本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、検査対象は、照射された光を透過させるものとする。検査対象は、例えば、アクリル板、樹脂シート、又は、フィルムである。欠陥検査装置、欠陥検査方法、及び照明装置は、検査対象に照射される縞状パターン(ゼブラパターン)を生成するスリット部を移動又は回転させることなく、検査対象に生じた欠陥を検出することができる。
検査対象に生じた欠陥には、例えば、線状の欠陥と、点状の欠陥とがある。ここで、線状の欠陥には、例えば、押し出しキズ(ダイライン)がある。より具体的には、線状の欠陥には、検査対象の走行方向を長手方向とする欠陥(以下、「走行方向欠陥」という。)と、検査対象の走行方向に対して直交する方向を長手方向とする欠陥(以下、「直交方向欠陥」という。)とがある。また、点状の欠陥(以下、「点状欠陥」という。)には、例えば、異物がある。この異物には、凹凸又は色があってもよい。
図1には、欠陥検査装置の構成例が、ブロック図により示されている。欠陥検査装置100は、駆動部110と、照明制御部120と、照明部121と、撮像制御部130と、撮像部131と、前処理部140と、2値化部141と、符号化部142と、検出部143と、制御部150と、出力部151とを備える。
駆動部110は、巻取部(不図示)と、ロータリエンコーダ(不図示)を有する。ロータリエンコーダは、巻取部の回転角を示す情報を、撮像制御部130に出力する。
照明制御部120は、照明部121から照射される光の光量を制御する。
図2には、照明部の構成例が示されている。照明部121は、光源部122と、直交方向遮光部123と、スリット部124と有する。光源部122は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、蛍光灯、又は、石英ロッド照明である。
直交方向遮光部123は、検査対象の走行方向に対して直交する方向に配置される遮光部材である。直交方向遮光部123は、光源部122からの光の一部を、検査対象の走行方向に対して直交する方向に亘り遮光する。
スリット部124は、走行方向遮光部124a−1〜124a−N(Nは、1以上の整数。図2では、一例として、20。)を有する。
ここで、走行方向遮光部124a−1〜124a−Nは、走行方向を長手方向として、互いに並列に間隔を空けて配置される遮光部材である。つまり、走行方向遮光部124a−n(nは、整数1〜(N−1)のいずれか)と、その隣の走行方向遮光部124a−(n+1)との間には、隙間が設けられている。走行方向遮光部124a−1〜124a−Nは、等間隔に配置されてもよい。例えば、検査対象の走行方向に対して直交する方向について、照明部121の寸法が320[mm]、走行方向遮光部124a−nの幅(スリット幅)が1.6[mm]、走行方向遮光部124a−nの間隔(スリット間隔)が1.6[mm]である場合、Nは100(=320/(1.6+1.6))でもよい。スリット部124は、直交方向遮光部123に遮光されていない光による縞状パターンを、検査対象の走行方向に対して直交する方向に亘り、検査対象に照射する。
図1に戻り、欠陥検査装置の構成例の説明を続ける。撮像制御部130は、撮像部131による撮像を制御する。撮像部131は、光学系(不図示)と、ラインセンサ(不図示)とを有する。光学系は、例えば、ラインセンサ用のレンズを有する。ラインセンサは、直線状に配置された複数の受光素子を有する。ラインセンサが有する受光素子の個数は、例えば、4096、5000、6144、7450又は8192素子であり、欠陥検査装置100に検出させたい欠陥のサイズなどに応じて、適宜定められてよい。
図3には、撮像部と検査対象と照明部との位置関係の第1例が示されている。図3では、説明を簡便にするため、撮像部131を原点とするxyz座標系を設けて説明をする。撮像部131のラインセンサは、巻き取られて走行する検査対象200を俯瞰する位置から、検査対象200を撮像する。検査対象200が光を透過させるので、撮像部131の位置からは、検査対象200を透して、照明部121が照射した縞状パターンを撮像することができる。ここで、撮像部131と照明部121との相対位置は、固定されているものとする。
ラインセンサは、検査対象200の走行方向(y軸正方向)については、例えば、分解能100[μm/スキャン]で、検査対象200を撮像する。また、ラインセンサは、検査対象200の走行方向に直交する方向(x軸正方向)については、例えば、分解能50[μm/画素]で、検査対象200を撮像する。
ラインセンサは、受光素子の配置に応じて直線状に検査対象に定められた読み取り位置(1ライン)を、所定周期で撮像(スキャン)する。この読み取り位置は、直交方向遮光部123とスリット部124との境界の近傍から照射された縞状パターンが、検査対象200を透過している位置である。巻き取られて走行する検査対象200は、当該読み取り位置を通過している部分が、当該読み取り位置を通過する際に、透過した縞状パターンと共に、ラインセンサに撮像されることになる。
図3には、検査対象の走行方向の位置に応じた光量分布も示されている。この光量分布に示されているように、光量は、直交方向遮光部123と、スリット部124の隙間とにより、検査対象200の走行方向の位置に応じて変化している(光の強弱がある)。より具体的には、この光量分布では、直交方向遮光部123に近い側でなく、スリット部124の隙間に近い側に、光量分布のピーク値がある。これは、光源部122からの光の一部が直交方向遮光部123により遮光されている一方で、直交方向遮光部123により遮光されていない光源部122からの光(縞状パターンの高明度部分)が、スリット部124の隙間から、検査対象200に照射されているためである。なお、読み取り位置では、光量分布は、そのピーク値の約2分の1の値となっている。
つまり、検査対象200に生じた直交方向欠陥には、検査対象200の走行方向からも光が当たり、その光が屈折する。したがって、検査対象200に生じた直交方向欠陥は、撮像された画像においてコントラストが強調される。
図4には、撮像部の位置から見た検査対象及び照明部の例が示されている。上述したように、直交方向遮光部123は、照明部121の光源部122(図2を参照)からの光の一部を、検査対象200の走行方向に対して直交する方向に亘り遮光する。また、スリット部124は、直交方向遮光部123に遮光されていない光による縞状パターンを、検査対象の走行方向に対して直交する方向に亘り、検査対象200に照射する。
図4には、検査対象の走行方向に対して直交する方向の位置に応じた光量分布も示されている。この光量分布に示されているように、スリット部124により、光量は、検査対象200の走行方向に対して直交する方向の位置に応じて変化している(光の強弱がある)。より具体的には、この光量分布では、スリット部124の隙間毎に、光量分布のピーク値がある。これは、光源部122からの光の一部がスリット部124の遮光部材により遮光されている一方で、それら遮光部材により遮光されていない光源部122からの光(縞状パターンの高明度部分)が、スリット部124の隙間から、検査対象200に照射されているからである。
つまり、検査対象200に生じた走行方向欠陥には、検査対象200の走行方向に対して直交する方向からも光が当たり、その光が屈折する。したがって、検査対象200に生じた走行方向欠陥は、撮像された画像においてコントラストが強調される。
図5には、撮像部と検査対象と照明部との位置関係の第2例が示されている。図5については、図3との差分についてのみ説明する。図5では、直交方向遮光部123は、撮像部131から距離h1の位置に配置されている。一方、スリット部124は、撮像部131から距離h2の位置に配置されている。ここで、距離h2は、距離h1以下の長さである。この場合、例えば、距離h1の範囲は100mm〜400[mm]、距離h2の範囲は20〜400[mm]でもよい。
図5では、図3に示す位置関係の第1例と比較して、スリット部124が撮像部131に近づけられている。このため、照明部121から検査対象200に照射された縞状パターンの低明度部分(遮光された部分)と、照明部121から検査対象200に照射された縞状パターンの高明度部分(遮光されていない成分)とのコントラストは、図3に示す位置関係の第1例と比較して、より高くなる。
撮像部131のラインセンサは、検査対象200に合焦させて、検査対象200に定められた読み取り位置を撮像してもよい。これにより、欠陥検査装置100、欠陥検査方法、及び照明部121(照明装置)は、検査対象200に生じた点状欠陥も検出することができる。
撮像部131のラインセンサが撮像した画像を構成する画素の画素値は、各受光素子の出力値に基づいて定められる。ラインセンサは、画素値(例えば、明度)を示す情報を、受光素子に対応する画素毎に、前処理部140(図1を参照)に出力する。画素値(出力値)の範囲は、例えば、値0〜255(8ビット)である。
図1に戻り、欠陥検査装置の構成例の説明を続ける。前処理部140は、画素値を示す情報に基づいて、前処理として画素値を補正する。前処理部140は、画素値を示す情報に基づいて、前処理として画素値を強調してもよい。前処理部140は、前処理された画素値を示す情報を、2値化部141に出力する。
2値化部141は、前処理された画素値を、所定閾値に基づいて2値化する。2値化部141は、2値化された画素値(例えば、値0又は値1)を示す情報を、符号化部142に出力する。
符号化部142は、2値化された画素値を示す情報に、データ圧縮を施す。例えば、符号化部142は、2値化された画素値を示す情報に、連長圧縮(ランレングス圧縮)を施してもよい。
検出部143は、2値化された画素値を示す情報に基づいて、所定周期で撮像されたライン毎の画像を撮像順に並べることで、2次元画像を生成する。検出部143は、検査対象が撮像された2次元画像における画素値に基づいて、検査対象に生じた欠陥を検出する。より具体的には、検出部143は、撮像された縞状パターンのコントラストに基づいて、検査対象に生じた走行方向欠陥、直交方向欠陥、及び、点状欠陥を検出する。
ここで、検出部143は、画素値としての明度に基づいて、検査対象200に生じた欠陥を検出する。より具体的には、検出部143は、縞状パターンが撮像された画像において隣り合う領域同士の明度のコントラストに基づいて、検査対象200に生じた欠陥を検出する。検査対象200に生じた欠陥を検出するための画像処理については、図6〜図11を用いて後述する。
制御部150には、検査対象に生じた欠陥を示す情報が、検出部143から入力される。ここで、検査対象に生じた欠陥を示す情報とは、例えば、欠陥の有無を示す情報である。また、検査対象に生じた欠陥を示す情報には、例えば、発生時刻、欠陥の位置、欠陥の形状、欠陥のサイズ、検査対象の識別番号を示す情報などが含まれていてもよい。
制御部150は、検査対象に生じた欠陥を示す情報を、出力部151に出力する。検査対象に生じた欠陥を示す情報は、例えば、音データ又は画像データの形式で出力されてもよい。制御部150は、検査対象に生じた欠陥を示す情報を、検査中及び検査後のいずれのタイミングで出力してもよい。
制御部150には、検査条件を示す情報が、操作部(不図示)を介して入力されてもよい。制御部150は、検査条件を示す情報に基づいて、欠陥検査装置100の各部を制御する。例えば、制御部150は、検査条件としての光量を示す情報を、照明制御部120に出力してもよい。また、例えば、制御部150は、検査条件としての撮像周期を示す情報を、撮像制御部130に出力してもよい。なお、制御部150上では、オペレーティングシステムが動作していてもよい。このオペレーティングシステムは、例えば、リアルタイム・オペレーティングシステムでもよい。
出力部151は、検査対象に生じた欠陥を示す情報に基づいて、検査結果を出力する。例えば、出力部151は、検査対象に欠陥が検出された場合、制御部150による制御に応じて、発生時刻の通知、検査対象の識別番号の通知、警報の通知、及び、パトライト(登録商標)表示を実行してもよい。
次に、検査対象に生じた欠陥を検出するための画像処理(フィルタ処理)の例を説明する。
以下、撮像部131(図1を参照)により撮像されたライン毎の画像に基づいて、検出部143(図1を参照)が生成した2次元画像において、検査対象200を透過した縞状パターンを構成する低明度部分同士の間隔は、一例として、28画素分の長さになっているものとする。
図6には、検査対象を透過した縞状パターンが撮像された2次元画像の一部と、走行方向欠陥用フィルタとの例が示されている。以下、検出部143(図1を参照)が生成した2次元画像において、低明度部分124b−1は、一例として、走行方向遮光部124a−1(図2を参照)の遮光による低明度部分であるものとする。また、低明度部分124b−2は、一例として、走行方向遮光部124a−2(図2を参照)の遮光による低明度部分であるものとする。また、低明度部分124b−3は、一例として、走行方向遮光部124a−3の遮光による低明度部分であるものとする。
走行方向欠陥用フィルタ300−1は、走行方向欠陥用フィルタ300−2と併用されて、検査対象200に生じた走行方向欠陥を検出するためのフィルタである。図6では、検査対象200の走行方向についての走行方向欠陥用フィルタ300−1の長さは、一例として、128画素分の長さと定められている。この長さは、欠陥検査装置100に検出させたい欠陥のサイズなどに応じて、適宜定められてよい。
また、図6では、検査対象200の走行方向に対して直交する方向についての走行方向欠陥用フィルタ300−1の長さは、一例として、28画素分の長さと定められている。この長さは、例えば、検査対象200を透過した縞状パターンを構成する低明度部分同士の間隔と同じ長さとなるように、適宜定められてよい。
走行方向欠陥用フィルタ300−2は、走行方向欠陥用フィルタ300−1と併用されて、検査対象200に生じた走行方向欠陥を検出するためのフィルタである。走行方向欠陥用フィルタ300−2の形状は、走行方向欠陥用フィルタ300−1の形状と同じである。
走行方向欠陥用フィルタ300−1と、走行方向欠陥用フィルタ300−2とは、縞状パターンが撮像された2次元画像において、検査対象200の走行方向に対して直交する方向に接して隣り合う領域に、それぞれが適用される。つまり、走行方向欠陥用フィルタ300−1は、縞状パターンが撮像された2次元画像において、所定の第1領域に適用される。一方、走行方向欠陥用フィルタ300−2は、当該第1領域に接して隣り合う第2領域に適用される。
検出部143(図1を参照)は、走行方向欠陥用フィルタ300−1が適用される第1領域に含まれる画素の画素値(例えば、明度)の総和を算出する。また、検出部143は、走行方向欠陥用フィルタ300−2が適用される第2領域に含まれる画素の画素値(例えば、明度)の総和を算出する。検出部143は、走行方向欠陥用フィルタ300−1が適用される第1領域に含まれる画素の画素値の総和と、走行方向欠陥用フィルタ300−2が適用される第2領域に含まれる画素の画素値の総和との差分を算出する(強調処理)。
検出部143(図1を参照)が生成した2次元画像に、走行方向欠陥が撮像されていない場合には、走行方向欠陥用フィルタ300−1が適用される第1領域に含まれる画素の画素値の総和と、走行方向欠陥用フィルタ300−2が適用される第2領域に含まれる画素の画素値の総和との差分は、所定閾値未満となる。一方、検出部143が生成した2次元画像に、走行方向欠陥が撮像されている場合には、走行方向欠陥用フィルタ300−1が適用される第1領域に含まれる画素の画素値の総和と、走行方向欠陥用フィルタ300−2が適用される第2領域に含まれる画素の画素値の総和との差分は、当該所定閾値以上となる。
検出部143は、走行方向欠陥用フィルタ300−1及び300−2を一体としたフィルタの位置を、検査対象200の走行方向又はこれに直交する方向に、1画素ずつずらす。また、検出部143は、走行方向欠陥用フィルタ300−1及び300−2を一体としたフィルタの位置をずらす毎に、差分を算出する処理(コントラストを強調する処理)を繰り返す。
図7には、縞状パターンが撮像された2次元画像においてコントラストが強調された走行方向欠陥の画像の例が示されている。図7では、コントラストが強調された走行方向欠陥の画像は、破線で囲まれた部分に示されている。
図8には、検査対象を透過した縞状パターンが撮像された2次元画像の一部と、幅方向欠陥用フィルタとの例が示されている。直交方向欠陥用フィルタ310−1は、直交方向欠陥用フィルタ310−2と併用されて、検査対象200に生じた直交方向欠陥を検出するためのフィルタである。図8では、検査対象200の走行方向についての直交方向欠陥用フィルタ310−1の長さは、一例として、8画素分の長さと定められている。この長さは、例えば、欠陥検査装置100に検出させたい欠陥のサイズなどに応じて、適宜定められてよい。
また、図8では、検査対象200の走行方向に対して直交する方向についての直交方向欠陥用フィルタ310−1の長さは、一例として、60画素分の長さと定められている。この長さは、例えば、検査対象200を透過した縞状パターンを構成する低明度部分同士の間隔の整数倍と同じ程度の長さとなるように、適宜定められてよい。
直交方向欠陥用フィルタ310−2は、直交方向欠陥用フィルタ310−1と併用されて、検査対象200に生じた走行方向欠陥を検出するためのフィルタである。直交方向欠陥用フィルタ310−2の形状は、直交方向欠陥用フィルタ310−1の形状と同じである。
直交方向欠陥用フィルタ310−1と、直交方向欠陥用フィルタ310−2とは、縞状パターンが撮像された2次元画像において、検査対象200の走行方向に接して隣り合う領域に、それぞれが適用される。つまり、直交方向欠陥用フィルタ310−1は、縞状パターンが撮像された2次元画像において、所定の第3領域に適用される。一方、直交方向欠陥用フィルタ310−2は、当該第3領域に接して隣り合う第4領域に適用される。
検出部143(図1を参照)は、直交方向欠陥用フィルタ310−1が適用される第3領域に含まれる画素の画素値(例えば、明度)の総和を算出する。また、検出部143は、直交方向欠陥用フィルタ310−2が適用される第4領域に含まれる画素の画素値(例えば、明度)の総和を算出する。検出部143は、直交方向欠陥用フィルタ310−1が適用される第3領域に含まれる画素の画素値の総和と、直交方向欠陥用フィルタ310−2が適用される第4領域に含まれる画素の画素値の総和との差分を算出する(強調処理)。
検出部143(図1を参照)が生成した2次元画像に、直交方向欠陥が撮像されていない場合には、直交方向欠陥用フィルタ310−1が適用される第3領域に含まれる画素の画素値の総和と、直交方向欠陥用フィルタ310−2が適用される第4領域に含まれる画素の画素値の総和との差分は、所定閾値未満となる。一方、検出部143が生成した2次元画像に、直交方向欠陥が撮像されている場合には、直交方向欠陥用フィルタ310−1が適用される第3領域に含まれる画素の画素値の総和と、直交方向欠陥用フィルタ310−2が適用される第4領域に含まれる画素の画素値の総和との差分は、当該所定閾値以上となる。
検出部143は、直交方向欠陥用フィルタ310−1及び310−2を一体としたフィルタの位置を、検査対象200の走行方向又はこれに直交する方向に1画素ずつずらす毎に、差分を算出する処理(コントラストを強調する処理)を繰り返す。
図9には、縞状パターンが撮像された2次元画像においてコントラストが強調された直交方向欠陥の画像の例が示されている。図9では、コントラストが強調された直交方向欠陥の画像は、破線で囲まれた部分に示されている。
図10には、検査対象を透過した縞状パターンが撮像された2次元画像の一部と、点状欠陥用フィルタとの例が示されている。点状欠陥用フィルタ320−1は、点状欠陥用フィルタ320−2と併用されて、検査対象200に生じた点状欠陥を検出するためのフィルタである。図10では、検査対象200の走行方向についての点状欠陥用フィルタ320−1の長さは、一例として、4画素分の長さと定められている。この長さは、欠陥検査装置100に検出させたい欠陥のサイズなどに応じて、適宜定められてよい。
また、図10では、検査対象200の走行方向に対して直交する方向についての点状欠陥用フィルタ320−1の長さは、一例として、8画素分の長さと定められている。この長さは、例えば、欠陥検査装置100に検出させたい欠陥のサイズなどに応じて、適宜定められてよい。
点状欠陥用フィルタ320−2は、点状欠陥用フィルタ320−1と併用されて、検査対象200に生じた点状欠陥を検出するためのフィルタである。点状欠陥用フィルタ320−2の形状は、点状欠陥用フィルタ320−1の形状と同じである。
点状欠陥用フィルタ320−1と、点状欠陥用フィルタ320−2とは、縞状パターンが撮像された2次元画像において、検査対象200の走行方向に直交する方向に接して隣り合う領域に、それぞれが適用される。つまり、点状欠陥用フィルタ320−1は、縞状パターンが撮像された2次元画像において、所定の第5領域に適用される。一方、点状欠陥用フィルタ320−2は、当該第5領域に接して隣り合う第6領域に適用される。
検出部143(図1を参照)は、点状欠陥用フィルタ320−1が適用される第5領域に含まれる画素の画素値(例えば、明度)の総和を算出する。また、検出部143は、点状欠陥用フィルタ320−2が適用される第6領域に含まれる画素の画素値(例えば、明度)の総和を算出する。検出部143は、点状欠陥用フィルタ320−1が適用される第5領域に含まれる画素の画素値の総和と、点状欠陥用フィルタ320−2が適用される第6領域に含まれる画素の画素値の総和との差分を算出する(強調処理)。
検出部143(図1を参照)が生成した2次元画像に、点状方向欠陥が撮像されていない場合には、点状欠陥用フィルタ320−1が適用される第5領域に含まれる画素の画素値の総和と、点状欠陥用フィルタ320−2が適用される第6領域に含まれる画素の画素値の総和との差分は、所定閾値未満となる。一方、検出部143が生成した2次元画像に、点状欠陥が撮像されている場合には、点状欠陥用フィルタ320−1が適用される第5領域に含まれる画素の画素値の総和と、点状欠陥用フィルタ320−2が適用される第6領域に含まれる画素の画素値の総和との差分は、当該所定閾値以上となる。
検出部143は、点状欠陥用フィルタ320−1及び320−2を一体としたフィルタの位置を、検査対象200の走行方向又はこれに直交する方向に1画素ずつずらす毎に、差分を算出する処理(コントラストを強調する処理)を繰り返す。
図11には、縞状パターンが撮像された2次元画像においてコントラストが強調された点状欠陥の画像の例が示されている。図11では、コントラストが強調された点状欠陥の画像は、破線で囲まれた部分に示されている。
以上のように、欠陥検査装置100(図1を参照)は、発光する光源部122と、検査対象200(例えば、アクリル板、樹脂シート、又は、フィルム)の走行方向に対して直交する方向に配置され、光源部122からの光の一部を、前記直交する方向に亘り遮光する直交方向遮光部123と、直交方向遮光部123に遮光されていない光による縞状パターン(例えば、図6、図8及び図10を参照)を、前記直交する方向に亘り検査対象200に照射するスリット部124と、直交方向遮光部123とスリット部124との境界の近傍から照射されて検査対象200を透過した前記縞状パターンを撮像する撮像部131と、撮像された前記縞状パターンのコントラストに基づいて、前記検査対象に生じた欠陥を検出する検出部143と、を備える。
また、欠陥検査方法は、欠陥検査装置における欠陥検査方法であって、光源部122が、発光するステップと、検査対象200(例えば、アクリル板、樹脂シート、又は、フィルム)の走行方向に対して直交する方向に配置された直交方向遮光部123が、光源部122からの光の一部を、前記直交する方向に亘り遮光するステップと、スリット部124が、直交方向遮光部123に遮光されていない光による縞状パターン(例えば、図6、図8及び図10を参照)を、前記直交する方向に亘り検査対象200に照射するステップと、撮像部131が、直交方向遮光部123とスリット部124との境界の近傍から照射されて検査対象200を透過した前記縞状パターンを撮像するステップと、検出部143が、撮像された前記縞状パターンのコントラストに基づいて、検査対象200に生じた欠陥を検出するステップと、を有する。
また、照明部121(図1を参照)は、発光する光源部122と、検査対象200(例えば、アクリル板、樹脂シート、又は、フィルム)の走行方向に対して直交する方向に配置され、光源部122からの光の一部を、前記直交する方向に亘り遮光する直交方向遮光部123と、直交方向遮光部123に遮光されていない光による縞状パターン(例えば、図6、図8及び図10を参照)を、前記直交する方向に亘り検査対象200に照射するスリット部124と、を備える。
この構成により、撮像部131は、直交方向遮光部123とスリット部124との境界の近傍から照射されて検査対象200を透過した前記縞状パターンを撮像する。
スリット部124により、前記検査対象の走行方向に対して直交する方向に応じて光量が変化している(光の強弱がある)ので(図4に示すグラフを参照)、前記検査対象に生じた走行方向欠陥には、前記検査対象の走行方向に対して直交する方向からも光が当たり、その光が屈折する。したがって、前記検査対象に生じた走行方向欠陥は、撮像された画像においてコントラストが強調される(例えば、図7を参照)。
また、直交方向遮光部123と、スリット部124の隙間とにより、前記検査対象の走行方向に応じて光量が変化している(光の強弱がある)ので(図3に示すグラフを参照)、前記検査対象に生じた直交方向欠陥には、前記検査対象の走行方向からも光が当たり、その光が屈折する。したがって、前記検査対象に生じた直交方向欠陥は、撮像された画像においてコントラストが強調される(例えば、図9を参照)。
これにより、欠陥検査装置、欠陥検査方法、及び照明装置は、検査対象に照射される縞状パターンを生成するスリット部を移動又は回転させることなく、検査対象に生じた欠陥を検出することができる。すなわち、欠陥検査装置、欠陥検査方法、及び照明装置は、検査対象に生じた欠陥を、一つの照明装置(光学系)のみで検出することができる。
また、撮像部131は、検査対象200に合焦させて、前記縞状パターンを撮像してもよい。
スリット部124により、前記検査対象の走行方向に対して直交する方向に応じて光量が変化している(光の強弱がある)ので(図4に示すグラフを参照)、前記検査対象に生じた点状欠陥には、前記検査対象の走行方向に対して直交する方向からも光が当たり、その光が屈折する。したがって、前記検査対象に生じた点状欠陥は、検査対象200に合焦させて撮像された画像において、コントラストが強調される(例えば、図11を参照)。
また、直交方向遮光部123と、スリット部124の隙間とにより、前記検査対象の走行方向に応じて光量が変化している(光の強弱がある)ので(図3を参照)、前記検査対象に生じた点状欠陥には、前記検査対象の走行方向からも光が当たり、その光が屈折する。したがって、前記検査対象に生じた点状欠陥は、検査対象200に合焦させて撮像された画像において、コントラストが強調される(例えば、図11を参照)。
これにより、欠陥検査装置、欠陥検査方法、及び照明装置は、検査対象に照射される縞状パターンを生成するスリット部を移動又は回転させることなく、検査対象に生じた点状欠陥も検出することができる。
また、検出部143は、前記縞状パターンが撮像された画像において隣り合う領域(例えば、図6、図8及び図10を参照)同士の明度のコントラストに基づいて、前記検査対象に生じた欠陥を検出する。つまり、前記検査対象に生じた各種の欠陥は、撮像された画像において明度のコントラストが強調される。
これにより、欠陥検査装置、欠陥検査方法、及び照明装置は、検査対象に照射される縞状パターンを生成するスリット部を移動又は回転させることなく、明度のコントラストに基づいて、検査対象に生じた各種の欠陥を検出することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
なお、上記に説明した欠陥検査装置を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。