JP6076855B2 - マイクロカテーテル及びカテーテル器具 - Google Patents
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Description
本発明のマイクロカテーテルは、硬度が異なる複数の可撓性のプラスチック層の中に編み込み物(ブレード)を埋め込むことにより、カテーテルの耐圧性を向上させるとともに、抗キンク性を高めたものであり、かくして、超選択的に微細血管へアプローチすることを可能とし、また超選択的な血管の造影や、投薬、塞栓等の処置を可能としたものである。
細い曲折した血管路等に使用されるこのようなマイクロカテーテルには、極細であることに加え、屈曲した血管等の管腔内を、血管を傷つけことなく挿入しうるという非常に高い可撓性が要求されるものであるが、一方、可撓性の極細のマイクロカテーテルは、半径が急な通路内でねじれ易いため、管腔における流れを制限したり、止めてしまったりするという問題があった。
また、マイクロカテーテルを管腔内流路に沿って前進させたり、トルクを伝達させたりする際、このような極細の構造では、構造的に安定でないため、カテーテルの全長に渡った様々な部位で、チューブが曲がってしまったり、ねじれてしまったりするという問題があった。
マイクロカテーテルは、先端部(遠位部ともいう)を細く、基端部(近位部ともいう)を太くするのが、設計上の必須の基本構造であり、シャフトチューブの外寸法を変化させることなく、硬度のみを変化させるという、特許文献1に記載のごとき、マイクロカテーテルは、実現困難であり、現実には、製品化されていない。
親カテーテルの細経化[(4Frから3Fr、Fr(フレンチ)は、外径の単位で、1Frは、約0.33mmに相当する。]により、従来のカテーテル(特許文献2に記載のマイクロカテーテル)では、近位部が親カテーテル内壁に当たり通過しにくい状態になっている。
その対策として、近位部の外径を出来るだけ、中間部の外径に近づけたマイクロカテが必要となってきている。
当該シャフトチューブ(2)は、親カテーテルの内壁に接触しないで通過できる最大外径(MXOD)を有し、
前記シャフトチューブ(2)は、基端PE側から末端DE側に向けて、順次、近位部(3)、中間部(4)、及び遠位部(5)の硬度の異なる三種類の領域を有し、
前記シャフトチューブ(2)は、内層(8)、補強材(7)、及び外層(10)を有し、
当該外層(10)は、第一外層(11)、第二外層(12)、及び第三外層(13)とを有し、
前記近位部(3)は、前記内層(8)、前記補強材(7)、前記第一外層(11)、及び第三外層(13)とを有し、
前記内層(8)の外周に前記補強材(7)を装着し、当該内層(8)及び当該補強材(7)の外周に、前記第一外層(11)を被覆し、当該第一外層(11)の外周に、前記第三外層(13)を被覆し、
前記中間部(4)は、前記内層(8)、前記補強材(7)、前記第一外層(11)、及び第二外層(12)とを有し、
前記内層(8)の外周に前記補強材(7)を装着し、当該内層(8)及び当該補強材(7)の外周に、前記第一外層(11)を被覆し、当該第一外層(11)の外周に、前記第二外層(12)を被覆し、
前記遠位部(5)は、前記内層(8)、前記補強材(7)、及び前記第一外層(11)とを有し、
前記内層(8)の外周に前記補強材(7)を装着し、当該内層(8)及び当該補強材(7)の外周に、前記第一外層(11)を被覆し、
前記近位部(3)と前記中間部(4)とを、前記最大外径(MXOD)に形成し、
前記近位部(3)と前記中間部(4)とを、同じ外径に形成し、前記遠位部(5)の外径は、前記近位部(3)と前記中間部(4)よりも小さく形成し、
前記第一外層(11)、前記第二外層(12)及び前記第三外層(13)は、同一材料で形成し、
前記第三外層(13)、前記第二外層(12)及び前記第一外層(11)は、硬度を、前記第三外層(13)>前記第二外層(12)>前記第一外層(11)の順に大きい材料で形成し、
前記シャフトチューブ(2)の硬度は、前記近位部(3)>前記中間部(4)>前記遠位部(5)の順に大きくなるように形成し、
前記近位部(3)の第三外層(13)の末端DE側と中間部(4)の第二外層(12)の基端PE側との間に、中間近位部(3・4)を形成し、
当該中間近位部(3・4)は、前記近位部(3)の第三外層(13)の末端DE側の傾斜接合部(3TS)と、前記中間部(4)の第二外層(12)の基端PE側の傾斜接合部(4TS)とを接合することにより形成し、
前記傾斜接合部(3TS)は、近位部(3)の末端DE側に、末端DE側に上るテーパーに形成し、
前記傾斜接合部(4TS)は、中間部(4)の基端PE側に、基端PE側に下るテーパーに形成し、
近位部(3)の末端DE側の外径3DEOと、中間部(4)の基端PE側の外径4PEOとが、同じになるように形成し、
中間近位部(3・4)の第三外層(13)から第二外層(12)、または第二外層(12)から第三外層(13)へ変化する厚みは、基端PE側から末端DE側に見て、第三外層(13)は減少し、第二外層(12)は増加し、
前記近位部(3)の末端DE側の外径(3DEO)と、前記中間部(4)の基端PE側の外径(4PEO)とは同じとなるように形成し、
第二外層(12)の末端DE側は、末端DE側に下るテーパー状に形成し、第二外層(12)の厚みは、基端PE側から末端DE側に減少するように形成し、
マイクロカテーテルの近位部(3)、中間近位部(3・4)及び前記中間部(4)の最大外径(MXOD)は、0.80mmであり、遠位部(5)の外径は、0.70mm〜0.76mmに形成し、
中間近位部(3・4)の長さの割合(RL)は、シャフトチューブ2の有効長(EL)に対して、1%〜25%に形成し、
中間近位部(3・4)の傾斜接合部(3TS・4TS)のテーパーの角度(Tθ)は、0.03°〜2.0°に形成したマイクロカテーテル(1)を提供する。
前記親カテーテルは、長手L方向を有し、前記マイクロカテーテルが、当該親カテーテルの内壁に接触しないで、長手L方向に通過できる最大内径(MXID)を有するカテーテル器具を提供する。
(2)近位部3の末端DE側の外径3DEOと、中間部4の基端PE側の外径4PEOとは実質的に同じとなるように形成でき、細径のマイクロカテーテルの製造が容易である。
(3)近位部3が親カテーテル内壁に当たることなく、末梢血管への挿入も容易である。
以下、本発明を明確に説明するため、次の定義をおく。
マイクロカテーテルは、細長い、いわゆる「管状」(または「チューブ状」部材)という場合がある。)である。
マイクロカテーテルは、長手L方向と、長手L方向と略垂直に交差する短い方向(「側部S方向」ともいう)とを有する。
長手L方向は、マイクロカテーテルの長い方向を意味する。
「側部S方向」は「外周方向」ともいう。
「基端PE(側または方向)」とは、図1に示すように、「末端DE(側または方向)」と反対側の端部を意味する。術者がマイクロカテーテルを操作する側の端部を意味する。
「中間部(側または方向)」とは、「基端PE(側または方向)」と「末端DE(側または方向)」との中間を意味する。
「硬度」とは、ショア硬度Dを意味し、本件発明の説明で、単に硬度、硬度D、または単に○○(数値)Dと記載している。
シャフトチューブ2の「有効長:EL」とは、先端チップ6の末端DE側から近位部3の基端PE側まで(コネクターカバー20で覆っていない端部)を意味する。
親水被覆部HPCの「長さ:SL」とは、先端チップ6の末端DE側から近位部3の被覆した途中を意味する。
本発明のカテーテル器具は、マイクロカテーテル1を挿入するための親カテーテル(図は省略)とマイクロカテーテル1とを有する。
親カテーテルは、長手L方向を有し、マイクロカテーテル1が、当該親カテーテルの内壁に接触しないで、長手L方向に通過できる最大内径MXID(図は省略)を有する。
マイクロカテーテル1は、長手L方向を有するシャフトチューブ2を有し、当該シャフトチューブ2は、親カテーテルの内壁に接触しなで通過できる最大外径MXODを有する。
図1は、本発明のマイクロカテーテル1の概略図である。図2は図1の一部拡大断面図である。図2(A)は側面図、図2(B)は縦断面図、図2(C)は図2(B)の一部拡大図である。
図3は図1のA−A´断面図、図3は図1のB−B´断面図、図5は図1のC−C´断面図である。
本発明のマイクロカテーテル1は、シャフトチューブ2を有する。
シャフトチューブ2は、基端PE(側または方向)から末端DE(側または方向)
に向けて、順次、近位部3、中間部4、及び遠位部5を有する。
近位部3は、基端PE(側または方向)に位置する。
遠位部5は、末端DE(側または方向)に位置する。
中間部4は、中間(側または方向)に位置する。
近位部3の末端DE側の外径3DEOと、中間部4の基端PE側の外径4PEOとが実質的に同じとなるように、かつ硬度の変化によるキンクが生じないように形成している。
さらにいえば、近位部3の末端DE側は、末端DE側に上るテーパーの傾斜接合部3TSに形成している。
中間部4の基端PE側は、基端PE側に下るテーパーの傾斜接合部4TSに形成している。
さらにいえば、近位部3の末端DE側の下部D側から中間部4を形成し、硬度の傾斜を付けている。
中間部4の基端PE側の上部U側から近位部3を形成し、硬度の傾斜を付けている。
各部位の硬度は、近位部3が最も硬く、中間近位部3・4、中間部4、及び遠位部5の順に、柔らかくなるように形成している。
シャフトチューブ2は、内層8、補強材7(「補強層7」ともいう)、外層10とを有する。
外層10は、第一外層11、第二外層12及び第三外層13を有する。
内層8は、シャフトチューブ2の基端PE側から末端DE側にわたって、延設している。
内層8の外周に、同様にシャフトチューブ2の基端PE側から末端DE側にわたって、補強材7を装着している。第一外層11は、シャフトチューブ2の基端PE側から末端DE側にわたって、内層8と補強材7を被覆し、かつ密着するように延設している。
第一外層11は、シャフトチューブ2の近位部3において、第三外層13で被覆している。換言すれば、第三外層13は、シャフトチューブ2の近位部3において、
第一外層11を被覆している。
第一外層11は、シャフトチューブ2の中間部4において、第二外層12で被覆している。換言すれば、第二外層12は、シャフトチューブ2の中間部4において、第一外層12を被覆している。
[近位部3]
近位部3は、内層8と外層10とを有する。
内層8は外周に、金属、合成樹脂からなる編組等の補強材7を装着している。
さらに、補強材7の外周に、外層10を被覆している。
外層10は、第一外層11と第三外層13とを有する。
第一外層11は、補強材7の外周に被覆している。第一外層11は、外周に第三外層13を被覆している。
外層10の第一外層11は、ナイロン12、ポリアミドエラストマー、ポリアミド等の比較的やわらかく、ステンレスブレードと接着性の良いものが使用される。
第三外層13は、ナイロン12、ポリアミドエラストマー、ポリアミド等の比較的硬いグレードで第一外層11と接着性の良いものが使用される。
補強材7は、ステンレス線(直径:30〜50μm)、合成樹脂(ポリアミド、ナイロン等)製の編組、リボン、コイル等が使用される。
中間部4は、内層8と外層10とを有する。
内層8は、近位部3と同様に形成される。
内層8は、外周に、金属、合成樹脂からなる編組等の補強材7を装着している。
さらに補強材7の外周に、外層10を被覆している。
外層10は、第一外層11と第二外層12とを有する。
第一外層11は、補強材7の外周に被覆している。第一外層11は外周に、第二外層12を被覆している。
遠位部5は、内層8と外層10とを有する。
内層8は、近位部3と同様に形成される。内層8は外周に、金属、合成樹脂からなる編組等の補強材7を装着している。さらに、補強材7の外周に、外層10を被覆している。
外層10は、第一外層11のみより構成される。
遠位部5の最先端(末端DE側)には、図1のように柔らかい先端チップ6が装着され、先端チップ6(例えばポリアミドエラストマー等)の後方には、造影マーカー18(例えばプラチナ−イリジウム合金等)装着されている。造影マーカー18は、例えば丸線または平線をコイル状等にしたものが使用される。
中間近位部3・4は、図2(B)、(C)に示すように、傾斜接合部3TSと傾斜接合部4TSとを有する。
換言すれば、中間近位部3・4は、近位部3の末端DE側と中間部4の基端PE側との間を傾斜接合部3TSと傾斜接合部4TSとにより接合したものである。
傾斜接合部3TSは、近位部3の末端DE側に、末端DE側に上る略テーパーに形成している。
傾斜接合部4TSは、中間部4の基端PE側に、基端PE側に下る略テーパーに形成している。
このように向きに傾斜接合部3TSと傾斜接合部4TSを形成することにより、
強度が保持できる利点がある。
中間近位部3・4の箇所で説明したように、第三外層13から第二外層12(または第二外層12から第三外層13)へ変化する傾斜接合部3TS、4TSの厚みは、基端PEから末端DE側に見て、第三外層13は減少し、第二外層12は増加する。
傾斜接合部3TS、4TSにより、接合することにより、近位部3の末端DE側の外径3DEOと、中間部4の基端PE側の外径4PEOとは実質的に同じとなるようにすることができる。
このため細径のマイクロカテーテルの製造が容易である。さらに硬度の変化によるキンクが生じにくい。
また第二外層12の末端DE側は、末端DE側に下る略テーパーに形成し、第二外層12の厚みは、基端PE側から末端DE側に減少するように形成している。
このように形成することにより、当該部位(第二外層12の末端DE側)で、キンクが発生しにくくなる。キンクの発生を抑制している。
また各外層のそれぞれの位置におけるショア硬度Dとしては、第一外層11(遠位部5)が25〜55D、第二外層12(中間部4)が35〜73D、第三外層13(近位3部)が70〜80Dの範囲で適宜選択することが好ましい。
マイクロカテーテルでは、シャフトチューブ2の遠位部5の外径は、通常、2.1Fr(0.70mm)ないし2.3Fr(0.76mm)と細く形成したものを使用するので、第一外層11の厚さは、0.03mm以下に形成するが良い。0.03mmを超えると遠位部5の外径が大きくなりすぎると共に、先端部の柔軟性が損なわれる。
本発明のシャフトチューブ2(多層チューブともいう)の製造方法は、特に限定するものではないが、最も典型的には、まず、内層8のチューブに、例えばステンレス線等の金属線(ステンレスブレード)の編組からなる補強材7を被覆して、補強材被覆内層8(7)を準備する。
この補強材被覆内層8(7)を、多層環状ダイ備えた押出機または複数(ここでは3台)の押出機を使用して、当該補強材被覆内層8(7)を当該押出機のダイから押出ながら第一外層11、第二外層12、第三外層13を形成する樹脂を溶融押出して多層被覆することにより行われる。このように、第一外層11、第二外層12、第三外層13との外層の被覆形成を溶融押出成形により同時に行うことにより、内層樹脂と第一外層の接着性および、第一外層と第二外層、第二外層と第三外層の接着性の向上が図れる。
さらには、当該補強材被覆内層8(7)を当該押出機のダイから押出ながらその上に逐次的に押出ラミネート成形してもよい。
また、管腔内に挿入したマイクロカテーテルの状態を体外からX線モニターで確認しながらより的確な操作を行うため、先端チップ6、第一外層11、第二外層12及び第三外層13には、造影剤を、必要に応じて添加し、例えば先端チップ6の末端DE側に造影マーカー18を形成することも好ましい。
造影剤としては公知のものが使用され、例えば硫酸バリウム、タングステン、プラチナ、イリジウム、プラチナ−イリジウム合金、金等が好適に適用可能である。
また、先端チップ6から第一外層11、第二外層12を経て第三外層13の途中に亘って、これらの外周に潤滑剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、親水性物質(例えば無水マレイン酸エステル)を、必要に応じて被覆(コーテイング)してもよい。
シャフトチューブ2を構成する樹脂材料について、前記段落[0022]、[0024]で一部例示したが、本段落で改めてまとめて以下に例示する。
第一外層11、第二外層12、コネクターカバー19は、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12等のポリアミド等のポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン、ポリウレタン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が使用される。
第三外層13は、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12等のポリアミド等のポリアミド、ポリアミドエラストマー等が使用される。
なお、それぞれのチューブ(近位部3、中間部4、中間近位部3・4、遠位部5)は密着性を向上させるため、同一の樹脂を使用することが望ましい。
三種三層切替押出機を使用し、表1に記載の構成材料を使用したシャフトチューブ(比較例1、2、実施例1、2)を下記のとおり押出した。なお押出し後、60°C/15分の条件でアニール処理を行った。
(比較例1)
内層8の樹脂に厚さ0.006〜0.01mm、内径0.56mmのPTFE(ポリテトラフロロエチレン)チューブの上に直径0.03mmのステンレス線16本で編組し、外層10の樹脂の被覆を行った。
第一外層11は、ポリアミドエラストマー(硬度35D)、第二外層12の樹脂はポリアミドエラストマー(硬度55D)、第三外層13の樹脂はナイロン12(硬度77D)を使用し、遠位部5の外径は、0.73mm、中間部4の外径0.76mm、近位部3の外径0.80mmのシャフトチューブを製作した。
第一外層11の樹脂は、近位部3から遠位部5まで被覆した。
(比較例2)
比較例2も、比較例1と同様に作成し、近位部3の外径は0.84mmとした。
内層8の樹脂に厚さ0.006〜0.01mm、内径0.56mmのPTFEチューブの上に直径0.03mmのステンレス線16本で編組し、外層10の樹脂の被覆を行った。
第一外層11は、ポリアミドエラストマー(硬度35D)、第二外層12の樹脂はポリアミドエラストマー(硬度55D)、第三外層13の樹脂はナイロン12(硬度77D)を使用し、遠位部5の外径は、0.73mm、中間部4の外径0.80mm、近位部3の外径0.80mmのシャフトチューブを製作した。
第一外層11の樹脂は、近位部3から遠位部まで被覆した。
(実施例2)
実施例2も、実施例1と同様に作成した。第二外層12の樹脂はポリアミドエラストマー(硬度63D)を使用した。
比較例1、2及び実施例1、2のシャフトチューブ2を、パワーインジェクターに接続し、生理食塩液を注入するとき、注入可能な最大圧力とフローレートを調べた。
(設定注入速度10ml/sec、設定注入量10mml)
比較例1、2及び実施例1、2では耐圧性が1200PSIまで有していた。
第一外層の硬度は35D、第二外層の硬度は55D、第三外層(ナイロン12)の硬度は77Dである。
(注2)近位部3の外径は第三外層13の外径、中間部4の外径は第二外層12の外径、遠位部5の外径は第一外層11の外径である。
1)シャフトチューブ2を試験冶具TAPにセットした。
2)試験冶具TAPのフックFで、測定箇所(支点)を2mm垂直へ引いた際の加重を測定し、そのデータを三点曲げ強度とした。測定結果を表2に記載した。
図6中、Mはマーカーの位置、▲は支点、●は荷重点の位置を示している。
なお、図6では、シャフトチューブ2、マーカーMは見やすいように拡大して記載している。
結果を表2及び図7に示す。
(注2)実施例1、2、比較例1、2ともに第一外層、第二外層の材料は、ポリアミドエラストマー、第一外層の硬度は35D、第二外層の硬度は55D、第三外層(ナイロン12)の硬度は77Dである。
比較例1のように、近位部3の外径を0.80mmにし、外径を変化させ第二外層12を成形すると第二外層の厚みが薄くなり遠位部5と中間部4の硬さに差が出ない。また成形が困難で第二外層12が不安定になり、偏肉、破れを生じる。
比較例2のように、中間部4の外径を0.80mmにすると、近位部3の外径が0.84mmとなり、0.80mmより大きくなる。
遠位部5と中間部4の硬さは変化するが、近位部3の外径と親カテーテルの内径との差がなくなるため、親カテーテルを通過させにくくなり、マイクロカテーテルの操作性が低下する。
実施例1、2のように、中間部4と近位部5の外径を0.80mmにすることで、遠位部5、中間部4、近位部3の硬さを樹脂の硬さを変えることで変化させることができる。
3Frのマイクロカテーテルとは、シャフトチューブ2の許容される最大外径(MXOD)が、0.80mmまでのマイクロカテーテルである。
マイクロカテーテルは、術者が操作する側の近位部3側(手元側)を強くする必要がある。このため近位部の外径を最大外径(MXOD):0.80mmにする必要がある。
仮にシャフトチューブの外径を傾斜する構造にすると、比較例1のように、近位部3:0.8mm、遠位部5:0.73mmであるから、中間部4は0.76mmにする必要がある。この場合は、遠位部5(先端)と中間部4の外径が近すぎて、中間部4の強度を保つことができない。
比較例2のように、中間部4の外径を0.80mmにすると、近位部3の外径は0.84mmとなり、0.80mmを超え、親カテーテルを通過しずらくなる。
中間部4と近位部3とを許容される最大外径(MXOD)に形成し、シャフトチューブ2の硬度は、材料(樹脂)の硬度で変化させることが好ましい。
すなわち、シャフトチューブ2の硬度傾斜は、
(A)第一外層11、第二外層12及び第三外層13は、同一材料(樹脂)で形成すること、
(B)第一外層11、第二外層12及び第三外層13は、硬度を、第三外層13、第二外層12、第一外層11の順に大きい材料で形成すること、
(C)前記(A)、(B)により近位部3>中間部4>遠位部5の順に大きくなるように形成することができる。
実施例1と実施例2は、近位部3の外径(0.80mm)と中間部4の外径(0.80mm)とを、許容される最大外径(MXOD)に形成し、シャフトチューブ2の硬度は、第一外層〜第三外層の材料(樹脂)で変化させているので、中間部4の曲げ強度は、比較例1、2と同等以上に保持できている。
また、親カテーテルの通過性も良好であった。
実施例2は、中間部4の第二外層の硬度(63D)を、近位部3の硬度(77D)に近づけて硬くすることにより、中間部4の曲げ強度は、比較例2の中間部4の曲げ強度(4.4gf)の二倍の曲げ強度(9gf)を保持しており、親カテーテルの通過性も良好であった。
シャフトチューブ2の有効長(EL)は、1050〜1500mm、
遠位部5の長さは、250mm、
中間部4の長さは、200〜600mm、
近位部3の長さは、600〜900mm、
中間近位部3・4の長さは、50〜250mm、
親水被覆部の長さ(SL)は、650〜1100mm、
遠位部5の外径は、2.2F(0.73±0.03mm)、
中間部4の外径は、2.4F(0.80±0.03mm)、
近位部3の外径は、:2.4F(0.80±0.03mm)に形成する。
なおシャフトチューブ2の内径は、0.56±0.01mmに形成する。
有効長(EL)は、1300mm、
遠位部5の長さは、40mm、
中間部4の長さは、400mm、
近位部3の長さは、860mm
中間近位部3・4の長さは、30〜150mm、
遠位部5の外径は、0.73mm、
中間部4の外径は、0.80mm、
近位部3の外径は、0.80mmに形成する。
なおシャフトチューブ2の内径は、0.56mmに形成する。
中間近位部3・4の傾斜接合部3TS・4TSのテーパーの角度(Tθ)は、0.03°〜2.0°、好ましくは0.05°〜1.6°、さらに好ましくは0.08°〜1.2°に形成するのが良い。
極細径のシャフトチューブ2は、前記のように形成することより、中間部4の曲げ強度を保持でき、耐キンク性を付与することができる。
2 シャフトチューブ
3 近位部
3・4 中間近位部
3TS 傾斜接合部
4TS 傾斜接合部
4 中間部
5 遠位部
6 先端チップ
7 補強材(ブレード)
8 内層
10 外層
11 第一外層
12 第二外層
13 第三外層
18 造影マーカ
19 コネクタ
20 コネクタカバー
Claims (2)
- 長手L方向を有するシャフトチューブ(2)を有し、
当該シャフトチューブ(2)は、親カテーテルの内壁に接触しないで通過できる最大外径(MXOD)を有し、
前記シャフトチューブ(2)は、基端PE側から末端DE側に向けて、順次、近位部(3)、中間部(4)、及び遠位部(5)の硬度の異なる三種類の領域を有し、
前記シャフトチューブ(2)は、内層(8)、補強材(7)、及び外層(10)を有し、
当該外層(10)は、第一外層(11)、第二外層(12)、及び第三外層(13)とを有し、
前記近位部(3)は、前記内層(8)、前記補強材(7)、前記第一外層(11)、及び第三外層(13)とを有し、
前記内層(8)の外周に前記補強材(7)を装着し、当該内層(8)及び当該補強材(7)の外周に、前記第一外層(11)を被覆し、当該第一外層(11)の外周に、前記第三外層(13)を被覆し、
前記中間部(4)は、前記内層(8)、前記補強材(7)、前記第一外層(11)、及び第二外層(12)とを有し、
前記内層(8)の外周に前記補強材(7)を装着し、当該内層(8)及び当該補強材(7)の外周に、前記第一外層(11)を被覆し、当該第一外層(11)の外周に、前記第二外層(12)を被覆し、
前記遠位部(5)は、前記内層(8)、前記補強材(7)、及び前記第一外層(11)とを有し、
前記内層(8)の外周に前記補強材(7)を装着し、当該内層(8)及び当該補強材(7)の外周に、前記第一外層(11)を被覆し、
前記近位部(3)と前記中間部(4)とを、前記最大外径(MXOD)に形成し、
前記近位部(3)と前記中間部(4)とを、同じ外径に形成し、前記遠位部(5)の外径は、前記近位部(3)と前記中間部(4)よりも小さく形成し、
前記第一外層(11)、前記第二外層(12)及び前記第三外層(13)は、同一材料で形成し、
前記第三外層(13)、前記第二外層(12)及び前記第一外層(11)は、硬度を、前記第三外層(13)>前記第二外層(12)>前記第一外層(11)の順に大きい材料で形成し、
前記シャフトチューブ(2)の硬度は、前記近位部(3)>前記中間部(4)>前記遠位部(5)の順に大きくなるように形成し、
前記近位部(3)の第三外層(13)の末端DE側と中間部(4)の第二外層(12)の基端PE側との間に、中間近位部(3・4)を形成し、
当該中間近位部(3・4)は、前記近位部(3)の第三外層(13)の末端DE側の傾斜接合部(3TS)と、前記中間部(4)の第二外層(12)の基端PE側の傾斜接合部(4TS)とを接合することにより形成し、
前記傾斜接合部(3TS)は、近位部(3)の末端DE側に、末端DE側に上るテーパーに形成し、
前記傾斜接合部(4TS)は、中間部(4)の基端PE側に、基端PE側に下るテーパーに形成し、
近位部(3)の末端DE側の外径3DEOと、中間部(4)の基端PE側の外径4PEOとが、同じになるように形成し、
中間近位部(3・4)の第三外層(13)から第二外層(12)、または第二外層(12)から第三外層(13)へ変化する厚みは、基端PE側から末端DE側に見て、第三外層(13)は減少し、第二外層(12)は増加し、
前記近位部(3)の末端DE側の外径(3DEO)と、前記中間部(4)の基端PE側の外径(4PEO)とは同じとなるように形成し、
第二外層(12)の末端DE側は、末端DE側に下るテーパー状に形成し、第二外層(12)の厚みは、基端PE側から末端DE側に減少するように形成し、
マイクロカテーテルの近位部(3)、中間近位部(3・4)及び前記中間部(4)の最大外径(MXOD)は、0.80mmであり、遠位部(5)の外径は、0.70mm〜0.76mmに形成し、
中間近位部(3・4)の長さの割合(RL)は、シャフトチューブ2の有効長(EL)に対して、1%〜25%に形成し、
中間近位部(3・4)の傾斜接合部(3TS・4TS)のテーパーの角度(Tθ)は、0.03°〜2.0°に形成した、こと特徴とするマイクロカテーテル(1)。 - マイクロカテーテルを挿入するための親カテーテルと請求項1に記載のマイクロカテーテル(1)とを有し、
前記親カテーテルは、長手L方向を有し、前記マイクロカテーテルが、当該親カテーテルの内壁に接触しないで、長手L方向に通過できる最大内径(MXID)を有する、ことを特徴とするカテーテル器具。
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