JP2021162043A - ブレーキキャリパ - Google Patents

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Abstract

【課題】一例として、パッドスプリングの取付時に応力を低減することが可能なブレーキキャリパを得る。
【解決手段】実施形態に係るブレーキキャリパは、一例として、第1のパッドピン及び第2のパッドピンを含み、前記第1のパッドピンが前記第2のパッドピンから周方向のうち第1の方向に離間した、二つのパッドピンと、中間部と、前記ブレーキパッドを前記第1の方向に押す押圧部と、前記第1のパッドピンに保持される第1の保持部と、前記第2のパッドピンに保持される第2の保持部と、を有するパッドスプリングと、を備え、前記第1の保持部と前記第2の保持部とはそれぞれ、前記周方向において前記二つのパッドピンの外側に位置する外端部と、前記外端部から延びて前記中間部に接続される第1の延部と、前記外端部から延びる第2の延部と、を有し、前記第1の保持部の前記第2の延部は、前記第2の保持部の前記第2の延部よりも長い。
【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、ブレーキキャリパに関する。
従来、ブレーキパッドを押圧する部材を有するブレーキキャリパが知られている。当該ブレーキキャリパを備えるディスクブレーキでは、例えば、ブレーキパッドを移動可能に支持する二つのパッドピンに、パッドスプリングが取り付けられる。当該パッドスプリングは、ブレーキパッドを押圧する(特許文献1)。
特開2018−080796号公報
従来の構成では、パッドスプリングは、二つのパッドピンのうち一方に先に取り付けられた後、他方に取り付けられる。しかしながら、パッドスプリングがパッドピンに取り付けられる順番によっては、パッドスプリングに生じる応力が増大してしまう虞がある。
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、パッドスプリングの取付時に当該パッドスプリングに生じる応力を低減することが可能なブレーキキャリパを提供する。
本発明の実施形態に係るブレーキキャリパは、一例として、円盤状のディスクロータの二つの側面と外縁とを部分的に覆い、ピストンを保持する、シリンダボディと、前記ピストンに押されることで前記二つの側面を押圧する二つのブレーキパッドと、第1のパッドピンと、第2のパッドピンと、を含み、それぞれが前記シリンダボディに取り付けられるとともに前記二つのブレーキパッドを前記ディスクロータの回転中心の軸方向に移動可能に支持し、前記第1のパッドピンが前記第2のパッドピンから前記回転中心の周方向の一方側の第1の方向に離間し、前記第2のパッドピンが前記第1のパッドピンから前記周方向の他方側の第2の方向に離間した、二つのパッドピンと、中間部と、前記中間部に設けられるとともに前記二つのブレーキパッドを前記第1の方向に押す押圧部と、前記中間部に接続されるとともに前記第1のパッドピンに保持される第1の保持部と、前記中間部に接続されるとともに前記第2のパッドピンに保持される第2の保持部と、を有するパッドスプリングと、を備え、前記第1の保持部と前記第2の保持部とはそれぞれ、前記周方向において前記二つのパッドピンの外側に位置する外端部と、前記外端部から前記回転中心の径方向における外側に延びて前記中間部に接続される第1の延部と、前記外端部から前記径方向における内側に延びる第2の延部と、を有し、前記第1の保持部の前記第2の延部は、前記第2の保持部の前記第2の延部よりも長い。よって、一例としては、ブレーキキャリパの組立作業者は、組立作業が容易になるよう、第1の保持部を先に第1のパッドピンに引っ掛け、その後で第2の保持部に第2のパッドピンを乗り越えさせるよう傾向付けられる。当該順番で組立が行われる場合、第1の保持部の第1の延部に生じる応力が低減される。従って、本実施形態のブレーキキャリパは、パッドスプリングの取付時に当該パッドスプリングに生じる応力を低減することができる。
上記ブレーキキャリパでは、一例として、前記周方向において、前記第2の保持部の前記第2の延部の先端は、前記周方向における前記第2のパッドピンの中心から前記第2の方向に離間している。よって、一例としては、第2の保持部の第2の延部が短くなり、第2の保持部の第1の延部に生じる応力が低減される。
上記ブレーキキャリパでは、一例として、前記周方向において、前記第1の保持部の前記第2の延部の先端は、前記周方向における前記第1のパッドピンの中心から前記第2の方向に離間している。よって、一例としては、第1の保持部の第2の延部が長くなり、ブレーキキャリパの組立作業者は、組立作業が容易になるよう、第1の保持部を先に第1のパッドピンに引っ掛け、その後で第2の保持部に第2のパッドピンを乗り越えさせるよう傾向付けられる。従って、パッドスプリングの取付時に当該パッドスプリングに生じる応力が低減され得る。
図1は、第1の実施形態のディスクブレーキを概略的に示す正面図である。 図2は、第1の実施形態のブレーキキャリパを示す斜視図である。 図3は、第1の実施形態のブレーキキャリパを概略的に示す断面図である。 図4は、第1の実施形態のパッドスプリングを示す斜視図である。 図5は、第1の実施形態の組立中のブレーキキャリパを概略的に示す断面図である。 図6は、第2の実施形態に係るブレーキキャリパを概略的に示す断面図である。
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、第1の実施形態のディスクブレーキ10を概略的に示す正面図である。本実施形態のディスクブレーキ10は、例えば、ピストン対向型のディスクブレーキである。なお、ディスクブレーキ10は、他の種類のディスクブレーキであっても良い。ディスクブレーキ10は、ディスクロータ11と、ブレーキキャリパ12とを有する。
ディスクロータ11は、回転中心Axまわりに回転可能な円盤状に形成される。回転中心Axは、例えば、ディスクブレーキ10が搭載される車両の車軸の中心軸である。なお、回転中心Axは、この例に限られない。
本明細書において、便宜上、回転中心Axの軸方向、径方向、及び周方向が定義される。軸方向は、回転中心Axに平行な方向である。径方向は、回転中心Axと直交する方向である。周方向は、回転中心Axまわりに回転する方向である。すなわち、ディスクロータ11は、周方向に回転する。
ディスクロータ11は、ディスク部21と、ハット部22とを有する。ディスク部21は、回転中心Axと略直交する円盤状に形成される。ディスク部21は、二つの側面21aと、外縁21bとを有する。側面21aは、略平坦に形成され、軸方向に向く。二つの側面21aは、互いに反対側に配置される。外縁21bは、周方向に延びた円形の縁である。
ハット部22は、側面21aから軸方向に突出する円筒状に形成される。ハット部22は、例えば、ボルト及びナットによりディスク部21に取り付けられる。なお、ハット部22は、他の手段によりディスク部21に取り付けられても良いし、ディスク部21と一体に形成されても良い。
ハット部22は、例えば、ボルト及びナットにより車軸に連結される。これにより、ディスクロータ11は、車軸と一体に回転中心Axまわりに回転可能となる。なお、ハット部22は、他の手段により車軸に連結されても良い。
図2は、第1の実施形態のブレーキキャリパ12を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態のブレーキキャリパ12を概略的に示す断面図である。図2及び図3に示すように、ブレーキキャリパ12は、シリンダボディ31と、複数のピストン32と、二つのブレーキパッド33と、二つのパッドピン34と、パッドスプリング35とを有する。なお、シリンダボディ31がキャリパと称されても良い。
図3に示すように、本明細書において、周方向の一方側がトレーリング方向Dtと定義され、周方向の他方側がリーディング方向Dlと定義される。トレーリング方向Dtは、第1の方向の一例であり、ロータ回出方向とも称され得る。リーディング方向Dlは、第2の方向の一例であり、ロータ回入方向とも称され得る。
トレーリング方向Dtは、ディスクブレーキ10が搭載された車両が前進しているときのディスクロータ11の回転方向である。すなわち、車両が前進しているとき、トレーリング方向Dtにおけるブレーキキャリパ12の端部からディスクロータ11がブレーキキャリパ12の外部へ出る。
リーディング方向Dlは、トレーリング方向Dtの反対方向である。すなわち、車両が前進しているとき、リーディング方向Dlにおけるブレーキキャリパ12の端部からディスクロータ11がブレーキキャリパ12の内部へ入る。
また、本明細書において、径方向の一方側が径方向内側と定義され、径方向の他方側が径方向外側と定義される。径方向内側は、径方向のうち回転中心Axに向かう方向である。径方向外側は、径方向内側の反対方向である。
シリンダボディ31は、例えば、車両の車体に固定される。このため、ディスクロータ11は、シリンダボディ31に対して相対的に回転可能である。なお、シリンダボディ31は、他の場所に固定されても良い。図2に示すように、シリンダボディ31は、二つの側壁41と、二つの外壁42と、を有する。
二つの側壁41は、軸方向に互いに離間して配置される。二つの側壁41の間に、ディスクロータ11のディスク部21が配置される。二つの側壁41は、軸方向においてディスク部21の二つの側面21aを部分的に覆う。
二つの外壁42は、周方向に互いに離間して配置される。二つの外壁42はそれぞれ、二つの側壁41の間に配置され、二つの側壁41に接続される。すなわち、シリンダボディ31は、ディスクロータ11の一部を跨ぐように形成される。
周方向において、二つの外壁42の間に、開口部45が形成される。開口部45は、径方向に開口された孔である。開口部45は、二つの側壁41と二つの外壁42とに囲まれており、二つの側壁41と二つの外壁42とによって形成(規定)される。
外壁42は、ディスク部21の外縁21bから径方向外側に離間するとともに、外縁21bに沿って延びている。二つの外壁42はそれぞれ、径方向においてディスク部21の外縁21bを部分的に覆う。
ピストン32は、例えば、シリンダボディ31の二つの側壁41のそれぞれに収容される。このため、一方の側壁41に収容されたピストン32と、他方の側壁41に収容されたピストン32と、の間にディスクロータ11のディスク部21が配置される。シリンダボディ31は、ピストン32を、軸方向に移動可能に保持する。
ブレーキパッド33は、シリンダボディ31の内部に配置される。なお、ブレーキパッド33の一部が、シリンダボディ31の外部に位置しても良い。二つのブレーキパッド33は、二つの側壁41の間で、軸方向に互いに離間して配置される。二つのブレーキパッド33の間に、ディスクロータ11のディスク部21が配置される。
図3に示すように、二つのブレーキパッド33はそれぞれ、裏板51と、ライニング52とを有する。裏板51は、軸方向と略直交する板状に形成される。ライニング52は、裏板51に固定された摩擦材である。ライニング52は、裏板51とディスクロータ11のディスク部21との間に配置される。
裏板51は、二つの側縁55と、外縁56とを有する。側縁55は、周方向における裏板51の両端部を形成し、周方向に向く。側縁55は、例えば、径方向に延びるブレーキパッド33の中心線Lcから周方向に離間し、当該中心線Lcと略平行に延びている。なお、側縁55は、この例に限られない。外縁56は、径方向外側における裏板51の端部を形成し、径方向外側に向く。
裏板51に、二つの挿通孔57と、凹部58とが設けられる。挿通孔57は、軸方向に裏板51を貫通する孔である。二つの挿通孔57は、周方向に互いに離間している。凹部58は、外縁56から径方向内側に窪む切欠きである。
裏板51は、凹部58の第1の縁58a及び第2の縁58bをさらに有する。第1の縁58aは、例えば、トレーリング方向Dtにおける凹部58の端部を形成する。第1の縁58aは、例えば、ブレーキパッド33の中心線Lcからトレーリング方向Dtに離間し、当該中心線Lcと略平行に延びている。すなわち、凹部58の第1の縁58aは、側縁55と略平行に延びている。第2の縁58bは、中心線Lcと略直交する方向に延び、径方向外側に向く。
裏板51の一部は、シリンダボディ31の開口部45に収容されている。トレーリング方向Dtに向く側縁55の一部は、シリンダボディ31の一方の外壁42に接触している。制動時において、外壁42は、側縁55から伝達される制動トルクを受ける。リーディング方向Dlに向く側縁55の一部は、他方の外壁42に対し、離間しても良いし接触しても良い。
パッドピン34は、軸方向に延びる略円柱状に形成される。なお、パッドピン34は、他の形状に形成されても良い。二つのパッドピン34は、周方向に互いに離間して配置される。
二つのパッドピン34は、裏板51の二つの挿通孔57を通るように、シリンダボディ31に取り付けられる。これにより、二つのパッドピン34はそれぞれ、二つのブレーキパッド33を軸方向に移動可能に支持する。
二つのパッドピン34は、第1のパッドピン34Aと、第2のパッドピン34Bとを含む。言い換えると、二つのパッドピン34のうち一方が第1のパッドピン34Aであり、二つのパッドピン34のうち他方が第2のパッドピン34Bである。なお、ブレーキキャリパ12は、三つ以上のパッドピン34を有しても良い。
第1のパッドピン34Aは、第2のパッドピン34Bからトレーリング方向Dtに離間している。第2のパッドピン34Bは、第1のパッドピン34Aからリーディング方向Dlに離間している。
図2に示すピストン32は、例えば運転手の操作に応じ、ブレーキパッド33を軸方向に押す。ブレーキパッド33は、ピストン32に押されることで、パッドピン34に沿って軸方向に移動し、ライニング52をディスク部21の側面21aに接触させる。ピストン32に押されたブレーキパッド33は、ディスク部21の側面21aを押圧する。これにより、ブレーキパッド33は、ディスクロータ11に対して制動力を発生させる。
図4は、第1の実施形態のパッドスプリング35を示す斜視図である。パッドスプリング35は、例えば、板バネを所定の形状に打ち抜くことで得られるブランク材を曲げ加工することにより製造される。すなわち、パッドスプリング35は、弾性を有する金属によって作られる。なお、パッドスプリング35は、この例に限られない。
パッドスプリング35は、中間部60と、二つの第1の押圧部61と、二つの第2の押圧部62と、第1の保持部63と、第2の保持部64とを有する。第1の押圧部61は、押圧部の一例である。中間部60、第1の押圧部61、第2の押圧部62、第1の保持部63、及び第2の保持部64は、互いに一体に形成される。
図3に示すように、中間部60は、例えば、中心線Lcと略直交するとともに軸方向に延びる略矩形(四角形)の板状に形成される。中間部60の少なくとも一部は、ブレーキパッド33の凹部58に収容される。なお、中間部60は、凹部58の外部に位置しても良い。
図4に示すように、中間部60に、指示部60aが設けられる。指示部60aは、トレーリング方向Dtを指す略三角形の孔である。指示部60aが設けられることで、ディスクブレーキ10(ブレーキキャリパ12)の組立作業者は、パッドスプリング35の向きを容易に把握することができる。
二つの第1の押圧部61はそれぞれ、トレーリング方向Dtにおける中間部60の端部に設けられる。第1の押圧部61は、中間部60から、トレーリング方向Dtに突出するような略円弧状に延びている。二つの第1の押圧部61は、軸方向に互いに離間して配置される。
二つの第2の押圧部62はそれぞれ、リーディング方向Dlにおける中間部60の端部に設けられる。第2の押圧部62は、中間部60から、径方向内側に突出するような略円弧状に延びている。二つの第2の押圧部62は、軸方向に互いに離間して配置される。
図3に示すように、第1の保持部63は、トレーリング方向Dtにおける中間部60の端部60bから略トレーリング方向Dtに延びている。言い換えると、第1の保持部63は、中間部60の端部60bに接続されている。第1の保持部63の少なくとも一部は、周方向において第1の押圧部61からトレーリング方向Dtに離間している。軸方向において、第1の保持部63は、二つの第1の押圧部61の間に配置される。
第2の保持部64は、リーディング方向Dlにおける中間部60の端部60cから略リーディング方向Dlに延びている。言い換えると、第2の保持部64は、中間部60の端部60cに接続されている。第2の保持部64の少なくとも一部は、周方向において第1の押圧部61からリーディング方向Dlに離間している。軸方向において、第2の保持部64は、二つの第1の押圧部61の間に配置される。
第1の保持部63及び第2の保持部64はそれぞれ、略フック状に形成される。第1の保持部63は、第1のパッドピン34Aに引っ掛けられる。言い換えると、第1の保持部63は、第1のパッドピン34Aに保持される。第2の保持部64は、第2のパッドピン34Bに引っ掛けられる。言い換えると、第2の保持部64は、第2のパッドピン34Bに保持される。
第1の保持部63及び第2の保持部64がパッドピン34に取り付けられると、周方向において、第1の押圧部61が、第1のパッドピン34Aと第2のパッドピン34Bとの間に位置する。第1のパッドピン34Aは、周方向において、第1の押圧部61からトレーリング方向Dtに離間している。第2のパッドピン34Bは、周方向において、第1の押圧部61から、リーディング方向Dlに離間している。
第1の保持部63と第2の保持部64とはそれぞれ、外端部71と、接続部72と、返し部(barb)73とを有する。接続部72は、第1の延部の一例である。返し部73は、第2の延部の一例である。
外端部71は、パッドピン34に取り付けられた第1の保持部63及び第2の保持部64の、周方向における外側の端部である。このため、外端部71は、周方向において二つのパッドピン34の外側に位置する。言い換えると、周方向において、第1の保持部63の外端部71と第2の保持部64の外端部71との間に、二つのパッドピン34が配置される。また、外端部71は、周方向におけるパッドスプリング35の端部でもある。
接続部72は、外端部71から延びて、中間部60に接続される。言い換えると、接続部72は、中間部60を介して第1の押圧部61に接続される。なお、接続部72は、第1の押圧部61に直接的に接続されても良い。
第1の保持部63の接続部72は、トレーリング方向Dtにおける中間部60の端部60bに接続される。第2の保持部64の接続部72は、リーディング方向Dlにおける中間部60の端部60cに接続される。
接続部72は、略径方向外側に突出するように曲げられている。例えば、接続部72は、略径方向外側に突出するような弓なりの略曲線状に形成される。このため、接続部72は、周方向における長さを拡大又は縮小するように弾性変形することができる。なお、接続部72の形状は、この例に限られない。
返し部73は、外端部71から、接続部72の反対側に延びている。返し部73は、例えば、パッドピン34の外周面に沿って略円弧状に延びている。なお、返し部73の形状は、この例に限られない。
本実施形態において、接続部72は、外端部71から径方向において外側に延びている。このため、接続部72の少なくとも一部は、径方向において外端部71の外側に位置する。なお、接続部72は、外端部71から径方向において外側に延びているが、外端部71から径方向外側に延びる必要は無い。すなわち、接続部72は、回転中心Axに対して放射線状に延びる必要は無い。また、接続部72の少なくとも一部は、パッドピン34に対して径方向における外側に位置する。
返し部73は、外端部71から径方向において内側に延びている。このため、返し部73の少なくとも一部は、径方向において外端部71の内側に位置する。なお、返し部73は、外端部71から径方向において内側に延びているが、外端部71から径方向内側に延びる必要は無い。すなわち、返し部73は、回転中心Axに対して放射線状に延びる必要は無い。また、返し部73の少なくとも一部は、パッドピン34に対して径方向における内側に位置する。なお、接続部72が外端部71から径方向において内側に延び、返し部73が外端部71から径方向において外側に延びても良い。
返し部73の先端73aは、パッドスプリング35の他の部分に接続されないパッドスプリング35の縁である。先端73aは、返し部73の一方の端であり、外端部71に接続された返し部73の他方の端の反対側に位置する。先端73aは、例えば、略軸方向に延びている。なお、先端73aは、この例に限られない。
先端73aと接続部72との間の距離は、パッドピン34の直径よりも大きい。このため、パッドピン34は、先端73aと接続部72との間の隙間を通り、外端部71に当接することができる。
周方向において、第2の保持部64の返し部73の先端73aは、周方向における第2のパッドピン34Bの中心CBからリーディング方向Dlに離間している。言い換えると、周方向における第2の保持部64の返し部73の長さは、第2のパッドピン34Bの半径よりも短い。なお、第2の保持部64の返し部73は、この例に限られない。
周方向において、第1の保持部63の返し部73の先端73aは、周方向における第1のパッドピン34Aの中心CAからリーディング方向Dlに離間している。言い換えると、周方向における第1の保持部63の返し部73の長さは、第1のパッドピン34Aの半径よりも長い。なお、第1の保持部63の返し部73は、この例に限られない。
第1の保持部63の返し部73は、第2の保持部64の返し部73よりも長い。返し部73の長さは、外端部71から返し部73が延びる方向における返し部73の長さ(実際の長さ)である。なお、本実施形態では、周方向における第1の保持部63の返し部73の長さも、周方向における第2の保持部64の返し部73の長さよりも長い。
第1の保持部63及び第2の保持部64がパッドピン34に保持されると、第1の押圧部61及び第2の押圧部62がブレーキパッド33に当接する。第1の押圧部61及び第2の押圧部62は、ブレーキパッド33を押す。
第1の押圧部61は、ブレーキパッド33の凹部58の第1の縁58aに接触する。二つの第1の押圧部61は、例えばパッドスプリング35の弾性力により、二つのブレーキパッド33をトレーリング方向Dtに押す。
本実施形態では、第1の押圧部61は、ブレーキパッド33の凹部58の第1の縁58aを、中心線Lcと略直交する第1の押圧方向Dp1に押す。第1の押圧方向Dp1は、トレーリング方向Dtの成分を含む。このため、第1の押圧部61は、二つのブレーキパッド33をトレーリング方向Dtに押す。
第1の押圧部61がブレーキパッド33をトレーリング方向Dt(第1の押圧方向Dp1)に押すことで、ブレーキパッド33の側縁55は、シリンダボディ31の外壁42に押し付けられる。これにより、ブレーキパッド33が振動することが抑制される。
第2の押圧部62は、ブレーキパッド33の凹部58の第2の縁58bに接触する。二つの第2の押圧部62は、例えばパッドスプリング35の弾性力により、二つのブレーキパッド33を径方向内側に押す。
本実施形態では、第2の押圧部62は、ブレーキパッド33の凹部58の第2の縁58bを、中心線Lcと略平行な第2の押圧方向Dp2に押す。第2の押圧方向Dp2は、径方向内側の成分を含む。このため、第2の押圧部62は、二つのブレーキパッド33を径方向内側に押す。
以上のパッドスプリング35は、例えば下記のようにも説明され得る。パッドスプリング35は、ブリッジ80と、第1のフック81と、第2のフック82とを有する。ブリッジ80は、中間部60と、第1の保持部63及び第2の保持部64の外端部71及び接続部72と、を含む。第1のフック81は、第1の保持部63の返し部73を含む。第2のフック82は、第2の保持部64の返し部73を含む。第1の押圧部61及び第2の押圧部62は、ブリッジ80に設けられる。
ブリッジ80の少なくとも一部は、二つのパッドピン34に対して径方向における外側に位置する。トレーリング方向Dtにおけるブリッジ80の端部80aと、リーディング方向Dlにおけるブリッジ80の端部80bとは、周方向において二つのパッドピン34の外側に位置する。端部80aは、第1の保持部63の外端部71を含む。端部80bは、第2の保持部64の外端部71を含む。
第1のフック81は、ブリッジ80の端部80aから延び、第1のパッドピン34Aに引っ掛けられ、保持される。第1のフック81の少なくとも一部は、第1のパッドピン34Aに対して径方向における内側に位置する。第1のフック81の先端81aは、第1の保持部63の返し部73の先端73aを含む。
第2のフック82は、ブリッジ80の端部80bから延び、第2のパッドピン34Bに引っ掛けられ、保持される。第2のフック82の少なくとも一部は、第2のパッドピン34Bに対して径方向における内側に位置する。第2のフック82の先端82aは、第2の保持部64の返し部73の先端73aを含む。
周方向において、第2のフック82の先端82aは、周方向における第2のパッドピン34Bの中心CBからリーディング方向Dlに離間している。また、周方向において、第1のフック81の先端81aは、周方向における第1のパッドピン34Aの中心CAからリーディング方向Dlに離間している。第2のフック82は、第1のフック81よりも短い。
以下、ブレーキキャリパ12の組立方法の一部について例示する。なお、ブレーキキャリパ12の組立方法は以下の方法に限らず、他の方法を用いても良い。まず、二つのブレーキパッド33がシリンダボディ31の内部に配置される。次に、パッドピン34が、ブレーキパッド33の挿通孔57を通されるとともに、シリンダボディ31に取り付けられる。
図5は、第1の実施形態の組立中のブレーキキャリパ12を概略的に示す断面図である。図5に示すように、パッドスプリング35の第1の保持部63が、第1のパッドピン34Aに引っ掛けられる。具体的には、第1のパッドピン34Aが、第1の保持部63の接続部72と返し部73の先端73aとの間の隙間を通り、外端部71に当接させられる。この時点では、第1の押圧部61及び第2の押圧部62がブレーキパッド33から離間しているとともに、第2の保持部64が第2のパッドピン34Bから離間している。図5は、第1の保持部63が第1のパッドピン34Aに引っ掛けられたパッドスプリング35を、実線で示す。
次に、パッドスプリング35は、大よそ第1のパッドピン34Aの中心CAまわりに回転させられ、第2のパッドピン34Bに近づけられる。次に、第1の押圧部61が、ブレーキパッド33の凹部58の第1の縁58aに当接させられる。図5は、第1の押圧部61が第1の縁58aに当接したパッドスプリング35を、二点鎖線で示す。
第1の押圧部61が第1の縁58aに当接すると、パッドスプリング35は、第1の縁58aと第1のパッドピン34Aとにより引っ張られる。これにより、周方向における接続部72の長さが拡大するように、第1の保持部63の接続部72が弾性変形する。この際、第1の保持部63の接続部72に生じる応力は、弾性臨界点(降伏点)より低い。なお、接続部72に生じる応力は、この例に限られない。
次に、パッドスプリング35がさらに回転させられ、第2の保持部64の返し部73が第2のパッドピン34Bに当接する。例えば組立作業者は、返し部73が第2のパッドピン34Bを乗り越えるように、第2の保持部64の接続部72を引っ張る。図5に二点鎖線で示されるパッドスプリング35は、第2の保持部64の接続部72が引っ張られた状態にある。
第2の保持部64の接続部72は、周方向における接続部72の長さが拡大するように弾性変形する。この際、周方向において接続部72が拡張させられる長さは、おおよそ、周方向における第2の保持部64の返し部73の長さとなる。周方向における第2の保持部64の返し部73の長さは、比較的短い。このため、第2の保持部64の接続部72に生じる応力は、弾性臨界点より低くなる。なお、接続部72に生じる応力は、この例に限られない。
第2の保持部64の返し部73が第2のパッドピン34Bを乗り越えると、第2の保持部64の接続部72の形状が弾性的に復元する。これにより、第2のパッドピン34Bが、第2の保持部64の接続部72と返し部73の先端73aとの間の隙間を通り、外端部71に当接させられる。これにより、第2の保持部64が、第2のパッドピン34Bに引っ掛けられる。
第2の保持部64が第2のパッドピン34Bに引っ掛けられると、又はその前に、第2の押圧部62がブレーキパッド33の凹部58の第2の縁58bに当接する。以上により、パッドスプリング35がパッドピン34に取り付けられ、ブレーキキャリパ12の組立が完了する。
以上説明された第1の実施形態に係るディスクブレーキ10において、パッドスプリング35は、中間部60と、第1の押圧部61と、第1の保持部63と、第2の保持部64とを有する。第1の押圧部61は、中間部60に設けられ、二つのブレーキパッド33を周方向の一方側のトレーリング方向Dtに押す。第1の保持部63は、中間部60に接続されるとともに、第2のパッドピン34Bからトレーリング方向Dtに離間した第1のパッドピン34Aに保持される。第2の保持部64は、中間部60に接続されるとともに、第1のパッドピン34Aからトレーリング方向Dtの反対のリーディング方向Dlに離間した第2のパッドピン34Bに保持される。第1の保持部63と第2の保持部64とはそれぞれ、外端部71と、接続部72と、返し部73とを有する。外端部71は、周方向において二つのパッドピン34の外側に位置する。接続部72は、外端部71から径方向において外側に延びて中間部60に接続される。返し部73は、外端部71から径方向において内側に延びている。第1の保持部63の返し部73は、第2の保持部64の返し部73よりも長い。以上の構成によれば、第1の保持部63及び第2の保持部64のうち一方の返し部73がパッドピン34に引っ掛けられ、他方の返し部73がパッドピン34を乗り越えることで、第1の保持部63及び第2の保持部64が第1のパッドピン34A及び第2のパッドピン34Bに取り付けられ得る。例えば、第2の保持部64の返し部73が先に第2のパッドピン34Bに引っ掛けられた場合、第1の押圧部61がトレーリング方向Dtに押すようにブレーキパッド33に当接した後、第1の保持部63の返し部73が第1のパッドピン34Aを乗り越える。この場合、第1の押圧部61がブレーキパッド33に当接した状態で、周方向における返し部73の長さに相当する距離を、接続部72が引き伸ばされ、接続部72に応力集中による塑性変形が生じる虞がある。しかし、本実施形態のディスクブレーキ10では、第1の保持部63の返し部73が長いため、第1の保持部63の返し部73が第1のパッドピン34Aを乗り越えにくい。反対に、第1の保持部63が先に第1のパッドピン34Aに引っ掛けられると、第2の保持部64の返し部73が第2のパッドピン34Bを乗り越えやすい。従って、ディスクブレーキ10(ブレーキキャリパ12)の組立作業者は、組立作業が容易になるよう、第1の保持部63を先に第1のパッドピン34Aに引っ掛け、その後で第2の保持部64の返し部73に第2のパッドピン34Bを乗り越えさせるよう傾向付けられる。当該順番で組立が行われる場合、第1の保持部63の接続部72に生じる応力が低減される。従って、本実施形態のブレーキキャリパ12は、パッドスプリング35の取付時に当該パッドスプリング35に生じる応力を低減することができる。
周方向において、第2の保持部64の返し部73の先端73aは、周方向における第2のパッドピン34Bの中心CBからリーディング方向Dlに離間している。これにより、第2の保持部64の返し部73が短くなり、第2の保持部64の接続部72に生じる応力が低減される。
周方向において、第1の保持部63の返し部73の先端73aは、周方向における第1のパッドピン34Aの中心CAからリーディング方向Dlに離間している。これにより、第1の保持部63の返し部73が長くなり、組立作業者は、組立作業が容易になるよう、第1の保持部63を先に第1のパッドピン34Aに引っ掛け、その後で第2の保持部64の返し部73に第2のパッドピン34Bを乗り越えさせるよう傾向付けられる。従って、パッドスプリング35の取付時に当該パッドスプリング35に生じる応力が低減され得る。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図6を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図6は、第2の実施形態に係るブレーキキャリパ12を概略的に示す断面図である。図6に示すように、第2の実施形態において、第1の保持部63の返し部73は、第1の曲げ部73bと、第2の曲げ部73cとを有する。
第1の曲げ部73bは、外端部71から、第1のパッドピン34Aの外周面に沿って略円弧状に延びている。第1の曲げ部73bは、外端部71から連続している。第2の曲げ部73cは、第1の曲げ部73bから、第1のパッドピン34Aから遠ざかるような略円弧状に延びている。第2の曲げ部73cは、第1の曲げ部73bから連続している。返し部73の先端73aは、第2の曲げ部73cに設けられる。
第2の実施形態においても、周方向において、第1の保持部63の返し部73の先端73aは、周方向における第1のパッドピン34Aの中心CAからリーディング方向Dlに離間している。また、第1の保持部63の返し部73は、第2の保持部64の返し部73よりも長い。
以上説明された第2の実施形態のディスクブレーキ10において、第1の保持部63の返し部73は、第1のパッドピン34Aから遠ざかるように延びた第2の曲げ部73cを有する。例えば、先に第2の保持部64が第2のパッドピン34Bに引っ掛けられた状態でパッドスプリング35が回転させられると、第1の保持部63の第2の曲げ部73cが第1のパッドピン34Aに当接する。第2の曲げ部73cは、取付後の第1のパッドピン34Aから遠ざかるように延びている。しかし、図6に二点鎖線で示すように、第2の曲げ部73cは、取付前に第1の保持部63に当接した第1のパッドピン34Aの外周面に大よそ沿うようにも延びている。このため、第1の保持部63が第1のパッドピン34Aを乗り越えにくくなる。組立作業者は、組立作業が容易になるよう、第1の保持部63を先に第1のパッドピン34Aに引っ掛け、その後で第2の保持部64の返し部73に第2のパッドピン34Bを乗り越えさせるよう傾向付けられる。従って、パッドスプリング35の取付時に当該パッドスプリング35に生じる応力が低減され得る。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
11…ディスクロータ、12…ブレーキキャリパ、21a…側面、21b…外縁、31…シリンダボディ、32…ピストン、33…ブレーキパッド、34…パッドピン、34A…第1のパッドピン、34B…第2のパッドピン、35…パッドスプリング、61…第1の押圧部(押圧部)、63…第1の保持部、64…第2の保持部、71…外端部、72…接続部(第1の延部)、73…返し部(第2の延部)、80…ブリッジ、80a,80b…端部、81…第1のフック、82…第2のフック、Ax…回転中心、Dt…トレーリング方向(第1の方向)、Dl…リーディング方向(第2の方向)。

Claims (3)

  1. 円盤状のディスクロータの二つの側面と外縁とを部分的に覆い、ピストンを保持する、シリンダボディと、
    前記ピストンに押されることで前記二つの側面を押圧する二つのブレーキパッドと、
    第1のパッドピンと、第2のパッドピンと、を含み、それぞれが前記シリンダボディに取り付けられるとともに前記二つのブレーキパッドを前記ディスクロータの回転中心の軸方向に移動可能に支持し、前記第1のパッドピンが前記第2のパッドピンから前記回転中心の周方向の一方側の第1の方向に離間し、前記第2のパッドピンが前記第1のパッドピンから前記周方向の他方側の第2の方向に離間した、二つのパッドピンと、
    中間部と、前記中間部に設けられるとともに前記二つのブレーキパッドを前記第1の方向に押す押圧部と、前記中間部に接続されるとともに前記第1のパッドピンに保持される第1の保持部と、前記中間部に接続されるとともに前記第2のパッドピンに保持される第2の保持部と、を有するパッドスプリングと、
    を備え、
    前記第1の保持部と前記第2の保持部とはそれぞれ、前記周方向において前記二つのパッドピンの外側に位置する外端部と、前記外端部から前記回転中心の径方向において外側に延びて前記中間部に接続される第1の延部と、前記外端部から前記径方向において内側に延びる第2の延部と、を有し、
    前記第1の保持部の前記第2の延部は、前記第2の保持部の前記第2の延部よりも長い、
    ブレーキキャリパ。
  2. 前記周方向において、前記第2の保持部の前記第2の延部の先端は、前記周方向における前記第2のパッドピンの中心から前記第2の方向に離間している、請求項1のブレーキキャリパ。
  3. 前記周方向において、前記第1の保持部の前記第2の延部の先端は、前記周方向における前記第1のパッドピンの中心から前記第2の方向に離間している、請求項1又は請求項2のブレーキキャリパ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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