以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1の情報装置及び情報記録媒体について、図のように座標系をとり、図1乃至図9を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における情報装置及び情報記録媒体の構成を示す概略図である。図2は、本発明の実施の形態1における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図3は、本発明の実施の形態1における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体の記録領域との間で近接場光が発生する様子を示す図2のIII−III線による断面図である。
本実施の形態の情報装置は、表面プラズモン共鳴(以下、単に「プラズモン共鳴」ともいう)を利用した近接場光を用いて情報の記録又は再生を行う情報装置であり、近接場光発生素子9、対物レンズ10、コリメータレンズ11、光源14、ビームスプリッタ15、検出レンズ16、光検出器17a、17b、サーボ信号検出用光学素子19、再生部24及び駆動部25を備える。情報記録媒体3は、基板1と、基板1上に、島状に配列された記録可能な複数の記録領域4を有する記録層2とを備える。記録領域4は、例えば、記録材料を含む微粒子からなる。
ここで、本願発明者らが新たに見出した従来の情報装置の課題について説明する。図4は、従来の情報装置における近接場光発生素子と情報記録媒体の記録領域との間で近接場光が発生する様子を示す、図33のIV−IV線における断面図である。図5は、図4に示す情報記録媒体より高密度化された情報記録媒体の記録領域と近接場光発生素子との間で近接場光が発生する様子を示す断面図である。
図4に示す情報記録媒体103では、記録領域104間の間隔sが記録領域104のサイズwよりも大きく、w<sとなる。一方、図5に示す高密度化された情報記録媒体103’では、記録領域104間の間隔s’が記録領域104のサイズw以下であり、w≧s’となる。したがって、図5に示す高密度化された情報記録媒体103’の記録領域104の配列周期Λy’は、図4に示す情報記録媒体103の記録領域104の配列周期Λyより小さいため、情報記録媒体103’は、記録情報量を大容量化できる。
ここで、近接場光発生素子109は、長手方向がY方向となるように三角形状の金属膜を、記録領域104の配置面(XY面)に平行に配置されるとともに、その配置面からワーキングディスタンスWDが数十nm程度になるように、記録領域104に近接させて配置されている。
このとき、プラズモン共鳴が生じ易いY方向の直線偏光(偏光方向108)の記録光105が、近接場光発生素子109に照射される。その結果、近接場光発生素子109の金属膜内で表面プラズモン共鳴が誘起され、入射光に比べて電界強度が大きく増大した近接場光107a(偏光方向108と平行な偏光方向127を有する近接場光)が近接場光発生素子109の先端部(三角形状の頂点近傍)から発生する。
発生した近接場光107aが、近接配置した記録領域104aに照射されることにより、記録領域104aは、相変化し(結晶からアモルファスへ、又はアモルファスから結晶へ変化し)、1つの記録領域を最小単位とする記録を行うことができる。
上記のように、近接場光発生素子109は、記録領域104の配置面(XY面)に平行配置(記録領域104に対していわゆる横置き配置)され、記録領域104の1つの配列方向に平行なY方向の偏光方向(偏光方向108)を有する記録光105が、近接場光発生素子109に照射される。このとき、記録光105の偏光方向と同じY方向に偏光方向127を有する近接場光107aが発生し、記録領域104の相変化記録が行われる。なお、Y方向以外の偏光を有する近接場光も発生するが、記録光105と同じY方向に偏光する近接場光107aが発生する割合が非常に多い。
ここで、各記録領域104は、面内では島状に孤立しており、XY面でそれぞれ分離されている。この場合、記録するターゲットの記録領域104aに、Y方向に偏光する近接場光107aを照射すると、図4に示すように、照射した記録領域104aの側面から、±偏光方向(±Y方向)に、記録領域104の大きさwとほぼ同じ大きさnwを有する、近接場光107b1、107b2が付随的に発生する。
詳細に述べると、近接場光107b1、107b2は、記録領域104aのそれぞれの側面にまとわりつくように局在化しており、側面から遠ざかるにつれて徐々に強度が低下する。例えば、近接場光107b1、107b2の強度が最大強度の1/e2に低下する距離がnwである。
図4に示す記録領域104間の間隔sは、記録光105の波長よりも十分小さいが、近接場光107b1、107b2の広がる距離nwよりも大きい。すなわち、図4に示す例のように、nw<sという比較的低密度の時は、近接場光107b1、107b2は、隣の記録領域104b、104cには影響を及ぼしにくい。
一方、図5に示す記録領域104間の間隔s’は、記録光105の波長よりも十分小さいだけでなく、近接場光107b1、107b2の広がる距離nwよりも小さい。すなわち、図5に示す例のように、nw≧sとなる高密度の時は、照射した記録領域104aの側面から発生した近接場光107b1、107b2が、それぞれ隣の記録領域104b、104cに悪影響を及ぼしてクロスライトが発生し、ターゲットの記録領域104aのみを良好に記録できないという新たな課題があることを、本発明者らは見いだした。
つまり、上記のクロスライトが発生するため、隣の記録領域104b、104cに誤って記録したり、消去したりする可能性が生じ、高密度化された情報記録媒体103’に情報を良好に記録できないという課題があることが分かった。
本実施の形態は、上記の課題をも含めて従来の情報装置の課題を解決するために、以下のように構成されている。すなわち、本実施の形態の情報装置は、光源14と、記録層2の記録領域4との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部22を有する近接場光発生素子9とを具備し、共鳴部22を記録領域4と近接させて配置し、光源14からの照射光5を近接場光発生素子9に照射し、共鳴部22より発生した近接場光7の少なくとも一部を用いて、記録領域4に情報を記録する光学情報記録再生装置であって、光源14が、記録領域4の配置面(XY面)に対して、近接場光7の垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されている。
さらに、本実施の形態の情報装置は、光検出器17aを具備し、近接場光発生素子9からの反射光6を、光検出器17aにより検出する。再生部24は、光検出器17aからの検出信号に基づいて記録領域4が記録状態及び未記録状態のいずれかであるかを判断して、記録領域4に記録された情報を再生する。
また、本実施の形態の光学情報記録再生方法は、基板1と、基板1上に、島状に配列された記録可能な記録領域4を有する記録層2とを具備した情報記録媒体3の光学情報記録再生方法であって、光源14と、記録層2の記録領域4との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部22を有する近接場光発生素子9とを用い、共鳴部22を記録領域4と近接させて配置するステップと、光源14からの照射光5を近接場光発生素子9に照射するステップと、共鳴部22より発生した近接場光7の少なくとも一部を用いて、記録領域4に情報を記録するステップとを含み、光源14が、記録領域4の配置面(XY面)に対して、近接場光7の垂直方向の偏光成分の振幅が、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されるステップを含む。
また、後述するように、上記の光源14の配置ステップに代えて、照射光5の偏光状態を変換する偏光制御光学素子を用い、記録領域4の配置面(XY面)に対して、近接場光7の垂直方向の偏光成分の振幅が、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きくするステップを用いてもよい。
さらに、光学情報記録再生方法は、光検出器17aを用い、近接場光発生素子9からの反射光6(もしくは近接場光発生素子9を透過した透過光)を、光検出器17aにより検出するステップと、光検出器17aからの検出信号に基づいて記録領域4が記録状態及び未記録状態のいずれかであるかを判断して、記録領域4に記録された情報を再生するステップとを含む。
本実施の形態における情報記録媒体3は、少なくとも基板1及び記録層2を備え、記録層2の記録領域4は、高さh、幅(直径)wの円柱形状を有し、基板1の上に島状に配列されている。各記録領域4は、一部又は全てが記録材料からなり、1つの記録領域4は、記録状態か未記録状態のどちらかである。1つの記録領域4が、従来の記録マークに対応しており、記録情報を有している。
図2では、記録領域4aが記録状態を示し、記録領域4bが未記録状態を示しており、光源14からの記録光又は再生光となる照射光5の波長より十分小さいサイズ、例えば、3〜30nm程度の記録領域4が、規則的に2次元配列されている。X方向、Y方向の記録領域4の配列周期は、それぞれ、Λx、Λyで示され、Y方向の記録領域4のサイズ(幅)はw、記録領域4間の間隔はs’で示されている。Λx、Λy、w及びs’は、光の回折限界以下の記録再生波長より十分小さいサイズであり、Λy=w+sである。なお、本実施の形態では、X方向の配列周期、記録領域4のサイズ、記録領域4間の間隔は、それぞれY方向と同じとしているが、この例に特に限定されず、異なっていてもよい。
本実施の形態における情報記録媒体3では、記録領域4間の間隔s’は、記録領域4のサイズwとほぼ同じか、それよりも小さく、s≦wの高密度化の構成を採用しているが、s>wの構成でもよい。また、図2では、記録領域4は、すべてが規則的に配列されているが、必ずしもその必要はなく、記録する情報によって配列間隔又は配列の仕方を変えてもよい。また、配列間隔又は配列の仕方を種々変えることにより、記録領域4の位置情報等を含めることが可能となる。
次に、本実施の形態における情報装置に関して詳細に説明する。図1に示す情報装置は、記録再生用の光源14として、半導体レーザ光源を備える。光源14から情報記録媒体3までの光路中に、コリメータレンズ11、ビームスプリッタ15、対物レンズ10及び近接場光発生素子9が配置されている。ビームスプリッタ15から光検出器17a、17bまでの復路の光路には、サーボ信号検出用光学素子19と検出レンズ16とが配置されている。
近接場光発生素子9の先端領域の共鳴部22と、記録領域4とは、例えば、約100nm以内、好ましくは3〜30nm程度の距離に、近接させて配置されている。この結果、共鳴部22からプラズモン共鳴によって発生する近接場光7aが記録領域4に照射できる。
光源14からY軸方向に沿って出射された、Z軸方向の直線偏光(偏光方向は8”)のレーザ光(記録光の出射光)12は、コリメータレンズ11により略平行光13(偏光方向は8’)となり、ビームスプリッタ15を透過する。対物レンズ10は、先端の共鳴部22付近を中心に、近接場光発生素子9に照射光5を集光させる。このとき、照射光5の光軸上での偏光方向は、8で示す方向となる。なお、共鳴部22に近い領域の記録領域4等にも照射光5が照射されたとしてもかまわない。
対物レンズ10は、いわゆるオフアキシス型の集光レンズである。光軸がY軸方向に平行な略平行光13が対物レンズ10に入射すると、光軸がYZ面でY軸からZ軸方向にθだけ傾いた照射光5が共鳴部22に集光される。オフアキシス型の対物レンズ10を用いることにより、対物レンズ10と情報記録媒体3の接触を防止し、近接場光発生素子9の共鳴部22付近に斜め横方向から集光し易くなる効果がある。
なお、本実施の形態では、光源14から出射された記録光及び再生光は、対物レンズ10によって、近接場光発生素子9に照射されているが、この例に特に限定されない。光源14から出射された記録光又は再生光は、例えば、光導波路又は光ファイバーなどによって、近接場光発生素子9に照射されてもよい。
近接場光発生素子9は、AgやAu等を主成分とする金属から構成され、図2に示すように、その先端が尖った三角柱形状を有している。近接場光発生素子9の配置方法は、先端にある共鳴部22を記録層2の記録領域4に近接させた状態で、記録領域4に対していわゆる縦置き配置であるが、近接場光発生素子9は、ZX面に対してはθ1だけ傾けて配置されている。
なお、近接場光発生素子9は、上記に示した三角形状以外にも、プラズモン共鳴が起こり易いように先端が尖った形状を有していればよく、全体の形状は、種々の変更が可能である。また、近接場光発生素子9の材料は、使用する波長に合わせて、記録材料とプラズモン共鳴やその増強ができるように選ぶことが好ましく、可視光領域から赤外領域で、近接場光発生素子9での誘電損失(吸収)を低減したいときは、Auよりもむしろ、Agを主成分にした材料が好ましい。例えば、Agに数%〜0.数%程度のPd、Cu、Bi等の他の材料を添加した、AgPdCu、AgBi、AgGaCu等を用いることにより、低吸収で、腐食にも強い近接場光発生素子9を構成することができる。また、Cuを主成分にした材料でも、誘電損失低減の効果はある。
近接場光発生素子9は、平坦部を有することが望ましく、本実施の形態では、近接場光発生素子9が有する三角形の平坦部が、照射光5の光軸に対して略垂直になるように、θ≒θ1としている。この結果、近接場光発生素子9の平坦部への照射光5を、ほぼ同じ角度で逆向きに反射光6として反射することができるので、再生信号やサーボ信号検出のための光利用効率が大きくなり好ましい。また、近接場光発生素子9の平坦部に、照射光5を照射して反射光6を良好に取り出すために、近接場光発生素子9は、例えば、平坦部の面積が1000〜数10000nm2程度、もしくはそれより大きな平坦部を有することが望ましい。
照射光5の照射により、近接場光発生素子9内に存在する電子が、照射光5と相互作用を起こして、(表面)プラズモン共鳴を誘起させ、それに伴って先端領域の共鳴部22に近接場光7aを発生させる。このとき、近接場光7aの少なくとも一部が、共鳴部22に近接した記録領域4に照射され、記録領域4の屈折率や消衰係数等の光学特性が変化して情報が記録される。
また、近接場光発生素子9によって反射された反射光6は、逆方向に折り返し、対物レンズ10を通過する。対物レンズ10を通過した反射光6は、ビームスプリッタ15により光軸を−Z軸方向に曲げられ、サーボ信号検出用光学素子19に入射する。反射光6は、サーボ信号検出用光学素子19によって、少なくとも2つの光に分岐され、検出レンズ16により2種類の収束光18a、18bに分岐される。収束光18bは、光検出器17bに入射し、記録時のサーボ信号が検出される。
本実施の形態における情報装置は、近接場光発生素子9及び対物レンズ10を一体に移動させる駆動部25を備えている。駆動部25は、光検出器17bからのサーボ信号に基づき近接場光発生素子9を移動させることにより、近接場光発生素子9と記録層2との間隔等を含めた微小な位置制御を行う。
ここで、近接場光を発生させるプラズモン共鳴には、照射光5の偏光方向が重要であり、電子が存在する近接場光発生素子9の長手方向に照射光5の偏光方向8が平行に近いほど、プラズモン共鳴が良く生じて、強い近接場光が発生することが知られている。このため、図1の近接場光発生素子9の配置では、θ=θ1とすることが好ましい。なお、θ1=0やθ≠θ1であっても、近接場光発生素子9の長手方向に対する照射光5の偏光成分が存在する場合、プラズモン共鳴が生じる。
したがって、図1に示す本実施の形態の情報装置において、プラズモン共鳴によって共鳴部22から近接場光7aを発生させるには、近接場光発生素子9に照射された照射光5の光軸上において、記録領域4の配置面(XY面)に対して垂直方向(Z軸方向)の偏光成分の振幅が、他の偏光方向、例えば、水平方向(Y軸方向)の偏光成分の振幅よりも大きい特性を持つように、光源14を配置している。例えば、0°≦θ<45°になるように、Z軸方向に直線偏光を有する照射光5をY軸方向に沿って出射するように、光源14を配置することが好ましい。
本実施の形態では、多少斜め成分を持つように(θ>0°)、例えば、θ=10〜30°としている。このような光源14の配置により、共鳴部22から発生する近接場光7aでは、記録領域4の配置面(XY面)に対して、垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなる。図3では、近接場光7aの偏光方向を27で示しており、照射光5の偏光方向8と同じ方向である。なお、照射光5の偏光方向と異なる近接場光も発生するが、割合としては少なく、照射光5と同じ偏光方向を有する近接場光7aが支配的である。
その結果、図3に示すように、近接場光7aを照射した記録領域4aから付随的に発生する近接場光7b1、7b2の生じる方向は、近接場光7aの有する偏光方向27に平行になる。つまり、図中の縦方向である±Z方向よりになり、s≦wの高密度化の構成であっても、隣接した記録領域4b、4cには影響を及ぼしにくく、記録時のクロスライトによる劣化が抑えられる。なお、s’がwに比べて小さいほど、近接場光7aの偏光方向が、記録領域4の配置面(XY面)に対して、垂直(Z方向)に近くなることが好ましい。但し、記録領域4aから付随的に発生する近接場光7b1、7b2が隣接する記録領域4b、4cへ影響を与えにくいような配置であれば問題なく、例えば、0°≦θ<45°の範囲であれば、十分にクロスライト低減の効果がある。
また、光源14と対物レンズ10との間の光路中に、光源14から出射された出射光12もしくは平行光13の偏光状態を変換する、例えば、波長板のような偏光制御光学素子を配置し、上記偏光制御光学素子により、上記記録領域4の配置面(XY面)に対して垂直方向(Z軸方向)に偏光する上記出射光12もしくは平行光13の偏光成分の振幅は、水平成分の偏光方向(Y軸方向)の成分の振幅よりも大きくするようにしても良い。
図6は、本発明の実施の形態1による別の形態の情報装置の構成を示す概略図である。図6に示す情報装置と、図1に示す情報装置とが異なる点は、コリメータレンズ11とビームスプリッタ15との間に偏光制御光学素子30が配置され、光源14’がX軸方向の直線偏光(偏光方向は8”)のレーザ光12を出射する点である。すなわち、図6に示す情報装置は、照射光5の偏光状態を変換する偏光制御光学素子30をさらに備え、偏光制御光学素子30は、記録領域4の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように、光源14’からのレーザ光12の偏光方向を変換する。
具体的には、偏光制御光学素子30として、1/2波長板等の波長板を用い、光源14’からの出射光12の偏光方向がX軸方向のとき、コリメータレンズ11とビームスプリッタ15との間の光路中に偏光制御光学素子30を配置し、近接場光発生素子9への照射光5の偏光方向がZ方向からθ傾いた直線偏光方向(偏光方向8)か、もしくはZ方向からθ傾いた方向を長軸とする楕円偏光にしている。
上記の配置により、本例でも、図1に示す情報装置と同様に、近接場光7aの垂直方向(Z軸方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y軸方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなり、記録時のクロスライトによる劣化が抑えられる。
また、光検出器17aに代えて、近接場光発生素子9を透過した透過光を検出するようにしてもよい。図7は、本発明の実施の形態1におけるさらに別の形態の情報装置の構成を示す概略図である。なお、本例において、透過光18a’を検出することにより、記録領域4に記録された情報を再生する構成以外は、図1に示す情報装置の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
図7に示す情報装置と、図1に示す情報装置とが異なる点は、光検出器17aに代えて、近接場光発生素子9を透過した透過光18a’を検出する光検出器17a’を用いる点であり、図1に示す情報装置では、近接場光発生素子9からの反射光6を検出しているが、図7に示す情報装置では、近接場光発生素子9からの透過光18a’を検出する。
光検出器17a’は、近接場光発生素子9の対物レンズ10の反対側に配置され、近接場光発生素子9を透過した透過光18a’を検出する。再生部24は、光検出器17a’からの検出信号に基づいて記録領域4が記録状態及び未記録状態のいずれかであるかを判断して、記録領域4に記録された情報を再生する。
具体的には、近接場光発生素子9の共鳴部22と、記録状態の記録領域4又は未記録状態の記録領域4との間でのプラズモン共鳴の度合いに応じて、透過光量が変化する。例えば、近接場光発生素子9の共鳴部22と、記録状態の記録領域4又は未記録状態の記録領域4との間でのプラズモン共鳴の度合いの大きい方が、透過光量の変化が大きくなる。
なお、近接場光発生素子9と記録領域4とのプラズモン共鳴が増強すると、近接場光発生素子9内で誘電損失(吸収)が増加すると考えられており、近接場光発生素子9からの透過光量が、一般的には小さくなる。
このように、透過光18a’が光検出器17a’により検出され、光検出器17a’からの検出信号に基づいて記録領域4が記録状態及び未記録状態のいずれであるかが判断されることにより、記録領域4に記録された情報を再生することができる。
上記の構成により、本例でも、図1に示す情報装置と同様に、近接場光7aの垂直方向(Z軸方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y軸方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなり、記録時のクロスライトによる劣化が抑えられる。
なお、本例では、光検出器17a’は、近接場光発生素子9の光入射側の面に対向する面に接して配置されているが、この例に特に限定されず、近接場光発生素子9から離れた位置に光検出器17a’を設け、近接場光発生素子9と光検出器17a’との間に近接場光発生素子9を透過した光を光検出器17a’へ導くレンズを設ける等の種々の変更が可能である。
また、本実施の形態の近接場光発生素子9の長手方向は、記録領域4の配置面(XY面)に対してθだけ傾いており、近接場光発生素子9の置き方は、いわゆる縦置き配置であるが、近接場光発生素子9の置き方よりも、共鳴部22と記録領域4の間でプラズモン共鳴が生じて、共鳴部22から発生する近接場光7aの偏光方向が重要である。すなわち、共鳴部22から発生する近接場光7aでは、記録領域4の配置面(XY面)に対して、垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなっているので、結果として、記録領域4から発生する近接場光7b1、7b2が隣接の記録領域4b、4cに影響を与えないようにすることができ、クロスライトが低減できる等の効果が得られる。例えば、近接場光発生素子9の本体部分が概ね記録領域4の配置面(XY面)に対して平行な横置き配置でも、共鳴部22の領域が縦置き配置になるように各素子を組み合わせ、上記の条件が満たされれば、本実施の形態と同様な効果を奏することができる。
次に、情報記録媒体3からの情報の再生について説明する。記録領域4のサイズは、再生波長に対して十分小さいため、近接場光7aを記録領域4の大きさ程度に集光して、記録領域4に照射できたとしても、戻ってくる散乱光の光量は非常に小さい。例えば、w=20nm程度の記録領域では、戻ってくる散乱光の光量は、照射した近接場光の光量に対して、例えば、0.001%程度である。また、再生光を近接場光に変換する効率は低く、たかだか1%と見積もると、上記戻ってくる散乱光の光量は、再生光の光量に対して、上記の値の1%程度、つまり、せいぜい0.00001%程度である。したがって、記録領域4からの散乱光を検出する方法では、情報の再生は困難であることが分かった。
ここで、本願発明者らは、共鳴部22と記録領域4が相互作用して、記録領域4が記録状態と未記録状態でプラズモン共鳴の増強度が変わるとき、近接場光発生素子9からの反射光6もしくは近接場光発生素子9を透過した透過光18a’の光量が変化することを見いだした。すなわち、近接場光発生素子9と記録領域4とのプラズモン共鳴が増強すると、近接場光発生素子9内で誘電損失(吸収)が増加すると考えられ、その結果、近接場光発生素子9からの反射光量又は透過光量が変化する。近接場光発生素子9の設計によっては、プラズモン共鳴が増強すると、反射光量が大きくなる場合もあるし、小さくなる場合もあるが、透過光量の変化に関しては、プラズモン共鳴の度合いの大きい方が、透過光量は、一般的には小さくなる。
具体的には、記録領域4のサイズが、回折限界以下の大きさであっても、記録領域4が記録状態か未記録状態かで、その共鳴の度合いを変化させることができるため、反射光6又は透過光18a’を光検出器17a又は光検出器17a’により検出し、その検出信号により記録領域4が記録状態か未記録状態かを判断して、記録領域4に記録された情報を再生することができる。
また、近接場光発生素子9の大きさは、空間的な制限を受けないため、近接場光発生素子9を記録領域4よりも大きくすることができる。さらに、近接場光発生素子9に近接場光ではなく、再生光を直接照射して近接場光発生素子9からの反射光又は透過光が検出されるので、反射光量、透過光量、反射光量の光量変化又は透過光量の光量変化も十分大きくすることができ、再生信号の変調度を向上させることができる。
また、近接場光発生素子9からの反射光又は透過光の偏光角等の偏光状態が、プラズモン共鳴度合いによって変化する場合もある。この場合、検光子等の光学素子を組み合わせることによって、反射光又は透過光の光量変化に変えることができるため、検光子等の光学素子からの出射光を光検出器で検出することによって、同様に情報を再生することができる。
記録領域4は、その一部もしくはすべてが記録材料からなっているが、プラズモン共鳴を増強するには、その記録材料が金属的な性質を持つことが望ましく、具体的には、記録材料の誘電率の実数部の符号がマイナスであることが望ましい。さらに、記録材料の比誘電率の実数部が−5以下になると、プラズモン共鳴の度合いが大きくなるため好ましい。例えば、実際の金属を例に説明すると、再生光が可視光から赤外光の範囲内では、Auでは波長が0.54μm以上で、Agでは波長が0.44μm以上で、Cuでは波長が0.506μm以上で、それぞれ比誘電率の実数部が−5以下となる。この結果、プラズモン共鳴度合いが上記の範囲で強くなっており、他の記録材料も比誘電率の実数部の値で共鳴度合いの目安を判断できる。
例えば、記録領域4の記録材料が、記録状態か未記録状態のどちらか一方では金属的な性質を示し、他方では非金属的な性質を示すなら、前者では後者よりも近接場光発生素子9からの反射光量もしくは透過光量の変化が大きい。このため、記録材料の記録状態での誘電率の実数部と未記録状態での誘電率の実数部とを比較して、小さい方の上記記録材料の状態の時に、反射光量もしくは透過光量が変化する。この結果、再生の変調度が大きくなり、良好な再生が期待できる。
すなわち、記録層2の記録領域4は、一部もしくはすべてが記録材料からなり、再生光の波長に対して、上記記録材料の記録状態での誘電率の実数部の符号と、上記記録材料の未記録状態での誘電率の実数部の符号とが互いに異なるようにすればよい。したがって、本実施の形態に用いられる情報記録媒体3として、少なくとも基板1と記録層2とを備え、上記記録層2の記録領域4は、島状に配列され、上記記録領域4の一部もしくはすべてが記録材料からなり、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での誘電率の実数部の符号と上記記録材料の未記録状態での誘電率の実数部の符号が互いに異なる情報記録媒体を用いることが好ましい。
さらに、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での比誘電率の実数部と、上記記録材料の未記録状態での比誘電率の実数部とは、一方が−5以下で、他方が−5より大きくなるようにすれば、一方のプラズモン共鳴度合いが強くなって、さらに再生の変調度が良くなるという効果がある。したがって、本実施の形態に用いられる情報記録媒体3として、少なくとも基板1及び記録層2とを備え、上記記録層2の記録領域4は、島状に配列され、上記記録領域4の一部もしくはすべてが記録材料からなり、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での比誘電率の実数部と、上記記録材料の未記録状態での比誘電率の実数部とは、一方が−5以下で、他方が−5より大きい情報記録媒体を用いることが好ましい。
上記の記録材料として、相変化記録材料、酸化ビスマス又は酸化チタン等の無機材料、ジアリールエテン等のフォトクロミック材料、有機色素等が知られている。いずれの記録材料であっても、再生光の波長において上記の条件を満たせば、再生の変調度を大きくすることができる。
本実施の形態では、記録材料の主成分として、例えば、GeTeとSb2Te3とを2:1の割合で含むGe2Sb2Te5のようなGeTe−Sb2Te3系のカルコゲナイド系相変化記録材料を用いており、記録状態が結晶に対応し、未記録状態がアモルファスに対応しているが、その逆でも良い。なお、主成分とは、記録領域4を構成する最も体積比の大きい材料の成分を指し、体積比で50%以上であれば、再生の変調度が大きくなるので好ましい。
一般的に、相変化記録材料は結晶になると、組成により波長範囲が異なるが、ある波長領域で、金属的な性質を示す特徴がある。
例えば、典型的な相変化材料であるGe2Sb2Te5の場合、光源14の半導体レーザ化に適した再生光の波長λとして、例えば、0.35μm≦λ≦0.45μmを満たすことが好ましい。また、例えば、青紫色半導体レーザの再生光の波長λが0.41μmである場合、結晶である記録材料の比誘電率の実数部が−8.7となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部が0.57となる。この場合、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−5以下であり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は−5より大きいという条件を満たすため、記録材料の主成分として、Ge2Sb2Te5を用いることが好ましい。
また、同様に、光源14の半導体レーザ化に適した、0.6μm≦λ≦0.7μmを満たす赤色の再生光の波長λが、例えば、0.65μmである場合、結晶である記録材料の比誘電率の実数部が−3.3となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部が12となる。また、光源14の半導体レーザ化に適した、0.73μm≦λ≦0.83μmを満たす赤外の再生光の波長λが、例えば、0.78μmである場合、結晶である記録材料の比誘電率の実数部が5.9となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部が17となる。
したがって、記録材料がGe2Sb2Te5である場合、青色光から赤色光の波長(0.35μm≦λ≦0.7μm)では、結晶とアモルファスとで誘電率の実数部の符号が互いに異なるため、記録材料の主成分として、Ge2Sb2Te5を用いることが好ましい。特に、青色光の波長(0.35μm≦λ≦0.45μm)では、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−5以下であり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は−5より大きいため、記録材料の主成分として、Ge2Sb2Te5を用いることがより好ましい。GeTeとSb2Te3との成分比を22:1に変えたGe22Sb2Te25、又はその他の成分比で形成された記録材料でも同様の傾向を示し、青色光の波長での再生が好ましい。
また、記録材料がGeTe−Bi2Te3系のGe31Bi2Te34である場合、青色光の波長に対して、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−9.3となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は3.9となり、赤色光の波長に対して、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−2.9となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は14となり、赤外光の波長に対して、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は15となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は15となる。
Ge2Sb2Te5の場合と同様、Ge31Bi2Te34でも、青色光から赤色光の波長では、結晶とアモルファスとで誘電率の実数部の符号が互いに異なるため、記録材料の主成分として、Ge31Bi2Te34を用いることが好ましい。特に、青色光の波長では、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−5以下であり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は−5より大きいため、記録材料の主成分として、Ge31Bi2Te34を用いることがより好ましいと言える。成分比を変えた他のGeTe−Bi2Te3系の記録材料も同様の効果を示す。
また、記録材料がGe−Sb系のGe10Sb90である場合、青色光の波長、例えば、0.41μmでは、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−11.0となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は−4.3となり、赤色光の波長、例えば、0.65μmでは、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−10.8となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は13.2となり、赤外光の波長、例えば、0.78μmでは、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−5.6となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は17.9となり、波長0.83μmでは、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−0.62となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は20.2となり、波長0.86μmでは、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は2.7となり、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は21.3となる。
Ge10Sb90の場合、波長0.492μm〜0.835μmでは、結晶とアモルファスとで誘電率の実数部の符号が互いに異なるため、再生特性が良くなり好ましいが、特に、波長0.492μm〜0.787μmでは、結晶である記録材料の比誘電率の実数部は−5以下で、アモルファスである記録材料の比誘電率の実数部は−5より大きいため、記録材料の主成分として、Ge10Sb90を用いることがより好ましいと言える。成分比を変えた他のGe−Sb系も同様の効果を示す。
また、他の相変化材料である、Te60Ge4Sn11Au25、Ag4In4Sb76Te16、GeTe、(Ge−Sn)Te、(Ge−Sn)Te−Sb2Te3、(Ge−Sn)Te−Bi2Te3、GeTe−(Sb−Bi)2Te3、(Ge−Sn)Te−(Sb−Bi)2Te3、GeTe−(Bi−In)2Te3、(Ge−Sn)Te−(Bi−In)2Te3、Sb−Ga、(Sb−Te)−Ga、(Sb−Te)−Ge、Sb−In、(Sb−Te)−In、Sb−Mn−Ge、Sb−Sn−Ge、Sb−Mn−Sn−Ge、及び(Sb−Te)−Ag−Inのいずれかを含む材料も、結晶になると、ある波長領域で、金属的な性質を示す特徴がある。そのため、比誘電率の実数部の値に注目して、上記好ましい条件を満たす波長の範囲で、上記のいずれかを含む材料を有効に用いることができる。
情報記録媒体3の基板1としては、記録層2を形成する面の平坦性が高く、情報記録媒体3を回転させたときの安定性が高いことが好ましい。基板1の材料としては、例えば、ガラス基板、又はアルミニウム等の金属板が好ましく、さらには、ポリカーボネート、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)、ノルボルネン樹脂(例えば、「アートン」(JSR株式会社製))、又はシクロオレフィン樹脂(例えば、「ゼオネックス」(日本ゼオン株式会社製))等の樹脂も用いることができる。
記録層が連続的につながっている薄膜形状の場合、記録材料に記録マーク等を形成する際に、記録材料中に熱が拡散してしまい、記録スポットを超える大きな記録マークが記録されてしまう。このような熱拡散によって記録マークの大きさの差が顕著になり始めるのは、記録マークが30nm以下となる場合である。
したがって、記録層2の記録領域4は、島状に配列されるとともに、サイズが30nm以下となる微粒子構造にすることが好ましい。これにより、各記録領域4が離間して配置されるため、記録の際の熱拡散の影響を避けて、30nm以下の記録領域4(微粒子)に良好に情報を記録することができる。
しかしながら、記録材料が3nmより小さな粒子になってしまうと、粒子に含まれる原子数が少なくなり、融点が低くなりすぎて記録材料への記録の保持が熱的な揺らぎによって不安定になってしまう。よって、記録領域4のサイズは3nm≦w≦30nmを満たすことが好ましい。
また、記録領域4は、できるだけ微小化してサイズを小さくし、且つ、孤立した状態の記録領域4同士をできるだけ近接して設けることが、記録の高密度化の面でより好ましい。このような高密度配列の情報記録媒体であっても、本実施の形態の情報装置は、クロスライトを低減して情報を良好に記録及び再生することができる。
なお、記録領域4は、本実施の形態では、図2に示すような微細な凸形状に加工されたものを指し、図2に示した円柱形状以外にも、円錐、3角錐、4角以上の多角錐、3角柱、又は4角以上の多角柱のような形状でもよい。
図8は、円錐形状の記録領域4’を含む情報記録媒体3’の一例を示す図であり、図9は、円柱の先端部分に半球状に丸くなった形状を有する記録領域4”を含む情報記録媒体3”の一例を示す図である。
図8において、情報記録媒体3’は、基板1及び記録層2を備え、記録層2は、円錐形状の記録領域4’を含む。また、記録領域4’は、記録状態の記録領域4a’と、未記録状態の記録領域4b’とを含む。記録領域4’の先端部分は、尖った断面を有しており、より具体的には、円錐形状である。
また、図9において、情報記録媒体3”は、基板1及び記録層2を備え、記録層2は、円柱の先端部分に半球状に丸くなった形状を有する記録領域4”を含む。また、記録領域4”は、記録状態の記録領域4a”と、未記録状態の記録領域4b”とを含む。記録領域4”の先端部分は、円弧状の断面を有している。より具体的には、記録領域4”は、円柱の先端部分に半球が形成された形状を有している。なお、記録領域4”は、円柱の先端部分に円錐が形成された形状であってもよく、角柱の先端部分に角錐が形成された形状であってもよい。
図8に示すように、円錐、3角錐又は4角以上の多角錐等の先端が尖った形状の記録領域4’、さらには、図9に示すように、円柱、3角柱又は4角以上の多角柱であっても、先端が丸まったり尖ったりした形状の記録領域4”は、近接場光が集光又は集中し易いため、これらの形状が好ましいことを、本願発明者らは見いだした。
なお、記録領域4は、基板1から突出した部分の全てが記録材料で形成されていてもよく、また、基板1から突出した部分の先端部分のみが記録材料で形成されていてもよい。
次に、本実施の形態の情報装置では、光源14は、記録光と再生光とを出射する1波長光源であり、近接場光発生素子9は、記録用と再生用を兼ねた構成である。例えば、近接場光発生素子9は、Auから構成され、長手方向の長さが71nmである菱形形状(ただし、側面形状は図1に示す細長い平行四辺形)を有し、平坦部の面積は2500nm2である。光源14から出射される記録光及び再生光の波長λは0.405μmである。記録領域4はGe2Sb2Te5から構成され、微粒子(記録領域4)の直径は20nmであり、記録層2の厚さ(記録領域4の高さ)hは100nmであり、共鳴部22と記録領域4との間隔は15nmである。このとき、記録領域4が結晶の場合の反射率は1.00%であり、記録領域4がアモルファスの場合の反射率は1.44%であり、反射率の変化量は0.44%となり、再生の変調度は31%となり、それぞれ良い値が得られた。なお、再生の変調度は、反射率の変化量を、結晶及びアモルファスのうちの大きい方の反射率で除算することにより(=0.44/1.44)、計算できる。
また、近接場光発生素子9が記録用と再生用とを兼ねた構成においては、プラズモン共鳴増強が大きく生じる結晶の方が、記録領域4の記録感度は高くなる場合がある。したがって、記録前の記録領域4の相状態(結晶かアモルファスか)の感度差を考慮した記録光の強度制御を行うことが好ましい。
また、基板1上に形成された記録層2の記録領域4の上層に、誘電率の実数部の符号が正である保護層を形成することが好ましい。保護層を設けることにより、記録材料で形成された記録領域4の耐環境性の向上、及び近接場光発生素子9の先端部の共鳴部22との接触によるダメージの低減等の効果がある。また、保護層の誘電率の実数部の符号が正であることにより、保護層と共鳴部22との余計なプラズモン共鳴が生じることを防ぎ、その結果、保護層からの悪影響による再生の変調度の低下を防ぐ効果がある。
誘電率の実数部の符号が正の保護層として、例えば、ZrSiO4、(ZrO2)25(SiO2)25(Cr2O3)50、SiCr、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、SnO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、In2O3、Sc2O3、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Dy2O3、Yb2O3、CaO、MgO、CeO2、及びTeO2等から選ばれる1又は複数の酸化物等の無機材料を用いることができる。また、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、及びGe−Cr−N等から選ばれる1又は複数の窒化物を用いることもできる。
また、ZnSなどの硫化物、SiCなどの炭化物、LaF3、CeF3、MgF2などの弗化物を用いることもできる。また、上記材料から選ばれる1又は複数の材料の混合物を用いて、保護層を形成しても構わない。さらに、保護層として、樹脂等の有機材料を用いてもよく、この場合、衝突時の衝撃を上記の無機材料よりも低減できる効果がある。また、有機材料と無機材料との混合材料を用いてもよい。
また、保護層の表面を光学的に平坦にすることにより、表面の凹凸が無くなるため、それに起因する近接場光発生素子9との接触を低減する効果がある。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における情報装置及び情報記録媒体について、図10乃至図13を用いて、上記実施の形態1の情報装置及び情報記録媒体と異なる点を中心に説明する。
図10は、本発明の実施の形態2における情報記録媒体の構成と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図11は、本発明の実施の形態2における別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。図12は、本発明の実施の形態2におけるさらに別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。図13は、本発明の実施の形態2におけるさらに別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。なお、本実施の形態の情報装置の構成は、図1等に示す情報装置の構成と同様であるので、図示を省略し、必要に応じて図1等に示す符号を用いて説明する。
図10に示すように、本実施の形態の情報記録媒体3aは、少なくとも基板1及び記録層2を備え、記録領域4’は、厚さt2の記録層2内に島状に配列され、記録領域4’の一部又は全てが記録材料からなり、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる、厚さt1の共鳴増強膜34を、基板1と記録層2との間にさらに備える情報記録媒体である。
また、本実施の形態の情報装置は、情報記録媒体3aに対して、情報の記録又は再生を行う情報装置であって、光源14と、記録層2の記録領域4’との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部22を有する近接場光発生素子9とを具備し、共鳴部22を記録領域4’と近接させて配置し、光源14からの照射光5を近接場光発生素子9に照射し、共鳴部22より発生した近接場光7aの少なくとも一部を用いて、記録領域4’に情報を記録する。また、光源14は、記録領域4’の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されている(図1参照)。もしくは、照射光5の偏光状態を変換する偏光制御光学素子30をさらに備え、偏光制御光学素子30は、記録領域4’の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように、光源14’からのレーザ光12の偏光方向を変換するようにしてもよい(図6参照)。
本実施の形態の情報記録媒体3aは、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴増強膜34(第1の共鳴増強膜)を具備することにより、近接場光発生素子9と共鳴増強膜34との距離が照射光5の波長より十分小さい場合(例えば、(WD+t2+t1)が100nm以下の場合)、それらが相互作用して、プラズモン共鳴の増強度を向上させ、その間に配置された記録領域4’への記録感度を高めることができる。
ここで、記録層2において、記録領域4’は、島状に配列されている。これにより、共鳴増強膜34によるプラズモン共鳴の増強をより強く発生させることができる。すなわち、記録層2が、島状ではなく、例えば、膜状の記録領域を有している場合、記録領域がXY面内で広がっているため、近接場光もXY方向に広がってしまう。その結果、微細な記録領域内ではうまく共鳴増強できずに、共鳴増強膜34によるプラズモン共鳴の増強は、十分な強さで発生しない。
しかし、記録層2において、記録領域4’が島状に配列されていることにより、近接場光発生素子9の共鳴部22と、共鳴増強膜34と、島状の記録領域4’とが、緊密に相互作用することができるので、プラズモン共鳴の増強をより強く発生させることができる。その結果、島状の記録領域4’に、より強い近接場光7aが集中し、記録感度を高めることができる。
また、再生に関しては、情報記録媒体3aが共鳴増強膜34を具備することにより、実施形態1の情報記録媒体3に比べて、情報記録媒体3aは、記録領域4’の高さを大幅に小さくすることが可能になり、再生の変調度を向上させることができる。この理由としては、記録状態の記録領域4a’と未記録状態の記録領域4b’では、プラズモン共鳴度が異なるため、共鳴増強膜34は、共鳴し易い記録状態の記録領域4a’に作用し、近接場光発生素子9とのプラズモン共鳴を大幅に増強することができ、一方、共鳴しにくい未記録状態の記録領域4b’へはあまり作用せず、プラズモン共鳴が増強されないために、記録領域4’の高さを大幅に小さくしても、再生の変調度を向上することができるためと考えられる。
また、本実施の形態の情報装置は、光検出器17aを備えている(図1又は図7参照)。このとき、共鳴部22は、記録状態である記録領域4a’とは共鳴し易く、未記録状態である記録領域4b’とは共鳴しにくいので、共鳴部22と記録領域4’との間でのプラズモン共鳴の度合いに応じて、照射された出射光の近接場光発生素子9からの反射光量又は近接場光発生素子9を透過する透過光量が変化する。光検出器17aは、上記の反射光又は透過光を検出し、再生部24は、光検出器17aからの検出信号に基づいて、記録領域4’が記録状態又は未記録状態のいずれかであるかを判断して、記録領域4’に記録された情報を再生することができる。
また、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での誘電率の実数部の符号と上記記録材料の未記録状態での誘電率の実数部の符号とは、互いに異なることが好ましい。さらに、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での比誘電率の実数部と、上記記録材料の未記録状態での比誘電率の実数部とは、一方が−5以下であり、他方が−5より大きくなるようにすることがより好ましい。この場合、再生に対して共鳴増強膜34の効果は大幅に向上する。
また、図10に示すように、ワーキングディスタンスWDが大きくなると、近接場光発生素子9の共鳴部22から発生する近接場光7aが、記録領域4’の配置面(XY面)方向に広がるが、共鳴増強膜34を設けることにより、上記広がりが抑制され、ターゲットになる記録領域4a’への集光度合いが高まり、隣接する記録領域4b’、4c’へのクロスライトを低減することができる。その結果として、近接場光発生素子9のワーキングディスタンスWDを広げることもできる。
共鳴増強膜34は、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料から構成されていれば、プラズモン共鳴を増強させる効果がある。また、共鳴増強膜34を構成する材料の比誘電率の実数部が−5以下であることが好ましく、この場合、さらにプラズモン共鳴の増強度を向上することができる。
共鳴増強膜34と近接場光発生素子9とは、同じ主成分の材料、例えば、Agからなることが好ましい。共鳴増強膜34と近接場光発生素子9とが同じ主成分の材料で構成されているとき、同じように相互作用して、プラズモン共鳴の増強度を向上させ易い。なお、主成分とは、それを構成する最も体積比の大きい材料の成分を指す。
本実施の形態では、例えば、共鳴増強膜34として、照射光5の波長λ=780nmとし、比誘電率の実数部が−5以下(例えば、−24)となるAgの薄膜を基板1上に、スパッタや蒸着等により成膜した金属膜を用いている。また、腐食を防ぐために、他の金属を少量添加したAgPdCu、AgBi、AgGaCu等のAgの化合物を用いてもよい。また、共鳴増強膜34として、照射光5の波長λで誘電率の実数部の符号が負である金属膜や、照射光5の波長λで誘電率の実数部の符号が負である結晶状態のカルコゲナイド半導体膜も使用可能である。特に、照射光5の波長として、近接場光発生素子9の吸収が低減できる、例えば、600nm≦λ≦1000nmを満たす赤色から赤外の波長の範囲では、AgやAgの化合物が最も良く、次いで、Cu、Auを材料とした場合、共鳴増強膜34としての効果は大きかった。
また、共鳴増強膜34の厚さとして、例えば、t1=8nmを用いた。記録の場合、例えば、3nm≦t1≦100nmと比較的厚くした方が、プラズモン共鳴度が向上する傾向があった。一方、再生の場合、例えば、2nm≦t1≦25nmと比較的薄くした方が、記録状態と未記録状態とでプラズモン共鳴の差が大きくなり、再生の変調度が向上する傾向があった。したがって、記録及び再生の特性を向上させるためには、共鳴増強膜34の厚さは、3nm≦t1≦25nmであることが好ましい。
記録領域4’は、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が正である保護膜23内に形成されている。
記録領域4’の形状は、球状であり、保護膜23の上面は、平坦な形状である。記録領域4’の形状を、球状、又はそれに近い円弧状の断面を有する形状にすることにより、記録するべき記録領域4a’への近接場光7aの集光度又は集中度を向上させることができる。
保護膜23の上面を平坦な形状にすることにより、情報記録媒体3aの表面の凹凸が無くなるため、それに起因する近接場光発生素子9と情報記録媒体3aとの接触を低減する効果がある。また、記録材料を含む記録領域4’を保護膜23内に形成することにより、記録材料の耐環境性を向上させることができる。さらに、保護膜23の誘電率の実数部の符号が正であることにより、保護膜23と共鳴部22との余計なプラズモン共鳴が生じることを防ぎ、その結果、保護膜23からの悪影響による再生の変調度の低下を防ぐ効果がある。
誘電率の実数部の符号が正の保護膜23として、例えば、ZrSiO4、(ZrO2)25(SiO2)25(Cr2O3)50、SiCr、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、SnO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、In2O3、Sc2O3、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Dy2O3、Yb2O3、CaO、MgO、CeO2、及びTeO2等から選ばれる1又は複数の酸化物等の無機材料を用いることができる。また、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、及びGe−Cr−N等から選ばれる1又は複数の窒化物を用いることもできる。
また、誘電率の実数部の符号が正の保護膜23として、ZnSなどの硫化物、SiCなどの炭化物、LaF3、CeF3、MgF2などの弗化物を用いることもできる。また、上記材料から選ばれる1又は複数の材料の混合物を用いて形成しても構わない。さらに、保護膜23として樹脂等の有機材料を用いてもよく、この場合、衝突時の衝撃を上記の無機材料よりも低減できる効果がある。また、有機材料と無機材料との混合材料を用いてもよい。
本実施の形態の情報記録媒体3aでは、例えば、共鳴増強膜34は、厚さが8nmの、主成分がAgであるAgPdCuから構成される。記録領域4’は、相変化材料のGe10Sb90から構成され、その直径が20nmであり、その高さhが20nmである。近接場光発生素子9は、主成分がAgであるAgPdCuから構成され、長手方向が130nm、厚さが24nm、平坦部の面積が4000nm2の三角形状を有している。記録再生波長がλ=780nmであり、ワーキングディスタンスWDが20nmのとき、記録領域4’が結晶の場合の近接場光発生素子9からの反射率は、4.8%であり、記録領域4’がアモルファスの場合の反射率は3.9%であった。この結果、反射率の変化量は0.9%となり、再生の変調度は19%となった。
また、本実施の形態でも、近接場光発生素子9が記録用と再生用を兼ねた構成であるため、プラズモン共鳴増強が大きく生じる結晶の方が、記録領域4’の記録感度は高くなる場合がある。したがって、記録前の記録領域4’の相状態(結晶かアモルファスか)の感度差を考慮した記録光の強度制御を行うことが好ましい。
ここで、本実施の形態における情報記録媒体3aの製造方法について、説明する。本実施の形態における情報記録媒体3aの製造方法は、基板1を備える情報記録媒体の製造方法であって、記録材料を含む記録領域4’が島状に配列された記録層2を形成するステップと、基板1と記録層2との間に、誘電率の実数部の符号が負である材料を含むプラズモン共鳴を増強するための共鳴増強膜34を形成するステップとを含む。
上記の製造方法によれば、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴増強膜34を具備する情報記録媒体3aを製造することができる。これにより、近接場光発生素子9と共鳴増強膜34と記録領域4’とが相互作用して、プラズモン共鳴の増強度を向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態2における別の形態について説明する。図11に示すように、本実施の形態における別の形態の情報記録媒体3bは、基板1上に、厚さt1の共鳴増強膜34、及び厚さt3の誘電体膜26をこの順に形成し、その上に、記録層2として、高さhの釣り鐘型の記録領域4”を形成した構造を有する。この場合、情報記録媒体3aに比べて、記録領域4”の形成が容易となる。また、誘電体膜26は、上述した保護膜23と同じ材料を用いることができ、その膜厚t3としては、数nm〜10nm程度が好ましい。誘電体膜26を設けることにより、共鳴増強膜34と記録領域4”とのマイグレーションを防止する効果がある。
また、誘電体膜26の代わりに、カルコゲナイド系半導体の薄膜を用いてもよく、この場合、接触している未記録状態の記録領域4b”の結晶化を促進させて記録感度及び記録速度を向上させる効果がある。
図12は、さらに別の形態の情報記録媒体3cを示しており、情報記録媒体3cは、釣り鐘型の記録領域4”上に、それに対応して薄く保護膜23’を形成した構造を有する。記録領域4”の上に、保護膜23’を具備することにより、記録材料の耐環境性を向上させる効果がある。この場合、保護膜23’は成膜するだけでよいので、保護膜23’の形成が容易である。
図13は、さらに別の形態の情報記録媒体3dを示しており、情報記録媒体3dは、釣り鐘型の記録領域4”上に、表面が平坦な保護膜23を形成した構造を有する。この場合、保護膜23をある程度厚く成膜した後、保護膜23の表面を研磨や平坦化エッチング等により平坦化することが必要であるが、情報記録媒体3dの表面の凹凸が無くなるため、それに起因する近接場光発生素子9と情報記録媒体3dとの接触を低減することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における情報装置及び情報記録媒体について、図14乃至図18を用いて、上記実施の形態2の情報装置及び情報記録媒体と異なる点を中心に説明する。
図14は、本発明の実施の形態3における情報記録媒体の構成と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図15は、本発明の実施の形態3における別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。図16は、本発明の実施の形態3におけるさらに別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。図17は、本発明の実施の形態3におけるさらに別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。図18は、本発明の実施の形態3におけるさらに別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。なお、本実施の形態の情報装置の構成は、図1等に示す情報装置の構成と同様であるので、図示を省略し、必要に応じて図1等に示す符号を用いて説明する。
図14に示すように、本実施の形態の情報記録媒体3eは、少なくとも基板1及び記録層2を備え、記録領域4’は、厚さt2の記録層2内に島状に配列され、記録領域4’の一部又は全てが記録材料からなり、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴閉じ込め膜36と、上記波長に対して、誘電率の実数部の符号が正である材料からなる中間膜35と、上記波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴増強膜34とを、基板1側からこの順に、基板1と記録層2との間にさらに備える情報記録媒体である。
また、本実施の形態の情報装置は、情報記録媒体3eに対して、情報の記録又は再生を行う情報装置であって、光源14と、記録層2の記録領域4’との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部22’を有する近接場光発生素子9’とを具備し、共鳴部22’を記録領域4’と近接させて配置し、光源14からの照射光5を近接場光発生素子9’に照射し、共鳴部22’より発生した近接場光7aの少なくとも一部を用いて、記録領域4’に情報を記録する。また、光源14は、記録領域4’の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されている(図1参照)。もしくは、照射光5の偏光状態を変換する偏光制御光学素子30をさらに備え、偏光制御光学素子30は、記録領域4’の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように、光源14’からのレーザ光12の偏光方向を変換するようにしてもよい(図6参照)。
本実施の形態の情報記録媒体3eが、実施の形態2の情報記録媒体3aと異なる点は、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる、厚さt5の共鳴閉じ込め膜36(第2の共鳴増強膜)と、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が正である材料からなる、厚さt6の中間膜35とを、基板1と共鳴増強膜34との間に具備することと、近接場光発生素子9’の共鳴部22’の先端部分が、円弧状の断面等の曲率を有する形状であることである。
共鳴増強膜34に加えて、中間膜35と共鳴閉じ込め膜36とを具備することにより、近接場光発生素子9’と共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36との距離が照射光5の波長より十分小さい場合(例えば、(WD+t2+t1+t6+t5)が100nm以下の場合)、近接場光発生素子9’と共鳴増強膜34との相互作用だけでなく、共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36とが中間膜35を介して相互作用し、中間膜35内で近接場光7’aが発生する。この結果、プラズモン共鳴の増強度をさらに向上させ、近接場光発生素子9’と共鳴増強膜34との間に配置された記録領域4’への記録感度を一層高めることができる。
また、再生に関しては、中間膜35を挟んだ共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36との相互作用が追加されて、実施形態2の情報記録媒体3aよりも、再生の変調度を向上させることができる。この理由としては、記録状態の記録領域4a’と未記録状態4b’とでは、プラズモン共鳴度が異なるため、中間膜35を挟んだ共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36とが、共鳴し易い記録状態の記録領域4a’に作用し、近接場光発生素子9’とのプラズモン共鳴を一層増強することができ、一方、共鳴しにくい未記録状態の記録領域4b’へはあまり作用せず、プラズモン共鳴が増強されないために、再生の変調度をさらに向上することができるためと考えられる。
また、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での誘電率の実数部の符号と上記記録材料の未記録状態での誘電率の実数部の符号とは、互いに異なることが好ましい。さらに、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での比誘電率の実数部と、上記記録材料の未記録状態での比誘電率の実数部とは、一方が−5以下であり、他方が−5より大きくなるようにすることがより好ましく、この場合、再生に対して、中間膜35を挟んだ共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36との効果は大幅に向上する。
また、図14に示すように、ワーキングディスタンスWDが大きくなると、近接場光発生素子9’の共鳴部22’から発生する近接場光7aが、記録領域4’の配置面(XY面)方向に広がる。しかしながら、共鳴増強膜34、中間膜35、及び共鳴閉じ込め膜36を設けることにより、上記広がりが一層抑制され、ターゲットになる記録領域4a’への集光度合いが高まる。したがって、隣接する記録領域4b’、4c’へのクロスライトを低減することができ、その結果として、近接場光発生素子9’のワーキングディスタンスWDを広げることもできる。
共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36は、上述したように、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料から構成されていれば、プラズモン共鳴を増強させる効果がある。また、共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36を構成する材料の比誘電率の実数部が−5以下であることが好ましく、この場合、さらにプラズモン共鳴の増強度を向上することができる。
共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36と、近接場光発生素子9’とは、同じ主成分の材料、例えば、Agからなることが好ましい。共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36と、近接場光発生素子9’とが同じ主成分の材料で構成されているとき、同じように相互作用して、プラズモン共鳴の増強度を向上させ易い。なお、主成分とは、それを構成する最も体積比の大きい材料の成分を指す。
本実施の形態では、例えば、共鳴増強膜34、中間膜35及び共鳴閉じ込め膜36として、出射光の波長λ=780nmとし、比誘電率の実数部が−5以下(例えば、−24)となるAgの薄膜を基板1上に、スパッタや蒸着等により成膜して厚さt5=20nmの共鳴閉じ込め膜36を形成し、その上に、比誘電率の実数部が正であるSiO2等の誘電体膜を、上記と同様に成膜して厚さt6=4nmの中間膜35を形成し、さらにその上に、比誘電率の実数部が−5以下のAgの薄膜を、上記と同様に成膜して厚さt6=8nmの共鳴増強膜34を形成した。なお、Agの薄膜に対して、腐食を防ぐために他の金属を少量添加したAgPdCu、AgBi、AgGaCu等のAgの化合物を用いてもよい。
また、共鳴増強膜34や共鳴閉じ込め膜36としては、照射光5の波長λで誘電率の実数部の符号が負である金属膜や、照射光5の波長λで誘電率の実数部の符号が負である結晶状態のカルコゲナイド半導体膜も使用可能である。特に、照射光5の波長として、近接場光発生素子9’の吸収が低減できる、例えば、600nm≦λ≦1000nmを満たす赤色から赤外の波長の範囲では、AgやAgの化合物が最も良く、次いで、Cu、Auを材料とした場合、共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36としての効果は大きかった。
また、共鳴増強膜34、中間膜35、及び共鳴閉じ込め膜36の厚さも、それぞれ、例えば、t1=8nm、t6=4nm、t5=20nmとしたが、共鳴増強が生じ易くするためには、共鳴増強膜34の厚さt1は、共鳴閉じ込め膜36の厚さt5よりも薄いこと(t1<t5)が望ましく、また、記録及び再生の特性を向上させるためには、それぞれの膜厚の範囲として、3nm≦t1≦14nm、2nm≦t6≦30nm、10nm≦t5≦30nmであることが好ましい。この範囲の中で、情報記録媒体3eや近接場光発生素子9’の仕様により、上記膜厚の好適な組み合わせが存在する。
中間膜35としては、保護膜23と同様な誘電体膜を用いることができる。誘電率の実数部の符号が正の中間膜35として、例えば、ZrSiO4、(ZrO2)25(SiO2)25(Cr2O3)50、SiCr、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、SnO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、In2O3、Sc2O3、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Dy2O3、Yb2O3、CaO、MgO、CeO2、及びTeO2等から選ばれる1又は複数の酸化物等の無機材料を用いることができる。また、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、及びGe−Cr−N等から選ばれる1又は複数の窒化物を用いることもできる。
また、ZnSなどの硫化物、SiCなどの炭化物、LaF3、CeF3、MgF2などの弗化物を用いることもできる。また、上記材料から選ばれる1又は複数の材料の混合物を用いて、中間膜35を形成しても構わない。さらに、中間膜35として、樹脂等の有機材料を用いてもよく、また、有機材料と無機材料との混合材料を用いてもよい。
近接場光発生素子9’の共鳴部22’の先端が曲率を有する形状であることにより、近接場光発生素子9’の作製が容易になり、プラズモン共鳴も生じ易くなる効果がある。また、共鳴部22’の先端部分の曲率は、記録領域4’の曲率と同等であることが望ましい。プラズモン共鳴が効率よく生じるからである。
本実施の形態の情報記録媒体3eでは、例えば、共鳴増強膜34及び共鳴閉じ込め膜36の厚さは、それぞれ、t1=8nm、t5=20nmであり、どちらも主成分がAgであるAgPdCuから構成され、中間膜35は、厚さがt6=4nmのSiO2から構成され、記録領域4’は、相変化材料のGe10Sb90から構成され、その直径が20nmであり、その高さhが20nmである。近接場光発生素子9’は、主成分がAgであるAgPdCuから構成され、長手方向が120nm、厚さが24nm、平坦部の面積が3700nm2の三角形状を有している。記録再生波長がλ=780nmであり、ワーキングディスタンスWDが20nmのとき、記録領域4’が結晶の場合の近接場光発生素子9’からの反射率は4.9%であり、記録領域4’がアモルファスの場合の反射率は3.6%であった。この結果、反射率の変化量は1.3%となり、再生の変調度は27%となった。
本実施の形態の近接場光発生素子9’の長手方向の好適な長さは、実施の形態2の近接場光発生素子9の長手方向の好適な長さよりも、短くなる傾向があった。これは、共鳴閉じ込め膜36の厚さt5が、全体のプラズモン共鳴に影響して、近接場光発生素子9’の好適な長さが短くなるためと考えられる。
また、本実施の形態でも、近接場光発生素子9’が記録用と再生用を兼ねた構成であるため、プラズモン共鳴増強が大きく生じる結晶の方が、記録領域4’の記録感度は高くなる場合がある。したがって、記録前の記録領域4’の相状態(結晶かアモルファスか)の感度差を考慮した記録光の強度制御を行うことが好ましい。
ここで、本実施の形態における情報記録媒体3eの製造方法について、説明する。図14に示す情報記録媒体3eの製造方法は、図10に示す情報記録媒体3aの製造方法に加え、基板1と共鳴増強膜34との間に、誘電率の実数部の符号が負である材料を含むプラズモン共鳴を増強するための共鳴閉じ込め膜(第2の共鳴増強膜)36を形成するステップと、共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36との間に、誘電率の実数部の符号が正である材料を含む中間膜35を形成するステップとをさらに含む。
上記の製造方法によれば、共鳴増強膜34に加えて、中間膜35と共鳴閉じ込め膜36とを具備する情報記録媒体3eを製造することができる。これにより、共鳴増強膜34の相互作用だけでなく、共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36とが中間膜35を介して相互作用し、プラズモン共鳴の増強度を、さらに向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態3における別の形態について説明する。図15に示すように、本実施の形態における別の形態の情報記録媒体3fは、基板1上に、厚さt5の共鳴閉じ込め膜36、厚さt6の中間膜35、及び厚さt1の共鳴増強膜34を、この順に形成し、その上に、記録層2として、高さh及び幅wの縦長楕円体の記録領域4”を埋め込んだ保護膜23を形成した構造を有する。この場合、記録領域4”の配置面に対して、記録領域4”の高さhと幅wの比が、例えば、1.5〜3.0倍程度の縦長楕円体形状の記録領域4”を配置することによって、プラズモン共鳴がより生じ易くなり、記録感度と再生変調度とを向上させることができる。なお、記録領域4の配置面に対して、高さhの効果が効くので、縦長楕円体形状は、多少形状がずれても、ほぼ縦長の形状であれば効果がある。
本発明の実施の形態3におけるさらに別の形態の情報記録媒体3gは、図16に示すように、基板1上に、厚さt5の共鳴閉じ込め膜36、厚さt6の中間膜35、厚さt1の共鳴増強膜34、及び厚さt3の誘電体膜26をこの順に形成し、その上に、記録層2として、高さhの釣り鐘型の記録領域4”を形成した構造を有する。この場合、図14に示す情報記録媒体3eに比べて、記録領域4”の形成が容易となる。また、誘電体膜26は、上述した保護膜23と同じ材料を用いることができ、その膜厚t3としては、数nm〜10nm程度が好ましい。誘電体膜26を設けることにより、共鳴増強膜34と記録領域4”とのマイグレーションを防止する効果がある。
また、誘電体膜26の代わりに、カルコゲナイド系半導体の薄膜を用いてもよく、この場合、接触している未記録状態の記録領域4b”の結晶化を促進させて記録感度及び記録速度を向上させる効果がある。
図17は、さらに別の形態の情報記録媒体3hを示しており、情報記録媒体3hは、釣り鐘型の記録領域4”上に、それに対応して薄く保護膜23’を形成した構造を有する。記録領域4”の上に、保護膜23’を具備することにより、記録材料の耐環境性を向上させる効果がある。この場合、保護膜23’は成膜するだけでよいので、保護膜23’の形成が容易である。
図18は、さらに別の形態の情報記録媒体3iを示しており、情報記録媒体3iは、釣り鐘型の記録領域4”上に、表面が平坦な保護膜23を形成した構造を有する。この場合、保護膜23をある程度厚く成膜した後、保護膜23の表面を研磨や平坦化エッチング等で、表面を平坦化することが必要であるが、情報記録媒体3iの表面の凹凸が無くなるため、それに起因する近接場光発生素子9’と情報記録媒体3iとの接触を低減することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4の情報装置及び情報記録媒体について、図19乃至図21を用いて、上記実施の形態2の情報記録媒体と異なる点を中心に説明する。
図19は、本発明の実施の形態4における情報記録媒体の構成と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図20は、本発明の実施の形態4における別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。図21は、本発明の実施の形態4におけるさらに別の形態の情報記録媒体の構成を示す断面図である。なお、本実施の形態の情報装置の構成は、図1等に示す情報装置の構成と同様であるので、図示を省略し、必要に応じて図1等に示す符号を用いて説明する。
図19に示すように、本実施の形態の情報記録媒体3jは、実施の形態2の情報記録媒体3aとほぼ同じ構成であるが、異なる点は、照射光5の波長に対して、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる、厚さt4の共鳴制御膜28を、共鳴部22’と近接する記録領域4’の上層に形成していることである。
また、本実施の形態の情報装置は、情報記録媒体3jに対して、情報の記録又は再生を行う情報装置であって、光源14と、記録層2の記録領域4’との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部22’を有する近接場光発生素子9’とを具備し、共鳴部22’を記録領域4’と近接させて配置し、光源14からの照射光5を上記近接場光発生素子9’に照射し、共鳴部22’より発生した近接場光7aの少なくとも一部を用いて、記録領域4’に情報を記録する。また、光源14が、記録領域4’の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されている(図1参照)。もしくは、照射光5の偏光状態を変換する偏光制御光学素子30をさらに備え、偏光制御光学素子30は、記録領域4’の配置面(XY面)に対して、近接場光7aの垂直方向(Z方向)の偏光成分の振幅が、水平方向(Y方向)の偏光成分の振幅よりも大きくなるように、光源14’からのレーザ光12の偏光方向を変換するようにしてもよい(図6参照)。
本実施の形態でも、近接場光発生素子9’と共鳴増強膜34との相互作用により、プラズモン共鳴の増強度は向上しているが、共鳴制御膜28は、そのプラズモン共鳴を制御する機能を有する。つまり、ワーキングディスタンスWDが大きくなると、近接場光発生素子9’の先端の共鳴部22’から発生する近接場光7aが、記録領域4’の配置面(XY面)方向に広がる。しかしながら、近接場光発生素子9’と共鳴増強膜34との間に、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴制御膜28を設けることにより、その広がりがさらに抑制され、ターゲットになる記録領域4a’への集光度合いが高まる。したがって、隣接する記録領域4b’、4c’へのクロスライトを低減することができ、その結果として、近接場光発生素子9’と情報記録媒体3jとの間のワーキングディスタンスWDを広げることもできる。
共鳴制御膜28は、共鳴増強膜34よりも薄い厚さを有し、例えば、t4=2nmとし、共鳴増強膜34の厚さt1=8nmの1/4としている。t4<t1を満たしているとき、共鳴制御膜28の厚さとしては、例えば、1≦t4≦10nmが好ましい範囲であり、共鳴増強膜34の厚さとしては、例えば、3nm≦t1≦30nmが好ましい範囲である。この場合、近接場光発生素子9’と共鳴制御膜28との間でプラズモン共鳴が不要に増強されることがないので、共鳴増強膜34と近接場光発生素子9’との間のプラズモン共鳴の相互作用を妨げることがなく、記録感度の低下を防止することができる。
t4≧t1の場合では、近接場光発生素子9’と共鳴制御膜28との間でプラズモン共鳴が増強されるため、共鳴増強膜34と近接場光発生素子9’との間のプラズモン共鳴の相互作用を妨げる悪影響を及ぼし、記録感度が低下してしまう。
共鳴増強膜34、共鳴制御膜28、及び近接場光発生素子9’は、同じ主成分の材料、例えば、主成分がAgで構成されていることが好ましい。共鳴増強膜34、共鳴制御膜28、及び近接場光発生素子9’が同じように相互作用するため、プラズモン共鳴の増強度と制御性とを向上させ易い。
ここで、本実施の形態における情報記録媒体3jの製造方法について、説明する。図19に示す情報記録媒体3jの製造方法は、図10に示す情報記録媒体3aの製造方法に加え、記録領域4’に対して、基板1とは逆側に、誘電率の実数部の符号が負である材料を含む共鳴制御膜28を形成するステップをさらに含む。
上記の製造方法によれば、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴制御膜28を具備する情報記録媒体3jを製造することができる。これにより、近接場光の広がりがさらに抑制される。したがって、ターゲットになる記録領域4a’への集光度合いが高まり、隣接する記録領域4b’、4c’へのクロスライトが低減される。さらに、近接場光発生素子9’と情報記録媒体3jとの間のワーキングディスタンスWDを一層広げることもできる。
次に、本発明の実施の形態4における別の形態について説明する。図20に示すように、本実施の形態における別の形態の情報記録媒体3kは、図13に示す情報記録媒体3dと同様の構成を有し、さらに、保護膜23の上に、共鳴制御膜28が形成された構造を有している。
図20に示す構造は、記録領域4”を、基板1上に形成した誘電体膜26上に直接形成する構造であるため、図19に示す情報記録媒体3jよりも、作製が容易である。また、誘電体膜26の代わりに、カルコゲナイド系半導体の薄膜を用いてもよく、この場合、接触している未記録状態の記録領域4b”の結晶化を促進させて記録感度及び記録速度を向上させる効果がある。
図21は、さらに別の形態の情報記録媒体3lを示しており、情報記録媒体3lは、図19に示す情報記録媒体3jの構造に、中間膜35と、共鳴閉じ込め膜36とを、基板1と共鳴増強膜34の間に形成した構造を有している。この場合、中間膜35を介して、共鳴増強膜34と共鳴閉じ込め膜36との間でプラズモン共鳴がさらに増強されるため、図19に示す情報記録媒体3jよりも、記録感度及び再生の変調度が向上する効果がある。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5における情報装置及び情報記録媒体について、図22乃至図24を用いて、上記実施の形態1の光学情報記録再生装置と異なる点を中心に説明する。
図22は、本発明の実施の形態5における情報装置及び情報記録媒体の構成を示す概略図である。図23は、本発明の実施の形態5における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図24は、本発明の実施の形態5における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体の記録領域との間で近接場光が発生する様子を示す図23のXXIV−XXIV線による断面図である。
本実施の形態の情報装置が、実施の形態1の情報装置と異なる点は、近接場光発生素子9”の形状と対物レンズ10’の形状とである。また、本実施の形態の情報装置は、さらに、光源14から近接場光発生素子9”との間の光路中、本実施の形態では、ビームスプリッタ15と対物レンズ10’との光路間に、ラジアル偏光発生素子20と、立ち上げミラー21とを備える。
近接場光発生素子9”は、底面以外の面に金属膜をコートされた円錐プリズムであり、円錐プリズムは、頂点近傍に共鳴部22”を有している。また、対物レンズ10’は、入射光の光軸と出射光の光軸とが一致する通常のインライン型のレンズである。
ラジアル偏光発生素子20は、光源14と、近接場光発生素子9’との間の光路中に配置され、近接場光発生素子9’に集光する再生光にラジアル偏光(偏光方向は8’)を含ませる。ラジアル偏光発生素子20を配置したことにより、対物レンズ10’によって、近接場光発生素子9”に集光する光5’にラジアル偏光を含ませることができる。ラジアル偏光を含む照射光5’が近接場光発生素子9”である円錐プリズムの底面に入射すると、側面にコートされた金属膜と円錐プリズムとの界面に伝搬型の表面プラズモンが伝搬し、先端の共鳴部22”に、偏光方向27がZ軸方向である近接場光7a’が発生する。この近接場光7a’の一部が記録層2の記録領域4に照射され、情報が記録される。
また、図24に示すように、記録領域4に照射された近接場光7a’の偏光方向27が、記録領域4の配置面(XY面)に対して、垂直方向となるため、記録領域4aの上下面から、それぞれ、近接場光7b’1、7b’2が発生する。近接場光7b’1、7b’2の発生する方向がZ方向となるため、隣接する記録領域4b、4cには届かず、クロスライトが生じにくい。この結果、高密度配列の情報記録媒体3でも情報を良好に記録することができる。
また、記録領域4が記録状態の記録領域4aか未記録状態の記録領域4bかにより、共鳴部22”と記録領域4とのプラズモン共鳴の増強度が変わるため、近接場光発生素子9”からの反射光6’を検出することにより、実施の形態1の情報装置と同様に、記録領域4が記録状態及び未記録状態のいずれかを判断して、上記記録領域4に記録された情報を再生することができる。
また、図22に示すように、本実施の形態の情報装置は、通常のインライン型の対物レンズ10’を用いて、情報記録媒体3の基板1又は記録層2の形成面(XY面)に対して光を垂直に集光しているため、光学系の設計の自由度が大きく、光学系の配置が容易になる。また、対物レンズ10’の高NA化も達成し易く、その結果、共鳴部22”から発生する近接場光7a’の強度を大きくできるという効果がある。
また、図24に示すように、近接場光発生素子9”は、その頂角が2θ2であり、例えば、ガラスやプラスチック製の円錐プリズムに、例えば、AuやAl等の金属膜をコートした形状をしている。この形状は、いわゆるクレッチマン配置を用いることにより、ラジアル偏光の照射光5’を効率よく表面プラズモンに変えることが可能である。例えば、記録光及び再生光である照射光5’の波長がλ=0.405μmのとき、θ2=43.4°、厚さt=16.3nmのAlをプリズムにコートした形状が好ましい。この場合、ほぼ100%の照射光5’を伝搬型表面プラズモンに変えることができる。
また、頂角を小さく、例えば、2θ2=8°にすると、いわゆる超集束というモ−ドが存在できるようになる。このときは、伝搬型表面プラズモンが、先端の共鳴部22”の方向に伝搬するに従い、その波長が短くなることが知られており、より微小な記録領域4とのプラズモン共鳴の増強が可能となる。この場合、より微小な記録領域4に対する再生の変調度が良好なため、高密度の情報記録媒体の記録と再生という点で好ましい。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6における情報装置及び情報記録媒体について、図25及び図26を用いて、上記実施の形態1の情報装置と異なる点を中心に説明する。
図25は、本発明の実施の形態6における情報装置の近接場光発生素子及び2波長光源と、情報記録媒体に対して情報を記録及び再生する様子とを示す説明図である。図26は、本発明の実施の形態6における別の形態の情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録及び再生する様子とを示す説明図である。なお、本実施の形態の情報装置の構成は、基本的に、図1等に示す情報装置の構成と同様であるので、全体構成の図示を省略し、必要に応じて図1等に示す符号を用いて説明し、以下の各実施の形態も同様である。
本実施の形態の情報装置は、図1に示す実施の形態1の情報装置とほぼ同じ構成であるが、異なる点は、光源14a、14bが、波長の異なる記録光と再生光とを出射する2波長光源であり、上記波長に対応した記録用の近接場光発生素子9aと再生用の近接場光発生素子9bとを具備する光学情報再生装置である。
光源14bは、再生用の光源であり、600nm≦λ1≦700nmを満たす波長λ1の再生光12bを出射し、例えば、λ1=660nmの赤色の半導体レーザを用いることができる。光源14aは、記録用の光源であり、700nm≦λ2≦900nmを満たす波長λ2の記録光12aを出射し、例えば、λ2=860nmの赤外の半導体レーザを用いることができる。そのため、本実施の形態でも、図1に示す実施の形態1の情報装置と同じ光学系が使える。
なお、2波長光源の構成は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、2波長光源として、再生用に600nm≦λ1≦700nmを満たす、例えば、λ1=660nmの赤色の半導体レーザチップと、記録用に700nm≦λ2≦900nmを満たす、例えば、λ2=860nmの赤外の半導体レーザチップとが近接されて集積された2波長光源を用いてもよい。
再生用の近接場光発生素子9bと、記録用の近接場光発生素子9aとは、入射面が実質的に同じ向きになるようにX方向に隣接配置されている。どちらも、三角柱状の形状を有し、同じ材料から構成され、例えば、主成分がAgであり、ヒートシンクを兼ねた同一基板(図示省略)上に形成されている。それぞれの近接場光発生素子9b、9aは、波長に対応したZ方向(長手方向)の長さを有しており、再生用の近接場光発生素子9bは、例えば、長手方向が110nmの長さであり、記録用の近接場光発生素子9aは、例えば、145nmの長さである。再生波長が記録波長より短いため、再生用の近接場光発生素子9bは、記録用の近接場光発生素子9aよりも波長に応じてZ方向の長さを短くし、それぞれの波長に対して、近接場光発生素子の特性を好適化している。
それぞれの波長に合わせて、特性を好適化することにより、記録光5aがはみ出て又は位置ずれして再生用の近接場光発生素子9bに照射された場合、もしくは、再生光5bが記録用の近接場光発生素子9aに誤って照射された場合、違う波長の照射に対してはプラズモン共鳴が起こりにくくなるので、誤照射による悪影響を押さえることができる。そのため、記録光5aと再生光5bとのそれぞれの集光スポットを近接場光発生素子9b、9a上であえて分離する必要もなくなり、光学系やその位置あわせが容易になる。
また、本実施の形態における情報装置では、記録再生のトラック方向がY方向のとき、記録用及び再生用の近接場光発生素子9a、9bはすぐに同一トラックをなぞることができないが、記録や消去に一定の時間がかかるとき、その時間分だけ、記録用及び再生用の近接場光発生素子9a、9bの距離を離しておくことにより、記録後に記録状態を確認することができるライトベリファイを行うことができる。
また、2波長光源として、例えば、再生用は350nm≦λ1≦450nmを満たす、例えば、λ1=405nmの青色の半導体レーザチップを用いた場合、再生用の近接場光発生素子9bは、近接場光が発生し易い材料としてAlが好ましい。したがって、再生用の近接場光発生素子9bの主成分の材料と、記録用の近接場光発生素子9aの主成分の材料として、例えば、AlとAgとをそれぞれ用いることにより、特性が良くなり好ましい。
また、記録領域4の一部又は全てが記録材料からなり、この記録材料の主成分が相変化記録材料であり、記録状態及び未記録状態は、それぞれアモルファス及び結晶のどちらか一方に対応させた場合、相変化材料は、アモルファス状態ではその誘電率が一般に正であるが、波長が短くなると、結晶状態ではその誘電率の符号が負になり易く、プラズモン共鳴を利用した前述の再生に適している。そのため、波長が長い場合では、結晶とアモルファス状態とも、誘電率の符号は正であり、相状態に応じたプラズモン共鳴の違いは低減されるため、記録感度が同様になるという効果がある。
また、本実施の形態の情報記録媒体では、記録領域4の一部又は全てが記録材料からなり、再生光の波長で、上記記録材料の記録状態での誘電率の実数部の符号と上記記録材料の未記録状態での誘電率の実数部の符号が互いに異なり、記録光の波長で、上記記録材料の記録状態での誘電率の実数部の符号と上記記録材料の未記録状態での誘電率の実数部の符号が互いに同じであることが好ましい。
例えば、本実施の形態の情報記録媒体では、記録材料にGe10Sb90を用いており、再生波長λ1=660nmとしたとき、結晶状態では比誘電率の実数部は−12.8であり、アモルファス状態では比誘電率の実数部は11.4であり、プラズモン共鳴度が異なるため、再生の変調度が良い。
なお、再生波長を、例えばλ1=780nmとしたとき、結晶状態では比誘電率の実数部は−5.6であり、アモルファス状態では比誘電率の実数部は17.9であり、プラズモン共鳴度が異なるため、このときでも、再生の変調度が良い。また、Ge10Sb90の場合、波長0.492μm〜0.835μmでは、結晶とアモルファスとで誘電率の実数部の符号が互いに異なるため、再生特性が良くなる。特に、波長0.492μm〜0.787μmでは、比誘電率の実数部は、結晶では−5以下であり、アモルファスでは−5より大きいため、より好ましいと言える。
一方、記録波長を、例えばλ2=860nmとしたとき、結晶状態では比誘電率の実数部は2.7であり、アモルファス状態では比誘電率の実数部は21.3となり、誘電率の実数部はどちらも正であるため、結晶状態とアモルファス状態とでの記録の感度差が低減できる。なお、λ2≧835nmであれば、誘電率の実数部はどちらも正であるため、λ2≧835nmであることが好ましい。
次に、図26に示す別の形態の情報装置について説明する。図26に示す情報装置は、図25に示す情報装置とほぼ同じ構成であるが、異なる点は、再生用の近接場光発生素子9bと、記録用の近接場光発生素子9aとは、記録光5a及び再生光5bの入射面が実質的に同じ向きになるようにY方向に隣接配置されている点である。
記録再生のトラック方向がY方向のとき、図25に示す情報装置では、記録用及び再生用の近接場光発生素子9a、9bは、同時に同一トラックをなぞることができないが、本例では、記録用及び再生用の近接場光発生素子9a、9bが同一トラック上にあるため、記録後すぐに情報を再生できるとともに、記録後に記録状態を確認することができるライトベリファイを行うことができる。
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7における情報装置及び情報記録媒体について、図27を用いて、上記実施の形態6の情報装置と異なる点を中心に説明する。
図27は、本発明の実施の形態7における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。
本実施の形態の情報装置が、図25及び図26に示す情報装置と異なる点は、再生用の近接場光発生素子9bと、記録用の近接場光発生素子9aとが、裏面(出射光が照射されない面)がお互いに対向するように配置されている点である。
再生用の近接場光発生素子9bと、記録用の近接場光発生素子9aは、ヒートシンクを兼ねた同一基板(図示省略)の裏表にそれぞれ形成されている。記録光5aは、−Y方向に沿って近接場光発生素子9aを照射し、再生光5bは、逆のY方向に沿って近接場光発生素子9aを照射する。したがって、本実施の形態では、図面の右側に記録用の光学系を配置し、図面の左側に再生用の光学系を配置することにより、記録用の光学系と再生用の光学系とを分離できるため、光学系の配置が容易になる。
また、本実施の形態でも、記録再生のトラック方向がY方向のとき、記録用及び再生用の近接場光発生素子9b、9aは同一トラック上にあるため、記録後すぐに情報を再生できるとともに、記録後に記録状態を確認することができるライトベリファイを行うことができる。
(実施の形態8)
次に、本発明の実施の形態8の情報装置及び情報記録媒体について、図28及び図29を用いて、上記実施の形態6の情報装置と異なる点を中心に説明する。
図28は、本発明の実施の形態8における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図29は、本発明の実施の形態8における別の形態の情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。
本実施の形態の情報装置は、記録用の近接場光発生素子9aと、再生用の近接場光発生素子9bとをそれぞれ具備する点では、図25に示す情報装置の構成と似ているが、異なる点は、光源14として、記録光と再生光とを出射する1波長光源を用いている点と、記録用の近接場光発生素子9aの長手方向の長さが、再生用の近接場光発生素子9bの長手方向の長さより短い点である。
光源14として、700nm≦λ1≦900nmを満たす、例えば、λ1=780nmの赤外の半導体レーザチップの1波長光源を用いている。そのため、光源の構成が簡素化できる。
再生用の近接場光発生素子9bと、記録用の近接場光発生素子9aとは、入射面が実質的に同じ向きになるようにX方向に隣接配置されている。どちらも、三角柱状の形状を有し、同じ材料から構成され、例えば、主成分がAgであり、ヒートシンクを兼ねた同一基板(図示省略)上に形成されている。例えば、記録用の近接場光発生素子9aの長手方向は、110nmであり、再生用の近接場光発生素子9bの長手方向は、145nmの長さであり、記録用の近接場光発生素子9aは、再生用の近接場光発生素子9bよりも、長手方向の長さが短い。
再生用の近接場光発生素子9bは、記録状態の記録領域4aと共鳴増強が生じ易い長さにすることが好ましく、また、記録用の近接場光発生素子9aは、記録状態の記録領域4aと共鳴増強が多少生じにくい長さにすることが好ましい。この場合、再生の変調度が得られると同時に、記録においては、共鳴増強が多少生じにくいため、記録状態の記録領域4aと未記録状態の記録領域4bとへの記録感度の差を抑えることができる。
なお、記録においては、共鳴増強が多少生じにくくするという観点では、記録用の近接場光発生素子9aは、再生用の近接場光発生素子9bよりも、長手方向の長さを長くしてもよい。
次に、図29に示す別の形態の情報装置について説明する。図29に示す情報装置は、図28に示す情報装置とほぼ同じ構成であるが、異なる点は、再生用の近接場光発生素子9bと、記録用の近接場光発生素子9aとは、記録光5a及び再生光5bの入射面が実質的に同じ向きになるようにY方向に隣接配置されている点である。
記録再生のトラック方向がY方向のとき、図28に示す情報装置では、記録用及び再生用の近接場光発生素子9b、9aは、同時に同一トラックをなぞることができないが、本例では、記録用及び再生用の近接場光発生素子9b、9aが同一トラック上にあるため、記録後すぐに情報を再生できるとともに、記録後に記録状態を確認することができるライトベリファイを行うことができる。
(実施の形態9)
次に、本発明の実施の形態9における情報装置及び情報記録媒体について、図30及び図31を用いて、上記実施の形態1の情報装置と異なる点を中心に説明する。
図30は、本発明の実施の形態9における情報装置の近接場光発生素子と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。図31は、本発明の実施の形態9における別の形態の情報装置の近接場光発生素子及び光源と、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する様子とを示す説明図である。
本実施の形態の情報装置は、近接場光発生素子9が記録用の近接場光発生素子と再生用の近接場光発生素子とを兼ねる点では、図1乃至図3に示す情報装置の構成と似ているが、異なる点は、図25に示す情報装置と同様に、光源として、記録光と再生光とを出射する2波長光源を用いている点である。
具体的には、記録光5aの波長は、再生光5bの波長よりも長く、光源として、再生用は600nm≦λ1≦700nmを満たす、例えば、λ1=660nmの赤色の半導体レーザチップと、記録用は700nm≦λ2≦900nmを満たす、例えば、λ2=860nmの赤外の半導体レーザチップとが近接されて集積された、いわゆる2波長光源を用いている。
記録光5aの近接場光発生素子9への入射面と、再生光5bの近接場光発生素子9の入射面とが同一にしてあり、この構成により、記録及び再生の光学系を簡素化できる。
再生波長に対して、近接場光発生素子9の長手方向の長さを、記録状態の記録領域4aと共鳴増強が生じ易い長さにすることが好ましく、また、記録波長に対して、近接場光発生素子9の長手方向の長さを、記録状態の記録領域4aと共鳴増強が多少生じにくい長さにすることが好ましい。その結果、再生の変調度が得られると同時に、記録においては共鳴増強が多少生じにくいため、記録状態の記録領域4aと未記録状態の記録領域4bとへの記録感度の差を抑えることができる。
なお、記録においては、共鳴増強が多少生じにくくするという観点では、記録波長を再生波長よりも短くしてもよい。
次に、図31に示す別の形態の情報装置について説明する。図31に示す情報装置では、記録光5aの近接場光発生素子9の入射面と、再生光5bの近接場光発生素子9の入射面とが異なり、光源14aは、上記波長を有する記録光5aを近接場光発生素子9の一方の平坦面へ出射し、光源14bは、記録光5aと波長の異なる、上記の波長を有する再生光5bを近接場光発生素子9の他方の平坦面へ出射する。
本実施の形態では、図面の右側に記録用の光学系を配置し、図面の左側に再生用の光学系を配置することにより、記録用の光学系と再生用の光学系とを分離できるため、光学系の配置が容易になるとともに、各光源14a、14bの波長は、それぞれ単一波長でよいため、光学部品の無反射コートなどを容易に形成することができる。
(実施の形態10)
次に、本発明の実施の形態10における情報装置及び情報記録媒体について、図32を用いて、上記実施の形態1の光学情報記録再生装置と異なる点を中心に説明する。上記の各実施の形態では、情報記録媒体に対して、磁場を用いることなく、近接場光を用いて情報を記録又は再生を行う情報装置について説明したが、本発明が適用される情報装置は、この例に特に限定されず、磁気記録部を備え、近接場光が照射されて加熱された記録領域に対して、磁気記録部が発生する磁界により、情報を記録する情報装置にも同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
図32は、本発明の実施の形態10における情報装置及び情報記録媒体の構成を示す概略図である。情報装置200は、光源201、近接場光発生素子202、及び磁気記録部203を備える。ここで、情報装置200は、駆動部204や、制御部205などを、さらに備えていてもよい。
駆動部204は、例えば、モータなどで構成され、円板状の情報記録媒体206を回転させる。制御部205は、近接場光発生素子202が所望の光を発光するための信号を生成して光源201に送る。例えば、制御部205は、内部の記録データ生成部が生成した記録データに基づいて、出射光のパワーなどを設定してもよい。
光源201は、制御部205からの信号に応じて出射光208を発生させ、近接場光発生素子202を照射する。近接場光発生素子202は、照射された出射光208に応じて、プラズモン共鳴により近接場光207を発生させる。近接場光207は、情報記録媒体206の記録領域(例えば、記録膜や微粒子)に照射される。
ここで、情報記録媒体206の記録領域は、磁気記録材料を含んでいてもよい。この場合、情報装置200は、近接場光207が照射されることにより加熱された記録領域に対して、磁気記録部203が発生する磁界を印加して情報を記録する。すなわち、近接場光発生素子202からの近接場光207が照射され、記録領域が加熱されると、記録領域の保磁力が一時的に低下する。これを利用して、保磁力が低下した記録領域に対して、磁気記録部203が発生する磁界により、記録領域の磁極などを変化させ、情報の記録を行う。
上記のように構成された情報装置200では、磁気記録方式の場合であっても、次のような効果を奏することができる。
まず、情報記録媒体206が共鳴増強膜を備えている場合、近接場光発生素子202と共鳴増強膜との距離が出射光208の波長よりも十分小さい場合、例えば100nm以下の場合、近接場光発生素子202と共鳴増強膜との相互作用により、プラズモン共鳴の増強度を向上させることができる。これにより、近接場光発生素子202による記録領域の加熱を効率良く行うことができる。
また、情報記録媒体206が共鳴制御膜を備えている場合、近接場光の広がりがさらに抑制される。したがって、加熱の対象となる記録領域への集光度合いを高めることができる。これにより、加熱する領域をより精度良く絞ることができる。この結果、磁気記録部203による隣接する記録領域へのクロスライトが低減されるとともに、近接場光発生素子202と情報記録媒体206との間のワーキングディスタンスを一層広げることもできる。
また、情報記録媒体206が、共鳴増強膜に加えて、中間膜と共鳴閉じ込め膜とを備えている場合、近接場光発生素子202と共鳴増強膜及び共鳴閉じ込め膜との距離が出射光208の波長よりも十分小さい場合、例えば100nm以下の場合、近接場光発生素子202と共鳴増強膜との相互作用だけでなく、共鳴増強膜と共鳴閉じ込め膜とが中間膜を介して相互作用し、プラズモン共鳴の増強度をさらに向上させることができる。これにより、近接場光発生素子202による記録領域の加熱を、より効率良く行うことができる。
以上、実施の形態1〜10の情報装置及び情報記録媒体について説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、それぞれの実施の形態の情報装置及び情報記録媒体の構成を任意に組み合わせた情報装置及び情報記録媒体も、本発明に含まれ、同様の効果を奏することができる。
なお、上記実施の形態で用いた対物レンズ、コリメータレンズ、及び検出レンズは、便宜上名付けたものであり、一般にいうレンズと同じである。
また、上記実施の形態においては、情報記録媒体として光ディスクを例に挙げて説明したが、上記実施の形態の情報装置と同様に構成された情報装置によって厚みや記録密度など複数の仕様の異なる媒体を記録又は再生することができるように設計されたカード状、ドラム状、又はテープ状の情報記録媒体に応用することも、本発明の範囲に含まれる。
上記の各実施の形態から本発明の各態様について説明すると、以下のようになる。すなわち、本発明の一態様に係る情報記録媒体は、基板と、記録材料を含む記録領域が島状に配列された記録層と、前記基板と前記記録層との間に形成され、プラズモン共鳴を増強するための第1の共鳴増強膜とを備え、前記第1の共鳴増強膜は、誘電率の実数部の符号が負である材料を含む。
この情報記録媒体においては、第1の共鳴増強膜が、誘電率の実数部の符号が負である材料から構成され、記録層の記録領域が島状に配列されているので、近接場光発生素子の共鳴部と、第1の共鳴増強膜と、記録領域とが、緊密に相互作用することができる。この結果、プラズモン共鳴の増強をより強く発生させることができるので、近接場光を用いて、高密度に配列された記録領域に対して、良好に情報を記録することができる。
前記第1の共鳴増強膜の厚さは、2nm以上25nm以下であることが好ましい。
この場合、記録状態と未記録状態とでプラズモン共鳴の差を大きくすることができるので、再生の変調度を向上させることができる。
前記情報記録媒体は、前記記録領域に対して、前記基板とは逆側に配置される共鳴制御膜をさらに備え、前記共鳴制御膜は、誘電率の実数部の符号が負である材料を含むことが好ましい。
この場合、近接場光発生素子と共鳴増強膜との間に、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる共鳴制御膜が形成されているので、近接場光の記録領域の配置面方向への広がりを抑制することができ、ターゲットになる記録領域への集光度合いを高めることができる。この結果、隣接する記録領域へのクロスライトを低減することができるとともに、近接場光発生素子と情報記録媒体との間のワーキングディスタンスを拡大することもできる。
前記共鳴制御膜の厚さは、前記第1の共鳴増強膜の厚さよりも薄いことが好ましい。
この場合、近接場光発生素子と共鳴制御膜との間のプラズモン共鳴が増強されず、共鳴増強膜と近接場光発生素子との間のプラズモン共鳴の相互作用に悪影響を及ぼさないので、記録感度の低下を防止することができる。
前記情報記録媒体は、前記基板と前記第1の共鳴増強膜との間に形成され、プラズモン共鳴を増強するための第2の共鳴増強膜と、前記第1の共鳴増強膜と前記第2の共鳴増強膜との間に形成された中間膜とをさらに備え、前記第2の共鳴増強膜は、誘電率の実数部の符号が負である材料を含み、前記中間膜は、誘電率の実数部の符号が正である材料を含むことが好ましい。
この場合、近接場光発生素子と第1の共鳴増強膜との相互作用だけでなく、第1の共鳴増強膜と第2の共鳴増強膜とが中間膜を介して相互作用し、中間膜内で近接場光が発生するので、プラズモン共鳴の増強度をさらに向上させ、記録領域への記録感度を一層高めることができる。
前記第1の共鳴増強膜の厚さは、前記第2の共鳴増強膜の厚さよりも薄いことが好ましい。
この場合、第1の共鳴増強膜の厚さが第2の共鳴増強膜の厚さよりも薄いので、プラズモン共鳴が増強され易くなる。
前記記録領域の形状は、前記記録領域の配置面に対して縦長な楕円体形状であることが好ましい。
この場合、プラズモン共鳴がより生じ易くなるので、記録感度と再生変調度とを向上させることができる。
本発明の他の態様に係る情報装置は、上記の情報記録媒体に対して、情報の記録又は再生を行う情報装置であって、光源と、前記記録領域との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部を有する近接場光発生素子とを備え、前記共鳴部は、前記光源からの出射光が前記近接場光発生素子に照射されることにより、プラズモン共鳴を発生させ、前記第1の共鳴増強膜は、前記共鳴部と前記記録領域との間のプラズモン共鳴を増強させ、前記共鳴部は、近接場光を発生し、前記近接場光を前記記録層側から前記記録領域に照射する。
この情報装置においては、情報記録媒体の第1の共鳴増強膜が、誘電率の実数部の符号が負である材料から構成され、記録層の記録領域が島状に配列されているので、近接場光発生素子の共鳴部と、第1の共鳴増強膜と、記録領域とが、緊密に相互作用することができる。この結果、プラズモン共鳴の増強をより強く発生させることができるので、近接場光を用いて、高密度に配列された記録領域に対して、良好に情報を記録することができる。
前記近接場光発生素子の主成分の材料は、前記第1の共鳴増強膜の主成分の材料と同じであることが好ましい。
この場合、近接場光発生素子と共鳴増強膜とが同じ主成分の材料で構成されているので、同じように相互作用して、プラズモン共鳴の増強度を向上させ易い。
前記記録領域の配置面に対して、前記近接場光の垂直方向の偏光成分の振幅は、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きく、前記共鳴部から発生した近接場光の少なくとも一部を用いて、前記記録領域に情報が記録されることが好ましい。
ここで、前記光源は、前記記録領域の配置面に対して、前記近接場光の垂直方向の偏光成分の振幅が、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されるようにしてもよく、又は、前記情報装置は、前記出射光の偏光状態を変換する偏光制御光学素子をさらに備え、前記偏光制御光学素子は、前記記録領域の配置面に対して、前記近接場光の垂直方向の偏光成分の振幅が、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きくなるように、前記光源からの出射光の偏光方向を変換するようにしてもよい。
この場合、近接場光発生素子から生じる近接場光の偏光方向が、記録領域の配置面に対して垂直方向に近づいて垂直方向の偏光成分を大きくなるように、光源又は偏光制御光学素子を配置することにより、近接場光発生素子からの近接場光が照射されたターゲットとなる記録領域から付随的に発生する近接場光の方向が、配置面に対して略垂直方向になるため、隣接する記録領域へ悪影響を及ぼすことなく、クロスライトを低減して良好且つ高密度に情報を記録及び再生することができる。この結果、良好な回折限界以下の高密度記録が可能になり、大容量の情報装置及び情報記録媒体を実現することができる。
前記情報装置は、前記近接場光発生素子からの反射光又は前記近接場光発生素子を透過した透過光を検出する光検出器と、前記光検出器からの検出信号に基づいて前記記録領域が記録状態及び未記録状態のいずれかであるかを判断して、前記記録領域に記録された情報を再生する再生部とをさらに備えることが好ましい。
この場合、近接場光発生素子に近接場光ではなく、再生光を直接照射して近接場光発生素子からの反射光又は透過光が検出されるので、反射光量、透過光量、反射光量の光量変化又は透過光量の光量変化も十分大きくすることができ、再生信号の変調度を向上させることができる。
前記記録領域間の間隔は、前記記録領域の幅以下であることが好ましい。
この場合、記録領域間の間隔が記録領域の幅以下であるので、記録領域を高密度化することができ、情報記録媒体の記録情報量を大容量化することができる。
前記光源は、第1の波長を有する記録光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する再生光とを出射する2波長光源を含み、前記近接場光発生素子は、前記第1の波長に対応した記録用の近接場光発生素子と、前記第2の波長に対応した再生用の近接場光発生素子とを含むことが好ましい。
この場合、記録用の近接場光発生素子及び再生用の近接場光発生素子の特性を、記録光及び再生光の波長に応じて適正化することができるので、記録光が再生用の近接場光発生素子に誤って照射された場合、又は、再生光が記録用の近接場光発生素子に誤って照射された場合でも、違う波長の照射に対してはプラズモン共鳴が起こりにくくなるので、誤照射による悪影響を押さえることができる。この結果、記録光と再生光とのそれぞれの集光スポットを記録用の近接場光発生素子及び再生用の近接場光発生素子上であえて分離する必要もなくなり、光学系やその位置あわせが容易になる。
前記記録領域の一部又は全てが記録材料からなり、前記記録材料の主成分は、相変化記録材料であり、前記記録領域の記録状態及び未記録状態は、それぞれアモルファス及び結晶のどちらか一方に対応し、前記第2の波長は、前記第1の波長よりも短いことが好ましい。
この場合、再生光の波長が記録光の波長より短いので、波長が短い再生光に対して、結晶状態では相変化記録材料の誘電率の符号が負になり易く、プラズモン共鳴を利用して良好な再生動作を行うことができるとともに、波長が長い記録光に対して、結晶とアモルファス状態とも誘電率の符号は正であり、相状態に応じたプラズモン共鳴の違いが低減されるため、結晶とアモルファス状態とも記録感度を等しくすることができる。
前記記録領域の一部又は全てが記録材料からなり、前記第1の波長に対して、前記記録材料の記録状態の誘電率の実数部の符号は、前記記録材料の未記録状態の誘電率の実数部の符号と同じであることが好ましい。
この場合、記録光の波長に対して、記録材料の記録状態の誘電率の実数部の符号が記録材料の未記録状態の誘電率の実数部の符号と同じであるので、記録光に対して、相状態に応じたプラズモン共鳴の違いが低減され、結晶とアモルファス状態とも記録感度を等しくすることができる。
前記光源は、記録光と再生光とを出射する1波長光源を含み、前記近接場光発生素子は、記録用の近接場光発生素子と、再生用の近接場光発生素子とを含むことが好ましい。
この場合、1波長光源を用いているため、光源の構成を簡素化することができ、また、記録用の近接場光発生素子及び再生用の近接場光発生素子を同一トラック上に配置することにより、記録後すぐに情報を再生したり、記録後に記録状態を確認することができる。
前記記録用の近接場光発生素子の長手方向の長さは、前記再生用の近接場光発生素子の長手方向の長さよりも長いことが好ましい。
この場合、記録波長が再生波長より長いとき、それぞれの波長に対して近接場光発生素子の特性を適正に設定することができる。
前記記録用の近接場光発生素子と、前記再生用の近接場光発生素子とは、互いの裏面を対向させて配置されることが好ましい。
この場合、記録用の光学系と再生用の光学系とを分離できるため、光学系の配置が容易になるとともに、記録用の近接場光発生素子と再生用の近接場光発生素子とを同一トラック上に配置することができるので、記録後すぐに情報を再生できるとともに、記録後に記録状態を確認することができる。
前記光源は、第1の波長を有する記録光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する再生光とを出射する2波長光源を含み、前記近接場光発生素子は、記録用の近接場光発生素子と再生用の近接場光発生素子とを兼ねることが好ましい。
この場合、記録光の近接場光発生素子への入射面と、再生光の近接場光発生素子の入射面とが同一になり、記録及び再生の光学系を簡素化することができる。
本発明の他の態様に係る情報記録媒体の製造方法は、基板を備える情報記録媒体の製造方法であって、記録材料を含む記録領域が島状に配列された記録層を形成するステップと、誘電率の実数部の符号が負である材料を含み、プラズモン共鳴を増強するための第1の共鳴増強膜を、前記基板と前記記録層との間に形成するステップとを含む。
この情報記録媒体の製造方法により、誘電率の実数部の符号が負である材料からなる第1の共鳴増強膜を具備する情報記録媒体を製造することができるので、近接場光発生素子と、第1の共鳴増強膜と、記録領域とが相互作用して、プラズモン共鳴の増強度を向上させることができる。この結果、近接場光を用いて、高密度に配列された記録領域に対して、良好に情報を記録することができる。
本発明の他の態様に係る情報装置は、基板と、前記基板上に、島状に配列された記録領域を有する記録層とを備える情報記録媒体に対して、情報の記録又は再生を行う情報装置であって、光源と、前記記録領域との間でプラズモン共鳴が生じる共鳴部を有する近接場光発生素子とを備え、前記共鳴部は、前記光源からの出射光が前記近接場光発生素子に照射されることにより、プラズモン共鳴を発生させ、前記記録領域の配置面に対して、前記近接場光の垂直方向の偏光成分の振幅は、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きく、前記共鳴部から発生した近接場光の少なくとも一部を用いて、前記記録領域に情報が記録される。
ここで、前記光源は、前記記録領域の配置面に対して、前記近接場光の垂直方向の偏光成分の振幅が、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きくなるように配置されるようにしてもよく、又は、前記情報装置は、前記出射光の偏光状態を変換する偏光制御光学素子をさらに備え、前記偏光制御光学素子は、前記記録領域の配置面に対して、前記近接場光の垂直方向の偏光成分の振幅が、水平方向の偏光成分の振幅よりも大きくなるように、前記光源からの出射光の偏光方向を変換するようにしてもよい。
この情報装置においては、近接場光発生素子から生じる近接場光の偏光方向が、記録領域の配置面に対して垂直方向に近づいて垂直方向の偏光成分を大きくなるように、光源又は偏光制御光学素子を配置することにより、近接場光発生素子からの近接場光が照射されたターゲットとなる記録領域から付随的に発生する近接場光の方向が、配置面に略垂直方向になるため、隣接する記録領域へ悪影響を及ぼすことなく、クロスライトを低減して良好且つ高密度に情報を記録及び再生することができる。この結果、良好な回折限界以下の高密度記録が可能になり、大容量の情報装置及び情報記録媒体を実現することができるので、近接場光を用いて、高密度に配列された記録領域に対して、良好に情報を記録することができる。