JP6085917B2 - スピンドル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スピンドル装置に関し、より詳細には、防水機能を有し、工作機械に適用するのに好適なスピンドル装置に関する。
工作機械等に適用されるスピンドル装置の回転軸は、高速回転して被加工物の切削加工や研削加工を行っている。加工に際して、一般的に、刃具や砥石等の加工工具および加工部位の潤滑や冷却を目的として多量の加工液が加工部に供給される。即ち、潤滑により、被削特性の向上、加工刃先の摩耗抑制、工具寿命の延長などが図られる。また、冷却により、加工工具及び被加工物の熱膨張が抑制されて加工精度の向上、加工部位の熱溶着を防止して加工効率の向上や加工面の表面性状の向上が図られる。スピンドル装置と加工部との距離が近いこともあり、加工液がスピンドル装置の前面にも多量にかかる。この多量に供給される加工液が回転軸を支持する軸受内部に浸入しやすく、加工液が軸受内部に浸入すると、軸受の潤滑不良や焼付きなどの原因となるため軸受の防水性能が重要となる。特に、グリース封入潤滑やグリース補給潤滑される軸受においては、エアと共に潤滑油が供給されるオイル・エア潤滑やオイルミスト潤滑の軸受と比較して軸受内部が低圧であるため、加工液が軸受内部に浸入し易く、より高い防水性能が必要となる。
一般的な防水機構としては、オイルシールやVリングなどの接触式シールが知られている。しかしながら、この接触式シールを、使用する軸受のdmn値が40万以上(より好適には、50万以上)の高速回転で使用されるスピンドル装置に適用した場合、接触式シールの接触部からの発熱が大きく、シール部材が摩耗して防水性能を長期間に亘って維持し難い問題がある。このため、工作機械では、スピンドル装置の前端部(工具側)に、回転軸と一体回転可能にフリンガーを固定し、該フリンガーとハウジングとの間の隙間を小さくした非接触シールである、所謂ラビリンスシールを構成して防水を図っている。高速で回転するフリンガーは、ラビリンス効果と共に、フリンガーに降りかかった加工液を遠心力で径方向外方に振り飛ばして、加工液の軸受内部への浸入を防止している。
フリンガーによる遠心力及びラビリンス効果を利用した防水効果は、回転の高速化や大径のフリンガーを用いることで遠心力を大きくすると共に、フリンガーとハウジングとの間の隙間を極力小さく、且つ、長く設けることが効果的である。しかし、高速回転したり、フリンガーの直径を大きくすると、フリンガーに作用する遠心力及びフープ応力もこれに比例して大きくなる。
特許文献1に記載の工作機械用主軸装置におけるシール装置においては、主軸の先端部と一体的に回転する遮蔽版を、ハウジングの先端面に対して隙間を隔てて対向するように配置し、遮蔽版とハウジングの先端面との間にラビリンス部を設けている。このように構成することによって、ワークなどに当たって跳ね返ったクーラントがハウジングの内部に浸入することを防止している。
また、特許文献2に記載の工作機械用主軸装置においては、主軸キャップと端面カバーとで形成するラビリンスシールを備え、当該ラビリンスシールがラビリンス室を備えるように構成されており、ラビリンス室の容積を大きく設定することで、主軸キャップと端面カバーとの隙間からラビリンス室にクーラント液が浸入した場合、ラビリンス室内のクーラント液の圧力が低下しクーラント液の流動を減衰させることを図っている。そして、主軸と主軸ヘッドの主軸ハウジングとの隙間から主軸の先端側に向かって大量の圧縮エアを供給することなく、主軸の軸受部にクーラント液が浸入するのを防止している。
また、図10は、回転軸101がモータMに対して前側及び後側に配置された前側及び後側軸受102,103によってハウジングHに対して回転自在に支持される従来のモータビルトイン式スピンドル装置100を示している。このスピンドル装置100では、ハウジングHの前側にカバー104を配置し、その内部に配置された前蓋105とナット106とのすきまをラビリンス構造とすることにより、外部からの液体などが前側軸受102の内部に浸入するのを防止している。
特開2002−263982号公報 特開2010−76045号公報
ところで、図10に示した従来のスピンドル装置100では、多量の液体がスピンドル装置100の前面に吹きかかると、前蓋105とナット106との間のラビリンス隙間を通り前側軸受102に浸入し、前側軸受102が損傷する虞がある。
また、一般的にフリンガーは、SC材、SCM材、SUS材、CU材などの比較的比重が大きな金属材料で製作されている。従って、フリンガーに降りかかる加工液に大きな遠心力を作用させるために、フリンガーの直径を大きくすると、フリンガー自身、特に外径側に大きな遠心力が作用する。工作機械の回転軸のように、使用する軸受のdmn値が100万以上となる高速回転においては、遠心力によってフリンガーが変形し、場合によってはフリンガー本来の防水機能が低下する虞があった。このため、遠心力による影響が許容される程度に、フリンガーの直径や回転軸の回転速度を制限する必要がある。即ち、使用する軸受のdmn値が100万以上となる環境下で使用される従来のスピンドル装置では、遠心力の大きさを考慮してフリンガーの寸法を制限していたために、防水性能の点で改善の余地があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用する軸受のdmn値が100万以上の高速回転可能、且つ、良好な防水機能を維持しながら、遠心力によるフリンガーの変形を防止することができるスピンドル装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
前記回転軸を軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
前記回転軸の周囲に一体回転可能に固定され、前記軸受への液体の浸入を抑制する防水機能を有するフリンガーと、
を備えたスピンドル装置であって、
前記ハウジングは、前記軸受の外輪が内嵌する外筒と、該外筒にボルト締結され、前記外輪を軸方向に位置決め固定するための外輪押さえと、を備え、
前記外輪押さえ及び前記外筒には、前記外輪押さえの軸方向端面と前記外筒の外周面との間を繋ぐように、前記回転軸の軸線に沿った断面における凸状の曲面がそれぞれ形成され、
前記フリンガーは、円筒状の基部と、前記基部から径方向外側に延設する延設部と、を備え、
前記延設部は、前記外輪押さえ及び前記外筒前記凸状の曲面との対向面に、前記回転軸の軸線に沿った断面における凹状の曲面を有することを特徴とするスピンドル装置。
(2) 前記フリンガーは、前記ハウジングとの対向面に凹状の球面を有することを特徴とする(1)に記載のスピンドル装置。(3) 前記フリンガーの自由端部には、径方向外方に延出する鍔部が形成されることを特徴とする(1)または(2)に記載のスピンドル装置。
(4) 前記フリンガーの前記対向面には、少なくとも一つのリブが設けられていることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のスピンドル装置。
(5) 前記フリンガーの前記対向面には、径方向に沿って延びる複数の前記リブが円周方向に等間隔に設けられていることを特徴とする(4)に記載のスピンドル装置。
(6) 前記フリンガーは、前記回転軸に対して比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のスピンドル装置。
(7) 前記フリンガーは、炭素繊維複合材料、アラミド繊維複合材料のいずれかからなる繊維強化複合材料によって構成されることを特徴とする(6)に記載のスピンドル装置。
(8) 前記フリンガーは、アルミニウム、ジュラルミン、チタンのいずれかからなる軽金属材料によって構成されることを特徴とする(6)に記載のスピンドル装置。
本発明のスピンドル装置によれば、ハウジングは、軸受の外輪が内嵌する外筒と、該外筒にボルト締結され、外輪を軸方向に位置決め固定するための外輪押さえと、を備え、外輪押さえ及び外筒には、外輪押さえの軸方向端面と外筒の外周面との間を繋ぐように、回転軸の軸線に沿った断面における凸状の曲面がそれぞれ形成され、フリンガーは、円筒状の基部と、基部から径方向外側に延設する延設部と、を備え、延設部は、外輪押さえ及び外筒の凸状の曲面との対向面に、回転軸の軸線に沿った断面における凹状の曲面を有するので、高速回転時の遠心力による応力集中が抑えられ、高速回転が可能となり、液体を飛ばす振り切り効果が増加して防水性を上げることができる。従って、スピンドル装置は、使用する軸受のdmn値が100万以上の高速回転可能、且つ、良好な防水機能を維持しながら、遠心力によるフリンガーの変形を防止することができる。
本発明の第1実施形態に係るスピンドル装置の断面図である。 図1のスピンドル装置の要部拡大断面図である。 第1実施形態の変形例に係るスピンドル装置を示す、図2に対応する断面図である。 図3のフリンガーの振り切り作用を説明するための断面図である。 本発明の第2実施形態に係るスピンドル装置の要部拡大断面図である。 図5のフリンガーの背面図である。 第2実施形態の第1変形例に係るフリンガーを示す、図8に対応する背面図である。 (a)〜(c)は、図6のVIII−VIII線に沿った、適用可能なリブの断面図である。 第2実施形態の第2変形例に係るスピンドル装置を示す、図7に対応する断面図である。 従来のスピンドル装置を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るスピンドル装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、スピンドル装置10は、工作機械用のモータビルトイン式スピンドル装置であり、回転軸11が、その工具側(前側、軸方向前方)を支承する2列の前側軸受50,50と、反工具側(後側、軸方向後方)を支承する2列の後側軸受60,60を介して、ハウジングHに回転自在に支持されている。ハウジングHは、工具側から順に、前側軸受外輪押さえ12、外筒13、後側ハウジング14、後蓋5によって構成されている。外筒13は、その軸方向前方に設けられた鍔部13aのボルト孔13bにボルトを挿通して主軸ヘッドのブラケット(何れも不図示)に固定されている。
回転軸11の工具側には、軸中心を通り軸方向に形成された工具取付孔24及び雌ねじ25が設けられている。工具取付孔24及び雌ねじ25は、不図示の加工工具を回転軸11に取付けるために使用される。例えば、工具取付孔24及び雌ねじ25には、不図示の砥石クイルが取り付けられることで、研削加工が可能となる。
なお、回転軸11の構成は、一端側に加工工具が取り付けられるものであればよく、工具取付孔24及び雌ねじ25の代わりに、回転軸11の軸芯にドローバーを摺動自在に挿嵌するようにしてもよい。ドローバーは、工具ホルダを固定する不図示のコレット部を備え、皿ばねの力によってコレット部を反工具側方向に付勢する。
回転軸11の前側軸受50,50と後側軸受60,60間の略軸方向中央には、回転軸11と一体回転可能に配置されるロータ26と、ロータ26の周囲に配置されるステータ27とを備える。ステータ27は、ステータ27に焼き嵌めされた冷却ジャケット28を、ハウジングHを構成する外筒13に内嵌することで、外筒13に固定される。ロータ26とステータ27とはモータMを構成し、ステータ27に電力を供給することでロータ26に回転力を発生させて回転軸11を回転させる。
各前側軸受50は、外輪51と、内輪52と、接触角を持って配置される転動体としての玉53と、図示しない保持器と、をそれぞれ有するアンギュラ玉軸受であり、各後側軸受60は、外輪61と、内輪62と、転動体としての玉63と、図示しない保持器と、を有するアンギュラ玉軸受である。前側軸受50,50(並列組合せ)と後側軸受60,60(並列組合せ)とは、互いに協働して背面組み合わせとなるように配置されている。
前側軸受50,50の外輪51,51は、外筒13に内嵌されており、外筒13にボルト締結された前側軸受外輪押さえ12によって外輪間座54を介して外筒13に対し軸方向に位置決め固定されている。前側軸受50,50の内輪52,52は、回転軸11に外嵌されており、回転軸11に締結されたナット16によって、内輪間座55及び後述するフリンガー40を介して回転軸11に対し軸方向に位置決め固定されている。
後側軸受60,60の外輪61,61は、後側ハウジング14に対して軸方向に摺動自在に内嵌するスリーブ18に内嵌すると共に、このスリーブ18にボルト66で一体的に固定された後側軸受外輪押え19によって、外輪間座64を介してスリーブ18に対し軸方向に位置決め固定されている。
後側軸受60,60の内輪62,62は、回転軸11に外嵌されており、回転軸11に締結された他のナット21によって、内輪間座65を介して回転軸11に対し軸方向に位置決め固定されている。後側ハウジング14と後側軸受外輪押え19との間にはコイルばね23が配設され、このコイルばね23のばね力が、後側軸受外輪押え19をスリーブ18と共に後方に押圧する。これにより、後側軸受60,60に予圧が付与される。
ここで、本実施形態のような研削加工では、一般的に研削液を多量に加工部に供給し、加工部の冷却及び加工粉の除去を行なっている。この加工液が前側軸受50,50に浸入しないように、フリンガー40が、前側軸受50,50より工具側(図中左側)において回転軸11の周囲に一体回転可能に固定されており、前側軸受外輪押さえ12及び外筒13との間にラビリンスシールを構成して、外部からかかる研削液を回転軸11の回転と共に振り切り、前側軸受50,50への液体の浸入を抑制する防水機能を与える。
図2も参照して、フリンガー40は、基部としての円筒状のボス部42と、該ボス部42の軸方向前端部から径方向外方に延設された延設部45と、を有する。そして、フリンガー40は、ボス部42を回転軸11に外嵌して、ナット16により内輪52,52と共に軸方向に締め付けることで、回転軸11に一体回転可能に固定される。
前側軸受外輪押さえ12及び外筒13には、前側軸受外輪押さえ12の軸方向前端面12bと外筒13の外周面13cとの間を繋ぐように、凸状の球面12c及び13dが形成されている。
一方、フリンガー40の延設部45の内面は、前側軸受外輪押さえ12と外筒13の凸状の球面12c,13dとの対向面に、凹状の球面45aを有するとともに、前側軸受外輪押さえ12の軸方向前端面12bとの対向面に平面45bと、外筒13の外周面13cとの対向面13cに円筒面45cと、を有する。また、延設部45の外面は、前端面45dと外周面45eとの間に、内面に形成された凹状の球面45aと曲率中心が略等しい凸状の球面45gを有する。このようにフリンガー40を構成することで、延設部45の肉厚が略一様となるため、応力集中をさらに抑制することができる。
また、ボス部42は、前側軸受外輪押さえ12の内周面12aに対して僅かな隙間を介して径方向に対向配置され、延設部45は前側軸受外輪押さえ12の軸方向前端面12bから前側軸受け外輪押さえ12及び外筒13の凸状の球面12c,13dを介して外筒13の外周面13cまで、僅かな隙間を介して対向配置される。このように、フリンガー40は、ハウジングHを構成する前側軸受外輪押さえ12及び外筒13と僅かな隙間、例えば0.5mm程度の隙間を介して対向配置され、所謂ラビリンスシールを構成する。
特に、延設部45の円筒面45cと外筒13の外周面13cとの間にはその周速度の差によってエアカーテンが形成され、被加工物を加工する際、スピンドル装置10に降りかかる加工液が前側軸受50,50側に入ることを抑制するための防水機構を構成する。
また、このように構成されるフリンガー40は、回転軸11に使用される材料に対して比重が小さく、且つ、比強度(引っ張り強さ/比重)が高い材料からなり、具体的には、炭素繊維複合材料(CFRP)、アラミド繊維複合材料(AFRP)のいずれかからなる繊維強化複合材料、または、アルミニウム、ジュラルミン、チタンのいずれかからなる軽金属材料によって構成される。
例えば、炭素繊維複合材料としては、例えば、PAN(ポリアクリルニトリル)を主原料とした炭素繊維からなる糸を平行に引きそろえたものや、炭素繊維からなる糸で形成した織物(シート状)に、硬化剤を含むエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂を含浸させてなるシートを多数層重ね合わせて、芯金などに巻きつけ、加熱硬化させることで製造される。また、ピッチ系を主原料とした炭素繊維を使用することもできる。炭素繊維複合材料は、纖維方向・角度を最適化することで、引張強度、引張弾性率、線膨張係数などの物性値を用途に合わせて最適化することができる。
炭素繊維複合材料の特性としては、例えば、引張強度1800〜3500MPa、引張弾性率130〜280GPa、比重1.5〜2.0g/ccの物性値を持ったPAN系を主原料とした炭素繊維を用いると、従来の高張力鋼などと比べて、引張強度は同等以上であり、比重は1/5程度になる(比強度では、通常の金属材料に比べて略3倍となる)。また、熱膨張係数は、繊維方向・角度を最適化することにより、−5〜+12×10−6−1にすることができるので、従来の炭素鋼に比べて1〜1/10程度にすることができる。
このように、一般的な金属と比較して比強度が高い炭素繊維複合材料を用いることで、直径が同じであればフリンガー40に作用する遠心力を大幅に小さくすることができ、また、ハウジングHとの対向面を変曲面のない凹状の球面45aによって形成したので、遠心力による応力集中が緩和される。従って、回転軸11の回転速度に対する制約や、フリンガー40の大きさ(径方向)に対する制限を大幅に緩和することができる。
これにより、従来達成することが困難であった更なる高速回転化、或いはフリンガー40の大型化が可能となり、加工液に作用する遠心力を高めて、降りかかる加工液を確実に径方向外方に振り飛ばして軸受内部への浸入を防止することができる。また、フリンガー40の延設部45に作用する遠心力が小さくなることで、比較的強度が弱い片持ち構造となる延設部45の開口側(図中右側)が径方向外方へ拡径することを抑制することができる。これにより、延設部45の径方向長さ及び軸方向長さを長く設定して、ラビリンスシールの長さが長くなり防水効果が向上する。
なお、外筒13の外周面13cには、フリンガー40の自由端部45zと対向する位置に、円周溝13eが全周に亘って形成されている。従って、仮にラビリンス隙間に加工液が浸入した場合であっても、加工液は円周溝13eに溜まるので、前側軸受50への加工液の浸入を抑制することができる。なお、フリンガー40の自由端部45zは、円周溝13eを覆うように設けられており、円周溝13eよりも反工具側(図中、右側)に位置していることが好ましい。
また、前側軸受外輪押さえ12は、フリンガー40のボス部42と径方向に対向する内周面12aに、径方向外方に向かって全周に亘るように凹設された環状溝85と、該環状溝85から径方向外方に延びる第1延出孔89と、を有している。また、外筒13には、第1延出孔89の径方向外方端部と接続して軸方向後方に延びる第2延出孔90と、第2延出孔90の軸方向後方端部に接続して径方向外方に延び、鍔部13aの外周面に連通する第3延出孔91と、を有している。そして、これら第1、2、3延出孔89、90、91は、環状溝85と鍔部13aの外周面とを連通する連通孔としてのドレン孔88を構成する。したがって、フリンガー40のボス部42と前側軸受外輪押さえ12の内周面83との間に研削液が浸入した場合であっても、当該研削液は、環状溝85に溜まり、ドレン孔88を介して外部に排出されるので、前側軸受50への研削液の浸入をさらに抑制することが可能である。
なお、防水性能をより発揮するために、本実施形態のスピンドル装置10は、横向き(軸方向が重力方向に対して垂直の状態)で、且つ、鍔部13aに設けられたドレン孔88の開口88aが重力方向を指向するように用いることが望ましい。スピンドル装置10を横向きで使用することによって、ラビリンス隙間に研削液が浸入し難くなると共に、ドレン孔88の開口88aを重力方向に指向させることによって、ラビリンスから研削液を排出する効果を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態のスピンドル装置10によれば、フリンガー40は、
ハウジングHとの対向面に凹状の球面45aを有する。これにより、高速回転時の遠心力によるフリンガー40の応力集中が抑えられ、高速回転が可能となり、液体を飛ばす振り切り効果が増加して防水性を上げることができる。従って、スピンドル装置10は、主軸に使用される軸受50,60のdmn値(特に、フリンガー40が前方に配置される前側軸受50のdmn値)が100万以上の高速回転可能、且つ、良好な防水機能を維持しながら、遠心力によるフリンガー40の変形を防止することができる。
また、ハウジングHは、前側軸受外輪押さえ12の軸方向端面12bと外筒13の外周面13cとを凸状の球面12c、13dによって繋ぐように形成され、フリンガー40は、円筒状のボス部42と、ボス部42から径方向外側に延設する延設部45と、を備え、延設部45は、ハウジングHの凸状の球面12c、13dとの対向面に凹状の球面45aを有する。これにより、フリンガー40とハウジングHとの間に一様な隙間のラビリンスシールを構成することができ、防水効果を向上することができる。
また、フリンガー40は、繊維強化複合材料や軽金属材料などの、回転軸11に対して比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなるので、高速回転時の遠心力による応力集中が抑えられ、回転軸11と同じ鉄などの部材で構成した場合に比べ、フリンガーの外径を大きくでき、スピンドル装置10の前面を覆うことができ、遠心力により研削液などの液体を外径側へ飛ばし、防水性を向上することができる。
図3及び図4は、第1実施形態の変形例に係るスピンドル装置を示す。この変形例では、フリンガー40は、延設部45の自由端部45zに、外周面45eから径方向外方に延出する鍔部45hが形成されている。
これにより、図4に示すように、フリンガー40の外面に付着した液体は、遠心力と表面張力(表面付着力に相当)作用でフリンガー40の表面上を外径側に移動し、フリンガー40の最外周面部位に位置する鍔部45hから径方向外方へ放射状に拡散することになる。振り飛ばされた液体は一種のカーテン遮蔽膜となり、該膜によって加工部位から直接飛散した油がラビリンスの開口部に浸入するのを防止する。
また、フリンガー40の遠心力による半径方向の変形量は、延設部45の自由端部45zで最も大きくなり、応力も最大となる。したがって、この変形例のように、鍔部45hによって自由端部45zの肉厚を適度に増加させることで、自由端部45zの応力を緩和することができ、フリンガー40の強度を強化することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るスピンドル装置について、図5及び図6を参照して説明する。この実施形態では、フリンガー40は、第1実施形態と同様に、外面に形成された凸状の球面45gと内面に形成された凹状の球面45aとによって略一様な肉厚の延設部45を有する一方、ハウジングHとの対向面には、複数のリブ46が円周方向に等間隔で設けられている。また、前側外輪押さえ12と外筒13とは凸状の球面12c、13dを形成している。各リブ46は、ボス部42の外周面から径方向外方に向かって延び、径方向外方に向かって徐々に薄肉となるように形成されており、ハウジングHとの対向面には凹状の球面46aを有する。従って、本実施形態の場合には、フリンガー40の内面とハウジングHの外面との間の隙間は、リブ46の板厚分だけ広く形成されているが、フリンガー40の円筒面45cと外筒13の外周面13cとの間には、リブ46が介在せず、狭く形成されている。
なお、リブ46の材質も、回転軸11に対して比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなる。このため、フリンガー40とリブ46は、別体に形成しても、一体に形成してもよい。
従って、本実施形態によれば、フリンガー40のハウジングHとの対向面に、複数のリブ46が円周方向に等間隔で設けられているので、フリンガー40の強度をさらに向上することができる。
なお、リブ46の本数は、アンバランスが生じないように、円周方向で等間隔に配置することが好ましく、少なくとも2箇所以上とし、より好ましくは、図6に示すような4箇所、図7に示す第1変形例のような6箇所など、少なくとも4箇所以上とすることがよい。また、リブ46の断面形状は、図8(a)〜(c)に示すように、フリンガー40の回転による空気抵抗を抑制するため、矩形形状、台形形状、曲面形状のいずれの形状としてもよい。
図9は、第2実施形態の第2変形例に係るスピンドル装置を示す。この実施形態では、径方向に沿って延びるリブ46が、延設部45の凹状の球面45a部分から円筒面45cに亘って形成されている。従って、本実施形態の場合には、フリンガー40の円筒面45cと外筒13の外周面13cとの間には、リブ46の板厚分だけ隙間が広く形成される一方、フリンガー40の平面45bと前側軸受外輪押さえ12の軸方向前端面12bとの間には、リブ46が介在せず、隙間が狭く形成されている。また、各リブ46は、ハウジングHとの対向面に凹状の球面46aを有する。
従って、この変形例においても、複数のリブ46を設けることで、フリンガー40の強度をさらに向上することができ、また、各リブ46は、延設部45の凹状の球面45a部分から円筒面45cに亘って、ハウジングHとの対向面に部分的に形成したので、スピンドル装置10の軸方向寸法を抑えることができる。
なお、この変形例においても、第1実施形態の第2変形例と同様、フリンガー40は、延設部45の自由端部45zに、外周面45eから径方向外方に延出する鍔部45hが形成されている。
なお、本実施形態では、複数のリブ46が、径方向に延びて形成されているが、これに限定されず、フリンガー40のハウジングHとの対向面に、少なくとも一つのリブが設けられればよい。例えば、円周方向に延びるリブが少なくとも一つ設けられればよく、円周方向の全周に亘って単一のリブが形成されてもよいし、円周方向に延びる複数のリブが円周方向に等間隔に部分的に設けられてもよい。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。また、本発明は、実施可能な範囲において、適宜、組み合わせて適用可能である。
本実施形態では、フリンガー40は、ハウジングHとの対向面に凹状の球面45aを有する構成としたが、本発明は、これに限定されず、例えば、断面楕円曲線からなる凹状の曲面など、ハウジングHとの対向面に凹状の曲面を有するものであってもよい。また、ハウジングも、その軸方向端面と外周面との間を、フリンガー40の凹状の曲面に対応した凸状の曲面によって繋ぐように形成されてもよい。
また、本実施形態では、フリンガー全体が繊維強化複合材料や軽金属材料など、回転軸に対して比重が小さく、且つ、比強度が高い材料によって構成されているが、フリンガーの少なくとも一部に該材料を使用するものであってもよい。ただし、遠心力が作用する延設部は、該材料によって構成されることが好ましい。
また、モータビルトイン式スピンドル装置として説明したが、これに限定されず、ベルト駆動方式スピンドル装置、モータの回転軸とカップリング連結されたモータ直結駆動方式スピンドル装置にも同様に適用可能である。更に、工作機械用のスピンドル装置に限定されず、防水機能が要望される、他の高速回転機器のスピンドル装置にも適用することができる。
10 スピンドル装置
11 回転軸
12 前側軸受外輪押さえ
12c 凸状の球面
13 外筒
13d 凸状の球面
40 フリンガー
42 ボス部(基部)
45 延設部
45a 凹状の球面(凹状の曲面)
46 リブ
50 前側軸受(軸受)
60 後側軸受(軸受)
H ハウジング

Claims (8)

  1. 一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
    前記回転軸を軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
    前記回転軸の周囲に一体回転可能に固定され、前記軸受への液体の浸入を抑制する防水機能を有するフリンガーと、
    を備えたスピンドル装置であって、
    前記ハウジングは、前記軸受の外輪が内嵌する外筒と、該外筒にボルト締結され、前記外輪を軸方向に位置決め固定するための外輪押さえと、を備え、
    前記外輪押さえ及び前記外筒には、前記外輪押さえの軸方向端面と前記外筒の外周面との間を繋ぐように、前記回転軸の軸線に沿った断面における凸状の曲面がそれぞれ形成され、
    前記フリンガーは、円筒状の基部と、前記基部から径方向外側に延設する延設部と、を備え、
    前記延設部は、前記外輪押さえ及び前記外筒前記凸状の曲面との対向面に、前記回転軸の軸線に沿った断面における凹状の曲面を有することを特徴とするスピンドル装置。
  2. 前記フリンガーは、前記ハウジングとの対向面に凹状の球面を有することを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
  3. 前記フリンガーの自由端部には、径方向外方に延出する鍔部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のスピンドル装置。
  4. 前記フリンガーの前記対向面には、少なくとも一つのリブが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスピンドル装置。
  5. 前記フリンガーの前記対向面には、径方向に沿って延びる複数の前記リブが円周方向に等間隔に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のスピンドル装置。
  6. 前記フリンガーは、前記回転軸に対して比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスピンドル装置。
  7. 前記フリンガーは、炭素繊維複合材料、アラミド繊維複合材料のいずれかからなる繊維強化複合材料によって構成されることを特徴とする請求項6に記載のスピンドル装置。
  8. 前記フリンガーは、アルミニウム、ジュラルミン、チタンのいずれかからなる軽金属材料によって構成されることを特徴とする請求項6に記載のスピンドル装置。
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