JP2004159563A - プロポリス組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケルセチン、p−クマール酸及びアルテピリンCを含有し、さらにクリシン、ガランギン若しくはカフェイン酸フェネチルエステルを含有することを特徴とするプロポリス組成物。このプロポリス組成物は、産地の異なるプロポリス又はそれらの抽出物を少なくとも2種以上を混合して得られる。産地の異なるプロポリスとしては中国産及びブラジル産が好ましい。本発明のプロポリス組成物は、生理活性スペクトルが広く、消費者が購入にあったてどこの産地のものを選択すればよいのか判断する必要がなく、都合がよい。
【選択図】 なし
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、生理活性が高くかつそのスペクトルが広いプロポリス組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロポリスとは、働き蜂が植物の若芽などの樹液を採取し、自らの唾液と混合して生産する物質であり、樹脂成分、芳香油、ミツロウ、揮発油、花粉、ミネラル等を含有する物質である。
このプロポリスは、蜂の巣への外敵の侵入を防ぐ防御柵としての機能を有し、巣の割れ目を塞ぐ際の補強剤としての機能を有すると共に、小動物や昆虫等の死骸を覆って腐敗を防止するために用いられていることが知られている(特許文献1)。
このように多様な機能を有するプロポリスは、ヒトにおいても抗炎症作用、抗潰瘍作用、抗菌作用、抗酸化作用等の広範な生理活性を有することが認められており、感染症、潰瘍、動脈硬化等の疾病の治療及び予防に役立つと考えられていることから、健康食品として広範に利用されている。
【0003】
近年、多くの研究者により産地別プロポリスの成分に関する研究が進められている。例えば、ブラジル産プロポリスは主成分として、p−クマル酸をはじめ、プレニル基を持つアルテピリンC(artepillin C)やドルパニン(drupanin)、(E)−プレニル−4−(2,3−ジヒドロシナモイルオキシ)桂皮酸)、((E)−3−prenyl−4−(2,3−dihydrocinnamoyloxy)cinnamic acid)、(E)−3−(2,2−ジメチル−8−プレニル−2H−ベンゾピラン−6−イル)−2−プロペノン酸、((E)−3−(2,2−dimetyl−8−prenyl−2h−benzopyran−6−yl)−2−propenoic acid)などの桂皮酸誘導体が多く検出される。一方、中国産、日本産、オーストラリア産、ウルグアイ酸などのプロポリスは、地域(国)によって成分の含有量に違いがあるものの、主な成分や組成については類似したパターンを示し、主な成分としてクリシン(chrysin)やピノセンブリン(pinocembrin)、ガランギン(galangin)、ピノバンクシン−3−アセテート(pinobanksin−3−acetate)、ピノバンクシン(pinobanksin)などのフラボノイド類が多く検出される。これらの主な成分の違いから、ブラジル産プロポリスは「桂皮酸誘導体中心のタイプ」であり、中国産など他のプロポリスは「フラボノイド中心のタイプ」であることが定性的に示されている(非特許文献1)。
【0004】
このようにブラジル産プロポリスと中国産プロポリスの成分が全く異なるという状況にも関わらず、現在、市場においてはブラジル産プロポリスの方が品質や生物活性の面から見て優れていると考えられているが、これに関する確かな根拠は全く無い。一方、熊澤らは、産地別プロポリスのポリフェノール含有量と抗酸化活性を測定し、総ポリフェノール量と抗酸化活性とは概ね相関があることを明らかにし、ブラジル産よりも中国産などの地域(国)のプロポリスの方が抗酸化活性が高いことを示している(非特許文献2、非特許文献3)。
【0005】
このように、一口にプロポリスと称してもその成分は様々であり、それらの生理活性作用も異なっている。しかし、現実には、ブラジル産プロポリスも中国産プロポリスも、ほぼ一緒くたに扱われており、消費者が購入にあったてどこの産地のプロポリスを選択すればよいのか判断することができない状況である。生理活性作用が高くかつスペクトルが広いプロポリスであれば、このような点を気にせずに購入可能であるが、現在のところ、そのようなプロポリスは知られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−149765
【非特許文献1】
田澤茂実ら:生薬学雑誌、54(6),164−168,2000
【非特許文献2】
熊澤茂則、中山勉:ミツバチ科学、22(1),1−8,2001
【非特許文献3】
熊澤茂則:FOOD Style 21、5(10),54−58,2001
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、生理活性が高くかつスペクトルが広いプロポリス組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ブラジル産プロポリスと中国産プロポリスに含まれる成分の含有量及び生物活性が大きく異なることに着目した。そして、これらに含まれる特定成分を調整することにより、生物活性が相乗的に増強されることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、
1.ケルセチン、p−クマール酸及びアルテピリンCを含有し、さらにクリシン、ガランギン若しくはカフェイン酸フェネチルエステルを含有することを特徴とするプロポリス組成物、
2.ケルセチン当量が4.58mg/ml以上で、p−クマール酸を1.16mg/ml以上、アルテピリンCを6.73mg/ml以上、クリシンを0.84mg/ml以上、ガランギンを0.53mg/ml以上及びカフェイン酸フェネチルエステルを0.81mg/ml以上を含有することを特徴とするプロポリス組成物、
3.産地の異なるプロポリス又はそれらの抽出物を少なくとも2種以上を混合してなることを特徴とする前記1又は2記載のプロポリス組成物、
である。
【0010】
本発明者の知見によれば、従来、ブラジル産と中国産など異なる産地のプロポリスの成分を定量的に比較した知見は、全く報告されていない。もちろん、それらを混合することにより活性が相乗するかどうかについて検討した報告は皆無である。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明のプロポリス組成物は、ケルセチン、p−クマール酸及びアルテピリンCを含有し、さらにクリシン、ガランギン若しくはカフェイン酸フェネチルエステルを含有する。
【0012】
ケルセチンは、レタス、ブロッコリー、タマネギなどの植物性食品に広く存在している典型的なフラボノール型フラボノイドであり、種々の生理作用を示すことが明らかとなっている。ケルセチンはケルセチン当量で4.58mg/ml以上であることが好ましい。
【0013】
p−クマール酸は、3−(4−Hydroxyphenyl)−2−propenoic acid(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピオン酸)のことであり、分子式 C9H8O3、分子量 164.16、融点 210−213℃、pKa値 9.45(25℃)である。スモモ(Prunus serotina)の果皮、ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)等に多く含まれている。p−クマール酸の量は1.16mg/ml以上であることが好ましい。
【0014】
アルテピリンCは、4−Hydroxy−3,5−diprenylcinnamic acid(4−ヒドロキシ−3,5−ジプレニル桂皮酸)のことであり、分子式 C19H24O3、分子量 300.397、融点 95℃、150−152℃であり、ヨモギ属(Artemisia spp.)、バカリス属(Baccharis spp.)等に多く含まれているものである。アルテピリンCの量は6.73mg/ml以上であることが好ましい。
【0015】
クリシンは、5,7−Dihydroxyflavone(5,7−ジヒドロキシフラボン)のことであり、分子式 C15H10O4、分子量 254.242、融点 285−286℃、290℃(275℃)、pKa値9.05、7.42(20℃、50%エタノール)である。ニレ(Ulmus sieboldiana)、ソリザヤノキ(Oroxylum indicum)の蕾、マツ属(Pinus spp.)及びタツナミソウ属(Scutellaria spp.)に多く含まれている。クリシンの量は0.84mg/ml以上であることが好ましい。
【0016】
ガランギンは、3,5,7−Trihydroxyflavone(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)のことであり、分子式 C15H10O5、分子量 270.241、融点 214−215℃、217−218℃である。カレーの香辛料の一つとして使用されているガランガル(Alpiniaofficinarum)の根茎に多く含まれている。ガランギンの量は0.53mg/ml以上であることが好ましい。
【0017】
カフェイン酸フェネチルエステルは、3−(3,4−dihydroxyphenyl)−caffeate(3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−カフェート)のことであり、分子式 C17H16O4、分子量 284.3である。カフェイン酸フェネチルエステルの量は0.81mg/ml以上であることが好ましい。
【0018】
本発明のプロポリス組成物は、代表的には、産地の異なるプロポリス或いはその抽出物を2種以上混合して得られる。混合するプロポリスの産地には、所望の成分が得られるものであれば特に限定されず、例えば、ブラジル産プロポリス、中国産プロポリス、オーストラリア産プロポリス、ウルグアイ産プロポリス、日本産プロポリスなどが使用できるが、含有する成分や種々の生物活性、汎用性等の面から見てブラジル産及び中国産プロポリスを混合することが好ましい。異なる産地のプロポリス又はプロポリスエキスの混合比率は特に限定されるものではないが、例えば、中国産プロポリスエキスとブラジル産プロポリスエキスの場合、重量比で、0.1:99.9〜99.9:0.1、好ましくは、1:2〜2:1が適当である。
【0019】
プロポリスは、プロポリス自体を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、超臨界抽出物、水あるいはアルコール、エーテル、アセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、および粗抽出物を分配、カラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出物画分など、全て使用することができる。これらは単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。例えば、ブラジル産プロポリス及び中国産プロポリスの原塊乾燥物それぞれ1Kgに、99.5%エタノール抽出液3Lを加え、室温で一晩浸漬することにより得た抽出液を、そのまま或いはそれらを混合して使用しても良いし、各種クロマトグラフィーを組み合わせて、精製したものを使用しても良い。
【0020】
抽出されたプロポリスの溶液中のプロポリス抽出物濃度は特に制限はないが、通常15〜70質量%、好ましくは20〜60質量%程度である。この濃度が15質量%未満では、乾燥時に多量のエタノールや水などの溶液を蒸発させる必要があり、70質量%を超えると溶液の粘度が高くなり過ぎ、加工適性が悪くなる恐れがある。
【0021】
これら本発明のプロポリス組成物を、例えば、チンキタイプのプロポリス組成物として製造することができる。例えば、ブラジル産及び中国産プロポリス原塊から、それぞれ、70%含水エタノールを用いて抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮することにより、固形分20%のエタノール抽出物を得る。得られたそれぞれのエタノール抽出物を、重量比で1:1と成るように混合、攪拌し、その後、慣用の手段を用いて、重曹及び大豆レシチンを添加して一晩攪拌しながら混合することにより、チンキタイプのプロポリス組成物を製造することができる。
【0022】
本発明のプロポリス組成物は、経口用の食品、経口用あるいは非経口用の医薬としても製造することができる。
医薬としての適用方法は、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0023】
食品としては、本発明のプロポリス組成物をそのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめて、抗炎症作用や抗酸化作用などを有する保健用食品又は食品素材として使用できる。例えば、澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよい。また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。本発明のプロポリス組成物の配合量は、当該食用組成物の種類や状態等により適宜設定される。
【0024】
すなわち、保健用食品等として使用する本発明のプロポリス組成物の粉末組成物を製造する場合、例えば、ブラジル産プロポリス及び中国産プロポリスのそれぞれの原塊から70%含水エタノールを用いて抽出したエタノール抽出液を、重量比で1:1に成るように混合し、この混合液1部に、まず、でんぷん0.1部〜0.5部、好ましくは0.3部を混合機にて攪拌した後、減圧濃縮して含水エタノールの約80%を回収する。攪拌速度は100〜500r.p.m.、好ましくは150〜300r.p.m.程度である。次に、この濃縮物にさらにでんぷん0.1〜0.5部、好ましくは0.3部と必要なら粉末セルロース0.05部〜0.5部、好ましくは0.2部を加え、高速混合機にて2〜7時間、好ましくは5時間、十分に混合する。これにより製造された粗塊状の混合物を、棚式乾燥機にて30〜70℃の温度にて減圧加熱乾燥した後、チョッパー型粉砕機等で粉砕し、シフターにより篩い分けすることにより、プロポリス抽出物の粉末を製造することができる。なお、プロポリス組成物の粉末の粒度は特に制限はないが、40メッシュパス程度が適当である。
【0025】
本発明のプロポリス組成物の有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択・決定されるが、例えば、経口投与の場合、一般に乾燥重量として1日当たり10〜500mg/kg体重程度、好ましくは、1日当たり150〜350mg/kg体重程度とされ、1日に数回に分けて投与してもよい。
【0026】
さらに、上述のようにして得られたプロポリスの混合エタノール抽出物を、慣用の手段を用いて、化粧料を製造することができる。
本発明のプロポリス組成物を含有せしめて、化粧料又は化粧料素材として使用する場合、例えば、本発明のプロポリス組成物を小麦胚芽油或いはオリーブ油に添加して、抗炎症作用や抗酸化作用などを有する化粧料素材として使用することができる。プロポリス組成物の添加量は、特に限定されるものではないが、一例として挙げると、小麦胚芽油或いはオリーブ油の重量に対して0.1重量%以上60重量%以下、好ましくは、0.5重量%以上50重量%以下が適当である。
【0027】
また、本発明のプロポリス組成物を直接、化粧料成分として使用し、抗炎症作用や抗酸化作用などを有する化粧料を製造することができる。化粧料には、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、液体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤、乾燥剤等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0028】
化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状又はクリーム状或いは軟膏型のファンデーション、口紅、アイカラー、チークカラーといったメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディーローション等の身体用化粧料等、入浴剤、口腔化粧料、毛髪化粧料とすることができる。本発明の方法で得られるプロポリス組成物を含有せしめた化粧料としては、機能面からは、例えば、化粧水、乳液、フェイスクリーム、ハンドクリーム、ローション、エッセンス、シャンプー、リンス等が好ましい。
このような化粧料は、常法に従って製造することができる。化粧料における本発明のプロポリス組成物の添加量は、特に限定されるものではないが、一例として挙げると、化粧料全重量の0.01重量%以上20重量%以下程度が適当である。
【0029】
本発明のプロポリス組成物の毒性は低く、例えばブラジル産プロポリス及び中国産プロポリスの抽出物の混合物を毎日1000mg/kg、100日間という長期間に亘ってラットに経口投与しても、死亡例は認められず、体重変化も観察されなかった。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
[プロポリス抽出物の製造]
ブラジル産及び中国産プロポリスをそれぞれ凍結粉砕し、パウダー化したプロポリス粉末1kgに80%含水エタノール(和光純薬工業)3Lを加え、攪拌器で10時間混合攪拌した後、120時間静置して抽出した。これを2回繰り返して抽出したものを吸引ろ過器でろ過して、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮することにより、固形分20%のプロポリス抽出物を得た。
【0031】
実施例1
[各種成分の定量]
アルテピリンC、p−クマール酸、クリシン、ガランギン及びカフェイン酸フェネチルエステルの定量は、検量線を作成し、それに基づいて高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)により定量した。
すなわち、製造例1で得られた各プロポリス抽出物を2mlとり、これにメタノールを適量加えて超音波処理し、さらにメタノールを加えて50mlにメスアップする。この溶液をそのまま又は適宜希釈した後、ミリポアを用いてろ過した後に、これをHPLC用試料とし、以下に示す条件にてそれぞれの成分を定量した結果を表2に示す。
ただし、標準物質としてのアルテピリンCは和光純薬工業製、p−クマール酸、クリシン、ガランギン及びカフェイン酸フェネチルエステルはシグマ社製のものを使用した。
【0032】
【0033】
(p−クマール酸)
機種:LC−2010A(株式会社 島津製作所)
検出器:紫外可視分光光度計 LC−2010A(株式会社 島津製作所)
カラム:YMC−Pack ODS−A 、A−312、Φ6mm×15cm(株式会社 ワイエムシィ)
移動相:2.5%酢酸、メタノール及びアセトニトリルの混液(50:8:5v/v/v)
測定波長:320nm
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
【0034】
グラジエント条件は表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
測定波長:330nm
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
(クリシン及びガランギン)
機種:LC−2010A(株式会社 島津製作所)
検出器:紫外可視分光光度計 LC−2010A(株式会社 島津製作所)
カラム:YMC−Pack ODS−A 、A−312、Φ6mm×15cm(株式会社 ワイエムシィ)
移動相:5% ギ酸、アセトニトリル及びメタノールの混液(25:10:10v/v/v)
測定波長:360nm
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
【0037】
表2からもわかるように、ブラジル産プロポリスにはアルテピリンCやp−クマール酸が多く含有されており、一方、中国産プロポリスにはカフェイン酸フェネチルエステルやクリシン、ガランギンが多く含有されており、ブラジル産及び中国産プロポリスの含有成分が大きく異なることがわかる。
【0038】
【表2】
【0039】
実施例2
[シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性試験]
シクロオキシゲナーゼ−2(以下、COX−2と略す)阻害活性試験は、Montserrat Miralpeixらの方法(Brit. J. Pharmcol., 121, 171−180, 1997)を一部改変して、正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞(以下、HUV−EC−Cと略す)に、ホルボール 12−ミリステート 13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、以下、PMAと略す)を用いて処理した後、選択的COX−2アイソザイムを発現させることにより行った。
すなわち、HUV−EC−C(2×104個/well)を96ウエルプレート上に蒔き、実験を開始する前の48時間、グロースファクターを除去することにより休止状態にさせた。この休止状態の細胞にCOX−2アイソザイムを導入するために、10nM PMAを用いて37℃で6時間処理した。その後、培地を交換し、製造例1で得られた各プロポリス抽出物及び重量比が1:1のブレンドエキス(最終濃度:125、250、500μg/ml)の存在化、非存在化で37℃で30分間、インキュベートした。その後、50μM アラキドン酸(以下、AAと略す)を加え、細胞をさらに30分間インキュベートし、培養上清中のAAから産生したプロスタグランジン E2(以下、PGE2と略す)の産生量を、酵素−免疫測定システム(BIOTRAK、Amersham社製)を用いて測定し、次式にて阻害率(%)を算出した。その結果を、表3に示した。
【0040】
阻害率(%)=[(A−B)/A]×100
(ここで、Aは阻害剤を含まない場合のPGE2の産生量を表わし、Bは阻害剤を添加した場合のPGE2の産生量を表わす。)
なお、本反応系におけるポジティブコントロールとしてのCOX−2選択的阻害薬であるNS398(N−(2−[シクロヘキシロキシ]−4−ニトロフェニル)メタンスルホンアミド、 N−(2−[Cyclohexyloxy]−4−nitrophenyl)methanesulfonamide:シグマ社製)のIC50値(COX−2活性を50%阻害する濃度)は0.40μMであった。
表3からもわかるように、COX−2阻害活性は、ブラジル産プロポリス抽出物に比べ中国産プロポリス抽出物の方が活性が高く、さらにブレンドすることによりその中間の活性を示すことがわかる。
よって、これら産地の異なるプロポリスを混合することにより、それぞれの生物活性を相補し合うことができる。
【0041】
【表3】
【0042】
以下に処方例を示す。
処方例1
[錠剤の製造]
製造例1で得られたブラジル産プロポリス及び中国産プロポリスのエタノール抽出物を重量比で1:1に混合したブレンドプロポリスエキスを用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。
(組 成) (配合:質量%)
ブレンドプロポリスエキス 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グァーガム 1
【0043】
処方例2
[ジュースの製造]
製造例1で得られたブラジル産プロポリス及び中国産プロポリスのエタノール抽出物を重量比で1:1に混合したブレンドプロポリスエキスを用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。
(組 成) (配合:質量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L−アスコルビン酸 0.02
香料 0.2
色素 0.1
ブレンドプロポリスエキス 0.2
水 83.28
【0044】
処方例3
[フェイスクリームの製造]
製造例1で得られたブラジル産プロポリス及び中国産プロポリスのエタノール抽出物を重量比で1:1に混合したブレンドプロポリスエキスを用いて、常法に従って、下記の組成のフェイスクリームを製造した。
(組 成) (配合:重量%)
イソステアリン酸イソプロピル 8.0
ホホバ油 6.0
セタノール 8.0
ステアリルアルコール 2.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.5
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 1.0
パラベン 0.4
ブレンドプロポリスエキス 0.5
ビタミンE 0.5
香料 0.1
精製水 66.0
【0045】
【発明の効果】
プロポリス或いはその抽出物は、産地により含有成分が大きく異なり、また、各生物活性も産地により大きくことなることから、これらの生物活性は含有されている成分に由来すると考えられる。よって、これら産地のことなるプロポリス或いはその抽出物を混合して使用することは、それぞれの生物活性の強弱を相補することができ、優れたプロポリスであると言える。また、このような組成物は、長期間服用しても安全である。
Claims (3)
- ケルセチン、p−クマール酸及びアルテピリンCを含有し、さらにクリシン、ガランギン若しくはカフェイン酸フェネチルエステルを含有することを特徴とするプロポリス組成物。
- ケルセチン当量が4.58mg/ml以上で、p−クマール酸を1.16mg/ml以上、アルテピリンCを6.73mg/ml以上、クリシンを0.84mg/ml以上、ガランギンを0.53mg/ml以上及びカフェイン酸フェネチルエステルを0.81mg/ml以上を含有することを特徴とするプロポリス組成物。
- 産地の異なるプロポリス又はそれらの抽出物を少なくとも2種以上を混合してなることを特徴とする請求項1又は2記載のプロポリス組成物。
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