JP6085863B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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<1> レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末と、サクラ抽出物とを含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
<2> 微粉末の個数平均粒径(D90)が、0.5μm〜5.0μmである前記<1>に記載の皮膚外用剤である。
本発明の皮膚外用剤は、レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末と、サクラ抽出物とを含んでなり、更に必要に応じて乳化剤及びその他の成分を含んでなる。
前記レスベラトロールは、スチルベノイド(スチルベン誘導体)ポリフェノールの一種であり、系統名は、3,5,4’−トリヒドロキシ−trans−スチルベンであり、下記構造式(1)で表される化合物である。
前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記レスベラトロール含有植物抽出物を凍結乾燥させた粉粒体を溶媒に溶解させて微細化する湿式法;前記レスベラトロール含有植物抽出物を凍結乾燥させた粉粒体を更に微細化する乾式法などが挙げられる。これらの中でも、前記レスベラトロールの抽出効率に優れる点、及び前記レスベラトロール含有植物抽出物を乾燥する等の製造工程を省略できる点で、乾式法が好ましい。
前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末の個数平均粒径(D90:積算値が90%のときの粒径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm〜5.0μmが好ましい。なお、前記個数平均粒径(D90)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定できる。
前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末の前記皮膚外用剤における含有量としては、特に制限はなく、使用する皮膚外用剤の目的に応じて適宜選択することができるが、0.00001質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。
前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末における前記レスベラトロールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記サクラ抽出物は、サクラからの抽出物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記サクラの群としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤマザクラ群、エドヒガン群、マメザクラ群、チョウジザクラ群、ミヤマザクラ群、シナミザクラ群などが挙げられ、前記サクラの種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Prunus lannesiana、Prunus avium、Prunus campanulata、Prunus cerasus、Prunus jamasakura、Prunus leveilleana、Prunus pendula、Prunus pseudocerasus、Prunus speciosa、Prunus verecundaなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記サクラ抽出物の前記皮膚外用剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00001%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。
前記サクラ抽出物の有効成分としては、例えば、ケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン−3,4’−ジグルコシド、ケルセチン−3−アラビノグルコシド(ペルタトシド)、ケルセチン−3−ルチノシド(ルチン)、ケルセチン−3−グルコシド(イソケルシトリン)、ケルセチン−3−L−ラムノシド(ケルシトリン)、ケルセチン−3−アラビノシド(アビクラリン)等のケルセチン配糖体、ケンフェロール配糖体、カフェオイルグルコース、クマロイルグルコース、シンナモイルグルコース、ケルセチンマロニルグルコース、ケンフェロールマロニルグルコースなどが挙げられる。
前記乳化剤は、前記皮膚外用剤を乳化(エマルション化)させるために使用する添加剤である。前記乳化剤を用いることにより、レスベラトロールの経皮吸収作用に更に優れた水中油滴型(O/W型)の皮膚外用剤となる。
前記アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セタノール、ペンチレングリコール、グリセリン、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レスベラトロールの経皮吸収作用に優れる点で、セタノール、ペンチレングリコール、グリセリンが好ましい。
前記アルコール類の前記乳化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記脂肪酸エステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸ポリグリセリル−10、トリ(カプセル酸/カプリン酸)グリセリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レスベラトロールの経皮吸収作用に優れる点で、ラウリン酸ポリグリセリル−10、トリ(カプセル酸/カプリン酸)グリセリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルが好ましい。
前記脂肪酸エステル類の前記乳化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記炭化水素類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクワラン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レスベラトロールの経皮吸収作用に優れる点で、スクワランが好ましい。
前記炭化水素類の前記乳化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記レシチン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素添加レシチン、分別レシチン、酵素分解レシチンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レスベラトロールの経皮吸収作用に優れる点で、水素添加レシチンが好ましい。
前記レシチン類の前記乳化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の乳化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、多価アルコール類(グリセリン、1,3−ブチレングリコール等)、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、キレート剤、乳化安定剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記皮膚外用剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末及び前記サクラ抽出物を含む組成物に対して、前記乳化剤を添加する方法が好ましく、具体的には、前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末と、前記サクラ抽出物と、前記その他の成分とを混合した組成物(溶液)に対し、前記乳化剤を添加して乳化させることにより製造する方法などが挙げられる。
前記皮膚外用剤の使用対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒトに対して好適に適用することができ、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、トリ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルなどに対して適用することもできる。
前記皮膚外用剤の使用部位としては、皮膚を有する部位であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手、足、顔、背中、頭皮などが挙げられる。
前記皮膚外用剤の使用方法としては、前記皮膚外用剤を皮膚に浸透させるために使用できる方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記皮膚外用剤の使用量としては、特に制限はなく、塗布対象個体の年齢、体重、体質等の様々な要因を考慮して適宜選択することができるが、前記皮膚外用剤は前記レスベラトロールの経皮吸収性に優れるため、従来の塗布量よりも少量であってもよい。
本発明の皮膚外用剤は、レスベラトロールの経皮吸収性に優れ、塗布時に期待されるレスベラトロールの効果を十分に発揮することができるため、レスベラトロールを含有する軟膏、クリーム、ピーリング剤、乳液、ローション、美容液、パック、リップクリーム、スプレー、リキッドファンデーション、口紅等の皮膚化粧料、整髪料、洗浄剤、クレンジング剤、入浴剤等の医薬部外品、医薬品などに好適に利用することができる。
製造した各皮膚外用剤の経皮吸収作用試験を行った。
試験例1では、レスベラトロール含有植物抽出物について、その形態を微粉末とするか否かにより、経皮吸収効果にどの程度違いが生じるのかを試験した。
各皮膚外用剤は、表1に示す組成となるよう、レスベラトロール含有植物抽出物(「微粉末」又は「粉末」)と、水とを混合乃至溶解させて水溶液を調製することにより皮膚外用剤を製造した。
ここで、前記レスベラトロール含有植物抽出物(微粉末)は、リンゴンベリー抽出物(BGG Japan株式会社製)をホモジナイザーにより微粉砕処理したものを使用した。前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末の個数平均粒径(D90)は、1.66μmであった。
また、レスベラトロール含有植物抽出物(粉末)は、参考例1で用いたレスベラトロール含有植物抽出物において、前記微粉砕処理していないものを使用した。前記レスベラトロールの粉末の個数平均粒径(D90)は、8.95μmであった。
なお、前記個数平均粒径(D90)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した。
経皮吸収作用試験は、製造した各皮膚外用剤を3次元皮膚モデル(Lab Cyte EPIMODEL24、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社製、皮膚モデル直径6.4mm)の上層に50μL滴下して3時間経過した後の3次元皮膚モデルの下部に位置するリン酸緩衝生理食塩水中のポリフェノール量を、Folin−Denis法により測定することにより行った。
前記Folin−Denis法によるポリフェノール量の測定は、以下のようにして行った。まず、被試験物質25μL、リン酸緩衝生理食塩水25μLを加え、10質量%炭酸ナトリウム50μLを加えて3分間放置した。次に、Folin試薬50μLを加え、1時間室温で発色させた。そして、発色した前記被試験物質を遠心分離(13,000rpm、5分間)した後、上清100μLを96ウェルマイクロプレートに移し、吸光度(波長730nm)を測定した。得られた吸光度の値から、前記被試験物質1mL中に含まれるポリフェノール量(μg)を、検量線に基づき換算した。
なお、前記検量線は、11.1μg/mL、3.70μg/mL、1.24μg/mL、0.412μg/mLに調製した各リンゴンベリー抽出物(溶液)を使用した。結果を表1及び図1に示す。
以上より、レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末を含有する皮膚外用剤(参考例1)を用いることにより、レスベラトロールの経皮吸収が高まることが示唆された。
製造した各皮膚外用剤の経皮吸収作用試験を行った。
試験例2では、試験例1において良好な結果を示したレスベラトロール含有植物抽出物の微粉末を用いて皮膚外用剤を製造し、前記皮膚外用剤において、サクラ抽出物を併用するか否かの違いにより、経皮吸収効果にどの程度違いが生じるのかを試験した。
<乳化剤の製造>
乳化剤(O/W型)は、表2−1に示す組成となるよう、表2−1に記載の各成分を混合乃至溶解させた後、湿式微粒化装置(アルティマイザーシステム)を用いて、各成分を分散させることにより製造した。
各皮膚外用剤は、表2−2に示す組成となるよう、レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末と、サクラ抽出物(ただし、実施例のみ使用)と、多価アルコール(グリセリン及び1,3−ブチレングリコール)と、水とを混合乃至溶解させて水溶液を調製した。そして、前記水溶液に対して、前記製造した乳化剤を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化させることにより、O/W型エマルション化された皮膚外用剤(乳濁液状の皮膚外用剤)を製造した。
ここで、前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末は、リンゴンベリー抽出物(BGG Japan株式会社製)をホモジナイザーにより微粉砕処理したものを使用した。前記レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末の個数平均粒径(D90)は、1.66μmであった。なお、前記個数平均粒径(D90)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した。
経皮吸収作用試験は、製造した各皮膚外用剤を3次元皮膚モデル(Lab Cyte EPIMODEL24、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社製、皮膚モデル直径6.4mm)の上層に滴下する前の皮膚外用剤中のポリフェノール量と、前記皮膚外用剤を3次元皮膚モデルの上層に滴下して3時間経過した後の3次元皮膚モデルの下部に位置するリン酸緩衝生理食塩水(被験物質)中のポリフェノール量とを、Folin−Denis法により測定することにより行った。
前記Folin−Denis法によるポリフェノール量の測定は、以下のようにして行った。まず、前記被試験物質をエバポレーター中で乾燥させ、100μLの精製水に溶解後、50μLを1.5mLチューブに測り取り、10質量%炭酸ナトリウム50μLを加えて3分間放置した。次に、Folin−Denis試薬50μLを加え、1時間室温で発色させた。そして、発色した前記被試験物質を遠心分離(13,000rpm、5分間)した後、上清100μLを96ウェルマイクロプレートに移し、吸光度(波長730nm)を測定した。得られた吸光度の値から、前記被試験物質1mL中に含まれるポリフェノール量(μg)を、検量線に基づき換算した。
なお、前記検量線は、定量用標準溶液として、11.1μg/mL、3.70μg/mL、1.24μg/mL、0.412μg/mLに調製したリンゴンベリー抽出物(溶液)を使用した。結果を表2−2及び図2に示す。
以上より、レスベラトロール含有植物抽出物の微粉末、及びサクラ抽出物の2成分を含有する実施例の皮膚外用剤を用いることにより、ポリフェノールの経皮吸収が高まることから、レスベラトロールの経皮吸収が高まることが示唆された。
更に、皮膚外用剤中に含まれるポリフェノール量は、実施例と比較例とでほとんど変動がないのに対し(例えば、実施例2の「1.09倍」参照)、前記被験物質中に含まれるポリフェノール量は、比較例よりも実施例のほうが最大2倍程度まで増加することがわかった(例えば、実施例2の「1.94倍」参照)。
よって、本発明の皮膚外用剤は、レスベラトロールの経皮吸収作用に優れ、塗布時に期待されるレスベラトロールの効果を十分に発揮することができることがわかった。
Claims (2)
- リンゴンベリー抽出物の微粉末と、
サクラの花部の抽出物とを含有し、
前記微粉末の個数平均粒径(D90)が、1.66μm〜5.0μmであり、
前記サクラの花部の抽出物がエタノール又は含水エタノールによる抽出物であり、
前記リンゴンベリー抽出物はレスベラトロールを含有するものであることを特徴とする皮膚外用剤。 - さらに、乳化剤を含むことを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
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