JP6076147B2 - 高軟化点ピッチの製造方法 - Google Patents
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Description
高軟化点ピッチを製造する方法としては、重質炭化水素油等を原料とし、酸化工程、熱処理工程を経て高軟化点ピッチを得る方法が一般的である。
従来の高軟化点ピッチを製造する方法では、軽質(低沸点)成分は、高軟化点ピッチを得る過程で留去され、留去された軽質(低沸点)成分は、廃棄または燃料として再利用されていた。
前記熱処理工程が、熱重質化を行った後、前記揮発する成分(A)を減圧留去する工程であることが好ましい。
前記原料が、前記重質炭化水素油および成分(A)の合計100質量部あたり、成分(A)を3〜40質量部含有する原料であることが好ましい。
本発明の高軟化点ピッチの製造方法は、重質炭化水素油を含む原料を用い、酸化工程、熱処理工程を経て高軟化点ピッチを製造する方法であり、前記熱処理工程において、揮発する成分(A)を回収し、該成分(A)の少なくとも一部を、前記原料の一部に用いる事を特徴とする。
本発明の高軟化点ピッチの製造方法は、原料として重質炭化水素油を用いる。重質炭化水素油としては、石油タール、石炭タール、エチレンボトム油(Ethylene Heavy End:EHE)等を用いることができる。石油タールとは、主に石油精製時に生成するタールであり、石炭タールとは主に石炭乾留時に生成するタールである。また、エチレンボトム油とは、ナフサ等を分解してエチレンを製造する際に副生するナフサ分解留分の中で最も沸点が高い重質留分である。
なお、本発明の高軟化点ピッチの製造方法においては、連続的に高軟化点ピッチを製造することが好ましい。この場合には初めに高軟化点ピッチを製造する際の原料としては重質炭化水素油のみを用い、高軟化点ピッチを製造する過程で成分(A)を回収し、該成分(A)を、次に高軟化点ピッチを製造する際の原料の一部として用いる。
なお、成分(A)において、標準沸点が270℃を超える物質とは、例えばフルオレン、フェナンスレン、ピレンが挙げられる。
原料の一部として用いられる成分(A)として、成分(B)を用いると、重質炭化水素油基準の収率が特に優れるため好ましい。
本発明の高軟化点ピッチの製造方法は、酸化工程を有する。酸化工程は、通常酸素等の酸化性ガスを含む気体、すなわち空気等を吹き込みつつ重質炭化水素油を含む原料を加熱するエアーブローイング反応により行われる。なお、エアーブローイング反応は、通常は空気を吹き込むことにより行われる。
エアーブローイング反応は、気液反応であるため反応を効率良く進めるには、重質炭化水素油を含む原料への空気の溶け込みを促進させることが好ましく、加圧下で反応を進める事が好ましい。
本発明の高軟化点ピッチの製造方法は、熱処理工程を有する。熱処理工程は、通常前記酸化工程によって得られたエアーブローイングタール等の酸化タールに対して、熱処理および熱処理によって揮発する成分(A)の除去(回収)を行うことにより、高軟化点ピッチを得る工程である。
熱重質化とは、熱により分子の架橋反応が起こり、より高沸点成分が増加する現象である。
前記減圧留去は、熱重質化を行った後に揮発する成分(A)(軽質分)を回収するために、行う操作であり、圧力が0.005〜0.09MPa、温度が280〜380℃の条件で行われることが好ましい。
本発明の高軟化点ピッチの製造方法は、連続的に高軟化点ピッチを製造する際に行われることが好ましい。すなわち、初めて高軟化点ピッチを製造する際には、通常成分(A)を有していないため、重質炭化水素油を原料として、高軟化点ピッチを製造し、該製造の際に回収された成分(A)を原料の一部として、重質炭化水素油と共に用いることにより、連続的に高軟化点ピッチを製造することが可能となる。
本発明の高軟化点ピッチの製造方法では、前記重質炭化水素油および成分(A)を含む原料を用い、上述の酸化工程、熱処理工程を行うことにより高軟化点ピッチが得られる。
〔実施例1〕
(高軟化点ピッチの製造および軽質分(成分(A))の回収)
ステンレス製耐圧容器(反応容器)にエチレンの製造時に生成するボトム油(エチレンボトム油)10kgを仕込み、反応容器の下部より10.1NL/minで空気を吹き込み0.4MPaGの加圧下、150〜250℃で、エアーブローイング反応を200分行うことにより、9.55kgのエアーブローイングタールを得た。
エアーブローイングタールの熱重質化、減圧留去を再度行うことで成分(A)を合計3.4kg得た。
ステンレス製耐圧容器にエチレンの製造時に生成するボトム油(エチレンボトム油)6.67kg、成分(A)3.33kgを仕込み、反応容器の下部より10.1NL/minで空気を吹き込み0.4MPaGの加圧下、150〜250℃で、エアーブローイング反応を200分行う事により、9.38kgのエアーブローイングタールを得た。
エチレンボトム油基準の収率は、48質量%であった。成分(A)を原料の一部として用いることにより、エチレンボトム油基準の収率が向上した。
(高軟化点ピッチの製造および軽質分(成分(A))の回収)
ステンレス製耐圧容器(反応容器)にエチレンの製造時に生成するボトム油(エチレンボトム油)10kgを仕込み、反応容器の下部より10.1NL/minで空気を吹き込み0.4MPaGの加圧下、150〜250℃で、エアーブローイング反応を200分行うことにより、9.55kgのエアーブローイングタールを得た。
エアーブローイングタールの製造を3回、エアーブローイングタールの熱重質化、減圧留去を8回行うことで成分(A)を合計13.6kg得た。
5L丸底フラスコに成分(A)4.0kgを仕込み、オールダーショウ型精密蒸留塔にて0.003MPaの減圧下で加熱し、蒸留塔頭頂部の蒸気相温度が室温の状態から165℃になるまで蒸留させ軽質分を減圧留去することで、残部として成分(B)(標準沸点が270℃を超える物質)1.4kgを得た。この操作を3回行うことで、成分(B)を合計4.2kg得た。
ステンレス製耐圧容器にエチレンの製造時に生成するボトム油(エチレンボトム油)6.67kg、成分(B)3.33kgを仕込み、反応容器の下部より10.1NL/minで空気を吹き込み0.4MPaGの加圧下、150〜250℃で、エアーブローイング反応を220分行う事により、9.62kgのエアーブローイングタールを得た。
エチレンボトム油基準の収率は、54質量%であった。成分(B)を原料の一部として用いることにより、エチレンボトム油基準の収率が向上した。
(高軟化点ピッチの製造)
ステンレス製耐圧容器(反応容器)にエチレンの製造時に生成するボトム油(エチレンボトム油)10kgを仕込み、反応容器の下部より10.1NL/minで空気を吹き込み0.4MPaGの加圧下、150〜250℃で、エアーブローイング反応を200分行うことにより、9.55kgのエアーブローイングタールを得た。
エチレンボトム油基準の収率は、40質量%であった。
Claims (6)
- 重質炭化水素油を含む原料を用い、酸化工程、熱処理工程を経て高軟化点ピッチを製造する方法であり、
前記熱処理工程において、揮発する成分(A)を回収し、
該成分(A)の少なくとも一部を、前記原料の一部に用い、
前記酸化工程が加圧下で行われ、
前記高軟化点ピッチの軟化点が200〜300℃である高軟化点ピッチの製造方法。 - 前記成分(A)のうち、標準沸点が270℃を超える物質[成分(B)]を、前記原料の一部として用いる請求項1に記載の高軟化点ピッチの製造方法。
- 前記熱処理工程が、熱重質化を行った後、前記揮発する成分(A)を減圧留去する工程である請求項1または2に記載の高軟化点ピッチの製造方法。
- 前記重質炭化水素油が、石油タール、石炭タール、エチレンボトム油から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の高軟化点ピッチの製造方法。
- 前記原料が、前記重質炭化水素油および成分(A)の合計100質量部あたり、成分(A)を3〜40質量部含有する原料である請求項1〜4のいずれか一項に記載の高軟化点ピッチの製造方法。
- 前記原料が、前記重質炭化水素油および成分(B)の合計100質量部あたり、成分(B)を0.6〜38質量部含有する原料である請求項2に記載の高軟化点ピッチの製造方法。
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