JP6080159B2 - ペットフード - Google Patents

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本発明は、ペット(愛玩動物)として飼育される犬、猫等の哺乳動物用のペットフードに関し、特に水分含量の比較的少ないドライタイプのペットフードに関する。
犬、猫等の哺乳動物用のペットフードは、水分含量の少ない順に、ドライタイプ、セミモイストタイプ、ウエットタイプに大別される。各タイプには特長があり、一概にどのタイプが良いとは言えないが、ドライタイプのペットフードの粒は、その水分含量の少なさ故に、他タイプのペットフードに比して硬く、そのため研磨作用を有するので、口腔内の清掃、歯の健康維持に有効である。また、セミモイストタイプ及びウエットタイプは、水分含量が比較的多いことに起因して、腐敗細菌やカビが発生し易く、これを防止するために多量の防腐剤を添加すればペットの健康を害するおそれがあるところ、ドライタイプには、このような不都合が生じ難いというメリットもある。
ドライタイプのペットフードの粒は、その硬さ故に、歯の健康状態が良好な犬・猫等には適しているが、例えば、歯の健康状態が良くない高齢期の犬・猫あるいは噛む力の弱い幼齢期の犬・猫等にとっては、硬すぎて噛み砕くことが難しいという問題があった。噛み砕き難い粒は食べ難い粒となり、食べ難いということは嗜好性が低いということにつながる。ドライタイプのペットフードに固有の斯かる課題の解決を図った技術として、例えば特許文献1には、トウモロコシ、米、食肉等を含有する混合物を均一粉砕し加熱処理して成形した発泡体からなり、密度及び含水率がそれぞれ特定範囲にあるドライタイプのペットフードが開示されている。
特開2003−274868号公報
特許文献1に記載のペットフードは、幼齢期や高齢期の犬・猫等にとってある程度は噛み砕き易いものとなっているが、良好な嗜好性を得る迄には至っていない。噛み砕き易く嗜好性が良好なペットフードは未だ提供されていない。
本発明の課題は、噛み砕き易く嗜好性が良好なペットフードを提供することである。
本発明は、米粉及び馬鈴薯澱粉を含み、木屋式硬度計を用いて測定した硬度が3.0〜5.5kg/cm2、水中に10分間浸漬したときの吸水率が140〜170%であるペットフードである。
本発明によれば、噛み砕き易く嗜好性が良好なペットフードが提供される。
本発明のペットフードは、米粉及び馬鈴薯澱粉を必須成分として含有する。本発明で用いられる米粉は、米を粉砕して粉末状にしたものである。特許文献1に記載のペットフードでは、粉砕されていない粒状の米を原料として用いているのに対し、本発明では、粒状の米ではなく、これを粉砕して粉末状にした米粉を原料として用いている。特許文献1に記載のペットフードは、粒状の米及びその他の成分をミキサーに投入しその混合物を均一粉砕する処理を経て製造されるもので、斯かる粒状の米の粉砕方法では、最終的に得られるペットフード中において粒状の米が米粉と同程度の粉末状までは粉砕されていない蓋然性が高い。そして、このような両ペットフードにおける原料としての米の形態の違い(粒状と粉末状)は、ペットフードの硬度・弾力性等に違いとなって表れ易く、両ペットフードは噛み砕き易さ、嗜好性等の点で異なる蓋然性が高い。
米粉の原料となる米の種類は特に制限されず、粳米を原料とした粳米粉でも良く、糯米を原料とした糯米粉でも良く、あるいはこれらの混合物でも良い。また、米粉としては、酒製造時の副産物である糠(例えば中糠、中白糠、白糠)を用いることもできる。また、米粉の粒度分布及び粒径は特に制限されず、パン類、焼菓子等のベーカリー食品等に通常使用される米粉と同程度の粒度分布及び粒径のものを用いることができる。
また、本発明で用いられる馬鈴薯澱粉は、加工処理が施されていない通常の未加工馬鈴薯澱粉でも良く、架橋、α化、酸化、エステル化、エーテル化、アセチル化等の加工処理が施された加工馬鈴薯澱粉でも良く、あるいはこれらの混合物でも良い。
米粉の含有量は、本発明のペットフード中、該ペットフードの全質量に対して、好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%である。また、馬鈴薯澱粉の含有量は、本発明のペットフード中、該ペットフードの全質量に対して、好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは 10〜15質量%である。米粉及び馬鈴薯澱粉の含有量がそれぞれ前記範囲内にあると、後述するペットフードの硬度と吸水率とのバランスが一層良好となり、噛み砕き易く嗜好性が良好なペットフードが得られ易くなる。
本発明のペットフードには、前述した各成分(米粉、馬鈴薯澱粉)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、この種のペットフードにおいて従来用いられている他の成分の1種以上を含有させることができる。本発明のペットフードが含有し得る他の成分(原料)としては、例えば、動物性蛋白質原料(例えば、鶏、七面鳥、牛、豚、馬、羊、魚、卵製品、乳製品);植物性蛋白質原料(例えば、大豆蛋白、馬鈴薯蛋白);魚油等の動物性油脂;コーン油、サラダ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、ナタネ油、亜麻仁油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマワリ油等の植物性油脂;イモ類、トウモロコシ粉砕物、トウモロコシ粉等の炭水化物原料;栄養補強剤又は健康増進剤〔ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、アミラーゼ阻害剤、リパーゼ阻害剤、小麦グルテン加水分解物、コンドロイチン硫酸、ポリフェノール含有素材、乳酸菌、γ−アミノ酪酸(GABA)、コエンザイムQ10、繊維成分〕、調味料(食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ等)、香辛料(バジル、グローブ、ローズマリー等)、香味料(魚エキス等)、増粘剤(ガム類等)、ゲル化剤、繊維成分等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のペットフードは、木屋式硬度計を用いて測定した硬度が3.0〜5.5kg/cm2、好ましくは3.5〜5.0kg/cm2、更に好ましくは4.0〜4.5kg/cm2であり、且つ水中に10分間浸漬したときの吸水率が140〜170%、好ましくは145〜165%、更に好ましくは150〜160%である。一般に、ペットフードの硬度と吸水率とは二律背反の関係にあり、硬度の値が大きくなる(硬くなる)と、吸水率の値が小さくなる(水を吸わなくなる)傾向があるところ、本発明では、ペットフードの噛み砕き易さ、嗜好性の観点から両者の最適なバランスを検討した結果、前記特定範囲が最適との結論に至ったものである。ペットフードの硬度及び吸水率は、製造時の加熱温度、圧力等の製造条件によっても変動するが、両パラメータの変動に特に影響を及ぼすのはペットフードの組成である。従来用いられている一般的なドライタイプのペットフードの製造方法・製造条件において、米粉及び馬鈴薯澱粉を前記含有量で用いることにより、硬度及び吸水率が前記特定範囲にあるペットフードを得ることができる。
本発明において、「木屋式硬度計を用いて測定した硬度」とは、木屋式硬度計(例えば、株式会社藤原製作所製、「木屋式デジタル硬度計KHT−20N型」)を用い且つプランジャー先端直径5mm円形を用いて測定した数値をいう。
また、ペットフードの前記「水中に10分間浸漬したときの吸水率」は、具体的には次のようにして測定される。メスシリンダーに測定対象のペットフード20gを入れ、更に20±5℃の水を入れて該ペットフードを水中に完全に浸漬させ、その状態で10分間放置する。その後、測定対象のペットフードをメスシリンダーから取り出し、吸水紙(例えば、クレシア社製、商品名「キムタオル」)の上に3秒間載置して余分な水分を除去した後、該ペットフードの重量(浸漬後重量)を測定し、次式により目的とする吸水率(%)を算出する。尚、次式中の「浸漬前重量」は20gである。
(水中に10分間浸漬したときの吸水率)=[[(浸漬後重量)−(浸漬前重量)]/(浸漬前重量)]×100
本発明のペットフードの形状は特に制限されず、従来のドライタイプのペットフードと同様の形状にすることができ、例えば、円柱状、ペレット状、粒状、スティック状、ドーナツ状、星型、ドッグボーン状、勾玉状、偏平丸状、球状、楕円形状、方形状などの任意形状の小片にすることができる。これらの小片のサイズは特に制限されず、給与するペットの種類や年齢に応じたものとすることができる。また、本発明のペットフードの水分含量は、該ペットフードの全質量に対して、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは3〜9.5質量%である。
本発明のペットフードの製造方法は特に制限されず、従来用いられているペットフードの製造方法を採用して製造することができ、例えば、押出機(エクストルーダー)、射出成形機、圧縮成形機等を用いて常法に従って製造することができる。
本発明のペットフードは、犬、猫、ウサギ、フェレット、モルモット、ハムスター、ラット等、家庭で飼育可能な小型の哺乳動物用の食餌として適しており、特に、犬用のペットフード(ドッグフード)、とりわけ、幼齢期又は高齢期の犬用のドッグフードとして適している。また、本発明のペットフードのペットへの給与方法や給与量は特に制限されず、ペットの成長に必要な量、又は体重維持や健康維持に必要な量を給与すれば良い。
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
〔実施例1〜9及び比較例1〜4〕
下記表1に示す配合のドライタイプのドッグフードを製造した。より具体的には、ミキサーを用いて各原料を十分に混合した後、その混合物をエクストルーダーに供給して押出成型して膨化発泡させ、それをカッターにて切断して直径5mm、長さ10mmの円柱状の粒を造粒し、ドライヤーにて乾燥して、ドライタイプのドッグフード(水分含量10質量%以下)を製造した。下記表1に示す通り、米粉及び澱粉の含有量を各実施例及び比較例で適宜変更し(下記表2参照)、大豆粕以外の成分の含有量を固定し、全成分の合計が100質量%となるように大豆粕の含有量を適宜調整した。
Figure 0006080159
〔嗜好性の評価〕
年齢1歳以下の幼齢期の健常犬10頭を対象に、各実施例及び比較例のドッグフードを給与し、給与したドッグフードを全て摂取した(食べ残し量ゼロ)の場合を◎、食べ残し量がごく少量(給与したドッグフードの20質量%以下)の場合を○、食べ残し量が少量(給与したドッグフードの20質量%超且つ50質量%未満)の場合を△、食べ残し量が多量(給与したドッグフードの50質量%超)の場合を×とした。その結果を下記表2に示す。
尚、下記表2では、実施例をI〜IIIの3つのグループに分けているところ、グループIは、ペットフードにおける米粉の含有量を適宜変化させた例であり、グループIIは、ペットフードにおける澱粉(馬鈴薯澱粉)の含有量を適宜変化させた例であり、グループIIIは、ペットフードにおける澱粉の種類を適宜変化させた例である。表の見易さの観点から、下記表2では、実施例3を各グループに重複記載している。
Figure 0006080159

Claims (1)

  1. 米粉及び馬鈴薯澱粉を含み、木屋式硬度計を用いて測定した硬度が3.0〜5.5kg/cm2、水中に10分間浸漬したときの吸水率が140〜170%であり、
    前記米粉の含有量が20〜40質量%、前記馬鈴薯澱粉の含有量が5〜20質量%であるペットフード。
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