JP6074158B2 - 地盤改良体、及び地盤改良工法 - Google Patents

地盤改良体、及び地盤改良工法 Download PDF

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Description

本発明は、地盤改良体、及び地盤改良工法に関する。
従来から、構造物の固有周期を長周期化して構造物に発生する地震力を低減する免震構造が適用された免震構造物が知られている。
また、既存構造物の直下の地盤を地盤改良する地盤改良工法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
特開平8−296240号公報 特開2008−266935号公報
ところで、地表から所定深さにある液状化層(以下、「液状化軟弱層」という)を改良する場合、液状化軟弱層に至る途中の地盤は経済性等の観点から地盤改良しない。
しかしながら、前述した免震構造物が構築された地盤において、液状化軟弱層に至る途中の地盤に、液状化はしないが軟弱な地盤(例えば、軟弱なシルト層や粘性土層等であり、以下、この地盤を「非液状化軟弱層」という)がある場合、地震時に液状化軟弱層が液状化すると、非液状化軟弱層の変位が大きくなる。この結果、地盤の卓越周期が長周期化し、免震構造物の固有周期に接近して免震構造物が共振する可能性がある。
この対策として、液状化軟弱層の改良強度等を高めることが考えられるが、コストがかかる。
本発明は、上記の事実を考慮し、液状化軟弱層の液状化に伴う地盤の卓越周期の長周期化を抑制することを目的とする。
第1態様に係る地盤改良体は、免震構造物が構築された地盤の非液状化軟弱層と該非液状化軟弱層の下方にある液状化軟弱層とにせん断剛性を付与するとともに、外周壁部が前記免震構造物の外周部の下に該外周部に沿って形成されている。
第1態様に係る地盤改良体によれば、地盤改良体の外周壁部は、免震構造物の外周部の下の地盤に、当該外周部に沿って形成されている。この地盤改良体によって液状化軟弱層だけでなく、非液状化軟弱層にもせん断剛性を付与することにより、地震時に液状化軟弱層が液状化しても非液状化軟弱層の変位が低減される。これにより、免震構造物が構築された地盤の卓越周期の長周期化が抑制される。したがって、免震構造物と地盤の卓越周期との共振を回避することができる。
第2態様に係る地盤改良体は、第1態様に係る地盤改良体において、前記地盤改良体が、前記液状化軟弱層が液状化したときに、前記地盤の卓越周期が前記免震構造物の固有周期に達しないように前記非液状化軟弱層及び前記液状化軟弱層にせん断剛性を付与する。
第2態様に係る地盤改良体によれば、液状化軟弱層が液状化したときに、地盤の卓越周期が免震構造物の固有周期に達しないように、地盤改良体によって非液状化軟弱層及び液状化軟弱層にせん断剛性が付与される。したがって、地震時に液状化軟弱層が液状化しても、免震構造物と地盤の卓越周期との共振が回避される。
第3態様に係る地盤改良体は、第1態様又は第2態様に係る地盤改良体において、前記地盤改良体が、壁状に形成されると共に前記非液状化軟弱層及び前記液状化軟弱層を囲む。
第3態様に係る地盤改良体によれば、壁状に形成された地盤改良体によって非液状化軟弱層及び液状化軟弱層を囲むことにより、地震時に液状化軟弱層が液状化しても地盤改良体によって非液状化軟弱層の変位が拘束される。したがって、地盤の卓越周期の長周期化の抑制効果が向上する。
第4態様に係る地盤改良体は、第1態様第3態様の何れか1つに係る地盤改良体において、前記地盤改良体が、平面視にて格子状に形成されている。
第4態様に係る地盤改良体によれば、平面視にて地盤改良体を格子状に形成したことにより、非液状化軟弱層の変位を効率的に拘束することができる。したがって、地盤の卓越周期の長周期化の抑制効果が向上する。
第5態様に係る地盤改良工法は、免震補強される既存構造物が構築された地盤の非液状化軟弱層と該非液状化軟弱層の下方にある液状化軟弱層とにわたって第1態様第4態様の何れか1つに係る地盤改良体を形成し、前記液状化軟弱層及び液状化軟弱層にせん断剛性を付与する。
第5態様に係る地盤改良工法によれば、免震補強される既存構造物が構築された地盤に第1態様第4態様の何れか1つに係る地盤改良体を形成する。
ここで、既存構造物に対する免震補強時には、既存構造物等が障害となって当該既存構造物の下方の液状化軟弱層を充分に地盤改良することが困難な場合があり、地震時に液状化軟弱層が液状化する可能性がある。そして、液状化軟弱層が液状化すると、非液状化軟弱層の変位が大きくなる結果、地盤の卓越周期が長周期化し、免震構造物の固有周期に接近して免震構造物が共振する可能性がある。
これに対して本発明では、地盤改良体によって液状化軟弱層だけでなく、非液状化軟弱層にもせん断剛性を付与することにより、地震時に液状化軟弱層が液状化しても非液状化軟弱層の変位が低減される。これにより、免震構造物が構築された地盤の卓越周期の長周期化が抑制される。したがって、免震構造物と地盤の卓越周期との共振を回避することができる。
本発明は、上記の構成としたので、液状化軟弱層の液状化に伴う地盤の卓越周期の長周期化を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る地盤改良体が形成された地盤を示す図2の1−1線断面図である。 図1の2−2線断面図である。 図1に示される免震構造物の施工エリアを示す縦断面図である。 液状化軟弱層を有する所定地盤の擬似速度応答スペクトルを示すグラフである。 地震応答解析で用いた格子状地盤改良体の解析モデル示す説明図である。 地震応答解析で用いた格子状地盤改良体の解析モデル示す説明図である。 地震応答解析で用いた地盤の解析モデルの各種設定条件を示す表である。 図7に示される地盤の解析モデルにおける液状化軟弱層の特性を示すグラフであり、(A)は液状化軟弱層を液状化させない場合及び液状化させた場合のせん断剛性特性をそれぞれ示し、(B)は液状化軟弱層を液状化させない場合及び液状化させた場合の減衰特性がそれぞれ示されている。 図5に示される改良地盤解析点及び未改良地盤解析点の絶対加速度応答スペクトルを示すグラフである。 図5に示される改良地盤解析点及び未改良地盤解析点の最大変位と深度との関係を示すグラフである。 比較例として、図7に示される地盤の解析モデルにおける液状化軟弱層を液状化させない場合の改良地盤解析点及び未改良地盤解析点の絶対加速度応答スペクトルを示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る地盤改良体、及び地盤改良工法について説明する。
図1には、本実施形態に係る地盤改良構造が形成された地盤10、及び地盤10上に構築された免震構造物20Bが示されている。この地盤10は、一例として、地表から順に非液状化軟弱層10A、液状化軟弱層10B、非液状化軟弱層10C、及び支持層(硬質層)10Dを有している。
地盤10の表層を構成する非液状化軟弱層10Aは、地震時に液状化はしないが、せん断剛性(初期せん断剛性)が低い軟弱シルト層及び軟弱粘性土層の少なくとも一方を含んで構成されている。液状化軟弱層10Bは所定規模の地震時に液状化の可能性がある層であり、砂層及びれき層の少なくとも一方を含んで構成されている。非液状化軟弱層10Cは、液状化軟弱層10Bと同様の構成であり、支持層10Dは、免震構造物20Bを支持可能な充分な剛性、強度を有している。
免震構造物20Bは、既存構造物(以下、「既存構造物20A」という)に対して免震補強(免震レトロフィット)が施されたものであり、基礎部22と、基礎部22上に構築された上部構造体24とを有している。基礎部22は杭基礎とされており、鉄筋コンクリート造の基礎スラブ26と、基礎スラブ26を支持する複数の杭28とを有している。基礎スラブ26は板状に形成され、その上面に免震補強よって追加された複数の免震装置30が設置されている。各免震装置30は積層ゴム支承等によって構成され、水平二方向に所定の間隔で配列されている。これらの免震装置30を介して上部構造体24が基礎スラブ26に支持されている。これにより、免震補強前(例えば、1秒)と比較して、上部構造体24の固有周期が長周期化(例えば、3〜4秒)されている。
基礎スラブ26を支持する複数の杭28は、鋼製やコンクリート製の支持杭とされており、地盤10における非液状化軟弱層10A、液状化軟弱層10B、及び非液状化軟弱層10Cを貫通して支持層10Dに達している。各杭28の上端部は基礎スラブ26に結合されており、これらの杭28を介して免震構造物20Bが支持層10Dに支持されている。これにより、液状化軟弱層10Bの液状化等に伴う免震構造物20Bの沈下が抑制されている。なお、各杭28は、免震補強以前から存在する既存杭である。また、各杭28は、支持杭に限らず、摩擦杭等であっても良い。
また、地盤10には、非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10Bにせん断剛性を付与する地盤改良体の一例としての格子状地盤改良体40が形成されている。地盤改良構造を構成する格子状地盤改良体40は、上部構造体24の固有周期の長周期化に伴って免震補強時に構築されたものである。この格子状地盤改良体40は、その上部が非液状化軟弱層10Aに形成されており、その下部が液状化軟弱層10Bに形成されている。つまり、格子状地盤改良体40は、非液状化軟弱層10Aと液状化軟弱層10Bとにわたって形成されている。
なお、図1には、液状化軟弱層10Bと当該液状化軟弱層10Bの下層にある非液状化軟弱層10Cとの境界線が直線で示されているが、実際には、液状化軟弱層10Bと非液状化軟弱層10Cとの境界面は平坦面ではなく、当該境界面には傾斜面や凹凸面が存在する可能性がある。そのため、本実施形態では、液状化軟弱層10Bと非液状化軟弱層10Cとの境界部をより確実に地盤改良するために、格子状地盤改良体40が非液状化軟弱層10Cを貫通しており、その下端部が非液状化軟弱層10C内へ僅かに(例えば、液状化軟弱層10Bから下方へ1m未満)延びている。
図2に示されるように、格子状地盤改良体40は平面視にて全体として格子状に形成されており、上部構造体24の外周に沿って形成された枠状の外周壁部40Aと、外周壁部40Aの内側に壁状に形成され、当該外周壁部40Aの内側の領域を複数の区画Sに仕切る複数(本実施形態では、4つ)の仕切壁部40Bとを有している。この格子状地盤改良体40によって、各区画S内の地盤10(非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10B)を囲むことにより、これらの区画S内の地盤10の水平方向の変位(せん断変形)が拘束されている。つまり、格子状地盤改良体40によって非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10B(図1参照)にせん断剛性がそれぞれ付与されている。なお、図2には、非液状化軟弱層10Aの図示が省略されている。
ここで、仕切壁部40Bの枚数を増加し、隣接する仕切壁部40Bの間隔を狭くするに従って、即ち外周壁部40A内の区画S数が増加するに従って各区画S内の液状化軟弱層10Bに対する拘束力が高まるところ、本実施形態では、仕切壁部40Bの枚数が液状化軟弱層10Bの液状化の防止に必要な必要枚数を下回っている。換言すると、格子状地盤改良体40は、液状化軟弱層10Bの液状化を許容するように設計されている。
一方、格子状地盤改良体40は、液状化軟弱層10Bだけでなく、液状化軟弱層10Bの上方にある非液状化軟弱層10Aにも形成されている。この格子状地盤改良体40によって非液状化軟弱層10Aにせん断剛性を付与することにより、地震時に液状化軟弱層10Bが液状化しても非液状化軟弱層10Aの変位(せん断変形)が低減され、地盤10の卓越周期が免震構造物20Bの固有周期に達しないようになっている。
なお、従来、液状化軟弱層10Bを地盤改良する場合は、経済性等の観点から非液状化軟弱層10Aを地盤改良することはないが、液状化軟弱層10Bと非液状化軟弱層10Cとの境界部と同様に、非液状化軟弱層10Aと液状化軟弱層10Bとの境界部をより確実に地盤改良するために、非液状化軟弱層10Aの底部(例えば、液状化軟弱層10Bから上方へ1m未満)を地盤改良することが考えられる。これに対して本実施形態に係る格子状地盤改良体40は、非液状化軟弱層10Aにその底部以上(例えば、液状化軟弱層10Bから上方へ1m以上)形成されている。つまり、本実施形態における非液状化軟弱層10Aに形成された地盤改良体とは、非液状化軟弱層10Aを実質的に地盤改良するものを意味し、液状化軟弱層10Bの地盤改良を目的として非液状化軟弱層10Aの底部のみを地盤改良するものを含まない概念である。
次に、免震補強時における格子状地盤改良体40の施工方法(地盤改良方法)の一例について説明する。
本実施形態では、免震補強対象の既存構造物20A(免震構造物20B)を使用しながら格子状地盤改良体40を施工するため、図2に示されるように、既存構造物20Aの最下階(本実施形態では、1階)を複数の施工エリアに分割し、施工エリアごとに格子状地盤改良体40の一部を混合処理工法により施工する。なお、図2には、複数の施工エリアのうち、一部の施工エリアC1,C2,C3のみが示されている。
具体的には、図3に示されるように、先ず、施工エリアC1を複数の仕切壁32等で区画(閉鎖)する。なお、二点鎖線は天井44の下面を示しており、符号46は上部構造体24の2階の床スラブである。次に、基礎スラブ26に貫通孔34を形成し、施工エリアC1の空頭制限に対応可能な小型の施工機械36を基礎スラブ26上に設置する。次に、基礎スラブ26に形成された貫通孔34に施工機械36のロッド36Aを挿入し、ロッド36Aの先端部が所定深度に達するまで地盤10の非液状化軟弱層10Aを掘削する。次に、ロッド36Aの先端部からセメントミルク等の固化剤の高圧噴射(矢印方向)し、固化剤と掘削地盤とを混合、攪拌しながら更に非液状化軟弱層10A、液状化軟弱層10B、及び非液状化軟弱層10Cを掘削する。これにより、非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10Bにわたって1本の柱状地盤改良体42を形成する。この手順を繰り返し、地盤10に複数の柱状地盤改良体42を壁状に連続して形成する。そして、施工エリアC1における格子状地盤改良体40一部の施工が完了したら基礎スラブ26に形成された貫通孔34等を塞ぐと共に、当該施工エリアC1を区画する仕切壁32等を撤去し、施工エリアC1を開放する。
以上の手順により施工エリアC1に隣接する施工エリアC2,C3(図2参照)を順に仕切壁32等で閉鎖し、施工エリアC2,C3ごとに複数の柱状地盤改良体42を壁状に連続して形成する。これにより、最終的に平面視にて格子状の格子状地盤改良体40を形成する。
このように既存構造物20Aの最下階を複数の施工エリアに分割し、特定の施工エリアのみを閉鎖して格子状地盤改良体40を施工することにより、既存構造物20Aの使用可能スペースを確保しつつ、格子状地盤改良体40を形成することができる。
なお、本実施形態では、固化剤を高圧で噴射する高圧噴射撹拌工法を用いて格子状地盤改良体40を形成したが、これに限らない。例えば、格子状地盤改良体40をソイルセメントウォール工法や地中連続壁工法等で形成しても良い。また、施工エリアの分割数等は適宜変更可能である。さらに、複数の施工エリアにおいて並行しながら格子状地盤改良体40を施工することも可能である。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示されるように、免震構造物20Bには免震補強が施されており、上部構造体24の固有周期が免震補強前の既存構造物20Aと比較して長周期化(例えば、3〜4秒)されている。これにより、上部構造体24に発生する地震力が低減される。
ここで、図4には、一例として、液状化軟弱層を有する所定地盤の擬似速度応答スペクトル(解析結果)が示されている。なお、符号60は液状化軟弱層を液状化させない場合の地表面の擬似速度応答スペクトルであり、符号62は液状化軟弱層を液状化させた場合の地表面の擬似速度応答スペクトルである。
図4から分かるように、所定地盤の液状化軟弱層が液状化すると、所定地盤の卓越周期が長周期化して免震構造物の固有周期(例えば、3〜4秒)に接近し、免震構造物の固有周期付近の擬似応答速度が増幅する可能性がある。特に、本実施形態のように、液状化軟弱層10Bの上方にせん断剛性が低い非液状化軟弱層10A(図1参照)があると、液状化軟弱層10Bの液状化に伴って非液状化軟弱層10Aの変位(せん断変形量)が大きくなり、地盤10の卓越周期の長周期化が助長される。そのため、地盤10の卓越周期と免震構造物20Bの上部構造体24とが共振し易くなり、上部構造体24の変位(水平変位)が過大になる可能性がある。
この対策として本実施形態では、図1に示されるように、格子状地盤改良体40が液状化軟弱層10Bと当該液状化軟弱層10Bの上方にある非液状化軟弱層10Aとにわたって形成されている。つまり、格子状地盤改良体40によって液状化軟弱層10Bだけでなく、非液状化軟弱層10Aにもせん断剛性が付与されている。これにより、地震時に液状化軟弱層10Bが液状化しても、非液状化軟弱層10Aの変位が低減される。したがって、地盤10の卓越周期の長周期化が抑制される。
また、本実施形態では、地盤10の卓越周期が免震構造物の固有周期に達しないように、格子状地盤改良体40によって非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10Bにせん断剛性が付与されている。これにより、地震時に液状化軟弱層10Bが液状化しても、地盤10の卓越周期と免震構造物20Bとの共振が回避される。つまり、本実施形態では、液状化軟弱層10Bの液状化を許容しつつ、地盤10の卓越周期と免震構造物20Bとの共振を回避することができる。したがって、液状化軟弱層10Bに形成する格子状地盤改良体40の壁厚や仕切壁部40Bの枚数を低減することができるため、格子状地盤改良体40の施工コストの削減及び工期の短縮化を図ることができる。
さらに、格子状地盤改良体40は、平面視にて格子状に形成されている。この格子状地盤改良体40によって非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10Bを囲むことにより、非液状化軟弱層10Aの拘束力が高くなる。したがって、地盤10の卓越周期の長周期化の抑制効果が向上する。
特に、本実施形態は、免震補強時等のように格子状地盤改良体40の施工時に既存構造物20Aが存在する場合に有効である。格子状地盤改良体40の施工時に既存構造物20Aが存在する場合は、既存構造物20A等が障害となって格子状地盤改良体40を施工するための充分な施工スペースを確保することが困難になり、液状化軟弱層10Bの液状化防止に必要な仕切壁部40Bの枚数等を確保することが困難になる可能性があるためである。これに加え、既存構造物20Aの一部を使用しながら格子状地盤改良体40の施工を行う場合は、格子状地盤改良体40の施工スペースを確保することがさらに困難になる可能性がある。これに対して本実施形態では、液状化軟弱層10Bの液状化を許容可能にしたことにより、格子状地盤改良体40の施工スペースが減少するため、既存構造物20Aの一部を使用しながら格子状地盤改良体40を容易に施工することができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、免震構造物20Bの基礎スラブ26から下方に離れた所定深度から非液状化軟弱層10Aに格子状地盤改良体40を形成した例を示したが、これに限らない。格子状地盤改良体40は、基礎スラブ26の直下から形成しても良い。
また、上記実施形態では、地盤改良体としての格子状地盤改良体40を高圧噴射撹拌工法等の混合処理工法(固結工法)で形成したが、これに限らない。地盤改良体は、非液状化軟弱層10A及び液状化軟弱層10Bにせん断剛性を付与可能であれば良く、例えば、薬液注入工法等の固結工法やサンドコンパクション工法、振動棒工法等の締め固め工法により地盤改良体を形成しても良い。つまり、上記実施形態に係る地盤改良体とは、固結工法及び締め固め工法等による改良地盤を含む概念である。
さらに、上記実施形態では、地盤改良体として格子状地盤改良体40を例に示したが、地盤改良体の形状は適宜変更可能である。例えば、平面視にて免震構造物20Bを囲むように、免震構造物20Bの外周に枠状の地盤改良体を形成しても良い。また、複数の柱状地盤改良体(例えば、ソイルセメントパイルやサンドコンパクションパイル等)を間隔を空けて形成しても良いし、柱状地盤改良体、壁状地盤改良体、又はこれらの組合せを間隔を空けて複数形成しても良い。
また、上記実施形態では、非液状化軟弱層10Aの下層(直下)に液状化軟弱層10Bがある例を示したが、これに限らない。非液状化軟弱層10Aの下方に液状化軟弱層10Bがあれば良く、例えば、非液状化軟弱層10Aと液状化軟弱層10Bとの間には他の層(例えば、硬質層)等があっても良いし、非液状化軟弱層10Aの上方に他の層(例えば、硬質層)があっても良い。
また、上記実施形態では、免震装置30として積層ゴム支承を例に説明したが、これに限らない。免震装置として、例えば、滑り支承、転がり支承等を用いても良い。
さらに、上記実施形態では、免震構造物20Bの基礎として杭基礎(杭28)を用いた例を示したが、免震構造物20Bの基礎は適宜変更可能である。
さらにまた、上記実施形態では、既存構造物20Aに対する免震補強時に格子状地盤改良体40を構築する例を示したが、格子状地盤改良体40は免震構造物の新築時に形成することも可能である。
次に、地震応答解析について説明する。
実施例に係る格子状地盤改良体の解析モデル及び地盤の解析モデルを用いて地震応答解析(二次元FEMモデルによる等価線形解析)を行い、実施例に係る格子状地盤改良体の有効性を検証した。
図5及び図6には、実施例に係る格子状地盤改良体の解析モデル(以下、「改良体モデル」という)50が示されており、図7には、地盤の解析モデル(以下、「地盤モデルGM」という)の各種設定条件が示されている。なお、図7中のVはせん断波速度(S波速度)である。
図5に示される改良体モデル50は、図7の太枠内(No2〜No6)の地盤に形成されている。つまり、改良体モデル50は、非液状化軟弱層と液状化軟弱層とにわたって形成されている。
図6に示されるように、地盤モデルGMと改良体モデル50の外周壁部50A及び仕切壁部50Bとは、点線で示される範囲で節点が共有(一体化)とされており、他の範囲では非共有(非一体化)とされている。また、基礎スラブ52と改良体モデル50との間には埋土(図7のNo1)が存在し、基礎スラブ52と改良体モデル50とは一体化されていない。
また、図8(A)には、地盤モデルGMの液状化軟弱層(図7のNo5)を液状化させない場合(液状化なし)及び液状化させた場合(液状化あり)のせん断剛性特性(せん断剛性比G/Gとせん断ひずみγとの関係)がそれぞれ示されている。また、図8(B)には、地盤モデルGMの液状化軟弱層を液状化させない場合(液状化なし)及び液状化させた場合(液状化あり)の減衰特性(減衰比hとせん断ひずみγとの関係)がそれぞれ示されている。
本解析では、地盤モデルGMの卓越周期に対する液状化軟弱層の液状化の影響を検証するため、図8(A)及び図8(B)に示される液状化軟弱層を液状化させた場合(液状化あり)のせん断剛性特性及び減衰特性を用いて、地盤モデルGMの地表面における改良体モデル50上に設定された改良地盤解析点P1,P2,P3(図5参照)、及び地盤モデルGMの地表面における改良体モデル50上から外れた位置に設定された未改良地盤解析点P0(図5参照)で地震応答解析を行った。
なお、改良地盤解析点P1は改良体モデル50の仕切壁部50B上に設定されており、改良地盤解析点P2,P3は、地盤モデルGMの地表面の変位が最大となる改良体モデル50の仕切壁部50Bと両側の外周壁部50Aとの中間点上にそれぞれ設定されている。また、免震構造物の固有周期は、3〜4秒を想定した。
図9には、改良地盤解析点P1及び未改良地盤解析点P0の絶対加速度応答スペクトルが示されており、図10には、改良地盤解析点P2,P3及び未改良地盤解析点P0の最大変位(最大水平変位)が示されている。一方、図11には、比較例として、地盤モデルGMの液状化軟弱層を液状化させない場合の改良地盤解析点P1及び未改良地盤解析点P0の絶対加速度応答スペクトルが示されている。
図9から分かるように、免震構造物の固有周期付近(3〜4秒)において、改良地盤解析点P1の応答加速度が未改良地盤解析点P0の応答加速度と比較して小さくなっている。このことから、改良体モデル50上で、地盤モデルGM(地表面)の卓越周期の長周期化が抑制されたことが分かる。これは、改良体モデル50によって地盤モデルGMの非液状化軟弱層を拘束した結果、当該非液状化軟弱層の変位が低減されたためと考えられる。実際に、図10から分かるように、液状化軟弱層(深度10.70m)よりも上層の非液状化軟弱層(深度6.80m)において、改良地盤解析点P2,P3の最大変位が未改良地盤解析点P0の最大変位よりも急激に減少したことが確認された。
さらに、図9に示されるように、免震構造物の固有周期付近(3〜4秒)における改良地盤解析点P1の絶対加速度応答スペクトルの波形(2m/s前後)は、図11に示される比較例のように、地盤モデルGMの液状化軟弱層を液状化させない場合の改良地盤解析点P1及び未改良地盤解析点P0の絶対加速度応答スペクトルの波形(2m/s前後)に近似している。このことから、地盤モデルGMにおける非液状化軟弱層及び液状化軟弱層に改良体モデル50を形成することにより、地盤モデルGMの卓越周期の長周期化が、液状化軟弱層が液状化しない場合と同程度に抑制されたことが分かる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 地盤
10A 非液状化軟弱層
10B 液状化軟弱層
10D 支持層
20A 既存構造物
20B 免震構造物
40 格子状地盤改良体(地盤改良体)

Claims (4)

  1. 免震構造物が構築された地盤の非液状化軟弱層と該非液状化軟弱層の下方にある液状化軟弱層とにせん断剛性を付与するとともに、外周壁部が前記免震構造物の外周部の下に該外周部に沿って形成され
    前記液状化軟弱層が液状化したときに、前記地盤の卓越周期が前記免震構造物の固有周期に達しないように前記非液状化軟弱層及び前記液状化軟弱層にせん断剛性を付与する、
    地盤改良体。
  2. 前記地盤改良体が、壁状に形成されると共に前記非液状化軟弱層及び前記液状化軟弱層を囲む、
    請求項1に記載の地盤改良体。
  3. 前記地盤改良体が、平面視にて格子状に形成されている、
    請求項1又は請求項2に記載の地盤改良体。
  4. 免震補強される既存構造物が構築された地盤の非液状化軟弱層と該非液状化軟弱層の下方にある液状化軟弱層とにわたって請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の地盤改良体を形成し、前記液状化軟弱層及び液状化軟弱層にせん断剛性を付与する、地盤改良工法。
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