JP6084089B2 - 熱処理装置及び熱処理方法。 - Google Patents

熱処理装置及び熱処理方法。 Download PDF

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Description

本発明は、巻回された線材のようなコイル材である被熱処理物に対して熱処理を行う熱処理装置及び熱処理方法に関するものである。
一般に、圧延設備を用いて鋼材の条鋼や線材を製造する際には、レーイングヘッドを通過した線状に加工された製品をコイル状に巻き取っている。このようにして巻き取られた製品は熱処理装置に送られて、熱処理装置の炉本体内で熱処理される。
例えば、特許文献1〜特許文献4には、熱処理炉の炉本体内に炉内の雰囲気を加熱する加熱装置と炉内の雰囲気を循環させる複数のファンとを設けておき、加熱装置で加熱された雰囲気を複数のコイル材である被熱処理物に対して吹き付けて熱処理を行うことができる熱処理装置が開示されている。
特開平5−203371号公報 特開平4−354825号公報 特開昭57−200526号公報 特開昭60−181226号公報
ところで、上述した特許文献1〜特許文献4の熱処理装置では、炉本体に収容可能なコイル材の本数は予め設計段階で決められているものの、実際の炉本体の内部には設計以上にコイル材を収容可能なスペースが用意できる場合がある。例えば6つのコイル材を本来収容する炉本体であれば、実際には7つのコイル材を収容することは十分に可能である。このようにコイル材の収容数を大きくできれば、一度に熱処理できるコイル材の数が多くなり、熱処理装置の生産性を大きく向上させることが可能になる。
ただ、多くのコイル材を炉本体内に収容すると、コイル材の収容数が循環用のファンの設置数を上回ることになる。そうすると、コイル材によっては循環用のファンから十分な加熱雰囲気(炉内雰囲気)が吹き付けられなくなって、隣り合うコイル材間での熱処理状態や、コイル材自体の内周側と外周側での熱処理状態に大きなバラツキが発生することになり、熱処理が終了したコイル材の中に熱処理が不十分なものが含まれる可能性が大きくなる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、炉内雰囲気循環用のファンの設置数よりも多い被熱処理物を熱処理する場合であっても、被熱処理物に対する均一な熱処理を実現できる熱処理装置及び熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の熱処理装置は、内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有し、前記複数のファンの配置方向に沿って、複数の被熱処理物が配置される熱処理装置であって、前記炉本体内には、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段が備えられており、前記ファンの配置ピッチPが式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たす構成とされていることを特徴とする。
一方、本発明の熱処理方法は、内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有する熱処理装置を用いて、前記複数のファンの配置方向に沿って配置された複数の被熱処理物を熱処理するに際しては、前記炉本体内に、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段を設けておき、
前記往復移動手段を用いて、前記ファンの配置ピッチPが式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たすように、被熱処理物を往復移動させることを特徴とするものである。
本発明の熱処理装置及び熱処理方法を用いれば、ファンの設置数よりも多いコイル材を熱処理する場合であっても、コイル材間で熱処理のされ方を均等にしつつ被熱処理物を熱処理することができる。
本発明の熱処理装置を示した図である。 炉本体内でのコイル材の位置を搬送方向に沿ってシフトさせた場合に、コイルの内周側での風量の変化を示した図である。 コイル材の往復ピッチLとコイルの内周側の風量との関係を示した図である(ファンの風量が80m3/min)。 コイル材の往復ピッチLとコイルの内周側の風量との関係を示した図である(ファンの風量が160m3/min)。 コイル材の往復ピッチLとコイルの内周側の風量との関係を示した図である(ファンの風量が320m3/min)。 往復ピッチLをコイル材の外径Dで除した比(L/D)に対する、コイルの内周側の風量変化を、コイル材間で比較した図である(ファンの風量が80m3/min)。 往復ピッチLをコイル材の外径Dで除した比(L/D)に対する、コイルの内周側の風量変化を、コイル材間で比較した図である(ファンの風量が160m3/min)。 往復ピッチLをコイル材の外径Dで除した比(L/D)に対する、コイルの内周側の風量変化を、コイル材間で比較した図である(ファンの風量が320m3/min)。 往復ピッチLをコイル材の外径Dで除した比(L/D)に対する、コイル材間での風量比の差分を示した図である(ファンの風量が80m3/min)。 往復ピッチLをコイル材の外径Dで除した比(L/D)に対する、コイル材間での風量比の差分を示した図である(ファンの風量が160m3/min)。 往復ピッチLをコイル材の外径Dで除した比(L/D)に対する、コイル材間での風量比の差分を示した図である(ファンの風量が320m3/min)。 ファンの配置ピッチとコイル材間での風量比との関係を示した図である(ファンの風量が160m3/min)。 従来の熱処理装置を示した図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の熱処理装置1を図に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の熱処理装置1は、鋼材の条鋼や線材を製造する製造ラインに設けられたものであり、圧延設備の下流側に配備されて被熱処理物を熱処理するものである。つまり、圧延設備のレーイングヘッドを通過した線材などは、所定の長さ毎にコイル状に巻き取られて外形が略円筒状のコイル材Wに加工される。そして、上述した熱処理装置1は、このように加工された複数個(本実施形態の例では7個以上)のコイル材Wを被熱処理物とし、一度にまとめて熱処理する構成とされている。
具体的には、熱処理装置1は、コイル材Wに対して熱処理を行う炉本体2を備えている。この炉本体2は、その内部に複数のコイル材Wを収容可能とされている。また、熱処理装置1は、炉本体2の内部の上側と下側とに、炉本体2内の雰囲気を加熱する加熱装置3をそれぞれ有している。さらに、炉本体2の内部には、加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファン4(循環ファン)が設けられている。これらのファン4は、上述した加熱装置3の内、炉本体2内の上側に配備される加熱装置3のさらに上側に配備されており、炉本体2の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備されている。さらにまた、熱処理装置1には、炉本体2の内部に複数のコイル材Wを搬入したり搬出したりする搬送手段5が設けられている。
次に、熱処理装置1を構成する炉本体2、加熱装置3、ファン4及び搬送手段5について説明する。
炉本体2は、耐火物や断熱材で形成された炉壁を上下・左右・前後の6面に備えており、内部が空洞とされた長尺角形状の筺として形成されている。そして、これらの炉壁で囲まれた炉本体2の内部にはコイル材Wが収容できるようになっており、この炉本体2の内部はコイル材Wに対して熱処理を行う処理室6とされている。
また、炉本体2における長手方向の一端側(コイル材Wの搬入側)の炉壁には、水平方向に一列に並んだ複数本のコイル材Wを炉内に搬入するための搬入口7が形成されている。さらに、炉本体2における長手方向の他端側の炉壁、言い換えれば搬入口7の反対側に設けられた炉壁には、炉内から熱処理済みのコイル材Wを搬出ための搬出口8が形成されている。これらの搬入口7と搬出口8とは、コイル材Wを出し入れ可能なようにコイル材Wの大きさよりもやや大きな開口として形成されており、コイル材Wを炉内に搬入したり炉内から搬出したりする際に扉やシャッターなどで開閉可能となっている。
搬送手段5は、水平方向を向く軸回りに回転自在とされた複数本の搬送ローラ9を、水平方向に沿って互いに平行となるように並べたもの(ローラコンベア)であり、搬送ローラ9の上側に載置されたコイル材Wを水平方向に搬送可能となっている。具体的には、搬送手段5は、炉本体2の内部に形成された処理室6の下側に、上述した搬送ローラ9を複数備えている。これらの搬送ローラ9は、水平方向に沿っていずれも同じ方向を向いて配備されており、軸心と垂直となる方向に互いに等間隔をあけて取り付けられている。つまり、複数の搬送ローラ9は、それぞれの搬送ローラ9の上面がいずれも同一水平面上に位置するように配備されており、上側に載置されたコイル材Wを水平方向に沿って搬送できるようになっている。
また、搬送手段5には、搬送ローラ9の一部又は全部を同方向に向かって回転駆動する駆動機構(図示略)が設けられており、搬送ローラ9の並設方向に沿って複数のコイル材Wを一列に並べたまま炉外に搬出したり炉内に搬入したりできるようになっている。
加熱装置3は、炉本体2の内部の雰囲気を加熱するものであり、処理室6における搬送手段5(搬送ローラ9)のさらに上方と下方とに分かれてそれぞれ配備されている。本実施形態の加熱装置3には、複数のラジアントチューブ10が採用されており、これらのラジアントチューブ10により炉内の雰囲気を上下から加熱できるようになっている。本実施形態の炉本体2の内部には、処理室6の上側に12本、下側に12本であって、上下合わせて24本のラジアントチューブ10が配備されており、これら24個のラジアントチューブ10を用いて炉内の雰囲気を加熱する構成となっている。
加えて、熱処理装置1の炉本体2の内部には、ラジアントチューブ10で加熱された炉
内雰囲気を上下に循環させる複数のファン4が配置されている。このファン4は、ファン4に設けられた翼を回転させることで炉内の雰囲気を強制的に攪拌または循環させるものである。また、複数のファン4は、炉本体2の上壁に、長手方向に所定の間隔をあけて(それぞれのファン中心間の距離が配置ピッチPとなるように)配備されている。
ところで、図1に示すように、本発明の熱処理装置1は、上述したファン4の設置数よりも数の多いコイル材Wを均一な熱処理条件で熱処理できるものとなっている。具体的には、本発明の熱処理装置1には、炉本体2の内部にN個(N>1)のファン4が水平方向に沿って一列に並んで設けられている。また、炉本体2の内部には、ファン4と同じように水平方向に沿って複数のコイル材Wが並んで収容されており、コイル材Wの収容数はファン4の設置数よりも1個多い(N+1)本とされている。
このようにファン4の設置数よりも数が多いコイル材Wを炉内で熱処理しようとした場合には、ファン4から送られる炉内雰囲気の流れにコイル材W間で偏りが生じて、コイル材W同士の間で熱処理のされ方が不均一となってしまう可能性がある(詳しくは、「発明が解決しようとする課題」を参照のこと)。
そこで、本発明の熱処理装置1は、コイル材Wの間で熱処理のされ方が均等になるように、複数のコイル材Wを所定のピッチ(往復ピッチL)で往復移動させる往復移動手段11を設けている。このような往復移動手段11を設ければ、コイル材Wが炉内で雰囲気ガスの流れが当たりやすい位置に自ら移動するため、熱処理のされ方をコイル材W間で均等に近づけることが可能となる。
次に、本発明の熱処理装置1の特徴である往復移動手段11について詳しく説明する。
往復移動手段11は、所定の往復ピッチLで、(N+1)個のコイル材Wを一列に並んだまま往復移動させるものであり、すべてのコイル材Wに加熱された炉内雰囲気をムラなく吹き付けることで、コイル材W間での加熱ムラや冷却ムラを抑制する構成となっている。
具体的には、往復移動手段11は、上述した搬送手段5の搬送ロール9を正逆双方に交互に切り替えつつ回転させて、コイル材Wを往復移動させるものである。つまり、往復移動手段11は、上述した駆動機構を用いて複数の搬送ロール9をすべて同じ方向に向かって回転させ、搬送ロール9の上側に載せられたコイル材Wを水平方向に沿って一方向に移動させる構成となっている。また、往復移動手段11は、コイル材Wが所定の往復ピッチLだけ水平方向に移動したら、搬送ロール9の回転方向を逆方向に切り替え、コイル材Wを他方向に向かって移動させる構成となっている。そして、他方向に向かってコイル材Wが所定の往復ピッチLだけ水平方向に移動したら、搬送ロール9の回転方向を再び切り替える。このようにして所定の往復ピッチLごとに搬送ロール9の回転方向を切り替えれば、コイル材Wを炉内において往復ピッチLで往復移動させることができ、コイル材W同士の間での加熱ムラや冷却ムラを抑制することが可能となる。
なお、複数のコイル材Wを単に往復移動させるだけでは、熱処理のされ方をコイル材W間で均等に近づける効果を十分に発揮することはできないので、本発明の熱処理装置1では、往復移動手段11の往復ピッチLが式(1)を満たすと共に、ファン4の配置ピッチPが式(2)を満たすように、複数のコイル材Wを往復移動させる構成を採用している。
上述した式(1)及び式(2)は次のようにして導かれる。
例えば、炉内の上部に6個のファン4が設けられた炉本体2の内部で、7個のコイル材Wに対して熱処理を行う場合を考える。これら6個のファン4は配置ピッチPで一列(一直線)に並んで並設されており、また7個のコイル材Wはファン4の並設方向と同じ方向に沿ってピッチCで一列に並んで並設されている。
ここで、上述した往復移動手段11を用いて7個のコイル材Wを水平方向の一方向(左方向)に移動させ、移動距離(左シフト量)に対する各コイル材Wの内周側で計測される
風量の変化をシミュレーション解析すると、図2のような結果が得られる。
図2に示されるように、コイル材Wの移動距離を変化させた場合に、それぞれのコイル材Wの内周側で発生する風量は、それぞれのコイル材W毎で異なった変化をする。例えば、図2の「コイル1」や「コイル5」では移動距離の増加に合わせて、コイル材Wの内周側で計測される風量は大きく減少する。また、「コイル3」や「コイル7」では移動距離が増加すると、コイル材Wの内周側で計測される風量も増加する。さらに、「コイル2」、「コイル4」、「コイル6」では、移動距離が増加しても風量はあまり変化しないか、一旦減少して再び増加するといった変化を示す。
なお、図2の「縦軸」に用いられる風量は、コイル材Wの内周側を、上方から下方に向かって下降する方向を「正」としている。それゆえ、例えば図2の「コイル1」では、コイル材Wの移動距離を0mm→1000mmと変化させると、コイル材Wの内周側を、上方から下方に向かって下降していた雰囲気ガスの流れが、途中で下方から上方に向かって上昇する流れに変化する。一方、「コイル3」では、雰囲気ガスの流れは上昇流から下降流に変化する。
つまり、移動距離を変えた場合にコイル材Wの内周側で計測される風量の変化は、複数のコイル材Wのそれぞれで大きく異なった変化傾向を示す。
そこで、7本のコイル材Wの中でも、内周側で計測される風量の結果が最も小さい値となるものを、「最小」のデータ水準として選択する。また、内周側で計測される風量の結果が最も大きい値となるものを、「最大」のデータ水準として選択する。そして、横軸にコイル材Wの往復ピッチL(オシレーション距離L)を取り、各コイル材Wの内周側で計測される風量の絶対値の変化を縦軸にプロットすると、図3〜図5に示すような結果が得られる。
なお、図3はファン4で発生する風量(以降、ファン風量という)が80m3/min、図4はファン風量が160m3/min、図5はファン風量が320m3/minのときの結果である。
例えば図3に着目すれば、往復ピッチLが100mm→1350mmと大きくなるに連れて、「最大」のコイル材Wの風量は徐々に小さくなり、逆に「最小」のコイル材Wの風量は徐々に大きくなって、「最大」と「最小」との風量の差は小さくなる。このことから、往復ピッチLを大きくすれば大きくするほどコイル材Wの内周側で発生する風量の差をコイル材W間で小さくできることが分かる。
なお、図3の結果はファン風量が80m3/minの場合であったが、同様な傾向は図4に示すようにファン風量を160m3/minに増加させた場合に対しても、図5に示すようにファン風量を320m3/minに増加させた場合に対しても観察される。
これら図3〜図5で縦軸の値として示される「コイル材Wの内周側での風量」を、「ファン風量」で除して規格化(正規化)すると「風量比」が得られる。また、図3〜図5の横軸の値として示される「往復ピッチL」を、コイル材Wの外径Dで除して規格化(正規化)すると、「L/D」が得られる。
この「L/D」に対する「風量比」の変化を、ファン風量が80m3/minの場合、ファン風量を160m3/minの場合、ファン風量が320m3/minの場合のそれぞれについて整理すると、図6〜図8に示すような結果が得られる。
図6〜図8の結果からも明らかなように、「L/D」が1に近づけば近づくほど、言い換えれば往復ピッチLが大きくなれば大きくなるほど、「最大」の風量は0.20〜0.25と変化し、一方「最小」の風量は0.12前後で推移する。そして、「L/D」が1に近づけば近づくほど、「風量比」の差も小さくなり、図3〜図5と同様な効果が得られる。
次に、「最小」の「風量比」を、「最大」の「風量比」で除したものを、「最小最大比」として求め、「L/D」に対する「最小最大比」の変化としてプロットすると、図9〜図11のような結果が得られる。
例えば、図9に示すように、「L/D」を0→1に変化させると、「最小最大比」も増加する傾向がある。ここで、「最小最大比」が0.5以上となる範囲、言い換えれば「最大」のコイル材Wの風量が「最小」のコイル材Wの風量の2倍を超えない範囲になる「L
/D」を考えると、図9に示すファン風量が80m3/minの場合には「L/D」は0.45〜0.8となる。一方、図10に示すファン風量が160m3/minの場合には「L/D」は0.4〜0.8、図11に示すファン風量が320m3/minの場合には「L/D」は0.35〜0.8となる。このことから、「L/D」を0.45〜0.8とすれば、「最大」のコイル材Wの風量が「最小」のコイル材Wの風量の2倍を超えない範囲に、コイル材W間での風量差を抑えることが可能となる。
なお、「L/D」が0.8を超える場合にも、「最小最大比」は0.5より大きくなるが、「L/D」が0.8を超えるような装置はコイル材Wを往復移動させる機構が非常に大掛かりなものとなり、設備面でコストの高騰を招く虞があるので、好ましくない。
これらのことから、上述した式(1)の関係が導出される。
一方、「L/D」に対する「最小最大比」の変化を、配置ピッチPをさまざまに変化させた炉本体2で計測し、配置ピッチPをコイル材Wの外径Dで除した「P/D」ごとに比較すると、図12のような結果が得られる。なお、図12は、ファン風量が160m3/minの場合のものである。
図12を見れば明らかなように、「P/D」が1.06や1.40のときには、「L/D」を0.45〜0.8としても、「最小最大比」が0.5を下回る場合がある。しかし、「P/D」が1.60や2.00のときには、「L/D」を0.45〜0.8とすれば、「最小最大比」が0.5を下回ることはなく、コイル材W間での風量差を抑えることが可能となる。これらの結果から、上述した式(2)の関係も導出される。
上述した熱処理装置1を用いれば、ファン4の設置数よりも多いコイル材Wを熱処理する場合であっても、熱処理状態にコイル材W間で大きなバラツキが発生することがない。例えば、図13に示すように往復移動手段を有さない従来の熱処理装置100では、ファン101の設置数とコイル材Wの収容数とが同数とされているので、ファン101の設置数を超えるコイル材Wを収容して熱処理しようとすると、ファン101から加熱雰囲気が吹き付けられなくなるコイル材Wが生じる場合があり、熱処理状態にコイル材W間で大きなバラツキが発生することがある。
しかし、本発明の熱処理装置1では、往復移動手段11によりコイル材Wが自ら往復移動して、雰囲気ガスが十分に吹き付けられる位置にコイル材Wの位置が変化するので、ファン4の設置数を超えるコイル材Wを収容して熱処理を行っても、コイル材W間で熱処理のされ方を均等にすることが可能となる。
また、本発明の熱処理装置1では、ファン4の設置数を増やすことなく一度にファン4の設置数を超えるコイル材Wの熱処理が可能となるので、設備コストを高騰させることなく生産性を高めることも可能となる。
さらに、本発明の熱処理装置1では、往復移動手段11により複数のコイル材Wにムラなく雰囲気ガスが吹き付けられるので、コイル材Wの中に熱処理が不十分なものが含まれる可能性が低くなり、被熱処理物の品質を安定化させることも可能となる。
ところで、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
例えば、N個のファン4が設置された熱処理装置1に、(N+1)より多いコイル材Wを収容した場合にも、本願発明は適用可能である。
1 熱処理装置
2 炉本体
3 加熱装置
4 ファン
5 搬送手段
6 処理室
7 搬入口
8 搬出口
9 搬送ローラ
10 ラジアントチューブ
11 往復移動手段
W コイル材
L 往復移動手段の往復ピッチ
P ファンの配置ピッチ
D コイル材の外径

Claims (2)

  1. 内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有し、前記複数のファンの配置方向に沿って、複数の被熱処理物が配置される熱処理装置であって、
    前記炉本体内には、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段が備えられており、
    前記ファンの配置ピッチPは、式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たす構成とされていることを特徴とする熱処理装置。
  2. 内部に収容されたコイル材である被熱処理物(外径D)に対して熱処理を行う炉本体と、前記炉本体の内部の上側と下側とにそれぞれ配備されて、前記炉本体内の雰囲気を加熱する加熱装置と、前記炉本体の一方側から他方側へと所定のピッチPにて直線状に並んで配備され、且つ前記加熱された雰囲気を上下に循環させる複数のファンと、を有する熱処理装置を用いて、前記複数のファンの配置方向に沿って配置された複数の被熱処理物を熱処理するに際しては、
    前記炉本体内に、N個(N>1)のファンの配置方向に沿って、(N+1)個の被熱処理物が配置されると共に、配置された(N+1)個の被熱処理物を所定のピッチLで往復移動させる往復移動手段を設けておき、
    前記往復移動手段を用いて、前記ファンの配置ピッチPが式(2)を満たすと共に、前記往復移動手段の往復ピッチLが式(1)を満たすように、被熱処理物を往復移動させることを特徴とする熱処理方法。
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