JP7321950B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
ピニオンギアと、
前記ピニオンギアと軸方向に対向するプレートと、
潤滑油を冷却する冷却室と、を有し、
前記プレートは、前記冷却室から放出された潤滑油が導入される開口部を有し、
前記開口部は、前記ピニオンギアの公転回転軌道と軸方向に隣接する位置に配置されている構成の動力伝達装置とした。
図1は、本実施形態にかかる動力伝達装置1を説明するスケルトン図である。
図2は、本実施形態にかかる動力伝達装置1を説明する断面図である。なお、図2では、デフケース50による掻き上げによって、下がった状態の油面OTを示している。
図3は、動力伝達装置1の遊星減速ギア4周りの拡大図である。
図4は、動力伝達装置1の差動機構5周りの拡大図である。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、パークロック機構3と、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフト9(9A、9B)と、が設けられている。
ここで、遊星減速ギア4は、モータ2の下流に接続されており、差動機構5は、遊星減速ギア4の下流に接続されており、ドライブシャフト9(9A、9B)は、差動機構5の下流に接続されている。
第1ボックス11は、支持壁部111をモータ2の回転軸Xに沿わせた向きで設けられており、支持壁部111の内側にモータ2が収容される。
周壁部121は、第1ボックス11の支持壁部111に外挿可能な内径で形成されている。
第1ボックス11と第2ボックス12は、第1ボックス11の支持壁部111に、第2ボックス12の周壁部121を外挿して互いに組み付けられている。
第1ボックス11では、支持壁部111の外周に凹溝111bが設けられている。凹溝111bは、回転軸X方向に間隔をあけて複数設けられている。凹溝111bの各々は、回転軸X周りの周方向の全周に亘って設けられている。
第1ボックス11の支持壁部111に、第2ボックス12の周壁部121が外挿されると、凹溝111bの開口が周壁部121で閉じられて、支持壁部111と周壁部121との間に、冷却水が通流する複数の冷却路CPが形成される。
これらシールリング113は、支持壁部111に外挿された周壁部121の内周に圧接して、支持壁部111の外周と、周壁部121の内周との間の隙間を封止する。
壁部120では、モータ2側(図中、右側)の面に、開口120aを囲む筒状のモータ支持部125が設けられている。
モータ支持部125は、後記するコイルエンド253bの内側に挿入されて、ロータコア21の端部21bに回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
この径方向の厚みが厚い領域には、回転軸X方向に貫通してオイル溜り部121cが設けられている。
オイル溜り部121cは、第1ボックス11の接合部112に設けた連通孔112aを介して、第3ボックス13の接合部132に設けた軸方向油路138に連絡している。
第1ボックス11から見て第3ボックス13は、差動機構5とは反対側(図中、右側)に位置している。第3ボックス13の接合部132は、第1ボックス11の接合部112に回転軸X方向から接合されており、第3ボックス13と第1ボックス11は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。この状態において第1ボックス11は、支持壁部111の接合部122側(図中、右側)の開口が、第3ボックス13で封止される。
挿通孔130aの内周には、リップシールRSが設けられている。リップシールRSは、図示しないリップ部をドライブシャフト9Aの外周に弾発的に接触させている。挿通孔130aの内周と、ドライブシャフト9Aの外周との隙間が、リップシールRSにより封止されている。
壁部130における第1ボックス11側(図中、左側)の面には、挿通孔130aを囲む周壁部131が設けられている。周壁部131の内周には、ドライブシャフト9AがベアリングB4を介して支持されている。
モータ支持部135の外周には、円筒状の接続壁136が接続されている。接続壁136は、壁部130側(図中、右側)の周壁部131よりも大きい外径で形成されている。接続壁136は、回転軸Xに沿う向きで設けられており、モータ2から離れる方向に延びている。接続壁136は、モータ支持部135と第3ボックス13の壁部130とを接続している。
モータ支持部135の内周には、ベアリングB1が支持されており、モータシャフト20の外周が、ベアリングB1を介してモータ支持部135で支持されている。
ベアリングB1に隣接する位置には、リップシールRSが設けられている。
第4ボックス14は、第2ボックス12から見て差動機構5側(図中、左側)に位置している。第4ボックス14の接合部142は、第2ボックス12の接合部123に回転軸X方向から接合されており、第4ボックス14と第2ボックス12は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。
モータ室Saは、第1ボックス11の内側で、第2ボックス12の壁部120と、第3ボックス13の壁部130との間に形成されている。
ギア室Sbは、第4ボックス14の内径側で、第2ボックス12の壁部120と、第4ボックス14の周壁部141との間に形成されている。
プレート部材8は、第4ボックス14に固定されている。
プレート部材8は、ギア室Sbを、遊星減速ギア4と差動機構5を収容する第1ギア室Sb1と、パークロック機構3を収容する第2ギア室Sb2とに区画している。
回転軸X方向において第2ギア室Sb2は、第1ギア室Sb1と、モータ室Saとの間に位置している。
ロータコア21から見てモータシャフト20の一端20a側(図中、右側)に位置するベアリングB1は、第3ボックス13のモータ支持部135の内周に支持されている。他端20b側に位置するベアリングB1は、第2ボックス12の円筒状のモータ支持部125の内周に支持されている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成しており、珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
電磁鋼板の各々は、支持壁部111の内周に固定されたリング状のヨーク部251と、ヨーク部251の内周からロータコア21側に突出するティース部252と、を有している。
モータシャフト20の他端20bは、第4ボックス14の内側で、後記するサイドギア54Aに、回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
リップシールRSは、モータ2を収容するモータ室Saと、第4ボックス14内のギア室Sbとを区画している。
リップシールRSは、モータ室SaへのオイルOLの流入を阻止するために設けられている。
嵌合部202の外周には、パークギア30とサンギア41がスプライン嵌合している。
基部410の他端410bには、モータシャフト20の他端20bに螺合したナットNが、回転軸X方向から圧接している。
サンギア41とパークギア30は、ナットNと段部201との間に挟み込まれた状態で、モータシャフト20に対して相対回転不能に設けられている。
段付きピニオンギア43は、大径歯車部431と小径歯車部432が、回転軸Xに平行な軸線X1方向で並んで、一体に設けられたギア部品である。
大径歯車部431は、小径歯車部432の外径R2よりも大きい外径R1で形成されている。
段付きピニオンギア43は、軸線X1に沿う向きで設けられており、この状態において大径歯車部431をモータ2側(図中、右側)に位置させている。
リングギア42は、外周に設けた係合歯421を、第4ボックス14の支持壁部146に設けた歯部146aにスプライン嵌合して設けられている。リングギア42は、回転軸X回りの回転が規制されている。
段付きピニオンギア43は、貫通孔430を貫通したピニオン軸44の外周で、ニードルベアリングNB、NBを介して回転可能に支持されている。
ピニオン軸44には、軸内油路440とピニオン軸44の外周とを連通させる油孔442、443が設けられている。
油孔442は、小径歯車部432の内周を支持するニードルベアリングNBが設けられた領域に開口している。
ピニオン軸44において油孔443、442は、段付きピニオンギア43が外挿された領域内に開口している。
ピニオン軸44の外周において導入路441は、後記する第2ケース部7の支持孔71a内に位置する領域に開口している。導入路441は、軸内油路440とピニオン軸44の外周とを連通させている。
軸線X1に沿う断面視においてケース内油路781は、軸線X1に対して傾斜している。ケース内油路781は、回転軸X側に向かうにつれて、基部71に設けたスリット710に近づく向きで傾斜している。
ケース内油路781から導入路441に流入したオイルOLは、ピニオン軸44の軸内油路440に流入する。軸内油路440に流入したオイルOLは、油孔442、443から径方向外側に排出されて、ピニオン軸44に外挿されたニードルベアリングNBを潤滑する。
ピニオン軸44は、貫通孔444と、後記する第2ケース部7側の挿入穴782との軸線X1回りの位相を合わせて設けられている。挿入穴782に挿入された位置決めピンPが、ピニオン軸44の貫通孔444を貫通することで、ピニオン軸44は、軸線X1回りの回転が規制された状態で、第2ケース部7側で支持される。
ピニオン軸44の長手方向の他端44b側では、段付きピニオンギア43から突出した領域が第2軸部446となっており、第2軸部446は、デフケース50の第2ケース部7に設けた支持孔71aで支持されている。
ピニオン軸44では、第1軸部445よりも第2軸部446のほうが、軸線X1方向の長さが長くなっている。
図5は、差動機構5のデフケース50周りの斜視図である。
図6は、差動機構5のデフケース50周りの分解斜視図である。
図4から図6に示すように、差動機構5のデフケース50は、第1ケース部6と第2ケース部7を回転軸X方向で組み付けて形成される。本実施形態では、デフケース50の第1ケース部6と第2ケース部7が、遊星減速ギア4のピニオン軸44を支持するキャリアとしての機能を有している。
ピニオンメートシャフト51は、回転軸X周りの周方向に等間隔で3つ設けられている。
ピニオンメートシャフト51各々の内径側の端部は、共通の連結部510に連結されている。
この状態においてピニオンメートギア52の各々は、ピニオンメートシャフト51で回転可能に支持されている。
サイドギア54Aは、回転軸X方向における一方側から、3つのピニオンメートギア52に噛合している。サイドギア54Bは、回転軸X方向における他方側から、3つのピニオンメートギア52に噛合している。
図4に示すように、基部61の中央部には、開口60が設けられている。基部61における第2ケース部7とは反対側(図中、右側)の面には、開口60を囲む筒壁部611が設けられている。筒壁部611の外周は、ベアリングB3を介して、プレート部材8で支持されている。
連結梁62は、回転軸X周りの周方向に、等間隔で3つ設けられている。連結梁62は、基部61に対して直交する基部63と、基部63よりも幅広の連結部64と、を有している。
連結部64の内径側(回転軸X側)には、ピニオンメートギア52の外周に沿う形状で円弧部641が形成されている。
円弧部641では、ピニオンメートギア52の外周が、球面状ワッシャ53を介して支持される。
サイドギア54Aの裏面には、円筒状の筒壁部541が設けられており、ワッシャ55は筒壁部541に外挿されている。
図3に示すように、基部61には、支持孔61aを囲むボス部616が設けられている。ボス部616には、ピニオン軸44に外挿されたワッシャWcが、回転軸X方向から接触する。
第1ケース部6の連結部64には、第2ケース部7側の連結部74が回転軸X方向から接合される。第1ケース部6と第2ケース部7は、第2ケース部7側の連結部を貫通したボルトBが、ボルト穴67、67に螺入されて、互いに接合される。
図4に示すように、基部71は、回転軸X方向に厚みW71を有する板状部材である。
基部71の中央部には、基部71を厚み方向に貫通する貫通孔70が設けられている。
基部71における第1ケース部6とは反対側(図中、左側)の面には、貫通孔70を囲む筒壁部72と、筒壁部72を所定間隔で囲む周壁部73が設けられている。
周壁部73の先端には、回転軸X側に突出する突起部73aが設けられている。突起部73aは、回転軸X周りの周方向の全周に亘って設けられている。
周壁部73の内径側には、基部71を厚み方向に貫通するスリット710が設けられている。
回転軸X方向から見てスリット710は、周壁部73の内周に沿う弧状を成している。スリット710は、回転軸X周りの周方向に所定の角度範囲で形成されている。
ボルト収容部76の内側には、ボルトの挿通孔77が開口している。挿通孔77は、基部71を厚み方向(回転軸X方向)に貫通している。
連結部74は、第1ケース部6側の連結梁62と同数設けられている。
円弧部741では、ピニオンメートギア52の外周が、球面状ワッシャ53を介して支持される。
第2ケース部7では、基部71の表面71bに、サイドギア54Bの裏面を支持するリング状のワッシャ55が載置される。サイドギア54Bの裏面には、円筒状の筒壁部540が設けられており、ワッシャ55は筒壁部540に外挿されている。
この状態において、ピニオン軸44に外挿された段付きピニオンギア43の小径歯車部432が、ワッシャWcを間に挟んで、軸線X1方向からガイド部78に当接している。
開口部145aの内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト9Bに外挿されたサイドギア54Bの筒壁部540の外周に弾発的に接触している。
これにより、サイドギア54Bの筒壁部540の外周と開口部145aの内周との隙間が封止されている。
図2に示すように、第1ケース部6の内部には、第3ボックス13の挿通孔130aを貫通したドライブシャフト9Aが、回転軸方向から挿入されている。
ドライブシャフト9Aは、モータ2のモータシャフト20と、遊星減速ギア4のサンギア41の内径側を回転軸X方向に横切って設けられている。
本実施形態では、合計3つのピニオンメートシャフト51が、連結部510から径方向外側に延びている。ピニオンメートシャフト51の各々で支持されたピニオンメートギア52は、回転軸X方向の一方側に位置するサイドギア54Aおよび他方側に位置するサイドギア54Bに、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
本実施形態では、連結梁62が最も下部側に位置した際に、連結梁62がオイルOL内に位置する高さまで、オイルOLが貯留されている。
貯留されたオイルOLは、モータ2の出力回転の伝達時に、回転軸X回りに回転するデフケース50により掻き上げられるようになっている。
図7の(a)は、第4ボックス14を第3ボックス13側から見た図である。図7の(b)は、図7の(a)に示した第1オイルキャッチ部15及び第2オイルキャッチ部16を斜め上方から見た斜視図である。
図8は、第4ボックス14を第3ボックス13側から見た図であって、デフケース50を配置した状態を示した図である。
なお、図7の(a)および図8では、第4ボックス14の接合部142と、支持壁部146の位置を明確にするために、ハッチングを付して示している。
図9は、第4ボックス14を第3ボックス13側から見た図であって、図8に示した第1オイルキャッチ部15及び第2オイルキャッチ部16を斜め上方から見た斜視図である。
なお、図9では、プレート部材8を一部切り欠いて、デフケース50を一部露出させている。
第4ボックス14内の上部には、第1オイルキャッチ部15の空間と、ブリーザ室18の空間が形成されている。
ここで、鉛直線VLは、動力伝達装置1の車両での設置状態を基準とした鉛直線VLであり、回転軸X方向から見て鉛直線VLは、回転軸Xと直交している。
ここで、水平線HLは、動力伝達装置1の車両での設置状態を基準とした水平線HLであり、回転軸X方向から見て水平線HLは、回転軸Xと直交している。
第1オイルキャッチ部15及び第2オイルキャッチ部16は、デフケース50の回転中心(回転軸X)を通る鉛直線VLからオフセットした位置に配置されており、上方から第1オイルキャッチ部15及び第2オイルキャッチ部16を見ると、第1オイルキャッチ部15は、デフケース50の真上からオフセットした位置に配置されている。
回転軸X方向から見て連通口147は、鉛直線VLをブリーザ室18側(図中、右側)から、第1オイルキャッチ部15側(図中、左側)に横切る範囲に設けられている。
具体的には、第2オイルキャッチ部16は、水平線HL方向に沿って周壁部141の内側に延びる底壁160と、水平線HL方向における底壁160の周壁部141と反対側の端部から鉛直線VL方向に沿って上側に延びるガイド壁161と、で囲まれた空間である。第2オイルキャッチ部16は、鉛直線VL方向上側と、回転軸X方向における紙面手前側に開口している。
周壁部148、149は、回転軸Xを中心とした円弧状に形成されている。
(c)では、ドライブシャフト9A、サンギア41を省略してある。
貫通孔851は、基部80の外周縁付近に形成されている。
また、プレート部材8の紙面奥側にはデフケース50が配置されている(図9参照)。図10の(b)に示すように、貫通孔851を第3ボックス13側から見ると、デフケース50で支持されたピニオンギア43の大径歯車部431の外周側が露出するようになっている。詳細は後記するが、オイル導入部85の貫通孔851は、大径歯車部431の外周側の公転軌道Kとオーバーラップする位置に設けられている。
図12は、第1オイルキャッチ部15を説明する図であって、動力伝達装置1を上方から見た場合における第1オイルキャッチ部15と、デフケース50(第1ケース部6、第2ケース部7)との位置関係を説明する模式図である。
そのため、第1オイルキャッチ部15は、デフケース50の回転方向における下流側に位置している。そして、連通口147の周方向の幅は、鉛直線VLを挟んだ左側(デフケース50の回転方向における下流側)の方が、右側(デフケース50の回転方向における上流側)よりも広くなっている。これにより、回転軸X回りに回転するデフケース50で掻き上げられたオイルOLの多くが、第1オイルキャッチ部15内に流入できるようになっている。
そのため、第2軸部446の外径側に空間的な余裕があり、この空間を利用して、第1オイルキャッチ部15を設けることで、本体ボックス10内の空間スペースの有効利用が可能となっている。
よって、当該周辺部材から第1オイルキャッチ部15へのオイルOL(潤滑油)の供給をスムーズに行うことができるようになっている。
図2に示すように、支持部145において油孔151aの内径側の端部は、リップシールRSとベアリングB2との間に開口している。
オイルガイド152は、キャッチ部153と、キャッチ部153から第2ボックス12側(図11における紙面左側)に延びるガイド部154とを有している。
回転軸Xの径方向から見て、キャッチ部153は、ピニオン軸44の第2軸部446と重なる位置に設けられている。さらにガイド部154は、ピニオン軸44の第1軸部445と大径歯車部431と重なる位置に設けられている。
切欠部155は、油孔151aに対向する領域に設けられており、キャッチ部153に貯留されたオイルOLの一部が、切欠部155の部分から油孔151aに向けて排出されるようになっている。
壁部120の外周には、供給路126a1を囲むリブ126が膨出して形成されている。
詳細は後記するが、供給路126a1は、第2ボックス12の外側を通って第3ボックス13側まで及ぶ油路126aの一部を構成している(図16参照)。
径方向油路137は、内部空間Scから径方向下側に延びており、接合部132内に設けた軸方向油路138に連通している。
オイル溜り部121cは、周壁部121内を回転軸X方向に貫通しており、第4ボックス14に設けたギア室Sbに連絡している。
例えば、デフケース50の回転で掻き上げられたオイルOLのうち、オイルガイド152を飛び越えたオイルOLは、周壁部141の内壁に衝突する。周壁部141の内壁に衝突したオイルOLは、自重によって周壁部141の内壁を伝って下向きに移動して、第2オイルキャッチ部16に到達するようになっている(図8参照)。
図13~図17は、供給されたオイルOLを流通させながら冷却する冷却室17を説明する図である。
図13は、本体ボックス10を第3ボックス13側から見た斜視図である。
なお、図13では、冷却室17の筐体170から蓋179を離間させて、冷却室17の内部構造を露出させている。
図14は、本体ボックス10を上から見た図であって、本体ボックス10における冷却室17の位置を説明する図である。なお、図14では、本体ボックス10内のプレート部材8、モータ室Sa及びギア室Sbを仮想線で記載してある。
図15は、図14におけるA-A矢視図である。なお、蓋179は省略してある。また、分かり易くするために、筐体170にハッチングを付してある。また、リブ126~128をそれぞれ貫通する油路126a~128aを仮想線で記載してある。
図16は、図14におけるB-B断面の模式図である。
本体ボックス10を上側から見ると、第4ボックス14の周壁部141と、第2ボックス12の周壁部121との間には、段差部Dsが形成されている。段差部Dsは、回転軸Xに直交する平坦面となっている。
これら区画壁175a~175dは、鉛直線VL方向における上側から下側に向かって間隔を空けてこの順番で並んでいる。
区画壁175a~175dは、回転軸Xの径方向で周壁部121と蓋179とに跨って設けられている(図19の(a)~(c)参照)。
区画壁175aは、回転軸X方向における長壁部171側から長壁部172側に向かうにつれて鉛直線VL方向の高さが低くなる向きで傾斜している。区画壁175aは、長壁部172側において、鉛直線VL方向に貫通した貫通孔176が形成されている。
冷却室17は、第2ボックス12の外側で、第4ボックス14側から第3ボックス13側に至る油路126aの途中位置に設けられている。
なお、排出路126a2の開口面積は、供給路126a1の開口面積よりも小さくなるように設定されている。
また、回転軸X方向からみて、ガイド片126dは、内部にガイド部154が収まる大きさに設定されている(図17における仮想線参照)。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフト9(9A、9B)と、が設けられている。
ここで、段付きピニオンギア43の小径歯車部432は、第4ボックス14の内周に固定されたリングギア42に噛合している。そのため、段付きピニオンギア43は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに公転する。
以下、段付きピニオンギア43が軸線X1回りに自転しながら回転軸X周りに公転することをまとめて、段付きピニオンギア43が回転する、とも表記する。
これにより、段付きピニオンギア43を支持するデフケース50(第1ケース部6、第2ケース部7)が、モータ2側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア4のサンギア41に入力された回転は、段付きピニオンギア43により、大きく減速されたのちに、デフケース50(差動機構5)に出力される。
掻き上げられたオイルOLにより、サンギア41と大径歯車部431との噛合部と、小径歯車部432とリングギア42との噛合部と、ピニオンメートギア52とサイドギア54A、54Bとの噛合部とが潤滑される。
第4ボックス14には、前記した第1オイルキャッチ部15と第2オイルキャッチ部16が設けられている。第1オイルキャッチ部15と第2オイルキャッチ部16は、デフケース50(段付きピニオンギア43)の回転方向における下流側に位置しており、デフケース50で掻き上げられたオイルOLは、第1オイルキャッチ部15や第2オイルキャッチ部16内に流入する。
従って、供給路126a1から冷却室17に流入したオイルOLは、一旦領域Ra内に留まる(蓄積される)ようになっている。
(i)排出路126a2から冷却室17外に排出される第1油送経路P1(図中、黒矢印)
(ii)貫通孔176を通って冷却室17内を移動する第2油送経路P2(図中、白矢印)
第4ボックス14内(ギア室Sb)に戻されたオイルOLは、再びデフケース50で掻き上げられる。
区画壁175b上に落下したオイルOLは、区画壁175bを伝って領域Rb内を長壁部171側に移動したのち、隙間CL1から区画壁175c上に落下する。
区画壁175c上に落下したオイルOLは、区画壁175cを伝って領域Rc内を長壁部172側に移動したのち、隙間CL2から落下して、領域Reに到達する。
このように、本実施形態にかかる冷却室17の内部空間は、いわゆるラビリンス構造となっている。
領域Reは、排出路128aを介してギア室Sbの第2ギア室Sb2と連通している。従って、領域Re内のオイルOLは、短壁部174でガイドされつつ長壁部171側に移動して、排出路128aから第2ギア室Sb2に排出される(図18参照)。
第2油送経路P2と合流したオイルOLは、短壁部174を伝って領域Re内を長壁部171側に移動したのち、排出路128aから第4ボックス14内(ギア室Sb)に戻される。第4ボックス14内(ギア室Sb)に戻されたオイルOLは、再びデフケース50で掻き上げられる。
以下の説明では、第2オイルキャッチ部16から冷却室17(領域Rd)内に送られて、第2油送経路P2と合流するまでのオイルOLの油送経路を第3油送経路P3と表記する。
(a)は、図16のA-A断面の模式図である。(b)は、図16のB-B断面の模式図である。(c)は、図16のC-C断面の模式図である。
なお、(a)では、説明の便宜上、第1油送経路P1と第2油送経路P2を領域Ra内で分岐させてある。また、(a)、(b)では、分かり易くするため、貫通孔176及び隙間CL3にそれぞれクロスハッチングを付してある。
本実施形態では、第2ボックス12の一部を利用して、当該第2ボックス12の周壁部121の外壁面に冷却室17を設けることにより、冷却室17の容積を大きく確保することができる。これにより、冷却水Qにて冷却される箇所の表面積を大きくして、冷却効率を向上させている。
具体的には、第2油送経路P2を通るオイルOLは、冷却室17内を2往復する間に冷却される。第3油送経路P3を通るオイルOLは、冷却室17内を1往復する間に冷却される。
従って、デフケース50(段付きピニオンギア43)の回転に伴って、大径歯車部431がオイル導入部85の貫通孔851を周期的に横切るようになっている。
なお、段付きピニオンギア43に替えて単純歯車(段付きではないギア)を用いた場合、貫通孔851は常にギア側面と対向した状態であるので、ギア室Sb内において第2ギア室Sb2側から第1ギア室Sb1側に向かうオイルOL流れは発生しにくい。
第1ギア室Sb1側に取り込まれたオイルOLは、再びデフケース50の回転で掻き上げられる。
オイル導入部85は、下がった状態の油面OT付近に設けられている。これにより、第1ギア室Sb1には常にオイル導入部85からオイルOLが送られる。そうすると、再度デフケース50で掻き上げられて、オイルOLが第1オイルキャッチ部15または第2オイルキャッチ部16に流入する機会も増える。これにより、オイルOLの冷却室17への供給が促進されるので、冷却サイクルのスピードが向上する。
(1)動力伝達装置1は、
段付きピニオンギア43(ピニオンギア)と、
段付きピニオンギア43の大径歯車部431と回転軸X方向に対向するプレート部材8(プレート)と、
オイルOL(潤滑油)を冷却する冷却室17と、を有する。
プレート部材8は、冷却室17から放出されたオイルOLが導入される貫通孔851(開口部)を有する。
貫通孔851は、大径歯車部431の公転軌道Kと回転軸X方向に隣接する位置に配置されている。
また、回転軸X方向において、貫通孔851と大径歯車部431とが対向するタイミングと、貫通孔851と大径歯車部431とが対向しないタイミングと、を繰り返す段付きピニオンギア43を用いているので、常に貫通孔851とギア側面とが対向する単純歯車を用いる場合と比較して、より冷却効率を向上することができる。
(2)プレート部材8と回転軸X方向に対向する第2ボックス12の壁部120を有している。
壁部120は、冷却室17から排出(放出)されるオイルOLの排出路128a(放出口)を有している。
プレート部材8は、貫通孔851から排出路128aに向かって延びる筒壁部852(筒状部)を有する。
(3)プレート部材8は、筒壁部852とプレート部材8の基部80(本体部)とをつなぐリブ83を有する。
そこで、上記のように構成して、リブ83を設けることで筒壁部852の入口が傾くことを抑制することができる。
(4)プレート部材8の貫通孔851は、回転軸X(段付きピニオンギア43の公転中心)を通る水平線HLよりも下方に設けられている。
(5)段付きピニオンギア43の一部と回転軸X方向にオーバーラップするモータ2を有する。
プレート部材8の貫通孔851は、モータ2と回転軸X方向にオーバーラップしない位置で且つ冷却室17と回転軸X方向にオーバーラップする位置に形成されている
(6)段付きピニオンギア43を収容するデフケース50の回転により掻き上げられたオイルOLを冷却室17に導入する油送経路(潤滑経路)を構成する第1オイルキャッチ部15が形成されている。
これにより、冷却室17にオイルOLを送るためのオイルポンプを不要とすることができる。一方、オイルポンプを別途設けた場合は、冷却サイクルをさらに促進させることができる。
なお、本実施形態では、潤滑経路の一例として、第1オイルキャッチ部15のガイド部154(すべり台)と冷却室17の供給路126a1(導入孔)とがある場合を例示したが、この例に限定されない。
冷却室17は、例えば、駆動源(モータ、エンジン等)の冷媒との熱交換でオイルOLを冷却する空間(スペース)であれば限定されない。よって、例えば、冷却室17がパイプ状になっている場合等も許容される。
冷却室17の他の例として、大気との熱交換を利用してもよい。例えば、ラジエータ及び/又はヒートシンクを利用してオイルOLを積極的に冷却する場合も許容される。当然、これらの例には限定されない。例えば、冷却室17がパイプ状になっている場合等も許容される。
また、冷却室17に替えて、冷却路CP内にパイプ材を通して、冷却路CP内に第1油送経路P1、第2油送経路P2、第3油送経路P3に相当する油送経路を設けてもよい。
2 :モータ
3 :パークロック機構
4 :遊星減速ギア
5 :差動機構
6 :第1ケース部
7 :第2ケース部
8 :プレート部材
9 :ドライブシャフト
9A :ドライブシャフト
9B :ドライブシャフト
10 :本体ボックス
11 :第1ボックス
12 :第2ボックス
13 :第3ボックス
14 :第4ボックス
15 :第1オイルキャッチ部
16 :第2オイルキャッチ部
17 :冷却室
18 :ブリーザ室
20 :モータシャフト
20a :一端
20b :他端
21 :ロータコア
21a :端部
21b :端部
25 :ステータコア
30 :パークギア
41 :サンギア
42 :リングギア
43 :段付きピニオンギア
44 :ピニオン軸
44a :一端
44b :他端
50 :デフケース
51 :ピニオンメートシャフト
52 :ピニオンメートギア
53 :球面状ワッシャ
54A :サイドギア
54B :サイドギア
55 :ワッシャ
60 :開口
61 :基部
61a :支持孔
62 :連結梁
63 :基部
64 :連結部
64a :先端面
65 :支持溝
66 :ギア支持部
67 :ボルト穴
70 :貫通孔
71 :基部
71a :支持孔
72 :筒壁部
73 :周壁部
73a :突起部
74 :連結部
75 :支持溝
76 :ボルト収容部
77 :挿通孔
78 :ガイド部
80 :基部
83 :リブ
85 :オイル導入部
851 :貫通孔
852 :筒壁部
111 :支持壁部
111a :一端
111b :凹溝
111c :リング溝
112 :接合部
112a :連通孔
113 :シールリング
120 :壁部
120a :開口
121 :周壁部
121a :一端
121b :他端
121c :オイル溜り部
122 :接合部
123 :接合部
125 :モータ支持部
126 :リブ
126a :油路
126b :供給路
126c :排出路
126d :ガイド片
127 :リブ
127a :油路
127d :ガイド片
128 :リブ
128a :排出路
130 :壁部
130a :挿通孔
131 :周壁部
132 :接合部
135 :モータ支持部
136 :接続壁
136a :油孔
137 :径方向油路
138 :軸方向油路
140 :収容部
141 :周壁部
142 :接合部
145 :支持部
145a :開口部
146 :支持壁部
146a :歯部
147 :連通口
151 :支持台部
151a :油孔
152 :オイルガイド
153 :キャッチ部
153a :壁部
154 :ガイド部
154a :壁部
154b :先端
155 :切欠部
170 :筐体
171 :長壁部
172 :長壁部
173 :短壁部
174 :短壁部
175a~175d :区画壁
201 :段部
202 :嵌合部
251 :ヨーク部
252 :ティース部
253 :巻線
253a :コイルエンド
253b :コイルエンド
410 :基部
410a :一端
410b :他端
411 :歯部
421 :係合歯
430 :貫通孔
431 :大径歯車部
432 :小径歯車部
440 :軸内油路
441 :導入路
442 :油孔
443 :油孔
444 :貫通孔
445 :第1軸部
446 :第2軸部
510 :連結部
540 :筒壁部
541 :筒壁部
542 :連絡路
611 :筒壁部
616 :ボス部
641 :円弧部
660 :貫通孔
661 :凹部
710 :スリット
711 :突出壁
741 :円弧部
781 :ケース内油路
782 :挿入穴
B :ボルト
B1 :ベアリング
B2 :ベアリング
B3 :ベアリング
B4 :ベアリング
CCW :反時計回り方向
CL1~CL3 :隙間
CP :冷却路
Ra~Re :領域
HL :水平線
K :公転軌道
L :半径線
MS :中間スペーサ
N :ナット
NB :ニードルベアリング
OL :オイル
P :位置決めピン
P1 :第1油送経路
P2 :第2油送経路
P3 :第3油送経路
R1 :外径
R2 :外径
RS :リップシール
Q :冷却水
Rx :隙間
Sa :モータ室
Sb :ギア室
Sb1 :第1ギア室
Sb2 :第2ギア室
Sb2a :第1室
Sb2b :第2室
Sc :内部空間
VL :鉛直線
W :駆動輪
W61 :厚み
W71 :厚み
Wc :ワッシャ
X :回転軸
X1 :軸線
Claims (6)
- ピニオンギアと、
前記ピニオンギアと軸方向に対向するプレートと、
潤滑油を冷却する冷却室と、を有し、
前記プレートは、前記冷却室から放出された潤滑油が導入される開口部を有し、
前記開口部は、前記ピニオンギアの公転回転軌道と軸方向に隣接する位置に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1において、
前記プレートと軸方向に対向する壁部を有し、
前記壁部は、前記冷却室から放出された潤滑油の放出口を有し、
前記プレートは、前記開口部から前記放出口に向かって延びる筒状部を有することを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項2において、
前記プレートは、前記筒状部とプレートの本体部とをつなぐリブを有することを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記開口部は、前記ピニオンギアの公転中心を通る水平線よりも下方に設けられていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記ピニオンギアの一部と軸方向にオーバーラップするモータを有し、
前記開口部は、前記モータと軸方向にオーバーラップしない位置で且つ前記冷却室と軸方向にオーバーラップする位置に形成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記ピニオンギアの回転により掻き上げられた潤滑油を前記冷却室に導入する潤滑経路が形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
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