JP7210115B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、動力伝達装置に関する。
特許文献1には、モータの油冷を行うシステムが開示されている。
特開2015-102220号公報
モータの油冷を効率的に行うことが求められている。
本発明のある態様は、
ロータがステータの外周に設けられたアウタロータ型のモータと、
前記モータの鉛直方向上側で、前記モータとオーバラップする位置に配置されていると共に、前記ロータの回転に伴い掻き上げられたオイル貯留部内のオイルを貯留するキャッチタンクと、
前記モータの下流に接続されたギアが設けられたギア室と、前記モータが設けられたモータ室との間に形成された仕切壁と、
前記仕切壁に設けた貫通孔に軸受部材を介して支持されると共に、前記ステータを回転軸方向に貫通する中空軸と、
前記中空軸内を前記回転軸方向に延びる軸内油路と、
前記中空軸の外周と前記軸内油路とを連通させる油孔と、
前記仕切壁の内部に設けられて、前記キャッチタンクと前記貫通孔とを連通させる油路と、を備え、
前記油孔は、
前記回転軸の径方向から見て、前記貫通孔にオーバラップする位置に設けられていると共に、前記油路を介して前記キャッチタンクから供給されるオイルが流入可能な第1の油孔と、
前記回転軸方向における前記ステータの両側に位置すると共に、前記第1の油孔から前記軸内油路に流入したオイルを排出する第2の油孔および第3の油孔を有する、構成の動力伝達装置とした。
本発明によれば、モータの油冷を効率的に行うことができる。
実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。 実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。 実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。 実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。 実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。 動力伝達装置におけるオイルの流れを説明する図である。 動力伝達装置におけるオイルの流れを説明する図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態にかかる動力伝達装置1の断面図である。
図2は、動力伝達装置1の本体ケース10から、カバー12を外した状態を示す斜視図である。
図3は、動力伝達装置1のモータハウジング11を、図1の(a)におけるC-C線に沿って切断した断面図である。
図4の(a)は、動力伝達装置1のモータ2周りを拡大して示す断面図である。図4の(b)は、図4の(a)におけるA-A線に沿ってステータコア25のプレート部29を切断した断面図である。
図5の(a)は、動力伝達装置1のモータハウジング11を、図1の(a)におけるB-B線に沿って切断した断面を示す斜視図である。図5の(b)は、動力伝達装置1のモータハウジング11を、図1の(a)におけるB-B線に沿って切断した断面図である。
図6は、動力伝達装置1におけるオイルOLの流れを説明する図である。
図7の(a)は、動力伝達装置1のモータ2周りでのオイルOLの流れを説明する図である。図7の(b)は、図1の(a)における領域Aの拡大図であって、減速機構3周りでのオイルOLの流れを説明する図である。
図1に示すように動力伝達装置1は、モータ2と、減速機構3と、出力軸6と、を有している。減速機構3は、モータ2の出力回転が入力される減速ギア4と、減速ギア4の出力回転を出力軸6に伝達する遊星歯車組5と、を有する。
モータ2は、ロータコア21(ロータ)が、ステータコア25(ステータ)の外周に設けられたアウタロータ型モータである。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、減速機構3(減速ギア4、遊星歯車組5)と、出力軸6と、が設けられている。
モータ2の出力回転は、減速機構3(減速ギア4と遊星歯車組5)で減速されたのち、出力軸6を介して、動力伝達装置1の外部に出力される。
ここで、減速機構3は、モータ2の下流に接続されており、出力軸6は、減速機構3の下流に接続されている。
本実施形態では、モータハウジング11と、カバー12と、中間ケース13と、カバー14で、動力伝達装置1の本体ケース10を構成している。
モータハウジング11と、カバー12とで、キャッチタンク8を備えるモータ室を形成している。
図2に示すようにモータハウジング11は、筒状の周壁部111を有している。
周壁部111の内部では、動力伝達装置1の設置状態を基準とした鉛直線方向(上下方向)の下側に、モータ2が配置されており、モータ2の上側に、キャッチタンク8が設けられている。
図3に示すように、キャッチタンク8は、回転軸X1回りに回転するモータ2(ロータコア21)で掻き上げられたオイルOLを貯留する空間である。
周壁部111は、モータ2(ロータコア21)の下側の外周を所定間隔で囲む下壁領域111aを有している。
モータ2の回転軸X1方向から見て、下壁領域111aと、モータ2(ロータコア21)の外周との間には、隙間S1が確保されている。
周壁部111の内部では、下壁領域111a側の下部に潤滑用のオイルOLが貯留されている。貯留されたオイルOLは、隙間S1の部分にも満たされている。
なお、図3では、貯留されたオイルOLの高さ位置を太線で示している。
下壁領域111aの両側は、側壁領域111b、111bに接続されている。
回転軸X1方向から見て側壁領域111b、111bは、回転軸X1を挟んで対称となる位置関係で、互いに平行に設けられている。
回転軸X1方向から見て側壁領域111b、111bは、モータ2(ロータコア21)の側方を上方に向けて直線状に延びている。側壁領域111b、111bの上端は、上壁領域111cに接続されている。
上壁領域111cは、動力伝達装置1の設置状態を基準とした水平線方向に沿う向きで設けられている。上壁領域111cの内周には、モータ2側の下方に延びる突出壁81、82が設けられている。
突出壁81、82は、中心線Cを挟んで対称となる位置関係で互いに平行に設けられている。中心線Cは、モータ2の回転軸X1に直交すると共に、キャッチタンク8の幅方向の中央部を通る線分である。
突出壁81、82は、上壁領域111cから同じ高さh1で形成されている。突出壁81、82の下方には区画壁83が設けられている。
区画壁83は、水平線方向に沿う向きで設けられており、周壁部111の内部空間(モータ室)を、モータ2を収容する空間Saと、キャッチタンク8が画成される空間Sbとに区画している。
突出壁81、82は、回転軸X1方向におけるモータハウジング11の一端11aから他端11bまで連続する板状部材である(図4参照)。複数の板状突起が回転軸X1方向で間欠的に配置された構成としても良い。
図4に示すように、モータハウジング11では、周壁部111におけるカバー12とは反対側(図中、左側)が、仕切壁部15、16で閉じられている。
仕切壁部16は、キャッチタンク8が画成される空間Sbの中間ケース13側(図中左側)の開口を閉じている。
仕切壁部15は、モータ2が設置される空間Saの中間ケース13側(図中左側)の開口を閉じている。
仕切壁部15は、仕切壁部16よりもカバー12側(図中、右側)に位置しており、中間ケース13の壁部130との間に、後記する伝達ギア45と、モータ2のモータシャフト20とを連結するための空間(収容室Sc)を形成している。
空間Saと空間Sbを区画する区画壁83では、図3に示すように、回転軸X1方向から見た幅方向の両側に、側壁84、85が設けられている。側壁84、85は、上壁領域111c側の上方に直線状に延びていると共に、中心線Cを挟んで対称となる位置関係で互いに平行に設けられている。
本実施形態では、区画壁83よりも上側の領域であって側壁84、85の間の領域が、後記するモータ2で掻き上げられたオイルOLの貯留空間となっている。
側壁84と側壁85は、側壁領域111b、111bとの間に間隔をあけて設けられている。側壁84と側壁領域111bとの間が、モータ2側の空間とキャッチタンク8側の空間とを連絡する連絡路86となっている。側壁85と側壁領域111bとの間が、モータ2側の空間とキャッチタンク8内の空間とを連絡する連絡路87となっている。
側壁84と側壁85の上端84a、85aは、上壁領域111cとの間に高さ方向の隙間CL1、CL2をあけて設けられている。これら隙間CL1、CL2が、連絡路86、87とキャッチタンク8の内部とを連通させる開口部8a、8bとなっている。
本実施形態では、動力伝達装置1を搭載した車両の前進走行時に、回転するモータ2(ロータコア21)がオイルOLを掻き上げる側(図中、左側)の隙間CL1のほうが、反対側の隙間CL2よりも大きくなるように、側壁84、85の高さh3、h4が設定されている。
すなわち、開口部8aの開口面積の方が、開口部8bの開口面積よりも広い開口面積に設定されている。
キャッチタンク8では、側壁84と、この側壁84に中心線C側で隣接する突出壁81とでラビリンスシールを構成している。さらに、側壁85と、この側壁85に中心線C側で隣接する突出壁82とでラビリンスシールを構成している。
突出壁81、82の根元は、上壁領域111cとの接続部であり、キャッチタンク8のオイルOL導入箇所である開口部8a、8bよりも上側に位置している。
キャッチタンク8内のオイルは、開口部8a、8bの近傍に突出壁81、82が配置されていることによって、開口部8a、8bから外部に排出され難くなるようにされている。
区画壁83には、モータ2側の下方に膨出する膨出部832が設けられている。
膨出部832は、側壁84の直下の位置から中心線Cの近傍までの範囲に設けられている。
膨出部832は、中心線Cに近づくにつれて高さ方向の厚みWが薄くなる形状で形成されている。回転軸X1方向から見て膨出部832の下面832aは、モータ2(ロータコア21)の外周に沿う弧状を成している。
ここで、膨出部832の下面832aとモータ2(ロータコア21)の外周との隙間CLが、側壁84と側壁領域111bとの間の連絡路86の幅Wxよりも狭くなっている。そのため、回転するモータ2(ロータコア21)で掻き上げられたオイルOLの多くが、連絡路86側に流入するようにされている。
図4に示すように、モータ2は、モータシャフト20と、ロータコア21と、ステータコア25とを、有している。
モータシャフト20は、長手方向の一端20aにロータコア21の円板部211が固定された軸状部材である。
ロータコア21は、円板部211と筒壁部212とを有している。円板部211では、当該円板部211の中央部に、モータシャフト20の一端20aが固定されている。
筒壁部212は、円板部211の外周から、モータシャフト20の他端20b側(図中、左側)に向けて延びている。筒壁部212は、モータシャフト20の外周を所定間隔で囲んでいる。筒壁部212の先端212aは、仕切壁部15に固定されたプレート部29に回転軸X1方向の隙間を空けて対向している。
筒壁部212の内周には、磁石22が設けられている。磁石22は、回転軸X1回りの周方向に所定間隔で複数設けられている。
筒壁部212の外周には、筒状のガイド部材23が外挿されて固定されている。
図3に示すように、ガイド部材23の外周には、溝部231が設けられている。溝部231は、回転軸X1回りの周方向に所定の幅W1で形成されている。
溝部231の幅W1は、回転軸X1周りの周方向で隣り合う溝部231、231の間の領域230の幅W2よりも、狭い幅に設定されている。
ガイド部材23において溝部231は、回転軸X1方向の一端23aから他端23b(図4参照)までの範囲に形成されている。溝部231の幅W1は、回転軸X1方向の全長に亘って同じである。
本実施形態では、モータ2(ロータコア21)が回転軸X1回りに回転する際に、ガイド部材23もまた、ロータコア21と一体に回転軸X1回りに回転する。この際に、ガイド部材23の外周に溝部231が設けられていることにより、モータハウジング11内の下部に貯留されたオイルOLのより多くが、キャッチタンク8側の上方に掻き上げられるようになっている。
図4に示すように、ガイド部材23の他端23bは、仕切壁部15に固定されたプレート部29に、回転軸X1方向の隙間をあけて設けられている。
図4の(b)に示すように、回転軸X1方向から見てプレート部29では、略円板状の基部290の中心に、モータシャフト20の貫通孔29aが設けられている。
貫通孔29aの外径側には、図示しないボルトの挿通孔29bが設けられている。挿通孔29bは、基部290を厚み方向に貫通している。挿通孔29bは、回転軸X1周りの周方向に90°間隔で4つ設けられている。
本実施形態では、プレート部29の挿通孔29bを挿通させた図示しないボルトにより、モータハウジング11の仕切壁部15にプレート部29が固定される。
プレート部29では、基部290の外周に開口する凹部291が設けられている。凹部291は、基部290を厚み方向に貫通している。凹部291は、回転軸X1周りの周方向に90°間隔で4つ設けられている。
凹部291と挿通孔29bは、回転軸X周りの周方向に45°位相をずらして設けられている。
回転軸X1方向から見て凹部291は、基部290の外周290aから回転軸X1に向かうにつれて、回転軸X1周りの周方向の幅Wxが狭くなる形状で形成されている。
本実施形態では、プレート部29をモータハウジング11の仕切壁部15に固定すると、プレート部29の凹部291が、仕切壁部15に設けた連通孔152と重なる位置に配置される。さらに、プレート部29を貫通したモータシャフト20が、仕切壁部15の支持孔151を貫通する。
図5に示すように、仕切壁部15では、回転軸X1と交差する領域に、支持孔151が設けられている。支持孔151は、モータシャフト20の外径よりも大きい内径で形成されている。支持孔151の内周には、モータシャフト20に外挿されたベアリングB1(図4参照)が支持される。
支持孔151の外径側には、ボルト孔154が設けられている。ボルト孔154は、回転軸X1周りの周方向に90°間隔で4つ設けられている。本実施形態では、プレート部29の挿通孔29b(図4の(b)参照)を貫通したボルト(図示せず)が、ボルト孔154に螺入することで、プレート部29が仕切壁部15に固定される。
仕切壁部15では、当該仕切壁部15を厚み方向に貫通する連通孔152が、設けられている。
図4の(a)に示すように、連通孔152は、モータ2を収容する空間Saと、後記する伝達ギア45の収容室Scとを連通させるために設けられている。
図5の(b)に示すように連通孔152は、水平線方向における支持孔151の両側と、鉛直線方向における支持孔151の下側と、に設けられている。
本実施形態では、連通孔152は、回転軸X1周りの周方向に90°間隔で3つ設けられている。回転軸X1よりも下側に位置するボルト孔154、154は、回転軸X1周りの周方向で隣り合う連通孔152、152の間に位置しており、連通孔152とボルト孔154は、回転軸X周りの周方向に位相をずらして設けられている。
連通孔152は、前記したプレート部29を仕切壁部15に固定した際に、プレート部29の凹部291(図4の(b)参照)のうちの下側に位置する3つの凹部291と重なる位置に設けられている。
そのため、図4に示すように、モータ2を収容する空間Saと、伝達ギア45の収容室Scとが、プレート部29の凹部291と、仕切壁部15の連通孔152とを介して互いに連通している。
本実施形態では、モータ2を収容する空間Saの下部には、潤滑用のオイルOLが所定高さまで貯留される。そのため、モータ2を収容する空間Sa内に貯留されたオイルOLが、収容室Scの下部にも貯留されている。
図4の(a)に示すように、仕切壁部15に固定されたプレート部29では、仕切壁部15とは反対側の面に、ステータコア25側のヨーク部26が固定されている。ヨーク部26は、回転軸X1方向から見てリング状を成しており、回転軸X1を所定間隔で囲んでいる。
ヨーク部26は、プレート部29から離れる方向(図中、右方向)に直線状に延びており、ヨーク部26は、前記したロータコア21の筒壁部212の内側に挿入されている。
ヨーク部26の先端26aは、ロータコア21の円板部211に回転軸X1方向の隙間を空けて対向している。
ステータコア25のヨーク部26の外周と、ロータコア21の筒壁部212との間には、回転軸X1の径方向の隙間が設けられており、ロータコア21は、ステータコア25に対して相対回転可能となっている。
ヨーク部26の内周には、回転軸X1側に突出するティース部27が設けられている。
ヨーク部26においてティース部27は、ロータコア21側の磁石22の内径側に位置する領域から、回転軸X1側に突出している。
本実施形態では、ティース部27の各々に巻線28が集中巻きされたステータコア25を採用している。
図3に示すように、本実施形態では、巻線28が外周に巻き付けられたティース部27が、回転軸X1周りの周方向に所定間隔で複数設けられている。ティース部27の各々は、モータシャフト20の外周に隙間を空けて対向している。なお、図3では、ひとつのティース部27の一部を断面で示している。
なお、巻線28を複数のティース部27に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用してもよい。
図4の(a)に示すようにステータコア25は、回転軸X1方向における一方側(図中、右側)のコイルエンド25aと、他方側(図中、左側)のコイルエンド25bとが、回転軸X1の径方向から見て、ロータコア21の筒壁部212の内側に収容されるように配置されている。
図2に示すように、モータハウジング11の開口を塞ぐカバー12は、板状の基部120を有している。
回転軸X1方向から見てカバー12は、モータハウジング11の周壁部111と整合する外形で形成されている。基部120の外周には、ボルト孔125aを有する連結片125が設けられている。本実施形態では、連結片125が基部120の周方向に間隔をあけて3つ設けられている。
これら連結片125は、モータハウジング11側のボルトボス部112に、1対1で対応する位置に設けられている。ボルトボス部112には、ボルトBの挿通孔112aが設けられている。
そのため、カバー12を、モータハウジング11の周壁部111に接合したのち、連結片125のボルト孔125aを貫通したボルトBを、ボルトボス部112の挿通孔112aに螺入することで、カバー12がモータハウジング11に組み付けられるようになっている。
ここで、基部120におけるモータハウジング11との対向面には、環状リブ121が設けられている。
環状リブ121は、カバー12をモータハウジング11に組み付けた際に、モータハウジング11の周壁部111に、インロー状に内嵌する(図4の(a)参照)。これにより、カバー12とモータハウジング11との接合面からのオイルOLの漏出が阻止される。
図2に示すように、基部120の環状リブ121の内側には、当接リブ122が設けられている。
当接リブ122は、区画壁83との当接部122aと、側壁84、85との当接部122b、122cと、を有している。
当接リブ122は、カバー12をモータハウジング11に組み付けた際に、前記した区画壁83および側壁84、85に回転軸X1方向から当接する位置に設けられている。
当接リブ122は、キャッチタンク8におけるカバー12側に隙間を生じさせないようにするために設けられている。
カバー12側に隙間が生じていると、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOLが、モータ2を収容する空間Sa側の下方に流出する。そうすると、モータ2を収容する空間Sa内に貯留されるオイルOLの量が多くなる結果、回転するモータ2(ロータコア21)の回転に対する抵抗が大きくなってしまう。当接リブ122を設けることによって、かかる事態の発生を防いでいる。
なお、図4の(a)に示すように、キャッチタンク8内に位置する突出壁82は、カバー12側の側縁82cが、カバー12の基部120との間に隙間をあけて設けられている。区画壁83側の下端82bが、区画壁83との間に隙間をあけて設けられている。
突出壁81もまた同様である。
そのため、図3に示すように、区画壁83と、側壁84、85とで囲まれた領域に貯留されたオイルOLのキャッチタンク8内での移動が可能となっている。
これにより、側壁84と突出壁81との間、突出壁81、82の間、突出壁82と側壁85との間に位置するオイルOLの高さが、同じ高さで保持される。
図4の(a)に示すように、モータシャフト20の他端20b側には、円柱状の基部200よりも外径が大きいフランジ部201が設けられている。
モータシャフト20は、フランジ部201を、プレート部29における減速機構3側(図中、左側)に位置させている。フランジ部201とプレート部29との間には、ワッシャWsが介在している。この状態においてモータシャフト20は、プレート部29に設けた貫通孔29aで回転可能に支持されている。
モータシャフト20には、当該モータシャフト20の内部を長手方向に延びる軸内油路205が設けられている。
軸内油路205は、モータシャフト20の他端20bから一端20aの近傍までの範囲に設けられている。
モータシャフト20では、軸内油路205に連通する油孔206a、206b、206cが外周に開口している。
モータシャフト20では、ステータコア25の両側に大径部202、202が設けられている。モータシャフト20において大径部202、202は、回転軸X1方向に間隔をあけて設けられていると共に、回転軸X1回りの周方向の全周に亘って設けられている。大径部202、202は、モータシャフト20の外径D1よりも大きい外径D2で形成されている。
大径部202、202では、回転軸X1の径方向に延びる油孔206a、206bが、外周に開口している。油孔206a、206bは、大径部202、202の外周と、軸内油路205とを連通させている。
本実施形態では、
油孔206aは、ロータコア21の円板部211と、ステータコア25のコイルエンド25aとの間の領域に開口している。
油孔206bは、ステータコア25のプレート部29と、ステータコア25のコイルエンド25bとの間の領域に開口している。
油孔206cは、フランジ部201とベアリングB1との間の領域であって、仕切壁部15に設けた支持孔151内に位置する領域に開口している。
モータシャフト20では、油孔206cよりも他端20b側の領域にベアリングB1が外挿されて取り付けられている。ベアリングB1は、支持孔151の内周で支持されており、モータシャフト20は、ベアリングB1を介して仕切壁部15で回転可能に支持されている。
支持孔151の内周には、油路153が開口している。油路153は、仕切壁部15内を上方に延びており、油路153の上端は、区画壁83の上面831に開口している(図4、図5参照)。
図4に示すように、区画壁83は、モータハウジング11の一端11aから他端11bまでの範囲に設けられている。区画壁83の上面831は、周壁部111の一端11a側よりも他端11b側のほうが、動力伝達装置1の設置状態を基準とした鉛直線方向で僅かに下側に位置する向きで傾斜している。
前記したように、キャッチタンク8の内部には、回転するモータ2(ロータコア21)が掻き上げたオイルOLが貯留される。そのため、キャッチタンク8内の貯留されたオイルOLの一部が、自重により、油路153を通って仕切壁部15の支持孔151内に排出される。
支持孔151内に排出されたオイルOLは、支持孔151に設置されたベアリングB1を潤滑すると共に、モータシャフト20の油孔206cを介して、モータシャフト20内の軸内油路205に流入する。
軸内油路205に流入したオイルOLは、軸内油路205内をモータシャフト20の一端20a側に移動して、油孔206b、油孔206aから排出される。
モータ2の駆動時には、モータシャフト20は回転軸X1回りに回転しており、油孔206b、206aから排出されるオイルOLは、回転による遠心力で、回転軸X1の径方向外側に向けて排出される。
これにより、モータシャフト20を囲むステータコア25(ヨーク部26、ティース部27、巻線28)や、ロータコア21(円板部211、筒壁部212、磁石22など)が、油孔206b、206aから排出されたオイルOLとの熱交換で冷却される。
ここで、油孔206a、206bは、モータシャフト20よりも大きい外径D2の大径部202、202の外周で開口している。油孔206a、206bは、回転軸X1を基準として、油孔206cよりも外径側で開口している。
ここで、モータシャフト20が回転する際に作用する遠心力は、回転軸X1から径方向外側に離れるほど大きくなる。そのため、油孔206a、206bから排出されるオイルOLの排出速度が、油孔206a、206bがモータシャフト20の外周20cに開口している場合よりも大きくなる。そうすると、油孔206a、206bからのオイルの排出に起因する負圧が、軸内油路205内に生じ、軸内油路205内のオイルOLが油孔206a、206b側に吸引される。
前記したように、油孔206cと油路153は、軸内油路205に連絡しており、軸内油路205内のオイルOLが油孔206a、206b側に吸引されると、油孔206cと油路153内のオイルOLもまた、軸内油路205側に吸引される。油路153は、キャッチタンク8に連絡しているので、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOLが、積極的に軸内油路205側に流入する。そのため、軸内油路205へのオイルOLの供給に、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOLを軸内油路205側に供給するための手段(例えば、オイルポンプ)を必要としない。
なお、軸内油路205を流れるオイルOLは、流入口となる油孔206cから離れるにつれて減少する傾向がある。そのため、油孔206bの開口径を、油孔206aの開口径よりも狭くして、モータシャフト20の一端20a側から排出されるオイルOLの量を確保するようにしても良い。
モータシャフト20では、ベアリングB1よりも他端20b側の領域に、伝達ギア45が連結されている。
伝達ギア45は、モータシャフト20の他端20bに外挿される基部450を有している。基部450の中心には挿入孔451が設けられている。挿入孔451は、モータ2側(図中、右側)にのみ開口している。
挿入孔451には、モータシャフト20の他端20b側の領域が、回転軸X1方向から挿入されている。この状態において、基部450と、モータシャフト20は、相対回転不能に連結されている。
基部450におけるモータ2とは反対側(図中、左側)の領域には、ベアリングB2が外挿されている。ベアリングB2は、中間ケース13に設けた支持孔131の内周に支持されている。
伝達ギア45は、ベアリングB2を介して、中間ケース13の支持孔131で回転可能に支持されている。
伝達ギア45の基部450には、当該基部450よりも大径のギア46が設けられている。ギア46は、基部450におけるベアリングB2が外挿された領域に隣接する位置に設けられている。
ギア46の外周には、減速ギア4の大径歯車部42が、回転伝達可能に噛合している。
なお、伝達ギア45の内部に、ギア46の歯溝部の外周と、挿入孔451と連通させる連通孔(図示せず)を設けて、モータシャフト20の軸内油路205内を通流するオイルOLが、ギア46と減速ギア4の大径歯車部42との噛合部に供給されるようにしても良い。
図1に示すように、減速ギア4は、モータ2の回転軸X1に平行な回転軸X2回りに回転可能に設けられている。減速ギア4は、円筒状の軸部41を有しており、軸部41の一端41a側に、大径歯車部42が設けられている。
軸部41の内部には、軸内油路40が設けられている。軸内油路40は、軸部41の一端41aから他端41bまで貫通している。
軸部41の一端41a側では、大径歯車部42の両側に、ベアリングB3、B4が外挿されて取り付けられている。
モータハウジング11の仕切壁部16では、減速ギア4側(図中、左側)の面に、リング状の支持部161が設けられている。
支持部161は、減速ギア4の回転軸X2と同心に設けられており、ベアリングB3を収容可能な内径で形成されている。減速ギア4は、ベアリングB3を介して、支持部161の内周で回転可能に支持されている。
回転軸X2方向から見て支持部161の内側には、貫通孔162が開口している。貫通孔162は、仕切壁部16を厚み方向(回転軸X2方向)に貫通している。
貫通孔162は、回転軸X2の延長上であって、前記した区画壁83よりも上側となる位置に設けられている。
そのため、前記したキャッチタンク8内に貯留されたオイルOLが、貫通孔162を介して、軸内油路40内に流入するようになっている。
ベアリングB4は、中間ケース13の壁部130で支持されている。壁部130には、支持孔132が設けられている。支持孔132は、ベアリングB4を収容可能な内径で形成されており、減速ギア4は、ベアリングB4を介して中間ケース13で回転可能に支持されている。
軸部41の他端41b側には、遊星歯車組5のサンギア51との嵌合部43が設けられている。嵌合部43の外周には、サンギア51の内周がスプライン嵌合しており、サンギア51は、減速ギア4に対して相対回転不能に連結されている。
軸部41の他端41b側では、嵌合部43の両側にベアリングB5、B6が外挿されて取り付けられている。
ベアリングB5は、円板部150の支持孔151の内周に支持されている。円板部150は、回転軸X1に直交する向きで配置されている。円板部150の外周には、キャリア55の側板部552が外嵌している。
ベアリングB6は、キャリア55の側板部551で支持されている。側板部551にはリング状の支持部554が設けられている(図7の(b)参照)。
支持部554は、減速ギア4の回転軸X2と同心に設けられている。支持部554は、ベアリングB6を収容可能な内径で形成されている。減速ギア4は、ベアリングB6を介して、支持部554の内周で回転可能に支持されている。
図1に示すように、遊星歯車組5は、サンギア51と、リングギア52と、ピニオンギア53と、ピニオン軸54と、キャリア55と、を有している。
遊星歯車組5の構成要素(サンギア51、リングギア52、ピニオンギア53、ピニオン軸54、キャリア55)は、カバー14の円筒状の外壁部143の内径側に設けられている。
遊星歯車組5では、サンギア51の外径側にリングギア52が位置している。リングギア52は、サンギア51の外周を所定間隔で囲むリング状を成している。リングギア52は、カバー14の外壁部143の内周にスプライン嵌合している。
ここで、外壁部143は、回転軸X2を所定間隔で囲む筒状を成している。外壁部143の中間ケース13側は、回転軸X2方向から中間ケース13に当接しており、カバー14はボルトBで中間ケース13に固定されている。
カバー14の内側は、遊星歯車組5を収容するギア室Sdとなっている。
ピニオンギア53は、リングギア52の内周と、サンギア51の外周に噛合している。ピニオンギア53は、ピニオン軸54の外周にニードルベアリングNBを介して支持されている。
ピニオン軸54は、回転軸X2に平行な軸線X3に沿う向きで設けられている。ピニオン軸54の一端と他端は、キャリア55を構成する一対の側板部551、552で支持されている。
側板部551、552は、軸線X3方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。
モータ2側(図中、右側)に位置する一方の側板部552は、回転軸X2方向から見てリング状を成しており、円板部150の外周に固定されている。
他方の側板部551は、回転軸X2方向から見て円板状を成している。
図7の(b)に示すように、側板部551では、回転軸X2と交差する中央部に、貫通孔550が設けられている。さらに、側板部551の外径側に、ピニオン軸54の支持孔555が設けられている。
側板部551の内部には、径方向に延びる油路551aが設けられている。油路551aは、前記した貫通孔550を囲む支持部554の内周と、ピニオン軸54の支持孔555の内周とを連通させている。
ピニオン軸54の内部には軸線X3方向に延びる油路541が設けられている。
ピニオン軸54では、側板部551と重なる領域の外周に油孔542が開口している。油孔542は、ピニオン軸54内の油路541と、側板部551内の油路551aとを連通させている。
油路541は、ピニオン軸54の側板部551側の端部から、ピニオン軸54の長手方向の略中央部まで延びている。ピニオン軸54の長手方向の中央部には、ニードルベアリングNBが設けられた領域の外周に開口する油孔543が設けられている。油孔543は、油路541に連絡している。
前記したように、減速ギア4内の軸内油路40には、前記したキャッチタンク8内に貯留されたオイルOLの一部が流入する。軸内油路40内に流入したオイルOLは、減速ギア4の軸部41の他端41bから排出される。
そうすると、軸内油路40から排出されたオイルOLは、支持部554の内周に開口する油路551aと、油孔542と、ピニオン軸54の内部の油路541と、とを順番に通過する。そして、油路541に連通する油孔543を通って、ピニオン軸54の外周から排出されて、ピニオン軸54に外挿されたニードルベアリングNBが潤滑される。
図1に示すように、側板部551では、減速ギア4とは反対側の面に連結部材553が設けられている。
連結部材553は、側板部551の貫通孔550を囲む筒状を成しており、連結部材553は、出力軸6側(図中、左側)に延出している。
出力軸6は、カバー14側の支持部141の内周に、ベアリングB7、B8を介して回転可能に支持されている。出力軸6は、ベアリングB7、B8が外挿される円柱状の基部61を有している。基部61の側板部551側の端部に、嵌合孔62が開口している。
嵌合孔62は、回転軸X2に沿って側板部551から離れる方向に延びている。
嵌合孔62には、側板部551側の連結部材553が、回転軸X2方向から挿入されている。この状態において、出力軸6と、遊星歯車組5のキャリア55(連結部材553)とが相対回転不能に連結されている。
遊星歯車組5は、サンギア51がモータ2の出力回転の入力部、キャリア55が入力された回転の出力部となっている。
遊星歯車組5の出力回転は、キャリア55が連結された出力軸6から、動力伝達装置1の外部に出力されるようになっている。
かかる構成の動力伝達装置1の作用を説明する。
動力伝達装置1を搭載した車両の前進走行時には、モータ2のロータコア21が、図6における時計回り方向に回転する。
図3に示すように、モータ2を収容する空間Saの下部には、オイルOLが貯留されている。そのため、空間Sa内に貯留されたオイルOLは、回転するロータコア21により、キャッチタンク8側の上方に掻き上げられる。
この際に、ロータコア21の外周のガイド部材23に溝部231が設けられていることにより、モータハウジング11内の下部に貯留されたオイルOLのより多くが、キャッチタンク8側の上方に掻き上げられるようになっている。
そうすると、回転するモータ2(ロータコア21)で掻き上げられたオイルOLの多くが、連絡路86側に流入したのち、上壁領域111cに衝突する。
ここで、連絡路86では、上壁領域111cの近傍に、連絡路86とキャッチタンク8の内部とを連通させる開口部8aが開口している。
そのため、上壁領域111cに衝突したオイルOLの多くが、開口部8aを通って、キャッチタンク8の内部の空間Sbに流入する。
ここで、キャッチタンク8内の空間Sbを挟んで開口部8aとは反対側に、開口部8bよりも開口面積が小さい開口部8bが位置している。
そのため、開口部8aからキャッチタンク8内の空間Sbにオイルが流入すると、空間Sb内の空気が、開口部8bからキャッチタンク8の外部に排出される。
ここで、開口部8bが設けられていない場合には、開口部8aからのオイルOLの流入に伴って空間Sb内の圧力が高くなる。そうすると、開口部8aから空間SbへのオイルOLの流入に対する抵抗が大きくなる。
本実施形態では、開口部8bが設けられていることにより、空間Sb内の圧力が高くなることが防止される。そのため、掻き上げられたオイルOLの開口部8aから空間Sbへの流入に支障が生じない。
なお、開口部8bが設けられていることによって、モータ2が逆回転した場合にも、掻き上げられたオイルOLがキャッチタンク8内の空間Sbに流入できるようになっている。
図7の(a)に示すように、キャッチタンク8の底壁を規定する区画壁83には、油路153が開口している。油路153は、キャッチタンク8内の空間Sbと、キャッチタンク8の下方に位置する支持孔151の内周とを連通させている。
そのため、キャッチタンク8内のオイルは、自重により油路153内を下方に移動して支持孔151の内部に排出される。
支持孔151の内部では、モータシャフト20の軸内油路205に連絡する油孔206cが開口している。そのため、支持孔151の内部に排出されたオイルOLは、油孔206cから軸内油路205に流入する。
軸内油路205は、プレート部29とステータコア25の内径側を回転軸X1方向に横切って設けられている。
モータシャフト20には、ロータコア21の円板部211と、ステータコア25のコイルエンド25aとの間の領域に開口する油孔206aと、ステータコア25のプレート部29と、ステータコア25のコイルエンド25bとの間の領域に開口する油孔206bとが設けられている。
そのため、軸内油路205に流入したオイルOLは、回転するモータシャフト20に作用する遠心力で、油孔206a、206bから、回転軸X1の径方向外側に排出される。
これにより、モータシャフト20を囲むステータコア25(ヨーク部26、ティース部27、巻線28)や、ロータコア21(円板部211、筒壁部212、磁石22など)が、油孔206b、206aから排出されたオイルOLとの熱交換で冷却される。
本実施形態では、油孔206a、206bが、回転軸X1から径方向外側に離れた位置で開口している。そのため、軸内油路205内に、油孔206a、206bからのオイルOLの排出に起因する負圧が生じる。そして、生じた負圧により、キャッチタンク8内のオイルOLが、油路153と油孔206cとを介して、軸内油路205内に積極的に吸引される。
これにより、モータシャフト20を囲むステータコア25やロータコア21に、油孔206a、206bから供給されるオイルOLの量を確保することができるので、ステータコア25やロータコア21を適切に冷却できる。
そして、ステータコア25やロータコア21の冷却に用いられたオイルOLは、モータ2を収容する空間Saの下部のオイルOL溜りに戻されることになる。
そして、空間Saの下部に戻されたオイルOLは、回転するロータコア21により、掻き上げられて、キャッチタンク8内に再び流入することになる。
キャッチタンク8の内部では、上壁領域111cから区画壁83側の下方に延びる突出壁81、82の下端(先端部81a、82a)が、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOL内に位置している(図3参照)。
そのため、モータ2などの冷却により温度が高くなったオイルOLが、キャッチタンク8に流入しても、オイルOLの熱が突出壁81、82を伝って上壁領域111cまで伝熱する。ここで、上壁領域111cを持つ周壁部111は、動力伝達装置1の外部に露出している。
動力伝達装置1を搭載した車両の走行時には、動力伝達装置1の本体ケース10は、走行風などにより冷やされる。そのため、突出壁81、82を伝って上壁領域111cまでオイルOLの熱が外部に放出される。これにより、キャッチタンク8内のオイルが冷却される。
また、キャッチタンク8を区画形成する仕切壁部16には、減速ギア4の軸内油路40と、キャッチタンク8内とを連通させる貫通孔162が設けられている。
そのため、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOLは、減速ギア4の軸内油路40にも流入する。
軸内油路40内に流入したオイルOLは、減速ギア4の軸部41の他端41bから排出される(図7の(b)参照)。
そうすると、軸内油路40から排出されたオイルOLは、キャリア55の支持部554の内周に開口する油路551aと、油孔542と、ピニオン軸54の内部の油路541と、とを順番に通過する。そして、油路541に連通する油孔543を通って、ピニオン軸54の外周から排出されて、ピニオン軸54に外挿されたニードルベアリングNBが潤滑される。
これにより、遊星歯車組5のギアが、ピニオン軸54から排出されたオイルOLにより冷却、潤滑される。
以上の通り、本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(1)動力伝達装置1は、
モータ2と、
モータ2(ロータコア21)の回転に伴い掻き上げられたオイルOLを貯留するキャッチタンク8と、
キャッチタンク8からオイルOLが送られる軸内油路205を有するモータシャフト20(中空軸)と、
モータシャフト20に設けられていると共に、軸内油路205を通流するオイルOLを、モータ2へ供給する油孔206a、206b(オイル供給孔)と、を有する。
このように構成すると、モータ2の回転エネルギーを利用して掻き上げたオイルOLをキャッチタンク8内に貯めておき、その後、キャッチタンク8からモータシャフト20を介してモータ2側へオイルOLを戻すことができる。
モータ2が回転している限りは、オイルOLがモータ2とキャッチタンク8との間を循環し続けることになるので、モータのオイルOLによる冷却(油冷)を効率的に行うことができる。
よって、モータ2の冷却ために専用のオイルポンプを別途用意する必要がない。また、オイルポンプを用いない分だけ、オイルポンプを備える既存の動力伝達装置よりも部品点数を削減できるので、動力伝達装置の作製コストの低減が可能である。
また、動力伝達装置が冷却のための専用のオイルポンプを備える場合であっても、キャッチタンク8とモータシャフト20(中空軸)を併用することで、モータ2の冷却をより効率的に行うことができる。
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有する。
(2)モータ2は、ロータコア21(ロータ)の筒壁部212が、ステータコア25(ステータ)の外周に設けられたアウタロータ型モータである。
回転するロータコア21により掻き上げられたオイルOLが、キャッチタンク8に貯留される。
ロータがステータの内周に設けられたインナロータ型モータを採用することも可能であるが、この場合には、回転するロータでオイルOLを直接的に掻き上げることができない。
かかる場合には、インナロータ型モータに、ロータの回転に連動して回転してオイルOLを掻き上げるための専用の部品(例えば、水車)を設ける必要がある。そうすると、部品点数が増加すると共に、専用の部品を設置するためのスペースを動力伝達装置に用意する必要がある。
これに対してアウタロータ型モータの場合には、ロータ(ロータコア21)でオイルOLを直接的に掻き上げることができるので、オイルOLを掻き上げるための専用の部品を別途必要としない。
そのため、インナロータ型モータを採用する場合に比べて、部品点数を抑制できるので、動力伝達装置1の作製コストの低減が可能である。また専用の部品を設置するためのスペースを動力伝達装置に用意する必要がないので、動力伝達装置1のコンパクト化が可能である。
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有する。
(3)ステータコア25と回転軸X1方向でオーバラップするプレート部29を有する。
モータシャフト20は、プレート部29を回転軸X1方向に貫通している。
軸内油路205(中空部)は、プレート部29を回転軸X1方向に横切って設けられている。
例えば、ロータコア21の回転を、ロータコア21の中心(回転軸)から取り出す場合に、ロータコア21のモータシャフト20を、ステータコア25と回転軸X1方向でオーバラップするプレート部29(プレート部)で、回転可能に支持させることがある。
かかる場合、潤滑用のオイルOLを回転軸X1側(内径側)からモータ2に供給(搬送)しようすると、プレート部29が、オイルOLの搬送にとって邪魔になることがある。
そこで、以下のような構成を採用することで、プレート部29があっても、潤滑用のオイルOLを、回転軸X1側からモータ2に供給(搬送)できる。
(a)プレート部29を回転軸X1方向に貫通させてモータシャフト20を設ける。
(b)モータシャフト20内の軸内油路205を、プレート部29を回転軸X1方向に横切る範囲に設ける。
(c)軸内油路205へのオイルOLの油孔206c(供給口)を、モータシャフト20におけるプレート部29を挟んだステータコア25とは反対側の領域に設ける。
これにより、油孔206c(供給口)を、回転軸X1方向におけるモータ2の本体(ロータコア21、ステータコア25)の外部に置くことができる。モータ2の本体の外部は設置の自由度が高いので、潤滑用のオイルOLを供給するための仕組み(オイルOL供給構造)を動力伝達装置1内に設ける際のレイアウトの自由度が向上する。
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有する。
(4)動力伝達装置1の設置状態を基準とした鉛直線方向で、キャッチタンク8の下側に、モータ2を収容すると共に、少なくとも下側の領域にオイルOLが貯留される空間Sa(オイルOL貯留部)を有している。
モータシャフト20は、空間Sa内にオイルOL供給口となる油孔206a、206bを有している。
油孔206a、206bは、モータシャフト20の回転時に空間Sa内で回転する。
空間Sa(オイルOL貯留部)は、キャッチタンク8よりも鉛直方向下方側に位置している。そのため、重力を利用して、キャッチタンク8内のオイルを空間Sa(オイル貯留部)側に供給できる。
そして、油孔206a、206bは、モータシャフト20が回転する空間Sa内に開口している。モータシャフト20が回転する際に空間Sa内に負圧が生じ、生じた負圧により、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOLが、モータシャフト20の軸内油路205に吸引されて、油孔206a、206bから空間Sa内に排出される。
これにより、キャッチタンク8内に貯留されたオイルOLを、モータシャフト20側に効率的に供給することができるので、空間Sa(モータ2)とキャッチタンク8との間でのオイルOLの循環を効率的に行うことができるようになる。
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有する。
(5)キャッチタンク8は、動力伝達装置1の設置状態を基準とした鉛直線方向で、モータ2の上側で、モータ2とオーバラップする位置に配置されている。
モータ2の回転軸X1の径方向から見て、キャッチタンク8とモータ2とが重なる位置関係で設けられている。
動力伝達装置1では、モータ2の上方に空間的な余裕がある。モータ2上方のスペースにキャッチタンク8を配置することで、動力伝達装置1をコンパクト化できる。
また、回転するモータ2(ロータコア21)により掻き上げられたオイルOLを、キャッチタンク8に効率的に送ることができる。これにより、空間Saとキャッチタンク8との間でのオイルOLの循環を効率的に行うことができるようになる。
(6)モータ2を収容する空間Saの仕切壁部15(外壁)には、モータシャフト20よりも鉛直線方向下側に位置すると共に、モータ2と回転軸X1方向にオーバラップする連通孔152(開口部)が設けられている。
キャッチタンク8内のオイルの一部は、連通孔152を介して、モータを収容する空間Sa側に送られる。
例えば、図7に示すように、油路153から排出されてベアリングB1を潤滑した一部のオイルOLは、伝達ギア45を収容する収容室Scの下部に到達する。
収容室Scの下部側は、仕切壁部15に設けた連通孔152(開口部)と、プレート部29に設けた凹部291とを介して、モータ2を収容する空間Saに連通している。
そのため、上記のように構成すると、キャッチタンク8側から供給されるオイルOLを、モータ2を収容する空間Saに戻す経路を増やすことできる。
これにより、キャッチタンク8と空間Saとの間でのオイルOLの循環を効率的に行うことができる。
さらに、鉛直線方向におけるモータシャフト20よりも下側に、連通孔152を配置したので、モータシャフト20近辺においてリークするオイルOLを、モータ2側に効率的に戻すことができる。これにより、空間Saとキャッチタンク8との間でのオイルOLの循環を効率的に行うことができるようになる。
(7)モータ2の出力回転の伝達系路では、モータ2の下流に接続された減速ギア4が設けられている。
キャッチタンク8内のオイルOLは、減速ギア4の軸部41(軸)に設けられた軸内油路40を介して、遊星歯車組5(ギア)が設けられたギア室Sdに供給される。
キャッチタンク8内のオイルOLを、動力伝達装置1が備える各種のギアの潤滑にも用いることができる。これにより、動力伝達装置1内のギアの潤滑を効率的に行うことができる。
(8)回転軸X1の径方向において、油孔206a、206b(オイル供給孔)は、モータシャフト20の外周20cよりも外径側で開口している。
モータシャフト20が回転する際に作用する遠心力は、回転軸X1から径方向外側に離れるほど大きくなる。そのため、油孔206a、206bから排出されるオイルOLの排出速度が、油孔206a、206bがモータシャフト20の外周20cに開口している場合よりも大きくなる。
そうすると、油孔206a、206bからのオイルの排出に起因する負圧が、軸内油路205内に生じる結果、生じた負圧により、キャッチタンク8内のオイルOLが、油路153と油孔206cとを介して、軸内油路205内に積極的に吸引される。
これにより、モータシャフト20を囲むステータコア25やロータコア21に、油孔206a、206bから供給されるオイルOLの量を確保することができるので、ステータコア25やロータコア21を適切に冷却できる
ここで、本明細書における用語「下流に接続」とは、上流に配置された部品から下流に配置された部品へと動力が伝達される接続関係にあることを意味する。
例えば、モータ2の下流に接続された減速機構3という場合は、モータ2から減速機構3へと動力が伝達されることを意味する。
前記した実施形態では突出壁81、82が、回転軸X1方向におけるモータハウジング11の一端11aから他端11bまで連続するひとつの板状部材である場合を例示した。
複数の板状突起が回転軸X1方向で間欠的に配置された構成としても良い。この場合において、上壁領域111cに複数の突起を設けて、そのうちの一部が区画壁83の近傍まで延びる突出壁として機能する構成としても良い。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、これら実施形態に示した態様のみに限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
1 :動力伝達装置
2 :モータ
20 :モータシャフト
205 :軸内油路
206a、206b、206c :油孔
21 :ロータコア
211 :円板部
212 :筒壁部
22 :磁石
23 :ガイド部材
231 :溝部
25 :ステータコア
25a、25b :コイルエンド
26 :ヨーク部
27 :ティース部
28 :巻線
29 :プレート部
29a :貫通孔
29b :挿通孔
290 :基部
291 :凹部
3 :減速機構
4 :減速ギア
40 :軸内油路
41 :軸部
42 :大径歯車部
43 :嵌合部
45 :伝達ギア
5 :遊星歯車組
51 :サンギア
52 :リングギア
53 :ピニオンギア
54 :ピニオン軸
541 :油路
542、543 :油孔
55 :キャリア
550 :貫通孔
551、552 :側板部
551a :油路
6 :出力軸
61 :基部
62 :嵌合孔
8 :キャッチタンク
8a、8b :開口部
81、82 :突出壁
81a、82a :先端部
82c :側縁
83 :区画壁
831 :上面
832 :膨出部
832a :下面
84、85 :側壁
84a、85a :上端
86、87 :連絡路
10 :本体ケース
11 :モータハウジング
111 :周壁部
111a :下壁領域
111b :側壁領域
111c :上壁領域
12 :カバー
120 :基部
121 :環状リブ
122 :当接リブ
13 :中間ケース
130 :壁部
131、132 :支持孔
14 :カバー
141 :支持部
143 :外壁部
15、16 :仕切壁部
150 :円板部
151 :支持孔
152 :連通孔
153 :油路
154 :ボルト孔
161 :支持部
162 :貫通孔
B :ボルト
B1~B8 :ベアリング
C、CL、CL1、CL2 :隙間
NB :ニードルベアリング
OL :オイル
S1 :隙間
Sa、Sb :空間
Sc :収容室
Sd :ギア室
Ws :ワッシャ
X1、X2 :回転軸
X3 :軸線

Claims (7)

  1. ロータがステータの外周に設けられたアウタロータ型のモータと、
    前記モータの鉛直方向上側で、前記モータとオーバラップする位置に配置されていると共に、前記ロータの回転に伴い掻き上げられたオイル貯留部内のオイルを貯留するキャッチタンクと、
    前記モータの下流に接続されたギアが設けられたギア室と、前記モータが設けられたモータ室との間に形成された仕切壁と、
    前記仕切壁に設けた貫通孔に軸受部材を介して支持されると共に、前記ステータを回転軸方向に貫通する中空軸と、
    前記中空軸内を前記回転軸方向に延びる軸内油路と、
    前記中空軸の外周と前記軸内油路とを連通させる油孔と、
    前記仕切壁の内部に設けられて、前記キャッチタンクと前記貫通孔とを連通させる油路と、を備え、
    前記油孔は、
    前記回転軸の径方向から見て、前記貫通孔にオーバラップする位置に設けられていると共に、前記油路を介して前記キャッチタンクから供給されるオイルが流入可能な第1の油孔と、
    前記回転軸方向における前記ステータの両側に位置すると共に、前記第1の油孔から前記軸内油路に流入したオイルを排出する第2の油孔および第3の油孔を有する、動力伝達装置。
  2. 請求項1において、
    前記仕切壁には、前記ギア室と前記モータ室とを連通させる開口部が設けられており、
    前記開口部は、前記中空軸よりも鉛直方向下側で、前記回転軸方向で前記モータとオーバラップする位置に設けられており、
    前記軸受部材を潤滑したオイルの一部は前記開口部を介して前記モータ室内に送られる、動力伝達装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記回転軸方向から見て、前記キャッチタンクとオーバーラップする位置に前記ギアが設けられており、
    前記キャッチタンクと前記ギアとの間の前記仕切壁に、前記キャッチタンクと、前記ギアの軸内油路とを連通させる貫通孔が設けられている、動力伝達装置。
  4. 請求項1において、
    前記回転軸の径方向から見て、前記油路は、前記キャッチタンクとオーバラップする位置に設けられている、動力伝達装置。
  5. 請求項2において、
    前記ステータを支持すると共に、前記貫通孔内のオイルの前記モータ室側への移動を規制するプレート部が、前記仕切壁に固定されており、
    前記貫通孔は、前記ギア室側に開口している、動力伝達装置。
  6. 請求項1において、
    前記第2油孔および前記第3の油孔は、前記中空軸の外周よりも外径側で開口している、動力伝達装置。
  7. 請求項6において、
    前記第2の油孔は、前記第3の油孔よりも前記第1の油孔側に位置しており、前記第2の油孔の開口径は、前記第3の油孔の開口径よりも小さい、動力伝達装置。
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