JP6082943B2 - ピストン対向型ディスクブレーキ - Google Patents

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Description

この発明は、摩擦パッドのガタツキ防止用のパッドスプリングを備えさせたピストン対向型ディスクブレーキ、詳しくは、前記パッドスプリングの取り外し作業を容易にした車両用のピストン対向型ディスクブレーキに関する。
ピストン対向型ディスクブレーキでは、ディスクの両面に摺接させる対の摩擦パッド(以下では単にパッドという)の支持を、キャリパのディスク(ディスクロータ)回入側と回出側に取り付けたパッドピンによって行っている。
2本のパッドピンをキャリパのインナー部とアウター部間に横架し、そのパッドピンをパッドの裏板に設けられたピン孔に挿通して対のパッドをディスク軸方向スライド自在に支持している。ところが、この構造は、前記ピン孔の孔面とパッドピンとの間に遊びがあることからパッドが車の走行中にガタツク。
そこで、板ばね製のパッドスプリングを設け、そのパッドスプリングでパッドを特定の方向に押圧してガタツキを防止することが行われている。
パッドスプリングによるパッドの押圧は、車の走行中にパッドがガタついて生じるラトル音の防止のみを目的とする場合にはパッドを単にディスク内径側に向けて押圧する方法が採られる。
また、制動の初期にパッドがキャリパのトルク受け面に衝突して起こるクロンク音とラトル音を併せて防止することが要求される場合には、パッドをディスク内径側とディスク回出側の2方向に向けて押圧する方法が採られている。
このパッドスプリングを備えさせたピストン対向型ディスクブレーキとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
同文献に開示されたディスクブレーキは、パッドピンを挿通する支持部材とパッドを押圧するばね部材とパッドの3者を一纏めにしておいてキャリパに一括して組み付けられるようにしたものである。
実用新案登録第2503084号公報
大きな制動力が要求されるピストン対向型ディスクブレーキでは、ブレーキサイズの大型化に伴い、パッドスプリングに要求されるセット荷重が増大する傾向にある。サイズの大きくなった質量の大きなパッドに対応するにはセット荷重の大きなパッドスプリングが必要である。
ところが、パッドスプリングをディスク回入側と回出側のパッドピンに係止させて支持する一般的なパッドスプリングの場合、セット荷重を大きくすると、そのパッドスプリングの取り外しが困難になる。
パッドは消耗品であり、摩擦材が摩耗限界に達すると交換される。このとき、ディスク回入側と回出側のパッドピンに係止させて支持するタイプのパッドスプリングを使用したブレーキは、パッドスプリングを取り外す必要がある。セット荷重の大きなパッドスプリングはその取り外しの作業が難しくなる。
なお、前記特許文献に開示された技術は、支持部材とばね部材とパッドの3者を一括して交換すればパッドスプリングはその取り外しが不要になるが、支持部材とばね部材も消耗品として扱うと製品コストが増加して好ましくない。
また、同文献の技術では、支持部材の追加による部品数の増加があるために部品の寸法誤差が積み重なって寸法公差のばらつきが大きくなる。それが原因で、ガタツキ防止の性能の安定性が低下する。
そこでこの発明は、パッドスプリングのセット荷重が大きくなった場合にも部品数の増加を伴わずにそのパッドスプリングの取り外しを容易に行えるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明は、ディスクの回入側と回出側においてキャリパのインナー部とアウター部間にそれぞれパッドピンを横架し、その2本パッドピンをパッドの裏板に設けられたピン孔に挿通して対のパッドをディスク軸方向スライド自在に支持し、さらに、両端に曲げ加工して設けたピン保持部をディスク回入側と回出側のパッドピンにそれぞれ係止させて前記2本のパッドピンで支持するパッドスプリングを設け、そのパッドスプリングで前記パッドを特定の方向に押圧するピストン対向型ディスクブレーキを改善の対象にして前記パッドスプリングに以下の工夫を施した。
即ち、ディスク回入側と回出側のパッドピンに個別に係合させる両端のピン保持部のうち、少なくとも一方のピン保持部の曲げ半径をパッドピンの半径よりも大きくすると共に当該ピン保持部の折り返し部を直線にし、この直線の折り返し部と前記パッドピンの接触部に働く摩擦力Fr・μと、前記接触部に働く前記ばね力の前記直線の折り返し部と平行かつ折り返し部の自由端側を向く分力Ftについて、Fr・μ>Ftの条件を満足させた。
ここに、Fr:前記接触部に働く前記ばね力の前記直線の折り返し部に対する直角向きの分力。
μ:前記接触部の摩擦係数。
なお、前記接触部に働く前記2つの分力FtとFrは下式で求まる。
今、両分力の合力をFs、ディスク回入側と回出側のパッドピンの中心を結ぶ直線と平行な基準線Lに対する合力Fsの傾き角をγ、前記基準線Lに対する前記直線の折り返し部の傾き角をθとしたとき、
Fr=Fs・sin(θ+γ)・・・・(式1)
Ft=Fs・cos(θ+γ)・・・・(式2)
γ=arctan(Fv/Fh)
ここに、Fv:前記ばね力の前記基準線Lに対して直角な方向の成分(以下では垂直成分と言う)。
Fh:前記ばね力の前記基準線Lと平行な方向の成分(以下では水平成分と言う)。
前記ばね力の垂直成分Fvと水平成分Fhは、前記合力Fsの先端をa、前記直線の折り返し部と前記パッドピンの接触部をb、そのb点から前記基準線Lと平行に延びださせた直線と前記a点から前記基準線Lと直交する方向に延びださせた直線の交差部をcとして、直線a-cで表される部分が垂直成分、直線b-cで表される部分が水平成分である。
なお、前記直線の折り返し部に対するパッドピンの接触点が折り返し部の後端側(曲げ部のある側を後部と考える)から先端側に向かって移動するとばねの撓みによって上記式1と式2のθや、Fv、Fhの値が若干変動する。従って、この発明における前記Fr・μ>Ftの関係式はその変動を見込んだものにする。
前記直線の折り返し部の前記基準線Lに対する傾き角θは、40°以上、90°以下がよい。
また、前記直線の折り返し部の長さl1は、パッドピンの直径の25%〜100%程度にするのがよい。ここで言う折り返し部の長さは、直線の折り返し部の実寸ではなく、下記の2つの直線SL1とSL2間の距離とする。
SL1:直線折り返し部がパッドピンに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、その直線の折り返し部に対するパッドピンの接触部を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
SL2:前記直線の折り返し部の先端を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
さらに、Fr・μ>Ftの関係式を満足させるのは、パッドスプリングの片方のピン保持部のみとし、他方のピン保持部については折り返し部の長さを、Fr・μ>Ftの関係式を満足する側の直線の折り返し部よりも長く設定するのがよい。その長さをl2として下記の2つの直線SL3,SL4間の距離で表した場合、パッドピンの直径の100%〜200%程度が適当と思われる。
SL3:折り返し部がパッドに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、当該折り返し部に対するパッドピンの接触部を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
SL4:折り返し部の先端を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
このほか、パッドスプリングによってパッドをディスク内径側とディスク回出側の2方向に向けて押圧するタイプのディスクブレーキにおいては、ディスク回出側のパッドピンによるスプリング保持部について前記Fr・μ>Ftの関係式を満足させるのがよい。
なお、パッドピンはステンレス鋼や構造鋼などからなるものが通常用いられ、また、パッドスプリングはステンレスばね鋼やばね銅材などからなるものが通常用いられる。前記傾き角θの具体値はこれらの材料を使用する場合を想定したものである。パッドピンとパッドスプリングの材料によってはその数値範囲を見直すべき状況が起こりうる。
この発明のピストン対向型ディスクブレーキは、Fr・μ>Ftの関係式を満足する位置のパッドピンを回転させてパッドピンによるパッドスプリングの保持を解除する。
ディスク回入側と回出側のパッドピンは、キャリパのピン孔に貫通させた先端にクリップを装着して抜け止めと回り止めを行っている。このバッドピンは、先端に装着したクリップを外せば工具で掴んで回転させることができる。
パッドピンをパッドスプリングの前記直線の折り返し部上をその直線の折り返し部の先端に向けて転がる方向に回転させると、Fr・μ>Ftの関係式を満足しているためにパッドピンは定位置でスリップを起こさずに回転する。これにより、前記直線の折り返し部に推力が加わり、その推力で直線の折り返し部がせり上がり、片方のピン保持部がパッドピンから外れる。
この作業でのパッドピンの回転は大きな力を要せずに行え、これにより、パッドスプリングの取り外しが容易になる。
前記直線の折り返し部の傾き角θを40°以上、90°以下に設定したものは、パッドピンによるパッドスプリングの保持機能を確保してFr・μ>Ftの関係式を確実に満足させることができる。
また、前記直線の折り返し部の長さl1を、パッドピンの直径の25%〜100%に設定したものは、パッドピンによるパッドスプリングの安定保持の機能が損なわれない。
さらに、他方のピン保持部の折り返し部の長さをFr・μ>Ftの関係式を満足する側の直線の折り返し部よりも長く設定したものは、Fr・μ>Ftの関係式を満足する側のピン保持部がパッドピンから外れても他方のピン保持部のパッドピンに対する係止状態が維持される。
Fr・μ>Ftの関係式を満足する側のピン保持部がパッドピンから外れると、パッドスプリングは急激に弾性復元する。このとき、他方のピン保持部がパッドピンに確実に係止しているとパッドスプリングのキャリパからの衝撃的な外れが防止され、作業の安全性が確保される。
パッドをパッドスプリングでディスク内径側とディスク回出側の2方向に向けて押圧するタイプのディスクブレーキにおいて、ディスク回出側のパッドピンによるスプリング保持部についてFr・μ>Ftの関係式を満足させたものは、パッドスプリングの取り外し作業が複雑にならない。
ディスク回入側のパッドピンによる保持を解いても、ディスク回出側のパッドピン(このピンでディスク回出側に押圧した力の反力を受け止めている)によるスプリング保持がなされているとディスク回出側に向けてのパッド押圧は解除されないが、ディスク回出側のパッドピンによるスプリング保持を解けばディスク回出側に向けてのパッド押圧も同時に解除される。従って、パッドスプリングの取り外し作業はディスク回出側のパッドピンによるスプリング保持を解くだけで済む。
この発明のピストン対向型ディスクブレーキの一例を示す斜視図 図1のII−II線に沿った要部箇所の断面図 図1のピストン対向型ディスクブレーキに採用したパッドスプリングの側面図 この発明を特徴づけるパッドピンによるスプリング保持部の詳細を示す側面図 パッドピンとパッドスプリングの係合解除に関する動作の説明図 この発明のピストン対向型ディスクブレーキに採用するパッドスプリングの他の例を示す側面図
以下、この発明のピストン対向型ディスクブレーキの実施の形態を、添付図面の図1〜図6に基づいて説明する。
図1及び図2に示したピストン対向型ディスクブレーキ1は、キャリパ2と、対向一対のパッド3,3と、そのパッドをディスク軸方向スライド可能に支持する2本のパッドピン4,4と、車軸と一体に回転するディスクD(図2参照)と、パッドピン4,4の先端に係止させるクリップ5と、パッド3,3のガタツキを防止するパッドスプリング6を組み合わせて構成されている。
キャリパ2は、インナー部2aとアウター部2b間に窓孔2cを有し、その窓孔の部分にパッド3,3が組み込まれている。
パッドピン4,4は、キャリパ2のインナー部2aとアウター部2b間に窓孔2cを跨いで横架されている。このパッドピン4,4は、キャリパ2に設けられたピン孔2d(アウターのピン孔は図示せず)に通されてキャリパ2のディスク回入側と回出側にそれぞれ配置されている。
パッド3は、裏板の前面に摩擦材を貼り付けた周知のパッドである。このパッド3の裏板にはピン孔3aが設けられており、そのピン孔3aにパッドピン4,4が通されてパッド3がパッドピン4,4によってディスク軸方向スライド自在に支持されている。
この対のパッド3,3が、キャリパ2のインナー部2aとアウター部2bにそれぞれに組みつけられたピストン(図示せず)によって押圧されてディスクの両面に押し当てられ、これにより制動力が発生する。
クリップ5は、パッドピン4のピン孔2dを貫通した先端の孔に通されてパッドピン4に係止させており、このクリップ5によってパッドピン4のキャリパ2からの抜けが防止され、かつ、ピン孔2d内での回転が阻止されている。
パッドスプリング6は、板ばねを所定の形状に打ち抜き、得られたブランク材の必要個所を曲げ加工して作られている。
例示のパッドスプリング6には、曲げ加工して形成されたピン保持部7、8が両端に設けられ、さらに、各ピン保持部7、8に近接した位置にばね力発生部9,10が設けられている。
また、各ばね力発生部9,10よりも中央寄りの位置に、キャリパのインナー部2aとアウター部2bに当接して自身をディスク軸方向に動き止めするストッパ11が設けられ、さらに、中央部にパッドをディスク内径側に向けて押しつけるパッド押圧部12が設けられている。
ピン保持部7は、図4に示した曲げ半径r1がパッドピン4の半径rよりも大に設定されている。また、このピン保持部の折り返し部7aは、直線をなし、なおかつ、基準線L(図3,図4参照)に対して、角度θの傾きを有するように成形されている。基準線Lは、ディスク回入側と回出側のパッドピン4,4の中心を結ぶ直線と平行な直線である。
そして、この直線の折り返し部7aとパッドピン4の接触部bに働く摩擦力(これは、図4のFrとμの積で求まる)と、接触部bに働くばね力の折り返し部7aと平行かつ折り返し部の自由端側を向く分力Ftについて、Fr・μ>Ftの条件を満足させている。
Frは、接触部bに働くばね力の折り返し部7aに対する直角向きの分力であり、また、μは、接触部bの摩擦係数である。
接触部bに働く分力FrとFtは、記述の(式1)と(式2)によって求まる。これ等の式におけるFs、γ、θ及びγを導き出すFvとFhについては、記述の定義の通りであるので再説明を省いて、図4にそれらの符号を記すにとどめる。
折り返し部7aの傾きθは、記述の数値範囲、すなわち、40°以上、90°以下に設定されている。また、直線の折り返し部7aは、図3に示したその長さl1がパッドピン4の直径の25%〜100%に設定されている。
ここで言う長さl1は、折り返し部7aがパッドピン4に対して最も深く嵌まり込んだ状態において、直線の折り返し部7aに対するパッドピン4の接触部bを通る基準線Lに対して直角な直線SL1と、直線の折り返し部7aの先端を通る基準線Lに対して直角な直線SL2間の距離である。
パッド3をパッドスプリング6によってディスクの内径側に向けてのみ押圧した図1、図2の形態のディスクブレーキの場合、ピン保持部7は、ディスク回入側、ディスク回出側のどちらに配置しても同じ効果を期待できる。
例示のパッドスプリング6は、図3に示した他方のピン保持部8の折り返し部8aの曲げ戻しの角度βが175°、直線SL3,SL4間の距離で表した長さl2がパッドピン4の直径の100%〜200%に設定されている。
SL3は、折り返し部がパッドに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、折り返し部8aに対するパッドピン4の接触部を通る基準線Lに対して直角な直線であり、また、SL4は折り返し部8aの先端を通る基準線Lに対して直角な直線である。
以上の如く設計された図示のピストン対向型ディスクブレーキは、ピン保持部7が係合したパッドピン4を回転させることでキャリパ2に装着されているパッドスプリング6を外すことができる。
パッドピン4に係止させているクリップ5を外し、その後、パッドピン4を図5において時計回りに回転させると、パッドピン4は定位置でスリップを起こさずに回転し、その回転力により直線の折り返し部7aに推力が加わり、その推力で折り返し部7aが次第にせり上がっていってピン保持部7がパッドピン4から外れる。
このとき、パッドスプリング6は衝撃的に弾性復元して跳ね上がっても折り返し部の長さを長くしたピン保持部8はパッドピン4に対する係合状態が保たれ、そのためにパッドスプリング6のキャリパ2からの衝撃的な外れが防止されて作業の安全性が確保される。
図6は、パッド3をパッドスプリング6でディスク内径側とディスク回出側の2方向に向けて押圧するタイプのピストン対向型ディスクブレーキに対するこの発明の適用例である。
このケースでは、ディスク回出側のパッドピン4によるスプリング保持部についてFr・μ>Ftの関係式を満足させている。図中12は、パッド3を径方向内側に向けて押圧する押圧部、13は、パッド3をディスク回出側に向けて押圧する押圧部である。
図6の構造では、パッド3をディスク回出側に押圧した力の反力がディスク回出側のパッドピン4によるスプリング保持部に対して作用する。このため、図6のディスクブレーキは、ディスク回出側のパッドピン4によるスプリングの保持を解くだけでパッドスプリング6を取り外すことができ、上記の関係式をディスク回入側のパッドピン4によるスプリング保持部について満足させたものと比較してパッドスプリングの取り外し作業が簡単になる。
ただし、この構造でディスク回入側のパッドピン4によるスプリング保持部についてFr・μ>Ftの関係式を満足させることも否定されるものではない。ディスク回入側とディスク回出側の双方のパッドピンによるスプリング保持部について共にFr・μ>Ftの関係式を満足させることも許容される。
図4のばね力の垂直成分Fvを100N、水平成分Fhを200N、直線の折り返し部7aの傾き角θを50°、図3に示した直線の折り返し部7aの長さl1をパッドピンの直径の60%に設定した図1〜図3に示す形状のステンレス製のパッドスプリングを試作してステンレス鋼製の直径φ6mmのパッドピンを備えたピストン対向型ディスクブレーキに装着し、ディスク回出側のFr・μ>Ftの関係式を満たしたディスク回出側のパッドピンを回転させる方法でパッドスプリングを外す試験を行なった。
その結果、ばね力が上述したような強い値に設定されたパッドスプリングは、ピン保持部をドライバなどの工具でこじるなどしても簡単には外れないが、試作品はパッドピンを回転させるだけで困難なくパッドスプリングを取り外すことができた。
1 ピストン対向型ディスクブレーキ
2 キャリパ
2a インナー部
2b アウター部
2c 窓孔
2d ピン孔
3 パッド
3a ピン孔
4 パッドピン
5 クリップ
6 パッドスプリング
7,8 ピン保持部
7a 直線の折り返し部
8a 折り返し部
9,10 ばね力発生部
11 ストッパ
12,13 パッド押圧部
D ディスク
L ディスク回入側と回出側のパッドピンの中心を結ぶ直線と平行な基準線
θ 基準線Lに対する直線の折り返し部7aの傾き角
Ft パッドピンの接触部に働くばね力の直線の折り返し部と平行かつ直線の折り返し部の自由端側を向く分力
Fr パッドピンの接触部に働くばね力の直線の折り返し部に対する直角向きの分力
Fs 分力FtとFrの合力
γ 基準線Lに対する合力Fsの傾き角
Fv ばね力の垂直成分
Fh ばね力の水平成分
SL1 直線折り返し部がパッドピンに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、その直線の
折り返し部に対するパッドピンの接触部を通る前記基準線Lに対して直角な直線
SL2 直線の折り返し部の先端を通る基準線Lに対して直角な直線
SL3 Fr・μ>Ftの関係式を満足しないピン保持部の折り返し部がパッドに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、当該折り返し部に対するパッドピンの接触部を通る基準線Lに対して直角な直線
SL4 Fr・μ>Ftの関係式を満足しないピン保持部の折り返し部の先端を通る基準線Lに対して直角な直線
a 合力Fsの先端
b 直線の折り返し部とパッドピンの接触部
c a点から基準線Lと直交する方向に延びださせた直線とb点から基準線Lと平行に延びださせた直線の交差部
r パッドピンの半径
r1 折り返し部の曲げ半径

Claims (6)

  1. ディスクの回入側と回出側においてキャリパのインナー部とアウター部間にそれぞれパッドピンを横架し、その2本のパッドピンをパッドの裏板に設けられたピン孔に挿通して対のパッドをディスク軸方向スライド自在に支持し、さらに、両端に曲げ加工して設けたピン保持部をディスク回入側と回出側のパッドピンにそれぞれ係止させて前記2本のパッドピンで支持するパッドスプリングを設け、そのパッドスプリングで前記パッドを特定の方向に押圧するピストン対向型ディスクブレーキにおいて、
    前記パッドスプリングの両端のディスク回入側と回出側のパッドピンに個別に係合させるピン保持部のうち、少なくとも一方のピン保持部の曲げ半径をパッドピンの半径よりも大きくすると共に当該ピン保持部の折り返し部を直線にし、この直線の折り返し部と前記パッドピンの接触部に働く摩擦力Fr・μと、前記接触部に働く前記ばね力の前記直線の折り返し部と平行かつ直線の折り返し部の自由端側を向く分力Ftについて、Fr・μ>Ftの条件を満足させたことを特徴とするピストン対向型ディスクブレーキ。
    ここに、Fr:前記接触部に働く前記ばね力の前記直線の折り返し部に対する直角向きの分力。
    μ:前記接触部の摩擦係数。
  2. 前記接触部に働く前記2つの分力FtとFrを下式で求めた請求項1に記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
    両分力の合力をFs、ディスク回入側と回出側のパッドピンの中心を結ぶ直線と平行な基準線Lに対する合力Fsの傾き角をγ、前記基準線Lに対する前記直線の折り返し部の傾き角をθとしたとき、
    Fr=Fs・sin(θ+γ)・・・・(式1)
    Ft=Fs・cos(θ+γ)・・・・(式2)
    γ=arctan(Fv/Fh)
    ここに、Fv:前記ばね力の前記基準線Lに対して直角な方向の成分。
    Fh:前記ばね力の前記基準線Lと平行な方向の成分。
  3. 前記直線の折り返し部の前記基準線Lに対する傾き角θを、40°以上、90°以下にした請求項1又は2に記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
  4. 前記直線の折り返し部の下記の2つの直線SL1とSL2間の距離で表される長さl1をパッドピンの直径の25%〜100%に設定した請求項1〜3のいずれかに記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
    SL1:折り返し部がパッドピンに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、直線の折り返し部に対するパッドピンの接触部を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
    SL2:前記直線の折り返し部の先端を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
  5. Fr・μ>Ftの関係式をパッドスプリングの片方のピン保持部のみについて満足させ、他方のピン保持部については、下記の2つの直線SL3,SL4間の距離で表わされる折り返し部の長さをパッドピンの直径の100%〜200%に設定した請求項1〜4のいずれかに記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
    SL3:折り返し部がパッドに対して最も深く嵌まり込んだ状態において、折り返し部に対するパッドピン接触部を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
    SL4:折り返し部の先端を通る前記基準線Lに対して直角な直線。
  6. 前記パッドスプリングがパッドをディスク内径側とディスク回出側の2方向に向けて押圧するように構成されており、この構造において、ディスク回出側のパッドピンによるスプリング保持部について前記Fr・μ>Ftの関係式を満足させた請求項1〜5のいずれかに記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
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