JP6080822B2 - 電子部品用チタン銅及びその製造方法 - Google Patents

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本発明はコネクタ等の電子部品用部材として好適なチタン銅に関する。また、本発明は当該チタン銅の製造方法に関する。
近年、電気・電子機器や車載部品に使用されるリードフレーム、コネクタなどの電子部品の小型化が進み、電子部品を構成する銅合金部材の狭ピッチ化及び低背化の傾向が著しい。小型のコネクタほどピン幅が狭く、小さく折り畳んだ加工形状となるため、使用する銅合金部材には、必要なバネ性を得るための高い強度が求められる。この点、チタンを含有する銅合金(以下、「チタン銅」と称する。)は、比較的強度が高く、応力緩和特性にあっては銅合金中最も優れているため、特に強度が要求される信号系端子用部材として、古くから使用されてきた。
チタン銅は時効硬化型の銅合金である。溶体化処理によって溶質原子であるTiの過飽和固溶体を形成させ、その状態から低温で比較的長時間の熱処理を施すと、スピノーダル分解によって、母相中にTi濃度の周期的変動である変調構造が発達し、強度が向上する。この際、問題となるのは、強度と曲げ加工性が相反する特性である点である。すなわち、強度を向上させると曲げ加工性が損なわれ、逆に、曲げ加工性を重視すると所望の強度が得られないということである。一般に、冷間圧延の圧下率を高くするほど、導入される転位量が多くなって転位密度が高くなるため、析出に寄与する核生成サイトが増え、時効処理後の強度を高くすることができるが、圧下率を高くしすぎると曲げ加工性が悪化する。このため、強度及び曲げ加工性の両立を図ることが課題とされてきた。
また、電子部品に使用される銅合金部材には、電子部品の動作、外部からの振動、及び部品の着脱などに際し、弾性限度内での曲げ応力が与えられることが多い。特に、車載部品は激しい振動が繰り返し負荷される環境で使用される。曲げ応力が繰り返し与えられると、曲げ部より疲労クラックが発生し、このクラックが成長して部材の破壊へと至る。このため、電子部品の耐久性の観点からは、繰り返しの曲げ応力を与えても曲げ部へのクラックが生じにくいという優れた疲労特性をもつことも電子部品用チタン銅の特性として重要となっている。
このような背景の下、特開2014−15679号公報(特許文献1)には、チタン銅の結晶中のS方位{231}<346>の面積率を5〜40%に高めることで、疲労寿命の向上を図った技術が記載されている。当該公報によれば、従来のチタン銅の製造方法に対して、熱間圧延[工程3]後に、水冷[工程4]、面削[工程5]し、冷間圧延[工程6]により圧延率80〜99.8%で圧延し、その後に、完全に再結晶しない程度に昇温速度1〜30℃/秒にて100〜400℃まで到達後、張力を100〜300MPaで矯正を行うテンションレベラーによる矯正[工程7]を行い、更に、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]を行うことによって、中間溶体化熱処理[工程9]の再結晶集合組織においてS方位の面積率が増加することが記載されている。中間溶体化熱処理[工程9]後には、時効析出熱処理[工程10]、仕上げ冷間圧延[工程11]及び調質焼鈍[工程12]を施してもよいことも記載されている。
特開2012−7215号公報(特許文献2)には、最終溶体化処理→時効処理→冷間圧延の順序でチタン銅を製造することにより、強度及び曲げ加工性の双方に優れたチタン銅を得る技術が記載されている。当該公報には溶体化処理時の昇温速度及び冷却速度、冷間圧延時の圧延荷重の条件が記載されている。
特開2006−265611号公報(特許文献3)には、曲げ加工後のばね特性が改良されたチタン銅を得ることを課題として、体積抵抗率及び加工硬化係数を規定したチタン銅が記載されている。当該チタン銅の製造方法として、熱間圧延A、冷間圧延B、溶体化処理C、冷間圧延D、時効処理Eを順次行うこと、冷間圧延Dの加工度が35%以下で圧延速度が100m/分以上であること、時効処理Eの時効温度が380〜450℃で、時効時間が9〜18時間で、冷却時の300℃以上の温度範囲における冷却速度が35〜80℃/時間であることなどが記載されている。
特開2010−261066号公報(特許文献4)には、最終の溶体化処理の後、材料温度300〜700℃で0.001〜12時間加熱の条件で行う熱処理、冷間圧延、及び時効処理を順に行うことで、チタン銅の強度及び曲げ加工性のバランスを向上させる技術が記載されている。
特開2014−15679号公報 特開2012−7215号公報 特開2006−265611号公報 特開2010−261066号公報
チタン銅の強度、曲げ加工性及び疲労特性については様々な観点から特性向上が図られているが、これら三者のすべての特性の向上を同時に試みているのは、本発明者の知る限り特許文献1のみであり、このための研究が尽くされたとは言い難い。特許文献1においては、結晶中のS方位集積割合を高めることで疲労寿命を延ばす技術を開示するものの、強度、曲げ加工性及び疲労強度をバランス良く改善する手段は他にも存在すると考えられる。また、特許文献1よりも優れた特性を示す手段が存在する可能性もある。そこで、本発明はチタン銅の強度、曲げ加工性及び疲労特性の三者の特性を、従来とは異なるアプローチによって改善することを課題とする。本発明は好ましくは、従来の手法よりも強度、曲げ加工性及び疲労特性のバランスに優れたチタン銅を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。特許文献1に記載の技術は結晶中のS方位集積割合を高めることを教示するが、結晶方位を解析するためのEBSD測定は板厚方向に平均を取ることが好ましいとされている(特許文献1の段落0037)。しかしながら、曲げ応力を繰り返し与えることにより、曲げ部より疲労クラックが発生し、このクラックが成長して部材の破壊へと至るという疲労のプロセスに鑑みれば、疲労特性の改善にはチタン銅の表面組織を制御することが特に重要であると考えた。
本発明者は上記視点から更に検討を行ったところ、溶体化処理後に行う最終冷間圧延において、後方張力を高くすると材料表面への歪を小さくすることができることを見出した。また、最終冷間圧延の前後にそれぞれ短時間の時効処理を実施することで、材料表面への第二相粒子の析出が抑制されることを見出した。そして、材料表面における歪みが小さく、第二相粒子の析出も少ないチタン銅においては、材料表面(圧延面)の信頼性指数(CI値)をEBSD測定により求めると、圧延面全体にわたってCI値が高いことが分かった。そして、高いCI値を維持しながら、加工硬化係数を適切な範囲に制御することで、強度、曲げ加工性及び疲労特性の三者をバランス良く向上可能であることが分かった。本発明は上記知見に基づいて完成したものである。
本発明は一側面において、Tiを2.0〜4.0質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、圧延面に対するEBSD測定における結晶方位解析において、信頼性指数(CI値)が0.2以下の面積率が20%以下であり、且つ、圧延方向に平行な方向における加工硬化係数(n値)が0.05〜0.2であるチタン銅である。
本発明に係るチタン銅は一実施形態において、JIS−Z2241(2011)に従って引張試験を行ったときの、圧延方向に平行な方向における0.2%耐力が850MPa以上である。
本発明に係るチタン銅は別の一実施形態において、JIS−Z2273(1978)に従って圧延直角方向に550N/mm2の両振り応力を107回繰り返したときに、破断が生じない。
本発明に係るチタン銅は更に別の一実施形態において、JIS−H3130(2012)に従ってW曲げ試験をBadway方向にr/t=1.0で行ったときに、曲げ部の外周表面における平均粗さRaが1.0μm以下である。
本発明は別の一側面において、Tiを2.0〜4.0質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる組成をもつインゴットを鋳造する工程と、
当該インゴットに対して熱間圧延を施す工程と、
熱間圧延後に均質化焼鈍を行い、水冷する工程と、
その後、Tiの固溶限が添加量と同じになる温度に対して−20℃〜+50℃の温度に加熱して、最終溶体化処理を行う工程と、
最終溶体化処理に続いて、次式:−13x+6500≦y≦−13x+8900(式中、x=材料温度(℃)、y=加熱時間(秒)を表し、350≦x≦650、1≦y≦3600である。)で表される材料温度及び加熱時間の関係を満たす条件で時効処理を行う工程と、
時効処理に続いて、当該時効処理後の材料の圧延方向に平行な方向での0.2%耐力の20〜80%の範囲に後方張力を制御しながら、5〜50%の圧下率で最終冷間圧延を行う工程と、
最終冷間圧延に続いて、次式:−13x+6500≦y≦−13x+8900(式中、x=材料温度(℃)、y=加熱時間(秒)を表し、350≦x≦650、1≦y≦3600である。)で表される材料温度及び加熱時間の関係を満たす条件で最終時効処理を行う工程と、
を含むチタン銅の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るチタン銅を備えた伸銅品である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るチタン銅を備えた電子部品である。
強度、曲げ加工性及び疲労特性の三者の特性に優れたチタン銅が得られる。当該チタン銅は、オートフォーカスカメラモジュールに使用される導電性ばね材、リードフレーム、コネクタなどの電子部品に使用でき、これら電子部品の信頼性向上に寄与する。
時効処理における材料温度及び加熱時間の好適な範囲を表すグラフである。
(1)Ti濃度
本発明に係るチタン銅においては、Ti濃度を2.0〜4.0質量%とする。チタン銅は、溶体化処理によりCuマトリックス中へTiを固溶させ、時効処理により微細な析出物を合金中に分散させることにより、強度及び導電率を上昇させる。
Ti濃度が2.0質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。Ti濃度が4.0質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れやすくなる。強度及び加工性のバランスを考慮すると、好ましいTi濃度は2.5〜3.5質量%である。
(2)第三元素
本発明に係るチタン銅においては、Fe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択される第三元素の1種以上を含有させることにより、強度を更に向上させることができる。但し、第三元素の合計濃度が0.5質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れやすくなる。そこで、これら第三元素は合計で0〜0.5質量%含有することができ、強度及び加工性のバランスを考慮すると、上記元素の1種以上を総量で0.1〜0.4質量%含有させることが好ましい。
(3)信頼性指数(CI値)
CI値とは、信頼性指数(Confidence Index)であり、EBSD装置の解析ソフトOIM Analysis(Ver.5.3)を用いて解析したときに、方位決定の確からしさを示す指数である。CI値は0〜1の値を示し、その値が低いほど信頼性が低いことを表す。CI値は、測定点ごとに測定可能であり、一定面積の範囲にわたって多数のCI値を測定することで、その分布を測定することも可能である。CI値は、せん断帯や転位、双晶などの欠陥や歪みの影響を受けて低くなる傾向にある。従って、例えば強い冷間圧延を受けた後の加工組織においてはCI値は低くなりやすい。
本発明においては材料表面(圧延面)に対するEBSD測定における結晶方位解析において、信頼性指数(CI値)が0.2以下の面積率を低く制御していることを特徴の一つとしている。このことは材料表面における歪み及び第二相粒子の析出が非常に少ないことを間接的に表していると言える。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、本発明に係るチタン銅の表面は均一性が極めて高いために、引っ張り力、振動又は曲げ加工を受けてもクラックが入るような起点が生じにくい状態になっていると言え、このことが強度、曲げ加工性及び疲労特性の向上に繋がっていると考えられる。
本発明に係るチタン銅の一実施形態においては、材料表面(圧延面)に対するEBSD測定における結晶方位解析において、信頼性指数(CI値)が0.2以下の面積率が20%以下である。好ましくは、当該面積率は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。一方で、当該面積を小さくしようとすると強度が小さくなる傾向にあることから、当該面積率は好ましくは2%以上であり、より好ましくは5%以上である。
本発明においては、測定結果の安定性のために、一視野当たり200μm×200μmにおけるCI値の分布を5視野測定し、それぞれの視野においてCI値が0.2以下の面積率の割合を求め、5視野の平均値を算出して測定値とする。
本発明においては、EBSD測定における測定条件として以下を採用する。
(a)SEM条件
・ビーム条件:加速電圧15kV、照射電流量5×10-8
・ワークディスタンス:25mm
・観察視野:200μm×200μm
・観察面:圧延面
・観察面の事前処理:リン酸67%+硫酸10%+水の溶液中で15V×60秒の条件で電解研磨して組織を現出
(b)EBSD条件
・測定プログラム:OIM Data Collection
・データ解析プログラム:OIM Analysis(Ver.5.3)
・ステップ幅:0.5μm
(4)加工硬化係数(n値)
引張試験において試験片を引張り、荷重を負荷すると、弾性限度を越えて最高荷重点に達するまでの塑性変形域では試験片各部は一様に伸びる(均一伸び)。この均一伸びが発生する塑性変形域では真応力σtと真ひずみεtの間には式(1)の関係が成立し、これをn乗硬化則という。「n」を加工硬化係数という(須藤一著:材料試験法、内田老鶴圃社、(1976)、p.34)。nは0≦n≦1の値をとる。この加工硬化係数が大きいほど加工硬化の程度が大きい。
σt=Kεt n 式(1)
n乗硬化則の成立する材料では、応力−ひずみ曲線の最高荷重点における真ひずみと加工硬化係数は一致することから、本発明においては、最高荷重点における真ひずみを加工硬化係数n値とする(須藤一著、「材料試験法」、内田老鶴圃社、1976年、p.35)。具体的には、後述する0.2%耐力を測定するのと同じ方法で、圧延平行方向の引張り試験をJIS−Z2241(2011)に従って行い、応力−ひずみ曲線を得る。真ひずみεtは、得られた応力−ひずみ曲線より読み取った最高荷重点における公称ひずみεを式(2)に代入して算出する。
εt=ln(1+ε) 式(2)
強度、曲げ加工性及び疲労特性に優れたチタン銅を得る上では、CI値を制御すると共に、n値を所定範囲とすることが重要である。具体的には、圧延方向に平行な方向における加工硬化係数(n値)が0.05〜0.2であることが望ましい。n値は高いほうが強度が上昇しやすいことから、n値は0.08以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましいが、過度に高くすると曲げ加工性や疲労特性を損ないやすいことから、0.18以下であることが好ましく、0.16以下であることがより好ましい。
(5)0.2%耐力
本発明に係るチタン銅においては一実施形態において、圧延方向に平行な方向での0.2%耐力が850MPa以上を達成することができる。本発明に係るチタン銅の0.2%耐力は好ましい実施形態において900MPa以上であり、更に好ましい実施形態において950MPa以上であり、更に好ましい実施形態においては1000MPa以上である。
0.2%耐力の上限値は、本発明が目的とする強度の点からは特に規制されないが、手間及び費用がかかる上、低CI値の面積率やn値が大きくなり過ぎて特性のバランスを崩しやすいことから、本発明に係るチタン銅の0.2%耐力は一般には1300MPa以下であり、典型的には1200MPa以下であり、より典型的には1100MPa以下である。
本発明においては、チタン銅の圧延方向に平行な方向での0.2%耐力は、JIS−Z2241(2011)(金属材料引張試験方法)に準拠して測定する。
(6)疲労特性
本発明に係るチタン銅は優れた疲労特性を有することができる。本発明に係るチタン銅においては一実施形態において、JIS−Z2273(1978)に従って圧延直角方向に550N/mm2の両振り応力を107回繰り返したときに、破断が生じないという特性を有する。
(7)曲げ加工性
本発明に係るチタン銅は優れた曲げ加工性を有することができる。本発明に係るチタン銅においては一実施形態において、JIS−H3130(2012)に従ってW曲げ試験をBadway方向にr/t=1.0で行ったときに、曲げ部の外周表面における平均粗さRaが1.0μm以下であるという特性を有する。平均粗さRaはJIS−B0601(2013)に準拠して算出する。曲げ加工後にも曲げ部の平均粗さが小さいと言うことは、破断を引き起こすおそれのある有害なクラックが曲げ部に入りにくいことを意味する。一般的には曲げ試験前の本発明に係るチタン銅の表面の平均粗さRaは0.2μm以下である。
(8)チタン銅の厚み
本発明に係るチタン銅の一実施形態においては、厚みを1.0mm以下とすることができ、典型的な実施形態においては厚みを0.02〜0.8mmとすることができ、より典型的な実施形態においては厚みを0.05〜0.5mmとすることができる。
(9)結晶粒径
強度、曲げ加工性及び疲労特性をバランス良く高める観点から、本発明に係るチタン銅の一実施形態においては、圧延面における平均結晶粒径を2〜30μmの範囲に制御することが好ましく、2〜15μmの範囲に制御することがより好ましく、2〜10μmの範囲に制御することが更により好ましい。JIS−H0501(1986)に基づく切断法で、圧延方向に直角な方向の平均結晶粒径及び圧延方向に平行な方向の平均結晶粒径を求め、両者の平均値を測定値とする。
(10)用途
本発明に係るチタン銅は種々の伸銅品、例えば板、条、管、棒及び線に加工することができる。本発明に係るチタン銅は、限定的ではないが、スイッチ、コネクタ(特に、過酷な曲げ加工性を必要としないフォーク型のFPCコネクタ)、オートフォーカスカメラモジュール、ジャック、端子(特に、バッテリー端子)、リレー等の電子部品における導電材やばね材として好適に使用することができる。これらの電子部品は例えば車載部品や電気・電子機器用部品として使用可能である。
(11)製造方法
本発明に係るチタン銅の好適な製造例を工程毎に順次説明する。
<インゴット製造>
溶解及び鋳造によるインゴットの製造は、基本的に真空中又は不活性ガス雰囲気中で行う。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない。よって、溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の第三元素は、添加してから十分に攪拌したうえで、一定時間保持する必要がある。一方、TiはCu中に比較的溶け易いので第三元素の溶解後に添加すればよい。従って、Cuに、Fe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜0.5質量%含有するように添加し、次いでTiを2.0〜4.0質量%含有するように添加してインゴットを製造することが望ましい。
<均質化焼鈍及び熱間圧延>
インゴット製造時に生じた凝固偏析や晶出物は粗大なので均質化焼鈍でできるだけ母相に固溶させて小さくし、可能な限り無くすことが望ましい。これは曲げ割れの防止に効果があるからである。具体的には、インゴット製造工程後には、900〜970℃に加熱して3〜24時間均質化焼鈍を行った後に、熱間圧延を実施するのが好ましい。液体金属脆性を防止するために、熱延前及び熱延中は960℃以下とし、且つ、元厚から全体の圧下率が90%までのパスは900℃以上とするのが好ましい。
熱間圧延後、再度均質化焼鈍を実施することが好ましい。熱間圧延中に析出する第二相粒子を再度固溶させることを目的とする。条件は900〜970℃に加熱して3〜24時間とし、加熱後は水冷する。この工程を実施しない場合には、溶体化処理及びその後の工程を適切に実施したとしても低CI値の面積率が大きくなりやすく、所望の特性が得られにくい。
<第一溶体化処理>
その後、冷延と焼鈍を適宜繰り返してから第一溶体化処理を行うのが好ましい。ここで予め溶体化を行っておく理由は、最終の溶体化処理での負担を軽減させるためである。すなわち、最終の溶体化処理では、第二相粒子を固溶させるための熱処理ではなく、既に溶体化されてあるのだから、その状態を維持しつつ再結晶のみ起こさせればよいので、軽めの熱処理で済む。具体的には、第一溶体化処理は加熱温度を850〜900℃とし、2〜10分間行えばよい。そのときの昇温速度及び冷却速度においても極力速くし、ここでは第二相粒子が析出しないようにするのが好ましい。なお、第一溶体化処理は行わなくても良い。
<中間圧延>
最終の溶体化処理前の中間圧延における圧下率を高くするほど、最終の溶体化処理における再結晶粒を均一かつ微細に制御できる。従って、中間圧延の圧下率は好ましくは70〜99%である。圧下率は{((圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。
<最終の溶体化処理>
最終の溶体化処理では、析出物を完全に固溶させることが望ましいが、完全に無くすまで高温に加熱すると、結晶粒が粗大化しやすいので、加熱温度は第二相粒子組成の固溶限付近の温度とする(Tiの添加量が2.0〜4.0質量%の範囲でTiの固溶限が添加量と等しくなる温度は730〜840℃程度であり、例えばTiの添加量が3.0質量%では800℃程度)。そしてこの温度まで急速に加熱し、水冷等によって冷却速度も速くすれば粗大な第二相粒子の発生が抑制される。従って、典型的には、730〜840℃のTiの固溶限が添加量と同じになる温度に対して−20℃〜+50℃の温度に加熱し、より典型的には730〜840℃のTiの固溶限が添加量と同じになる温度に比べて0〜30℃高い温度、好ましくは0〜20℃高い温度に加熱する。
また、最終の溶体化処理での加熱時間は短いほうが結晶粒の粗大化を抑制できる。加熱時間は例えば30秒〜10分とすることができ、典型的には1分〜8分とすることができる。この時点で第二相粒子が発生しても微細かつ均一に分散していれば、強度と曲げ加工性に対してほとんど無害である。しかし粗大なものは最終の時効処理で更に成長する傾向にあるので、この時点での第二相粒子は生成してもなるべく少なく、小さくしなければならない。
<時効処理>
最終の溶体化処理に引き続いて、時効処理を行う。ここでの時効処理は一般的な時効処理よりも低温短時間で実施することが望ましい。具体的には、式(1)の材料温度及び加熱時間の関係で時効処理することが好ましく、式(2)の材料温度及び加熱時間の関係で時効処理することがより好ましく、式(3)の材料温度及び加熱時間の関係で時効処理することが更により好ましい。図1に、式(1)〜(3)をグラフ上で表した。
式(1):−13x+6500≦y≦−13x+8900
式(2):−13x+6700≦y≦−13x+8700
式(3):−13x+6900≦y≦−13x+8500
(式中、x=材料温度(℃)、y=加熱時間(秒)を表し、350≦x≦650、1≦y≦3600である。)
時効処理は、酸化被膜の発生を抑制するためにAr、N2、H2等の不活性雰囲気で行うことが好ましい。材料温度が650℃を超えたり、時効処理時間が3600秒を超えたりすると、時効処理による第二相粒子が材料表面に析出して低CI値の面積率が大きくなり、また、n値が大きくなるため、疲労特性が損なわれてしまう。
<最終の冷間圧延>
上記時効処理後、最終の冷間圧延を行う。最終の冷間加工によってチタン銅の強度を高めることができるが、本発明が意図するような高強度と曲げ加工性の良好なバランスを得るためには圧下率を5〜50%、好ましくは20〜40%とすることが望ましい。更に冷間圧延における後方張力を、当該冷間圧延前(換言すれば先の時効処理後)の材料の圧延方向に平行な方向での0.2%耐力の20〜80%にすることが好ましく、40〜60%にすることがより好ましい。従来の冷間圧延では後方張力を、冷間圧延前の材料の0.2%耐力の0〜20%程度にするのが慣例であった。後方張力を高くすることで、材料表面への歪量を抑制させることができ、低CI値の面積率が小さくなって疲労特性が良好になる。
<最終の時効処理>
最終の冷間圧延に引き続いて、最終の時効処理を行う。ここでの時効処理も一般的な時効処理よりも低温短時間で実施することが望ましい。具体的には、式(1)の材料温度及び加熱時間の関係で時効処理することが好ましく、式(2)の材料温度及び加熱時間の関係で時効処理することがより好ましく、式(3)の材料温度及び加熱時間の関係で時効処理することが更により好ましい。図1に、式(1)〜(3)をグラフ上で表した。
式(1):−13x+6500≦y≦−13x+8900
式(2):−13x+6700≦y≦−13x+8700
式(3):−13x+6900≦y≦−13x+8500
(式中、x=材料温度(℃)、y=加熱時間(秒)を表し、350≦x≦650、1≦y≦3600である。)
時効処理は、酸化被膜の発生を抑制するためにAr、N2、H2等の不活性雰囲気で行うことが好ましい。材料温度が650℃を超えたり、時効処理時間が3600秒を超えたりすると、時効処理による第二相粒子が材料表面に析出して低CI値の面積率が大きくなり、また、n値が大きくなるため、疲労特性が損なわれてしまう。
なお、当業者であれば、上記各工程の合間に適宜、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト酸洗等の工程を行なうことができることは理解できるだろう。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらは本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
表1に示す合金成分を含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる合金を実験材料とし、合金成分、CI値、n値及び製造条件が0.2%耐力、曲げ加工性及び疲労特性に及ぼす影響を調査した。
まず、真空溶解炉にて電気銅2.5kgを溶解し、第三元素を表1に示す配合割合でそれぞれ添加した後、同表に示す配合割合のTiを添加した。添加元素の溶け残りがないよう添加後の保持時間にも十分に配慮した後に、これらをAr雰囲気で鋳型に注入して、それぞれ約2kgのインゴットを製造した。
上記インゴットに対して950℃で3時間加熱する均質化焼鈍の後、900〜950℃で熱間圧延を行い、続いて950℃で3時間加熱する均質化焼鈍および水冷を実施し、板厚15mmの熱延板を得た。面削による脱スケール後、冷間圧延して素条の板厚(2mm)とし、素条での第一の溶体化処理を行った。第一の溶体化処理の条件は850℃で10分間加熱とし、その後、水冷した。次いで、表1に記載の最終冷間圧延における圧下率及び製品板厚の条件に応じて圧下率を調整して中間の冷間圧延を行った後、急速加熱が可能な焼鈍炉に挿入して最終の溶体化処理を行い、その後、水冷した。このときの加熱条件は材料温度がTiの固溶限が添加量と同じになる温度(Ti濃度3.0質量%で約800℃、Ti濃度2.0質量%で約730℃、Ti濃度4.0質量%で約840℃)を基準として表1に記載の通りとした。次いで、Ar雰囲気中で表1に記載の条件で時効処理を行った。酸洗による脱スケール後、表1に記載の条件で最終冷間圧延を行い板厚0.15mmとし、最後に表1に記載の各加熱条件で時効処理を行って発明例及び比較例の試験片とした。試験片によっては熱間圧延後の均質化焼鈍及び水冷、最終の溶体化処理後の時効処理、最終の冷間圧延、並びに最終の時効処理のうち一つ以上の工程を省略した。
作製した試験片について、次の評価を行った。
(イ)結晶粒径
各試験片の平均結晶粒径(μm)を、次のように求めた。各試験片の板面(圧延面)を研磨したのちエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察し、300μm×300μmの視野において100個以上の結晶粒の粒径をJIS−H0501(1986)の切断法で測定し、平均結晶粒径を求めた。
(ロ)0.2%耐力
JIS13B号試験片を作製し、上述した測定方法に従い引張試験機を用いて圧延方向と平行な方向の0.2%耐力を測定した。
(ハ)曲げ部の外周表面の粗さ
JIS−H3130(2012)に従いW曲げ試験をBadway(曲げ軸が圧延方向と同一方向)、r/t=1.0で実施し、この試験片の曲げ部の外周表面を観察した。観察方法はレーザーテック社製コンフォーカル顕微鏡HD100を用いて曲げ部の外周表面を撮影し、付属のソフトウェアを用いて平均粗さRa(JIS−B0601:2013に準拠)を測定し、比較した。なお、曲げ加工前の試料表面はコンフォーカル顕微鏡を用いて観察したところ凹凸は確認できず、平均粗さRaはいずれも0.2μm以下であった。曲げ加工後の表面平均粗さRaが1.0μm以下の場合を○、Raが1.0μmを超える場合を×と評価した。
(ニ)疲労特性
JIS−Z2273(1978)に従って圧延直角方向に550N/mm2の両振り応力を107回繰り返し加えて試験し、破断の無かったものを○、破断したものを×とした。
(ホ)低CI値の面積率
信頼性指数(CI値)が0.2以下の面積率は、TSLソリューションズ社製のOIM−Analysisを用いて、上述した測定方法で求めた。
(ヘ)加工硬化係数(n値)
0.2%耐力を測定するのと同じ方法で、圧延方向と平行な方向の引張り試験を行い、応力−ひずみ曲線を得て、先述した方法によりn値を求めた。
(考察)
表2に試験結果を示す。発明例1〜18では、低CI値の面積率及びn値が適切であり、0.2%耐力が850MPa以上と高く、曲げ加工性に優れており、更には優れた疲労特性を有していた。
一方、比較例1は、熱間圧延後の均質化焼鈍及び水冷を行わなかったことから、低CI値の面積率が大きくなり、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例2は最終の溶体化処理温度が低すぎたことで未再結晶領域が生成し、低CI値の面積率が大きくなり、n値は過小となった。そのため、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例3は最終の溶体化処理温度が高すぎたことで結晶粒が粗大化し、n値が過小になったことで、0.2%耐力、曲げ加工性及び疲労特性が共に発明例よりも劣っていた。
比較例4は溶体化処理後の時効処理を行わなかったことから、n値が過小になり、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例5は特開2006−265611号公報に記載の製法で得た。ここでは、最終の圧延速度を120m/分とし、最終の時効処理における冷却時の300℃以上の温度範囲における冷却速度が50℃/時間となるように注意した。当該方法では低CI値の面積率が大きくなり、疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例6は溶体化処理後の時効処理における加熱温度が低すぎたことで、n値が過小になった。そのため、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例7は溶体化処理後の時効処理における加熱温度が高すぎたことで、低CI値の面積率が大きくなり、n値も大きくなった。そのため、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例8は最終の時効処理を行わなかったことから、低CI値の面積率が大きくなった。そのため、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例9は最終の時効処理における加熱温度が低すぎたことで、低CI値の面積率が大きくなった。そのため、曲げ加工性及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例10は最終の時効処理における加熱温度が高すぎたことで、低CI値の面積率が大きくなり、n値も大きくなった。そのため、0.2%耐力及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例11は特開2010−261066号公報に記載の製法で得た。当該方法では低CI値の面積率が大きくなり、曲げ加工性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例12は最終の冷間圧延における後方張力が低すぎたことで、低CI値の面積率が大きくなり、n値も大きくなった。そのため、曲げ加工性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例13は最終の冷間圧延における後方張力を高すぎたことで圧延中に材料が破断し、その後の工程を実施することができなくなった。
比較例14は最終の冷間圧延を実施しなかったことで、低CI値の面積率が大きくなる一方でn値が小さくなった。このため、0.2%耐力及び疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例15は最終の冷間圧延における圧下率が高すぎたことで、低CI値の面積率が大きくなり、n値も大きくなった。このため、曲げ加工性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例16は特開2014−15679号公報に記載の製法で得た。ここでは、インゴット製造時の冷却速度が0.1〜100℃/秒の範囲内であることを確認し、第一の溶体化処理に代えて、昇温速度10℃/秒で加熱し、200℃まで到達後、張力を200MPaとするテンションレベラーによる矯正も実施した。得られたチタン銅は低CI値の面積率が大きくなり、n値も大きくなったことから、0.2%耐力、曲げ加工性及び疲労特性が共に発明例よりも劣っていた。
比較例17は特開2012−7215号公報に記載の製法で得た。当該方法では低CI値の面積率が大きくなり、疲労特性が発明例のレベルには達しなかった。
比較例18は第三元素の添加量が多すぎたことで試験片の製造ができなかった。
比較例19はTi濃度が低すぎたことで、n値が大きくなったことから、0.2%耐力、曲げ加工性及び疲労特性が共に発明例のレベルに達しなかった。
比較例20はTi濃度が高すぎたことで熱間圧延で割れが発生したため、試験片の製造ができなかった。

Claims (7)

  1. Tiを2.0〜4.0質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、圧延面に対するEBSD測定における結晶方位解析において、信頼性指数(CI値)が0.2以下の面積率が20%以下であり、且つ、圧延方向に平行な方向における加工硬化係数(n値)が0.05〜0.2であるチタン銅。
  2. JIS−Z2241(2011)に従って引張試験を行ったときの、圧延方向に平行な方向における0.2%耐力が850MPa以上である請求項1に記載のチタン銅。
  3. JIS−Z2273(1978)に従って圧延直角方向に550N/mm2の両振り応力を107回繰り返したときに、破断が生じない請求項1又は2に記載のチタン銅。
  4. JIS−H3130(2012)に従ってW曲げ試験をBadway方向にr/t=1.0で行ったときに、曲げ部の外周表面における平均粗さRaが1.0μm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のチタン銅。
  5. Tiを2.0〜4.0質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる組成をもつインゴットを鋳造する工程と、
    当該インゴットに対して熱間圧延を施す工程と、
    熱間圧延後に均質化焼鈍を行い、水冷する工程と、
    その後、Tiの固溶限が添加量と同じになる温度に対して−20℃〜+50℃の温度に加熱して、最終溶体化処理を行う工程と、
    最終溶体化処理に続いて、次式:−13x+6500≦y≦−13x+8900(式中、x=材料温度(℃)、y=加熱時間(秒)を表し、350≦x≦650、1≦y≦3600である。)で表される材料温度及び加熱時間の関係を満たす条件で時効処理を行う工程と、
    時効処理に続いて、当該時効処理後の材料の圧延方向に平行な方向での0.2%耐力の20〜80%の範囲に後方張力を制御しながら、5〜50%の圧下率で最終冷間圧延を行う工程と、
    最終冷間圧延に続いて、次式:−13x+6500≦y≦−13x+8900(式中、x=材料温度(℃)、y=加熱時間(秒)を表し、350≦x≦650、1≦y≦3600である。)で表される材料温度及び加熱時間の関係を満たす条件で最終時効処理を行う工程と、
    を含む請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン銅の製造方法。

  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン銅を備えた伸銅品。
  7. 請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン銅を備えた電子部品。
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