JP6077355B2 - 包装体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系重合体フィルムのフィルムロールが内蔵された包装体の製造方法に関する。
ポリビニルアルコール系重合体フィルム(以下、「ポリビニルアルコール系重合体」を「PVA」と略記することがある)は、耐油性・水溶性などのユニークな特性を生かし、様々な用途に使用されている。
PVAフィルムの柔軟性は水分率および熱処理の影響を受け、水分率が低いほど・強い熱処理を行うほど、フィルムは剛直となり、逆に水分率が高いほど・熱処理が弱いほど、フィルムは軟らかくなる。そのため、PVAフィルムの熱処理条件および水分率は、その用途に応じて適宜調整される。一方、一般にPVAフィルムの耐水性・強度・耐熱性は熱処理の影響を受け、強い熱処理を行うほどフィルムの耐水性・強度・耐熱性は向上する。従って、耐水性・強度・耐熱性が良好でかつ柔軟なPVAフィルムとしては、熱処理済みで水分率の高いフィルムを挙げることができる。
PVAフィルムを熱処理する方法としては、水などの溶媒を大量に含んだ溶液または溶融状態のPVAを金属支持体等の上に流延して乾燥させるPVAフィルムの製造法において、得られたPVAフィルムをオンラインで熱ロールや熱風炉などで熱処理する方法が一般的だが、この方法では熱処理中にPVAフィルムの水分率が低下してしまい、水分率の高いフィルムを得ることは困難である。
この問題に対し、熱処理済みのPVAフィルムに吸湿させることにより、水分率の高いPVAフィルムを得ることは知られているが(特許文献1(特許請求の範囲等))、熱処理後に調湿する方法では、吸湿速度が遅いため生産性に劣る問題に加え、PVAフィルムの乾燥・熱処理プロセスにて水分率を低下させたフィルムに、改めて吸湿させることになるため、エネルギー効率・コスト的に見ても不利である。
一方、多層フィルムの層間接着力を改善するためにフィルムをロール状に巻いた後に熱処理する方法も知られている(特許文献2(段落0012および0053等))が、PVAフィルムの熱処理にこの方法を採用すると、熱処理前後で水分率が大きく変化すると共に、ロールの径方向に顕著な水分率の分布を生じ、フィルムの均一性が大きく損なわれるおそれがある。
特開2004−160846号公報 特開2000−318081号公報
本発明は、上記した従来技術の欠点を解決し、熱処理後のフィルムロールの水分率が均一で、耐水性・強度・耐熱性等の品質のムラの少ないPVAフィルムのフィルムロールが内臓された包装体を、安価に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、上記目的は、PVAフィルムを芯管に巻きつけたフィルムロールを防湿性の包装材料にて包装し、70〜200℃で、0.5〜120時間熱処理する工程を有する包装体の製造方法を提供することによって達成される。
上記目的は、上記発明において熱処理後のPVAフィルムの水分率(W質量%)が4〜12質量%になるように調整することにより、より好適に達成される。
また、上記目的は、上記発明において熱処理前のPVAフィルムの水分率(W質量%)および熱処理後のPVAフィルムの水分率(W質量%)が|W−W|<1.5質量%を満足するように調整することにより、より好適に達成される。
さらに、上記目的は、上記発明において熱処理後のフィルムロールの最表層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度および芯管と接する層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度が、いずれも120〜250質量%になるように調整することにより、より好適に達成される。
さらにまた、上記発明において防湿性の包装材料の透湿度が2g/m・日以下であることによって、より好適に達成される。
加えて上記目的は、防湿性の包装材料が防湿性フィルムであることによって、より好適に達成される。
本発明によれば、熱処理後のフィルムロールの径方向のどの位置でもほぼ一定の水分率とすることができることから、品質ムラの少ないPVAフィルムのフィルムロールを、安価に製造することができる。
実施例1のフィルムロール端部を示す概略図である。 実施例1で使用するポリプロピレン製のスリーブ形状の固定具の概略図である。
本発明において、PVAフィルムを芯管に巻きつけたフィルムロールを防湿性の包装材料にて包装し、70〜200℃で、0.5〜120時間熱処理する工程を有することは、本発明の目的達成のためには極めて重要である。熱処理温度は80〜190℃がより好適であり、85〜185℃がさらに好適である。また、熱処理時間は1〜72時間であることがより好適であり、1.5〜60時間であることがさらに好適である。
熱処理の方法は特に限定されないが、熱風などの高温物をロールに接触させる方法が好適であり、特に熱風乾燥機を用いる方法が、設備のコスト・操作の簡便性などの観点より好ましい。後述のように防湿性の包装材料としてアルミラミネートフィルムを使用する場合は、赤外線や放射伝熱により加熱する方式では包材のアルミニウム層に反射されてしまうので、効率が悪くなりやすく、またマイクロウェーブによる加熱は適用不適である。
フィルムロールを防湿性の包装材料にて包装する方法としては、フィルムロールを金属製や耐湿性樹脂製のコンテナ内に入れる方法や、フィルムロールを防湿性フィルムで包装する方法が例示され、特にフィルムロールを防湿性フィルムで包装する方法が、フィルムロールと包装材料の間の空気層を極少化でき、また包装材料自体の厚みも薄くすることができるので、包装外部からの熱を効率的にフィルムロールに伝えることができ、より好ましい。
フィルムロールを防湿性フィルムで包装する方法としては、フィルムロールを防湿性フィルムで完全に密封包装する方法、フィルムロールの両端の防湿性フィルムを芯管の内部に折り曲げる方法が挙げられるが、後者の方法の方が、芯管の内部への空気の出入りが自由であり、PVAフィルムを芯管の内側からも加熱することができるので、効率的な熱処理が可能であり、好ましい。
このように防湿性の包装材料で包装したフィルムロールの包装体を熱処理することにより、包装体内の水分率はほとんど変化することがなく、またどの層も水分率を一定に保持することができる。
本発明において、熱処理後のPVAフィルム(PVAフィルム全体)の水分率(W質量%)が4〜12質量%であると、水分率が適度に高くて、PVAフィルムが硬くなりすぎず、しかも適度な耐水性を有するPVAフィルムとなりやすいことから好ましい。最適な水分率(W質量%)は5〜10質量%である。
本発明によれば、PVAフィルムの水分率を、フィルムロールの径方向のどの部位もほぼ一定とすることができる。具体的には、径方向の各部位の水分率の最大値と最小値の差を当該最大値に対して好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.25倍以下、さらに好ましくは0.2倍以下、特に好ましくは0.1倍以下とすることができる。ここで、水分率とは含水状態のPVAフィルム中に含まれる水の質量分率である。
本発明において、熱処理前のPVAフィルム(PVAフィルム全体)の水分率をW質量%とするとき、|W−W|<1.5質量%を満足するように調整することも好適である。さらに好適には|W−W|<1質量%である。このように調整することにより熱処理後のPVAフィルムの水分率をフィルムロールの径方向のどの部位もほぼ一定とすることができる。Wの値はWの値より大きくてもよいし、また小さくてもよい。
フィルムロールの最表層のPVAフィルムおよび芯管と接する層のPVAフィルムは、中間層のPVAフィルムに比べより高度に熱処理されるために、最表層のPVAフィルムおよび芯管と接する層のPVAフィルムの膨潤度が、中間層のPVAフィルムの膨潤度に比べ小さくなりやすい。本発明においては、熱処理後のフィルムロールの最表層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度および芯管と接する層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度が、いずれも径方向中心部のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度に対して70〜96%であるフィルムロールを得ることができる。このようなフィルムロールは、各種装置でPVAフィルムを使用する時に、フィルムロールを使い切って次のフィルムロールに切り替える際、フィルムのつなぎ目に起因するシワを速やかに低減できる。この観点より、フィルムロールの最表層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度および芯管と接する層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度が、径方向中心部のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度に対して88〜95%とすることがより好適である。
熱処理後のフィルムロールにおいて、最表層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度および芯管と接する層のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度は、いずれも120〜250質量%の範囲から選ばれるのが好適であり、さらに好適には130〜230質量%、最適には140〜210質量%である。一方、熱処理後のフィルムロールにおいて、径方向中心部のPVAフィルムの幅方向中央部における膨潤度は125〜280質量%の範囲から選ばれるのが好適であり、さらに好適には135〜260質量%、最適には145〜240質量%である。
ここで膨潤度とは、乾燥状態のPVAフィルムの質量に対する、飽和膨潤状態のフィルム中に含まれる水の質量の割合(水膨潤度)を意味する。また最表層のPVAフィルムの膨潤度とはフィルムロールの一番外側(外周面)のPVAフィルムの膨潤度を、芯管と接する層のPVAフィルムの膨潤度とはフィルムロールの一番内側のPVAフィルムの膨潤度をそれぞれ意味し、また径方向中心部のPVAフィルムの膨潤度とは、フィルムロールに巻き取られたPVAフィルムの巻き径の長さの1/2地点(すなわち、最表層のPVAフィルムと芯管と接する層のPVAフィルムとの間の中間地点)に位置するPVAフィルムの膨潤度を意味する。これらフィルムロールの各位置におけるPVAフィルムの膨潤度は、包装材料による包装からフィルムロールを取り出した後、対象となるPVAフィルムを速やかに巻き出した直後に測定するのが好ましい。
膨潤度は、径方向中心部のPVAフィルムより最表層のPVAフィルムおよび芯管と接する層のPVAフィルムに向かって徐々に傾斜して小さくなっている構造が好適である。
本発明におけるPVAフィルムは、水に対して易溶性であってもよいし難溶性であってもよく、またPVAは特に限定されないが、けん化度については75モル%以上、好適には75〜99.9モル%、より好適には80〜99.5モル%、重合度については300〜8000、好適には400〜5000、より好適には500〜2500の範囲から、用途に応じて適宜選ぶことができる。
ここで、PVAのけん化度は、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。PVAのけん化度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。また、重合度(P)は、JIS K6726−1994に準じて測定される平均重合度を意味し、PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
PVAは、ビニルエステル系モノマーを重合し、得られるビニルエステル系重合体をけん化することにより製造することができる。ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビニルが価格・入手性などから好ましい。
ビニルエステル系モノマーを重合させる際に、必要に応じて、共重合可能な他のモノマーを、発明の効果を損なわない範囲内で共重合させることもできる。このようなビニルエステル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のオレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
また、上記した以外に、好適な共重合可能なモノマーとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドに代表されるN−ビニルアミド類が挙げられ、好適なN−ビニルアミド系単量体としては、下記式(I)で示される単量体、N−ビニル−2−ピロリドン類、N−ビニル−2−カプロラクタムなどが挙げられる。
CH=CH−N(R)−C(=O)−R (I)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
上記式(I)において、Rで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを挙げることができ、また、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基などを挙げることができる。上記式(I)で示される単量体としては、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどを例示することができる。また、N−ビニル−2−ピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−プロピル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピロリドンなどを例示することができる。
本発明において使用する防湿性の包装材料は、透湿度が2g/m・日以下であることが本発明の目的を達成する上で好適である。さらに好適には透湿度が1g/m・日以下である。ここで、透湿度はJIS Z0208に準じて、40℃、90%RHで測定される値である。
ここで防湿性の包装材料としては、前述のように金属製や耐湿性樹脂製のコンテナや、防湿性フィルムが例示され、防湿性フィルムがより好ましい。
防湿性フィルムとしては、金属フィルム、耐湿性樹脂フィルム、あるいは金属を蒸着した樹脂フィルム、シリカやアルミナを蒸着した樹脂フィルムが例示されるが、とりわけ金属フィルムが好適である。金属フィルムとしてはアルミニウム箔と耐湿性樹脂などの樹脂フィルムを積層したアルミラミネートフィルムが、防湿性が非常に高く、耐屈曲性も良好であることから、特に好適である。単層あるいは積層として使用される耐湿性樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂(ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなど)、ハロゲン樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)などが挙げられ、ポリエステル、ポリオレフィンが好適である。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられるが、これらのうちポリエチレンテレフタレートが好適である。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン共重合体(エチレン−プロピレン共重合体、アイオノマーなど)、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどが挙げられるが、これらのうちポリプロピレン、高密度ポリエチレンは防湿性が高く、特に好適である。
本明細書において使用するフィルムロールの巻き径とは、芯管に巻き重ねたPVAフィルムの層の、芯管外表面からPVAフィルム層の最表層までの距離をいい、当該巻き径は必ずしも限定されないが、50〜300mmであることが好適であり、最適には60〜200mmである。フィルムロールの巻き径が300mmを超える場合、フィルム中間層への熱の浸透に時間がかかるおそれがある。また、フィルムロールの巻き径が50mm未満の場合、フィルムロールのPVAフィルムの巻き長が短すぎて、生産性が不良になるおそれがある。
本発明において使用する芯管は特に限定されないが、金属管、樹脂管、紙管が挙げられ、金属管は伝熱効率が高いので、特に好適である。金属管としては、アルミニウム管、鉄鋼管が挙げられ、アルミニウム管としては、アルミニウム管、アルミニウム合金管が挙げられる。アルミニウム合金としては、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素合金、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム−銅合金などが挙げられる。鉄鋼管としては、炭素綱、高張力鋼、ステンレス鋼などの鉄綱または鉄綱合金が挙げられる。
本発明において使用する芯管のサイズはPVAフィルムの用途・使用装置・芯管材質によって適宜選択可能だが、一般的には外径20〜300mmのものが使用され、好適には50〜250mmである。また、芯管の厚みについては一般的に1〜30mmのものが使用されるが、PVAフィルムを芯管側からも加熱するためには薄いことが好ましく、厚みは1〜20mmが好ましく、1〜15mmが最適である。
芯管の長さは、2m以上が好適であり、さらに好適には3m以上である。上限については10m以下が好適であり、さらに好適には8m以下である。芯管の長さは、通常、PVAフィルムのフィルム幅と同一かまたは少し長めであるが、フィルム幅より少し長めであることが好適である。例えば、芯管長さは、フィルム幅よりも1mm〜40cm長いことが好適であり、さらに好適には5mm〜30cm長いことである。
本発明において、PVAフィルムのフィルムロールを作る方法としては、例えば、PVAを溶剤に溶解したPVA溶液を使用して、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、乾湿式製膜法、ゲル製膜法(PVA水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去し、PVAフィルムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法や、含水PVA(有機溶剤などを含んでいてもよい)を溶融して行う溶融押出製膜法などにより得られたPVAフィルムを芯管に巻きつける方法など、公知の方法が挙げられる。PVAフィルムを製造する際に使用されるPVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10〜70質量%が好適であり、10〜60質量%がより好適である。
芯管に巻きつけるPVAフィルムの膨潤度(熱処理前の膨潤度)としては、PVAフィルムの用途にもよるが、例えば、150〜400質量%の範囲内である。
本発明において、フィルムロールの両端面近傍のPVAフィルムはそれ以外の部分のPVAフィルムに比べより強い熱処理を受けるため、PVAフィルムの物性に若干の違いを生ずることがある。そのためPVAフィルムの用途によってはフィルムロール端面近傍のフィルムを切除する必要がある場合がある。この切除部分の割合を低減するためにはフィルム幅が広い方が有利であり、この観点よりPVAフィルムのフィルム幅が2m以上であることが好ましく、3m以上がより好ましい。上限については10m以下が好ましく、8m以下がより好ましい。
PVAフィルムの厚みは5〜500μmが好ましく、10〜150μmがより好ましい。PVAフィルムの長さは、500m以上が好ましく、1000m以上がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、PVAフィルムの水分率、強度、耐水性および膨潤度については以下の方法により測定した。
(1)PVAフィルムの水分率
まず、水分率を求めるPVAフィルムの質量を計量した(質量A)。次に、このPVAフィルムを50℃で4時間真空乾燥した後、再度計量した(質量B)。得られた質量AおよびBを用いて、以下の式により、PVAフィルムの水分率H(質量%)を求めた。
H=[(A−B)/A]×100
水分率が低いほど、そのフィルムは剛直である。
(2)PVAフィルムの強度
PVAフィルムを23℃、50%RHの条件下に24時間放置して調湿した後、幅25mm×長さ10cmの試験片を切り出し、株式会社島津製作所製試験装置「オートグラフAS−100」にチャック間隔20mmで取り付け、引張速度500mm/分で引張試験を行い、フィルムの破断時の強度・伸度を測定し、それらをフィルムの強度の指標とした。破断時の強度・伸度が高いほど、フィルムの強度は高い。
(3)PVAフィルムの耐水性
幅5mm×長さ30mmにカットしたPVAフィルムの長手方向先端から、そこより長手方向に5mmの部分にかけて、クリップにより重りを取り付けた。重りの質量はクリップの質量も含めて、PVAフィルムの膜厚1μmあたり0.05gとなるようにした。続いて、クリップにより重りを取り付けた部分も含め、PVAフィルムのクリップを取り付けた側の端から長手方向に10mmまでを40℃の蒸留水中に浸漬させた。次いで蒸留水の温度を3℃/分の昇温速度で上昇させて、フィルムが切断する温度を測定し、それをフィルムの耐水性の指標とした。このフィルムが熱水中で破断する温度が高いほど、フィルムの耐水性も高い。
(4)PVAフィルムの膨潤度
約2gのPVAフィルムを採取し、幅2〜4mm、長さ3〜5cmの短冊状に切断した。30℃の蒸留水に10分間浸漬後に、遠心脱水機に3000rpmで5分間脱液を行い、wet重量を測定した。さらに105℃で24時間乾燥を行い、dry重量を測定した。そして、[wet重量]÷[dry重量]×100の計算式により膨潤度を求めた。
[実施例1]
グリセリンを14質量%含有する、重合度1700、けん化度99.5モル%のPVAフィルムを製膜し、内径76mm、厚み10mm、長さ1060mmの紙管(芯管)の上に、1200mの長さに巻き取った。PVAフィルムの厚みは30μm、幅は1020mm、水分率は6.2質量%、膨潤度は341質量%であった。また、巻きあがったフィルムロールの巻き径は66mmであった。
このフィルムロールに、透湿度0.1g/m・日、厚み100μm、幅1550mm、長さ1500mmのアルミラミネートフィルム(ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/ポリプロピレン積層フィルム)を巻き付けた。巻き付けたアルミラミネートフィルムの端は、25mm幅のアルミテープにてアルミラミネートフィルムの幅いっぱいにテープ止めした。続いて、図1に示すような、フィルムロール(PVAフィルム層4)の両サイドに余ったアルミラミネートフィルム1を、紙管3の両端部の開口部に押し込み、図2に示すようなポリプロピレン製のスリーブ形状(円筒の片側に小さなフランジが付いた形状)の固定具2を挿入した。従って、芯管の両端部は外気に対して開口されている。
この梱包したフィルムロールを100℃の熱風乾燥機に入れ、24時間、熱風にて熱処理した。熱処理後のPVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、アルミラミネートフィルムで梱包したフィルムロールを熱処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、PVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、フィルムロールをアルミラミネートフィルムで梱包しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱処理を行い、熱処理後のPVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、製膜に用いるPVAを重合後2400、けん化度98.5モル%のPVAに変更したこと以外は実施例1と同様にして、PVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例2において、アルミラミネートフィルムで梱包したフィルムロールを熱処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、PVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、熱風乾燥機の温度を90℃に、熱処理の時間を48時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、PVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、フィルムロールを梱包するフィルムをアルミラミネートフィルムから透湿度1.5g/m・日、厚み80μmの高密度ポリエチレンのフィルムに変更したこと以外は実施例1と同様にして、PVAフィルムの水分率・強度・耐水性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006077355
本発明によれば、硬くなく、かつ適度な耐水性・強度・耐熱性を有するPVAフィルムのフィルムロールが生産性良く得られるので、従来のPVAフィルムの用途、例えば、離型フィルム、繊維製品包装用フィルム、光学用フィルムなどに極めて有用である。
1.アルミラミネートフィルム
2.スリーブ形状の固定具
3.芯管
4.PVAフィルム層

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール重合体フィルムを芯管に巻きつけたフィルムロールを防湿性の包装材料にて包装し、前記防湿性の包装材料の透湿度が2g/m ・日以下であり、70〜200℃で、0.5〜120時間熱処理する工程を有する包装体の製造方法。
  2. 熱処理後のポリビニルアルコール重合体フィルムの水分率(W質量%)が4〜12質量%である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 熱処理前のポリビニルアルコール重合体フィルムの水分率(W質量%)および熱処理後のポリビニルアルコール重合体フィルムの水分率(W質量%)が|W−W|<1.5質量%を満足する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 熱処理後のフィルムロールの最表層のポリビニルアルコール重合体フィルムの幅方向中央部における膨潤度および芯管と接する層のポリビニルアルコール重合体フィルムの幅方向中央部における膨潤度が、いずれも120〜250質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 防湿性の包装材料が防湿性フィルムである、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2013065463A 2012-03-30 2013-03-27 包装体の製造方法 Active JP6077355B2 (ja)

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