JP5408235B2 - 振動低減工法 - Google Patents
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Description
また、地震国である日本においては、地震に起因する地盤振動による構造物の破壊を抑制する技術の必要性が高く、地震による振動エネルギーを構造物が受けても破壊しないように強度を高める耐震技術及び地震による振動エネルギーの構造物への伝播を抑制することにより破壊を防止する免震技術が進んでいる。
また、前記免震技術に関連する振動源から構造物への振動エネルギーの伝播を抑制する防振工法として、振動源と構造物との間に、(1)予め柱状とした周辺地盤よりも剛性の高い硬質材を並べて埋設してハニカム形状等の閉じた形状とし、その内側に廃タイヤの粉砕物であるゴム弾性材を埋設した基本ユニットの複数を並設するもの(例えば、特許文献3の図1〜6参照。)、(2)前記柱状の硬質材を埋設して直線状に並べた列を複数形成し、これら列の間に前記ゴム弾性材を埋設するもの(例えば、特許文献3の図7参照。)、振動源である橋又は高架等の支柱の周囲を前記ハニカム形状等の閉じた形状の硬質材の列で包囲し、これらの硬質材の内側に前記ゴム弾性材を埋設するもの(例えば、特許文献3の図10〜12参照。)等がある。
これに対して特許文献3の防振工法は、前記地盤振動を低減してから構造物に伝えるように振動エネルギーの伝播を抑制することができることから、地盤振動により住民が感じる不快感や精密工場における製品の製造への影響等を抑制又は低減することができるものである。
しかしながら、特許文献3の防振工法は、柱状の周辺地盤よりも剛性の高い硬質材を製作する工程、多数の前記硬質材を並べて埋設してハニカム形状等の形状にする工程、廃タイヤを収集してロール破砕法等により破砕物にして埋設する工程が必要であるため、工程が多いことや現場における施工時間が長くなることにより施工コストが嵩むという問題点がある。
その上、平面視における外側地盤改良体及び内側地盤改良体の間の形状(振動減衰体の形状)が矩形波状である場合には、外側地盤改良体と振動減衰体との境界、及び、振動減衰体と内側地盤改良体との境界が凹凸形状になることから、また、平面視における外側地盤改良体及び内側地盤改良体の間の形状(振動減衰体の形状)が三角波状又は鋸波状である場合には、現地盤と外側地盤改良体との境界、外側地盤改良体と振動減衰体との境界、振動減衰体と内側地盤改良体との境界、及び、内側地盤改良体と現地盤との境界が凹凸形状になることから、これらの凹凸形状の境界により入射及び反射方向を散乱させることができるため、地盤改良構造体による地盤振動の減衰効果が大きくなる。
よって、地盤振動により住民が感じる不快感や精密工場における製品の製造への影響等を、簡便かつ効率良く抑制又は低減することができる。
このような構成によれば、外側地盤改良体及び内側地盤改良体の間の土を掘削する工程の後、砕石若しくは合成樹脂ペレットにより埋める工程、又は、土、砕石若しくは合成樹脂ペレットを土のう袋に詰めたものを積層して埋める工程を行うので、このような外側地盤改良体及び内側地盤改良体の間の振動減衰体により振動減衰効果がさらに高くなる。
図1(a)の平面図及び図1(b)の縦断面図に示すように、本発明の実施の形態1に係る振動低減機能を有する地盤改良構造体1は、振動源側Aから構造物側Bへ伝播される地盤振動を低減させる(減衰させる)ものであり、平面視において振動源側Aから構造物側Bへ向かう方向に交差する方向(略直交する方向)に長い、構造物側Bから見て外方(振動源側Aに近づく方向)に位置する外側地盤改良体2、構造物側Bから見て外側地盤改良体2から内方(構造物側Bへ近づく方向)へ離間した内側地盤改良体3、及び、外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間を埋める振動減衰体4により構成される。
ここで、振動減衰体4は、土、砕石若しくは合成樹脂ペレット又はこれらを土のう袋に詰めて積層したものであり、いずれも振動減衰体4を構成する材料の摩擦による振動エネルギーの消費等による振動減衰効果を有する。
また、砕石の外径は0〜40mm程度、合成樹脂ペレットの素材はポリアセタール又はポリプロピレン等であり、土のう袋のサイズは、幅40cm、奥行き40cm、高さ10cm程度のものとする。
なお、本発明における「矩形波状」には、厳密な矩形波だけでなく、一部を曲線としたような矩形波に近い形状も含まれる。
なお、地盤改良構造体1の寸法(サイズ)は、図1(a)における地盤改良構造体1の短手方向長さaを約5m、外側地盤改良体2の幅c1、内側地盤改良体3の幅c2及び振動減衰体4の幅c3を約1mとし、図1(b)における地盤改良構造体1の高さ(深さ)bを約4〜8m程度にしているが、地盤改良構造体1の寸法は、このような寸法に限定されるものではない。
外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3は、現地盤Sの所定位置を地盤改良装置により地盤改良して形成されるものであり、例えば、ベースマシンにより支持された混合攪拌装置を現地盤Sに挿入し、セメント系固化材等の固化材及び水を注入しながら攪拌翼を回転することにより、所定の深さにわたって形成され、このような作業を繰り返しながら所定の平面形状に形成する。
ここで、図1(a)のように外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3が連結(接続)されている場合は、これらを連続して地盤改良装置により形成することができ、外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3が分離している場合は、外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の一方を地盤改良装置により形成した後に、他方を地盤改良装置により形成する。
また、振動減衰体4が、砕石若しくは合成樹脂ペレット、又は、土、砕石若しくは合成樹脂ペレットを土のう袋に詰めたものである場合は、上述のように外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3を形成した後に、外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間の土を掘削する工程と、外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間を、砕石若しくは合成樹脂ペレットにより埋める工程、又は、土、砕石若しくは合成樹脂ペレットを土のう袋に詰めたものを積層して埋める工程とを行う。
本発明の実施の形態2に係る振動低減機能を有する地盤改良構造体1を示す図2の平面図において、実施の形態1の図1と同一符号は同一又は相当部分を示しており、図2における矢視X2−X2断面図は、図1(b)と同じ形状になる。
図2の地盤改良構造体1は、実施の形態1と同様に、平面視における外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間の形状(振動減衰体4の形状)を、矩形波状としており、構造物側Bの周りを囲む構成であるため、地盤改良構造体1により、例えば、住宅若しくは住宅群、教育施設、精密工場又は病院等を囲むことにより振動源側Aからの構造物側Bへ伝播される地盤振動を低減させる用途に好適である。
また、このような構成は、地盤改良構造体1により振動源である構造物の周囲を囲うことにより外方へ伝播させる地盤騒動を低減させる用途、例えば、交通量の多い橋又は高架等の支柱の周囲を囲んで地盤騒動を低減させる用途にも適している。
本発明の実施の形態3に係る振動低減機能を有する地盤改良構造体1を示す図3(a)の平面図及び図3(b)の縦断面図において、実施の形態1の図1と同一符号は同一又は相当部分を示しており、実施の形態1と同じ用途に好適なものである。
本発明の実施の形態3に係る振動低減機能を有する地盤改良構造体1は、振動源側Aから構造物側Bへ伝播される地盤振動を低減させるものであり、平面視において振動源側Aから構造物側Bへ向かう方向に交差する方向に長い、構造物側Bから見て外方に位置する外側地盤改良体2、構造物側Bから見て外側地盤改良体2から内方へ離間した内側地盤改良体3、及び、外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間を埋める振動減衰体4により構成され、図3(a)の寸法dは約3mである。
また、図3(a)のように、平面視における外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間の形状(振動減衰体4の形状)は、三角波状であり、現地盤Sと外側地盤改良体2との境界、外側地盤改良体2と振動減衰体4との境界、振動減衰体4と内側地盤改良体3との境界、及び、内側地盤改良体3と現地盤Sとの境界が凹凸形状になっている。
なお、本発明における「三角波状」には、厳密な三角波だけでなく、一部を曲線としたような三角波に近い形状も含まれ、三角波状ではなく、鋸波状であってもよい。
本発明の実施の形態4に係る振動低減機能を有する地盤改良構造体1を示す図4の平面図において、実施の形態3の図3と同一符号は同一又は相当部分を示しており、図4における矢視X4−X4断面図は、図3(b)と同じ形状になる。
図4の地盤改良構造体1は、実施の形態3と同様に、平面視における外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間の形状(振動減衰体4の形状)を三角波状にしており、構造物側Bの周りを囲む構成であるため、実施の形態2と同じ用途に好適なものである。
また、平面視における外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間の形状(振動減衰体4の形状)が図1及び図2のように矩形波状である場合には、外側地盤改良体2と振動減衰体4との境界、及び、振動減衰体4と内側地盤改良体3との境界が凹凸形状になることから、また、平面視における外側地盤改良体2及び内側地盤改良体3の間の形状(振動減衰体4の形状)が図3及び図4のように三角波状である場合には、現地盤Sと外側地盤改良体2との境界、外側地盤改良体2と振動減衰体4との境界、振動減衰体4と内側地盤改良体3との境界、及び、内側地盤改良体3と現地盤Sとの境界が凹凸形状になることから、これらの凹凸形状の境界により入射及び反射方向を散乱させることができるため、さらに地盤振動を効果的に減衰させることができる。
よって、地盤振動により住民が感じる不快感や精密工場における製品の製造への影響等を、簡便かつ効率良く抑制又は低減することができる。
さらに、地盤改良構造体1が、外側地盤改良体2、内側地盤改良体3及び振動減衰体4からなる簡素な構成であるため、施工コストが嵩むことがない。
B 構造物側
S 現地盤
1 地盤改良構造体
2 外側地盤改良体
3 内側地盤改良体
4 振動減衰体
Claims (2)
- 振動源と該振動源から地盤振動が伝播される構造物との間に振動低減機能を有する地盤改良構造体を形成する振動低減工法であって、
前記構造物側から見て外方に位置する外側地盤改良体及び前記構造物側から見て前記外側地盤改良体から内方へ離間した内側地盤改良体を、これらの間の形状が、矩形波状、三角波状又は鋸波状であるように地盤改良装置により形成する工程を備えたことを特徴とする振動低減工法。 - 前記外側地盤改良体及び内側地盤改良体の間の土を掘削する工程と、前記外側地盤改良体及び内側地盤改良体の間を、砕石若しくは合成樹脂ペレットにより埋める工程、又は、土、砕石若しくは合成樹脂ペレットを土のう袋に詰めたものを積層して埋める工程とを備えてなる請求項1記載の振動低減工法。
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