[参考例1]
(1)画像形成装置
図2は本例の画像加熱装置を定着装置(定着器)40として搭載した画像形成装置1の一例の構成略図である。この画像形成装置1は中間転写方式、タンデム型の4色フルカラーの電子写真レーザープリンタであり、シートPにフルカラートナー像を形成してプリントアウトすることができる。シートPはトナー像が形成され得る記録材(記録媒体)であり、普通紙、光沢紙、樹脂製シート、厚紙、葉書、封筒、OHPシート、印刷用紙・フォーマット紙などが挙げられる。以下、用紙と記す。定着装置40以外のプリンタ構成は公知に属するので以下のプリンタ構成の説明は簡単にとどめる。
2は画像形成部であり、並設された4つの画像形成ユニットとしてのプロセスカートリッジ3(3Y、3M、3C、3K)と、露光手段としてのレーザースキャナスユニット4と、中間転写ベルトユニット5を有する。各カートリッジ3は、それぞれ、電子写真画像形成プロセス手段としての、回転ドラム型の感光体6、帯電ローラ7、現像器8、一次転写ローラ9、クリーニング部材10等を有する。各カートリッジ3は、それぞれ、感光体6に、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(K)色のトナー像(現像剤像)を形成する。
そして、各カートリッジ3の感光体6から中間転写ベルト11に対して上記4色のトナー像が順次に所定に重畳されて一次転写されることで、中間転写ベルト11上にフルカラートナー像が形成される。そのフルカラートナー像が中間転写ベルト11と二次転写ローラ15との圧接部である二次転写ニップ部16において用紙Pに対して二次転写される。
用紙Pは用紙カセット12から一枚分離給紙され、レジストローラ対13を含む搬送路14により二次転写ニップ部16に対して所定の制御タイミングで導入される。そして、トナー像の二次転写を受けた用紙Pが定着装置40に導入されてトナー像の熱圧定着を受ける。
定着装置40を出た用紙Pは排出ローラ17によりフルカラー画像形成物として装置上面のトレイ18上に排出される。モノクロなどモノカラー画像形成モードの場合にはその画像形成に必要なカートリッジだけが画像形成動作し、他のカートリッジは感光体6の空回転がなされるだけで画像形成動作はしない。
本例の画像形成装置1において用紙Pの装置内搬送はいわゆる中央基準搬送でなされる。この用紙搬送は、装置に使用可能(通紙可能)な大小どのような幅の用紙であっても、用紙の幅方向の中心線を用紙搬送路の幅方向中央に合わせて通紙する形態のことである。
(2)定着装置
本例における定着装置40は、ベルト(フィルム)加熱方式、加圧ローラ駆動方式(テンションレスタイプ)の画像加熱装置である。図1は定着装置40の要部の縦断正面模式図、図3は要部の拡大横断右側面図である。
ここで、本例において、定着装置40若しくはその構成部材に関して、正面側とは用紙入口側から見た面、背面側とはその反対側(用紙出口側)の面、左右とは装置を正面側から見て左(一端側)又は右(他端側)である。上下とは重力方向において上又は下である。上流側と下流側は用紙搬送方向aに関して上流側と下流側である。長手方向(または幅方向)や用紙幅方向とは、用紙搬送路面において、用紙搬送方向aに直交する方向に実質平行な方向である。短手方向とは用紙搬送路面において、用紙搬送方向aに実質平行な方向である。
本例において、定着装置40は画像形成装置本体に対して用紙入口側である正面側を下向きにして配設されており、二次転写ニップ部16から上方に搬送される用紙Pが用紙裏面ガイド部材(不図示)にガイドされて定着装置40に下から上に導入される。
定着装置40は、用紙上(記録材上:シート上)の画像をニップ部にて加熱する回転可能な無端状のベルトとしての筒状の定着ベルト(伝熱部材)101を備えたベルトユニット111を有する。また、定着ベルト101との間にニップ部Nを形成してトナー像Tを担持した用紙Pを挟持搬送するニップ形成部材としての加圧ローラ(加圧部材)106を有する。また、ベルトユニット111と加圧ローラ106を収容した定着フレーム(筐体)112を有する。
また、定着装置40は、端部昇温対策のために、定着ベルト101の幅方向(長手方向)の一端側と他端側をそれぞれベルト外側において送風して冷却する送風部としての送風冷却ユニット120を有する。
(2−1)ベルトユニット
図4はベルトユニット111の左側(一端側)の分解斜視模式図、図5は同じく右側(他端側)の分解斜視模式図である。
ベルトユニット111は筒状の定着ベルト101を有する。この定着ベルト(エンドレスベルト)101の内側に配設された、セラミックヒータ(加熱体、発熱源)100、バックアップ部材(圧接部材)103、ステー(補強部材)102を有する。また、中央部と左側及び右側の3つのサーミスタ(検出部)105C・105F・105Rを有する。また、左側と右側の定着フランジ104F・104Rを有する。定着ベルト101、セラミックヒータ100、バックアップ部材103、ステー102は左右方向に長い部材である。
定着ベルト101は用紙Pに熱を伝達する熱伝達部材として機能し、薄肉で可撓性を有する耐熱性部材である。定着ベルト101は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、例えば、厚さが100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層ベルトを使用できる。また、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層ベルトを使用できる。また、金属製のものにすることもできる。
本例では筒状の薄肉金属の基層上に弾性層が形成された可撓性を有する定着ベルト101を用いた。自由状態では自身の弾発性によりほぼ円筒形状を呈する。
セラミックヒータ(温度上昇部)100は細長薄板状のセラミック基板とこの基板面に具備させた通電発熱抵抗体層とを基本構成とする。そして、発熱抵抗体層に対する通電により有効発熱長さ領域全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する低熱容量のヒータ(加熱部)である。ヒータ100はバックアップ部材103の外面側に長手に沿って形成されたヒータ嵌め込み溝部103aに嵌め込まれて支持されている。
バックアップ部材103は、横断面略半円弧状の耐熱性・断熱性材料の成形部材であり、ヒータ100を支持した外面側が定着ベルト101の内周面と摺接する。バックアップ部材103は、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、LCP樹脂等の絶縁性及び耐熱性の良い材料が用いられる。
バックアップ部材103は、ヒータ100を保持すると共に、定着ベルト101のバックアップ、加圧ローラ106と圧接することで形成されるニップ部Nの加圧、定着ベルト101の回転時の搬送安定性を図る役目をする。
ステー102は比較的柔軟な樹脂製のバックアップ部材103の内面側に押し当てることでバックアップ部材103に長手強度を持たせ、かつバックアップ部材103を矯正させるための剛性部材である。本例では横断面コ字形の鉄やアルミ等の金属型材である。
定着ベルト101はヒータ100を保持したバックアップ部材103とステー102とのアセンブリに対してルーズに外嵌されている。バックアップ部材103とステー102の左側端部(一端側端部)103bF・102aF及び右側端部(他端側端部)103bR・102aRは、それぞれ、定着ベルト101の左側と右側の端部から外側に延長されて突出している。
ヒータ100は、左右の延長端部103bF・103bRを含むバックアップ部材103の全長部にほぼ対応する長さを有する。そして、バックアップ部材103の左右の延長端部103bF・103bRに対応するヒータ基板端部の面にそれぞれ給電用電極部(不図示)が存在している。
左右の定着フランジ104F・104Rは、それぞれ、定着ベルト101の左右両端部から外側に突出しているステー102の左右の延長端部102aF・102aRに対して嵌着されている。本例では、左右の定着フランジ104F・104Rにそれぞれ形成されている穴部104bにステー102の左右の延長端部102aF・102aRを嵌入させている。これにより、左右の定着フランジ104F・104Rをステー102の左右の延長端部102aF・102aRに対して嵌着させている。
左右の定着フランジ104F・104Rは、それぞれ、定着ベルト101の端部を規制する鍔座部104aと、定着ベルト101の端部の内周面をガイドする円弧状のガイド部104cを有する。また、鍔座部104aのガイド部104c側とは反対側には受圧部104dを有する。左右の定着フランジ104F・104Rが、それぞれ、ステー102の左右の延長端部102aF・102aRに対して嵌着された状態において、ガイド部104cは定着ベルト101の左右端部の内側に嵌入している。
中央部と左側及び右側の3つのサーミスタ105C・105F・105Rは定着ベルト101のベルト内側において定着ベルト101の長手中央部(幅方向中央部)と左右両端部(幅方向一端部と幅方向他端部)の温度を検知(検出)する温度検知部材である。各サーミスタ105C・105F・105Rは、それぞれ、バックアップ部材103の内面側にバックアップ部材103の長手中央部と左右両端部側に配設された台座部105aに基部を固定して取り付けられた板バネ部105bの先端部に取りつけられている。
ステー102には、バックアップ部材103側の上記の各台座部105aに対応する位置においてそれぞれ穴部(透穴)102bが形成されている。各板バネ部105bはそれぞれの対応する穴部102bからステー102の外側に突出している。そして、板バネ部先端部のサーミスタ105C・105F・105Rが、それぞれ、定着ベルト内面に対して板バネ部105bの弾性による所定の接触圧で付勢されて弾性的に接触して定着ベルト101の内面温度を検出する。本例においては、板バネ部105bはステンレス製であり、サーミスタの導通経路にもなっている。
(2−2)加圧ローラ
加圧ローラ(駆動回転体)106は定着ベルト101と協働して用紙上(シート上)のトナー像を加熱するためのニップ部Nを形成する。加圧ローラ106は、金属製の芯金106aと、その芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させたシリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性の弾性材層106bとで構成されており、表層に離型層106cを設けてある。離型層106cは、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。
加圧ローラ106は左右の軸部106dが、それぞれ、定着フレーム112の左右の側板112F・112R間にPEEK、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂よりなる軸受部材113を介して回転可能に保持されて配設されている。右側の軸部106dの端部には駆動ギアGが実質同心に一体に配設されている。加圧ローラ106は制御部200で制御される第1モータM1の駆動力が駆動伝達機構(不図示)を介して伝達される。これにより、加圧ローラ106は駆動回転体として図3において矢印R106の時計方向に所定の周速度にて回転駆動される。
定着フレーム112の左右の側板112F・112Rには鏡面対象に、それぞれ、左右の定着フランジ104F・104Rの受圧部104dの基部が嵌入して係合するスリット部112aが形成されている。このスリット部112aは定着フランジ104F・104Rの受圧部104dを加圧ローラ106に近づく方向と離れる方向とにスライド移動可能に保持するガイド部である。
ベルトユニット111はヒータ100の側を加圧ローラ106に対向させて加圧ローラ106に実質平行に配列して、左右の定着フランジ104F・104Rの受圧部104dをそれぞれ上記のスリット部112aに嵌入して係合させてある。そして、左右の定着フランジ104F・104Rの受圧部104dに対してそれぞれ加圧機構109F・109Rによりそれぞれ所定の加圧力を付与している。
加圧機構109F・109Rの具体的構成は図に省略したけども、例えば、加圧ばねと加圧板を有する加圧機構、加圧カムを有する加圧機構、電磁ソレノイドを用いた加圧機構など適宜の加圧機構を用いることができる。また、必要に応じて加圧を解除することができる機構にもすることができる。
この加圧機構109F・109Rによる加圧力でステー102、バックアップ部材103、ヒータ100、定着ベルト101が加圧ローラ106に対して弾性材層106bの弾性に抗して圧接する。これにより定着ベルト101と加圧ローラ106との間に短手方向において所定幅のニップ部Nが形成される。
ヒータ100を保持しているバックアップ部材103の左右の延長端部103bF・103bRには、それぞれ、定着フランジ104F・104Rの受圧部104dに設けられた穴部104eから電気的コネクタ107F・107Rが差し込まれて嵌着される。これにより、ヒータ100と電源部(給電部)201とが電気的に連結されて、電源部201からヒータ100に対する給電が可能な状態になる。
また、本例においては、この電気的コネクタ107F・107Rを介してサーミスタ105C・105F・105Rのそれぞれの検出温度に関する電気的情報が制御部200へフィードバックされる構成にもなっている。
(2−3)送風冷却ユニット
送風部としての送風冷却ユニット120は、装置に使用可能な最大幅の用紙よりも幅が小さい小サイズ用紙が導入された際の定着ベルト101の幅方向の一端側と他端側の非通紙部(記録材非通過部)の昇温(端部昇温)を送風冷却により緩和する機構部である。
本例の送風冷却ユニット120はベルトユニット111の加圧ローラ106側とは反対側に配設されている。送風冷却ユニット120は定着フレーム112の左右の側板112F・112R間に取り付けられたユニット基板121を有する。このユニット基板121の左端部側と右端部側に、それぞれ、送風口122F・122Rが形成されている。また、ユニット基板121には定着ベルト101の幅方向(長手方向)に移動して送風口122F・122Rの開口幅を広狭調節するためのシャッター板61F・61Rが配設されている。
シャッター板61F・61Rの移動機構の詳細は図には省略したけれども、本例においては、制御部200で正逆駆動制御されるステッピングモータ(第2モータ)M2と、このモータM2で駆動されるピニオンギアとラックを有する往復移動部を有する。シャッター板61F・61Rはこの往復移動部の動作によりそれぞれ図1の矢印のように定着ベルト101の幅方向において送風口122F・122Rの開口幅を広げる方向(開く方向)あるいは開口幅を狭める方向(閉じる方向)に対称的に同期して移動する。
また、ユニット基板122の外側には送風口122F・122Rに向けてそれぞれ送風するファン(端部冷却ファン)60F・60Rが配設されている。ファン60F・60Rは制御部200によりON/OFF制御される。
図1において、Wminは装置に使用可能な最小幅の用紙の通紙部幅(通紙領域幅)、Wmaxは装置に使用可能な最大幅の用紙の通紙部幅である。本例において用紙Pの装置内搬送はいわゆる中央基準搬送でなされる。本例においては、最小幅(Wmin)の用紙PはA5R(148mm×210mm:横置き送り)、最大幅(Wmax)の用紙PはSRA(320mm×450mm:縦置き送り)である。送風口122F・122Rの開口幅は、それぞれ、最小幅の用紙が通紙されたときの非通紙部幅に対応する幅に設定されている。
そして、送風口122F・122Rの開口幅が、それぞれ、A5R〜SRAまでの各種幅サイズにおいて通紙される用紙の紙幅で生じる非通部幅に対応する開口幅に調整されるようにシャッター板61F・61Rの移動量制御がなされる。
ここで、中央部サーミスタ105C(第1の検出部)はヒータ100の温調用の温度検知部材として最小幅の用紙の通紙領域内(Wmin内)に対応する定着ベルト101の内面温度を検知する。本例では定着ベルト101の長手方向(幅方向)のほぼ中央部に対応する部分の温度を検知するように配設されている。左右のサーミスタ105F・105R(第2の検出部と第3の検出部)は、それぞれ、端部昇温検知用の温度検知部材として最大幅の用紙の通紙領域(Wmax)の領域線よりも少し内側に対応する定着ベルト端部部分の内面温度を検知するように配設されている。
即ち、左右のサーミスタ105F・105Rは、それぞれ、定着ベルト101の内側(ベルト内側)において定着ベルト101の幅方向の一端側と他端側の温度をそれぞれ検知するように配設されている。
(2−4)定着動作
制御部(判定部としても機能する)200は画像形成開始信号(ジョブ実行信号)に基づいて第1モータM1を起動して加圧ローラ106の回転駆動を開始する。この加圧ローラ106の回転駆動による加圧ローラ106と定着ベルト101の外面とのニップ部Nにおける摩擦力で定着ベルト101に回転力(回転トルク)が作用する。これにより、定着ベルト101が、その内面がニップ部Nにおいてヒータ100を含むバックアップ部材103の外面に密着して摺動しつつ図3において矢印R101の反時計方向に加圧ローラ106の回転周速度にほぼ対応した周速度で従動回転する。
この定着ベルト101の従動回転を滑らかなものにするために、定着ベルト101とヒータ100を含むバックアップ部材103の外面の相互摺接部には潤滑剤(不図示)を介在(塗布)させることが好ましい。
また、制御部200は電源部201からヒータ100に対する電力供給を開始する。これにより、ヒータ100が急峻に昇温して内周面がこのヒータ100に摺動しつつ回転する定着ベルト101が加熱される。制御部100は、中央部サーミスタ105Cからフィードバックされる定着ベルト温度の検知情報に基づいて、定着ベルト温度を所定の定着温度に立ち上げる。そして、その定着温度が維持されるようにヒータ100に対する供給電力を制御して定着ベルト101の温度を温調する。即ち、制御部200は中央部サーミスタ105Cの出力に応じてヒータ100への通電を制御する。
この定着装置状態において、画像形成部2の二次転写ニップ部16から未定着のトナー像Tを担持している用紙Pが導入され、ニップ部Nで挟持搬送される。これによりトナー像Tおよび用紙Pが定着ベルト101の熱とニップ部圧により加熱加圧されることでトナー像Tが用紙Pに対して固着画像として定着される。ニップ部Nを挟持搬送された用紙Pはニップ部Nの用紙出口において定着ベルト101の面から曲率分離して定着装置40から排出搬送されていく。
送風冷却ユニット120は次のように制御される。装置に使用可能な最大幅の用紙よりも幅が小さい小サイズ用紙を連続的に通紙(導入)するジョブが実行されると、定着ベルト101の非通紙部(記録材の非通過部)の温度が通紙部(通過部)の温度よりも昇温していく端部昇温(非通紙部昇温)を生じる。その定着ベルト101の左右部の端部昇温の温度が、それぞれ、左右の端部サーミスタ105F・105Rで検出される。
制御部100は端部サーミスタ105F・105Rからそれぞれフィードバックされる温度情報に基づいて、端部温度が所定の第1設定温度(端部昇温の許容上限温度)に昇温したことを確認したら、ファン60F・60RをONする。本例ではその第1設定温度を220度としている。
また、制御部200は送風口122F・122Rの開口幅が、それぞれ、装置に通紙されている小サイズ用紙で形成される非通部幅に対応する開口幅になるようにシャッター板61F・61Rを移動させる。このシャッター板61F・61Rの移動制御は画像形成開始時に制御部200に入力される使用用紙の幅サイズ情報に基づいてジョブ開始前に実行するようにしてもよい。
上記のファン60F・60RのONとシャッター板61F・61Rの移動制御により使用用紙の幅サイズに応じた非通紙部領域の送風冷却(端部冷却)がなされて定着ベルト101の端部温度が降温する。即ち、送風冷却ユニット120は定着ベルト101の非通紙部領域を図1の矢印d方向に風を当てて冷却する。
また、制御部100は、上記の送風冷却に伴って端部温度が上記の第1設定温度よりも低い温度である所定の第2設定温度、本例では170度に降温したことを端部サーミスタ105F・105Rにより確認したら、ファン60F・60RをOFFする。即ち、定着ベルト101の端部冷却を停止する。
このように、制御部200は、小サイズ用紙の連続通紙ジョブの実行中において、端部サーミスタ105F・105Rにより定着ベルト端部温度が所定の第1設定温度に昇温したことを確認したらファン60F・60RをONして送風冷却を開始する。また、この送風冷却により定着ベルト端部温度が所定の第2設定温度に降温したことを確認したらファン60F・60RをOFFして送風冷却を停止する。そして、ジョブが終了するまで上記の送風冷却の開始と停止を繰り返す制御をすることにより端部昇温を緩和する。
なお、通紙される用紙が装置に使用可能な最大幅の用紙の場合はそれが連続的に通紙するジョブであっても、定着ベルト101の温度は実質全幅に渡って中央部サーミスタ105Cからフィードバックされる検知情報に基づいて所定の定着温度に温調される。そのため、端部昇温は発生せず、ファン60F・60RはOFFの状態が維持されて定着ベルト101の端部冷却は行われない。
(3)定着ベルトの異常検知
次に、定着ベルト101に異常、つまり、クラック(破れ)が発生した場合の検出手法について説明する。本例では、制御部(判定部)200は次の場合に定着ベルト101に破れが生じたと判定する。即ち、小サイズ用紙が連続的に通紙されることにより生じる端部昇温に基づいて送風冷却ユニット120が作動した状態時において左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差が所定の温度差になった場合に定着ベルト101の異常を報知する。
これを、図6に示すように、定着ベルト101の左側(F側)の端部のみにクラック(破れ)Kが発生した場合を例にして説明する。図6において、定着ベルト101の長手方向(幅方向)のクラック長さをW、周方向のクラック長さをLとする。
前述したように、小サイズ用紙(ここでは、80gsmのA4サイズ縦置き送り)が連続的にされて端部昇温が生じ、左右のサーミスタ105F・105Rが所定の第1設定温度としての220度以上を検知すると送風冷却ユニット120が作動する。即ち、ファン60F・60RがONにされて図6の矢印方向にファン60F(60R)からの風が吹いて端部冷却が行われる。
定着ベルト101の左側にも右側にもクラックKが発生していない場合には、定着ベルト101の端部冷却の降温に伴う左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度は共にほぼ同じ値(ほぼ同じ降温勾配)をもって推移していく。即ち、左右のサーミスタ105F・105Rの同時点における検知温度はほぼ同じ値であり、両者間の温度差はあっても実際上、例えば5度程度であって小さい。
ところが、定着ベルト101の左右端部の一方、図6の例では、左側(F側)の端部にクラックKが発生した場合、或いは既にクラックKが発生していた場合、ファン60Fの風がそのクラック部Kから定着ベルト101の内面に入る。そのため、定着ベルト101の内面と左側のサーミスタ105Fに直接にファン60Fの風が当たる。一方、定着ベルト101の右側(R側)の端部にはクラックがないので、ファン60Rの風が定着ベルト101の内面に入ることはなく、定着ベルト101の内面と右側のサーミスタ105Rにファン60Rの風が直接当たることはない。
そのため、定着ベルト101の端部冷却に伴う左側のサーミスタ105Fの検知温度の降温勾配は右側のサーミスタ105Rの検知温度の降温勾配よりも顕著に大きくなる、左右でアンバランスな降温状態となる。即ち、定着ベルト101の端部冷却の降温に伴う左右のサーミスタ105F・105Rの同時点における検知温度の温度差が顕著に大きくなる状況を生じる。
本例はこの現象に着目したもので、制御部200は上記のように左側と右側のサーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差が所定の温度差となった場合には定着ベルト101が異常(クラック発生)であると判定してそれを報知する構成である。
本例における定着ベルト101のクラック発生を検知する制御について図7のフローチャートを用いて説明する。この制御は小サイズ用紙の連続通紙中に送風冷却ユニット120のファン60F・60RがONされる条件下において制御部200が行う。即ち、本例では、制御部(判定部)200はこの条件下において左右の端部サーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差が所定の温度差としての本例では30度以上の場合に定着ベルト101に異常が発生したことを検知する。なお、定着装置40以外の制御に関してはここでは省略する。
ステップB:ヒータ100に通電を行い、モータM1を回転させて、定着装置40の立上げを行う。
ステップC:中央部および左右両端部のサーミスタ105C・105F・105Rが正常に動作しているか確認をする。
もし、正常に動作していない場合は、定着装置40もしくはサーミスタ105C・105F・105Rに異常があるので、画像形成装置1の動作を停止する(ステップK)。
ステップD:サーミスタ105C・105F・105Rが正常に動作している場合は定着装置40に通紙(設定されている小サイズ用紙の連続通紙ジョブ)を開始する。
ステップE:通紙中に、非通紙部領域に配置されている左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度TF1orTR1が所定の第1設定温度としての220度以上かどうか確認する。
ステップF:ステップEにおいて、220度以上の場合には送風冷却ユニット120のファン60F・60RをONする。また、送風冷却ユニット120の送風口122F・122Rの開口幅が装置に通紙されている小サイズ用紙で形成される非通部幅に対応する開口幅になるようにシャッター板61F・61Rを移動させる。これにより定着ベルト101の端部冷却が行われる。
ステップG:左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差T2が所定の温度差としての30度未満かどうか確認する。即ち、定着ベルト101に異常(クラック発生)が有るか無いかを判定する。
T2≧30度の場合(所定の温度差以上になった場合)は定着ベルト101の左端部側又は右端部側にクラックKが生じていると判定し、定着装置40を含む画像形成装置1の動作を停止する(ステップK)。
ステップH・I:ステップGにおいてT2<30度の場合は定着ベルト101に異常が無いと判定してステップFの定着ベルト101の端部冷却を続行する。そして、左右のサーミスタ105F・105Rの両方の検知温度が第1設定温度よりも温度が低い所定の第2設定温度としての本例では170度以下になるとファン60F・60RをOFFする。即ち、それ以上の端部冷却を停止する。
ステップJ:そして、ステップE〜Iを通紙終了まで繰り返す。ステップKの画像形成装置1の動作停止に至った場合には、図8に示すような表示を画像形成装置1に搭載の表示パネル202、もしくは画像形成装置1に接続されているPCのモニター(不図示)に表示する。つまり、異常をユーザに報知する。
ここで、図7のステップCにおいて「サーミスタ105F,C,Rが正常に動作している」かどうかとは「定着装置が正常に立上げ動作が行われサーミスタ105F,C,Rが正常値を検知した状態に動作している」ということである。サーミスタの検知動作自体は定着ベルトに接触することで温度検知を行い、ある時間に対する温度勾配が許容値以内であるかによって定着装置が正常に立上げ動作を行っているか確認している。このことは、後述する図10、図12のフローチャートにおいても同じである。
左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差によって定着ベルト101の異常を検知するまでのサーミスタ105F・105Rの検知温度の推移について図9により説明する。
図9は定着ベルト101の左側の端部にクラックKが発生した場合における左側のサーミスタ105F及び左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差を表したグラフである。横軸に時間t[s]、第1縦軸に左側のサーミスタ105Fの検知温度TF1[度]、第2縦軸に左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差T2[度]を表す。
推移(a):定着ベルト101にクラックKが発生していない状態で且つファン60F・60RがOFF状態で、定着装置40に小サイズ用紙を通紙中の状態を示す。左側のサーミスタ105Fの検知温度は170度から徐々に上昇していく。また、この状態の左右のサーミスタ105F・105R検知温度差は5度以内である。
推移(b):左側のサーミスタ105Fの検知温度が220度に達し、ファン60F・60RがONされた状態を示す。定着ベルト101に向けて風が送られ、左側のサーミスタ105Fの検知温度が170度になるまでファンがONされる。この状態でも左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差は5度以内である。
推移(c):左側のサーミスタ105Fの検知温度が170度まで下がり、ファンがOFFになった状態で更に通紙が続いている状態を示す。推移(a)と同様にサーミスタ105Fの検知温度は170度から徐々に上昇していく。
推移(d):推移(c)の状態から通紙中に定着ベルト101の左端部側にクラックKが生した状態を示す。ファン60FがOFFの状態では、左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度は推移(a)と同様に上昇していく。この時、左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差は7度以内である。従来の定着装置では左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差が5⇒7度に変化した違いでは端部サーミスタの検知温度のばらつきの範囲(±3度)に入ってしまう。そのため、この状態で定着ベルト101のクラック発生を検知するのは困難であった。
推移(e):推移(d)の状態からサーミスタの検知温度が220度に達し、ファンがONの状態になると、推移(b)の状態とは異なり、ファンの風が定着ベルト内面に入り、更に左側のサーミスタ105Fにも直接当たるようになる。そのため、左側のサーミスタ105Fの検知温度はクラックが入っていない右側のサーミスタ105Rに比べて小さくなり、推移(b)の状態と比較して、左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差は大きくなる。
本例では左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差が30度以上となった状態で定着ベルト101にクラックKが発生していると判定し、画像形成装置の動作を停止する。
上記の制御をまとめると次のとおりである。制御部(判定部)200は、ヒータ100への通電を行いつつ送風部200を動作させた際のサーミスタ105Fの出力に基づいて、定着ベルト101に破れが生じているか否かを判定する。サーミスタ105Fの検出温度が所定時間内に所定温度に上昇するか否かに応じて、定着ベルト101に破れが生じているか否かを判定する。検出温度が所定時間内に所定温度に上昇しない場合、定着ベルト101に破れが生じていると判定する。
制御部(判定部)200は、サーミスタ105Fの検出温度とサーミスタ105Rの検出温度の差が所定時間内に所定温度以上となるか否かに応じて、定着ベルト101に破れが生じているか否かを判定する。検出温度の差が所定時間内に所定温度以上となった場合、定着ベルト101に破れが生じていると判定する。
制御部(判定部)200は、ヒータ100と送風部200を稼働させるとともに加圧ローラ106により定着ベルト101を回転させた際のサーミスタ105Fの出力に基づいて、定着ベルト101に破れが生じているか否かを判定する。
従来の画像形成装置は、φ30の定着ベルトにW=1mm、L=1mmのクラックKが発生してから、耐久によってクラックKの大きさがW=15mm、L=45mmに進行しないと異常検知出来なかった。これに場合に比べ、本例では、定着ベルト101の搬送速度250mm/s、定着ベルトφ30の定着装置に用いた場合、クラックKの大きさが約W=10mm、L=10mmに進行する前に異常を出来るようになる。
また、本例では定着ベルト101の左端部側にクラックKが発生した場合を例に説明したが、クラックKの発生が右端部側の場合であっても左端部側にクラックKが発生した場合と同様に右側のサーミスタ105Rで検知可能である。
[実施の形態1]
本例では、画像形成装置1若しくは定着装置40の耐久(装置に導入された用紙の積算枚数)が一定枚数(本例では1000枚とする)に達すると、通紙動作が終了した後に定着フィルム101にクラックKが発生していないかの検知制御を行う。本例でも実施の形態1の場合と同様に定着ベルト101の左側端部にクラックKが発生した場合について説明する。なお、本例において、実施の形態1と同じ部分については説明を省略する。
本例における定着ベルト101のクラック発生を検知する制御について図10のフローチャート及び、図11の本例を用いた場合の左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度の推移グラフを用いて説明する。
制御部200は装置に導入された用紙の枚数を積算するカウンター機能部を有する。その積算枚数のカウント値(通紙カウント数)をNとする。本例ではそのカウント値Nの所定の閾値を1000(枚)としている。そして、N≧1000(カウント値が所定の閾値以上)になったら、装置を立ち上げ送風冷却ユニット120を作動させた状態にする。この状態おいて、左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度の温度差が所定の温度差になった場合には定着ベルト101の異常を報知する。これを図10の制御フローチャートで説明する。
ステップB:N≧1000を検知する。
ステップC、D:画像形成装置が行っている通紙動作が終了したか確認した後に、再度定着装置40を立上げる。
ステップE:中央部および左右端部のサーミスタ105C・105F・105Rが正常に動作しているか確認をする。
もし正常に動作していない場合は定着装置40もしくはサーミスタ105C・105F・105Rに異常があるので画像形成装置1の動作を停止する(ステップI)。
ステップD〜E状態での左側のサーミスタ105Fの検知温度TF1と左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差T2を図11の推移(a)に示す。
本例ではステップD〜E状態での左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度が220度となるように定着装置40の立上げを行う。この時に左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差は5度以内である。
ステップF:ファン60F・60Rを所定の時間ONする(本例では10sとする)。
ステップG:左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差T2が30度未満かどうか確認する。
図11の推移(b)に示すように、ファン60F・60Rを所定時間(本例では10s)ONすると、クラック発生無の場合は図11の破線で示すように左側のサーミスタ105Fの検知温度は170度未満まで低下する。この時、左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度差T2はクラック発生無の場合は図11の破線のように5度以内であるが、実線で示すクラック発生有の場合は30度以上となる。
これによって、もしステップGの状態においてT2≧30度の場合は定着ベルト101の左側のサーミスタ105F近傍にクラックが生じていると判定し、画像形成装置の動作を停止する(ステップI)。
ステップIで画像形成装置の停止に至った場合には実施の形態1の図8で示した表示を画像形成装置に搭載の表示パネル202、もしくは画像形成装置に接続されているPCのモニターに表示することで画像形成装置の異常をユーザに報知する。
ステップH:ステップGにおいて温度差T2の検出の実行後にカウント値Nがリセットされる。
本例では実施の形態1の制御が作動しない場合、つまり、ファン60F・60RがONされない条件である左右のサーミスタ105F・105Rの検知温度が220度未満の状態が続く通紙条件の場合においてもクラックKを早期に検知することが可能となる。
本例を画像形成装置に適用することによって、実施の形態1のように通紙中に端部冷却ファンがONしない通紙条件であっても定着ベルトに発生したクラックを従来の定着装置よりも早期に発見することが出来る。
上記において、定着装置40の立ち上げとファン60F・60Rの作動による検知温度の差温度T2の検出は、使用者により操作されるマニュアル操作部203から制御部200への入力信号に基づいて随時に実行できるようにすることもできる。
[参考例2]
本例では左右のファン60F・60Rを片方ずつONすることで定着ベルト101にクラックKが発生していないかの検知制御を行う制御について説明する。なお、本例において、実施の形態1と同じ部分については説明を省略し、参考例1の場合と同じ定着ベルトムの左端部側にクラックKが発生した場合の説明とする。
本例においては、制御部200は、装置を立ち上げ、送風冷却ユニット120を作動させた状態において、左右のサーミスタ105Fと105Rの少なくとも一方の検知温度が所定の閾値温度以上にならない場合には定着ベルト101の異常を報知する。これを図12のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置の通紙カウント数をNとすると、N≧1000になった場合に本実施の形態の制御手段は機能する。
ステップB:N≧1000を検知する。
ステップC、D:画像形成装置が行っている通紙動作が終了したか確認した後に、再度定着装置40を立上げる。
ステップE:中央部、左右端部のサーミスタ105C・105F・105Rが正常に動作しているか確認をする。
もし、正常に動作していない場合は定着装置40もしくはサーミスタ105C・105F・105Rに異常があるので画像形成装置の動作を停止する(ステップK)。
ステップF、G:左側のファン60Fを所定の時間ONし(本例では10sとする)、左側のサーミスタ105Fの検知温度がTF1≧140度(所定の閾値温度以上)かどうかを検知する。
もし、140度未満の場合(所定の閾値温度以上にならない場合)は定着ベルト101にクラックKが生じていると判定し、画像形成装置の動作を停止する(ステップK)。
ステップH、I:ステップGでTF1≧140度の場合は、右側のファン60Rを所定の時間ONし(本例では10sとする)、右側のサーミスタ105Rの検知温度がTR1≧140度かどうかを検知する。
もし、140度未満の場合は定着ベルト101にクラックKが入っている可能性があるので、画像形成装置の動作を停止する(ステップK)。
ステップJ:カウント値Nはその後リセットされる。
また、本例で示したフローチャートのステップF→G→H→Iの順はステップH→I→F→Gでも同様の効果が得られる。また、ステップFとG及びステップHとIを並行して実行させても同様の効果が得られる。
本例の場合は、参考例1や実施の形態1のように定着ベルト101の左右両端側の片側のみにクラックが発生した場合を検知出来るだけでなく、左右両側にクラックが発生した場合においてもクラックの発生を従来の定着装置よりも早期に検知可能となる。
上記において、定着装置40の立ち上げとファン60F・60Rの作動による検知温度の検出は、使用者により操作されるマニュアル操作部203から制御部200への入力信号に基づいて随時に実行できるようにすることもできる。
[実施の形態2]
本例では実施の形態1や参考例1,2で示した装置が2つの端部冷却ファン60F・60Rを持つ構成とは異なり、1つファン60からダクト70を用いて定着装置40の両端の非通紙部領域に風を送る構成である。なお本例において、実施の形態1〜3と同じ部分については説明を省略する。
図13に本例における、定着装置40での送風冷却ユニット120の構成を示す。1つのファン60から排出された風は二股ダクト70によって定着装置40の両端部に導かれる。この場合、二股ダクト70によって定着装置40の両端部に導かれる風速及び風量が互いに同じになる条件で使用する。本例を画像形成装置に適用することで、ファンが1つの場合であっても定着ベルト101に発生したクラックを従来の定着装置よりも早期に発見することが可能となる。
以上説明した各実施の形態によれば、定着ベルトに入ったクラックを早期に発見することができ画像不良に至る前に定着装置の異常を発見することが可能となる。また、従来に比べてクラックの状態が進行して他の部品を傷つけてしまう前に検知することが可能となるので、ランニングコスト、ダウンタイムの低減や、装置の信頼性向上を図ることが出来る。
[その他の事項]
ここで、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各施の形態の中で示唆した以外にも、前記各施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施例の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1)実施例では、無端状のベルト101を、ニップ形成部材としての加圧ローラ106を駆動回転体としてその回転駆動で従動回転させる装置で説明したが、この装置構成に限られるものではない。例えば、無端状ベルト101は駆動ローラを含む複数の支持部材間に懸回張設して回転駆動する装置形態にすることもできる。
2)ニップ形成部材106も回転可能な無端ベルト体の形態にすることもできる。
3)ベルト101の温度を上昇させる温度上昇部の構成は実施例のセラミックヒータを用いた構成に限られるものではない。各種の内部加熱手段構成或いは外部加熱手段構成を用いることができる。例えば、熱源としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を用いベルト101を内側もしくは外側から加熱する手段構成、ベルト101をベルト101の内側もしくは外側に配設した励磁コイルにより電磁誘導加熱する手段構成にすることもできる。また、ベルト自体に通電発熱層を具備させてその層の発熱により加熱する手段構成にすることもできる。
4)本発明の画像加熱装置は実施例のようにシートPに担持された未定着トナー像Tを加熱加圧して固着画像として加熱定着する定着装置としての使用に限定されない。シートに一旦定着された或いは仮定着された画像(定着済み画像又は半定着画像)を加熱加圧して光沢度を向上させるなどの画像の表面性を調整する加熱処理装置としても有効である。
5)制御部200は画像形成装置の画像形成に係る制御と定着に係る制御を兼用する制御部(制御手段)である場合に限られない。制御部2001は専ら定着装置(画像加熱装置)40の制御を行うものであってもよい。
6)定着装置(画像加熱装置)40は、画像形成装置の内部に固設されているものに限られない。ユニット化されて画像形成装置本体の外部へ取り出し交換できるものであってもよい。この場合、制御部200を含めて取り外し交換されるものであってもよいし、制御部200を除いて取り外し交換されるものであってもよい。また、本発明の画像加熱装置は、画像形成装置とは独立して、画像加熱装置単独で用いられるものであってもよい。
7)画像形成装置の画像形成部は電子写真方式に限られない。静電記録方式や磁気記録方式等の適宜の画像形成プロセス手段の画像形成部であってもよい。また、転写方式に限られず、シートとしてエレクトロファックスシート・静電記録紙などを用いてシートに直接方式で未定着画像を形成する構成のものであってもよい。