JP6086702B2 - 複合遊星歯車機構の潤滑装置 - Google Patents
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Description
従来の複合遊星歯車機構の潤滑装置には、特開2000−145933号公報に、オイルキャッチプレートの外周側に弾性を有する取付足部を形成し、取付足部をキャリアの外周に弾性を利用して嵌め込み固定することで、オイルキャッチプレートをキャリアに取り付ける構造が開示されている。
また、従来の複合遊星歯車機構の潤滑装置には、特開昭61−24857号公報に、オイルキャッチプレートの外周に爪を設け、爪をキャリアの外周部に形成した取付用穴に折り曲げ固定することで、オイルキャッチプレートをキャリアに取り付ける構造が開示されている。
これに対して、前記特開2000−145933号公報に開示される構造では、弾性を持った取付足部を形成する必要があるため、オイルキャッチプレートの生産性が悪く、また、固定方法が弾圧であるため、外力による外れの懸念がある。また、前記特開昭61−24857号公報に開示される構造では、キャリアの側面にオイルキャッチプレートを当接させた状態で、オイルキャッチプレートの外周の爪をキャリアの外周部の取付用穴に折り曲げて固定する作業であるため、組み立てにおける生産工程が複雑であり、折り曲げによる固定であるため、キャリアとオイルキャッチプレートとの間に隙間が出来るおそれがあり、シール性が劣る問題がある。
また、従来の複合遊星歯車機構の潤滑装置においては、オイルキャッチプレートは回転する部品であるため、遠心力やその遠心力により発生する油圧により、オイルキャッチプレートを外そうとする力が働き、オイルキャッチプレートの外れの懸念がある。さらに、従来の複合遊星歯車機構の潤滑装置においては、シール性を上げるためにゴムシールを追加した構造があるが、ゴムシールにより押さえ摺動抵抗が高くなる、部品点数が多くなる、ゴムシールの取り付けに手間がかかる構造となる、遠心力等の外力によりオイルキャッチプレートが外れてしまうという課題がある。
また、この発明は、円筒部に第2遊星歯車機構のキャリアを軸方向に位置決めする段差部を形成し、オイルキャッチプレート外周の取付部を段差部と第2遊星歯車機構のキャリアの側面部との間に挟み込み、第2遊星歯車機構のキャリアを円筒部に固定したため、キャリアに対するオイルキャッチプレートの取り付け構造を簡素化できる。
よって、この発明は、キャリアとオイルキャッチプレートとの間から外部へのオイル漏れを抑制しつつ、キャリアに対するオイルキャッチプレートの取り付け構造を簡素化することができる。
前記第1遊星歯車機構3は、構成要素として、回転軸2と同軸に配置した第1サンギヤ5と、第1ピニオンシャフト6を介して第1キャリア7に支持される第1プラネタリギヤ8と、第1プラネタリギヤ8に噛み合う第1リングギヤ9とを備えている。第1サンギヤ5は、第一の補助駆動源に接続されている。第1ピニオンシャフト6は、第1プラネタリギヤ8を挟んで軸方向一端側を第1補助キャリア10に支持され、軸方向他端側を第1キャリア7に支持されている。第1ピニオンシャフト6は、複数設けられ、第1キャリア7及び第1補助キャリア10に対して周方向等間隔位置に配置されている。第1キャリア7は、回転軸2に固定されている。第1リングギヤ9の外周には、出力ギヤ38が配置されている。
前記第2遊星歯車機構4は、構成要素として、回転軸2と同軸に配置した第2サンギヤ11と、第2ピニオンシャフト12を介して第2キャリア13に支持される第2プラネタリギヤ14と、第2プラネタリギヤ14に噛み合う第2リングギヤ15とを備えている。第2サンギヤ11は、回転軸2に固定されている。第2ピニオンシャフト12は、第2プラネタリギヤ14を挟んで軸方向一端側を第2キャリア13に支持され、軸方向他端側を第2補助キャリア16に支持されている。第2ピニオンシャフト12は、複数(実施例においては4つ)設けられ、第2キャリア13及び第2補助キャリア16に対して周方向等間隔位置に配置されている。第2キャリア13は、前記第1リングギヤ9と相互に連結されている。第2リングギヤ15は、第二の補助駆動源に接続されている。
複合遊星歯車機構1の潤滑装置17は、回転軸2の内部に軸方向に延びる軸方向オイル通路18と、この軸方向オイル通路18に一端側を連通して他端側が回転軸2の第1キャリア7及び第2サンギヤ11間の外周面19に開口するように径方向に延びる径方向オイル通路20とからなる。径方向オイル通路20からは、第1遊星歯車機構3と第2遊星歯車機構4との間にオイルが送り出される。
前記第2遊星歯車機構4の第2ピニオンシャフト12には、オイル通路21を形成している。オイル通路21は、第2ピニオンシャフト12の軸方向一端側の端面22に一端側を開口して他端側が軸方向の中間まで延びる導入通路部23と、この導入通路部23の他端側に一端側を連通して他端側が第2ピニオンシャフト12の外周面24に開口するように径方向に延びる導出通路部25とからなる。第2ピニオンシャフト12のオイル通路21は、前記回転軸2の軸方向オイル通路18が送り出すオイルを第1遊星歯車機構3に対向する軸方向一端側の端面22から導入通路部23に取り入れて、導出通路部24から第2ピニオンシャフト12の外周面24に送り出し、第2プラネタリギヤ14を潤滑する。
前記オイルキャッチプレート26は、図2、図3に示すように、円環平板形状のプレート本体27の内周側に案内部28を設けている。案内部28は、プレート本体27の内周側を軸方向一側から他側に向かってテーパ円筒形状に縮径するように折り曲げて形成している。案内部28の外周側のプレート本体27には、周方向等間隔位置に軸方向一側に膨らむ複数の膨出部29を設けている。膨出部29は、前記第2ピニオンシャフト12の軸方向一端側の端面22に開口する導入通路部23と重なるように、導入通路部23と同数(実施例においては4つ)設けられている。また、オイルキャッチプレート26は、プレート本体27の外周に複数の取付部30を設けている。取付部30は、膨出部29の径方向外側位置であって周方向等間隔位置に、一部円環板形状に突出させて形成している。
前記第1遊星歯車機構3の第1リングギヤ9には、図4に示すように、軸方向端側に円筒部31を一体に形成している。円筒部31には、軸方向他端部位から軸方向中間部位までの内周を径方向外側に窪ませて内周部32を形成し、内周部32の軸方向中間部位側端部に第2遊星歯車機構4の第2キャリア13に対向する段差部33を形成している。円筒部31の内周部32には、第2遊星歯車機構4の第2キャリア13の外周部34が当接され、連結される。円筒部31の段差部33には、第2キャリア13の軸方向一側の側面部35がオイルキャッチプレート26の取付部30を介して当接され、第2キャリア13を軸方向に位置決めする。
次に、第2キャリア13を円筒部31に挿入して、図4(B)に示すように、第2キャリア13の外周部34を円筒部31の内周部32に係合させ、円筒部31の段差部33と第2キャリア13の側面部35との間にオイルキャッチプレート26の取付部30を挟み込む。これにより、第2キャリア13は、軸方向一側の側面部35をオイルキャッチプレート26の取付部30を介して円筒部31の段差部33に当接され、軸方向に位置決めされる。
円筒部31との間にオイルキャッチプレート26の取付部30を挟み込んだ第2キャリア13は、円筒部31に固定される。この実施例では、図1に示すように、第2キャリア13の外周部34を円筒部31の内周部32に溶接36によって固定する。なお、第2キャリア13と円筒部31との固定は、溶接36にかぎらず、スプライン嵌合により固定することもできる。互いに固定された第2キャリア13と第1リングギヤ9の円筒部31との間には、図5、図6に示すように、オイルキャッチプレート26が組み付けられる。第1リングギヤ9の円筒部31と第2キャリア13とに組み付けられたオイルキャッチプレート26は、第2キャリア13とオイルキャッチプレート26との間の隙間を、第1遊星歯車機構3の第1リングギヤ9に一体形成した円筒部31によって覆われる。
前記円筒部31と第2キャリア13とに組み付けられたオイルキャッチプレート26は、図1に示すように、案内部28及び膨出部29が第2キャリヤ13の側面部35及び第2ピニオンシャフト12の軸方向一端側の端面22から離れて位置され、第2ピニオンシャフト12の端面22と案内部28及び膨出部29との間に回転軸2の外周面19に向かって広がるオイル導入部37を画成する。
回転する回転軸2の遠心力によって径方向オイル通路20から飛散するオイルは、回転軸2の外周面19に向かって広がるオイルキャッチプレート26のオイル導入部37により収集され、第2ピニオンシャフト12の軸方向一端側の端面22に開口するオイル通路21に導入される。オイル通路21に導入されたオイルは、第2ピニオンシャフト12の外周面24に送り出され、第2プラネタリギヤ14を潤滑する。
また、複合遊星歯車機構1の潤滑装置17は、円筒部31に第2遊星歯車機構4の第2キャリア13を軸方向に位置決めする段差部33を形成し、オイルキャッチプレート26外周の取付部30を段差部33と第2キャリア13の側面部35との間に挟み込み、第2キャリア13を円筒部31に固定したため、第2キャリア13に対するオイルキャッチプレート26の取り付け構造を簡素化できる。
よって、この複合遊星歯車機構1の潤滑装置17は、第2キャリア13とオイルキャッチプレート26との間から外部へのオイル漏れを抑制しつつ、第2キャリア13に対するオイルキャッチプレート26の取り付け構造を簡素化することができる。また、シール性を上げるためにゴムシール等の部品を追加した構造でないため、摺動抵抗の高まりや部品点数の増加を招くこともない。
2 回転軸
3 第1遊星歯車機構
4 第2遊星歯車機構
5 第1サンギヤ
6 第1ピニオンシャフト
7 第1キャリア
8 第1プラネタリギヤ
9 第1リングギヤ
11 第2サンギヤ
12 第2ピニオンシャフト
13 第2キャリア
14 第2プラネタリギヤ
15 第2リングギヤ
17 潤滑装置
18 軸方向オイル通路
19 外周面
20 径方向オイル通路
21 オイル通路
22 端面
23 導入通路部
24 外周面
25 導出通路部
26 オイルキャッチプレート
27 プレート本体
28 案内部
29 膨出部
30 取付部
31 円筒部
32 内周部
33 段差部
34 外周部
35 側面部
36 溶接
37 オイル導入部
Claims (1)
- サンギヤと、リングギヤと、ピニオンシャフトを介してキャリアに支持されるピニオンギヤとを夫々に備える第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とを回転軸上に配置し、前記第1遊星歯車機構のリングギヤと前記第2遊星歯車機構のキャリアとを相互に連結し、前記第2遊星歯車機構のピニオンシャフトに前記第1遊星歯車機構側の端部からオイルを取り入れてこのピニオンシャフトの外周面に送るオイル通路を形成し、遠心力によって飛散するオイルを収集して前記オイル通路に導入するオイルキャッチプレートを前記第2遊星歯車機構のキャリアに取り付けた複合遊星歯車機構の潤滑装置において、前記第2遊星歯車機構のキャリアおよび前記オイルキャッチプレートの外周部が内周部に挿入される円筒部を前記第1遊星歯車機構のリングギヤと一体に形成し、前記円筒部に前記オイルキャッチプレートを介して前記第2遊星歯車機構のキャリアにおける軸方向一側の側面部を当接させることにより前記第2遊星歯車機構のキャリアを軸方向に位置決めする段差部を形成し、前記オイルキャッチプレート外周の取付部を前記段差部と前記第2遊星歯車機構のキャリアの側面部との間に挟み込んで前記第2遊星歯車機構のキャリアを前記円筒部に固定したことを特徴とする複合遊星歯車機構の潤滑装置。
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