JP6083047B2 - プラズマ発生装置及び発光分光分析装置 - Google Patents

プラズマ発生装置及び発光分光分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ発生装置及び発光分光分析装置に関する。さらに詳しくは、溶液中に含まれている元素からの発光スペクトルにより、当該元素の同定と定量とを行うためのプラズマ発生装置及び発光分光分析装置に関する。
近年、半導体プロセスを応用して、ウエハ上に小さな流路や反応容器、分析機器などを作りこみ、1つのチップの上で血液検査などに必要な一通りの化学実験を完遂させようという微小流体デバイス、「μTAS」や「Lab on a chip」と呼ばれる研究分野が急速に発展している。この分野では、高感度の元素分析のために、微小なプラズマを発生させ、そこに霧状の溶液を導入し、元素分析を行う方法が開発されている。
微小なプラズマとしては、直流プラズマ、容量結合式プラズマ、誘導結合式プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)などを微小化させたものが知られており、例えば、発光分光分析を行うためのマイクロ化学分析システム(例えば、特許文献1参照)などが提案されている。
しかし、これらのプラズマ発生方法は、ある程度のガス流量が必要であるため大きなボンベを必要としたり、プラズマの発生に大きな電力を必要としたりするという欠点がある。さらに、従来の方法では、検体をプラズマに導入する際にはこの検体を霧状に噴霧するための噴霧器が必要となるが、噴霧器を用いた発光分析装置を小型化することは困難であり、性能のよいものが得られていなかった。
他のプラズマを発生させる方法として、溶液に電極を挿入し、溶液に直接電流を流すことにより、プラズマを発生させる方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
この方法の利点は、溶液中でプラズマが発生し、溶液の蒸発が検体のガス化の働きを担うことから、噴霧器を必要としないことである。しかし、従来の方法では、必ず固体電極がプラズマと接触することから、固体電極に含まれている不純物が蒸発し、その不純物の混入を回避することが困難であるという欠点がある。
これらの従来技術の問題点を克服するため、絶縁性材料で形成された流路に、この流路の断面積よりも著しく小さい断面積を有する狭小部を設け、この流路および狭小部に導電性液体を満たした後、狭小部に電界が通過するようにこの狭小部に電界を印加し、狭小部でプラズマを発生させる液体電極プラズマ(LEP:Liquid Electrode Plasma)型発光分光分析装置(以下、単に、LEP発光分析装置、LEP装置又はLEPと呼ぶ。)が既に提案されている(例えば、特許文献2)。このLEPは、導電性液体中に含まれている元素の発光分析を行う際に、不純物の混入量を少なくしつつ、簡易にプラズマを発生させることができるという利点を有する。また、このLEPは、ICP発光分析と同等の性能を持ちながら、装置の小型化、消費ガスや消費電力の劇的減少、及び装置コストの低減を実現するものである。
しかし、この既に提案した従来のLEPは、電極間に高電圧が印加されると電極間に配置された狭小部にてプラズマを発生するが、鉛(Pb)、タリウム(Tl)、カドミウム(cd)などの一部の元素においては十分な光量が得られず、測定感度が低いという課題が残されていた。つまり、既提案の技術のままでは、十分に定量的に測定を行うことのできない元素も存在していた。
特開2002−257785号公報 特許第3932368号公報
安住和久、瀬尾眞浩、水野忠彦 著,「各種金属電極からの電解発光スペクトルの解析」,Electrochemistry,Vol.67.No.4,p.349−354,1999
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、従来の技術が有する欠点を排除したプラズマ発生装置及び発光分光分析装置を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、プラズマ発生時間が長いプラズマ発生装置及び測定感度が非常に高い発光分光分析装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来のLEP発光分析装置に比べ、検出可能な元素を拡大し、微量な元素でも検出・分析が可能な発光分光分析装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した末、一部の元素においては、短い時間で強制的に電圧を遮断しプラズマの発生時間を短くすると、感度が特に悪くなることに気がついた。さらに、本発明者らは、この感度低下の原因を究明するとともに感度低下を解消する方法についても見出した。これらについて以下に詳述する。
(界面濃縮効果について)
プラズマ発生に伴い、気体と液体との界面では、液体中の物質がプラズマ中に入る(以下、「気化」と呼ぶ。)一方、気化しにくいものは液体中に取り残される。取り残されたものは、気化し易いもの(例えば、水等)の蒸発に伴い、界面の液体側に溜まっていき、すなわち濃縮される。これを「界面濃縮効果」と呼ぶ。界面での濃縮により、その元素がプラズマ中に入る確率が増え、すなわち気化する量も増え、やがてプラズマ中に入ってくる。これにより、感度が改善することが見込まれる。
(特定の元素における測定感度が低下する原因の検討)
ところが、プラズマの発生時間が短いと一般に界面濃縮効果が低い。これが一部の元素においてプラズマの発生時間が短いと特に測定感度が低い原因の一つであると考えられる。界面濃縮効果を引き出すには、プラズマ発生時間を長くすることが有効である。しかしながら、長時間電圧を印加してもプラズマ発生時間が短くなってしまう傾向があった。この傾向の要因は、気泡及びプラズマの発生により、気泡及びプラズマの圧力が上昇し、それにより電界をプラズマに印加する役割をもつ界面が、狭小部より外側へ押しやられ、プラズマを維持する条件が満たされなくなることによるものと推察される。
(上記課題の解決に向けた手法・手段の検討)
従って、プラズマの発生時間を長くするためには、プラズマに電界を印加する役割をもつ界面の移動を遅くすることが有効である。なお、直流電圧を印加するプラズマでは、正極側の発光現象と負極側の発光現象とに差があることがよく知られている。そこで、本発明者らは、より強く発光する側の界面の移動を特に遅くすれば、測定対象の元素がより長く測定部に留まり、測定感度が良くなることを期待した。具体的には、界面の移動を遅くするには、流路抵抗を高くしたり、液体の慣性力を大きくしたりすることが有効であると本発明者らは考えた。ここでは、これら2つのパラメータを含めた液体の移動のし易さを「移動抵抗」と呼ぶ。
また、本発明者らは、圧力を積極的に逃がすことも特定の界面の移動抑制に有効であると考え、この為には、発光やプラズマの維持への寄与の少ない界面(つまり、上記特定の界面とは異なる別の界面)を積極的に移動させることが有効であると考えた。
上記の考えを具体的に実現するにあたって、本発明者らは、圧力を積極的に逃がすため、第3・第4の流路を狭小部に接続し、その移動抵抗を小さくし、同時に電圧を印加する役割をもった流路の移動抵抗を大きくすることによって、狭小部内でのプラズマ発生時間を長くさせることができることにも想到し、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者らは、狭小部内で流路断面積が最も狭い最狭小流路両端に形成された拡大流路における流体の移動抵抗に差が現れるようにすることも有効であり、例えば、最狭小流路両端の拡大流路を従来の対称な構造から非対称な構造に形成すれば、一方の電極側への界面の移動速度が他方の電極側へのそれと比べて遅くさせ得ることや界面濃縮が起こる時間や領域を増加させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、次の構成・特徴を採用するものである。
(態様1)
導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
前記運搬流路に接続されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための手段と、
を備え、かつ、
前記狭小部の一部分では、他の部分に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きく、
前記手段は電極を含み、かつ、該電極の一部が前記導電性液体に触れることを特徴とするプラズマ発生装置。
(態様2)
前記狭小部には、流路断面積が最も小さい喉部と、該喉部の両側に前記運搬流路に接続する拡大流路とが形成され、
一側の前記拡大流路では、他側の前記拡大流路に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きいことを特徴とする態様1記載のプラズマ発生装置。
(態様3)
前記拡大流路が前記喉部を基点として非対称に構成されていることを特徴とする態様2記載のプラズマ発生装置。
(態様4)
前記喉部は前記狭小部の一端よりも他端近くに配設され、
前記拡大流路は前記喉部から前記運搬流路に向かって次第に拡大する流路断面積を有し、
前記一端側に配設された前記拡大流路の最大流路断面積は前記他端側に配設された前記拡大流路の最大流路断面積よりも大きく、
前記一端側に配設された前記拡大流路では、前記他端側に配設された前記拡大流路に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きいことを特徴とする態様3記載のプラズマ発生装置。
(態様5)
前記一端側に配設された前記拡大流路の前記最大流路断面積は前記喉部での前記流路断面積の1.1〜100倍であり、前記他端側に配設された前記拡大流路の前記最大流路断面積は前記喉部の断面積の1.1〜50倍であることを特徴とする態様4記載のプラズマ発生装置。
(態様6)
前記狭小部に、前記導電性液体の圧力を局所的に増加又は減少させる圧力調整機構がさらに配設されていることを特徴とする態様1〜5のいずれか1項記載のプラズマ発生装置。
(態様7)
導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
前記運搬流路に接続されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための手段と、
を備え、かつ、
前記狭小部には出口流路がさらに配設され、
前記導電性液体を、前記運搬流路から前記狭小部に流入しかつ前記狭小部を経由して前記出口流路から流出するように案内し、
前記出口流路の断面積が前記狭小部の前記断面積よりも大きくするか、或いは前記出口流路に前記導電性液体の圧力を局所的に増加又は減少させる圧力調整機構がさらに配設されることで、前記狭小部の少なくとも一部分において、前記出口流路に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きくなることを特徴とするプラズマ発生装置。
(態様8)
前記狭小部に電界を印加するための前記手段は、電極が挿入された溶液リザーバと、該溶液リザーバに前記導電性液体を供給する供給管と、を備え、かつ、
前記供給管の長さが前記運搬流路の長さの10倍以上であるか、又は、前記供給管の断面積が、前記運搬流路の断面積の10分の1以下であることを特徴とする態様1〜7のいずれか1項記載のプラズマ発生装置。
(態様9)
前記狭小部に電界を印加するために交流電圧が用いられることを特徴とする態様1〜8のいずれか1項記載のプラズマ発生装置。
(態様10)
導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
前記運搬流路中に配置されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための手段と、
を備え、かつ、
前記手段にはマイナス電極とプラス電極とを含み、
前記狭小部には、流路断面積が最も小さい喉部と、前記喉部の一方の開口部に接続されかつ流路長さが互いに異なる拡大流路とが形成され、
前記流路長さが大きい前記拡大流路は、前記プラズマを発生させる元素の種類に応じて、前記マイナス電極又は前記プラス電極のいずれかの側に配置されるよう構成したことを特徴とするプラズマ発生装置。
(態様11)
導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
前記運搬流路に接続されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための電極と、
を備え、かつ、
前記狭小部には出口流路がさらに配設され、
前記導電性液体を、前記運搬流路から前記狭小部に流入しかつ前記狭小部を経由して前記出口流路から流出するように案内し、
前記狭小部への前記導電性液体の供給速度と、前記狭小部での前記導電性液体の蒸発速度とが釣り合うように前記電界が印加されていることを特徴とするプラズマ発生装置。
(態様12)
態様1〜11のいずれか1項記載のプラズマ発生装置を備えた発光分光分析装置。
ここで、狭小部とは、運搬流路中に設けられかつ該運搬流路より流路断面積が著しく小さい流路のことを指す。狭小部は、流路断面積が最も小さい喉部と、この喉部両側に設けられかつ喉部と運搬流路とを接続する拡大流路を備えることが好ましい。拡大流路の断面積は喉部から運搬流路に向かって徐々に拡大していく末広がりの流路がさらに好ましい。本発明のある態様においては、拡大流路が喉部を基点として非対称な流路構造となることが好ましい。さらに、喉部の断面積を1とすると、一方の拡大流路の端部断面積は約1.1〜100倍とし、他方の拡大流路の端部断面積は約1.1〜50倍とするような非対称の狭小部を構成することが好ましい。
ここで、上述した導電性液体の移動抵抗の用語・意味について説明する。図21に示すように、ある流路(流路面積S、流路長さL、cは流路コンダクタンス、cは定数)に液体が満たされ、所定の圧力(一端と他端との圧力差をΔP)が掛けられた時の流路内の液体(質量m、密度ρ)の移動のしやすさは、流路の形状で定まる流体抵抗、速度vと時間tとで表現される加速度、液体の慣性、等のパラメータにより決定される(図21中の数式(1)〜(5)を参照)。このように、本明細書では、液体の移動のしやすさを移動抵抗と表現する。例えば、流路が非対称であれば、この流路内の液体の移動抵抗にも差が生じると考えられる。
絶縁性材料として、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン、フッ素樹脂、セラミックスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、流路(運搬流路や狭小部内の流路)は、例えば、絶縁性材料からなる板状のチップやプレート上に、リソグラフィ技術を用いて形成させることができる。
また、狭小部として、例えば、運搬流路に着脱可能に配設しうる形状を有する成形体(大量生産が可能な射出成形法などにより作製可能)を用意しても良く、使用後に新しいもの(新品の狭小部)と適宜交換になり、カートリッジ的に使用することができる。
流路および狭小部に満たされる導電性液体として、分析対象の液体試料が用いられる。導電性液体に用いられる電解質としては、例えば、硝酸、酢酸、塩酸などが挙げられるが、これらのなかでは、分析に障害を発生させがたい特徴を有する硝酸が好ましい。試料は、種々の材料が測定可能であるが、硝酸など分析に支障を生じない元素からなる電解質で導電性を付与できるものが好ましい。
次に、狭小部に電界が通過するように、例えば、狭小部に沿って電界を印加するなどの方法により、狭小部に電界を印加する。これにより、狭小部で気泡が生じ、この気泡中にプラズマを発生させることができる。
本発明のプラズマ発生装置を備えた発光分光分析装置では、特許文献2で提案された従来装置に比して4〜10倍程度の発光強度が得られるため、非常に感度が高い元素分析が可能となる。例えば、狭小部として所定寸法の非対称流路を用い、導電性液体として鉛(Pb)が100ppm混入した0.1Mの硝酸水溶液を用いて元素分析を実施したところ、発光波長406nmにて同一条件の従来装置に比して約10倍の発光強度(従来装置では約800(任意単位)に対し、本発明の装置では約8000(任意単位))を示した。
本発明のプラズマ発生装置の主要部を説明した図である。(実施例1) 狭小部の好適な構成を説明した図である。(実施例1) 本発明の発光分光分析装置の構成を説明した図である。(実施例2) 実施例2の装置を用いて測定した発光強度を示した図である。 実施例2の装置を用いて測定した発光強度を示した図である。 実施例2の装置を用いて測定した発光強度を示した図である。 実施例2の装置を用いて測定した発光強度を示した図である。 元素と発光強度との関係を示した図である。 従来装置(ICP装置)におけるプラズマへの元素の導入過程を示した図である。 LEP装置におけるプラズマへの元素の導入過程を示した図である。 界面濃度の経時変化と、元素導入速度の経時変化と、を示した図である。 非対称流路B、対称流路A、及び非対称流路Cを使用した場合の発光強度と検量線を示す。 別例のプラズマ発生装置を説明した図である。(実施例3) 別例のプラズマ発生装置を説明した図である。(実施例4) 別例のプラズマ発生装置を説明した図である。(実施例5) 実施例6の流路パターンを示した図である。 実施例6における発光分光分析装置の構成を説明した図である。 実施例6でのプラズマ及び気泡の挙動を示した図である。 実施例6の装置を用いて測定した発光強度を示した図である。 積算パルス数と界面濃縮率との関係及び積算パルス数とプラズマへの元素導入率との関係を示したシミュレーション結果である。 ある流路内のある液体の移動抵抗について説明した図である。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づき説明するが、本発明は、下記の具体的な実施形態に何等限定されるものではない。
(プラズマ発生装置の基本構成)
本発明のプラズマ発生装置の一例(実施例1)を図1に示す。実施例1のプラズマ発生装置1は、図1に示すように、2つの溶液リザーバ102を備えている。各溶液リザーバ102,102には開口部が設けられており、この開口部から電極104(具体的には、104a,104b)が溶液リザーバ102,102内に挿入されている。2つの溶液リザーバ102,102は、狭小部103に隔てられた運搬流路101,101を介して互いに接続されている。なお、狭小部103はプラズマ発生装置1に着脱可能に配設されることが好ましい。
また、運搬流路101,101、狭小部103、溶液リザーバ102,102の壁面は絶縁性材料で形成されている。運搬流路101,101と狭小部103は、2つの溶液リザーバ102,102が導電性液体105(以下、単に液体、溶液とも呼ぶ。)で満たされることで導電性液体105を閉じ込めるとともに、電極104a,104bに電圧を印加することで狭小部103付近にて電界を生成する。この際に、両側を運搬流路101,101に接続された狭小部103は他の部分(運搬流路101,101や溶液リザーバ102,102)の流路断面積より小さな流路断面積を有するため、この狭小部103(特に、喉部108)では、電流と電界の集中が起こり、他の部分101,102よりも温度が高くなり、沸騰やプラズマ106の発生が起こり易くなる。
導電性液体105は、測定対象となる元素を含み、かつ導電性を有している必要がある。導電性液体105に導電性を付与するために、通常、電解質(支持塩)が用いられる。電解質のなかでは、硝酸は、その構成元素が大気中に含まれているものと水に含まれているものであるとともに、金属を良く溶かす性質を有するので適当である。なお、導電性液体105の液温は、特に限定されないが、通常、15〜40℃、好ましくは20〜25℃程度であることが望ましい。
電極104に用いられる材料としては、電流を流すことによって腐食が生じにくい白金などの貴金属やカーボンなどが好適である。この一対の電極104a、104b間に電圧を印加することにより、狭小部103では電流と電界の集中が生じることから、気泡が生じ、生じた気泡中にプラズマ106が発生する。このプラズマ106からの光を分光することにより、導電性液体105の元素分析を容易に行うことができる。
(狭小部内の非対称流路構造)
上述したプラズマ発生装置1の基本的な構成や原理は、本発明者が既に提案した特許文献2に開示したところであるが、既提案とは異なる本発明(実施例1)の特徴の一つは、運搬流路101,101に接続された狭小部103の内部構造が非対称に形成されている点である。これに対して、特許文献2に開示の技術では、狭小部103の流路全長のほぼ中間に流路断面積が最も狭い喉部108が配置され、この喉部108を中心に対称な拡大流路107,107が形成されていた。言い換えれば、喉部108両端で同一であった流路断面積がどちらの電極104,104側にもほぼ同様割合で拡大する流路が形成されていた。
これに対し、本発明の実施例1では狭小部103内に喉部108に形成されるものの、この喉部108は狭小部103の一端109aよりも他端109b近くに偏って配置され、喉部108両側では流路容積や流路断面積(及びその拡大率)が異なる非対称な拡大流路107a,107bが形成されている。これにより、一方の拡大流路107a内に閉じ込められている導電性液体105の質量は、他方の拡大流路107b内に閉じ込められている導電性液体105の質量よりも大きくなる。また、喉部108を基点に発生した蒸発(ひいてはプラズマ106)領域は両方向に伝播・進展していくことになるが、質量の大きな導電性液体105を閉じ込めている拡大流路107a内では導電性液体105の移動抵抗が大きくなる。従って、拡大流路107aにおける導電性液体105のプラズマ発生時間が他の拡大流路107bでのそれに比して長くなる。これにより、一方の拡大流路107aにおける界面濃縮効果が高まり、そこに存在する分析対象元素の気化量も増大するため、その元素の測定感度も向上させることができる。
以上の説明から、実施例1の狭小部103内の非対称構造は、喉部108両側において界面濃縮効果に差を生みだすための一手段といえる。図2は狭小部103内の好適な構成を例示する。図2(A)は、水平方向(図1では紙面に対して垂直方向)において破断した狭小部103の断面図であり、図2(B)は垂直方向(図1では紙面に平行な方向)において破断した狭小部103の断面図である。
図2に示す例では、狭小部103は1800μmの長さLを有し、水平方向に一定の220μmの幅Wを有する。しかしながら、垂直方向の幅(つまり流路高さ)は長さ方向に変化しており、一端109aでは400μm(流路高さH)であり、他端109bでは100μm(流路高さH)である。喉部108の設置位置は、従来技術のように狭小部103の中央(いずれかの端から900μm)ではなく、いずれかの端の方に偏った位置(図2の例では、一端109aから1500μm(距離L)、他端109bから300μm(距離L)だけ離れた位置)となっていることに留意されたい。
ここで、狭小部103は喉部108両側の拡大流路107a,107bで非対称的に流路断面積が変化していることになる。非対称性の度合として、喉部108での流路断面積に対して、端109bでの流路断面積を1.1〜50倍程度に設定し、かつ、端109aでの流路断面積を1.1倍〜100倍程度に設定することが好ましい。
本発明のプラズマの発生装置1が用いられた発光分光分析装置2の一例(実施例2)を図3に示す。図3に示された装置2は、フォトセンサを用いてプラズマ発光を検出し、電力供給を制御する発光分光分析装置である。
石英ガラス201上には、ポリジメチルシロキサン(以下、PDMSという)などの絶縁性材料で作製され、狭小部103がパターニングされているシート状のチップ202が載置されている。チップ202は、フォトリソグラフィーにより、レジスト材の流路パターンを型取りすることによって製造されている。チップ202は、石英ガラス201上に置くことにより、自然に密着し、微小流路を形成する。チップ202には、運搬流路101の端にあたる部分にパンチなどの窄孔用機器を用いて孔を開けることにより、溶液リザーバ102が形成されている。
導電性液体105として、例えば、生理的条件のリン酸バッファーを1/20(容量比)に薄めたものが挙げられる。電極104,104として、例えば直径が0.5mmの白金線が挙げられる。狭小部103に電界が通過して該狭小部103に電界を印加するために、電源301と接続された電極104,104が溶液リザーバ102,102に挿入される。なお、ワイヤ状の電極104,104は、一般に、導電性液体105を供給する管(図示せず)内を通して溶液リザーバ102,102に挿入される。
電極104,104へ、例えば、300〜1500Vの電圧を印加すると、狭小部103にプラズマ106が発生する。プラズマ106からの光を光ファイバー204に導入し、分光器304(例えば、オーシャンオプティクス社製:USB2000)でスペクトルを測定し、測定したデータをコンピュータ305で収集・解析等することにより、発光分光分析を行うことができる。
プラズマ106により発生する光は、チップ202の下部に配設されたフォトセンサユニット302に内蔵されているフォトセンサ(図示せず)で捉えられる。フォトセンサユニット302は、フォトセンサで捉えられた発光強度に基づいて、スイッチ303による電界の接続および切断を制御し、プラズマ106の発生から指定時間の後に電界の印加を止めることにより、発光強度、発光時間および発光回数を制御することができる。
(第1評価試験 狭小部流路構造と発光強度との関係)
上述のような構成の発光分光分析装置2を用いて導電性液体105中に含まれる金属元素の発光強度を測定した(以下、第1評価試験と呼ぶ)。測定対象として、喉部108を基点として非対称な拡大流路107a,107bを備えた本発明の狭小部103と、喉部108を基点として対称な流路を備えた従来の狭小部(比較例)とを用意し、これらの測定結果を対比した。狭小部103や溶液リザーバ102の周囲を取り囲むチップ202の材料には石英を用いた。また、プラス側電極104b及びマイナス側電極104aとして直径0.5mmの白金線を用い、これらの電極104a,104b間に700V〜950V程度の電圧を間欠的に印加した(具体的には、電圧オン時間3ms(ミリ秒)、電圧オフ時間2msを1周期として10回繰り返すパルス状の印加を実施した)。
ここで比較例1として、流路長さ全長(L=1800μm)に亘って一定の流路幅(W=220μm)を有し、流路長さLの中央(つまり両端から900μmの位置)に喉部108が形成され、流路高さがこの喉部108位置でHth=50μm、両端109a,109b位置でH=H=100μmとなる対称な狭小部103を用いた。
これに対して、本発明(実施例1)の狭小部103も同様に流路長さ全長(L=1800μm)に亘って一定の流路幅(W=220μm)を有するものの、流路高さHth=50μmを有した喉部108が流路高さH=400μmを有した一端109aから1500μm離れるとともに流路高さH=100μmを有した他端109bから300μm離れて設置されており、狭小部103は非対称流路を構成する。
導電性液体105には、測定対象となる遷移金属元素(鉛100mg/L(つまり、100ppmのPb)若しくはタリウム10mg/L(つまり、10ppmのTl))又はアルカリ金属元素(カリウム100mg/L(つまり、100ppmのK)若しくはナトリウム5mg/L(つまり、5ppmのNa))を混入した。溶媒として0.1Mの硝酸(HNO)の水溶液を用いた。
図4の各グラフは、印加電圧の値に対応した鉛(Pb,406nm)の発光強度(任意単位)の変化を示す。ここで、図4(A)は狭小部103内の拡大流路107,107が対称な比較例を用いた場合の発光量(任意単位であり、明細書中では発光強度とも呼ぶ。)の変化を示し、図4(B)及び(C)は、狭小部103内の拡大流路107,107が非対称な本実施例2を用いた場合の発光量を示す。
なお、装置1に着脱可能な狭小部103を利用したため、電極104a,104bに対して狭小部103の端部109a,109bの設置位置を変更して評価を行った。図4(B)は、より小さい流路高さHを有した端部109bがマイナス電極側104aに向き、より大きな流路高さHを有した端部109aをプラス電極104b側に向くように狭小部103を設置した構成(以下、「実施例1B」とも呼ぶ。)の測定結果である。これに対し、図4(C)は、より小さい流路高さHを有した端部109bがプラス電極側104bに向き、より大きな流路高さHを有した端部109aをマイナス電極104a側に向くように狭小部103を設置した構成(以下、「実施例1C」とも呼ぶ。)の測定結果である。
なお、後述する図5、6、7の(A)、(B)、(C)については、供した導電性液体105の種類が異なるだけで、狭小部103の流路構成・配置ついては図4の(A)、(B)、(C)の場合と同様であり、各図の(A)、(B)、(C)に示す狭小部103の流路構成・配置の条件は対応している。よって、これらについての再度の説明は省略する。
図5の各グラフは、印加電圧の値に応じたタリウム(Tl,535nm)の発光強度の変化を示す。図4及び図5に示された結果から明らかなように、電圧が増加するに伴い発光強度は上昇している。なお、図4(B)の実施例1Bの場合は、図4(A)の比較例1の場合に比べて印加電圧を高くしても発光強度の増加率はやや低いのに対し、図4(C)の実施例1Cの場合は、図4(A)に比べて発光強度の増加率は著しく高い。また、タリウムTlを使用した図5の場合の実施例1Cと実施例1Bとの場合でも、図4の実施例1Cと実施例1Bとの場合で現われた各傾向と同様の傾向がそれぞれ表れていることがわかる。
上記結果を得た理由として、遷移金属元素が混入した導電性液体105はマイナス電極104a側に蒸発し易いこと、さらに図4(C)や図5(C)に使用した狭小部103は、喉部108からマイナス電極104a側の流路端109aまでの距離Lや流路高さHが長くなっていることが挙げられる。つまり、図4(C)や図5(C)に使用した狭小部103の構成では、導電性液体105の局所的な移動抵抗が増大するため、プラズマ106の発生がより長時間存続しやすく、上記側での界面濃縮効果が高まり、ひいては、上記側付近に存在する上記元素の測定感度が上昇したものと考えられる。
図6に印加電圧の値に応じたカリウム(K,766nm)の発光強度の変化を示す。また、図7に印加電圧の値に応じたナトリウム(Na,589nm)の発光強度の変化を示す。図6及び図7に示すように、どの流路構成でも、印加される電圧が増加するに伴い発光強度は上がっている。実施例1B及び実施例1Cの発光強度の増加は、いずれの場合も、対応する比較例1のそれよりも高い。
なお、図6及び7における実施例1Bの場合では非常に高い発光強度を得たが、測定結果のばらつきも大きかった。図6及び図7で示した測定対象の元素は、後述するように、もともと発光し易い元素であり、非対称流路構造が発光へ与える影響のみを顕著に反映するものではないからであると考えられる。
以上説明したように、本実施例の狭小部103内の非対称構造は、喉部108両側の拡大流路107a,107bにおいて界面濃縮効果に差を生みだすための一手段といえる。
(LEPを使用する際の分析対象の元素について)
本発明者らは、図4及び図5の測定結果と、図6及び図7の測定結果と、が異なる傾向を示したため、測定対象の元素をLEPで測定した場合に元素の発光のし易さの観点から3つのグループに分けて、これらの傾向の違いを考えることとした。
(1)電圧の印加時間が短くてもよく光る元素のグループ(第1グループ)
第1グループに属する元素は、従来のLEP装置を使用しても、従来のICP装置と同等に発光する元素であり、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、銀(Ag)などが挙げられる。
(2)電圧の印加時間を長くしないと光らない元素のグループ(第2グループ)
第2グループに属する元素は、従来のLEP装置を使用して当該元素を発光させると、従来のICP装置の使用時に比べてその発光強度が極端に低くなってしまう元素であり、例えば、鉛(Pb)、Tl(タリウム)、カドミウム(Cd)などの重金属が挙げられる。
(3)電圧を長時間、印加してもほとんど光らない元素のグループ(第3グループ)
第3グループに属する元素は、原子化できていない元素であり、従来のLEP装置にて長時間、電圧を印加しても殆ど光らない元素であり、例えば、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)などが挙げられる。
なお、図8は、各グループを代表する各元素に、従来のLEP装置を使って一定の電圧(700V)を印加したときの発光強度の経時変化を示す。第1グループの一例として2ppmのナトリウム(Na)を使用し、第2グループの一例として40ppmの鉛(Pb)を使用し、第3グループの一例として100ppmのジルコニウム(Zr)を使用した。この図8からも以下の点が観察された。すなわち、ナトリウム(Na)は印加時間が短くてもよく光る。一方、鉛(Pb)は印加時間を長くすれば光る。なお、ジルコニウム(Zr)は印加時間に長短に関係なく、殆ど光らない。
従来のLEP装置が、従来のICP装置と異なり、適用する元素によって以上のような感度の違いが表れた理由として、ICP装置とLEP装置とでは、元素がプラズマに入る過程が決定的に異なっていると本発明者らは考察した。
(ICP装置におけるプラズマへの元素の導入過程)
ICP装置では、図9(A)に示すように、測定元素(図9中の符号M)を含んだ溶液11は、アルゴン等のキャリアガス12とともに噴霧器13によって管14aの上流側に噴霧される。水分15も別の入口16,17より管14b,14cに導入される。なお、管14a,14b,14cは入れ子状を成し、各管14a,14b,14cの下流側で各管内の流れが合流する。管14cの外周に巻き付けられたコイル18によって管14cの下流側にて測定元素Mや水分15が加熱されてから、測定元素Mはプラズマ106中に導入される(つまり、気化される)こととなる。すなわち、図9(B)に示すように、測定元素Mは水滴Wに包含されるが、次第にその周囲の水滴Wが蒸発するため、どの測定元素Mも最終的には必ずプラズマ106中に導入されることとなる。
(LEP装置におけるプラズマへの元素の導入過程)
これに対し、本発明の装置1のようなLEP型の装置では、図10(A)に示すように、狭小部103にプラズマ106を発生させると、プラズマ106は図10(A)中の矢印の方向に移動して、溶液105界面にプラズマ106が衝突する(以下、プラズマ106のスパッタ作用とも呼ぶ)。これによって、測定元素Mがプラズマ106中に入り(つまり気化し)、発光することになる。つまり、プラズマ106に入りにくい第2グループに属する元素Mは、溶液105中に残ったままとなりやすい。そこで、第2グループに属する元素Mを第1グループに属する元素Mと同等に発光させるには界面濃縮効果を利用することが有効ではないかと本発明者らは考えた。
(界面濃縮とプラズマへの元素の導入との関係)
図10(B)は、狭小部103に発生したプラズマ106と、これに接する溶液105の一部とを簡略化したモデルを示す。このモデルは、説明の便宜のため、溶液105には流れが無い(つまり、流速が零である)単純なモデルを仮定する。なお、溶液105中の元素Mの濃度をCと表記する。一方、プラズマ106と溶液105との境界を画す界面付近の溶液105部分(図10(B)中破線で示した領域ABD)の元素の濃度をCと表記する。図10(B)中の符号Vと矢印は、溶媒の蒸発による界面の移動速度とその移動方向を示す。
この界面付近の領域ABDが図10(B)の下段の位置まで移動したと仮定した場合、この領域ABDでの元素Mの濃度の収支バランスは、以下の数式で表すことができる。
Figure 0006083047
なお、数式中のKはプラズマ106への元素Mの導入のしやすさを表すプラズマ導入係数である。界面付近での元素Mの濃度Cの時間変化は、濃度Cの領域ABDの移動速度(VC)から、単位時間あたりに界面からプラズマ106へ導入される元素Mの導入速度(CK)を差し引いたものであることをこの数式は意味する。上記数式のモデルから以下の点が導き出せる。
図11は、界面付近の濃度Cの経時変化及び元素の導入速度CKの経時変化を示す。左側の縦軸は界面付近の濃度Cを示し、右側の縦軸は元素導入速度CKを示す。界面(つまり、界面付近の領域ABD)の濃度Cは、図11中の上側の曲線に示すように、時間が経過すると、ある一定の値(つまり、左軸に示すC(V/K))に近づく。また、プラズマ106への元素Mの導入速度CKも、図11中の下側の曲線に示すように、時間の経過とともに界面濃縮が十分に進めば、プラズマ導入係数Kに依らず、一定の値(つまり、右軸に示すVC)に漸近していくことが分かる。
この図11の結果より、第2グループに属する発光しにくい元素Mであっても、界面濃縮を促進しつつ電圧を長時間印加しやすい流路構成をLEPの狭小部103に採用できれば、LEP形式の装置であっても、実用的なレベルの発光強度にてその元素Mを発光できることが期待できる。
界面濃縮を増強する方法の一つとして、上述したように、非対称な流路構造を狭小部103に採用することが考えられる。より好適には、負極側104aの拡大流路107aを正極側104bの拡大流路107bより長くした構造を採用する。このような流路構造を採用する理由は、電圧を印加すると、一番狭い喉部108で気泡とプラズマ106とが発生する。上述したプラズマ106のスパッタ作用は負極側104aで起こることが本発明者らの経験上分かっている。プラズマ106への元素Mの導入が主に上記スパッタ作用によるものであるならば、負極側104aから元素Mがプラズマ106に導入すると考えられる。この考えが正しければ、負極側104aの拡大流路107aをより長くすることで、界面濃縮をより長い距離でより長い時間、起こすことができる。
(第2評価試験:感度と検出限界の評価)
評価用の狭小部103として、対称流路A、正極104b側の流路が負極104a側の流路より長くした非対称流路Bと、負極104a側の流路が正極104b側の流路より長くした非対称流路Cと、の3つを用意した。そして、狭小部103をプラズマ発生装置1に載置し、測定元素Mの濃度を変化させて、各条件での感度と検出限界との違いを評価した。
(第2評価試験用の試料)
対称流路A、非対称流路B、及び非対称流路Cは、それぞれ、第1評価試験で使用した比較例1、実施例1B、及び実施例1Cで説明した流路構造と同様であり、それぞれ石英製である。図4の場合と同様に、測定元素として鉛(Pb)を用い、溶媒として0.1Mの硝酸(HNO)の水溶液を用いた。また、鉛(Pb)標準液を上記溶媒で希釈して所定の濃度(0mg/L,10mg/L,20mg/L,40mg/L,60mg/L,80mg/L,100mg/L)の試料溶液105を調整した。なお、それぞれの溶液リザーバ102,102には試料溶液105を40Lずつ注入した。
(第2評価試験での測定条件)
電極104a,104b間に間欠的に印加する印加電圧を900Vに設定し、電圧オン時間5msと電圧オフ時間60msとをから構成されるパルス状の電圧を40回繰り返し、与えた。鉛(Pb)の強発光ピーク波長は405.782nmであった。
(第2評価試験の測定結果)
図12の(A)(B)(C)は、それぞれ、非対称流路B、対称流路A、非対称流路Cを使用した場合の測定結果を示す。どの測定結果においても、濃度が増加する程、発光強度が増加する傾向を示す。各測定結果から得られた検量線の傾きと検出限界も比較・検討した。検量線の傾きは、図12の(A)、(B)、(C)の順で、約95(任意単位(a.u.))、約153(a.u.)、約333(a.u.)を示した。また、検出限界は、図12(A)、(B)、(C)の順で、0.88mg/L、0.21mg/L、0.02mg/Lを示した。ここで、図12(B)の検出限界は、図12(A)の値により約4倍改善し、図12(C)の検出限界は、図12(B)の値により約10倍改善したといえる。
(第2評価試験の考察)
このように、正極側104bより負極側104aを長くした非対称流路Cを用いた場合に、感度が最も高く、検出限界が低い傾向が示された。これにより、非対称流路Cでは極めて高い界面濃縮が生じていると考えられる。
なお、第2評価試験では、測定元素Mとして第2グループに属する鉛(Pb)を用いて、非対称流路Cで良好な発光特性を得た。しかしながら、本発明でのLEP型発光現象は、上述のように、測定元素Mの種類に応じて、界面濃縮やプラズマへの導入過程が変化し得る。従って、測定物を別の元素(例えば、上記第1グループに属する元素)に選択した場合は、非対称流路Aの方が良い場合もあることに留意されたい。これは、長めの拡大流路107aを正極104b側に配置した構成の方が、当該流路107a内で界面濃縮ひいては発光特性が促進される場合があるからである。
また、上記実施例では狭小部103内の喉部108両側において界面濃縮効果に差を生みだすための手段として喉部108を基点とした非対称構造を用いたが、本発明はこれに限定されず、以下の実施例も考えられる。
図13に、別例(実施例3)のプラズマ発生装置1の概略図を示す。図13に示すプラズマ発生装置1では、圧力調整機構110がさらに設けられている点と、狭小部103内の喉部108はその流路長さLの中央に形成され、さらにこの喉部108両側に接続された拡大流路107(つまり、107a,107b)が喉部108を基点に対称に形成されている点とを除き、基本的な特徴・構造は、図1に示すプラズマ発生装置1と同様である。
この圧力調整機構110は、例えば、図13に示すように、拡大流路107a,107bの一方(例えば、107b)に接続された調整管111と調整容器112とを少なくとも有する。なお、この調整容器112は、内部に導電性液体105が流入すると容易に変形し、流出すると変形前の状態に戻る可撓性・弾力性を有する材料で構成されていることが好ましい。これによって、調整容器112内部や付近の圧力は、喉部108での導電性液体105の圧力Pより低い圧力Pに設定可能となる。
また、調整容器112が上記のような材料で構成されていなくとも、調整容器112内の一部に圧縮可能な気体(空気)を収容させるようにしてもよい。このようにすれば、プラズマ106発生時に高圧の導電性液体105によって上記気体が圧縮され、調整容器112の内部又は付近の圧力がプラズマ106発生位置での圧力Pより低い圧力Pに設定される。
電圧印加により狭小部103内の喉部108に発生する気泡は、喉部108に接続された通電経路(拡大流路107,107、運搬流路101,101、溶液リザーバ102,102)内の導電性液体105を電極104a,104bの入った溶液リザーバ102,102に向けて溶液界面を均等な圧力Pで押しやりながら蒸発範囲を広げようとする。実施例3では、狭小部103はその喉部108が中央に配置され、その拡大流路107a,107bが上述のように対称であるため、双方いずれの拡大流路107a,107bでも蒸発速度は同様になろうとする。
しかしながら、上述のような圧力調整機構110を一方の電極(図示では104b)側の拡大流路(図示では107b)又は運搬流路101のみに設け、蒸発時に所定の圧力Pに設定されることで、拡大流路107b近傍の導電性液体105(の質量の一部)が圧力調整機構110内に強制的に吸引されることになり、強制吸引された一方の電極104b側の拡大流路107bに残された導電性液体105の移動速度は、喉部108を越えた他方の電極104a側に収容された導電性液体105の移動速度よりも早くなる。従って、喉部108を基点とした両側において、導電性液体105の移動抵抗に差が生じ、一側の電極104a側の導電性液体105でプラズマ106をより長時間発生させることが可能となる。これにより、電極104a側での界面濃縮効果を高めてその付近に存在する測定元素Mの感度を向上させることができる。
なお、測定対象が遷移金属である場合は、マイナス電極側104aにプラズマ106が発生しやすい傾向があるので、圧力調整機構110をプラス電極104b側の通電経路に接続することが好ましい。
図14に、別例(実施例4)のプラズマ発生装置1の概略を説明した図を示す。図14に示すプラズマ発生装置1の狭小部103には、拡大流路107a,107bに加え出口流路120及び出口ポート121が接続されている。また、電極104a,104bが挿入された溶液リザーバ102,102のいずれにも供給管130(詳しくは130a,130b)が接続されている。供給管130には導電性液体105を供給する供給ポート131が接続されている。なお、図14に示す例では、1つの供給ポート131から両方の供給管130a,130bが分岐していくように接続されているが、必ずしもこれに限定されず、供給管130a,130bの各々に対して別個の供給ポート131を用意してもよい。
実施例4では、プラズマ106が発生する喉部108は、電極104a,104bが挿入された溶液リザーバ102,102から導電性液体105が流入する2つの拡大流路107a,107bと、この導電性液体105が出口ポート121に向かって流出する出口流路120と、に接続されている(この出口ポート121が付加された流路を、以下、T型流路とも呼ぶ)。
狭小部103の喉部108付近で生じた気泡は、狭小部103に接続された2つの拡大流路107a,107bと、出口流路120と、に向かって圧力Pで導電性液体105を押しやりながら広がっていこうとする。しかしながら、出口流路120は図示のように喉部108両側の拡大流路107a,107bより、大きな流路断面積を有しているため、出口流路120での液体105の移動抵抗は小さくなる一方、両電極104a,104b側の拡大流路107a,107bでの液体105の移動抵抗は大きくなるため、これらの拡大流路107a,107b内でのプラズマ106の発生はより長時間となる。
なお、電極104a,104bに電圧を印加した際、この電極104a,104bが挿入された夫々の溶液リザーバ102,102内の導電性液体105から運搬流路101,101及び狭小部103内の導電性液体105へ向けて電気が流れやすいことが望まれる。この状況を実現するために、供給管130は、運搬流路101,101や拡大流路107a,107bに比べ著しく細く又は長くなるように構成することが好ましい。より好ましくは、供給管130は、運搬流路101,101や拡大流路107a,107bに比べ、10分の1以下の流路断面積を有するか、或いは、10倍以上の長さを有するように構成される。つまり、導電性液体105内の電気抵抗は導電経路の長さに比例しかつ流路断面積に反比例するため、電圧が電極104a,104bに印加されたとしても供給管130が形成し得る通電経路は電気抵抗が著しく大きくなり、この供給管130を経由した経路には電気を流さず狭小部103に向かう経路にのみ電気を流すことが可能となる。
また、上述の出口流路120、供給管130等を備えた実施例4(後述の実施例5も同様)においては、電極104a,104bに印加する電圧を交流電圧にしてもよい。電圧を交流にすれば、次のような測定上非常に大きな複数のメリットを享受できることが期待できるからである。
先ず、第1のメリットとして、負極104aと正極104bで異なっている現象(発光、電極上での気泡の発生など)が平均化されたり、一方向の電流による液体105やイオンの流れ、電気化学反応による電極104a,104b上へメッキ・分解・生成反応等の測定上望ましくない現象が打ち消されたりするため、より安定した測定が行える。
また、第2のメリットとして、交流電圧であれば、液体105と電極104a,104bとの間に誘電体(つまり、直流電圧に対しては電気を通さない絶縁体としてふるまう物質)を挟んでも、容量結合的に電圧を印加できる。このため、電極104a,104bを液体105に接触させる必要がなく、装置1の構造を簡単にでき、液漏れを防ぐことができ、また不純物の混入を防ぐことができ、より高純度に元素の測定が可能となる。
図15に、別例(実施例5)のプラズマ発生装置1の概略図を示す。図15に示すプラズマ発生装置1は、出口流路120に圧力調整機構110が設けられている点以外は、上記実施例4と略同様である。なお、実施例5の出口流路120は、上記実施例4の場合のようにその流路断面積を喉部108両側の拡大流路107a,107bよりも大きくする必要は無い。しかしながら、出口流路120には、実施例4で説明したような圧力調整機構110が設けられている。
この圧力調整機構110は、例えば、図15に示すように、出口流路120に接続された調整管111と調整容器112とを少なくとも有する。なお、本実施例の調整容器112も、先の実施例の場合と同様に、高圧の導電性液体105が調整容器内112に流入・流出した場合に変形するか或いは圧縮可能な気体を収容することで、調整容器112の内部又は周辺がプラズマ106発生箇所での圧力Pより低い圧力Pに設定可能となる。
圧力調整機構110は、上述のように設け、蒸発時に所定の圧力Pに設定されることで、出口流路120近傍の導電性液体105(の質量の一部)が圧力調整機構110内に強制的に吸引されることになる。この強制的吸引によって出口流路120内に残された導電性液体105の移動速度を調整(つまり増加)することができ、喉部108にて発生した蒸発が出口ポート121に向かって強制的に進展する一方、両電極104a,104b側の拡大流路107a,107bでは蒸発の進展は鈍り、ひいては、これらの拡大流路107a,107b内のプラズマ106をより長時間発生させることができる。
(第3評価試験:T型流路の作製及び評価)
実施例6では、実施例4に示した実施形態に近いT型流路を実際に作製し、実証試験を行った。図16(A)は、T型流路の流路パターンを示し、図16(B)は、その一部(つまり狭小部付近の流路)を拡大した図を示す。T型流路は、第1層(石英製)201と、この第1層201に積層された第2層(PDMS製)202とから区画されている(図17を参照)。
なお、第1層201はエッチングすることにより作製可能である。電極104a,104bは白金及びクロム(Pt/Cr)を溶液リザーバ102の底面に相当する第1層201の表面部分にスパッタリングすることにより作製可能である。なお、溶液リザーバ102の底面部分に電極104,104を第2層202はSU−8モールディング方法を用いて作製可能である。
以上のように作製された流路の高さ(深さ)は100μmであり、流路の供給ポート131から出口ポート121までに亘って一定である。狭小部103の長さは500μmであり、溶液リザーバ102,102の幅と長さは、それぞれ1.5mmと3mmである。また、溶液リザーバ102,102内に埋め込まれた電極104,104の厚さは0.3μmである。
なお、従来の電極構造(例えば、図3に示したワイヤ状の電極104)では、ワイヤ状の電極104を導電性液体105が流通する図示しない管内に挿入する構成であっために、導電性液体105の圧力が逃げやすかった。これに対して、本実施例では、電極104,104が溶液リザーバ102の底面に埋め込まれており、このリザーバ102,102を導電性液体105が通過する際に障害となりにくい。従って、導電性液体105を所望の圧力に維持したままで狭小部103に流入させることができる。
(第3評価試験のための装置)
上記チップは、図17に示す発光分光分析装置によって発光特性が評価された。ここで、図17中の各符号を説明する。図17に示す装置は、その光学系として、パーソナルコンピュータ401,402、CCD検出器403、スペクトロメータ404、光ファイバー204、高速カメラ415を備える。第1層201と第2層202とを備えたT型チップはステージ405上で固定される。パーソナルコンピュータ401,402と、白金電極407とは、直流電源407に接続される。サンプル溶液105はシリンジ408内に満たされており、ポンプ409によって、フッ素樹脂チューブ410へ押し出され、T型流路を通過する。その後、サンプル溶液105は、フッ素樹脂チューブ411を通過した後、廃液413として回収容器412に収集される。
(第3評価試験のための測定条件)
測定に供した試料は、鉛(Pb)、ナトリウム(Na)、水素(H 波長656nm)、又は水素(H 波長486nm)の元素を用い、0.5mg/Lの濃度に調整された溶液を用いた。溶媒として0.1Mの硝酸(HNO)を用いた。印加電圧は600Vのパルス状電圧とし、パルスのオン時間を0.5ms、オフ時間を9.5msとした。溶液供給用の流量は5μL/minに設定した。なお、各元素の発光強度の測定回数Nを10回とし、その平均値を測定結果として用いた。
(プラズマ及び気泡の観察)
図18(A)〜(D)は、実施例6の狭小部103で観測されたプラズマ106及び気泡の挙動を示したものである。図18(A)及び(B)は、ある条件のパルスのオン時間での状態及びオフ時間での状態を示し、図18(C)及び(D)は、別の条件のパルスでのオン時間での状態及びオフ時間での状態を示す。図18(A)及び(B)では、オン時間からオフ時間に切り替わっても、気液界面(図中、BD)はほとんど移動していないことが観測された(図18(B)中の矢印を参照)。これに対し、図18(C)及び(D)では、オン時間からオフ時間に切り替わると、気液界面BDは、出口流路120の内部まで入りこんでしまっており、その移動量が大きいことが観察された。
これにより、パルス電圧を印加する条件が元素の界面濃縮及び発光特性に影響することが分かった。特に、図18(A)及び(B)に示す好適な状態を作り出すには、狭小部103での水分の蒸発速度と狭小部103への溶液105の供給速度とが釣り合うように、パルス電圧を印加する必要があることが分かった。
(第3評価試験の測定結果)
図19(A)は、実施例6の流路を用いて測定された発光強度を示す。横軸はパルス数を積算した数であり、縦軸は積算した発光強度(任意単位)を示す。図19では、積算パルス数が少ないうちは、積算パルス数の増加に伴って発光強度の増加を観察することができるが、積算パルスが有る程度大きくなると、積算パルス数が増加しても発光強度の増加は見られない。
図19(B)は、図19(A)の各データを図19(A)の水素(H 波長656nm)のデータで除した結果(規格化発光強度とも呼ぶ)を示すグラフである。この図19(B)では、ナトリウム(Na)や鉛(Pb)を用いた場合は、積算パルス数が0〜約50の範囲で規格化発光強度が増加し、50付近でピーク(約1.5倍)を示す。なお、図示の実線は、パルス数が少ない範囲でのナトリウム(Na)や鉛(Pb)の測定結果の傾向を示した線である。積算パルス数が50を超えていくと徐々に減少し、200を超えると規格化発光強度は一定値(約1)となることが観察される。この結果より、実施例6の装置は上記元素について約1.5倍の界面濃縮を実現できたといえる。
さらに高い濃縮効果を得るには、気液界面BDをより長時間存続させることだけでなく、後述するように、界面BDでの振動の発生を極力抑えることが有効であると考えられる。ここで、実施例6の狭小部103は柔らかいPDMSで作られているため、界面BDでの振動が起こり、濃縮率が余り改善されなかったと推察される。
図20(A)は、PDMS製の狭小部103を用い、界面BDでの振動の影響を考慮して計算したシミュレーション結果である。図20(A)中の上側の3本の線は積算パルス数と界面濃縮率(CをCで除した値)との関係を示し、下側の3本の線は積算パルス数とプラズマへの導入率との関係を示す。なお、プラズマ導入係数KをK=0.01、K=0.1、K=0.3の3つの場合を仮定したため、それぞれ3本ずつ線が描かれている。
図20(B)は、石英製の狭小部103を用い、界面振動の影響が無いと仮定して計算したシミュレーション結果である。プラズマ導入係数KをK=0.1とK=0.01の2つの場合を仮定したため、積算パルス数と界面濃縮率との関係を示す線と、積算パルス数とプラズマへの導入率との関係を示す線とが、それぞれ2本ずつ描かれている。
(シミュレーション解析)
次に、上記シミュレーション結果は、次のような数値モデルにより取得した。図17の装置で取得した画像(図18を参照)より、パルス電圧の1周期で気液界面BDは200μm程度振動していることが観測された。従って、気液界面BDから400μm程度の距離にある液体105は、振動により撹拌されると考えられる。実施例6では流路断面積も変化しているが、モデルを単純化するために、界面BDよりおよそ300μmの距離迄にある4nLの液体105に注目にする。
(数値モデル)
この液体105(注目体積と呼ぶ。)は、上記の撹拌により、1周期ごとに濃度がほぼ均一化されると仮定する。次に、1パルスあたりの注目体積への元素Mの出入りを考える。所望量の気泡が狭小部103内に維持できている条件では、液体105の流量と蒸発量とがバランスしているので、1パルスあたりに、入口側から注目体積に入ってくる液量と、注目体積の出口側から溶媒が蒸発する量とは等しい。これは、流量を単位時間当たりの周期数で割ることにより計算でき、片側の1つの注目体積につき約0.04nLと計算できる。入口側の液体105中の測定物の濃度をC、注目体積中の測定物の濃度をC、界面BDでのプラズマ106への元素Mの導入係数をKとする。1パルスでは、注目体積の出口側では0.04nLの溶媒が蒸発し、CとKと0.04nLとを掛け合わせた量の測定物がプラズマ106に導入される。また、入口側では0.04nLの溶媒と、Cと0.04nLとを掛け合わせた量の測定物が注目体積に入ってくる。
以上の仮定に基づき、パルス毎に界面濃縮率の上昇を逐次的に計算できる(図20(A)を参照)。この図20(A)によると、K=0.1又はK=0.01の場合に、約50パルスにて界面濃縮率は初期値の1.5倍になり、図19(B)に示した発光強度の結果とよく対応する。なお、上述の計算では、拡散による移動は、振動による撹拌効果よりもはるかに小さいと考えられるので、無視している。
また、振動による撹拌が無い場合の濃縮率も、シミュレーションにより見積もることができる(図20(B)を参照)。この場合は、振動による拡散は無視できない。拡散係数として水の物性値を用い、1パルス当たりの蒸発速度を考えると、およそ0.005nLを有した界面BD付近の領域を注目体積として、上記のシミュレーションと同様の計算を行うことができる(図20(B)を参照)。
この図20(B)より、K=0.1のときは、約5の積算パルスで、プラズマへの導入率が100%に到達することが見積もられる。一方、K=0.01のときは、約30の積算パルスで、プラズマへの導入率が約90%に到達することが見積もられる。また、界面濃縮率もK=0.1のときは最大で約10倍となり、K=0.01のときは最大で約100倍となることが見積もられる。
以上のように、振動による攪拌がない場合は、攪拌が有る場合に比べて、高いプラズマ導入率が期待でき、特定の元素(例えば、上記グループ2に属する元素)に対する感度が低いという従来のこの種の装置(LEP)の弱点をほぼ払しょくできると期待できる。振動の原因はT型流路の材料(PDMS)の弾性にあると考えられるため、振動による攪拌を無くす為の手段の一つとして、上記材料を石英等の材料に代替することが考えられる。
本発明のプラズマ発生装置及びこれを備えた発光分光分析装置は、微小流体力学やμTAS(micro total analysis systems)、Lab on a chipといわれる分野に好適に使用することができる。本発明によれば、特に必要な機能および構造の一部を1つの板状のチップに集積させることができる。
本発明のプラズマ発生装置及びこれを備えた発光分光分析装置は、必要な検体(例えば、液体試料中の無機成分(金属など))が微量でよく、携帯性、即時性、保守容易、安価などの特徴を有する。本発明の装置は、種々の無機成分(金属元素など)を同時に複数測定可能である。従って、本発明の応用分野は、土壌検査や水質検査、製造工程の品質管理、食品検査(飲料中のミネラル測定)、産業廃棄物(レアメタル、有害物質)の確認、医療用の血液・尿の検査に適用可能である。このような用途や長所から本発明は産業上の利用性が非常に高い。
1 プラズマ発生装置
2 発光分光分析装置
101 運搬流路
102 溶液リザーバ
103 狭小部
104 電極
105 導電性液体
106 プラズマ
107 拡大流路
108 喉部
109 拡大流路の端部
110 圧力調整機構
111 調整管
112 調整容器
120 出口流路
121 出口ポート
130 供給管
131 供給ポート
201 石英ガラス
202 チップ
204 光ファイバー
301 電源
302 フォトセンサユニット
303 スイッチ
304 分光器
305 コンピュータ
BD 気液界面
気液界面付近での元素濃度
液体の元素濃度
M 測定対象の元素
W 水滴

Claims (12)

  1. 導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
    前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
    前記運搬流路に接続されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
    前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための手段と、
    を備え、かつ、
    前記狭小部の一部分では、他の部分に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きく、
    前記手段は電極を含み、かつ、該電極の一部が前記導電性液体に触れることを特徴とするプラズマ発生装置。
  2. 前記狭小部には、流路断面積が最も小さい喉部と、該喉部の両側に前記運搬流路に接続する拡大流路とが形成され、
    一側の前記拡大流路では、他側の前記拡大流路に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きいことを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
  3. 前記拡大流路が前記喉部を基点として非対称に構成されていることを特徴とする請求項2記載のプラズマ発生装置。
  4. 前記喉部は前記狭小部の一端よりも他端近くに配設され、
    前記拡大流路は前記喉部から前記運搬流路に向かって次第に拡大する流路断面積を有し、
    前記一端側に配設された前記拡大流路の最大流路断面積は前記他端側に配設された前記拡大流路の最大流路断面積よりも大きく、
    前記一端側に配設された前記拡大流路では、前記他端側に配設された前記拡大流路に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きいことを特徴とする請求項3記載のプラズマ発生装置。
  5. 前記一端側に配設された前記拡大流路の前記最大流路断面積は前記喉部での前記流路断面積の1.1〜100倍であり、前記他端側に配設された前記拡大流路の前記最大流路断面積は前記喉部の断面積の1.1〜50倍であることを特徴とする請求項4記載のプラズマ発生装置。
  6. 前記狭小部に、前記導電性液体の圧力を局所的に増加又は減少させる圧力調整機構がさらに配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のプラズマ発生装置。
  7. 導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
    前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
    前記運搬流路に接続されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
    前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための手段と、
    を備え、かつ、
    前記狭小部には出口流路がさらに配設され、
    前記導電性液体を、前記運搬流路から前記狭小部に流入しかつ前記狭小部を経由して前記出口流路から流出するように案内し、
    前記出口流路の断面積が前記狭小部の前記断面積よりも大きくするか、或いは前記出口流路に前記導電性液体の圧力を局所的に増加又は減少させる圧力調整機構がさらに配設されることで、前記狭小部の少なくとも一部分において、前記出口流路に比較して前記導電性液体の移動抵抗が大きくなることを特徴とするプラズマ発生装置。
  8. 前記狭小部に電界を印加するための前記手段は、電極が挿入された溶液リザーバと、該溶液リザーバに前記導電性液体を供給する供給管と、を備え、かつ、
    前記供給管の長さが前記運搬流路の長さの10倍以上であるか、又は、前記供給管の断面積が、前記運搬流路の断面積の10分の1以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のプラズマ発生装置。
  9. 前記狭小部に電界を印加するために交流電圧が用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のプラズマ発生装置。
  10. 導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
    前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
    前記運搬流路中に配置されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
    前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための手段と、
    を備え、かつ、
    前記手段にはマイナス電極とプラス電極とを含み、
    前記狭小部には、流路断面積が最も小さい喉部と、前記喉部の一方の開口部に接続されかつ流路長さが互いに異なる拡大流路とが形成され、
    前記流路長さが大きい前記拡大流路は、前記プラズマを発生させる元素の種類に応じて、前記マイナス電極又は前記プラス電極のいずれかの側に配置されるよう構成したことを特徴とするプラズマ発生装置。
  11. 導電性液体中でプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
    前記導電性液体を運搬しかつ絶縁性材料で形成された運搬流路と、
    前記運搬流路に接続されかつ該運搬流路の断面積よりも小さい断面積を有する狭小部と、
    前記狭小部に電界が通過するように該狭小部に電界を印加するための電極と、
    を備え、かつ、
    前記狭小部には出口流路がさらに配設され、
    前記導電性液体を、前記運搬流路から前記狭小部に流入しかつ前記狭小部を経由して前記出口流路から流出するように案内し、
    前記狭小部への前記導電性液体の供給速度と、前記狭小部での前記導電性液体の蒸発速度とが釣り合うように前記電界が印加されていることを特徴とするプラズマ発生装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載のプラズマ発生装置を備えた発光分光分析装置。
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