JP2012077848A - 複合遊星歯車装置の潤滑構造 - Google Patents

複合遊星歯車装置の潤滑構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2012077848A
JP2012077848A JP2010223998A JP2010223998A JP2012077848A JP 2012077848 A JP2012077848 A JP 2012077848A JP 2010223998 A JP2010223998 A JP 2010223998A JP 2010223998 A JP2010223998 A JP 2010223998A JP 2012077848 A JP2012077848 A JP 2012077848A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
planetary gear
pinion
oil
shaft
gear device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010223998A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Nishimine
明子 西峯
Norihiro Yamamura
憲弘 山村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2010223998A priority Critical patent/JP2012077848A/ja
Publication of JP2012077848A publication Critical patent/JP2012077848A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

【課題】第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置の潤滑性能を向上させることができるとともに、潤滑油の供給経路を簡素化してコンパクトな複合遊星歯車装置の潤滑構造を提供すること。
【解決手段】複合遊星歯車装置20の潤滑構造は、ピニオンシャフト21PSの中心軸が、ピニオンシャフト22PSの中心軸に対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に設置され、ピニオンシャフト21PSの軸線方向に貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルが導入される入口端63aを有する油路63Aが形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、複合遊星歯車装置の潤滑構造に関し、特に、回転軸の軸線方向に対向して設けられた2つの遊星歯車装置に潤滑油を供給して潤滑するようにした複合遊星歯車装置の潤滑構造に関する。
従来、この種の複合遊星歯車装置として、ハイブリッド車両の動力伝達装置に搭載されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この複合遊星歯車装置は、駆動用モータの出力減速用のリヤ側遊星歯車装置と、内燃機関からの動力をモータジェネレータと一体型外輪部材としてのカウンタドライブギヤとに分配する動力分配機能を有するフロント側遊星歯車装置とから構成されている。
リヤ側遊星歯車装置およびフロント側遊星歯車装置は、それぞれサンギヤとピニオンギヤとを有し、内周面に各サンギヤの同心円上に各ピニオンギヤに噛合する内歯が形成されるとともに、外周面に外歯が形成されたカウンタドライブギヤを共有している。
そして、この従来の複合遊星歯車装置には、キャッチタンクから滴下された潤滑油としてのオイルと、オイルポンプから汲み上げられ、各サンギヤの内周部に挿通された回転軸内に形成された複数の油路を通じてオイルが供給された後、複合遊星歯車装置を構成する複数のギヤの回転によってオイルが攪拌されることにより複合遊星歯車装置内の潤滑が行われるようになっている。
従来の複合遊星歯車装置の潤滑構造を図7に基づいて説明する。図7において、複合遊星歯車装置110は、駆動用モータ113の出力減速用のリヤ側遊星歯車装置111と、内燃機関側からの動力をモータジェネレータ114とカウンタドライブギヤ115とに分配する動力分配機能を有するフロント側遊星歯車装置112とによって構成されている。
リヤ側遊星歯車装置111は、サンギヤS1と、サンギヤS1を取り囲む内歯のリングギヤR1と、サンギヤS1の周りに周方向等間隔に設けられてサンギヤS1およびリングギヤR1に噛合する複数のピニオンギヤPG1と、複数のピニオンギヤPG1を自転可能に支持するピニオンシャフトPS1が支持されるキャリアCr1とを有している。
サンギヤS1は、駆動用モータ113のロータ113aにスプライン嵌合されており、駆動用モータ113およびリヤ側遊星歯車装置111の回転中心部分には、駆動用モータ113およびリヤ側遊星歯車装置111を貫通するように延在するオイルポンプ駆動軸116が配設されている。
フロント側遊星歯車装置112は、サンギヤS2と、サンギヤS2を取り囲む内歯のリングギヤR2と、サンギヤS2の周りに周方向等間隔に設けられてサンギヤS2およびリングギヤR2に噛合する複数のピニオンギヤPG2と、複数のピニオンギヤPG2を自転可能に支持するピニオンシャフトPS2が支持されるとともにインプットシャフト117に連結されたキャリアCr2とを有している。
サンギヤS2は、内周部が内燃機関のインプットシャフト117にスプライン嵌合されるとともに、外周部がモータジェネレータ114のロータ114aにスプライン嵌合されており、モータジェネレータ114およびフロント側遊星歯車装置112の回転中心部分には、モータジェネレータ114およびフロント側遊星歯車装置112を貫通するように延在するインプットシャフト117が配設されている。
カウンタドライブギヤ115は、環状のリングギヤR1およびリングギヤR2を軸方向に連ねて構成されており、左右の駆動輪に動力を伝達するカウンタドリブンギヤ122に噛合している。
オイルポンプ駆動軸116およびインプットシャフト117には軸線方向に沿って油路116a、117aが形成されているとともに、半径方向に油路116a、117aに連通する油路116b、117bが形成されている。
また、複合遊星歯車装置110の上方に位置する動力伝達装置のトランスミッションケース118にはキャッチタンク119が設けられており、このキャッチタンク119には、動力伝達装置のトランスミッションケース118の底部に貯留され、デフケースの外周部に設けられたディファレンシャルギヤの回転によって掻き上げられるオイルが貯留されるようになっている。
また、トランスミッションケース118にはキャッチタンク119から排出されるオイルの通路となる油路118a、118bが形成されており、キャッチタンク119内のオイルは、油路118a、118bを介してリヤ側遊星歯車装置111に供給されるようになっている。
また、ピニオンシャフトPS1には軸線方向に沿って延在する油路119aおよび油路119aから半径方向に延在する油路119bが形成されており、キャッチタンク119から油路118a、118bを通してリヤ側遊星歯車装置111に滴下されたオイルは、油路119aに導入される。
ピニオンギヤPG1の油路119aに導入されたオイルは、ピニオンギヤPG1の回転による遠心力によって油路119bからピニオンギヤPG1の外周面とリングギヤR1の内周面の間に供給されることにより、ピニオンギヤPG1とリングギヤR1の間に設けられたニードルベアリング124が潤滑される。
また、ピニオンシャフトPS2には軸線方向に沿って延在する油路120aおよび油路120aから半径方向に延在する油路120bが形成されており、オイルポンプからオイルポンプ駆動軸116の油路116aおよびインプットシャフト117の油路117aに供給されたオイルは、インプットシャフト117の回転による遠心力によって油路117bを通してピニオンシャフトPS2の油路120aに導入されるようになっている。
油路120aに導入されたオイルは、ピニオンギヤPG2の回転による遠心力によって油路120bからピニオンシャフトPS2の外周面とピニオンギヤPG2の内周面の間に供給されることにより、ピニオンシャフトPS2とピニオンギヤPG2の間に設けられたニードルベアリング125が潤滑される。
なお、特許文献1に記載される複合遊星歯車装置110の潤滑構造は、キャリアCr1をトランスミッションケース118に固定して駆動用モータの出力をリヤ側遊星歯車装置111によって減速する形式であるが、特許文献2に示すように、リングギヤR2をトランスミッションケース118に固定するようにして駆動用モータ113の出力をリヤ側遊星歯車装置111によって減速する形式の複合遊星歯車装置にあっても同様のオイル供給形式である。
特開2009−216189号公報 特開2002−274201号公報
しかしながら、このような従来の複合遊星歯車装置110の潤滑構造にあっては、キャッチタンク119から供給されるオイルによってリヤ側遊星歯車装置111を潤滑するとともに、オイルポンプからオイルポンプ駆動軸116の油路116aおよびインプットシャフト117の油路117a、117bを介して供給されるオイルによってフロント側遊星歯車装置112を潤滑するようにしていたため、複合遊星歯車装置110にオイルを供給する経路が2経路となってしまう。このため、リヤ側遊星歯車装置111とフロント側遊星歯車装置112に供給されるオイル量にばらつきが発生してしまう。
すなわち、図8に示すように、内燃機関に連結されたインプットシャフト117によって駆動されるオイルポンプは、内燃機関の回転数に比例して回転数が増大するため、オイルポンプからオイルが供給されるフロント側遊星歯車装置112は、車両の低速走行時等にあっても十分な量のオイルが供給される。
これに対して、リヤ側遊星歯車装置111は、キャッチタンク119から供給されるオイルによって潤滑されるため、キャッチタンク119に貯留されるオイルが少ない運転状態、例えば、デフケースの外周部のディファレンシャルギヤによって掻き上げられるオイルが少ない車両の低速走行時、あるいは、車両の発進直後のようにキャッチタンクに十分なオイル量が貯留されていない運転状態では、リヤ側遊星歯車装置111に供給されるオイル量が不足してしまう。
特に、低速・高負荷運転時にリヤ側遊星歯車装置111の潤滑が求められる運転状態にあっては、リヤ側遊星歯車装置111に供給されるオイル量が不足してしまい、リヤ側遊星歯車装置111の潤滑性能が悪化してしまうことがある。
このように従来の複合遊星歯車装置110の潤滑構造は、リヤ側遊星歯車装置111とフロント側遊星歯車装置112に供給されるオイル量の最適化を図ることが困難であり、フロント側遊星歯車装置112に対してリヤ側遊星歯車装置111の潤滑性能が低下してしまうという課題がある。
また、キャッチタンク119から供給されるオイルによってリヤ側遊星歯車装置111を潤滑しているため、キャッチタンク119からリヤ側遊星歯車装置111にオイルを供給するための油路118a、118bをトランスミッションケース118に形成したり、オイルが流通する空間をトランスミッションケース118内に確保する必要がある。したがって、複合遊星歯車装置110の潤滑構造が大型化してしまうという課題がある。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置の潤滑性能を向上させることができるとともに、潤滑油の供給経路を簡素化してコンパクトな複合遊星歯車装置の潤滑構造を提供することを目的とする。
本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造は、上記目的を達成するため、(1)回転軸に一体回転自在に取付けられた第1のサンギヤと、前記第1のサンギヤに噛合する第1のピニオンギヤと、前記第1のピニオンギヤを回転自在に支持する第1のピニオンシャフトが固定された第1のキャリアとを含んで構成される第1の遊星歯車装置と、前記回転軸に一体回転自在に取付けられた第2のサンギヤと、前記第2のサンギヤに噛合する第2のピニオンギヤと、前記第2のピニオンギヤを回転自在に支持する第2のピニオンシャフトが固定された第2のキャリアとを含んで構成され、前記回転軸の軸線方向に対して前記第1の遊星歯車装置に対向して設けられた第2の遊星歯車装置とを備えた複合遊星歯車装置の潤滑構造であって、前記第2のピニオンシャフトの中心軸が前記第1のピニオンシャフトの中心軸に対して前記回転軸の中心軸の半径方向外方に設置され、前記第1のピニオンシャフトが、前記第1のピニオンシャフトの軸線方向に沿って延在し、入口端から導入された潤滑油を出口端から排出する貫通孔および前記貫通孔から前記第1のピニオンシャフトの半径方向外方に延在し、前記貫通孔から導入された潤滑油を前記第1のプラネタリシャフトの外周部と前記第1のピニオンギヤの内周部との間に導入する第1の導入路を有し、前記第2のピニオンシャフトが、前記第2のピニオンシャフトの軸線方向に沿って形成され、前記貫通孔の出口端から排出される潤滑油が導入される入口端を有する第2の導入路と、前記第2の導入路から前記第2のピニオンシャフトの半径方向外方に延在し、前記第2の導入路から導入された潤滑油を前記第2のプラネタリシャフトの外周部と前記第2のピニオンギヤの内周部との間に導入する第3の導入路を有するものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第1のピニオンシャフトが、第1のピニオンシャフトの軸線方向に沿って延在し、入口端から導入された潤滑油を出口端から排出する貫通孔および貫通孔から第1のピニオンシャフトの半径方向外方に延在し、貫通孔から導入された潤滑油を第1のプラネタリシャフトの外周部と第1のピニオンギヤの内周部との間に導入する第1の導入路を有するので、貫通孔から第1の導入路に導入された潤滑油が、第1のピニオンギヤが回転したときの遠心力によって第1の導入路から第1のピニオンシャフトおよび第1のピニオンギヤの間に導入されることにより、第1のピニオンシャフトおよび第1のピニオンギヤの摺動面が潤滑される。
また、第2のピニオンシャフトの中心軸が第1のピニオンシャフトの中心軸に対して回転軸の中心軸の半径方向外方に設置され、第2のピニオンシャフトが、第2のピニオンシャフトの軸線方向に沿って形成され、貫通孔の出口端から排出される潤滑油が導入される入口端を有する第2の導入路と、第2の導入路から第2のピニオンシャフトの半径方向外方に延在し、第2の導入路から導入された潤滑油を第2のプラネタリシャフトの外周部と第2のピニオンギヤの内周部との間に導入する第3の導入路を有するので、第1のキャリアの回転による遠心力によって貫通孔の出口端から排出される潤滑油が第2のピニオンシャフトの入口端から第2の導入路に導入される。
第2の導入路に潤滑油が導入されると、第2のピニオンギヤが回転したときの遠心力によって第2の導入路から第2のピニオンシャフトおよび第2のピニオンギヤの間に導入されることにより、第2のピニオンシャフトおよび第2のピニオンギヤの摺動面が潤滑される。
したがって、1つの供給経路によって第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置を潤滑することができ、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置に供給する潤滑油量の最適化を図ることができる。このため、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置の潤滑性能を向上させることができる。
また、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置に潤滑油を供給する経路を1つにすることができるため、潤滑油を供給するための経路を簡素化することができ、複合遊星歯車装置の潤滑構造をコンパクトにすることができる。
上記(1)に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造において、(2)前記回転軸が、オイルポンプから吐出される潤滑油が導入される潤滑油導入通路を有し、前記潤滑油導入通路と前記貫通孔の前記入口端との間に設けられ、前記潤滑油導入通路から排出される潤滑油を前記貫通孔の前記入口端に導入する潤滑油導入部を有するものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、回転軸が、オイルポンプから吐出される潤滑油が導入される潤滑油導入通路を有し、潤滑油導入通路と第1のピニオンシャフトの貫通孔の入口端との間に潤滑油導入通路から排出される潤滑油を貫通孔の入口端に導入する潤滑油導入部を有するので、オイルポンプから導入される潤滑油が貫通孔を通して第2の導入路に導入される。
このため、潤滑油導入通路から第2の導入路までの1つの供給経路によって第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置に供給される潤滑油量の最適化を図ることができる。
また、オイルポンプから供給される潤滑油によって第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置を潤滑することができるため、例えば、オイルポンプが内燃機関によって駆動される場合には、内燃機関の回転数に応じた量の潤滑油を第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置に供給することができる。
このため、従来のように内燃機関の低回転時にキャッチタンクから十分な量の潤滑油を一方の遊星歯車装置に供給することができないものに比べて、内燃機関の低回転時であっても、オイルポンプから十分な量の潤滑油を第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置に供給することができ、複合遊星歯車装置の潤滑性能を向上させることができる。
また、従来のように一方の遊星歯車装置にキャッチタンクから潤滑油を供給する場合には、内燃機関の低速回転時にオイルポンプから他方の遊星歯車装置に必要以上の潤滑油が供給され、潤滑油の一部が無駄になり、潤滑油を有効利用できない可能性がある。
これに対して、本発明では、オイルポンプから供給される潤滑油によって第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置、すなわち、2つの遊星歯車装置を潤滑することができるため、オイルポンプから吐出される潤滑油を有効利用することができる。
上記(2)に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造において、(3)前記第2のキャリアが、前記第2のピニオンシャフトの軸線方向両端部を支持する一対の支持壁を有し、前記第2のピニオンシャフトの軸線方向一端部が、前記貫通孔の前記出口端に近接するように前記第2のキャリアの一方の支持壁に支持されるものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第2のピニオンシャフトの軸線方向一端部が、第1のピニオンシャフトの貫通孔の出口端に近接するように第2のキャリアの一方の支持壁に支持されるので、第1のキャリアの回転による遠心力によって貫通孔の出口端から排出される潤滑油を第2のピニオンシャフトの入口端から第2の導入路に導くことができ、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置を確実に潤滑することができる。
上記(2)または(3)に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造において、(4)前記第2のキャリアの一方の支持壁の軸線方向の板厚が他方の支持壁の軸線方向の板厚よりも厚肉に形成されるものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第2のキャリアの一方の支持壁の軸線方向の板厚が他方の支持壁の軸線方向の板厚よりも厚肉に形成されるので、第2のピニオンシャフトを第2のピニオンシャフトの軸線方向の長い距離に亘って一方の支持壁に支持することができる。
このため、第2のピニオンシャフトの入口端側を第1のピニオンシャフトの出口端側に延出させて第1のピニオンシャフトの出口端に近接させることができる。
したがって、第1のキャリアの回転による遠心力によって貫通孔の出口端から排出される潤滑油を第2のピニオンシャフトの第2の導入路の入口端に容易に導くことができ、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置を確実に潤滑することができる。
上記(3)または(4)に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造において、(5)前記第1の遊星歯車装置が、前記第1のピニオンギヤに噛合する内歯が形成された第1の外輪部材を有し、前記第2の遊星歯車装置が、前記第2のピニオンギヤに噛合する内歯が形成された第2の外輪部材を有し、前記第2のキャリアの前記一方の支持壁が、前記第1の外輪部材の内周部に固定されるものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第2のキャリアの一方の支持壁が第1の外輪部材の内周部に固定されるので、第2のピニオンシャフトの入口端側を第1のピニオンシャフトの出口端側に延出させて第1のピニオンシャフトの出口端に近接させることができる。
このため、第1のキャリアの回転による遠心力によって貫通孔の出口端から排出される潤滑油を第2のピニオンシャフトの第2の導入路の入口端に容易に導くことができ、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置を確実に潤滑することができる。
上記(1)〜(5)に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造において、(6)前記第2の導入路の前記入口端と前記貫通孔の前記出口端との軸線方向の間隔は、前記第1のキャリアの回転による遠心力によって、前記貫通孔の出口端から排出される潤滑油が前記第2の導入路の前記入口端に導かれる間隔に設定されるものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第2の導入路の入口端と貫通孔の出口端との軸線方向の間隔が、第1のキャリアの回転による遠心力によって、貫通孔の出口端から排出される潤滑油が第2の導入路の入口端に導かれる間隔に設定されるので、貫通孔の出口端から排出される潤滑油を第2の導入路の入口端を通して第2の導入路に確実に導入することができ、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置をより確実に潤滑することができる。
上記(3)〜(6)に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造において、(7)前記第2のキャリアの前記一方の支持壁に、前記第2の導入路の前記入口端に対して前記回転軸の中心軸の半径方向外方に位置し、前記貫通孔の前記出口端から排出された潤滑油を前記第2の導入路の前記入口端に導く潤滑油案内部材を設けたものから構成されている。
この複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第2のキャリアの一方の支持壁に、第2の導入路の入口端に対して回転軸の中心軸の半径方向外方に位置し、貫通孔の出口端から排出された潤滑油を第2の導入路の入口端に導く潤滑油案内部材を設けたので、貫通孔の出口端から排出される潤滑油を入口端を通して第2の導入路により一層確実に導入することができ、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置をより一層確実に潤滑することができる。
本発明によれば、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置の潤滑性能を向上させることができるとともに、潤滑油の供給経路を簡素化してコンパクトな複合遊星歯車装置の潤滑構造を提供することができる。
本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第1の実施の形態を示す図であり、動力伝達装置の断面図である。 本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第1の実施の形態を示す図であり、複合遊星歯車装置の潤滑構造が適用される動力伝達装置の要部断面図である。 本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第1の実施の形態を示す図であり、複合遊星歯車装置に供給される潤滑油の経路を示す図である。 本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第2の実施の形態を示す図であり、動力伝達装置の断面図である。 本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第2の実施の形態を示す図であり、複合遊星歯車装置の潤滑構造が適用される動力伝達装置の要部断面図である。 本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第2の実施の形態を示す図であり、複合遊星歯車装置に供給される潤滑油の経路を示す図である。 従来の複合遊星歯車装置の潤滑構造が適用される動力伝達装置の要部断面図である。 キャッチタンクとオイルポンプとによる複合遊星歯車装置へのオイル供給量と内燃機関の回転数および車速との関係を示す図である。
以下、本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図3は、本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、車両用の動力伝達装置は、トランスミッションケース10の一部を構成するケース11内に変速機構を構成する複合遊星歯車装置20と、左側駆動軸31および右側駆動軸32への差動出力が可能なディファレンシャル機構30とを収容しており、複合遊星歯車装置20の入力要素を駆動するモータ型駆動手段40を装着したトランスアクスルタイプのものである。
また、モータ型駆動手段40は、ケース11の一端側に位置する駆動用モータ41と、内燃機関からの動力により発電可能なモータジェネレータ42とを含んで構成されている。
ケース11の一端側(図1中、左端側)にはカバー12が液体密に装着されており、ケース11の他端側には、図示しないエンジンブロック側に締結支持されたハウジング13が締結されている。
また、ハウジング13内は、カバー14によりモータジェネレータ42の収容部分と内燃機関からの駆動力伝達機構であるダンパー要素5の収容部分とに区画されている。
そして、これらケース11、カバー12、14およびハウジング13によってトランスミッションケース10が構成されている。
複合遊星歯車装置20は、駆動用モータ41の出力減速用の第2の遊星歯車装置としてのリヤ側遊星歯車装置21と、内燃機関側からの動力をモータジェネレータ42とカウンタドライブギヤ23とに分配する動力分配機能を有する第1の遊星歯車装置としてのフロント側遊星歯車装置22とによって構成されている。
リヤ側遊星歯車装置21は、駆動用モータ41のロータ41aにスプライン結合した第2のサンギヤとしてのサンギヤ21Sと、サンギヤ21Sを取り囲む内歯のリングギヤ21Rと、サンギヤ21Sの周りに周方向等間隔に設けられてサンギヤ21Sおよびリングギヤ21Rに噛合する第2のピニオンギヤとしての複数のピニオンギヤ21PGと、複数のピニオンギヤ21PGを予め設定された公転半径位置に回転自在に支持する第2のキャリアとしてのキャリア21Crとによって構成されている。
図2に示すように、キャリア21Crは、ピニオンギヤ21PGをニードルベアリング28を介して回転自在に支持する第2のピニオンシャフトとしてのピニオンシャフト21PSと、このピニオンシャフト21PSの軸線方向の両端部が固定される支持壁24a、24bとを含んで構成されており、支持壁24bは、ベアリング25を介してインプットシャフト15に回転自在に支持されている。
なお、支持壁24bは、ピニオンシャフト21PSの軸線方向一端部を支持しており、支持壁24aは、ピニオンシャフト21PSの軸線方向他端部を支持している。
また、フロント側遊星歯車装置22は、インプットシャフト15およびオイルポンプ駆動軸51の軸線方向に対してリヤ側遊星歯車装置21に対向して設けられている。
フロント側遊星歯車装置22は、モータジェネレータ42のロータ42aにスプライン結合した第1のサンギヤとしてのサンギヤ22Sと、このサンギヤ22Sを取り囲む内歯のリングギヤ22Rと、サンギヤ22Sの周りに周方向等間隔に設けられてサンギヤ22Sおよびリングギヤ22Rに噛合する第1のピニオンギヤとしての複数のピニオンギヤ22PGと、複数のピニオンギヤ22PGを自転可能に支持するとともにインプットシャフト15に固定された第1のキャリアとしてのキャリア22Crとを有している。
キャリア22Crは、ピニオンギヤ22PGをニードルベアリング29を介して回転自在に支持する第1のピニオンシャフトとしてのピニオンシャフト22PSと、このピニオンシャフト22PSの軸線方向の両端部が固定される支持壁26a、26bとを含んで構成されており、支持壁26aがインプットシャフト15に固定されてインプットシャフト15と一体回転するようになっている。
また、リヤ側遊星歯車装置21の第2の外輪部材としてリングギヤ21Rは、ケース11に固定されている。また、フロント側遊星歯車装置22のリングギヤ21Rは、カウンタドライブギヤ23と一体的に構成されてカウンタドライブギヤ23と共に第1の外輪部材を構成しており、カウンタドライブギヤ23の内周部にキャリア22Crの支持壁24bが固定されている。
本実施の形態は、複合遊星歯車装置20は、キャリア21Crの支持壁24bがカウンタドライブギヤ23の内周部に固定されることによって、リヤ側遊星歯車装置21およびフロント側遊星歯車装置22が一体化される。
また、キャリア21Crの支持壁24bは、支持壁24aよりもピニオンシャフト22PSの軸線方向に対して厚肉に形成されており、この支持壁24bは、カウンタドライブギヤ23の内周部に軸線方向に亘って広い面積で固定されているため、支持壁24bはカウンタドライブギヤ23に強固に取付けられる。
また、カウンタドライブギヤ23の一端部は、ベアリング27を介してハウジング13に回転自在に支持されており、このカウンタドライブギヤ23は、カウンタドリブンギヤ33に噛合している。
カウンタドリブンギヤ33は、ファイナルドライブギヤ34が一体に形成されたカウンタシャフト35にスプライン結合しており、ファイナルドライブギヤ34は、ディファレンシャル機構30のデフケース36に締結・外装されたファイナルギヤであるディファレンシャルギヤ37に噛合している。
また、デフケース36内には、一対のディファレンシャルピニオン38a、38bと、左右一対のディファレンシャルサイドギヤ39a、39bが設けられている。なお、このような複数のギヤ23、33、34、37による減速やディファレンシャル機構30の機能等は公知であり、ここでは詳述しない。
駆動用モータ41は、例えば、永久磁石41mが装着されたロータ41aと、三相コイル41cが巻回されたステータ41bとを有する永久磁石同期電動機として構成されており、ロータ41aはケース11にベアリング43を介して回転自在に支持されるとともに、そのケース11の内方側の端部でリヤ側遊星歯車装置21のサンギヤ21Sにスプライン結合している。
また、ロータ41aの軸方向外端部は、カバー12にベアリング44を介して回転自在に支持されている。
モータジェネレータ42は、例えば、永久磁石42mが装着されたロータ42aと、三相コイル42cが巻回されたステータ42bとを有する永久磁石同期発電電動機として構成されており、ロータ42aは、インプットシャフト15に回転自在に支持されるとともにハウジング13にベアリング45を介して回転自在に支持され、ケース11の内方側の端部でフロント側遊星歯車装置22のサンギヤ22Sにスプライン結合している。
また、ロータ42aの内燃機関側の端部は、ハウジング13内のカバー14にベアリング46を介して回転自在に支持されている。
また、モータジェネレータ42およびフロント側遊星歯車装置22の回転中心部分には、モータジェネレータ42のロータ42aおよびフロント側遊星歯車装置22のサンギヤ22Sを貫通するように延在するインプットシャフト15が配設されており、駆動用モータ41およびリヤ側遊星歯車装置21の回転中心部分には、駆動用モータ41のロータ41aおよびリヤ側遊星歯車装置21のサンギヤ21Sを貫通するように延在するオイルポンプ駆動軸51が配設されている。なお、インプットシャフト15およびオイルポンプ駆動軸51は、回転軸を構成している。
インプットシャフト15は、一端部が内燃機関のクランクシャフト16に回転方向一体に係合されるとともに、他端部がフロント側遊星歯車装置22のサンギヤ22Sにスプライン嵌合されているとともに、キャリア22Crに固定されており、内燃機関からの動力をフロント側遊星歯車装置22に伝達するようになっている。
オイルポンプ駆動軸51は、一端部がインプットシャフト15に回転方向一体に係合されるとともに、他端部がオイルポンプ52に接続されており、インプットシャフト15からの動力をオイルポンプ52に伝達するようになっている。
また、オイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15内には、油路51aおよび油路15aがそれぞれ形成されており、この油路51aおよび油路15aを通じてオイルポンプ52により汲み上げられた潤滑油としてのオイルがリヤ側遊星歯車装置21およびフロント側遊星歯車装置22に送り出されるようになっている。
また、オイルポンプ駆動軸51には油路51bが形成されており、この油路51bは、油路51aからオイルポンプ駆動軸51の半径方向外方に延在し、油路51bに導入されたオイルをオイルポンプ駆動軸51の遠心力によってオイルポンプ駆動軸51とロータ41aの間に供給するようになっている。
また、インプットシャフト15には油路15bが形成されており、この油路15bは、油路15aからインプットシャフト15の半径方向外方に延在している。
油路15bは、油路15aに導入されたオイルをインプットシャフト15の遠心力によってサンギヤ22Sとロータ42aとの隙間Sを通してケース11とハウジング13とによって画成され、複合遊星歯車装置20を収容する収容室17に供給するようになっている。
一方、オイルポンプ52は、オイルポンプ駆動軸51の端部に装着されたインナーロータ53と、インナーロータ53の半径方向外方に設けられたアウターロータ54とから構成された、所謂、トロコイド式のオイルポンプから構成されている。
また、カバー12にはポンプカバー55が取付けられており、このポンプカバー55には、オイルポンプ52にオイルを導入する導入ポート55aと、オイルポンプ52から吐出されたオイルをオイルポンプ駆動軸51の油路51aに供給する吐出通路55bとケース11に形成されたオイル供給通路56に供給する吐出通路55cとが形成されている。
このオイル供給通路56は、吐出通路55bからカバー12の上方に向かって延在しており、出口開口端にオイルパイプ57の一端部が挿通されている。
このオイルパイプ57には駆動用モータ41のステータ41bに対向する下方側に図示しない噴射孔が形成されており、オイルポンプ52から吐出通路55cおよびオイル供給通路56を介してオイルパイプ57に供給されたオイルは、噴射孔からステータ41bに供給されることで駆動用モータ41が冷却される。
また、複合遊星歯車装置20の上方にはケース11とハウジング13によって画成されるキャッチタンク58が形成されており、このキャッチタンク58にはディファレンシャルギヤ37によって掻き上げられたトランスミッションケース10の底面のオイルが貯留されるようになっている。
ハウジング13の壁面にはオイル落とし穴13aが形成されており、キャッチタンク58に貯留されたオイルは、オイル落とし穴13aからモータジェネレータ42のステータ42bに滴下されることにより、モータジェネレータ42が冷却される。
一方、図2に示すように、ピニオンシャフト22PSには貫通孔61Aが形成されており、この貫通孔61Aは、ピニオンシャフト22PSの軸線方向に沿って延在している。
また、ピニオンシャフト22PSには第1の導入路としての油路61Bが形成されており、この油路61Bは、貫通孔61Aからピニオンシャフト22PSの半径方向外方に延在している。
貫通孔61Aは、ピニオンシャフト22PSの軸線方向の一端に入口端61aを備えており、この入口端61aには油路15bからサンギヤ22Sとロータ42aとの隙間Sを通して収容室17に供給されたオイルが導入されるようになっている。
入口端61aから貫通孔61Aに導入されたオイルは、キャリア22Crの回転による遠心力によって油路61Bからピニオンシャフト22PSとピニオンギヤ22PGの間に介装されたニードルベアリング29に供給されるようになっている。
また、ピニオンギヤ22PGには油路62が形成されており、この油路62は、ピニオンギヤ22PGの半径方向に沿って延在している。この油路62は、ピニオンギヤ22PGとピニオンシャフト22PSとの間に導入されたオイルをピニオンギヤ22PGの回転による遠心力によってピニオンギヤ22PGとリングギヤ22Rの噛合面に供給するようになっている。
また、ピニオンシャフト21PSには第2の導入路としての油路63Aが形成されており、この油路63Aは、ピニオンシャフト21PSの軸線方向に沿って延在している。また、ピニオンシャフト21PSには第3の導入路としての油路63Bが形成されており、この油路63Bは、油路63Aからピニオンシャフト22PSの半径方向外方に延在している。
本実施の形態では、ピニオンシャフト21PSの中心軸がピニオンシャフト22PSの中心軸に対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に設置されている。
また、ピニオンシャフト21PSは、軸線方向の一端に入口端63aを備えており、キャリア22Crの回転による遠心力によって貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルが入口端63aに導入されるようになっている。
また、ピニオンギヤ22PGは、厚肉の支持壁24bに支持されることによって、入口端63aがピニオンシャフト22PSの出口端61bに近接している。この入口端63aと出口端61bの軸線方向の間隔は、キャリア22Crの回転による遠心力によって、出口端61bから排出されるオイルが入口端63aに導入される間隔に設定されている。
また、ピニオンシャフト21PSには第2の導入路としての油路63Bが形成されており、この油路63Bは、油路63Aからピニオンシャフト21PSの半径方向外方に延在している。
入口端63aから油路63Aに導入されたオイルは、キャリア21Crの回転による遠心力によって油路63Bからピニオンシャフト21PSとピニオンギヤ21PGの間に介装されたニードルベアリング28に供給されるようになっている。
なお、油路63Bは、ピニオンシャフト21PSの軸線方向長さに対して2/3程度の長さに形成されているが、この油路63Bは、貫通孔であってもよい。
また、ピニオンギヤ21PGには油路64が形成されており、この油路64は、ピニオンギヤ21PGの半径方向に沿って延在している。油路64は、ピニオンギヤ21PGとピニオンシャフト21PSとの間に導入されたオイルをピニオンギヤ21PGの回転による遠心力によってピニオンギヤ21PGとリングギヤ21Rの噛合面に供給するようになっている。
なお、本実施の形態では、オイルポンプ駆動軸51の油路51aおよびインプットシャフト15の油路15a、15bがオイルポンプ52から吐出されるオイルが導入される潤滑油導入通路を構成し、サンギヤ22Sとロータ42aとの隙間Sおよび収容室17が潤滑油導入部を構成している。
また、支持壁24bには潤滑油案内部材としての環状のレシーバ66が設けられており、このレシーバ66は、入口端63aに対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に位置している。
このレシーバ66は、半径方向外方に位置して支持壁24bに固定された円板状の円板部66aと、円板部66aに対して半径方向内方に位置するとともに、円板部66aからピニオンギヤ22PGの出口端61b側に向かって傾斜する傾斜部66bとを備えており、出口端61bから排出されたオイルを傾斜部66bに衝突させて入口端63aに導くようになっている。
次に、作用を説明する。
駆動用モータ41の動力をリヤ側遊星歯車装置21によって減速してカウンタドライブギヤ23に出力する場合には、駆動用モータ41のロータ41aと一体回転するサンギヤ21Sによってピニオンギヤ21PGが自転しながらサンギヤ21Sの周囲を公転する。
このため、カウンタドライブギヤ23に固定されたキャリア21Crがカウンタドライブギヤ23と共に回転することにより、駆動用モータ41の動力がカウンタドライブギヤ23に減速して出力される。
また、内燃機関側からの動力をモータジェネレータ42とカウンタドライブギヤ23とに分配する場合には、インプットシャフト15に固定されたフロント側遊星歯車装置22のキャリア22Crがインプットシャフト15と一体回転する。
このため、ピニオンギヤ22PGが自転しながらサンギヤ22Sの周囲を公転することで、カウンタドライブギヤ23に内燃機関の動力が伝達される。また、カウンタドライブギヤ23に固定されたリヤ側遊星歯車装置21のキャリア21Crからサンギヤ21Sを介して駆動用モータ41のロータ41aに動力が伝達される。
一方、インプットシャフト15の回転に伴ってオイルポンプ駆動軸51がインプットシャフト15と一体回転することにより、オイルポンプ52が駆動されてオイルポンプ52からオイルが吐出される。
オイルポンプ52から吐出されるオイルは、ポンプカバー55の吐出通路55cからオイルポンプ駆動軸51の油路51aを介してインプットシャフト15の油路15aに供給される。なお、図3に、オイルの流れを太線で示す。
油路15aに供給されたオイルは、インプットシャフト15の回転による遠心力によって油路15bからサンギヤ22Sとロータ42aとの隙間Sを介して収容室17に供給される。
収容室17に供給されたオイルは、ピニオンシャフト22PSの入口端61aから貫通孔61Aに導入され、キャリア22Crの回転による遠心力によって油路61Bからニードルベアリング29に供給されることにより、ニードルベアリング29が潤滑される。
また、ピニオンシャフト22PSとピニオンギヤ22PGとの間に導入されたオイルは、ピニオンギヤ22PGの回転による遠心力によってピニオンギヤ22PGの油路62を通してピニオンギヤ22PGとリングギヤ22Rの間に供給されることにより、ピニオンギヤ22PGとリングギヤ22Rの噛合面が潤滑される。
一方、キャリア22Crの回転による遠心力によって貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルは、出口端61bに対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に飛散する。
本実施の形態では、ピニオンシャフト21PSの中心軸がピニオンシャフト22PSの中心軸に対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に設置されているため、出口端61bから排出されたオイルは、ピニオンギヤ21PGの入口端63aに導入されることになる。
このとき、ピニオンギヤ21PGの入口端63aに対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に位置するように、支持壁24bにレシーバ66が取付けられており、このレシーバ66がピニオンギヤ22PGの出口端61b側に向かって傾斜する傾斜部66bを有しているので、出口端61bから排出されたオイルは、傾斜部66bに衝突されて入口端63aに導かれる。
ピニオンギヤ21PGの油路63Aに導入されたオイルは、キャリア21Crの回転による遠心力によって油路63Bからニードルベアリング28に供給されることにより、ニードルベアリング28が潤滑される。
また、ピニオンシャフト21PSとピニオンギヤ21PGとの間に導入されたオイルは、ピニオンギヤ21PGの回転による遠心力によってピニオンギヤ21PGの油路64を通してピニオンギヤ21PGとリングギヤ21Rの間に供給されることにより、ピニオンギヤ21PGとリングギヤ21Rの噛合面が潤滑される。
このように本実施の形態では、貫通孔61Aから油路61Bに導入されたオイルをキャリア22Crが回転したときの遠心力によって油路61Bからピニオンシャフト22PSおよびピニオンギヤ22PGの間に導入することにより、ニードルベアリング29を潤滑することができる。
また、ピニオンシャフト21PSの中心軸を、ピニオンシャフト22PSの中心軸に対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に設置し、ピニオンシャフト21PSの軸線方向に貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルが導入される入口端63aを有する油路63Aを形成したので、キャリア22Crの回転による遠心力によって貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルをピニオンシャフト21PSの入口端63aを通して油路63Aに導入することができる。
このため、キャリア21Crが回転したときの遠心力によって油路63Bからピニオンシャフト21PSおよびピニオンギヤ21PGの間に導入して、ニードルベアリング28を潤滑することができる。
したがって、1つの供給経路によってフロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21を潤滑することができ、フロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21に供給するオイル量の最適化を図ることができる。このため、フロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21の潤滑性能を向上させることができる。
また、フロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21にオイルを供給する経路を1つにすることができるため、オイルを供給するための経路を簡素化することができ、複合遊星歯車装置20の潤滑構造をコンパクトにすることができ、結果的にトランスミッションケース10をコンパクトにすることができる。
また、本実施の形態では、オイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15が、オイルポンプ52から吐出されるオイルが導入される油路51a、15a、15bを有し、油路15bとピニオンシャフト22PSの入口端61aとの間に、油路15bから排出されるオイルを入口端61aに導入するサンギヤ22Sとロータ42aとの隙間Sおよび収容室17を有する。
このため、オイルポンプ52から導入されるオイルをピニオンシャフト22PSの貫通孔61Aを通してピニオンシャフト21PSの油路63Aに導入することができる。
したがって、オイルポンプ駆動軸51の油路51aから貫通孔61Aまでの1つの供給経路によってフロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21に供給されるオイル量の最適化を図ることができる。
また、内燃機関によって駆動されるオイルポンプ52から供給されるオイルによってフロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21を潤滑することができるため、内燃機関の回転数に応じた量のオイルをフロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21に供給することができる。
このため、従来のように内燃機関の低回転時にキャッチタンクから十分な量のオイルを一方の遊星歯車装置に供給することができないものに比べて、内燃機関の低回転時であっても、オイルポンプ52から十分な量のオイルをフロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21に供給することができ、複合遊星歯車装置20の潤滑性能を向上させることができる。
また、従来のように一方の遊星歯車装置にキャッチタンクからオイルを供給する場合には、内燃機関の低速回転時にオイルポンプから他方の遊星歯車装置に必要以上のオイルが供給され、オイルの一部が無駄になり、オイルを有効利用できない可能性がある。
これに対して、本実施の形態では、オイルポンプ52から供給されるオイルによってフロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21、すなわち、2つの遊星歯車装置を潤滑することができるため、オイルポンプ52から吐出されるオイルを有効利用することができる。
また、本実施の形態では、リヤ側遊星歯車装置21のキャリア21Crが、ピニオンシャフト21PSの軸線方向両端部を支持する一対の支持壁24a、24bを有し、ピニオンシャフト21PSが、ピニオンシャフト22PSの出口端61bに近接するように支持壁24bに支持される。
このため、キャリア22Crの回転による遠心力によって貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルをピニオンシャフト21PSの入口端63aから油路63Aに導入することができ、フロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21を確実に潤滑することができる。
また、本実施の形態では、キャリア22Crの支持壁24bの軸線方向の板厚を支持壁24aの軸線方向の板厚よりも厚肉に形成したので、ピニオンシャフト21PSをこのピニオンシャフト21PSの軸線方向の長い距離に亘って支持壁24bに支持することができる。
このため、ピニオンシャフト21PSの軸線方向の一端部(入口端63a側)をピニオンシャフト22PSの出口端61b側に延出させてピニオンシャフト22PSの出口端61bに近接させることができる。
このため、ピニオンシャフト22PSの回転による遠心力によって貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルをピニオンシャフト21PSの入口端63aに容易に導くことができ、フロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21を確実に潤滑することができる。
特に、本実施の形態では、入口端63aと出口端61bの軸線方向の間隔を、キャリア22Crの回転による遠心力によって、出口端61bから排出されるオイルが入口端63aに導かれる間隔に設定したので、出口端61bから排出されるオイルを入口端63aを通して油路63Aに確実に導くことができ、フロント側遊星歯車装置22およびリヤ側遊星歯車装置21をより一層確実に潤滑することができる。
また、本実施の形態では、フロント側遊星歯車装置22が、ピニオンギヤ22PGに噛合する内歯が形成されたリングギヤ22Rを有し、リヤ側遊星歯車装置21が、ピニオンギヤ21PGに噛合する内歯が形成されたリングギヤ21Rを有し、キャリア21Crの支持壁24bをリングギヤ21Rと一体的に設けられたカウンタドライブギヤ23の内周部に固定している。
このため、ピニオンシャフト21PSの入口端63a側をピニオンシャフト22PSの出口端61b側に延出させてピニオンシャフト21PSの出口端61bに近接させることができる。
このため、キャリア22Crの回転による遠心力によってピニオンシャフト22PSの貫通孔61Aの出口端61bから排出されるオイルをピニオンシャフト21PSの入口端63aに容易に導くことができ、リヤ側遊星歯車装置21およびフロント側遊星歯車装置22を確実に潤滑することができる。
さらに、本実施の形態では、キャリア21Crの支持壁24bに、ピニオンシャフト22PSの出口端61bから排出されたオイルをピニオンシャフト21PSの入口端63aに導くレシーバ66を設けたので、出口端61bから排出されるオイルを入口端63aを通して油路63Aにより一層確実に導くことができ、リヤ側遊星歯車装置21およびフロント側遊星歯車装置22をより一層確実に潤滑することができる。
(第2の実施の形態)
図4〜図6は、本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には、同一番号を付して説明を省略する。なお、第1の実施の形態の複合遊星歯車装置が、リングギヤをトランスミッションケースに固定して駆動用モータの出力をリヤ側遊星歯車装置によって減速する形式であるのに対して、本実施の形態は、キャリアをトランスミッションケースに固定して駆動用モータの出力をリヤ側遊星歯車装置によって減速する形式である点が異なる。
図4、図5において、複合遊星歯車装置70は、駆動用モータ41の出力減速用の第2の遊星歯車装置としてのリヤ側遊星歯車装置71と、内燃機関側からの動力をモータジェネレータ42とカウンタドライブギヤ73とに分配する動力分配機能を有する第1の遊星歯車装置としてのフロント側遊星歯車装置72とによって構成されている。
これらリヤ側遊星歯車装置71およびフロント側遊星歯車装置72は、外周側の第1の外輪部材としてのリングギヤ72Rと第2の外輪部材としてのリングギヤ71Rとをオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の軸線方向に連ねた一体型外輪部材としてのカウンタドライブギヤ73により接続されている。
リヤ側遊星歯車装置71は、駆動用モータ41のロータ41aにスプライン結合した第2のサンギヤとしてのサンギヤ71Sと、サンギヤ71Sを取り囲む内歯のリングギヤ71Rと、サンギヤ71Sの周りに周方向等間隔に設けられてサンギヤ71Sおよびリングギヤ71Rに噛合する第2のピニオンギヤとしての複数のピニオンギヤ71PGと、複数のピニオンギヤ71PGを予め設定された公転半径位置に回転自在に支持する第2のキャリアとしてのキャリア71Crとによって構成されている。
キャリア71Crは、ピニオンギヤ71PGをニードルベアリング74を介して回転自在に支持する第2のピニオンシャフトとしてのピニオンシャフト71PSと、このピニオンシャフト71PSの軸線方向の両端部が固定される支持壁76a、76bとを含んで構成されている。
支持壁76aの半径方向外周部にはスプライン部76sが形成されており、このスプライン部76sは、ケース11に形成されたスプライン部11aにスプライン嵌合されることで、ケース11に対して回転不能に固定されている。なお、支持壁76bは、ピニオンシャフト71PSの軸線方向一端部を支持しており、支持壁76aは、ピニオンシャフト71PSの軸線方向他端部を支持している。
また、キャリア71Crの支持壁76bは、支持壁76aよりもピニオンシャフト72PSの軸線方向に対して厚肉に形成されており、インプットシャフト15は、ベアリング78を介して支持壁76bに対して回転自在となっている。
また、フロント側遊星歯車装置72は、インプットシャフト15およびオイルポンプ駆動軸51の軸線方向に対してリヤ側遊星歯車装置71に対向して設けられている。
フロント側遊星歯車装置72は、モータジェネレータ42のロータ42aにスプライン結合した第1のサンギヤとしてのサンギヤ72Sと、このサンギヤ72Sを取り囲む内歯のリングギヤ72Rと、サンギヤ72Sの周りに周方向等間隔に設けられてサンギヤ72Sおよびリングギヤ72Rに噛合する第1のピニオンギヤとしての複数のピニオンギヤ72PGと、複数のピニオンギヤ72PGを自転可能に支持するとともにインプットシャフト15に固定された第1のキャリアとしてのキャリア72Crとを有している。
キャリア72Crは、ピニオンギヤ72PGをニードルベアリング75を介して回転自在に支持する第1のピニオンシャフトとしてのピニオンシャフト72PSと、このピニオンシャフト72PSの軸線方向の両端部が固定される支持壁77a、77bとを含んで構成されており、支持壁77aがインプットシャフト15に固定されてインプットシャフト15と一体的に回転するようになっている。
カウンタドライブギヤ73は、環状のリングギヤ71Rおよびリングギヤ72Rを軸線方向に連ねて一体構成されており、内周面にはピニオンギヤ71PGおよびピニオンギヤ72PGにそれぞれ噛合する内歯が形成されているとともに、外周面にはカウンタドリブンギヤ33に噛合する外歯が形成されている。
一方、ピニオンシャフト72PSには貫通孔81Aが形成されており、この貫通孔81Aは、ピニオンシャフト72PSの軸線方向に沿って延在している。また、ピニオンシャフト72PSには第1の導入路としての油路81Bが形成されており、この油路81Bは、油路81Bからピニオンシャフト72PSの半径方向外方に延在している。
貫通孔81Aは、ピニオンシャフト72PSの軸線方向の一端の入口端81aを備えており、この入口端81aには油路15bからサンギヤ72Sとロータ42aとの隙間Sを通して収容室17に供給されたオイルが導入されるようになっている。
入口端81aから貫通孔81Aに導入されたオイルは、キャリア72Crの回転による遠心力によって油路81Bからピニオンシャフト72PSとピニオンギヤ72PGの間に介装されたニードルベアリング75に供給される。
また、ピニオンギヤ72PGには油路82が形成されており、この油路82は、ピニオンギヤ72PGの半径方向に沿って延在している。油路82は、ピニオンギヤ72PGとピニオンシャフト72PSとの間に導入されたオイルをピニオンギヤ72PGの回転による遠心力によってピニオンギヤ72PGとリングギヤ72Rの噛合面に供給するようになっている。
また、ピニオンシャフト71PSには第2の導入路としての貫通孔83Aが形成されており、この貫通孔83Aは、ピニオンシャフト71PSの軸線方向に沿って延在している。また、ピニオンシャフト71PSには第3の導入路としての油路83Bが形成されており、この油路83Bは、貫通孔83Aからピニオンシャフト72PSの半径方向外方に延在している。
本実施の形態では、ピニオンシャフト71PSの中心軸がピニオンシャフト72PSの中心軸に対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に設置されている。
また、ピニオンギヤ72PGは、軸線方向の一端に入口端83aを備えており、キャリア72Crの回転による遠心力によって貫通孔81Aの出口端81bから排出されるオイルが入口端83aに導入されるようになっている。
また、ピニオンギヤ72PGは、厚肉の支持壁76bに支持されることによって、入口端83aがピニオンシャフト71PSの出口端81bに近接している。この入口端83aと出口端81bの軸線方向の間隔は、キャリア72Crの回転による遠心力によって、出口端81bから排出されるオイルが入口端83aに導入される間隔に設定されている。
また、ピニオンシャフト71PSには第2の導入路としての油路83Bが形成されており、この油路83Bは、貫通孔83Aからピニオンシャフト71PSの半径方向外方に延在している。
入口端83aから貫通孔83Aに導入されたオイルは、キャリア71Crの回転による遠心力によって油路83Bからピニオンシャフト71PSとピニオンギヤ71PGの間に介装されたニードルベアリング74に供給されるようになっている。
また、ピニオンシャフト71PSの軸線方向の他端部には出口端83bが形成されており、貫通孔83Aに導入されたオイルは、出口端83bから収容室17に排出されるようになっている。
また、ピニオンギヤ71PGには油路84が形成されており、この油路84は、ピニオンギヤ71PGの半径方向に沿って延在している。油路84は、ピニオンギヤ71PGとピニオンシャフト71PSとの間に導入されたオイルをピニオンギヤ71PGの回転による遠心力によってピニオンギヤ71PGとリングギヤ71Rの噛合面に供給するようになっている。
また、支持壁76bには潤滑油案内部材としての環状のレシーバ85が設けられており、このレシーバ85は、入口端83aに対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に位置している。
このレシーバ85は、半径方向外方に位置して支持壁76bに固定された円板状の円板部85aと、円板部85aに対して半径方向内方に位置するとともに、円板部85aからピニオンギヤ72PGの出口端81b側に向かって傾斜する傾斜部85bとを備えており、出口端81bから排出されたオイルを傾斜部85bに衝突させて入口端83aに導くようになっている。
次に、作用を説明する。
駆動用モータ41の動力をリヤ側遊星歯車装置71によって減速してカウンタドライブギヤ73に出力する場合には、駆動用モータ41のロータ41aと一体回転するサンギヤ71Sによってピニオンギヤ71PGが自転する。このため、ピニオンギヤ71PGに噛合するカウンタドライブギヤ73が回転することにより、駆動用モータ41の動力がカウンタドライブギヤ73に減速して出力される。
また、内燃機関側からの動力をモータジェネレータ42とカウンタドライブギヤ73とに分配する場合には、インプットシャフト15に固定されたフロント側遊星歯車装置72のキャリア72Crがインプットシャフト15と一体回転する。
このため、ピニオンギヤ72PGが自転しながらサンギヤ72Sの周囲を公転することで、ピニオンギヤ72PGが噛合するリングギヤ72Rと一体化されたカウンタドライブギヤ73に内燃機関の動力が伝達される。
また、カウンタドライブギヤ73と一体化されたリヤ側遊星歯車装置71のリングギヤ71Rに噛合されたピニオンギヤ71PGを介してサンギヤ71Sが回転することにより、駆動用モータ41のロータ41aに動力が伝達される。
一方、本実施の形態では、ピニオンシャフト72PSの軸線方向に沿って貫通孔81Aを形成するとともに、ピニオンシャフト71PSの軸線方向に沿って貫通孔83Aを形成し、貫通孔81Aの出口端81bから排出されるオイルが貫通孔83Aの入口端83aに導入されるように、ピニオンシャフト71PSの中心軸がピニオンシャフト72PSの中心軸に対してオイルポンプ駆動軸51およびインプットシャフト15の中心軸の半径方向外方に設置した。
このため、図6にオイルの流れを太線で示すように、収容室17からピニオンシャフト72PSの油路81Bに導入されたオイルをキャリア72Crが回転したときの遠心力によって油路81Bからピニオンシャフト72PSおよびピニオンギヤ72PGの間に導入することにより、ニードルベアリング75を潤滑することができる。
そして、キャリア72Crの回転による遠心力によって貫通孔81Aの出口端81bから排出されるオイルをピニオンシャフト71PSの入口端83aから貫通孔83Aに導入し、キャリア71Crが回転したときの遠心力によって油路83Bからピニオンシャフト71PSおよびピニオンギヤ71PGの間に導入されることにより、ニードルベアリング74を潤滑することができる。
したがって、1つの供給経路によってフロント側遊星歯車装置72およびリヤ側遊星歯車装置71を潤滑することができ、フロント側遊星歯車装置72およびリヤ側遊星歯車装置71に供給するオイル量の最適化を図ることができる。このため、フロント側遊星歯車装置72およびリヤ側遊星歯車装置71の潤滑性能を向上させることができる。
また、フロント側遊星歯車装置72およびリヤ側遊星歯車装置71にオイルを供給する経路を1つにすることができるため、オイルを供給するための経路を簡素化することができ、複合遊星歯車装置20の潤滑構造をコンパクトにすることができ、結果的にトランスミッションケース10をコンパクトにすることができる。
また、その他の効果は、第1の実施の形態と同様の効果と同様であるため、説明を省略する。
なお、本実施の形態では、ピニオンシャフト71PSに貫通孔81Aを形成しているが、貫通孔ではなく、ピニオンシャフト71PSの入口端81aからピニオンシャフト71PSの所定長延在する油路を形成してもよい。
また、上記各実施の形態では、オイルポンプ52を内燃機関によって駆動される機械式のオイルポンプから構成しているが、電気的に駆動されるオイルポンプから構成してもよい。
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明に係る複合遊星歯車装置の潤滑構造は、第1の遊星歯車装置および第2の遊星歯車装置の潤滑性能を向上させることができるとともに、オイルの供給経路を簡素化して複合遊星歯車装置の潤滑構造をコンパクトにすることができるという効果を有し、回転軸の軸線方向に対向して設けられた2つの遊星歯車装置に潤滑油を供給して潤滑するようにした複合遊星歯車装置の潤滑構造等として有用である。
15 インプットシャフト(回転軸)
15a、15b、51a 油路(潤滑油導入通路)
17 収容室(潤滑油導入部)
20、70 複合遊星歯車装置
21、71 リヤ側遊星歯車装置(第2の遊星歯車装置)
21Cr、71Cr キャリア(第2のキャリア)
21PG、71PG ピニオンギヤ(第2のピニオンギヤ)
21PS、71PS ピニオンシャフト(第2のピニオンシャフト)
21R、71R リングギヤ(第2の外輪部材)
21S、71S サンギヤ(第2のサンギヤ)
22、72 フロント側遊星歯車装置(第1の遊星歯車装置)
22Cr、72Cr キャリア(第1のキャリア)
22PG、72PG ピニオンギヤ(第1のピニオンギヤ)
22PS、72PS ピニオンシャフト(第1のピニオンシャフト)
22R、72R リングギヤ(第1の外輪部材)
22S、72S サンギヤ(第1のサンギヤ)
23 カウンタドライブギヤ(第1の外輪部材)
24a、24b、76A、77b 支持壁
51 オイルポンプ駆動軸(回転軸)
52 オイルポンプ
61A、81A 貫通孔(第1の貫通孔)
61B、81B 油路(第1の導入路)
61a、81a 入口端
61b、81b 出口端
63A 油路(第2の導入路)
63B、83B 油路(第3の導入路)
63a、83a 入口端
66、85 レシーバ(潤滑油案内部材)
83A 貫通孔(第2の導入路)
S 隙間(潤滑油導入部)

Claims (7)

  1. 回転軸に一体回転自在に取付けられた第1のサンギヤと、前記第1のサンギヤに噛合する第1のピニオンギヤと、前記第1のピニオンギヤを回転自在に支持する第1のピニオンシャフトが固定された第1のキャリアとを含んで構成される第1の遊星歯車装置と、
    前記回転軸に一体回転自在に取付けられた第2のサンギヤと、前記第2のサンギヤに噛合する第2のピニオンギヤと、前記第2のピニオンギヤを回転自在に支持する第2のピニオンシャフトが固定された第2のキャリアとを含んで構成され、前記回転軸の軸線方向に対して前記第1の遊星歯車装置に対向して設けられた第2の遊星歯車装置とを備えた複合遊星歯車装置の潤滑構造であって、
    前記第2のピニオンシャフトの中心軸が前記第1のピニオンシャフトの中心軸に対して前記回転軸の中心軸の半径方向外方に設置され、
    前記第1のピニオンシャフトが、前記第1のピニオンシャフトの軸線方向に沿って延在し、入口端から導入された潤滑油を出口端から排出する貫通孔および前記貫通孔から前記第1のピニオンシャフトの半径方向外方に延在し、前記貫通孔から導入された潤滑油を前記第1のプラネタリシャフトの外周部と前記第1のピニオンギヤの内周部との間に導入する第1の導入路を有し、
    前記第2のピニオンシャフトが、前記第2のピニオンシャフトの軸線方向に沿って形成され、前記貫通孔の出口端から排出される潤滑油が導入される入口端を有する第2の導入路と、前記第2の導入路から前記第2のピニオンシャフトの半径方向外方に延在し、前記第2の導入路から導入された潤滑油を前記第2のプラネタリシャフトの外周部と前記第2のピニオンギヤの内周部との間に導入する第3の導入路を有することを特徴とする複合遊星歯車装置の潤滑構造。
  2. 前記回転軸が、オイルポンプから吐出される潤滑油が導入される潤滑油導入通路を有し、
    前記潤滑油導入通路と前記貫通孔の前記入口端との間に設けられ、前記潤滑油導入通路から排出される潤滑油を前記貫通孔の前記入口端に導入する潤滑油導入部を有することを特徴とする請求項1に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造。
  3. 前記第2のキャリアが、前記第2のピニオンシャフトの軸線方向両端部を支持する一対の支持壁を有し、
    前記第2のピニオンシャフトの軸線方向一端部が、前記貫通孔の前記出口端に近接するように前記第2のキャリアの一方の支持壁に支持されること特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造。
  4. 前記第2のキャリアの一方の支持壁の軸線方向の板厚が他方の支持壁の軸線方向の板厚よりも厚肉に形成されることを特徴とする請求項3に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造。
  5. 前記第1の遊星歯車装置が、前記第1のピニオンギヤに噛合する内歯が形成された第1の外輪部材を有し、前記第2の遊星歯車装置が、前記第2のピニオンギヤに噛合する内歯が形成された第2の外輪部材を有し、
    前記第2のキャリアの前記一方の支持壁が、前記第1の外輪部材の内周部に固定されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造。
  6. 前記第2の導入路の前記入口端と前記貫通孔の前記出口端との軸線方向の間隔は、前記第1のキャリアの回転による遠心力によって、前記貫通孔の出口端から排出される潤滑油が前記第2の導入路の前記入口端に導かれる間隔に設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造。
  7. 前記第2のキャリアの前記一方の支持壁に、前記第2の導入路の前記入口端に対して前記回転軸の中心軸の半径方向外方に位置し、前記貫通孔の前記出口端から排出された潤滑油を前記第2の導入路の前記入口端に導く潤滑油案内部材を設けたことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1の請求項に記載の複合遊星歯車装置の潤滑構造。
JP2010223998A 2010-10-01 2010-10-01 複合遊星歯車装置の潤滑構造 Pending JP2012077848A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010223998A JP2012077848A (ja) 2010-10-01 2010-10-01 複合遊星歯車装置の潤滑構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010223998A JP2012077848A (ja) 2010-10-01 2010-10-01 複合遊星歯車装置の潤滑構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012077848A true JP2012077848A (ja) 2012-04-19

Family

ID=46238338

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010223998A Pending JP2012077848A (ja) 2010-10-01 2010-10-01 複合遊星歯車装置の潤滑構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012077848A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014095438A (ja) * 2012-11-09 2014-05-22 Suzuki Motor Corp 複合遊星歯車機構の潤滑装置
JP2015064060A (ja) * 2013-09-25 2015-04-09 スズキ株式会社 ハイブリッド車両用駆動装置
WO2016002571A1 (ja) * 2014-07-03 2016-01-07 Ntn株式会社 インホイールモータ駆動装置
CN108343732A (zh) * 2017-01-23 2018-07-31 郑州宇通客车股份有限公司 动力装置及使用该动力装置的车辆
CN108340762A (zh) * 2017-01-23 2018-07-31 郑州宇通客车股份有限公司 车辆及其动力装置
CN115076352A (zh) * 2022-08-18 2022-09-20 南京南高齿新能源汽车传动设备有限公司 高速轴用通油管和电驱装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014095438A (ja) * 2012-11-09 2014-05-22 Suzuki Motor Corp 複合遊星歯車機構の潤滑装置
JP2015064060A (ja) * 2013-09-25 2015-04-09 スズキ株式会社 ハイブリッド車両用駆動装置
WO2016002571A1 (ja) * 2014-07-03 2016-01-07 Ntn株式会社 インホイールモータ駆動装置
CN108343732A (zh) * 2017-01-23 2018-07-31 郑州宇通客车股份有限公司 动力装置及使用该动力装置的车辆
CN108340762A (zh) * 2017-01-23 2018-07-31 郑州宇通客车股份有限公司 车辆及其动力装置
CN108340762B (zh) * 2017-01-23 2023-09-08 宇通客车股份有限公司 车辆及其动力装置
CN108343732B (zh) * 2017-01-23 2023-09-08 宇通客车股份有限公司 动力装置及使用该动力装置的车辆
CN115076352A (zh) * 2022-08-18 2022-09-20 南京南高齿新能源汽车传动设备有限公司 高速轴用通油管和电驱装置
CN115076352B (zh) * 2022-08-18 2022-11-01 南京南高齿新能源汽车传动设备有限公司 高速轴用通油管和电驱装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012039378A1 (ja) 車両用駆動装置
JP5471955B2 (ja) 回転電機及び車両用駆動装置
US8808128B2 (en) Hybrid drive system
JP5239814B2 (ja) 回転電機の潤滑油供給装置
CN102027264B (zh) 动力传递装置和动力传递装置组装方法
JP6551389B2 (ja) ハイブリッド車両の潤滑構造
US8092337B2 (en) Composite planetary gear apparatus
US20110230292A1 (en) Vehicle drive apparatus
JP5367276B2 (ja) 電動機の潤滑冷却構造
JP2012077848A (ja) 複合遊星歯車装置の潤滑構造
JP5062040B2 (ja) 動力伝達装置
JP4234947B2 (ja) 油圧発生装置用の駆動装置
JP2012039763A (ja) 車両用駆動装置
JP5605653B2 (ja) 車両用駆動装置
JP2012182861A (ja) 車両用駆動装置
JP2020006791A (ja) 車両の動力伝達装置
JP5200747B2 (ja) 回転電機の潤滑油供給装置
JP5583254B2 (ja) 電動機の潤滑冷却構造
JP6686855B2 (ja) 車両用動力伝達装置
JP2016130585A (ja) 車両用駆動装置
CN113324017A (zh) 动力传递装置的润滑结构
JP2015042532A (ja) 車両用駆動装置
WO2021157236A1 (ja) 動力伝達装置および車両
JP7210115B2 (ja) 動力伝達装置
JP7350450B2 (ja) 動力伝達装置