラム11の外側円筒部61の外周面と第2シリンダ部66の内周面との間に第1クラッチ10のピストン14が嵌合されている。
そして、内側円筒部63の前部外周面と、底部62の前面と、第1シリンダ部65の内周面と、ピストン34の背面とにより、第3クラッチ30の油圧室35が油密状に形成され、第1シリンダ部65の外周面と、底部62の前面と、外側円筒部61の内周面と、ピストン24の背面とにより、第2クラッチ20の油圧室25が油密状に形成され、外側円筒部61の外周面と、第2シリンダ部66の内周面と、ピストン14の背面とにより、第1クラッチ10の油圧室15が油密状に形成されている。
第1クラッチ10のピストン14は、第1クラッチ10の油圧室15から第1クラッチ10のクラッチドラム11の外周側において軸方向に延びる第1部材71と、第1部材71にスプライン係合されて接続されると共に第1クラッチ10のクラッチドラム11の外側円筒部61を通って径方向に延び、第1クラッチ10の摩擦板13を反駆動源側から押圧する第2部材72とで構成されている。
第1クラッチ10の油圧室15を構成するピストン14の背面は、第1部材71の後部に設けられた縦壁部71aの後面によって形成されている。第1クラッチ10の油圧室15は、クラッチドラム11の外周側に設けられており、クラッチドラム11の外周側を用いて構成することができる。
また、クラッチドラム11の外側円筒部61の外面と、第1部材71の内周面及び縦壁部71aの前面とにより、第1クラッチ10の遠心バランス室16が油密状に形成され、第1シリンダ部65の外周面と、その前端部に設けられた外方へ延びる縦壁部65aの後面と、ピストン24の前面及び前部内周面とにより、第2クラッチ20の遠心バランス室26が油密状に形成され、クラッチドラム11の内側円筒部63の前部外周面に装着された径方向に延びるシールプレート75の後面と、内側円筒部63の前部外周面と、ピストン34の前面及び前部内周面とにより、第3クラッチ30の遠心バランス室36が油密状に形成されている。
クラッチドラム11の外側円筒部61は、駆動源側が櫛歯状に形成されて摩擦板13が係合される第1円筒部61aと、反駆動源側が底部62に接続されてピストン24が内周面に嵌合されると共にピストン14が外周面に嵌合される第2円筒部61bと、第1円筒部61aと第2円筒部61bとを接続して径方向に延びる縦壁部61cとを備えている。遠心バランス室16を構成するクラッチドラム11の外側円筒部61の外面は、第2円筒部61aの外周面と縦壁部61cの後面とによって形成されている。
遠心バランス室36内には、シールプレート75とピストン34との間にピストン34をクラッチ解放方向に戻すリターンスプリングとして機能する皿ばね37が取り付けられ、遠心バランス室16内には、外側円筒部61の縦壁部61cの後面と第1部材71の縦壁部71aとの間にピストン14をクラッチ解放方向に戻すリターンスプリングとして機能するコイルスプリング17が装着されている。
遠心バランス室26については、図4に示すように、ピストン24の反駆動源側に、ピストン24をクラッチ解放方向に戻すリターンスプリングとして機能する板ばね27が取り付けられている。ピストン24は、クラッチドラム11の底部62を貫通して反駆動源側に延びる突起部24aを備え、該突起部24aに板ばね27が連結固定されている。
図6は、図4におけるY6−Y6線に沿った自動変速機の断面図である。なお、図1、図2、図3及び図4はそれぞれ、図6におけるY1−Y1線、Y2−Y2線、Y3−Y3線及びY4−Y4線に沿った断面に対応する。
図4及び図6に示すように、板ばね27は、軸方向と直交する径方向に延びる平板部27aと、平板部27aの径方向内方側の端部から径方向内方側に駆動源側に傾斜して延びる2つの傾斜部27bとを備え、平板部27aがピストン24の突起部24aに固定され、傾斜部27bの径方向内方側の端部がクラッチドラム11の底部62に当接され、ピストン24を反駆動源側に付勢するようになっている。板ばね27は、周方向に等間隔に3つ設けられている。
このように、自動変速機1では、第1クラッチ10の油圧室15は、第2クラッチ20の油圧室25の外周側に設けられ、第3クラッチ30の油圧室35は、第2クラッチ20の油圧室25の内周側に設けられている。また、第1クラッチ10の遠心バランス室16は、第2クラッチ20の遠心バランス室26の外周側に設けられ、第3クラッチ30の遠心バランス室36は、第2クラッチ20の遠心バランス室26の内周側に設けられている。
自動変速機1ではまた、第1クラッチ10のクラッチドラム11を用いて、油圧室15、25、35にそれぞれ油圧を供給するために作動油を供給する油圧室用作動油供給油路81、82、83と、遠心バランス室16、26、36に作動油を供給する遠心バランス室用作動油供給油路84とが形成されている。
第1クラッチ用の油圧室用作動油供給油路81は、図1に示すように、変速機ケース2のボス部2c内に設けられた軸方向に延びる軸方向油路81aと、第1スリーブ5に設けられ、変速機ケース2側の連通路81bを介して軸方向油路81aに連通された連通路81cと、クラッチドラム11の内側円筒部63内に軸方向に延びるように設けられ、連通孔81dを介して第1スリーブ5の連通路81cに連通された軸方向油路81fと、クラッチドラム11の底部62及び外側円筒部61内に径方向に延びるように設けられ、内端部が軸方向油路81fに連通された径方向油路81gと、第1クラッチ10の油圧室15に開口する開口部81hとによって構成されている。
第2クラッチ用の油圧室用作動油供給油路82は、図2に示すように、変速機ケース2のボス部2c内に設けられた軸方向に延びる軸方向油路82aと、第1スリーブ5に設けられ、変速機ケース2側の連通路82bを介して軸方向油路82aに連通された連通路82cと、クラッチドラム11の内側円筒部63内に軸方向に延びるように設けられ、連通孔82dを介して第1スリーブ5の連通路82cに連通された軸方向油路82fと、クラッチドラム11の底部62内に径方向に延びるように設けられ、内端部が軸方向油路82fに連通された径方向油路82gと、第2クラッチ20の油圧室25に開口する開口部82hとによって構成されている。
第3クラッチ用の油圧室用作動油供給油路83は、図3に示すように、変速機ケース2の対向部2dに設けられた径方向に延びる径方向油路83aと、第2スリーブ6に設けられ、径方向油路83aに連通された連通路83cと、クラッチドラム11の内側円筒部63内に軸方向に延びるように設けられ、連通孔83dを介して第2スリーブ6の連通路83cに連通された軸方向油路83fと、クラッチドラム11の底部62内に径方向に延びるように設けられ、内端部が軸方向油路83fに連通された径方向油路83gと、第3クラッチ30の油圧室35に開口する開口部83hとによって構成されている。
図5に示すように、第1クラッチ用の作動油供給油路81を構成する第1スリーブ5に設けられた連通路81cは具体的には、変速機ケース2側の連通孔81bに連通される連通孔81c1と、クラッチドラム11の内側円筒部63の連通孔81dに連通される周溝81c2とによって構成されている。第2、第3クラッチ用の作動油供給油路82、83を構成する第1スリーブ5の連通孔82c、第2スリーブ6の連通孔83cについても同様に、変速機ケース2側の連通孔82b、83bに連通される連通孔と、クラッチドラム11の内側円筒部63の連通孔82d、83dに連通される周溝とによって構成されている。
自動変速機1には、図示しないコントロールバルブユニットが備えられ、該コントロールバルブユニットから、油圧室用作動油供給油路81、82、83を介して、第1、第2、第3クラッチ10、20、30の油圧室15、25、35にそれぞれ作動油が供給されて締結用油圧が供給されるようになっている。
一方、遠心バランス室用作動油供給油路84は、図4に示すように、変速機ケース2の外周部2aに設けられたオイル貯留部85に連通されて軸方向に延びる軸方向油路84aと、軸方向油路84aに連通されて径方向に延びる径方向油路84bと、変速機ケース2のボス部2cと対向部2dとの間に形成された凹部2e、第1スリーブ5、第2スリーブ6及びクラッチドラム11の内側円筒部63によって形成され、連通路84cを介して径方向油路84bに連通された油溜り部84dと、クラッチドラム11の内側円筒部63における変速機ケース2の縦壁部2b側に設けられた連通孔84eを介して油溜り部84dに連通された内側円筒部63内の軸方向油路84fと、内側円筒部63の前部において径方向に延びるように設けられ、内端部が軸方向油路84fに連通された径方向油路84gとによって構成され、径方向油路84gの径方向外周側の開口部が第3クラッチ30の遠心バランス室36内に臨んでいる。
そして、第3クラッチ30のピストン34の外周部と第1シリンダ部65との嵌合部に、ピストン34側の連通孔と第1シリンダ部65側の連通孔とでなる第1遠心バランス室間連通路84jが設けられ、また、第2クラッチ20のピストン24の外周部とクラッチドラム11の外側円筒部61の第2円筒部61bとの嵌合部に、ピストン24側の連通孔と外側円筒部61側の連通孔とでなる第2遠心バランス室間連通路84kが設けられている。
遠心バランス室用作動油供給油路84によって第3クラッチ30の遠心バランス室36に供給された作動油は、第1、第2遠心バランス室間連通路84j、84kを介して、外周側に位置する第2クラッチ20の遠心バランス室26と、第1クラッチ10の遠心バランス室16とに、順次供給されるようになっている。
図7は、図4におけるY7方向から見た自動変速機の概略図である。図7に示すように、オイル貯留部85は、変速機ケース2の外周部2a内において上方が開口して箱状に形成され、下方が入力軸3の軸線3aと略同一高さとなるように設けられている。オイル貯留部85の上方にはカバー7が配設されている。
オイル貯留部85は、オイル貯留部85と遠心バランス室36とを連通する遠心バランス室用作動油供給油路84の遠心バランス室36側の径方向油路84gの開口部よりも上方に設けられ、オイル貯留部85内の作動油は、重力によって遠心バランス室36に供給される。このようにして、オイル貯留部85は、遠心バランス室作動油供給油路84を介して作動油を遠心バランス室16、26、36に供給する又は遠心バランス室16、26、36から排出することができるようになっている。
第1、第2、第3クラッチ用の油圧室用作動油供給油路81、82、83は、図6に示すように、周方向において等間隔に異なる位置に配置されている。2つの第1、第2、第3クラッチ用の油圧室作動油供給油路81、82、83が180度間隔で設けられ、6つの油圧室作動油供給油路81、82、83が60度間隔で設けられている。遠心バランス室用作動油供給油路84については、2つの遠心バランス室用作動油供給油路84が180度間隔で設けられ、周方向に第1、第2クラッチ用の油圧室用作動油供給油路81、82の間に設けられている。
このように、自動変速機1では、各クラッチ10、20、30に、作動油が供給される作動油供給部としての油圧室15、25、35及び遠心バランス室16、26、36が設けられ、変速機ケース2及び第1クラッチ10のクラッチドラム11に、油圧室15、25、35及び遠心バランス室16、26、36に作動油を供給する油圧室用作動油供給油路81、82、83及び遠心バランス室用作動油供給油路84が設けられている。
そして、クラッチドラム11の内側円筒部63には、変速機ケース2から作動油供給部15、25、35への作動油を導入する作動油導入部として連通孔81d、82d、83dが設けられ、連通孔81d、82d、83dは、内側円筒部63における内周側及び外周側に設けられている。連通孔81d、82dは、内側円筒部63における内周側に軸方向に並んで設けられ、連通孔83dは、内側円筒部63における外周側に設けられている。内側円筒部63の内周側の連通孔81dと外周側の連通孔83dとは軸方向に隣接して設けられているが、軸方向にオーバーラップして設けるようにしてもよい。
また、クラッチドラム11の内側円筒部63の内周側に形成された連通孔81d、82dとそれぞれ作動油供給油路81、82を構成する連通路81c、82cは、第1スリーブ5に軸方向に並んで設けられ、第1スリーブ5の外周面には連通路81c、82cの軸方向両側にシール部材用溝部5aが形成され、シール部材8が装着されている。
クラッチドラム11の内側円筒部63の外周側に形成された連通孔83dと作動油供給油路83を構成する連通路83cは、第2スリーブ6に設けられ、第2スリーブ6の内周面にも連通路83cの軸方向両側にシール部材用溝部6aが形成され、シール部材8が装着されている。
一方、第1クラッチ10、第3クラッチ30の内周側に配置された第1、第2プラネタリギヤセット(以下、「第1、第2ギヤセット」という)40、50は、軸方向に並んで配置され、第1、第2ギヤセット40、50はそれぞれ、図2に示すように、シングルピニオン型のプラネタリギヤセットであって、サンギヤ41、51と、リングギヤ42、52と、サンギヤ41、51とリングギヤ42、52とに噛み合う複数のピニオン43、53と、ピニオン43、53を支持するキャリヤ44、54とを有している。
第1、第2、第3クラッチ10、20、30の回転部材と他の動力伝達部材との連結関係について説明する。
第1クラッチ10のクラッチドラム11は、外側円筒部61の前端部に径方向に延びる動力伝達部材91がスプライン係合されて第1ギヤセット40の駆動源側に配置される他の回転要素等に連結されると共に、底部62に結合された第1シリンダ部65を介して第2クラッチ20のクラッチハブ22と第3クラッチ30のクラッチドラム31とに連結されている。
第2クラッチ20のクラッチハブ22と第3クラッチ30のクラッチドラム31とは、共用の円筒状部品により一体的に形成されて第1シリンダ部65に結合され、該円筒状部品の外周面に第2クラッチ20の摩擦板23が係合され、該円筒状部品の内周面に第3クラッチ30の摩擦板33が係合されている。
第2クラッチ20のクラッチハブ22と第3クラッチ30のクラッチドラム31とが一体化されることにより、第2クラッチ20のクラッチハブ22と第3クラッチ30のクラッチドラム31とを別体で形成する場合に比して、径方向寸法の短縮が図られている。
第1クラッチ10のクラッチハブ12は、摩擦板13が係合されるスプライン部の前端部から径方向の内方に延びるフランジ部12aを有し、該フランジ部12aの内周端部が、第1ギヤセット40のリングギヤ42に連結されている。
第2クラッチ20のクラッチドラム21は、摩擦板23が係合されるスプライン部の前端部から前記円筒状部品の前方側を通って径方向の内方に延びるフランジ部21aを有し、該フランジ部21aが、第1ギヤセット40のサンギヤ41及び第2ギヤセット50のリングギヤ52に連結されている。
第3クラッチ30のクラッチハブ32は、摩擦板33が係合されるスプライン部の後端部から径方向の内方に延びるフランジ部32aを有し、該フランジ部32aの内周端部が第2ギヤセット50のキャリヤ54に連結されると共に該キャリヤ54を介して入力軸3に連結され、入力軸3と一体回転するように構成されている。
第2ギヤセット50のサンギヤ51は、入力軸3の外周側で軸方向に延びる動力伝達部材92の反駆動源側にスプライン嵌合されて連結され、動力伝達部材92の駆動源側は、第1ギヤセット40の駆動源側に配置される他の回転要素等に連結されている。第1ギヤセット40のキャリヤ44は、動力伝達部材92の外周側で軸方向に延びる動力伝達部材93の反駆動源側にスプライン嵌合されて連結され、動力伝達部材93の駆動源側は、第1ギヤセット40の駆動源側に配置される他の回転要素等に連結されている。
自動変速機1ではまた、入力軸3に軸方向に延びる油路3bが設けられ、該油路3bから、第1、第2、第3クラッチ10、20、30の摩擦板13、23、33や第1、第2ギヤセット40、50のピニオン43、53とキャリヤ44、54との間の軸受部等に潤滑油を供給するようになっている。
本実施形態に係る自動変速機1の作用を説明すると、第1クラッチ10の油圧室15に油圧室用作動油供給油路81を介して作動油が供給されて締結用油圧が供給されると、第1クラッチ10が締結されてクラッチドラム11とクラッチハブ12とが結合され、第2クラッチ20の油圧室25に油圧室用作動油供給油路82を介して作動油が供給されて締結用油圧が供給されると、第2クラッチ20が締結されてクラッチドラム21とクラッチハブ22とが結合され、第3クラッチ30の油圧室35に油圧室用作動油供給油路83を介して作動油が供給されて締結用油圧が供給されると、第3クラッチ30が締結されてクラッチドラム31とクラッチハブ32とが結合される。
また、第1、第2、第3クラッチ10、20、30の遠心バランス室16、26、36には、遠心バランス室用作動油供給油路84及び第1、第2遠心バランス室間連通路84j、84kにより、作動油が供給され、作動油に作用する遠心力に基づいてピストン14、24、34を押圧する押圧力により、解放状態のクラッチ10、20、30の油圧室15、25、35内の作動油によるピストン14、24、34を締結方向に押圧する押圧力がキャンセルされている。
本実施形態では、第1クラッチ10のクラッチドラム11は、第1スリーブ5及び第2スリーブ6を介して変速機ケース2に回転自在に支持されているが、第1スリーブ5及び第2スリーブ6を用いることなく、変速機ケース2に直接的に回転自在に支持させることも可能である。
このように、本実施形態に係る自動変速機1では、同一軸心上に配置された複数のクラッチのうち1つのクラッチ10のクラッチドラム11は、その径方向内方側に変速機ケース2の縦壁部2bから軸心に沿って延びるボス部2cの外周側に嵌合される円筒部63を備え、該円筒部63に、複数の作動油供給部に供給するための作動油を変速機ケース2から導入する複数の作動油導入部81d、82d、83d、84eが設けられ、作動油導入部81d、82d、83dは、円筒部63における内周側及び外周側に設けられる。これにより、作動油導入部を円筒部における内周側にのみ設ける場合に比して、軸方向寸法を短縮させて軸方向寸法の短縮を図ることができ、軸方向にコンパクトに構成することができる。
また、作動油導入部84eは、円筒部63における変速機ケース2の縦壁部2b側にも設けられることにより、クラッチドラム11の円筒部63の軸方向寸法をさらに短縮させて軸方向寸法の短縮を図ることができる。
前記作動油供給部は、遠心バランス室16、26、36を含み、遠心バランス室用の作動油導入部84eは、円筒部63における変速機ケース2の縦壁部2b側に設けられる。遠心バランス室16、26、36は、油圧室15、25、35より低圧の油圧が供給されることから、油圧室用の作動油導入部を円筒部における変速機ケースの縦壁部側に設ける場合に比して作動油によってクラッチドラムの円筒部が軸方向に付勢される付勢力を小さくすることができ、クラッチドラムの回転抵抗を抑制することができる。
第1実施形態に係る自動変速機1において、図8〜図11に示すように、クラッチドラム11の内側円筒部63を、第1スリーブと第2スリーブとを一体化したスリーブ部材を介して変速機ケース2のボス部2cと対向部2dとの間において回転自在に支持させることも可能である。
図8は、本発明の第2実施形態に係る自動変速機の後部の断面図であり、図9は、前記自動変速機の後部の他の断面で切断した断面図、図10は、前記自動変速機の後部のさらに他の断面で切断した断面図、図11は、図8の要部を拡大した前記自動変速機の後部の断面図である。なお、図8、図9、図10、図11はそれぞれ、第2実施形態に係る自動変速機を、第1実施形態に係る自動変速機の図1、図3、図4、図5に示す断面に対応する断面で示している。
図8から図11に示す第2実施形態に係る自動変速機101においても、第1クラッチ10のクラッチドラム11は、その径方向内方側に変速機ケース2の縦壁部2bから軸心に沿って延びるボス部2cの外周側に嵌合される内側円筒部63を備え、内側円筒部63に、第1、第2、第3クラッチ10、20、30の油圧室15、25、35及び遠心バランス室16、26、36に供給するための作動油を変速機ケース2から導入する連通孔81d、82d、83d、84eが設けられている。
クラッチドラム11の内側円筒部63には、内側円筒部63における内周側に連通孔81d、82dが軸方向に設けられ、内側円筒部63における外周側に連通孔83dが設けられ、内側円筒部63における変速機ケース2の縦壁部2b側に連通孔84eが設けられている。
自動変速機101では、クラッチドラム10の内側円筒部63と変速機ケース2のボス部2cとの間に配設される第1スリーブ105と、クラッチドラム10の内側円筒部63と変速機ケース2の対向部2dとの間に配設される第2スリーブ106とが一体化されてスリーブ部材104によって形成されている。
スリーブ部材104は、円筒状に形成された外側の第1スリーブ105と、円筒状に形成された内側の第2スリーブ106と、第1、第2スリーブ105、106の反駆動源側を連結して径方向に延びる連結部107とを備え、第1スリーブ105が変速機ケース2のボス部2cの外周側に嵌合固定されて変速機ケース2に固定され、第2スリーブ106は変速機ケース2の対向部2dの内周側とは離間して配置されている。
スリーブ部材104の第1スリーブ105の外周側及び第2スリーブ106の内周側にクラッチドラム11の内側円筒部63が回転自在に嵌合され、クラッチドラム11は、スリーブ部材104を介して変速機ケース2に回転自在に支持されている。
スリーブ部材104についても、第1スリーブ105に、第1、第2クラッチ用の油圧室用作動油供給油路81、82をそれぞれ構成する連通路81c、82cが設けられ、第2スリーブ106に、第3クラッチ用の油圧室用作動油供給油路83を構成する連通路83cが設けられている。
図11に示すように、第1スリーブ105に設けられた連通路81cは、変速機ケース2側の連通孔81bに連通される連通孔81c1と、クラッチドラム11の内側円筒部63の連通孔81dに連通される周溝81c2とによって構成されている。第1スリーブ105の連通孔82c、第2スリーブ106の連通孔83cについても、変速機ケース側の連通孔82b、83bに連通される連通孔と、クラッチドラム11の内側円筒部63の連通孔82d、83dに連通される周溝とによって構成されている。
また、第1スリーブ105の外周面には連通路81c、82cの軸方向両側に形成されたシール部材用溝部105aにシール部材8が装着され、第2スリーブ106の内周面には連通路83cの軸方向両側に形成されたシール部材用溝部106aにシール部材8が装着されている。
自動変速機101ではまた、図9に示すように、変速機ケース2の対向部2dに円形状に窪む凹部2fが形成され、該凹部2fに略円筒状に形成されたシール部材108が装着されている。シール部材108は、クラッチドラム11の内側円筒部63に接触し、変速機ケース2の径方向油路83aとスリーブ部材104の連通路83cとを連通するようになっている。
自動変速機101では、第1クラッチ用の油圧室用作動油供給油路81は、図8に示すように、変速機ケース2のボス部2c内に設けられた軸方向油路81aと、変速機ケース2側の連通路81bを介して軸方向油路81aに連通されたスリーブ部材104の連通路81cと、連通孔81dを介してスリーブ部材104の連通路81cに連通されたクラッチドラム11の軸方向油路81fと、軸方向油路81fに連通されたクラッチドラム11の径方向油路81gと、第1クラッチ10の油圧室15に開口するクラッチドラム11の開口部81hとによって構成されている。
第2クラッチ用の油圧室用作動油供給油路については、自動変速機1における第2クラッチ用の油圧室用作動油供給油路82を構成する第1スリーブ5の連通路81cに代えて、スリーブ部材104の第1スリーブ5の連通路81cを用いて構成されていること以外は同様にして構成されている。
第3クラッチ用の油圧室用作動油供給油路83は、図9に示すように、変速機ケース2の対向部2dに設けられた径方向油路83aと、シール部材108を介して径方向油路83aに連通されたスリーブ部材104の連通路83cと、連通孔83dを介してスリーブ部材104の連通路83cに連通されたクラッチドラム11の軸方向油路83fと、軸方向油路83fに連通されたクラッチドラム11の径方向油路83gと、第3クラッチ30の油圧室35に開口するクラッチドラム11の開口部83hとによって構成されている。
一方、遠心バランス室用作動油供給油路84は、図10に示すように、オイル貯留部85に連通されて変速機ケース2の外周部2a及び縦壁部2bに設けられた軸方向油路84a及び径方向油路84bと、径方向油路84bに連通されて変速機ケース2のボス部2cに設けられた軸方向油路84cと、クラッチドラム11の内側円筒部63とスリーブ部材104とによって形成され、変速機ケース2側の連通路84m及びスリーブ部材104側の連通路84nを介して軸方向油路84cに連通された油溜り部84dと、連通孔84eを介して油溜り部84dに連通されたクラッチドラム11の軸方向油路84f及び径方向油路84gとによって構成され、径方向油路84gの径方向外周側の開口部が第3クラッチ30の遠心バランス室36内に臨んでいる。
遠心バランス室用作動油供給油路84によって第3クラッチ30の遠心バランス室36に供給された作動油はまた、第1、第2遠心バランス室間連通路84j、84kを介して、第2クラッチ20の遠心バランス室26と、第1クラッチ10の遠心バランス室16とに順次供給されるようになっている。
このように、第2実施形態に係る自動変速機101についても、同一軸心上に配置された複数のクラッチのうち1つのクラッチ10のクラッチドラム11は、その径方向内方側に変速機ケース2の縦壁部2bから軸心に沿って延びるボス部2cの外周側に嵌合される円筒部63を備え、該円筒部63に、複数の作動油供給部に供給するための作動油を変速機ケース2から導入する複数の作動油導入部81d、82d、83d、84eが設けられ、作動油導入部81d、82d、83dは、円筒部63における内周側及び外周側に設けられる。
また、自動変速機101では、円筒部63とボス部2cとの間に、変速機ケース2から作動油導入部81d、82dに作動油を供給するための連通路81c、83cを備えた第1スリーブ105が配設され、円筒部63と対向部2dとの間に、変速機ケース2から作動油導入部83dに作動油を供給するための連通路83cを備えた第2スリーブ106が配設され、第1スリーブ105と第2スリーブ106とが一体化されることにより、第1スリーブと第2スリーブとを別体で形成する場合に比して、部品点数を削減することができると共に第1スリーブと第2スリーブとの位置のバラツキを抑制することができる。
本実施形態では、クラッチドラム11の内側円筒部63において内周側及び外周側に油圧室用の連通孔81d、82d、83dが設けられ、変速機ケース2の縦壁部2b側に遠心バランス室用の連通孔83eが設けられているが、クラッチドラム11の内側円筒部63において内周側又は外周側に遠心バランス室用の連通孔83eを設けるようにしてもよく、また、クラッチドラム11の内側円筒部63において変速機ケース2の縦壁部2b側に油圧室用の連通孔81d、82d、83dを設けるようにしてもよい。
また、クラッチドラム11の内側円筒部63において内周側に2つの作動油導入部としての連通孔81d、82dが設けられ、クラッチドラム11の内側円筒部63において外周側に1つの作動油導入部としての連通孔83eが設けられているが、内側円筒部63の外周側及び内周側にはそれぞれ少なくとも1つの作動油導入部が設けられる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、軸方向寸法の短縮を図ることができ、軸方向にコンパクトに構成することが可能であるので、クラッチドラムに複数の作動油供給部へ作動油を導入する作動油導入部が設けられたクラッチを備えた変速機ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1、101 自動変速機
2 変速機ケース
2b 縦壁部
2c ボス部
2c 対向面部
5、105 第1スリーブ
6、106 第2スリーブ
10、20、30 クラッチ
11、21、31 クラッチドラム
12、22、32 クラッチハブ
13、23、33 摩擦板
14、24、34 ピストン
15、25、35 油圧室
16、26、36 遠心バランス室
61 外側円筒部
62 底部
63 内側円筒部
81、82、83、84 作動油供給油路
81d、82d、83d、84e 連通孔
104 スリーブ部材

Claims (4)

  1. 変速機ケース内に同一軸心上に配置された複数のクラッチを備え、該複数のクラッチがそれぞれ、クラッチドラムと、クラッチハブと、該クラッチドラム及びクラッチハブ間に配置される複数の摩擦板と、該複数の摩擦板を押圧するピストンと、該ピストンを摩擦板方向に付勢する作動油が供給される油圧室とを有する変速機のクラッチ装置であって、
    前記複数のクラッチのうち1つのクラッチのクラッチドラムは、その径方向内方側に軸方向に延びる円筒部を備え、
    該円筒部は、前記変速機ケースの縦壁部から軸心に沿って延びるボス部の外周側に嵌合されると共に、当該クラッチ及び他のクラッチの前記油圧室を含む複数の作動油供給部に供給するための作動油を前記変速機ケースから導入する複数の作動油導入部を備え、
    前記作動油導入部は、前記円筒部における内周側及び外周側に設けられている、
    ことを特徴とする変速機のクラッチ装置。
  2. 前記作動油導入部は、前記円筒部における前記変速機ケースの縦壁部側にも設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速機のクラッチ装置。
  3. 前記変速機ケースに、前記ボス部の外周側に該ボス部に対向する対向部が設けられ、
    前記円筒部と前記ボス部との間に、前記変速機ケースから当該円筒部の内周側に設けられた前記作動油導入部に作動油を供給するための連通路を備えた第1スリーブが配設され、
    前記円筒部と前記対向部との間に、前記変速機ケースから当該円筒部の外周側に設けられた前記作動油導入部に作動油を供給するための連通路を備えた第2スリーブが配設され、
    前記第1スリーブと前記第2スリーブとが一体化されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変速機のクラッチ装置。
  4. 前記作動油供給部は、前記ピストンを反摩擦板方向に付勢する作動油が供給される遠心バランス室を含み、
    前記遠心バランス室用の前記作動油導入部は、前記円筒部における前記変速機ケースの縦壁部側に設けられている、
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の変速機のクラッチ装置。
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