JP6076070B2 - 基板ホルダ及び太陽電池用基板の製造方法 - Google Patents

基板ホルダ及び太陽電池用基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、CVD作業等を行うチャンバ内においてガラス基板やセラミックス板、プラスチック基板、樹脂基板等の種々の基板を支持する基板ホルダに関し、特に、複数の太陽電池用基板を各々縦方向に支持するホルダ及び太陽電池の製造方法に関するものである。
結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン太陽電池は、光電変換率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。中でも半導体接合特性を改善することによって光電変換効率の向上を可能としたものは、HIT(Heterojunctionwith Intrinsic Thin-Layer)型の太陽電池と呼ばれている。HIT型の太陽電池では、非晶質系半導体層が結晶系半導体基板上に、例えば真空処理装置のPECVD装置等によって製膜される。
このような真空処理装置における製膜方式としては横型と縦型がある。横型真空処理装置としては、特許文献1に示されているような、上部電極に対向して基板を水平に置くデポダウン方式と、下部電極に対向して基板を水平に置くデポアップ方式がある。デポダウン方式では製膜用半導体ガスの流れが鉛直下向きであり、デポアップでは鉛直上向きである。また、縦型真空処理装置には、垂直に直立させた電極に対向して基板を直立に置く方式があり、この縦型真空処理装置では製膜用半導体ガスの流れは水平方向となる。しかしながら、上記横型真空処理装置の場合には、基板ホルダを横置きにするため、横方向の装置面積が大きくなるということがある。また、製膜時及び搬送時のパーティクルが基板に堆積するという課題も発生する。
一方、縦型真空処理装置では基板ホルダを立てて配置するため、装置面積は狭く設計できるが、基板を落下しないよう支持する構造が必要になるため、特許文献2に示されているような、爪やホルダで挟み込む構成、又は多数のピンで支持する構成などが必要である。そのため、基板の外周部分等には未製膜箇所が発生することになるが、特に、HIT型基板では縁研磨によってカットされる外周の幅が1mm程度と少ないため、未製膜箇所が発生すると、その面積の大小で基板の発電性能に差が生じてしまう。
さらに、特許文献2に記載のように基板をホルダと背板とで挟み込む構成にした場合には、基板がホルダよりも電極に対して奥まった形になり、中央部と端部との間にプラズマ性能による相違が生じ、性能が低下してしまう虞がある。また、特許文献3には、基板を斜めに傾けてピン3本にて支持する技術が記載されているものの、当該技術は基板ホルダに用いられるものではない。
特開2004−172241号公報 特開2011−124348公報 特許第3346823号
ここで、特許文献1に記載された発明は、横型の真空処理装置用の基板ホルダにおいて、基板ホルダ上に先細りテーパ状の支持部材を設けているが、基板を水平に設置することが前提であるため、前記基板ホルダを縦型に採用しようとしても、位置決めピンによって基板を支持することが出来ず、基板が落下してしまう。
また、特許文献2に記載の縦型ホルダを使用して縦型CVD装置によりHIT型PVを製造する場合、基板の端部領域に未製膜箇所が発生するため、性能の低下を引き起こす虞がある。また、基板ウェハは割れやすいため、基板を抑える部材に振動を緩衝する機構が必要になる。一方で、既存のガラス基板用のCVD装置を用いてHIT型PV製造を生産する要望もあるが、既存のガラス基板用のCVD装置を転用可能しつつ、結晶系半導体基板を直立させる基板搬送ホルダは知られていない。
また、特許文献3には、基板を斜めに傾けてピン3本にて支持する技術が記載されているものの、当該技術は基板ホルダに用いられるものではなく、また、複数の基板を並べたものに対しては用いられるものでもない。そこで本発明では、従来の縦型装置を用いつつ、製膜面積を十分に確保できる基板ホルダを提供することを目的とする。
本願発明は、略四角形の複数の基板を各々縦方向に支持する基板ホルダにおいて、上記基板ホルダには1枚の基板当たり2本以上の支持ピンが設けられており、上記支持ピンは上記基板を上記基板ホルダと平行に且つ底辺を傾けて支持した際に上記基板の隣接する2辺を下側から支持するように離間して設けられている基板ホルダである。この構成により、上記基板は、上記基板の重心と上記基板の底辺を基板ホルダの底辺に対して傾けた際に一番下方となる角に隣接する2辺で、基板の重心からの垂線を挟む箇所(辺)に配置した上記支持ピンにて支持されるため、基板が落下しなくなる。また、上記基板は自重と上記支持ピン2本にて支持されるため、基板支持のために犠牲となる未製膜部分を大幅に削減することが出来る。
また、上記基板ホルダには上記支持ピンが設けられている辺とは別の辺に、位置決めピンが上記1枚の基板当たり少なくとも1本設けられていることが好ましい。この構成により、上記基板支持ピン2本と上記位置決めピンにて少なくとも3方向の位置が制限され、上記ホルダから基板を取り付け取外しする時に上記基板各々の位置ずれを防止することが出来る。
さらに、上記支持ピンが前記基板ホルダから離れる広がるテーパ形状であると、上記基板各々を非接触で取外す装置にて基板面部より取り外す時に、テーパ形状のピン部を上記基板がスライドするように取外しが可能であるため、好ましい。さらに、上記基板ホルダを立てた時、上記支持ピンが上記基板ホルダ側に細くテーパになっている為、上記基板は各々の自重により上記二本支持ピンに挟みこまれ安定的に支持することが可能である。
本願発明は、従来の縦型CVD装置を用いつつ、ウェハ基板の縦型多数枚支持を実現し、且つ基板支持部における未製膜箇所を大幅に削減し、変換効率の優れたウェハを提供することができる。
基板ホルダと支持ピンと位置決めピンの位置関係の一例を示す概略図である。 基板支持部分の拡大図である。
[基板ホルダの構成]
以下に本願発明の基板ホルダの好ましい実施形態について、図1、2を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の技術常識内で種々変更が可能である。
基板ホルダは略四角形の板状部材3に複数の支持ピン9が設けられているものであり、この支持ピン9は、基板5を基板ホルダに載せた状態で立設させ、基板5の底辺を基板ホルダの底辺に対して傾斜させた際に下側の辺から支持できるように、基板一枚あたり2個セットで設けられている。支持ピンは2個セットで基板5を両ピンの間に挟んで支持できるように隔離して、下側の辺とその辺に隣接する側辺に位置する部分に設けられている。支持ピンは2個あれば基板を支持できるため、例えば3個以上設けられていても発明は成立するが、支持ピンが2個の場合、未製膜部分を減少させたり、部品数を減らしたりすることができるメリットから最も好ましい。
板状部材3には、支持ピン9の他に複数の位置決めピン11も設けられている。位置決めピン11は基板5を基板ホルダに対して底辺が傾斜するように配置した際、基板5が傾きすぎるのを抑制するために設けられるものであり、支持ピン9が設けられている辺とは別の辺に設けられている。位置決めピン11の個数は1個以上あれば基板の傾きを抑制する効果を奏するが、2個あればさらに傾きの抑制効果が大きくなるため好ましい。なお、位置決めピン11も支持ピン9と同様、3個以上設けても良いが、支持ピンと同様の理由により、ピン数は少ない方が良い。
基板5は基板ホルダに対して基板5の底辺が斜めになるように支持されているが、その角度は、0度より大きく45度以下であればよく、5度以上30度以下であれば好ましく、10度以上20度以下の角度で配置するのが最も好ましい。これは、傾斜がきついほど基板を支持する効果が増大する一方、基板5を配置する際の占有面積の悪化が生じることを考慮したものである。傾斜角度が10〜20度であると、配置効率がよく、より多数の基板を配置できるという点において好ましい。
図1の基板ホルダは25枚の基板5を支持する構成であり、1枚の基板あたり2本の支持ピン9と2本の位置決めピン11を用いるようにしており、支持ピン9と位置決めピン11はそれぞれ50本設けられている。これらのピンは互いに接しないように、且つ、基板5を支持した際に支持している基板以外の基板が接触しない位置に配置されており、それにより、基板5を基板ホルダに支持した際も、基板同士が接することが防がれている。
基板ホルダは、チャンバ内での処理に耐えうる材料を選択する必要があるが、例えば、太陽電池用途の場合には、その加熱の温度として300度の熱に耐えうる必要がある。加熱に耐えられない場合は、ホルダ(板状部材3)に反りが生じてしまい、製膜工程の際に電極との距離が不均一になり、品質の悪化に繋がるからである。そのため、本願発明は、基板5を支持できる程度の強度を有するものであれば構わないが、基板5に処理を施すことを考慮し、基板ホルダの材料としては、黒鉛(グラファイト)やSUS等が好ましく、同様の理由により、支持ピン9の材料としては、SUSやPEEK等が耐熱耐薬品性の点で好ましい。
支持ピン9の形状は、基板を支持できる形状であれば種々に変更可能であるが、ピンの先端が円筒形状のような場合は、基板を脱着する際の引っかかりがないため好ましい。また、支持ピン9の形状が基板ホルダから離れる方向に広がるテーパ形状であると、基板を基板ホルダに支持する際に基板は基板ホルダから外れて落ちてしまうことを防止できるため好ましい。図1に示される支持ピンの形状は、円筒形であるが、例えば、四角柱などの形状でも構わない。なお、位置決めピン11についても、支持ピン9と同様の観点で形状や材料を選択することが可能である。
ところで、支持ピン9や位置決めピン11は、基板に対する繰り返しの製膜により埋没してしまうことがある。通常は基板ホルダ自体を苛性ソーダ液により洗浄することによって概ね取り除くことが可能だが、異常が発生した際など、ピンを容易に交換できるようにしておきたい。その為、支持ピン9及び/又は位置決めピン11は板状部材1にタップネジを切り、ねじ込みにより固定する構造とすることが好ましい。また、緩み防止の為、基板ホルダを貫通し裏面に飛び出たネジ部にナットを締めつけることが好ましい。
また、支持ピン9は、基板ホルダを立設した際に、基板5を底辺から保持することを主目的としているため、基板5を下側から支える形状であれば、支持ピン9の様なテーパ形状に限らずL型形状を採用するなど、自由に設計することができる。なお、支持ピン及び/又は位置決めピンの固定は板状部材へのねじ込みに限らず、ナットにて裏面より締め付ける形状でもよく、ピン末端部に溝や開口を設け止め輪や割りピン等により固定する構造でもよい。
[太陽電池基板用の支持ホルダ]
次に、太陽電池基板を基板ホルダに支持する際の実施形態について説明する。ここでの板状部材3は、約縦横1mの略四角形のからなる部材であり、支持ピン、位置決めピン11は長さ3mmの円筒形状である。また、基板5の大きさは、縦横に約160mである。支持ピンの材料としては、太陽電池基板に対する成膜時の対薬品性能を考慮し、SUSかPEEK(耐熱耐薬品樹脂)材を用いるようにした。支持ピン9及び位置決めピン11は、プラズマCVD装置にて製膜を行う際に異常放電の起因にならないよう、突出長さを5mm以内に抑えるのが良い。上記の構成の基板ホルダに太陽電池基板を支持し、基板に所定の処理を施した。
[基板の脱着]
基板5の基板ホルダに対する取り付け、脱着は、手動で行なってもよいが、ロボットアームを用いてもよい。例えば、基板5を非接触で保持することが可能なベルヌーイハンドを使用する場合、基板表面の処理された面に直接触れることがないため、好ましい。ベルヌーイハンドを用いて基板5を保持、取付け、脱着を行なう場合、基板5が支持ピン9や位置決めピン11にひっかかってしまわないように両ピンの構造や傾きを調整する必要がある。具体的には、ピンを基板ホルダから離れる方向に広がるようにテーパ形状とする場合には、その広がりの角度を90度以下にするのが好ましい。また、ピンを傾けて板状部材1に配置する場合は、水平に対して0度より大きく30度以下の範囲にするのが好ましい。
基板ホルダに基板5を支持し、真空装置にて製膜工程を行うと、基板ホルダと基板5の接触面の空気が押し出されて真空になり、接触抵抗を非常に高くさせることになる。従って、搬送時に基板ががたつくことが防止される。一方、基板5を基板ホルダから取り外す作業が困難になる場合がある。例えば、ベルヌーイハンドにより取外しを行う際には、基板を吸着するのに3秒程度かかってしまう。また、例えば、吸着ピンセット等で取り外そうとすると、基板自体が基板ホルダに密着している為、撓むように湾曲してしまう。基板自体は0.2mm程度と薄く尚且つ弾性が低い為、容易に破損してしまうと共に品質の低下を招いてしまう。
このような場合のために、基板ホルダには図2に示されているように、板状部材3の基板5を支持する部位、好ましくは基板の中央部分に開口13を設けるようにしてもよい。基板5の取り外しを行う際には基板の支持部に少なくとも1つ以上設けられている開口13から、基板ホルダの裏側より微弱な、例えば計装空気を圧送する。これにより基板と基板ホルダの間に発生している真空状態を破壊することができる。取外しの際、基板ホルダは横置きのため、開口より圧送された計装空気により基板5自体を浮上させる。この効果により基板取外し工程が容易に行える。
また、取外し時の真空破壊機構は、基板ホルダ自体に格子状の溝を形成したり、研磨加工を施したりする構成でもよい。そのような構成とすることで、基板5と基板ホルダの接触面積を減らすことができると共に、接触抵抗を低くすることができるので、基板5の取外しを容易に行なうことができる。
真空破壊機構として、他にも、基板取外しの際に、例えばピン形状の治具にて基板裏面より押し上げる機構でもよい。これは基板ホルダ自体に設置してもよいし、基板ホルダを平置きした際に、例えば圧縮空気により動作させてもよい。ピン形状の治具はスプリング式になり、通常は基板ホルダの裏側に作用しているが、平置きすると同時に基板ホルダ裏面より治具を押し上げるような構造でもよい。また、基板ホルダ自体に開口を設けその開口へ例えばピン形状の治具を押し入れるような機構にて基板を押し上げてもよい。
3:板状部材
5:基板
9:支持ピン
11:位置決めピン
13:開口

Claims (17)

  1. 略四角形の複数の基板を各々縦方向に支持する基板ホルダにおいて、
    前記基板ホルダには1枚の基板当たり2本以上の支持ピンが設けられており、
    前記支持ピンの突出長さは前記基板の厚みよりも長く、前記支持ピンは前記基板の底辺を前記基板ホルダの底辺に対して斜めに支持した際に前記基板の隣接する2辺を下側から支持するように離間して設けられていることを特徴とする基板ホルダ。
  2. 前記支持ピンは前記基板ホルダから離れる方向に広がるテーパ形状である請求項1に記載の基板ホルダ。
  3. 前記支持ピンの突出長さは5mm以内である請求項1又は2に記載の基板ホルダ。
  4. 前記支持ピンが2本である請求項1〜3のいずれかに記載の基板ホルダ。
    に記載の基板ホルダ。
  5. 前記基板ホルダには前記支持ピンが設けられている辺とは別の辺に、位置決めピンが前記1枚の基板当たり少なくとも1本設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の基板ホルダ。
  6. 前記基板ホルダには真空破壊機構が設けられている請求項1〜のいずれかに記載の基板ホルダ。
  7. 前記基板ホルダの中央部分に開口が設けられている請求項に記載の基板ホルダ。
  8. 前記支持ピンは前記基板の底辺を前記基板ホルダの底辺に対して10〜20度傾けて支持できるように設けられている請求項1〜7のいずれかに記載の基板ホルダ
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の基板ホルダを用いた太陽電池用基板の製造方法であって、
    前記太陽電池用基板を前記基板ホルダに脱着する際にロボットアーム又はベルヌーイハンドを用いることを特徴とする太陽電池用基板の製造方法。
  10. 基板ホルダを用いた太陽電池用基板の製造方法であって、
    前記基板ホルダは、略四角形の複数の基板を各々縦方向に支持されており、
    前記基板ホルダには1枚の上記基板を支持する2本以上の支持ピンが設けられており、
    前記基板ホルダに前記太陽電池用基板を脱着する際にロボットアーム又はベルヌーイハンドが用いられることを特徴とする太陽電池用基板の製造方法。
  11. 前記支持ピンは前記基板の底辺を前記基板ホルダの底辺に対して斜めに支持した際に前記基板の隣接する2辺を下側から支持するように離間して設けられている請求項10に記載の太陽電池用基板の製造方法。
  12. 前記支持ピンが2本である請求項10又は11に記載の太陽電池用基板の製造方法。
  13. 前記基板ホルダには前記支持ピンが設けられている辺とは別の辺に、位置決めピンが前記1枚の基板当たり少なくとも1本設けられている請求項10〜12のいずれかに記載の太陽電池用基板の製造方法。
  14. 前記支持ピンは前記基板ホルダから離れる方向に広がるテーパ形状である請求項10〜13のいずれかに記載の太陽電池用基板の製造方法。
  15. 前記基板ホルダには真空破壊機構が設けられている請求項10〜14のいずれかに記載の太陽電池用基板の製造方法。
  16. 前記基板ホルダの中央部分に開口が設けられている請求項15に記載の太陽電池用基板の製造方法
  17. 前記支持ピンは前記基板の底辺を前記基板ホルダの底辺に対して10〜20度傾けて支持できるように設けられている請求項10〜16のいずれかに記載の太陽電池用基板の製造方法。
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