JP6084089B2 - 熱処理装置及び熱処理方法。 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1〜特許文献4には、熱処理炉の炉本体内に炉内の雰囲気を加熱する加熱装置と炉内の雰囲気を循環させる複数のファンとを設けておき、加熱装置で加熱された雰囲気を複数のコイル材である被熱処理物に対して吹き付けて熱処理を行うことができる熱処理装置が開示されている。
即ち、本発明の熱処理装置は、内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有し、前記複数のファンの配置方向に沿って、複数の被熱処理物が配置される熱処理装置であって、前記炉本体内には、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段が備えられており、前記ファンの配置ピッチPが式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たす構成とされていることを特徴とする。
前記往復移動手段を用いて、前記ファンの配置ピッチPが式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たすように、被熱処理物を往復移動させることを特徴とするものである。
以下、本発明の熱処理装置1を図に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の熱処理装置1は、鋼材の条鋼や線材を製造する製造ラインに設けられたものであり、圧延設備の下流側に配備されて被熱処理物を熱処理するものである。つまり、圧延設備のレーイングヘッドを通過した線材などは、所定の長さ毎にコイル状に巻き取られて外形が略円筒状のコイル材Wに加工される。そして、上述した熱処理装置1は、このように加工された複数個(本実施形態の例では7個以上)のコイル材Wを被熱処理物とし、一度にまとめて熱処理する構成とされている。
炉本体2は、耐火物や断熱材で形成された炉壁を上下・左右・前後の6面に備えており、内部が空洞とされた長尺角形状の筺として形成されている。そして、これらの炉壁で囲まれた炉本体2の内部にはコイル材Wが収容できるようになっており、この炉本体2の内部はコイル材Wに対して熱処理を行う処理室6とされている。
加熱装置3は、炉本体2の内部の雰囲気を加熱するものであり、処理室6における搬送手段5(搬送ローラ9)のさらに上方と下方とに分かれてそれぞれ配備されている。本実施形態の加熱装置3には、複数のラジアントチューブ10が採用されており、これらのラジアントチューブ10により炉内の雰囲気を上下から加熱できるようになっている。本実施形態の炉本体2の内部には、処理室6の上側に12本、下側に12本であって、上下合わせて24本のラジアントチューブ10が配備されており、これら24個のラジアントチューブ10を用いて炉内の雰囲気を加熱する構成となっている。
内雰囲気を上下に循環させる複数のファン4が配置されている。このファン4は、ファン4に設けられた翼を回転させることで炉内の雰囲気を強制的に攪拌または循環させるものである。また、複数のファン4は、炉本体2の上壁に、長手方向に所定の間隔をあけて(それぞれのファン中心間の距離が配置ピッチPとなるように)配備されている。
そこで、本発明の熱処理装置1は、コイル材Wの間で熱処理のされ方が均等になるように、複数のコイル材Wを所定のピッチ(往復ピッチL)で往復移動させる往復移動手段11を設けている。このような往復移動手段11を設ければ、コイル材Wが炉内で雰囲気ガスの流れが当たりやすい位置に自ら移動するため、熱処理のされ方をコイル材W間で均等に近づけることが可能となる。
往復移動手段11は、所定の往復ピッチLで、(N+1)個のコイル材Wを一列に並んだまま往復移動させるものであり、すべてのコイル材Wに加熱された炉内雰囲気をムラなく吹き付けることで、コイル材W間での加熱ムラや冷却ムラを抑制する構成となっている。
例えば、炉内の上部に6個のファン4が設けられた炉本体2の内部で、7個のコイル材Wに対して熱処理を行う場合を考える。これら6個のファン4は配置ピッチPで一列(一直線)に並んで並設されており、また7個のコイル材Wはファン4の並設方向と同じ方向に沿ってピッチCで一列に並んで並設されている。
風量の変化をシミュレーション解析すると、図2のような結果が得られる。
図2に示されるように、コイル材Wの移動距離を変化させた場合に、それぞれのコイル材Wの内周側で発生する風量は、それぞれのコイル材W毎で異なった変化をする。例えば、図2の「コイル1」や「コイル5」では移動距離の増加に合わせて、コイル材Wの内周側で計測される風量は大きく減少する。また、「コイル3」や「コイル7」では移動距離が増加すると、コイル材Wの内周側で計測される風量も増加する。さらに、「コイル2」、「コイル4」、「コイル6」では、移動距離が増加しても風量はあまり変化しないか、一旦減少して再び増加するといった変化を示す。
そこで、7本のコイル材Wの中でも、内周側で計測される風量の結果が最も小さい値となるものを、「最小」のデータ水準として選択する。また、内周側で計測される風量の結果が最も大きい値となるものを、「最大」のデータ水準として選択する。そして、横軸にコイル材Wの往復ピッチL(オシレーション距離L)を取り、各コイル材Wの内周側で計測される風量の絶対値の変化を縦軸にプロットすると、図3〜図5に示すような結果が得られる。
例えば図3に着目すれば、往復ピッチLが100mm→1350mmと大きくなるに連れて、「最大」のコイル材Wの風量は徐々に小さくなり、逆に「最小」のコイル材Wの風量は徐々に大きくなって、「最大」と「最小」との風量の差は小さくなる。このことから、往復ピッチLを大きくすれば大きくするほどコイル材Wの内周側で発生する風量の差をコイル材W間で小さくできることが分かる。
これら図3〜図5で縦軸の値として示される「コイル材Wの内周側での風量」を、「ファン風量」で除して規格化(正規化)すると「風量比」が得られる。また、図3〜図5の横軸の値として示される「往復ピッチL」を、コイル材Wの外径Dで除して規格化(正規化)すると、「L/D」が得られる。
図6〜図8の結果からも明らかなように、「L/D」が1に近づけば近づくほど、言い換えれば往復ピッチLが大きくなれば大きくなるほど、「最大」の風量は0.20〜0.25と変化し、一方「最小」の風量は0.12前後で推移する。そして、「L/D」が1に近づけば近づくほど、「風量比」の差も小さくなり、図3〜図5と同様な効果が得られる。
例えば、図9に示すように、「L/D」を0→1に変化させると、「最小最大比」も増加する傾向がある。ここで、「最小最大比」が0.5以上となる範囲、言い換えれば「最大」のコイル材Wの風量が「最小」のコイル材Wの風量の2倍を超えない範囲になる「L
/D」を考えると、図9に示すファン風量が80m3/minの場合には「L/D」は0.45〜0.8となる。一方、図10に示すファン風量が160m3/minの場合には「L/D」は0.4〜0.8、図11に示すファン風量が320m3/minの場合には「L/D」は0.35〜0.8となる。このことから、「L/D」を0.45〜0.8とすれば、「最大」のコイル材Wの風量が「最小」のコイル材Wの風量の2倍を超えない範囲に、コイル材W間での風量差を抑えることが可能となる。
これらのことから、上述した式(1)の関係が導出される。
一方、「L/D」に対する「最小最大比」の変化を、配置ピッチPをさまざまに変化させた炉本体2で計測し、配置ピッチPをコイル材Wの外径Dで除した「P/D」ごとに比較すると、図12のような結果が得られる。なお、図12は、ファン風量が160m3/minの場合のものである。
また、本発明の熱処理装置1では、ファン4の設置数を増やすことなく一度にファン4の設置数を超えるコイル材Wの熱処理が可能となるので、設備コストを高騰させることなく生産性を高めることも可能となる。
ところで、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 炉本体
3 加熱装置
4 ファン
5 搬送手段
6 処理室
7 搬入口
8 搬出口
9 搬送ローラ
10 ラジアントチューブ
11 往復移動手段
W コイル材
L 往復移動手段の往復ピッチ
P ファンの配置ピッチ
D コイル材の外径
Claims (2)
- 内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有し、前記複数のファンの配置方向に沿って、複数の被熱処理物が配置される熱処理装置であって、
前記炉本体内には、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段が備えられており、
前記ファンの配置ピッチPは、式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たす構成とされていることを特徴とする熱処理装置。
- 内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有する熱処理装置を用いて、前記複数のファンの配置方向に沿って配置された複数の被熱処理物を熱処理するに際しては、
前記炉本体内に、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段を設けておき、
前記往復移動手段を用いて、前記ファンの配置ピッチPが式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たすように、被熱処理物を往復移動させることを特徴とする熱処理方法。
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JP2013066535A JP6084089B2 (ja) | 2013-03-27 | 2013-03-27 | 熱処理装置及び熱処理方法。 |
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