本発明の添加剤は、樹脂のアッベ数を向上(又は上昇)させるための添加剤(アッベ数向上剤、アッベ数上昇剤)である。そして、この添加剤は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(以下、フルオレン化合物ということがある)で構成されている。
[フルオレン化合物]
フルオレン化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有していればよく、反応性基を有しない化合物[例えば、9,9−ビスアリールフルオレン(例えば、9,9−ビスフェニルフルオレン)などの後述の式(1)においてpが0である化合物など]であってもよいが、通常、反応性基を有している。
反応性基としては、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基(例えば、グリシジルオキシ基)などが挙げられる。フルオレン化合物は、これらの反応性基を、単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
反応性基は、9,9−ビスアリールフルオレンに直接的に結合していてもよく、適当な連結基(例えば、(ポリ)オキシアルキレン基など)を介して結合していてもよい。
具体的なフルオレン化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物などが挙げられる。
[式中、環Zは芳香族炭化水素環、R1およびR2は置換基、Xは、基−[(OR3)n−Y](式中、Yは、ヒドロキシル基、メルカプト基、グリシジルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基、R3はアルキレン基、nは0以上の整数を示す。)又はアミノ基、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。]
上記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合二乃至四環式炭化水素など]が挙げられる。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。好ましい環Zには、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれ、特に、ベンゼン環であってもよい。
前記式(1)において、基R1としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]、アシル基(例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、ペンチルカルボニルなどのアルキルカルボニル基)などの非反応性置換基が挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、kが複数(2〜4)である場合、複数の基R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、異なるベンゼン環に置換した基R1は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、基R1の結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2および7位などが挙げられる。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、2つの置換数kは、同一又は異なっていてもよい。
環Zに置換する置換基R2としては、通常、非反応性置換基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−8アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ。);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい基R2としては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。さらに好ましい基R2には、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などが含まれる。
なお、同一の環Zにおいて、mが複数(2以上)である場合、基R2は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基R2は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、置換数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜8、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)、さらに好ましくは0〜2であってもよい。なお、異なる環Zにおいて、置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
前記式(1)の基Xにおいて、基R3で表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基が挙げられる。なお、nが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、2つの芳香族炭化水素環Zにおいて、基R3は同一であっても、異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
オキシアルキレン基(OR3)の数(付加モル数)nは、0以上(例えば、0〜20)であればよく、例えば、0〜15(例えば、1〜12)、好ましくは0〜10(例えば、1〜6)、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)、特に0〜2(例えば、0〜1)であってもよい。また、樹脂の種類によっては、nが0である場合又はnが1以上である場合において、顕著な改善効果が得られる場合などがある。そのため、樹脂の種類などによって、nが0である化合物、nが1以上である化合物のいずれかを選択してもよい。なお、置換数nは、異なる環Zに対して、同一であっても、異なっていてもよい。
好ましいXは、基−[(OR3)n−Y]であり、特に、Yはヒドロキシル基であるのが好ましい。なお、式(1)において、Yがヒドロキシル基である化合物は、下記式(1A)で表される。
(式中、Z、R1、R2、k、m、R3、n、pは前記式(1)と同じ。)
基Xの置換数pは、1以上(例えば、1〜6)であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。なお、置換数pは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
また、前記式(1)[又は(1A)]において、基Xの置換位置は、特に限定されず、環Zの適当な置換位置に置換していればよい。例えば、基Xは、環Zがベンゼン環である場合、フェニル基の2〜6位に置換していればよく、好ましくは4位に置換していてもよい。また、基Xは、環Zが縮合多環式炭化水素環である場合、縮合多環式炭化水素環において、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位など)に少なくとも置換している場合が多い。
具体的なフルオレン化合物(又は前記式(1)又は(1A)で表される化合物)には、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類[又は9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン骨格を有する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類]、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類[又は9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格を有する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類]などの前記式(1)においてXが基−[(OR3)n−OH]である化合物;これらの化合物において、ヒドロキシル基が、メルカプト基、グリシジルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基に置換した化合物などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン]などが挙げられる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、前記9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応し、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレン]などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(1)において、nが1である化合物);9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(1)において、nが2以上である化合物)などが含まれる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類としては、前記9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類に対応し、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン類などが含まれる。
これらのフルオレン化合物のうち、特に、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどの前記式(1A)においてnが0である化合物;9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン}などの前記式(1A)においてnが1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1)である化合物が好ましい。
フルオレン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、フルオレン化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法により合成したものを用いてもよい。
[アッベ数向上剤および樹脂組成物]
本発明の添加剤(フルオレン化合物)は、前記の通り、樹脂のアッベ数を向上(又は上昇又は改善)させるための添加剤(アッベ数向上剤、アッベ数上昇剤)として使用できる。
すなわち、フルオレン化合物を樹脂に添加又は混合することにより、樹脂およびフルオレン化合物を含む樹脂組成物のアッベ数が、樹脂(フルオレン化合物を添加又は混合していない樹脂)のアッベ数よりも大きくなる。
樹脂としては、幅広い樹脂を使用(又は適用)でき、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂(熱又は光硬化性樹脂)のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂{例えば、鎖状オレフィン樹脂[エチレン系樹脂(例えば、ポリエチレン)、プロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン)、ポリメチルペンテンなど]、環状オレフィン樹脂など}、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、フッ化樹脂など)、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂(例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂など)、ポリチオカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂[例えば、脂肪族ポリエステル樹脂(ポリ乳酸など)、芳香族ポリエステル樹脂など]、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド6/66などの脂肪族ポリアミド樹脂;ポリアミドMXDなどの芳香族ポリアミド樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、熱可塑性樹脂の分子量は、樹脂の種類に応じて選択できるが、例えば、数平均分子量で2000以上(例えば、3000以上)の範囲から選択でき、5000以上(例えば、8000〜1000000)、好ましくは10000以上(例えば、12000〜800000)、さらに好ましくは15000以上(例えば、20000〜500000)であってもよい。
また、硬化性樹脂(熱又は光硬化性樹脂)としては、例えば、アクリル樹脂(熱又は光硬化性アクリル樹脂)、フェノール樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、フラン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂などが挙げられる。硬化性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、硬化性樹脂は、その種類に応じて、硬化剤や硬化促進剤などを含有していてもよい。
樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、樹脂は、結晶性樹脂、非晶性樹脂のいずれであってもよい。
本発明の添加剤は、熱可塑性樹脂に好適に使用してもよい。
特に、本発明の添加剤は、芳香環骨格を有する熱可塑性樹脂(例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂など)に好適に使用してもよい。
以下、これらの樹脂について詳述する。
(芳香族ポリカーボネート樹脂)
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジオールとカーボネート形成性化合物とを重合成分とする樹脂が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノール類、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)などが挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ジヒドロキシアレーン[例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのジ(ヒドロキシC6−10アレーン)]、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン類、好ましくはビス(ヒドロキシフェニル)C1−8アルカン類]、ビス(ヒドロキシフェニルアリール)アルカン類[例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパンなどビス(ヒドロキシビフェニリル)C1−10アルカン類、好ましくはビス(ヒドロキシビフェニリル)C1−8アルカン類]、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類[例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C4−10シクロアルカン、好ましくはビス(ヒドロキシフェニル)C5−8シクロアルカン]、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類(例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テルなど)、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類(例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホンなど)、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類(例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシドなど)、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類(例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィドなど)、ビス(ヒドロキシフェニル−アルキル)アレーン類[例えば、4,4’−(o,m又はp−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールなどのビス(ヒドロキシフェニル−C1−4アルキル)C6−10アレーン、好ましくはビス(ヒドロキシフェニル−C1−4アルキル)ベンゼン]などが挙げられる。
これらの芳香族ジオールの中でも、特に、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−4アルカン]、ビス(ヒドロキシフェニル−アルキル)アレーン類[ビス(ヒドロキシフェニル−C1−4アルキル)ベンゼンなど]などのビスフェノール類が好ましい。芳香族ジオールは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
カーボネート形成性化合物としては、例えば、ホスゲン類(ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲンなど)、カーボネート類[例えば、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、ジアリールカーボネート(ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなど)などの炭酸ジエステル類]などが挙げられる。これらの中でも、ホスゲン、ジフェニルカーボネートなどを好適に用いてもよい。カーボネート形成性化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
(芳香族ポリエステル樹脂)
芳香族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリアルキレンアリレート樹脂、ポリアリレート樹脂[例えば、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)と芳香族ジオール(ビフェノール、ビスフェノールA、キシリレングリコール、これらのアルキレンオキサイド付加体など)を重合成分として用いたポリアリレート樹脂など)など]などが挙げられる。
ポリアルキレンアリレート樹脂としては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート)、アルキレンテレフタレート単位(ポリアルキレンテレフタレート単位)を有するコポリエステルなど]、ポリアルキレンナフタレート樹脂[例えば、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンナフタレート)、アルキレンナフタレート単位(ポリアルキレンナフタレート単位)を有するコポリエステルなど]、ポリシクロアルカンジアルキレンテレフタレート樹脂[例えば、ポリシクロアルカンジアルキレンテレフタレート(例えば、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、シクロアルカンジアルキレンテレフタレート単位(ポリシクロアルカンジアルキレンテレフタレート単位)を有するコポリエステルなど]などが挙げられる。
コポリエステルにおいて、共重合成分としては、例えば、ジオール成分[例えば、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのC2−6アルカンジオール)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジ乃至ヘキサC2−4アルカンジオールなど)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノール類のC2−4アルキレンオキシド付加体など)など]、ジカルボン酸成分{例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのC4−12アルカンジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸[例えば、非対称芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸など)、ジフェニルジカルボン酸など]など}、ヒドロキシカルボン酸成分(例えば、ヒドロキシ安息香酸など)などが挙げられる。共重合成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、コポリエステルにおいて、アルキレンアリレート単位(アルキレンテレフタレート単位、アルキレンナフタレート単位など)の割合は、例えば、40重量%以上、好ましくは50重量%以上であってもよい。
なお、芳香族ポリエステル樹脂は、結晶性であってもよく、非結晶性であってもよい。
また、芳香族ポリエステル樹脂は、直鎖状構造であってもよく、分岐状構造を有していてもよい。
芳香族ポリエステル樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
アッベ数向上剤(フルオレン化合物)の使用割合は、例えば、樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上(例えば、0.2〜200重量部)程度の範囲から選択でき、0.3〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部、さらに好ましくは1〜50重量部程度であってもよく、通常0.5〜50重量部(例えば、0.5〜40重量部、好ましくは0.7〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部)程度であってもよい。
本発明のアッベ数向上剤は、少量でも効率よくアッベ数向上効果を得ることができるため、例えば、アッベ数向上剤の使用割合を、樹脂100重量部に対して、20重量部以下(例えば、0.1〜18重量部)、好ましくは15重量部以下(例えば、0.2〜12重量部)、さらに好ましくは10重量部以下(例えば、0.3〜7重量部)、特に5重量部以下(例えば、0.5〜5重量部)とすることもできる。
また、本発明のアッベ数向上剤は、樹脂に対する親和性に優れ、比較的多い割合で添加しても樹脂特性を高いレベルで維持又は向上できる場合が多いため、アッベ数向上剤の使用割合を、樹脂100重量部に対して、20重量部以上(例えば、20〜100重量部)、好ましくは25重量部以上(例えば、25〜80重量部)、さらに好ましくは30重量部以上(例えば、30〜70重量部)とすることもできる。
このように本発明のアッベ数向上剤により、アッベ数が向上(又は上昇)した樹脂(樹脂組成物)が得られる。本発明は、このような樹脂組成物、すなわち、樹脂と、アッベ数向上剤とを含む樹脂組成物も含まれる。なお、このような樹脂組成物において、樹脂、アッベ数向上剤の種類および混合割合(使用割合)は前記の通りである。
なお、樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤[例えば、充填剤又は補強剤、着色剤(染顔料)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤、炭素材など]を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、樹脂組成物は、樹脂とフルオレン化合物(アッベ数向上剤)と[さらに、必要に応じて他の成分(添加剤など)と]を混合することで得ることができる。混合方法は、特に限定されず、例えば、溶融混練により混合してもよく、溶媒に各成分を溶解させることで混合してもよい。
また、本発明には、このような樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。このような成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択でき、例えば、二次元的構造(フィルム状、シート状、板状など)、三次元的構造(管状、棒状、チューブ状、中空状など)などが挙げられる。
特に、本発明の樹脂組成物は、光学的特性に優れている場合が多く、光学材料又は光学用成形体(特に、光学フィルム、光学レンズなど)を好適に形成してもよい。
成形体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などを利用して製造することができる。
特に、本発明の樹脂組成物は、種々の光学的特性に優れている場合が多く、フィルム(特に光学フィルム)を形成するのに有用である。そのため、本発明には、前記樹脂組成物で形成されたフィルム(光学フィルムなど)も含まれる。
フィルムの厚みは、1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば、1〜200μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜120μm程度であってもよい。
このようなフィルム(光学フィルムなど)は、前記樹脂組成物を、慣用の成膜方法、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法などを用いて成膜(又は成形)することにより製造できる。
フィルムは、延伸フィルムであってもよい。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸又は二軸延伸において各方向にそれぞれ1.05〜10倍(例えば、1.1〜5倍)程度であってもよく、通常1.1〜3倍(例えば、1.2〜2.5倍)程度であってもよい。なお、二軸延伸の場合、等延伸であっても偏延伸であってもよい。また、一軸延伸の場合、縦延伸であっても横延伸であってもよい。
延伸フィルムの厚みは、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜120μm、さらに好ましくは5〜100μm程度であってもよい。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(又は未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限がなく、一軸延伸の場合、湿式延伸法又は乾式延伸法などであってもよく、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法ともいわれる)、チューブ法などであってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ラボプラストミルにてポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、AD5003)を溶融後、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン、大阪ガスケミカル(株)製、以下、BCFという。)を表1に示す割合となるように、250℃で混合し、樹脂組成物を得た。なお、樹脂組成物は、いずれの割合においても透明であり、均一に混合されていた。
得られた樹脂組成物を120℃で乾燥させたのち、240℃(0重量%および1重量%)又は200℃(5重量%)でホットプレスし、シートを作成した。さらに、得られたシートを、150℃で加熱処理した後、シリコーン浴中、延伸温度180℃、延伸倍率1.2倍で熱延伸し、延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルム(厚み2mm)について、アッベ式屈折率計(アタゴ製)により、表1に示す温度(測定温度)で屈折率およびアッベ数を測定した。
また、得られた延伸フィルムについて、偏光顕微鏡(NIKON製、OPTIPHOT−POL)を用いて、偏光をコンペンセーターで相殺する方法で、複屈折を測定した。すなわち、延伸時の単位倍率あたりに増大する複屈折(Δn/λ)を測定した。
結果を表1に示す。なお、表1では、比較のため、BCFの割合が0重量%の結果も記載した。
表1の結果から明らかなように、BCFを添加することで、屈折率が上昇しているにもかかわらず、アッベ数が上昇した。また、複屈折が低下することもわかった。
(実施例2)
実施例1において、BCFにかえて9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、以下、BPEFという)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして測定した。なお、ホットプレス温度は240℃とした。
結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、BPEFを添加しても、同様に、屈折率およびアッベ数の上昇を確認できた。
(実施例3)
実施例1において、ポリカーボネート樹脂に代えて、ポリエチレンナフタレート樹脂(カネボウ製、H−PEN)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして測定した。なお、混合温度は280℃とし、ホットプレス温度は270℃とし、加熱処理温度は190℃とした。
また、得られた延伸フィルムから、サンプル(厚さ0.2mm、幅5mm、長さ50mm)を作成し、このサンプルにて、引張試験機(Tensilon RTC−1250(A&D))を用い、チャック間距離を20mmとして、引張速度2mm/分でサンプルが切断するまでの強度を測定した。
さらに、得られた延伸フィルムから、サンプル(厚さ0.2mm、幅1−2mm、長さ50mm)を作成し、このサンプルにて、動的粘弾性試験機(Rheogel E4000(ユービーエム))を用い、一軸引張モード(100Hz)で、室温(25℃)における貯蔵弾性率(E’)、tanδが最大となる温度(tanδmax)を測定した。
結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、ポリエチレンナフタレート樹脂においても、アッベ数が上昇した。また、機械的強度の向上を確認できた。さらに、tanδが最大となる温度が上昇しており、ガラス転移温度の上昇も確認できた。
(実施例4)
実施例1において、ポリカーボネート樹脂に代えて、ポリエチレンナフタレート樹脂(カネボウ製、H−PEN)を用いるとともに、BCFにかえてBPEFを用いたこと以外は、実施例1と同様にして測定した。なお、混合温度は260℃とし、ホットプレス温度は270℃とし、加熱処理温度は190℃とした。
結果を表4に示す。
表4の結果から明らかなように、ポリエチレンナフタレート樹脂においても、アッベ数が上昇した。また、複屈折が低下することもわかった。
(実施例5)
実施例1において、ポリカーボネート樹脂に代えて、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡(株)製、A−PET)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして測定した。なお、混合温度は270℃とし、ホットプレス温度は260℃とし、延伸温度は140℃とした。
また、得られた延伸フィルムを用い、示差走査熱量計((株)リガク製、Thermo plus DSC 8230)を用い、窒素中、昇温速度10℃/分で、室温から300℃の範囲でガラス転移温度(Tg)、融解熱を測定した。なお、融解熱においては、樹脂組成物と樹脂の二種の融解熱を算出した。すなわち、樹脂組成物の融解熱は、樹脂組成物全体の重量あたりの融解熱を示し、樹脂の融解熱は、樹脂組成物中の樹脂の重量あたり融解熱を示したものである。
さらに、得られた延伸フィルムから、サンプル(厚さ0.2mm、幅5mm、長さ50mm)を作成し、このサンプルにて、引張試験機(Tensilon RTC−1250(A&D))を用い、チャック間距離を20mmとして、引張速度2mm/分でサンプルが切断するまでの強度を測定した。また、この引張試験において、強度が最大となる強度(最大強度)も合わせて測定した。
結果を表5に示す。
表5の結果から明らかなように、ポリエチレンテレフタレート樹脂においても、アッベ数が上昇した。また、Tgも向上することがわかった。さらに、結晶化のしやすさの指標となる融解熱がポリエチレンテレフタレート樹脂および樹脂組成物双方において上昇した。結晶核が多数発生することにより結晶サイズが低下したためであると思われる。また、機械的強度が向上することもわかった。