JP6623570B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体にトナー像を定着する定着装置、及びこの定着装置を備える画像形成装置に関する。
従来から、プリンタや複写機等の画像形成装置に使用される定着装置として、熱ローラ定着装置や2軸以上で張架するベルト定着装置が知られている。
一方、近年においては、装置の省エネ化や、ウェイトタイム短縮に対する要求が高まっている。このため、加熱ローラの替わりにベルトや薄膜フィルムを用いた加熱装置を採用することで、定着装置の低熱容量化を実現し、加熱に要する待ち時間を大幅に短縮したオンデマンドタイプの定着装置が広く採用されている(例えば、特許文献1,2参照)。
このような低熱容量の定着装置は、加熱による温度の上昇が速く、定着部材を一定温度に制御するのが困難であることが知られている。このため、従来の低熱容量の定着装置には、非接触型で熱応答性の速い赤外線検出型などの温度検知センサを用いて定着部材の表面温度を検知することで、定着部材が一定温度となるように制御しているものもある。
一方で、従来の定着装置には、印刷時に用紙から発生した水蒸気により雰囲気湿度が上昇し、用紙の変形や印刷品質の低下が発生するという問題がある。
特許文献1には、定着ニップとその下流の用紙送りローラ間での印刷用紙の変形や両面印刷時の印刷品質低下を防止するために、定着ニップとその下流の用紙送りローラ間に気流制御機構としてのファンを設置して、雰囲気湿度を低減する構成が開示されている。
また、特許文献2には、非接触型温度検知センサ及び周辺温度が不安定となる電源投入時を含めて使用形態に関係なく温度検知精度を高めることを目的として、定着ユニット内に気流制御機構を有する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、ファンからの気流の影響によって温度検知センサで温度ズレが発生しないように、定着装置の立上げ時にファンを停止するようになっている。この結果、冷間立上げ後の印刷で用紙から発生した水蒸気により雰囲気湿度が上昇し、非接触型温度検知センサの表面が結露してしまうという問題がある。
また、特許文献2には、非接触型温度検知センサ周辺の雰囲気湿度を下げるために有効となる具体的な気流制御に関する構成は記載されていない。よって、特許文献2の構成は、冷間立上げ後の印刷で用紙から発生した水蒸気により雰囲気湿度が上昇し、非接触型温度検知センサの表面が結露してしまうという問題を解決するものではない。
上記の結露の問題を解消するために、立上げ初期の生産性を落として雰囲気湿度の上昇を抑える方法や、空転により非接触型温度検知センサ自身の温度を結露しない温度まで上昇させる方法も考えられる。しかしながら、これらの方法には、生産性やファーストプリントタイムを確保できないという問題がある。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、生産性及びファーストプリントタイムを確保しつつ、印刷時に記録媒体から発生する水蒸気による温度センサ付近の雰囲気湿度の上昇を抑えることができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る定着装置は、回転可能に設けられ、記録媒体に未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱手段と、前記定着部材を外周側から加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に位置し、かつ前記定着部材と前記加圧部材との間にニップ部を形成させる固定部材と、前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と、を備える定着装置において、前記ニップ部の出口から送出された記録媒体を装置外に排出する紙排出口と、前記ニップ部の出口と前記温度検知手段との間に設けられ、前記記録媒体が前記ニップ部を通過する際に前記ニップ部の出口付近で発生する水蒸気を前記紙排出口から排出するために、前記温度検知手段から前記紙排出口に向かう方向の気流を発生させる気流制御機構と、前記記録媒体の含水率を検知する検知手段と、更に備え、前記気流制御機構は、回転可能な羽根を有し、前記含水率を検知する検知手段の検知結果により前記羽根の回転の継続又は停止制御を行うことを特徴とする。
本発明は、生産性及びファーストプリントタイムを確保しつつ、印刷時に記録媒体から発生する水蒸気による温度センサ付近の雰囲気湿度の上昇を抑えることができる定着装置及び画像形成装置を提供する。
本発明の実施の形態に係る定着装置を装備したカラー画像形成装置の断面を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成する定着ベルト、固定部材、加熱部材、補強部材、ヒータ、加圧ローラ、温度センサ、及び接離機構の配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成する温度センサの配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成する気流制御機構の配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成するダクトの配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成する定着ベルト、温度センサ、及び気流制御機構の配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成する気流制御機構の他の構成例を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る定着装置を構成する定着ベルト、温度センサ、気流制御機構、及びダクト機構の配置を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置1は、その内部上方のボトル収容部101に、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kを着脱自在、すなわち交換自在に収納している。画像形成装置1は、その内部のボトル収容部101の下方に、中間転写ユニット85を備えている。
画像形成装置1は、その内部であって中間転写ユニット85の下方に、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kを備えている。作像部4Y、4M、4C、4Kは、中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向している。
各作像部4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kを有している。各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、及び除電部等が配設されている。
各作像部4Y、4M、4C、4Kは、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)を行い、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像を形成するようになっている。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、駆動モータにより図1において時計方向に回転駆動され、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電されるようになっている(帯電工程)。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、その表面に露光部3から発せられたレーザ光Lが到達し、レーザ光の露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成されるようになっている(露光工程)。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、その表面が現像部76と対向する位置で、静電潜像が現像され、各色のトナー像が形成されるようになっている(現像工程)。感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、その表面が中間転写ベルト78及び第1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの対向する位置で、トナー像が中間転写ベルト78上に転写されるようになっている(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、その表面がクリーニング部77と対向する位置で、未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収されるようになっている(クリーニング工程)。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、その表面が除電部と対向する位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去され、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で行われる一連の作像プロセスが終了するようになっている。
現像工程を経て各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト78上に重ねて転写され、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成されるようになっている。
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、及び中間転写クリーニング部80を有している。
中間転写ベルト78は、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84により張架・支持されるとともに、図1において反時計方向に周回するようになっている。
1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成するようなっている。また、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加されるようになっている。
中間転写ベルト78は、図1において反時計方向に周回して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過するようになっている。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像は、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写されるようになっている。
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89の対向する位置で、2次転写バックアップローラ82と2次転写ローラ89との間に挟み込まれ、2次転写ニップを形成するようになっている。中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、2次転写ニップに搬送された記録媒体P上に転写されるようになっている。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80に達すると、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト78上で行われる、一連の転写プロセスが終了するようになっている。
2次転写ニップに搬送された記録媒体Pは、画像形成装置1の内部下方に設けた給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98等を経由して搬送されたものである。給紙部12は、転写紙等の記録媒体Pを複数枚重ねて収納している。
給紙部12は、給紙ローラ97が図1において反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pをレジストローラ対98のローラ間に向けて給送するようになっている。レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止するようになっている。
給紙部12は、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98を回転駆動して、記録媒体Pを2次転写ニップに向けて搬送するようになっている。これにより、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写されるようになっている。
2次転写ニップでカラー画像が転写された記録媒体Pは定着装置20に搬送され、定着装置20の定着ベルト21と加圧ローラ31とで加熱加圧されて、カラー画像が記録媒体Pに定着するようになっている。このようにして、記録媒体Pにカラー画像が記録される。
カラー画像が定着された記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、出力画像としてスタック部100上に順次スタックされ、画像形成装置1における一連の画像形成プロセスが完了するようになっている。
図2に示すように、本実施の形態に係る定着装置20は、定着ベルト21、固定部材26、加熱部材22、補強部材23、ヒータ25、加圧ローラ31、温度センサ40、及び接離機構50を含んで構成されている。
定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状ベルトであって、図2において反時計方向に周回するようになっている。定着ベルト21は、内周面21a側から、基材層、弾性層、離型層が順次積層したものでその全体の厚さが1mm以下に設定されている。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜100μmであって、ニッケル合金、ステンレス鋼等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料で形成されている。定着ベルト21は、弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わり柚子肌画像の発生が抑止されるようになっている。
定着ベルト21の離型層は、層厚が5〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂材料で形成されている。あるいは、定着ベルト21の離型層は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21は、離型層を設けることで、トナー像Tに対する剥離性が確保されるようになっている。また、定着ベルト21の直径は、15〜120mmになるように設定されている。本実施の形態に係る定着装置20では、定着ベルト21の直径を30mm程度に設定している。
加圧ローラ31は、定着ベルト21の外周面に当接し、定着ベルト21を外周側から加圧してニップ部Nを形成するようになっている。加圧ローラ31は、直径が30〜40mm程度であって、中空構造の芯金32の外周部に弾性層33を形成したものである。加圧ローラ31の弾性層33は、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料で形成されている。弾性層33は、表層部にPFA、PTFE等からなる薄肉の離型層を設けることもできる。
固定部材26は、液晶ポリマー等の耐熱樹脂材料等で形成され、定着ベルト21の内周側に配置されている。固定部材26は、定着ベルト21の内側に配置した補強部材23によって、補強、支持されている。
固定部材26は、加圧ローラ31側の端面が加圧ローラ31の曲率に倣うような凹湾曲面に形成されており、定着ベルト21と加圧ローラ31との間にニップ部Nを形成させるようになっている。これにより、記録媒体Pは、加圧ローラ31の曲率に倣うようにニップ部Nから送出される。このために、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21に密着して分離しないというような不具合を抑止することができる。
ニップ部Nを形成するための固定部材26の端面は、平坦面、もしくは平坦面から凹湾曲面に変化するよう形成してもよい。固定部材26は、端面を任意の形状とすることで、ニップ部Nの形状が記録媒体Pの画像面に対してほぼ平行となる場合には、記録媒体Pにシワが発生することを防ぐ効果が得られる。
また、固定部材26は、端面を凹湾曲面に近づけることによって、定着ベルト21と記録媒体Pとの密着性が高くなり、トナー像Tの定着性が向上する。さらに、ニップ部Nの出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部Nから送出される記録媒体Pを定着ベルト21から容易に分離することができる。
加熱部材22は、肉厚が0.2mm以下のパイプ状部材であり、定着ベルト21の内側に配置されている。加熱部材22の材料としては、アルミニウム合金、鋼、ステンレス鋼等の金属材料で形成されている。加熱部材22は、その肉厚を0.2mm以下に設定することで、定着ベルト21の加熱効率を向上することができる。
加熱部材22は、ニップ部Nを除く位置で定着ベルト21の内周面21aに近接、もしくは接触するように形成されており、ニップ部Nに対向する個所に、内側に向けて窪む凹部22aを有している。この凹部22aには、固定部材26が収容されている。常温時における定着ベルト21と加熱部材22とのギャップは、ニップ部Nを除いて、0mmより大きく2mm以下とすることが好ましい。
これにより、加熱部材22と定着ベルト21とが摺接する面積が大きくなり過ぎることがなく、よって、定着ベルト21の磨耗を抑止できる。また、加熱部材22と定着ベルト21とが離れ過ぎることがなく、定着ベルト21の加熱効率が低下する不具合を抑止できる。
さらに、加熱部材22が定着ベルト21の内側に配置されることで、可撓性を有する定着ベルト21の円形姿勢がある程度維持されるため、変形に起因した定着ベルト21の劣化及び破損を回避することができる。また、加熱部材22と定着ベルト21との摺動抵抗を低下させるために、加熱部材22の摺接面を摩擦係数の低い材料で形成したり、定着ベルト21の内周面21aにフッ素を含む材料からなる表面層を形成したりするようにしてもよい。
本実施の形態においては、加熱部材22の断面形状を略円形になるように形成したが、加熱部材22の断面形状を多角形になるよう形成してもよい。また、加熱源からの熱を定着ベルト21に均一に伝達し、かつ定着ベルト21の周回の安定性を確保する手段が別途に用意されている場合には、加熱部材22を配置せずに、定着ベルト21を直接加熱する方式の定着装置を構成することも可能である。その場合は、定着装置全体としての熱容量のうち、加熱部材22の熱容量が排除されるため、より昇温性能や省エネ性能に優れた定着装置を構成することができる。
加熱部材22は、その幅方向両端部が定着装置20の側板に固定支持されている。加熱部材22は、加熱部材22の内側に配置したヒータ25から放射される輻射光による輻射熱により加熱されて定着ベルト21を加熱するようになっている。すなわち、加熱部材22がヒータ25によって直接的に加熱されて、加熱部材22を介して定着ベルト21がヒータ25によって間接的に加熱されることになる。
本実施の形態においては、ヒータ25にハロゲンヒータを用いているが、熱源の種類はハロゲンヒータに限定されるものではなく、例えば、誘導加熱方式の熱源を有するものや、あるいはセラミックヒータであってもよい。
ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21の外周面に対向するよう配置した接触式サーミスタ等の温度センサ40によるベルト表面温度の検知結果に基づいて行われるようになっている。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度を所望の定着温度に設定することができる。温度センサ40は、非接触式サーミスタ、あるいは非接触のサーモパイルを用いるようにしてもよい。
補強部材23は、幅方向の長さが固定部材26と同等になるように形成されていて、その幅方向両端部が定着装置20の側板に固定支持されている。補強部材23は、ステンレス鋼や鋼等の機械的強度が高い金属材料で形成されている。補強部材23は、固定部材26及び定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接することで、ニップ部Nにおいて固定部材26が加圧ローラ31の加圧力を受けて大きく変形することを抑止している。
ヒータ25がハロゲンヒータなど輻射熱を利用して加熱する方式の熱源である場合には、補強部材23におけるヒータ25に対向する面の一部、又は全部に、断熱部材を設けたり、BA処理や鏡面研磨処理を施したりするようにしてもよい。このような構成を採ると、ヒータ25から補強部材23に向かう輻射熱が加熱部材22の加熱に用いられることになるため、定着ベルト21及び加熱部材22の加熱効率をさらに向上することになる。
加圧ローラ31は、その幅方向両端部が定着装置20の側板に軸受を介して回転自在に支持されている。また、加圧ローラ31は、駆動機構により、図2において時計方向に回転駆動されるようになっている。
加圧ローラ31は、弾性層33を発泡性シリコーンゴム等のスポンジ状の材料で形成した場合には、ニップ部Nに作用する加圧力を減ずることができるため、固定部材26に生じる撓みを軽減できる。さらに、加圧ローラ31の断熱性が高められて、定着ベルト21の熱が加圧ローラ31側に伝達されにくくなるために、定着ベルト21の加熱効率が向上する。
本実施の形態においては、定着ベルト21の直径を加圧ローラ31の直径と同等になるように形成しているが、定着ベルト21の直径は、加圧ローラ31の直径よりも小さくなるよう形成してもよい。その場合、ニップ部Nにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも大きくなるために、ニップ部Nから送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離されやすくなる。
また、定着ベルト21の直径を加圧ローラ31の直径よりも大きくなるように形成してもよいが、定着ベルト21の直径と加圧ローラ31の直径との関係によらず、加圧ローラ31の加圧力が加熱部材22に作用しないように構成する必要がある。
接離機構50は、定着ベルト21に対して加圧ローラ31を接離させるようになっている。接離機構50は、加圧レバー51、偏心カム52、及び加圧スプリング53等を含んで構成されている。
加圧レバー51は、一端部に設けられた支軸51aを中心として定着装置20の側板に回転自在に支持されている。加圧レバー51は、中央部が加圧ローラ31の軸受に当接している。この軸受は、定着装置20の側板に形成された長穴に移動可能に保持されている。加圧レバー51は、他端部に加圧スプリング53の一端部が接続されている。
加圧スプリング53は、他端部に保持板53aが取り付けられている。保持板53aは、駆動モータにより回転する偏心カム52の周縁部に当接している。加圧レバー51は、偏心カム52の回転により、支軸51aを中心に揺動し、加圧ローラ31を定着ベルト21に近接離反する方向へ移動させるようになっている。
すなわち、通常の定着工程時には、偏心カム52の回転位置が図2に示す状態になって、加圧ローラ31は定着ベルト21を加圧して所望のニップ部Nを形成するようになっている。これに対して、ジャム処理時や対峙等の通常の定着工程時以外のときには、偏心カム52の回転位置が図2に示す状態から180度転向して、加圧ローラ31は定着ベルト21から離脱、又は定着ベルト21を減圧するようになっている。
以下、定着装置20の通常時の動作について簡単に説明する。
定着装置20は、画像形成装置1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31を図2において時計方向に回転させる。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ31との摩擦力により図2において反時計方向に連れ回される。
次いで、給紙部12から2次転写ローラ89に送給された記録媒体Pに、未定着のカラー画像が担持される。未定着画像としてトナー像Tが担持された記録媒体Pは、ガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部Nに送入される。
そして、加熱部材22によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強された固定部材26と加圧ローラ31との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、記録媒体Pは、ニップ部Nから矢印Y11方向に搬送される。
以下、定着装置について詳述する。
図3に示すように、定着装置20は、筐体30の内部に、定着ベルト21、加熱部材22、補強部材23、ヒータ25、固定部材26、分離部材27、入口ガイド部材28、加圧ローラ31を備える。また、筐体30の内部又は外部に温度センサ40が設けられている。
入口ガイド部材28は、記録媒体Pの搬送方向上流側から、記録媒体Pをニップ部Nに向けて指向させるようになっている。分離部材27は、記録媒体Pの搬送方向下流側において、定着ベルト21への記録媒体Pの巻き付きを防止するようになっている。
筐体30には、開口部30a、開口部30b、開口部30cが形成されている。開口部30aには、未定着画像としてトナー像Tが担持された記録媒体Pが送入されるようになっている。また、開口部30b(以下、「紙排出口」ともいう)からは、トナー像Tが定着されてニップ部Nの出口から送出された記録媒体Pが、定着装置20外に排出されるようになっている。また、開口部30cは、定着ベルト21表面から放射される赤外線を温度センサ40に入射させるためのものである。
温度センサ40は、定着ベルト21表面から放射される赤外線を、非接触式サーミスタ、あるいは非接触のサーモパイル等からなるセンサ部分に集光するレンズ41を含む。温度センサ40は、定着ベルト21表面から放射され、筐体30の開口部30cを通過してレンズ41を透過した赤外線を検出することで、定着ベルト21表面の温度を検知するようになっている。
また、レンズ41は、センサ部分の視野角度を適切な値に調整して、検知対象としての定着ベルト21以外の部材の温度を検知することを防止できる。
図4に示すように、定着装置20は、筐体30の内部においてニップ部Nの出口と温度センサ40との間に設けられ、定着装置20内の気流を制御する気流制御機構としてのファン60を備える。
ファン60は、回転可能な羽根を有しており、定着ベルト21の回転により生じるニップ部Nの出口付近から温度センサ40方向へ向かう気流aとは逆方向の気流bを発生するようになっている。具体的には、気流bは、温度センサ40側から紙排出口30bに向かう方向の気流である。
この気流bにより、記録媒体Pとしての用紙がニップ部Nを通過する際(以下、「通紙時」ともいう)にニップ部Nの出口付近で発生する水蒸気が温度センサ40側に回り込むことを防止しつつ、当該水蒸気を紙排出口30bから排出することができる。また、ファン60の回転速度を定着ベルト21や加圧ローラ31の回転速度よりも十分速く設定することで、温度センサ40付近の雰囲気湿度の上昇を抑制することができる。例えば、ファン60の回転速度は1000〜7000rpmであるとよい。
図5に示すように、定着装置20は、ファン60と紙排出口30bの間にダクト65を備えていてもよい。ダクト65は、ファン60により発生した気流bを紙排出口30b方向に流すように配置されている。これにより、ファン60から発生した気流bをダクト65を通じてより効率的に紙排出口30bに流して、通紙時にニップ部Nの出口付近で発生する水蒸気を定着装置20外に効率的に排出することができる。
図6に示すように、気流制御機構としてのファン60は、フランジ部材29に保持された定着ベルト21の回転軸に関して、温度センサ40と同じ軸方向位置に配置されてもよい。これにより、通紙時にニップ部Nの出口付近で発生する水蒸気が温度センサ40側に回り込むことをより効果的に防止できる。
図7に示すように、定着装置20は、筐体30の内部においてニップ部Nの出口と温度センサ40との間に配置され、定着装置20内の気流を制御する気流制御機構としてのローラ61、駆動ギヤ62、及びフィン63を備えるものであってもよい。
ローラ61は、その周方向に羽根としての複数のフィン63が配置されており、駆動ギヤ62により回転するようになっている。複数のフィン63は、ローラ61が駆動ギヤ62により回転することで気流を発生させるようになっている。
これにより、定着ベルト21の回転により生じるニップ部Nの出口から温度センサ40方向へ向かう気流とは逆方向の気流を、軸方向に対して広範囲に発生させることができる。このため、通紙時にニップ部Nの出口の中央及び端部で発生する水蒸気が温度センサ40側に回り込むことを防止できる。また、ローラ61の回転速度を定着ベルト21や加圧ローラ31の回転速度よりも速く設定することで、さらに温度センサ40付近の雰囲気湿度の上昇を抑制することができる。
また、図8に示すように、気流制御機構からの気流を温度センサ40の周辺領域で絞るためのダクト機構66を設けてもよい。このようなダクト機構66内に気流制御機構を配置することで、ローラ61の回転によりフィン63を通じて発生した気流をより効率的に紙排出口30bに流すことができる。これにより、通紙時にニップ部Nの出口付近で発生する水蒸気を定着装置20外に効率的に排出することができる。
なお、気流制御機構としての上記ファン60及びローラ61の回転は、温度センサ40の検知温度が低い定着装置20の立上げ制御時に、定着ベルト21及び加圧ローラ31の回転と同期して実施される。つまり、定着装置20の立上げ制御時に定着ベルト21及び加圧ローラ31が回転している間は、上記ファン60及びローラ61も回転している。
さらに、ニップ部Nを通紙される記録媒体Pとしての用紙の含水率が高い場合には、通紙によりレンズ41表面が結露しやすい。このため、温度センサ40の検知温度が低い場合には、通紙後に定着ベルト21及び加圧ローラ31の回転が停止した後も一定時間ファン60やローラ61の回転を継続することで、温度センサ40付近の結露を防止することができる。
あるいは、定着装置20は、温度センサ40周辺の温度を検知することが可能な検知手段や、記録媒体Pの抵抗測定などにより記録媒体Pの含水率を検知することが可能な検知手段を備えるものであってもよい。定着装置20は、これらの検知手段により、温度センサ40が十分に温まっていることを検知した場合や、記録媒体Pの含水率が低いことを検知した場合には、ファン60やローラ61を停止してもよい。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置は、ニップ部の出口と温度検知手段との間に設けられ、温度検知手段から紙排出口に向かう方向の気流を発生させる気流制御機構を備える。これにより、印刷時に記録媒体から発生する水蒸気による温度検知手段付近の雰囲気湿度の上昇を抑えることができる。
また、本実施の形態の定着装置においては、気流制御機構と紙排出口の間にダクトを設ける。これにより、気流制御機構により発生した気流をダクトを通じて効率的に紙排出口に流すことができるため、通紙時にニップ部の出口付近で発生する水蒸気を装置外に排出しやすくなる。
また、本実施の形態の定着装置においては、温度検知手段は、定着部材から放射される赤外線を検出する。これにより、定着部材の表面温度を検知することができる。
また、本実施の形態の定着装置においては、温度検知手段は、定着部材から放射される赤外線を透過するレンズを含む。これにより、レンズにより温度検知手段のセンサ部分の視野角度を適切な値に調整し、検知対象としての定着部材以外の温度を検知することを防止できる。
また、本実施の形態の定着装置においては、気流制御機構は回転可能な羽根を有する。これにより、羽根の回転により、気流を発生させることができる。
また、本実施の形態の定着装置においては、気流制御機構は、少なくとも温度検知手段と同じ軸方向位置に配置される。これにより、通紙時にニップ部の出口付近で発生する水蒸気が温度検知手段側に回り込むことを、より効果的に防止できる。
また、本実施の形態の定着装置においては、羽根の回転速度は、定着部材や加圧部材の回転速度より速い。これにより、温度検知手段付近の雰囲気湿度の上昇を、より効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態の定着装置においては、羽根は、少なくとも定着装置の立上げ時に、定着部材及び加圧部材と同期して回転する。これにより、定着装置の立上げ時の印刷中に記録媒体から発生する水蒸気を効率的に装置外に排出することができる。
また、本実施の形態の定着装置においては、羽根は、定着部材及び加圧部材の回転停止後も一定時間回転を継続する。これにより、温度検知手段付近の温度が低く、通紙される用紙の含水率が高い場合であっても、通紙後に定着部材及び加圧部材の回転が停止した後も一定時間気流の制御を継続することで、温度検知手段付近の結露を防止することができる。
以上により、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されるものではない。また、本発明は、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。
1 画像形成装置
20 定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
22 加熱部材
25 ヒータ(加熱手段)
26 固定部材
30 筐体
30a,30c 開口部
30b 開口部(紙排出口)
31 加圧ローラ(加圧部材)
40 温度センサ(温度検知手段)
41 レンズ(温度検知手段)
60 ファン(気流制御機構)
61 ローラ(気流制御機構)
62 駆動ギヤ(気流制御機構)
63 フィン(気流制御機構)
65 ダクト
66 ダクト機構
N ニップ部
P 記録媒体
T トナー像
特開2002−023551号公報 特開2003−241566号公報

Claims (8)

  1. 回転可能に設けられ、記録媒体に未定着画像を定着させる定着部材と、
    前記定着部材を加熱する加熱手段と、
    前記定着部材を外周側から加圧する加圧部材と、
    前記定着部材の内周側に位置し、かつ前記定着部材と前記加圧部材との間にニップ部を形成させる固定部材と、
    前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と、を備える定着装置において、
    前記ニップ部の出口から送出された記録媒体を装置外に排出する紙排出口と、
    前記ニップ部の出口と前記温度検知手段との間に設けられ、前記記録媒体が前記ニップ部を通過する際に前記ニップ部の出口付近で発生する水蒸気を前記紙排出口から排出するために、前記温度検知手段から前記紙排出口に向かう方向の気流を発生させる気流制御機構と、
    前記記録媒体の含水率を検知する検知手段と、を更に備え、
    前記気流制御機構は、回転可能な羽根を有し、前記含水率を検知する検知手段の検知結果により前記羽根の回転の継続又は停止制御を行うことを特徴とする定着装置。
  2. 前記気流制御機構と前記紙排出口の間にダクトを設けることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記温度検知手段は、前記定着部材から放射される赤外線を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記温度検知手段は、前記定着部材から放射される赤外線を透過するレンズを含むことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記羽根の回転速度は、前記定着部材や前記加圧部材の回転速度より速いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記羽根は、少なくとも前記定着装置の立上げ時に、前記定着部材及び加圧部材と同期して回転することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記羽根は、前記定着部材及び前記加圧部材の回転停止後も一定時間回転を継続することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 一連の画像形成プロセスによって形成された画像を前記記録媒体に記録する画像形成装置であって、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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