JP5962342B2 - スピンドル装置 - Google Patents

スピンドル装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5962342B2
JP5962342B2 JP2012191660A JP2012191660A JP5962342B2 JP 5962342 B2 JP5962342 B2 JP 5962342B2 JP 2012191660 A JP2012191660 A JP 2012191660A JP 2012191660 A JP2012191660 A JP 2012191660A JP 5962342 B2 JP5962342 B2 JP 5962342B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flinger
bearing
spindle device
spindle
rotating shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012191660A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014046412A (ja
Inventor
翔一郎 小栗
翔一郎 小栗
好史 稲垣
好史 稲垣
美昭 勝野
美昭 勝野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2012191660A priority Critical patent/JP5962342B2/ja
Publication of JP2014046412A publication Critical patent/JP2014046412A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5962342B2 publication Critical patent/JP5962342B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、スピンドル装置に関し、より詳細には、防水機能を有し、工作機械に適用するのに好適なスピンドル装置に関する。
工作機械等に適用されるスピンドル装置の回転軸は、高速回転して被加工物の切削加工や研削加工を行っている。加工に際して、一般的に、刃具や砥石等の加工工具および加工部位の潤滑や冷却を目的として多量の加工液が加工部に供給される。即ち、潤滑により、被削特性の向上、加工刃先の摩耗抑制、工具寿命の延長などが図られる。また、冷却により、加工工具及び被加工物の熱膨張が抑制されて加工精度の向上、加工部位の熱溶着を防止して加工効率の向上や加工面の表面性状の向上が図られる。スピンドル装置と加工部との距離が近いこともあり、加工液がスピンドル装置の前面にも多量にかかる。この多量に供給される加工液が回転軸を支持する軸受内部に浸入しやすく、加工液が軸受内部に浸入すると、軸受の潤滑不良や焼付きなどの原因となるため軸受の防水性能が重要となる。特に、グリース封入潤滑やグリース補給潤滑される軸受においては、エアと共に潤滑油が供給されるオイル・エア潤滑やオイルミスト潤滑の軸受と比較して軸受内部が低圧であるため、加工液が軸受内部に浸入し易く、より高い防水性能が必要となる。
一般的な防水機構としては、オイルシールやVリングなどの接触式シールが知られている。しかしながら、この接触式シールを、使用する軸受のdmn値が40万以上(より好適には、50万以上)の高速回転で使用されるスピンドル装置に適用した場合、接触式シールの接触部からの発熱が大きく、シール部材が摩耗して防水性能を長期間に亘って維持し難い問題がある。このため、工作機械では、スピンドル装置の前端部(工具側)に、回転軸と一体回転可能にフリンガーを固定し、該フリンガーとハウジングとの間の隙間を小さくした非接触シールである、所謂ラビリンスシールを構成して防水を図っている。高速で回転するフリンガーは、ラビリンス効果と共に、フリンガーに降りかかった加工液を遠心力で径方向外方に振り飛ばして、加工液の軸受内部への浸入を防止している。
フリンガーによる遠心力及びラビリンス効果を利用した防水効果は、回転の高速化や大径のフリンガーを用いることで遠心力を大きくすると共に、フリンガーとハウジングとの間の隙間を極力小さく、且つ、長く設けることが効果的である。しかし、高速回転したり、フリンガーの直径を大きくすると、フリンガーに作用する遠心力及びフープ応力もこれに比例して大きくなる。
遠心力による影響を抑制する従来の技術としては、工具に装着されたコレットを工具保持部のテーパ孔に挿入し、工具保持部に螺合するナットを締め付けて工具を工具保持部に固定するようにした工具ホルダにおいて、ナットの外周面に炭素繊維層を巻き付け、遠心力によるナットの膨張抑制を図ったものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特許文献2に記載の工作機械用主軸装置におけるシール装置においては、主軸の先端部と一体的に回転する遮蔽版を、ハウジングの先端面に対して隙間を隔てて対向するように配置し、遮蔽版とハウジングの先端面との間にラビリンス部を設けている。このように構成することによって、ワークなどに当たって跳ね返ったクーラントがハウジングの内部に浸入することを防止している。
また、特許文献3に記載の工作機械用主軸装置においては、主軸キャップと端面カバーとで形成するラビリンスシールを備え、当該ラビリンスシールがラビリンス室を備えるように構成されており、ラビリンス室の容積を大きく設定することで、主軸キャップと端面カバーとの隙間からラビリンス室にクーラント液が浸入した場合、ラビリンス室内のクーラント液の圧力が低下しクーラント液の流動を減衰させることを図っている。そして、主軸と主軸ヘッドの主軸ハウジングとの隙間から主軸の先端側に向かって大量の圧縮エアを供給することなく、主軸の軸受部にクーラント液が浸入するのを防止している。
また、特許文献4に記載のスピンドルユニットは、ハウジングと、該ハウジングにベアリングを介して回転自在に装着される回転軸と、該回転軸に螺着され該ベアリングの内輪を押さえる内輪押さえ部材と、該ハウジングに固着され該ベアリングの外輪を押さえる外輪押さえ部材と、を含み、内輪押さえ部材には、外輪押さえ部材を非接触で覆う防水カバーが形成されることが開示されている。そして、上記防水カバーによって、外輪押さえ部材と内輪押さえ部材との間、即ちベアリング部位への切削水の浸入を防止し、錆の発生等を解消させることを図っている。
特開平6−226516号公報 特開2002−263982号公報 特開2010−76045号公報 特開平11−77529号公報
ところで、一般的にフリンガーは、SC材、SCM材、SUS材、CU材などの比較的比重が大きな金属材料で製作されている。従って、フリンガーに降りかかる加工液に大きな遠心力を作用させるために、フリンガーの直径を大きくすると、フリンガー自身、特に外径側に大きな遠心力が作用する。工作機械の回転軸のように、使用する軸受のdmn値が100万以上となる高速回転においては、遠心力によってフリンガーが変形し、場合によってはフリンガー本来の防水機能が低下する虞があった。このため、遠心力による影響が許容される程度に、フリンガーの直径や回転軸の回転速度を制限する必要がある。
従来のdmn値が100万以上となる環境下で使用されるスピンドル装置では、遠心力の大きさを考慮してフリンガーの寸法を制限していたために、防水性能の点で改善の余地があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用する軸受のdmn値が100万以上の高速回転可能、且つ、良好な防水機能を維持しながら、遠心力によるフリンガーの変形を防止することができ、さらに、フリンガーの回転中の内部応力が軽減されて、半径方向の変形を小さくできるスピンドル装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
前記回転軸を軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
前記回転軸の周囲に一体回転可能に固定され、前記軸受への液体の浸入を抑制する防水機能を有するフリンガーと、
を備えたスピンドル装置であって、
前記フリンガーは、前記回転軸に外嵌される円筒状の基部と、前記基部の軸方向一端部から径方向外側に延設され、径方向外側に向かうにつれて前記基部の軸方向他端部側に向けて傾斜する傾斜部と、前記傾斜部から軸方向に延設される円環部と、を備え、前記回転軸よりも比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなることを特徴とするスピンドル装置。
(2) 前記フリンガーは、炭素繊維複合材料、アラミド繊維複合材料のいずれかの繊維強化複合材料からなることを特徴とする(1)に記載のスピンドル装置。
(3) 前記フリンガーは、アルミニウム、チタン、ジュラルミンのいずれかの材料からなることを特徴とする(1)に記載のスピンドル装置。
(4) 前記フリンガーは、比重が4.5g/cm以下、且つ、比強度が74kNm/kg以上であることを特徴とする(3)に記載のスピンドル装置。
(5) 前記フリンガーの傾斜部は、前記フリンガーの回転軸線に対して垂直な面に対して、15〜30°の範囲で傾斜していることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載のスピンドル装置。
本発明のスピンドル装置によれば、フリンガーは、回転軸に外嵌される円筒状の基部と、基部の軸方向一端部から径方向外側に延設され、径方向外側に向かうにつれて基部の軸方向他端部側に向けて傾斜する傾斜部と、傾斜部から軸方向に延設される円環部と、を備え、回転軸よりも比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなる。これにより、スピンドル装置は、使用する軸受のdmn値が100万以上の高速回転可能、且つ、良好な防水機能を維持しながら、遠心力によるフリンガーの変形を防止することができる。特に、フリンガーの傾斜部は、高速回転の際、軸方向に変形することで、傾斜部から軸へ延設されている面に圧縮側(半径方向内向き=回転軸芯に向かう放射線状)の応力が作用する。そして、この応力が、基部の軸方向一端部から傾斜部にかけて働く遠心力に対して逆方向の抗力として働くので、該遠心力を抑制することができる。その結果、回転中の内部応力が軽減されると共に、半径方向の変形を小さくできる。
本発明の一実施形態に係るスピンドル装置の断面図である。 図1のスピンドル装置の要部拡大断面図である。 図1に示すフリンガーの形状によるスラスト方向応力の違いを説明する図である。 図1に示すフリンガーの材料による遠心力の違いを説明する図である。
以下、本発明の一実施形態に係るスピンドル装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、スピンドル装置10は、工作機械用のモータビルトイン式スピンドル装置であり、回転軸11が、その工具側(前側、軸方向前方)を支承する2列の前側軸受50,50と、反工具側(後側、軸方向後方)を支承する2列の後側軸受60,60を介して、ハウジングHに回転自在に支持されている。ハウジングHは、工具側から順に、前側軸受外輪押さえ12、外筒13、後側ハウジング14、後蓋5によって構成されている。
回転軸11の工具側には、軸中心を通り軸方向に形成された工具取付孔24及び雌ねじ25が設けられている。工具取付孔24及び雌ねじ25は、不図示の加工工具を回転軸11に取付けるために使用される。例えば、工具取付孔24及び雌ねじ25には、不図示の砥石クイルが取り付けられることで、研削加工が可能となる。
なお、回転軸11の構成は、一端側に加工工具が取り付けられるものであればよく、工具取付孔24及び雌ねじ25の代わりに、回転軸11の軸芯にドローバーを摺動自在に挿嵌するようにしてもよい。ドローバーは、工具ホルダを固定する不図示のコレット部を備え、皿ばねの力によってコレット部を反工具側方向に付勢する。
回転軸11の前側軸受50,50と後側軸受60,60間の略軸方向中央には、回転軸11と一体回転可能に配置されるロータ26と、ロータ26の周囲に配置されるステータ27とを備える。ステータ27は、ステータ27に焼き嵌めされた冷却ジャケット28を、ハウジングHを構成する外筒13に内嵌することで、外筒13に固定される。ロータ26とステータ27とはモータMを構成し、ステータ27に電力を供給することでロータ26に回転力を発生させて回転軸11を回転させる。
各前側軸受50は、外輪51と、内輪52と、接触角を持って配置される転動体としての玉53と、図示しない保持器と、をそれぞれ有するアンギュラ玉軸受であり、各後側軸受60は、外輪61と、内輪62と、転動体としての玉63と、図示しない保持器と、を有するアンギュラ玉軸受である。前側軸受50,50(並列組合せ)と後側軸受60,60(並列組合せ)とは、互いに協働して背面組み合わせとなるように配置されている。
前側軸受50,50の外輪51,51は、外筒13に内嵌されており、外筒13にボルト締結された前側軸受外輪押さえ12によって外輪間座54を介して外筒13に対し軸方向に位置決め固定されている。前側軸受50,50の内輪52,52は、回転軸11に外嵌されており、回転軸11に締結されたナット16によって、内輪間座55及び後述するフリンガー40を介して回転軸11に対し軸方向に位置決め固定されている。
後側軸受60,60の外輪61,61は、後側ハウジング14に対して軸方向に摺動自在に内嵌するスリーブ18に内嵌すると共に、このスリーブ18にボルト66で一体的に固定された後側軸受外輪押え19によって、外輪間座64を介してスリーブ18に対し軸方向に位置決め固定されている。
後側軸受60,60の内輪62,62は、回転軸11に外嵌されており、回転軸11に締結された他のナット21によって、内輪間座65を介して回転軸11に対し軸方向に位置決め固定されている。後側ハウジング14と後側軸受外輪押え19との間にはコイルばね23が配設され、このコイルばね23のばね力が、後側軸受外輪押え19をスリーブ18と共に後方に押圧する。これにより、後側軸受60,60に予圧が付与される。
ここで、本実施形態のような研削加工では、一般的に研削液を多量に加工部に供給し、加工部の冷却及び加工粉の除去を行なっている。この加工液が前側軸受50,50に浸入しないように、フリンガー40が、前側軸受50,50より工具側(図中左側)において回転軸11の周囲に一体回転可能に固定されており、前側軸受外輪押さえ12との間にラビリンスシールを構成して、外部からかかる研削液を回転軸11の回転と共に振り切り、前側軸受50,50への液体の浸入を抑制する防水機能を与える。
図2及び図3も参照して、フリンガー40は、基部としての円筒状のボス部42と、該ボス部42の軸方向前端部から径方向外方に延設され、径方向外側に向かうにつれてボス部42の軸方向後端部側に向けて傾斜する傾斜部43と、及び該傾斜部43の径方向外方端部から軸方向後方に向かってリング状に延設された円環部44と、を有する。そして、フリンガー40は、ボス部42を回転軸11に外嵌して、ナット16により内輪52,52と共に軸方向に締め付けることで、回転軸11に一体回転可能に固定される。
また、ボス部42は、前側軸受外輪押さえ12の内周面12aに対して僅かな隙間を介して径方向に対向配置され、傾斜部43は前側軸受外輪押さえ12の軸方向前端側のテーパ面12bに対して僅かな隙間を介して軸方向に対向配置され、円環部44は前側軸受外輪押さえ12の外周面12c及び当該外周面12cに滑らかに接続する外筒13の外周面13aに対して僅かな隙間を介して径方向に対向配置される。このように、フリンガー40は、ハウジングHを構成する前側軸受外輪押さえ12及び外筒13と僅かな軸方向隙間及び径方向隙間、例えば0.5mm程度の隙間を介して対向配置され、所謂ラビリンスシールを構成する。
特に、円環部44の内周面44aと、前側軸受外輪押さえ12及び外筒13の外周面12c、13aと、の間にはその周速度の差によってエアカーテンが形成され、被加工物を加工する際、スピンドル装置10に降りかかる加工液が前側軸受50,50側に入ることを抑制するための防水機構を構成する。
また、傾斜部43は、フリンガー40の回転軸線xに対して垂直な面Sに対して傾斜角αだけ傾斜している。このように、フリンガー40に傾斜部43を設けたテーパ形状の場合、図3に示すように、垂直な面Sに沿って形成された円盤部43´を有するカップ形状のフリンガー40´に比べて、遠心力の作用によるスラスト方向の応力を小さくすることができ、遠心力膨張によるスラスト方向への応力を抑制することができる。
また、フリンガー40は、遠心力によって円環部44が拡径するように変形することで、傾斜部43に応力が作用し、傾斜部43は、傾斜角αが小さくなる方向に変形することで、傾斜部43から軸へ延設されている面に圧縮側(半径方向内向き=回転軸芯に向かう放射線状)の応力が作用する。そして、この応力が、ボス部42の軸方向前端部から傾斜部43にかけて働く遠心力に対して逆方向の抗力として働くので、該遠心力を抑制することができる。その結果、回転中の内部応力が軽減されると共に、半径方向の変形を小さくできる。
なお、傾斜角αとしては、15〜30°の範囲とすることが好ましい。応力解析の結果15°未満では、強度向上の効果が十分に与えられず、また、30°を越えると、前側軸受50の配置スペースが狭くなり、軸受50及び周辺部品のレイアウトが困難となる。
また、フリンガー40は、回転軸11を構成するSC材、SCM材、SUS材などの金属よりも比重が小さく、且つ、比強度(引っ張り強さ/比重)が高い材料から形成されている。具体的には、炭素繊維複合材料(CFRP)、アラミド繊維複合材料(AFRP)のいずれかからなる繊維強化複合材料、または、アルミニウム、ジュラルミン、チタンのいずれかからなる軽金属材料によって構成される。
例えば、炭素繊維複合材料としては、例えば、PAN(ポリアクリルニトリル)を主原料とした炭素繊維からなる糸を平行に引きそろえたものや、炭素繊維からなる糸で形成した織物(シート状)に、硬化剤を含むエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂を含浸させてなるシートを多数層重ね合わせて、芯金などに巻きつけ、加熱硬化させることで製造される。また、ピッチ系を主原料とした炭素繊維を使用することもできる。炭素繊維複合材料は、纖維方向・角度を最適化することで、引張強度、引張弾性率、線膨張係数などの物性値を用途に合わせて最適化することができる。
炭素繊維複合材料の特性としては、例えば、引張強度1800〜3500MPa、引張弾性率130〜280GPa、比重1.5〜2.0g/ccの物性値を持ったPAN系を主原料とした炭素繊維を用いると、従来の高張力鋼などと比べて、引張強度は同等以上であり、比重は1/5程度になる(比強度では、通常の金属材料に比べて略3倍となる)。また、熱膨張係数は、繊維方向・角度を最適化することにより、−5〜+12×10−6−1にすることができるので、従来の炭素鋼に比べて1〜1/10程度にすることができる。
また、軽金属材料の場合には、フリンガー40の物性値は、好ましくは、比重が4.5g/cm以下、且つ、比強度=引っ張り強度(MPa)/密度(ρ:g/cm)と表した場合の比強度が74kNm/kg以上、より好ましくは、比重が2.7g/cm以下、且つ、比強度が160kNm/kg以上である。
このように、一般的な金属と比較して比重が小さく、且つ比強度(引っ張り強さ/比重)が高い繊維強化複合材料または軽金属材料を用いることで、図4に示すように、直径が同じであればフリンガー40に作用する遠心力を大幅に小さくすることができる。従って、回転軸11の回転速度に対する制約や、フリンガー40の大きさ(径方向)に対する制限を大幅に緩和することができる。
これにより、従来達成することが困難であった更なる高速回転化、或いはフリンガー40の大型化が可能となり、加工液に作用する遠心力を高めて、降りかかる加工液を確実に径方向外方に振り飛ばして軸受内部への浸入を防止することができる。また、フリンガー40の円環部44に作用する遠心力が小さくなることで、比較的強度が弱い片持ち構造となる円環部44の開口側(図中右側)が径方向外方へ拡径することを抑制することができる。これにより、円環部44の径方向長さ及び軸方向長さを長く設定して、ラビリンスシールの長さが長くなり防水効果が向上する。
また、いずれの材料をフリンガー40に使用した場合にも、回転中、回転軸11の外径膨張量よりもフリンガー40の内径膨張量のほうが小さいので、回転軸11とフリンガー40との嵌め合いは、しめしろとなるように変化する。このため、回転軸11とフリンガー40とが組み込み時にすきま嵌合の場合には、回転中にしめしろ嵌合となり、回転軸11とフリンガー40との軸心が一致し、アンバランスが解消される。また、回転中のラビリンス部分の径方向ギャップのずれも生じにくい。一方、回転軸11とフリンガー40とが組み込み時にしめしろ嵌合の場合には、回転中のしめしろがより大きくなり、両者間の締結力がより増加し、剛性向上による振動防止やクリープ抑制力改善に効果的に作用する。
さらに、繊維強化複合材料をフリンガー40に使用した場合には、熱膨張率が小さいため、回転中でのフリンガー40と非回転物であるハウジングHとの隙間を一定に確保することができる。
また、軽金属材料をフリンガー40に使用した場合には、ナット16による軸方向に締め付けが確実となり、共締めされる内輪52,52等の位置決めがより正確となる。
なお、外筒13の外周面13aには、フリンガー40の自由端部よりも軸方向右側に隣接して円周溝13bが全周に亘って形成されている。従って、外筒13の外周面13aに付着した加工液が円周溝13bに溜まるので、加工液がラビリンスシールを介して前側軸受50に浸入するのを防止することができる。
以上説明したように、本実施形態のスピンドル装置10によれば、フリンガー40は、回転軸11に外嵌される円筒状のボス部42と、ボス部42の軸方向前端部から径方向外側に延設され、径方向外側に向かうにつれてボス部42の軸方向他端部側に向けて傾斜する傾斜部43と、傾斜部43から軸方向に延設される円環部44と、を備え、回転軸11よりも比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなる。これにより、スピンドル装置10は、主軸に使用される軸受50,60の軸受50,60のdmn値(特に、フリンガー40が前方に配置される前側軸受50のdmn値)が100万以上の高速回転可能、且つ、良好な防水機能を維持しながら、遠心力によるフリンガー40の変形を防止することができる。特に、フリンガー40の傾斜部43は、高速回転の際、軸方向に変形することで、傾斜部43から軸へ延設されている面に圧縮側(半径方向内向き=回転軸芯に向かう放射線状)の応力が作用する。そして、この応力が、ボス部42の軸方向前端部から傾斜部43にかけて働く遠心力に対して逆方向の抗力として働くので、該遠心力を抑制することができる。その結果、回転中の内部応力が軽減されると共に、半径方向の変形を小さくできる。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
また、モータビルトイン式スピンドル装置として説明したが、これに限定されず、ベルト駆動方式スピンドル装置、モータの回転軸とカップリング連結されたモータ直結駆動方式スピンドル装置にも同様に適用可能である。更に、工作機械用のスピンドル装置に限定されず、防水機能が要望される、他の高速回転機器のスピンドル装置にも適用することができる。
10 スピンドル装置
11 回転軸
12 前側軸受外輪押さえ
13 外筒
40 フリンガー
42 ボス部(基部)
43 傾斜部
44 円環部
50 前側軸受(軸受)
60 後側軸受(軸受)
H ハウジング

Claims (5)

  1. 一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
    前記回転軸を軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
    前記回転軸の周囲に一体回転可能に固定され、前記軸受への液体の浸入を抑制する防水機能を有するフリンガーと、
    を備えたスピンドル装置であって、
    前記フリンガーは、前記回転軸に外嵌される円筒状の基部と、前記基部の軸方向一端部から径方向外側に延設され、径方向外側に向かうにつれて前記基部の軸方向他端部側に向けて傾斜する傾斜部と、前記傾斜部から軸方向に延設される円環部と、を備え、前記回転軸よりも比重が小さく、且つ、比強度が高い材料からなることを特徴とするスピンドル装置。
  2. 前記フリンガーは、炭素繊維複合材料、アラミド繊維複合材料のいずれかの繊維強化複合材料からなることを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
  3. 前記フリンガーは、アルミニウム、チタン、ジュラルミンのいずれかの材料からなることを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
  4. 前記フリンガーは、比重が4.5g/cm以下、且つ、比強度が74kNm/kg以上であることを特徴とする請求項3に記載のスピンドル装置。
  5. 前記フリンガーの傾斜部は、前記フリンガーの回転軸線に対して垂直な面に対して、15〜30°の範囲で傾斜していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスピンドル装置。
JP2012191660A 2012-08-31 2012-08-31 スピンドル装置 Active JP5962342B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012191660A JP5962342B2 (ja) 2012-08-31 2012-08-31 スピンドル装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012191660A JP5962342B2 (ja) 2012-08-31 2012-08-31 スピンドル装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014046412A JP2014046412A (ja) 2014-03-17
JP5962342B2 true JP5962342B2 (ja) 2016-08-03

Family

ID=50606610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012191660A Active JP5962342B2 (ja) 2012-08-31 2012-08-31 スピンドル装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5962342B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116398542B (zh) * 2023-06-08 2023-08-29 苏州铁近机电科技股份有限公司 一种超高速防水轴承

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5125618Y1 (ja) * 1970-12-09 1976-06-30
JPS489494U (ja) * 1971-06-11 1973-02-02
JPS5174652U (ja) * 1974-12-06 1976-06-11
JPS52163287U (ja) * 1976-06-04 1977-12-10
US4117750A (en) * 1977-04-19 1978-10-03 Fridrikh Lvovich Kopelev Spindle assembly for a precision machine tool
JPS546784U (ja) * 1977-06-16 1979-01-17
US4972939A (en) * 1988-04-28 1990-11-27 Rexnord Corporation End seal for idler roller
GB2270724B (en) * 1992-09-19 1995-08-09 Systematic Drill Head Co Ltd Machine tools
DE20202260U1 (de) * 2002-02-14 2002-04-25 Deckel Maho Pfronten Gmbh Schnelllauf-Spindeleinheit für Werkzeugmaschine
JP2006102906A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Nsk Ltd 主軸装置
DE102006037261A1 (de) * 2006-08-09 2008-02-14 Interroll-Holding Ag Streckenförderer mit Lagerelement

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014046412A (ja) 2014-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2799167B1 (en) Spindle device
JP5899933B2 (ja) スピンドル装置
JP6206469B2 (ja) スピンドル装置
JP6085917B2 (ja) スピンドル装置
JP5834920B2 (ja) スピンドル装置
JP5887923B2 (ja) スピンドル装置
JP5962342B2 (ja) スピンドル装置
JP6019943B2 (ja) スピンドル装置
JP2016026900A (ja) スピンドル装置
JP6119162B2 (ja) スピンドル装置
JP2014047854A (ja) スピンドル装置及びスピンドル装置用フリンガー
JP2014046411A (ja) スピンドル装置及びスピンドル装置用フリンガー
JP2014066345A (ja) スピンドル装置及びスピンドル装置用フリンガー
JP5899917B2 (ja) スピンドル装置
JP5899932B2 (ja) スピンドル装置
JP5962343B2 (ja) スピンドル装置及びスピンドル装置用フリンガー
JP6085918B2 (ja) スピンドル装置及びスピンドル装置用フリンガー
JP2014047855A (ja) スピンドル装置
JP5936228B2 (ja) スピンドル装置及びスピンドル装置用フリンガー
JP6175801B2 (ja) スピンドル装置
JP6213548B2 (ja) スピンドル装置
JP2014047857A (ja) スピンドル装置
JP6210123B2 (ja) モータビルトイン方式の主軸装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140210

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160531

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5962342

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150