JP6073680B2 - 位相情報を用いたサブミリ波レーダー - Google Patents

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Description

本発明は、サブミリ波レーダーシステムのための信号処理装置(シグナルプロセッサ)、このレーダーシステム、このシステムを有する例えば路上走行車のようなロボットまたは車両、および対応する方法およびコンピュータプログラムに関する。
サブミリ波レーダーにおける異なるオブジェクト間の識別は、現在、もっぱらレーダー断面、即ち、あるオブジェクトの基準単位正方形によって反射された波のエネルギー割合の測定に頼っている。例えば、表面粗さと吸収特性との関係に基づいて、オブジェクトの全ての点は類似のレーダー断面値を示す。類似の測定値をグループ化することによって等高線が形成され、これは、オブジェクトをバックグラウンドから分離するための識別ツールを提供する。室外応用のためのサブミリ波レーダーは、複雑なバックグラウンドの前方または複雑な前景の後方にある、複雑なオブジェクトに直面している。典型的な従来のマイクロ波レーダー応用(例えば、地面−飛行機、飛行機−飛行機レーダー)では、そのバックグラウンドが空であり、これは実質的に拡散且つ低損失吸収体であるため、このタイプの問題に遭遇することは無い。唯一の測定された“シャープ”なレーダー断面は、オブジェクトとしての飛行機によって作られる。さらに、唯一の測定可能なドップラーシフト信号は、別の飛行機によってもたらされ、且つ、レーダービームが地面に当たった場所の角度に由来する。地面からの反射信号中、低空飛行の飛行機のみが検出されないで残る。
複雑な環境の元でターゲットの分類と認定を要求する、映像化応用に対して、マイクロ波レーダーは一般に適していない。少なくとも中程度に複雑な環境下での測定を可能とするために、幾つかの技術が提案され、実証されている。その一例は、海軍のマイクロ波レーダーを使用した氷山の検出である。ここで、氷山の小さな反射(水面上では小さな部分のみが見出される)は、波によって生成されたより大きな反射から識別される必要がある。飛行時間フィルタリングを使用して、例えば周波数変調連続波(FMCW)レーダーまたはチャープパルスレーダーを用いて、レーダーからターゲットまでの距離を決定することができる。さらに、信号持続性の空間周波数コンテンツを分析する必要がある(氷山は、埋め込み波よりもより遥かにゆっくり移動する)。殆どの検出エリアが水平ラインより下の小さなバンドに見出され、それによって処理すべきデータ量が大きく減るので、海軍レーダーは(環境の構造によって)事実上1次元である。
路上走行車、例えば乗用車のより低い周波数でのレーダー(例えば、車両対インフラは63GHz、車両対車両は66GHz、クルーズコントロールは77GHz、衝突防止は79GHz)は、パルスレーダー構造、または、上記FMCW技術の何れかを使用して、種々の距離にあるオブジェクトを識別する。これらのレーダーは、形状からオブジェクトの識別が可能な、充分な解像度を持った映像を生成しない。これらのレーダーシステムは、かなりの水平解像度を提供するが、しかし通常、垂直解像度は非常に限られている。
垂直および水平の両方向に高い解像度を提供する、赤外カメラがある。このようなカメラは、ピクセル受信器によって吸収された全体のパワー(コヒーレントでない)に敏感であり、レーダーシステムの場合、距離情報を得ることはできない。さらに、自動車用の殆どのIRカメラシステムは、パッシブである。信号を送出せず、シナリオまたはオブジェクト自身の発光が信号源として使用される。従って、IRカメラシステムは、コントラストの低いシナリオ(暖かいバックグラウンドの前に立っている人間)に対処する必要があり、システムを盲目にする強いIR源(ランプ、太陽)に敏感である。さらに、雨や雪はシステムの効率を実質的に減少させる。
室外応用のためのサブミリ波レーダーは、特定の、はっきりした周波数バンド内で動作しなければならない。これらのバンドは、大気減衰が無い(または少なくとも非常に弱い)ことによって特徴付けられる。0から100GHzの完全な周波数レンジを使用することが可能であり、且つ、法的規制のみが周波数最適化を制限するマイクロ波レーダー応用とは対照的に、100GHzより上のレーダーは、利用可能な周波数レンジの少し(20%)の部分のみを使用することができる。典型的なバンド(同様に、“大気ウインドウ”として言及される)は、ピーク減衰の増加を伴って、100GHz、220GHz、350GHz、450GHz520GHz、600GHz、810GHz、1.000THz、1.650THzおよび2.400THzの前後に位置している。これらのウインドウは、よく知られている。
WO2006/078570(HOLT)の段落0063−0069が、被写体の少なくとも一部を、先ず電磁波で、次に約100MHz以上約2THz以下の周波数を有する異なる周波数範囲で照射することを含む、被写体の観察方法を提供していることは、既知である。
映像における相違の観察を強化するために、それぞれの映像に、映像パターン、強度レベルまたは色のような、識別特徴を割当てても良いことが記載されている。映像は、カラー映像から生成されたグレースケール映像である。記載された事例では、これらの映像におけるピクセルはそれぞれ、赤、緑および青の色が割当てられていた。これが、これらの映像の一般的な強度レベルが相違することの、少なくとも一部分の理由である。
さらに、観察者が映像間の相違を識別するのを助けるために、異なる周波数範囲に対するデータから生成された異なる映像を、観察者に対して、連続的にあるいは同時に表示することができることが記載されている。このような相違のエリアは、オブジェクトを含み得る映像異常に対応し得る。観察者の注意をその異常に向けることによって、オブジェクトの識別を速めることができる。
本発明の目的は、サブミリ波レーダーシステムのための新規な信号処理装置、このようなレーダーシステム、ロボット、または、ロボット車両またはこのシステムを有する路上走行車を提供すること、且つ、対応する方法およびコンピュータプログラムを提供することである。
第1の観点によれば、本発明は、視野を有するサブミリ波アクティブレーダーシステムのための信号処理装置において、前記信号処理装置は、前記視野から受信し且つ前記レーダーシステムによってダウンコンバートされた信号を処理するように構成され、前記ダウンコンバート信号は、時変の振幅と、視野内の所定のピクセルにおけるコンテンツに依存する周期的成分を有する位相成分とを有する、視野内の所定のピクセルに対応し、さらに、前記信号処理装置は、前記周期的成分からコンテンツに関する情報を識別するように構成されている、信号処理装置を提供する。
振幅のみよりも位相を使用することによって、ダウンコンバート信号中に追加の情報が存在する。この情報は、ノイズと区別することができないとして、従来の非コヒーレントなしでは失われていた。位相は、振幅のみよりも、オブジェクト、バックグラウンドおよび大気条件のようなコンテンツにおける変化に、より敏感である。位相情報は、コンテンツに特有の少なくとも3つのタイプの情報を含むことができる、周期的成分の保持を可能とする。第1に、少数のサブミリ波長に渡るコンテンツの擬似的な周期的変化の形におけるコンテンのツフラターは、例えば風の中の植物の動き或いはある構造のその他の強制振動である微小な動きのように、あるコンテンツに特有であり得る。第2に、サブミリ定常波における変化は、ノイズとして放棄される代わりに、今ではコンテンツにおける相違によって生じるスペックルの相違を決定するために、充分に検出することができる。第3に、視野内のオブジェクト上の薄層は、もしその層が複数の半波長のオーダーの厚さを有する場合、サブミリ波放射の受信された反射に影響を与える干渉縞を生成することができる。一例は、道路上の氷の層である。この追加の情報は、日光、霧または降雨による妨害に対して影響を受けてはいけない、例えば自動車用レーダーを含む種々の応用に対して、サブミリ波レーダーをより実用的にする。
本発明の実施例は追加の特徴を有することができ、このような追加の特徴の幾つかが従属項に記載され、以下に詳細に説明される。
幾つかの実施例では、ダウンコンバート信号は、IFスペクトルを有するIF信号であっても良く、さらに、信号処理装置は、IFスペクトルの2個またはそれ以上の領域を別個に分析するように構成される。これは、例えば、好ましくはスペクトルのある部分では現れその他の部分では現れない、コンテンツの識別を可能とする。
信号処理装置は、映像解析において既知の何らかの技術を実行するように構成することができる。このような技術には、デジタルフィルタの応用、例えば、平滑化フィルタまたは分割化、輪郭発生、コントラストジャンプ、および/またはライン、エッジ、コーナーの識別のために使用されるフィルタであって、輪郭、領域等を平滑化するために形態学的演算子を使用するように適応されたフィルタが含まれる。信号処理装置は、受信映像の一部分をクラスター化し、それによって、共通の特徴を持った領域を識別し、例えば、それによってオブジェクトを識別するように構成されていても良い。これは、例えば、検出された特徴を、所定のオブジェクトまたはオブジェクトクラスの特徴を格納したライブラリと比較することを含むことができる。
信号処理装置は、受信信号の一部分を受信ビーム位置の対応するセットに関連させるための部分を有することができる。これは、関連する信号を、シーンを表すフレームにグループ化させることを可能とする。これは、例えば、1、2または3次元フレーム化であり得る。
信号処理装置は、フレーム化されたデータに演算子(オペレータ)を適用する部分を有することができる。この演算子は、ある所定の瞬間におけるシーン内の振幅および/またはIF周波数の局所的な変化を抽出するための演算子であっても良い。
この演算子は、フレーム化されたデータ中の空間的または時間的な特徴を抽出するための演算子であっても良い。この演算子は、サブミリ波周波数または振幅に依存性を有する特性、または、放射方向、受信器の焦点位置、または偏光、或いはこれらの全ての組合せの何れかに対する依存性を備える特性を抽出するための演算子であっても良い。
他の観点では、視野に放射する送信器と、視野から信号を受信する受信器と、復調器であって、送信器に位相ロックされたローカル発振器信号を使用する復調器と、を有するサブミリ波レーダーシステムであって、さらにこのシステムは上述の信号処理装置を有する、サブミリ波レーダーシステムが提供される。
他の観点では、送信器を用い、さらに、視野から信号を受信し且つ処理するアクティブレーダーシステムを用いるための対応方法、および、信号を処理するための対応方法が提供される。
全ての追加の構成は共に組み合わせることができ、全ての観点と組み合わせることができる。他の利点は、当業者、特に他の従来技術の当業者にとって明らかであろう。本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの変形および修正が可能である。従って、本発明の形は、説明的でのみあり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本発明に係るレーダーシステムの実施例の概略図。 本発明に係るレーダーシステムの実施例の概略図。 実施例に係るステップを示す図。 他の実施例のシステム図。 図1,2,3または4の実施例またはその他の実施例で使用するための周波数およびタイミング制御の概略図。 図1,2,3または4の実施例またはその他の実施例で使用するための周波数およびタイミング制御の概略図。 図1,2,3または4の実施例またはその他の実施例で使用するための周波数およびタイミング制御の概略図。 同じシステム実施例に対するRF発生器部の概略図。 同じシステム実施例に対するLO発生器部の概略図。 同じシステム実施例に対するIF処理部の概略図。 同じシステム実施例に対するIF処理部の概略図。 同じシステム実施例に対する映像処理部の概略図。 同じシステム実施例に対する映像処理部の概略図。 オフラインIF処理および映像処理を使用する代替的実施例の概略図。 レーダーシステムの実施例のためのビーム成形および走査部の概略図。 レーダーシステムの実施例のためのビーム成形および走査部の概略図。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 どのようにしてコンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトルにおいて検出可能な情報を提供することができるかを示す、グラフ。 受信したRF信号における検出可能な干渉効果を示すグラフ。 受信したRF信号における検出可能な干渉効果を示すグラフ。
本発明を、ある実施例に関して、且つ、いくらかの図面を参照して説明するが、しかし本発明はこれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は概略的で限定的なものではない。図面において、要素の幾つかのサイズは説明目的のために誇張されており、寸法どおりではない。本明細書と特許請求の範囲において“備える”との用語が使用されているが、これは、その他の部材または段階を排除するものではない。単数名詞として記載された限定または非限定項目が使用された場合、特別に指定されている場合以外はその名詞の複数のものを含む。
特許請求の範囲で使用された用語“備える”は、それ以降で列挙された手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、その他の部材または段階を排除しない。従って、表現“手段AおよびBを備える装置”は、部品AおよびBのみからなる装置に限定されるべきではない。これは、本願発明に関して、その装置に関連する部品はAおよびBであることを意味している。
さらに、明細書および特許請求の範囲における用語、第1、第2、第3等は、類似の部材間を区別するために使用され、必ずしも順序または時間順を記載するものではない。このように使用された用語は適正な環境下で相互に交換可能であり、ここに記載した発明の実施例は、ここに記載し或いは図示したものとは別の順序で動作可能であることを理解すべきである。
さらに、明細書および特許請求の範囲における用語、上部、下部、上方、下方等は説明目的のために使用され、必ずしも相互の位置を記載するものではない。このように使用された用語は、適正な環境下で相互に交換可能である。ここに記載した発明の実施例は、ここに記載し或いは図示したものとは別の配置で動作可能であることを、理解すべきである。
請求の範囲で使用された用語“備える”は、それ以降にリストされた手段に限定されるとして解釈されるべきではないことを注意すべきである。これは、他の要素またはステップを排除しない。従って、記述された構成、整数、ステップまたは部品の存在を特定するものとして解釈されるべきであり、1個のまたはそれ以上のその他の構成、整数、ステップまたは部品、またはそれらのグループの存在を排除するものではない。従って、表現“手段AおよびBを備えるデバイス”の範囲は、部品AおよびBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。本発明に関して、このデバイスに関係のみする成分がAおよびBであることを意味する。
この明細書を通して、“一実施例”或いは“ある実施例”との言及は、実施例に関連して記載されるある構成、構造または特徴が、本発明の少なくともひとつの実施例に含まれていることを意味する。従って、この明細書全体の種々の場所における語句、“一実施例において”或いは“ある実施例において”の出現は、必ずしも全てが同じ実施例に言及するものでなくても、或いは、そうであっても良い。さらに、ある構成、構造または特徴は、1またはそれ以上の実施例において、当業者にとってこの開示から明らかであるように、全ての適切な方法で組み合わせることができる。
同様に、本発明の典型的な実施例の記載において、本発明の種々の構成は、しばしば1つの実施例、図面またはその説明において、開示を合理化するために、且つ、一またはそれ以上の種々の発明的観点の理解を助けるために、共にグループ化される。この開示の方法は、しかしながら、特許請求の範囲に記載した発明が各請求項に明示的に記載したものより多くの構成を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明的観点は、上述の1個の開示された実施例の全ての構成よりも少ないものに存在している。従って、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、各請求項をそれ自身でこの発明の別の実施例として、ここに置いて明示的にこの詳細な説明に組み込まれる。
さらに、ここに記載した幾つかの実施例は、他の実施例に含まれる幾つかの構成を含むが他の実施例に含まれる他の構成を含まない一方で、異なる実施例の構成の組合せは本発明の範囲内であると意図され、且つ、当業者によって理解されるように、異なる実施例を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求された全ての実施例は、全ての組合せにおいて使用しうる。
ここに提示された記載において、多くの具体的な詳細が述べられている。しかしながら、本発明の実施例はこれらの具体的な詳細が無くても実施することができることを、理解すべきである。他の事例において、周知の方法、構造および技術は、この記載の理解を妨げないように、詳細には示されていない。
本発明の幾つかの実施例の詳細な説明によって、本発明を説明する。本発明の他の実施例を、本発明の技術的な開示から離れることなく、当業者の知識に基づいて構成できることは明らかであり、本発明は添付の請求の範囲の用語によってのみ限定される。
“アクティブ”は、シーンを照射するために放射線を放出し、シーンから反射された放射線を検出する全てのレーダーシステムを意味する。受信が放射器に対して位相ロックされていると、放射器は、放射を検出することによって、原理的に受信部に対して独立していることができる。これは“パッシブ”と対照的である。パッシブとは、ターゲット(人間が作ったもの或いはそうでないものの何れか)を照射するためのブロードバンドソース(光源)またはターゲットそれ自身の放射の何れかを用いる、全ての放射性システムを意味する。このようなシステムは、当業者にとって、“パッシブ”レーダーと見做される。
サブミリレーダーは、一般的に、約100GHz以上の周波数を使用する全てのレーダーを含むものと意図され、そしてその事例は、300GHz以上で、テラヘルツレーダーとしても知られている3THz以下の狭い範囲内で説明される。このようなレーダーは、例えば、車両のためのシステム、および例えば周知のように、建築物におけるセキュリティまたは監視システムに応用することができる。
コンテンツは、視野内の全てのものとして定義され、例えば、自動車用の応用に対しては自動車や歩行者のような検出すべきオブジェクト、さらに、少なくとも自動車用の応用に対してはノイズとして見做され且つ識別の一部分として映像から消去されうる植物や建物のような背景またははっきりしないオブジェクトを含む。コンテンツは、さらに、雨、霧、雪または日光のような、外部照射および受信器に戻ってくる反射の何れかまたは両方に影響する、大気効果を含む。
“車両”は、広く解釈されるべきであり、全てのロボット、ロボット車両、自動誘導車両、路上走行車、船舶、飛行機等に言及することができる。
実施例の紹介:挑戦およびシステム考察
屋外応用に対するサブミリ波(以降、サブミリ)レーダーは、他のレーダーシステムとは異なって、複雑なバックグラウンドの前面の複雑なオブジェクトに直面している。従って、過度のバンド幅(帯域)と電力(パワー)要求を伴うことなく、レーダーの識別および分類能力を強化するために、新しい技術が必要とされている。
RFバンド幅を減少させることは、ノイズパフォーマンスを向上させるための1つの有用な方法である。古典的なドップラーおよびFMCWレーダーシステムでは、それぞれの往復距離分解能に要求される速度に達するために、非常に大きなRFバンド幅を必要とする。受容できる信号対ノイズ比に達する唯一の可能な方法は、集積化である。その結果、単位時間に対してほんの少しの回数の測定のみが実行可能である。通常、この数は1D走査レーダーに対して充分である。必要なピクセル測定の数によって、これらの古典的な方法に基づいて、映像レーダーシステムを実現することはできない。必要とされるRFバンド幅を減少させ、他の方法で分類情報を提供する方法があるはずである。このバンド幅の減少は、より良い信号対ノイズ比を生じる。この信号対ノイズ比の増加は、LOパワー要求を低下させるために、または、単位時間当たりに測定されるピクセル(フレーム)の数を増加させるために、使用することができる。
LOパワーは、今日の、サブミリ波映像レーダーを製作する上での他の制限因子であり、所定の距離のシナリオを照射するためのRFパワーの利用可能性である。現在のところ、10μWの出力は、導波路ブロックを利用した最高水準である。手ごろなレーダーシステムに対して、10mWの出力を達成しなければならない。広帯域照射要求を追加することによって、放射パワー目標は、達成することがさらに困難となる。手ごろな出力に到達する方法は、広帯域源から離れて、多重周波数源を構築することである。この多重周波数源は、要求される周波数帯で要求されるパワーを放射するが、しかし、大気ウインドウ間における周波数範囲において高い出力レベルを生成する能力を持つ必要はない。
アクティブなサブミリ波レーダーは通常、鏡面反射の角度かそれに近い角度において、反射面に敏感であるため、サブミリ波周波数で“見える”オブジェクトの形状は、IRカメラを使用して獲得される映像と本質的に異なっている。この映像は、同様に、パッシブなミリ波レーダーを屋外条件下で使用して獲得した映像と異なっている。この条件下では、基本的に冷たい空は、暖かい地面に対して大きな映像コントラストを提供する。200GHz以上の周波数でパッシブサブミリ波レーダーを使用することにより、空の温度は地面の温度に近いことが見出され、その結果として、屋内条件に向って映像コントラストを減少させる。アクティブサブミリ波レーダーにおける顔の映像は、主に、鼻先、額およびあご先の明るい反射のみからなる。このレーダーシステムは照射を提供するので、屋内および屋外条件を考慮する必要性は無い。顔の残りの部分は、それらが鏡面反射の角度領域内にないので、映像には貢献しないが、光学的周波数とは異なって、非常に少ない拡散反射がある。映像に対する拡散反射の貢献を制限する別の因子は、受信器のダイナミックレンジが制限されていることである。従って、オブジェクトの形状は、光学映像における認識可能な形状に対応せず、そのため、オブジェクトを分類するために別のレベルの情報の追加が必要である。顔の殆ど全ての点が同じペースで動くであろうと言うことを知ると、信号の絶対レベルが低くても、RFスペックルパターン周波数スペクトルは同じとなるであろう。
オブジェクト分類ライブラリは識別プロセスの有用な部分であり得る。身近な多重周波数レーダーシステムと共に、オブジェクト挙動のライブラリは事前に設定されねばならない。オブジェクトの具体的な挙動(RF周波数に関して)のみならず、種々のオブジェクトクラスを識別するために、低周波数相関長(IFバンドにおいて測定されたもの)も同様にリストアップすることができる。
さらに、オブジェクト分類ライブラリは、更に、オブジェクトの空間および時間的相関関数に関する情報を含むことができる。あるオブジェクトは、結像装置上で典型的なサイズおよび形状(空間的相関長)と典型的な可視時間(相関時間)を、オブジェクトの部分の互いに関する相対運動(オブジェクト自動相関スペクトル)と同様に、有する。
従来のレーザシステムとは反対に、サブミリ波自動車レーダーは結像装置として使用することができる。従って、新しい一連の概念を展開することができる:映像レーダーは、各ピクセルにおいて、高いピクセル再現率と小さな集積化時間を要する。従って且つより小さな波長に基づいて得られる高い空間分解能と共に、オブジェクトとバックグラウンドの小さな動きによって生じたスペックルシグニチャーは、IF信号の振幅情報において可視となる。それらは、位相情報が維持され検出されない限り、ノイズとして現れる。幾つかの条件は次の通りである。
・空間分解能は、移動するオブジェクト(葉、衣類、車両部分)のオーダーでなければならない。
・波長は、このような複雑なオブジェクトの動きが位相情報の大きな変化を引起すように、充分小さくなければならない。
この両方の条件は、他のタイプのレーダーとは異なって、サブミリ波レーダーで満足される。数センチメートルの空間分解能は、個々の葉、衣類部分および車両部分の識別を可能とする。通常、ミリメートルよりも小さい波長は、結果としてミリメートルのほんの一部分のオーダーの小さな動きをもたらし、シフト定常波率、即ち、古典的なスペックルパターンとして、見えるようになる。
スペックルパターンのようなこれらの周期的成分を除去する代わりに、それらの周波数コンテンツを評価することができる。調査中のオブジェクトの微視的な動きの典型的な周波数範囲に起因して、オブジェクトクラスからオブジェクトクラスに顕著なマイクロ運動スペクトルの利用可能性につながる。
木の葉は、通常、スペックル周波数10sから100Hzにつながる、数mm/sの振動スペクトルを有している。衣類は、結果的にサブHzスペクトルとなる、2、3mm/sの振動スペクトルを有している。従来のレーダーシステムは数10Hzのフレームレートを有し、これらのスペックルパターンを見ることはできない。時間ウインドウに渡って選択されたピクセル上で一連の測定を行うことによって、周波数分解能を数kHzに上げることができる。数ピクセルの情報を取り、且つ、FFT解析またはその他の変換を実行することによって、自動車の事例に対する植物の影響のような、ある雑音の除去が可能となる。
以下にさらに詳細に説明するように、さらに多くが実行される。
相関解析は、単一周波数レーダーによって得られる2D映像に、更に2つの次元を追加することができる。
全ての所定のピクセルの相関時間を“過去に戻って”計算することができ、且つ、全ての隣接するピクセルの相関長を“同時に”計算することができる。この方法の全出力は、如何なるピクセルであってもそのピクセルの相関を、以前の時間にとられたその他のピクセルに関して計算することにより、明らかとなる。この“全”相関は、時間および空間に似た特性、例えば、シナリオフレームに対するオブジェクト移動、オブジェクトの他の部分に対するオブジェクト部分の移動、オブジェクトのサイズおよび持続情報、を含む。このような特性の全ては、コンテンツに特有であり、種々のタイプのオブジェクトの識別および分類を可能とする。
結像システムに対して、フレーム速度は、バックグラウンドおよびオブジェクト両者の相関時間がフレーム速度よりも遅くなるように、充分早く選択されるべきである。それぞれのピクセルポイントの“時間をさかのぼった”自身との相関(自動相関時間)の計算は、コントラスト強調映像を生じる。このオブジェクトは、通常、風によって生じる小さな動きによって、バックグラウンドにおいて、植物よりも長い相関時間を有している。オブジェクト(例えば、歩行者)は、通常、道路施設の一片、または、例えば広告に使用される人間の厚紙映像よりも遥かに速い、相関時間を有している。
同じ測定情報を取り且つ隣接するピクセルに対するピクセルの相関を計算することによって、オブジェクトの特定のクラスに対する典型的な相関長が得られる。植物は小さな動きによって生じた、比較可能な小さな相関長を有し、人間はその人間のサイズによって決まるより長い相関長を有し、道路施設は、そのサイズによって往々にして最も長い相関長を有する。
次に、時間および空間の相関を計算すると、新しい2つの次元が測定データに追加された。即ち、オブジェクトのサイズのみならず、レーダーシステムに対するオブジェクトの持続時間および典型的な動きを、検出ツールとして使用できる。
これらの“フル”相関スペクトルは更に、オブジェクトが連続したフレームのセットにおいて可視であるピクセルに関連する、明白な相関ピークによって、速度情報(レーダーシステムに対して垂直)を含んでいる。レーダービームの方向における速度情報は、フレームを以前のものと相関させる場合、変位またはターゲットのサイズを同定することによって、種々の方法で得ることができる。
複数のサブミリ波バンドの使用
使用可能なサブミリ波バンド間の周波数距離が比較的大きいために、所定の障害物のレーダー断面は、その障害物の材料の物理的特性に原因して、異なる周波数バンドでは異なったものとなる。人間の体はほぼ同じようにして全てのサブミリ波を反射する。即ち、人間の皮膚によって生じる信号損失は、放射周波数に依存しない殆ど完全なミラーとして作用する。0.5mm、・・・、1mmの厚さを有する通常の木の葉は、ファブリ−ペロー共鳴効果を示し、レーダービームに垂直に投影された木の葉の厚さが、材料中での波長の半分の奇数倍である場合、相殺的干渉を引起す結果となる。他の周波数では、同じ木の葉は、材料中での波長の半分の偶数倍に一致する厚さを有しており、その結果、建設的干渉を引起す。相殺的干渉は結果的にレーダーの断面を0とし、従って木の葉を見えなくする。建設的干渉周波数はレーダー断面を最大にする。
これらの特性を有効に利用するために、多重周波数レーダーシステムを使用し、獲得した映像をコヒーレントに評価することができる。あるバンド内で得られたレーダー映像のそれぞれについて1個以上(例えば3個)の周波数バンドを選択することは、予め決定された“THzカラー”の属性である。その後に、特定のシナリオ(情景)からある時間において得られた全ての映像(“THzカラーを抽出する”)を重ね合わせてフォールスカラー(偽色)映像を形成する。これによって、レーダーリスポンスの周波数依存性が、映像処理により適したカラー映像へ変換される。カラーに関係する周波数バンドは、結果として人間の身体から“白色”映像を生じ、葉っぱから“カラフルな”エコーを生じる。これは、草の葉がより高い周波数を有し、樹木の葉に比べて最初に相殺的干渉が起こるためである。樹木の葉は、次に、針葉樹の葉よりも周波数が高い。ボール紙の壁と交通標識ははっきりした非白色を有し、これは映像の大部分で高速で変わらない(水面上の油のスポットに良く似ている)。舗道上の黒い氷の層も、典型色のゆっくりと変化する外観を有している。反対に、雪は完全に黒色である。これは、雪面上の多重反射が、入射する放射線を完全に吸収するからである。
そのため、フォールスカラーサブミリ波およびTHz映像化は、オブジェクトの物理的表面構造に基づいてオブジェクトを判別する働きをする。全周波数バンドにおいて得られた合計の信号振幅は、最終的にレーダー断面を象徴する。このデータセットにおいて、判別パラメータを“THzカラー”に基づいてマップすることができる。例えば、3個の周波数バンド映像を取ることができる。“赤”のカラーエッセンスは350GHzで取得され、“緑”は450GHzで取得され、更に、“青”は500GHzで取得される。人間のエコーは、全周波数バンドに共通である。葉と低木のエコーは強く周波数に依存する。これらの3つのカラー映像を重ね合わせることにより、結果としてフォールスカラー映像を生成する。ここで、人間のエコーは“白色”であり、葉のエコーは色の着いたものとなる。それ故、コヒーレントレーダーシステムにおいて、多重バンド結像を、コントラストを強化し且つオブジェクトの分類を可能とするために使用することができる。
サブミリ波映像レーダーは、映像化された部分の全てが使用した放射線の波長よりも遥かに大きい情景(シナリオ)を処理する。これは、従来のレーダーとは反対であって、従来のレーダーでは典型的な映像化オブジェクトは幾つかの波長の典型的な大きさを有し、従って、直接的な動きのみが位相において測定可能な変化を生じる。その結果、サブミリ波レーダー映像は、映像化オブジェクトの表面特性の細部を、従来のレーダーよりも多く含んでいる。自然オブジェクトの表面上では、数ミリメートルの特徴的な長さを有する典型的な構造がしばしば見られる。これは、樹皮、葉、衣類、および交通標識上の反射面を含んでいる。従って、障害物上のある点の遭遇したレーダー断面は、マイクロ波レーダー映像に比べて狭帯域路において、使用したレーダー映像により強く依存する。この情報を抽出し取り扱うことは、それをオブジェクトまたは障害物の検出と分類に使用することができること、を意味している。
上述のように、レーダー信号からの最大の情報は、空間スペクトル(オブジェクトがどの程度大きく、どの程度小さいか)、低周波数スペクトル(オブジェクトの小部分がオブジェクトに対してどのぐらい速く動くか)、IF周波数スペクトル(オブジェクト全体がレーダーシステムに対してどの程度速く動くか)および色、RF周波数スペクトル(オブジェクトの反射率がTHz周波数に伴ってどのように変化するか)、のような周期的成分における変動を用いることによって、抽出することができる。
この情報と以前に取得したフレームを考慮することにより、レーダーシステムに対して高速のオブジェクト判別ツールが提供される。このようなツールによって、システムノイズに最もネガティブな影響を与える、例えばIF周波数スペクトルを使用して、ドップラーレーダーに匹敵する情報を備える連続波レーダーに到達することを、避けることができる。
反射を受信する全てのコヒーレントレーダーシステムは、そのノイズ等価反射率差(NERD)によって制限される。このNERDは、伝統的なレーダーシステムにおいて使用されるノイズ等価パワーよりも、この周波数レンジでより適している。これよりも小さな反射率差を検出することはできない。NERDを減少させることは実際のレーダーシステムを強化するために極めて重要である。
NERDを強化するために、2つの基本的に異なる戦略がある。
1:所定の反射率差において獲得された測定信号の差を増加させること。単一の周波数上で動作させる代わりに、周波数バンドセット上で動作させることにより、所定の反射率差で受信した信号の差が、反射率が周波数依存性であると仮定すると、強化される。
2:測定システムのノイズを減少すること。単一の周波数上で動作させる代わりに、一組の周波数バンド上で動作させることにより、その結果として獲得したデータ量が二倍となり、従って、測定データ量を二倍以上に集積化し、ノイズを実質的に減少させて、オブジェクトの識別を可能とする。これは、ノイズはより集積化されることによってキャンセルされる傾向があるためである。
測定システムのノイズのみならず、雨および雪によって生じたノイズを考慮することによって、周波数セットでの測定によってこのノイズの減少が可能となる。即ち、測定において相関する部分はオブジェクトのみである。雨による散乱および吸収は、強くランダムに周波数依存性である。
周波数バンドのセット上で動作させることは、スペックル効果を実質的に取り除く。スペックルは、送信器とオブジェクトと受信器間の定常波によって生じる、全てのコヒーレントレーダーシステムの悪名の高い副産物である。スペックルフィルタリングは、通常、信号対ノイズ比と測定信号のダイナミックスに、相当な損失を与える。多重レーダーシステムは、充分に大きな数の周波数で動作する場合、如何なるスペックルフィルタをも必要としない。
同じサブミリ波バンド内の多重設定の使用
フォールスカラー成分は、同様に、例えば、ピクセル解像度、集積時間および異なる設定で取られた映像および比較映像のIFビン設定を変化させることによって、得ることができる。これから、より正確なドップラー情報が、映像中の数点において入手可能である。より高い分解能で実施された等高線の抽出の後、この速度情報は高分解能等高線で区切られたオブジェクト全体に割り振られる。
システム部品:Txユニット
多色THzレーダーは複数セットの周波数乗算器または、周波数バンドセット内でオブジェクト照射のために大きな出力パワーを生成することができる、1個の乗算器セットを必要とする。自動車応用のために適切な周波数バンドは、水の吸収が受け入れ可能な程度に低い大気ウインドウによって決定された、350GHz、450GHzおよび515GHzである。連続波送信器は、位相ロックが使用された場合、より実用的である。何故なら、如何なるパルス応答もSAR技術を用いて得られたCW結果に基づいて計算することができる。さらに、パルス化された送信器データから位相情報を回収することは、サブミリ波周波数において技術的に遥かに困難である。
システム部品:Rxユニット
多色THzレーダーの受信器側に対して、分数調波のミキサーステージが適切である。必要なLO周波数は、典型的に、2または3倍だけ低く、ミキサーをポンプするために利用できるパワーはより簡単に生成することができる。異なるカラーチャンネルの分離は、マーチンパプレット(Martin−Puplett)型ダイプレクサステージを、光学ビームスプリッタとして用いて行うことができる。ここで、信号の30%のみが測定信号を生成するために使用できる、吸収力のあるソルーションに比べて、入力多重周波数信号の殆ど80%を使用することができる。LOおよびFR部を3個の独立したユニットに分割することによって、全体のTHz放射パワーは3倍だけ増加し、これによって、システムの信号対ノイズを3の平方根、即ち、1.7だけ増加させる。
その他のソルーションは、それぞれのRFバンドに対するそれぞれのRFソース信号上での単一のサイドバンドアップコンバータに基づいて、サイドバンド生成器を使用することである。それぞれのRFバンドに対して異なるサイドバンド変位を用いると、従来のミキサーのみが必要であり、種々のRFバンドは周波数多重化によってIF信号中に含まれる。
ここでも、Rxユニットは周波数乗算器の複数のセットまたは、周波数バンドの1セット内でオブジェクト照射のためのかなりの出力パワーを発生することができる、単一の乗算器セットを必要とする。分数調波ミックスのための適切な周波数バンドは、175GHz、225GHzおよび257.5GHzである。これらの周波数バンドの何れも、互いに高調波ではなく、そのためRFクロストークは問題とはならない。
2D映像レーダーシステムは、利用可能な瞬間的IFバンド幅における非常に難しい要求を有しているので、信号−ノイズ比は問題となる。(RFバンド幅における制約はもっと緩やかである。)THz周波数セットにおいての同時測定によってのみ、これは満足することができ、それによって、バンド幅増加変調技術の使用を回避することができる。一方、周波数の1セットでの同時測定は、得られた直交データ量を乗算し、システムのノイズをさらに減少させる。
オブジェクトの反射率のRF周波数依存性を考慮すると、従来のレーザシステムよりも多くの情報が得られるので、更なる分類パワーが発生する。典型的なRF周波数スペクトルのライブラリを使用することによって、レーダーオブジェクトの分類が可能となる。特に、植物(葉っぱ)はTHz波長のオーダーの厚さを有している。従って、それらのエコーは周波数においてランダムとなる。数個の周波数チャンネル間の如何なる相関分析も、葉っぱによる全てのエコーを効果的に除去する。
コヒーレントベースとしてのみオブジェクト情報を有する数個の独立した周波数チャンネルによって、雨および雪に対する更なる抵抗を得ることができる。如何なる大気追加のノイズおよび雨/雪ノイズも、ランダム反射(時間および周波数において)として動作する。従って、周波数チャンネル対の間の相関関数は、レーダー信号から雪および雨を効果的に除去する。伝統的な(民生用の)レーダーシステムは、法的規制によって非常に制限されたバンド幅を有している。これは、サブミリ波レーダーには適用されない。完全な周波数空間を、ノイズを減少させるために使用することができる。
全てのコヒーレントレーダーシステムにおいて、送信器とオブジェクトと受信アンテナ間の定常波によって生じるスペックル効果を減少させることができる。この定常波パターンは極度に周波数依存性である。従って、数個の周波数チャンネルで操作することによって、全ての望ましくないスペックル効果を実質的に除去することができ、且つ、スペック除去フィルタを必要としなくなる。
図1および2:レーダーシステムの実施例の概略図
図1は、送信器および受信器部分10と、送信器に位相ロックされたコヒーレント復調器20とを含むシステムの一部分を示している。このシステムは、時変位相と、所定のピクセルに対してレーダーシステムの視野内のその点におけるコンテンツに依存する周期成分を含む振幅成分とを有する、ダウンコンバート信号を形成する。原則的に、この受信器および送信器は、たとえば、走査型或いはその他、1D、2Dまたは3D走査である、全てのタイプのものであり得る。そのレンジは、応用に適したどのようなレンジでも良く、従って、自動車用の応用では、100mレンジ或いはそれ以上が必要となる場合もあり、一方、医療用の走査または材料分析では数メートル或いは1メートル以下のレンジであり得る。位相ロックは種々の方法で実行でき、その幾つかの事例を以下で詳細に記載する。
信号処理部30は、ダウンコンバート信号中の位相および振幅情報からコンテンツに関する情報を識別することができる。信号処理は、オフライン或いはリアルタイムの如何なる方法でも、汎用プロセッサに対するソフトウエアにおいて、或いはそれぞれの応用に対するコスト、速度、パワー消費およびその他の範疇に適した、その他の従来技術において実行することができる。
図2は他の実施例を示し、この実施例は図1に類似しているが、図1のそれぞれの部分の一実施方法をさらに詳細に示している。送信器はオブジェクト70を照射し、その反射は受信器90によって受信される。RF1,RF2およびRF3として示される異なるサブミリ波バンドで、複数の狭帯域走査が実施される。復調器110は、送信器および復調器に信号を供給するローカル発振器100によって、送信器に位相ロックされている。復調器は種々のバンドを選択的に復調し、例えば、連続するラインまたはコラムまたはフレームにおいて並列ストリームとして或いは直列に、中間周波数IF信号を出力することができる。
スペクトル分析器150は、全IFバンドの選択された部分に対するそれぞれのピクセルに対して、多くのスペクトルを出力する。このスペクトルは、周波数変換またはその他の変換を受けても良い。スペクトルに対して、3個の“ビン”が示されており、そこには数千または数万のピクセルが存在し得るので、明確化のためにその内の数個が示されている。スペクトル150は、RFバンド1とIFバンド1のためである。スペクトル160は、RFバンド1とIFバンド2のためである。スペクトル170は、RFバンド2とIFバンド1のためであり、以下同様である。
部分180はこれらのスペクトルを処理して、コンテンツの揺れ、スペックルパターンおよび表面層干渉効果によって生じる、コンテンツに特有の特徴を抽出する。複数の等高線マップの形状の未加工の結果が、記憶装置220に格納され、部分200によるオブジェクト検出および分類を受ける。これは、オブジェクトモデルライブラリ200に従って、それらの特徴または閾値を比較することができる。望ましいコンテンツオブジェクトは強化され、望ましくないノイズ(反射波)は縮小されあるいは取り除かれる。この結果として、映像230がコンテンツを示すようになる。
図3は、視野FOVを走査するための走査ステップ240から始まる、他の実施例の動作ステップを示す。次に、受信された信号はステップ250において、コヒーレントに復調される。ステップ260において、ダウンコンバート信号は、時間ドメインから変換されて周波数または類似のスペクトルを生成し、周期成分における変化を強調する。ステップ270において、コンテンツに特有の特徴は、例えば、種々のタイプの相関によって抽出される。オブジェクトは、ステップ290においてモデルと比較することによって分類され、その特徴および分類は、ステップ300において出力され、全ての目的のために使用される。幾つかの事例としては、例えば、映像出力、警報、運転者が車両を制御することを支援する制御信号がある。
図4:他の実施例に係るシステム図
図4は、トップラインに伝送チェーンを有するサブミリ波システムを示す。これは、RF発生器310を含み、この発生器は、異なるサブミリ波バンドに対して11−14GHzオーダーの種々の異なる発振周波数を受信し、送信アンテナ315を駆動するために350から515GHzの駆動信号を出力するように構成されている。送信アンテナ315は、例えばホーンアンテナか、または、当業者にとって既知である他のアンテナであっても良い。部分320は、視野をカバーするように伝送ビームを方向付けし且つ走査する。原則として、送信または受信ビームは、“ステアリング”、即ち、走査されない広角ビームとすることができる。
部分340は受信ビームをFOV上で成形し且つ走査する。受信アンテナ335は、350から515GHzで受信した信号をダウンコンバートし、これをミキサー345に供給する。このミキサーは分数調波ミキサーであっても良く、LO発生器部分330からのローカル発振信号が供給される。このローカル発振信号は、周波数およびタイミング制御部分325によって、送信器で使用される同じ発振信号に位相ロックされている。LO発生器部分は、11から14GHzの位相ロック発振信号をとり入れ、175から258GHzの周波数をミキサーに出力することができる。このミキサーは、0から11.8GHzの範囲のダウンコンバートIF信号を、IF処理部分350に出力することができる。これは、映像処理部分355に供給され、映像処理部分335はユーザインターフェースまたは更なる処理部分に信号を供給する。
図5,6および7:周波数およびタイミング制御の概略図
図5は、図1,2,3または4のシステムの実施例またはその他の実施例において使用するために、図4の周波数およびタイミング制御部分325をどのようにして実現するかの一例を示す。共通または基準発振信号が、安定源から部分M/N位相ロックループ375に供給され、このループ375は安定源の周波数M/Nの信号であって安定源と固定された位相関係にある信号を出力する。この出力は分岐され、一方の経路は他の位相ロックループM1/N1・380を介してRF発振部分310に向かい、11から14GHzの信号を供給する。他方の経路は、他の位相ロックループ発生器M2/N2・385を介してLO発生器330に向かい、11から14GHzの信号を供給する。この信号は、コヒーレントな復調を生じるために、共通源と送信器に供給される信号とに対して固定位相関係にある。LO発生器に向う信号は、僅かに異なった周波数であり、そのため、その相違がミキサー出力バンドを生じる。この相違は、値N1,M1,N2,M2の選択に依存し、その相違が変化するステップサイズは、NおよびMに依存する。図示しないレーダーシステムに対する制御コンピュータを、これらの値を設定しあるいは変更するために使用することができる。部分375は、LOおよびRF出力間の相違を変化させることができるステップを設定する。実際のRF周波数は、部分375と380の積であり、LOは部分375と385の積である。M、Nの選択は、周波数発生器の出力380と385間の周波数差を測ることができる、目盛りを与える。(このM/N*Foscは、PLLにおいて使用されている通常固定されているクオーツ基準に取って代わり、より柔軟でプログラム可能なRFバンド構造を可能とする。)310および330に伝送される周波数は、従って、
M*M1/(N*N1)*Fosc、および
M*M2/(N*N2)*Fosc
によって与えられる。
LOおよびRF源によって最終的に発生する周波数は、その結果、
M*M1/(N*N1)*Q*Fosc、および
M*M2/(N*N2)*Q*Fosc
によって決定される。
ここで、入力周波数はFoscであり、因子Qは周波数乗算器ブロックにおける固定されたハードウエア構造によって与えられる。
“位相チェック時間”は可能な限り同調していないので、因子M,N,M1,N1,M2,N2を一対の素数として選択することにより、非常に効率的な方法で位相ノイズを減らすことができる。さらに、これによって、同一のまたは分数調波周波数における信号のクロストークによって引起される、実態のない応答を避けることができる。この構成は特に興味深い。何故なら、これは、少なくとも幾つかの主要な周波数(上記PLLで使用される)がIF周波数として使用される場合に、大きなIF範囲にわたってIF相関を計算するために、有用である。主要周波数M*M1/(N*N1)*Fosc、M*M2/(N*N2)*Q*Fosc、M*M1/(N*N1)*Q*Fosc、M*M2/(N*N2)*FoscおよびM/N*Foscを解析IF領域の外に移動させることは、システムのダイナミックレンジを増加させる。
図6および7は、図5において使用するための位相ロックループ発生器380または385を実現するための代替的な実施例を示す。図6は位相ロックループを示す。周波数分割器400は入力の周波数を因子Nによって分割する。これは、位相比較器405の1入力に供給される。その出力は位相誤差であって、これは電圧制御発振器410を調整するために供給される。この出力は、周波数分割器415に供給されてその周波数を因子Mによって分割し、それを位相比較器の他の入力に供給する。このことは、VCO410の出力が安定で且つ入力信号の位相ロック周波数M/Nを有することを意味している。MとNは、それらが互いにロックしあわないように、共通の因子を持たず且つ互いに対して素数であるように選択されるべきである。個別の電力を異なる部分に対して供給し、多くの更新ポイントは時間上で等しく広がっているため、LOおよび送信器間で良い位相関係を維持するために、個別の電力を提供すべきである。
図7は、図6の位相ロックループと同様の構成を有するが、しかし、VCO410の後の周波数乗算器411が制御ループの一部である、代替例を示している。この乗算器は周波数を、一例では36である、因子Qだけ乗算する。乗算器の出力は全体の出力であり、この出力は、さらに、ファブリペローの“シャープ”バンドパスフィルタ412、電力検出器413、フィルタされた電力とフィルタされない電力との比を検出するための部分414およびその後に続くVCO416のチェーンを介して、位相比較器の第2の入力にフィードバックされる。第2の電力(パワー)検出器417は、バンドパスフィルタの前に電力を検出するために設けられている。全体の出力は、入力の周波数QM/Nにおける位相ロック信号である。これは、RFまたはLO発生器の幾つかの増倍ステージを、分数周波数発生器に実質的に組み込む。これは、乗算器によって導入された位相誤差を減らす助けをするが、より複雑な分数周波数発生器を製作するという犠牲を払う。図6または7において、値MおよびNは制御コンピュータによってプログラム可能であり、フレームを異なるRF周波数で連続的にとる必要がある、単一周波数レーダーを使用した場合、サブミリ波バンドのどの部分が現在の映像に使用されているかを決定する。真の多色システムに対して、数個の送信器および受信器が、異なるRF周波数で映像を同時に得るために、必要である。
MおよびNの実際の値は、特定のフレームの測定設定に対するレシピを受けて、レーダーシステムの制御コンピュータによってプログラム可能である。“単純な”位相ロックループ(PLL)構造が図6に見られる。位相比較器405から開始する。この位相比較器は、入力信号の位相差に比例した信号を生成する。従ってそれは、両方の入力における信号が同じ周波数を有し、従って一定の位相差を有する場合、一定電圧を生成する。両方の入力の周波数が異なる場合、入力における位相差は時間と共に直線的に増大する(または減少する)(実際に、位相差を、2πを法としてとった場合、結果として鋸歯状信号となる)。この位相検出器出力においてフィルタを使用することにより、高いチャンネルよりも、低い入力チャンネルが低い(高い)周波数を搬送している場合、位相検出器出力の平均値がポジティブ(ネガティブ)となることを確認する必要がある。この信号を電圧制御発振器(VCO)410に供給することにより、大きな(小さな)入力電圧は結果として高い(低い)周波数を生じ、その結果(分割器415を用いてプログラム可能な因子Mによって分割した後)、位相検出器405の低入力側において周波数が増加(減少)し、第1の場所で見出された周波数不一致が実質的に修正される。安定している場合、VCO410によって生成された周波数は、位相検出器405の上部入力において見出される周波数よりもM倍大きい。この上部の入力周波数は、それ自身で、周波数分割器400を用いてNによって分割された入力周波数Finによって与えられる。従って、PLLがロックされた、即ち、位相検出器の出力周波数がスムースでより長い時間に対して鋸歯列を含まないという仮定の下に、出力周波数はM/N*Finとなる。出力M/N*Finにおける周波数が、(今日の周波数分割器技術を用いて)数10GHzに制限される。サブミリ波周波数を作り出すために、このPLLの出力に因子Qによる固定乗算器チェーンを追加する必要がある。これによって、乗算器によって生成された位相ノイズが“ループ外”となり、従って、PLLフィルタによって減衰されることはない。
図7の代替的な方法は、実質的に、周波数ロックループ(FLL)である。何故なら、位相は直接的にロックされることはなく、周波数ロッキングを通して間接的にロックされるのみであるから。このようなFLL発生器構成を使用した場合、入力周波数と出力周波数との間の位相関係は、長い時間にわたって、ゆっくりと滑ることに注意すべきである。従って、基準チャンネルを用意する必要があり、ダウンコンバータステージを二重にする必要がある。その結果、基準位相と測定位相が入手可能となり、その差がターゲットへの位相遅延を生成する。ここで、VCO410の出力は、乗算器411において因子Qだけ乗算される。この出力信号は、興味のあるRF周波数の間隔の外に中心を有する、シャープなバンドパスフィルタを使用して分析することができる。電力検出器417を用いて、シャープなバンドパスフィルタからの信号を全体の出力と比較すると、“シャープ”と“ワイド”即ちフィルタされていない出力間の比は、RF周波数の増加と共に増加する制御電圧を生成する。この周波数依存電圧は、第2のVCO414に配送され、そこで、より低い基準周波数が生成され、これによって図6に示すのと類似の方法でループがクローズされる。
一連の基本的な相違がある。吸収された全電力にのみ依存する、ローパスフィルタされた変数を使用すること(413において)は、入力および出力周波数間の位相関係を破壊する。
図8、9:RF発生器部分およびLO発生器部分システム実施例
図8は、図4またはその他の実施例において使用するための、RF発生器部分310の可能な実装を示す。位相ロック発振器信号は、12GHz入力増幅器450に供給される。これは、10−16GHz信号を直列に接続した、x2x2乗算器と増幅器455および乗算器460に供給され、x2の3段階の更なる周波数乗算を与える。最後に、導波フィルタ465は、320−512GHz信号を取得し、350GHzにカットオフを適用する。他の値を、その他のサブミリ波バンドを生成するために使用することができる。
図9は、LO発生器部分の概略図を示し、このLO発生器部分は、類似のチェーンにおいて対応する部分を有するが、しかし、分数調波ミキサーが使用された場合に適している周波数の半分のエンド出力を有している。位相ロック発振器信号が12GHz入力増幅器480に供給される。これは、10−16GHz信号を、直列に接続されたx2x2乗算器と増幅器485および乗算器490に供給して、更なるx2の2段階周波数乗算を実現する。最後に、導波フィルタ495は160−256GHz信号を取得し、175GHzのカットオフを適用する。他の値を他のサブミリ波バンドを復調するために用いることができる。
図10および11:同じシステム実施例に対するIF処理部350
図10は、IQミキサー505に給電するLO2発生器500を含む実装を示している。このミキサーの第2の入力には、同様に、入力増幅器515およびそれに直列に続く入力フィルタ510を介した、ミキサー345からの信号が供給される。IQミキサーの出力は、65MHzの複合信号であり、図11にその詳細を示すIF2プロセッサ520に供給される。図10および11に示す部分は、サンプラーが回路の適切な点に含まれていた場合、デジタルドメインにおいて実装することができる。
図11はIF2プロセッサ520の可能な実装を示す。入力は65MHzレンジセレクタ560に供給され、次に、入力フィルタ555を介して別のIQミキサー580に供給される。このミキサーへのその他の入力は、LO2発生器550からであって、この発生器550は0−65MHzレンジの信号を供給する。このミキサーは、デシメーションおよびスムージングによるノイズ低減のために使用される有限応答フィルタ565に、出力範囲(レンジ)44.1kHzの信号を出力する。適切な集積回路の一例は、Analog Devices AD6620チップである。これは、入力信号の完全な直交復調を達成するために必要とされる、有限応答フィルタ570に給電し、次に、データデシメーションおよびノイズ抑制のために使用される自動相関器575に給電する。この構成は非常に伝統的なものであり、例えば、GSMモービルステーションにおいて使用されている。データデシメーションの目的は、ADコンバータによって提供されるビットの実際的な数を増加させることである。この三重フィルタ構造を使用することにより、12ビットコンバータが物理的に22ビット複合データを生成することが可能となる。これらのFIRフィルタの第3番目のものは、サイドバンド(側波帯)が相関されるや否や(植物の微小な動きにおいて、エコーは正味の周波数変位が0である)、上部および下部サイドバンド信号を相関解除するためにも使用することができる。
図12および13:映像処理部の実装
図12および13は、図4のシステムまたはその他の実施例に対する、映像プロセッサ355の実装の部分を示す。IF2プロセッサからの加工されていないIF信号は、シーケンスのそれぞれのピクセルにおけるスペクトルを表す、周波数ドメイン信号列である。フレーム発生器への入力は同様に、全ての(送信器および受信器)アンテナビームの位置までの時間に関係する、他の信号列である。フレーム発生器は、アンテナビーム位置と時間との間のこの関係を、ビーム位置データを、(2+n)D映像を実質的に生成する(ビーム位置が、2Dエリアを時間と共にスイープするという仮定の下で)IFデータストリームに割当てるために、使用する。Nは、次元の追加数を表す。例えば、n=1は、それぞれの映像ピクセルがIFスペクトルからなり、n=2は(それぞれのピクセルがIFスペクトルであることに加えて)照射ソースの1Dスイープがあった場合に結果として生じ、n=3は、RF周波数スイープと共に照射の2Dスイープまたは1Dスイープを使用する場合に獲得され、n=4は、RF周波数スイープと共に2D照射スイープを使用する結果を生じる。以下のパラメータの全てまたは一部分を変更することができる。
・スイープの受信(即ち、“映像”)は、フレームの主要次元である。
・スイープの送信(即ち、“放射”)
・RF周波数スイープ
・IF周波数ビン(並列受信信号プロセッサを用いて読取る)
・偏光スイープ
・アンテナビームパターンスイープ(即ち、“焦点深度”)
このような高次元のデータ構造は、“フレーム”と見なされる。以下の分析は、この統合された表現“フレーム”に頼っている。
複合データのこの(2+n)Dフレームから開始することによって、それぞれのピクセルが、追加の全てのサブセットに或いは全ての次元で見出されるデータのサブセットに適用される、ある“フィルタ関数”または“コスト関数”の結果によって与えられる、スカラーで、ポジティブな限定的2D映像を発生する、1セットのフィルタが提供される。て関数グループにグループ分けされる典型的な“コスト関数”セットが、直感的に存在する。
1.従って、(2+n)Dフレーム発生器は、フレームメモリ610における関連する位置をそれぞれのピクセルに対するスペクトル情報で充填する。それぞれのスペクトルは、所定数のフレームの時間ウインドウに渡って決定され、そして、この時間フレームは、次のフレームのスペクトルを決定するために、1フレーム時間だけ時間をスライドする。フレームメモリは、以下で説明するように、関連する多くのデバイスによってアクセスされる。全ての動きの期間がフレーム間隔よりも遅いと仮定して、
1.IF相関器615は、ビーム軸中のオブジェクトの動きを示すであろう、IF中のドップラーシフトを探す。これは、以前のフレームからの同じピクセルのスペクトルとの自動相関を含み、それによって、スペクトル中のピークの周波数を決定し、且つ、このピークがコンテンツフラターの周波数特性を伴って移動しているか否かを決定する。これは、一旦全てのピクセルが処理されるとフォールスカラーを形成して、共通の特徴的フラター周波数を有する映像エリアを示すために、アダプティブフィルタ635を介して送られる、出力を提供する。
2.確立された映像フィルタリング実践に続いて、現在のピクセルの周りで移動する64×64グリッドのピクセルを用いて、空間相関を、ピクセル相関器620によって実行するが、この場合、これは、各ピクセルにおけるスペクトルの空間フィルタリングであり、それぞれのピクセルの単なる振幅情報ではない。全てのピクセルが処理されると、次に、アダプティブフィルタ640が他のフォールスカラー映像を作成して、スペクトルにおける共通する特徴的な空間バリエーションを有する映像エリアを示す。このデータフィールドは、このように、且つ、ピクセル投影エリアがフレームのそれぞれのピクセルまたはピクセルグループの近辺についての情報を提供するので、隣接するピクセル間の比較を可能とする。このようなデータは、等高線と、“網膜”と言うニックネームを与える人間の視覚システムにおける視覚野に似た、オブジェクト抽出のために必要である。
3.フレーム相関部625によって時間的相関関係が提供され、これは、所定のピクセルのスペクトルが時間上で変化するに伴う、時間的繰り返しまたはパターンを探す。その後、一旦全てのピクセルが処理されると、アダプティブフィルタ645が別のフォールスカラー映像を形成して、スペクトルにおける共通で且つ特徴的な時間的変化を有する、映像エリアを示す。これは、“メモリ”に似た機能として要約され、この機能は、それぞれのピクセルにおいてピクセル相関時間として見出される典型的な持続時間を生じる。このフィルタは、スペックル強度と周期性をもたらし、通常、スペクトルおよび擬似的なスペクトル法を用いて評価される。ピクセルの擬似的なスペクトルコンテンツは、それ故、葉っぱのフラターおよび微小移動信号をもたらす。このようなオペレーションは、このユニットに対してニックネーム“メモリ”を生じる、以前のフレームと実際のものとの間の相関関係が必要である。種々のフレームを時間上で比較する場合に見られる時間的変化は、スペックルによって生じ、このスペックルは、所定の距離にありある特定の速度を有するオブジェクトに特有の速度で変化する傾向があり、その結果、時間間隔の所定の範囲内で相関ピークを生じる。時間依存性の変化の他の原因は、所定期間において風になびく、葉っぱのような薄い層からの干渉縞である。その他の相関は、外部フレーム相関器630によって実行され、用語“3Dカメラ”によって要約され、もし送信器がこれを達成するなら、異なるサブミリ波バンド、IF範囲の異なる部分、異なる照射深度または照射方向、および、異なる焦点位置、を用いて、フレーム間の相関を含むことができる。一旦全てのピクセルが処理されると、その後、アダプティブフィルタ650によって別のフォールスカラー映像を形成し、スペクトルにおける共通で特徴的な変化を有する映像のエリアをこれらのファクターの全てと共に示す。
図13において、映像プロセッサのこの可能な実装の部分Bを示す。この図は、種々のフォールスカラー2D映像を使用する種々の方法を示している。等高線抽出部665には、多くのフォールスカラー映像が、重み関数部660を経由して供給される。重み付けされたフォールスカラー映像は、オーバーレイされまたは結合され、且つ、閾値またはその他のフィルタリングが強化された2D映像を出力するために適用され、あるいは映像に加えるためにメタデータを単に提供する。例えば、等高線抽出のために、最も大きな重みを“網膜”映像に与えることができ、ある程度の重みをドップラー映像に与え、メモリおよび3−D映像に殆ど重みを与えないようにすることができる。等高線抽出によって適用される処理は、コンテンツ特徴ライブラリからの入力に依存するようにすることができ、このライブラリは、例えば、ギャップを充填し、形状を識別することを可能とするテンプレートとして、既知の形状を提供することができる。
領域抽出部分670は類似の方法で動作することができるが、しかし、例えば車両のようなオブジェクトを識別するために、トップラー映像からの大きな重みを有することが可能で、且つ、例えば表面変化および形状を識別するために、コンテンツ特徴ライブラリからの情報を使用することができる。環境パラメータ抽出部675は、例えば、雨を識別し、その他の映像においてそれを相殺し、あるいは道路表面上の氷を識別するために適切な重みを有している。
さらに、距離抽出部680が示されており、これは、確認できるオブジェクトのサイズのような距離を決定する種々の方法、焦点が最もシャープである場所を決定するために、受信ビームの異なる焦点位置における応答を比較する種々の方法、送信器に適用され且つ受信信号中で検出可能なノイズ変調との相関によって、飛行時間を測定することにより、測距する種々の方法、からの情報を結合することができる。ノイズ変調は、異なるサブミリ波バンド間でジャンプして、ランダム化することができる。これは、例えば、交通渋滞中の異なる車両上の類似のレーダー間での干渉を避けるために、有用である。
一方、IFチャンネルの周波数コンテンツは、他の低周波数源(例えば、超音波)をターゲットに適用することにより、幾つかの実施例において、意図的に操作することが可能であり、その結果として、IFチャンネル中での周波数シフトとして可視となる、RF信号上でのサイドバンドが生成される。このような実施例は、例えば、隠れたクラックを検出するために、構造振動の分析を提供する。コヒーレントな復調の使用は、より良い深度分解能を提供し、ホログラフィックなデータを実質的に提供する。これは、全てのRF変調の再構成を可能とする。
これらの相関関係を使用することによって、フォールスカラーを単に加えるよりもさらに多くの情報を生成することができる。例えば、変化の早いアイテム(葉っぱ、低木)はカラー映像中に“白色ノイズ”を生じ、オブジェクトの1エリア上で繰り返され安定な位相関係を有するその他のオブジェクトは、その位相安定性を示すカラー飽和を有する、安定し、変化しないカラーを持つ。
相関時間内(この時間において、オブジェクトは変化するための時間を有しない)に取得された部分映像をフォールスカラーペアリングすることによって、且つ、より大きな相関時間において取得された部分映像をペアリングすることによって、映像化された特定のオブジェクトに特有である“持続性”または“相関時間”パラメータが抽出される。
自動車レーダー応用に対して、コンピュータベースのパターン抽出に適しており、且つ、観察者に対して最適化する必要ない、映像を提供することが有用である。従って、“フォールスカラー”(これは可能性を提示するために使用されてきた)と言う概念は、3原色に限定されることはなく、同じ時間において且つあるタイムオフセットで取得された一連の(潜在的に>10)異なる部分映像を相互に関連付けるものである。
図14:オフラインIF処理および映像処理を使用する代替的実施例
この図は、図4にあるものと類似の部分を示し、上記の対応する記載を参照する。この場合、IFおよび映像処理部分は、データ獲得部700によって置き換えられており、データ獲得部700はデータ格納部710にデータを供給する。オフライン映像処理部755は、図4のIF処理および映像処理部の機能と類似の機能を実行する。
図15および16:レーダーシステムの実施例のためのビーム成形および走査部
図15は、送信器のための機械的ビーム走査部を示す。これは、電気的ビーム走査によって置き換えることができる。第1の軸外パラボラミラー800に続く送信ビーム経路上に、x編位(球面座標では、ファイ偏位としても知られている)を提供するための回転平面ミラー810が設けられている。これに続いて、y偏位(球面座標では、シータ偏位としても知られる)を与えるための波動円筒ミラー820があり、その次に、楕円ビームを提供するための固定2次パラボラミラー830がある。タイミング制御部840は、移動部分を制御するために設けられている。焦点制御が第1のミラーによって提供されている。複数のビームが提供されている場合、それらは、1個の可変ビームの効果を有するように、位相リンクさせることができる。典型的なビーム径は約10cmである。
図16は、受信ビーム走査のための類似の部分を示す。ビーム経路上の第1の要素は、固定2次パラボラ890であり、その次に、y偏位を与えるための波動平面ミラー870がある。その次に、x偏位を与えるための回転面ミラー860が続き、その後、焦点制御を提供するために可動の軸外パラボラミラー850が続く。さらに、タイミング制御部900が、3個の移動部分の動きを制御し且つ同期させるために設けられている。
図17から23:コンテンツフラターおよびスペックル効果が、受信信号のスペクトル中に検出可能な情報をどのようにして提供するか
図17は、所定のオブジェクトに指向した場合の、所定のピクセルのIF信号の時間的特徴(シグネチャー)の一例を示すグラフである。時間的特徴(シグネチャー)は、IF振幅がレーダー信号の実行時間における変化によって生成された擬似的な周期的方法で変化する、シーケンスを含んでいる。送信器と受信器アンテナ間に定常波があるので、半波長の実行時間における変化は、定常波を、建設的干渉ケースから相殺的干渉ケースに変化させる。レーダーシステムに対して一定の速度を有する全てのオブジェクトは、周期的スペックルを生じる。よりランダムな速度を有するオブジェクトは擬似的な周期的スペックルを生じ、この場合、擬似的な周期的シーケンスの時間的な長さは、速度の変化割合に依存している。シグネチャーの第1の部分はより遅い速度のオブジェクトの効果を示し、第2の部分はより早い速度のオブジェクトの効果を示す。
図18は、オブジェクト分類に使用される周波数のウインドウを示す選択されたタイプのターゲットを指向する場合の、所定ピクセルの周波数コンテンツIF信号のグラフを示す。ウインドウ1はバックグラウンド除去のために使用され、ウインドウ2は興味あるターゲットの識別のために使用され、ウインドウ3は植物除去目的に役立つ。
太い実線のカーブは、素早く移動するターゲット(例えば、植物)に対して得られたIFの周波数コンテンツを示す。太い点線のカーブは、ゆっくり移動するターゲット(例えば、歩行者)に対して得られたIFの周波数コンテンツを示す。これは、図19に示す時間信号のスペクトルを表している。薄い点線のカーブは、固定されたバックグラウンドから戻ってくる信号に対して得られたIFの周波数コンテンツを表す。これは、図20に示す時間信号の周波数スペクトルを表している。
表1は、図18に示されたウインドウ上で取得されたFFTの絶対値の平均値の表を示す。カッコ内の値は、ウインドウ1中のコンテンツに関する。
Figure 0006073680
以下にこの表について説明する。
高速で移動するオブジェクトは勿論、ウインドウ3において最も大きな貢献を有している。バックグラウンドには何もなく、低速で移動するオブジェクトはそこでかなり小さい。相対値を考慮に入れると、ウインドウ2と3は類似の挙動を示す。植物に対して、且つ歩行者に対して、ウインドウ1および2は同様に挙動する。バックグラウンドに関しては、ウインドウ2および3で多くを見ることができない。
図21は、フレーム内の全てのピクセルに対する未加工の振幅データのプロットを示し、これは、図22および23に示す処理映像との対比のためのものである。これは、図22および23に示すような処理映像を得るために、全てのピクセルに対してプロットされ得るそれぞれのピクセルに対して、周波数ウインドウ内で獲得された値の平均値である。図22は、ウインドウ3に対応する処理された映像を示し、この映像は、図18に関して上記で説明したように、高速で移動する植物を強調している。図23は、ウインドウ2と3間の相違に対応する処理された映像を示しており、この映像は歩行者を強調し、且つ、高速で移動する植物と静的なバックグラウンドを最小化している。これは、図18に示すように、歩行者がウインドウ2および3間で最も大きな差を有するためである。
図22は、図21と同じシナリオの最も高速の周波数ウインドウ(#3)における振幅を表現している。図23は、適切な定数によって重み付けされた低速(#2)と高速の周波数ウインドウ(#3)との間の差を示している。全てのプロットは、プロットの最大値および最小値間で正規化された、等高線プロットである。等高線の一つの横断は、値のスパンの1%の変化に対応する。
特徴を区別するために、その他の処理映像を得ることができる。例えば、強調された“低速”成分の映像を、因子3またはその他の因子だけ、強度に掛け合わせることによって得ることができる。
図24および25:RFにおいてファブリペロー効果を生じる誘電体薄膜層
図24および25は、誘電体薄膜層の存在がレーダー信号のRF周波数依存性にどのように影響するかを示している。これらの図は、金属の、RFにおけるファブリペロー効果を示すための、振幅対RF周波数のプロットを示している。これらの図において、実線は反射パワーの実数部を示している。点線は、反射パワーの虚数部分を示している。
図24は、コーティングされていない金属表面からのグレージング反射(ほぼ表面に平行な、低い入射角における)を示している。図25は、2mm厚さのプラスティック層でコーティングされ、その結果、その層を通過するビーム経路長が約60mmである、同様の金属表面からのグレージング反射を示している。グラフの比較から、図25における応答は、主に、左手側での大きく且つ周期的な変動において、相違していることが分かる。この変動は、周波数によって変化する、建設的および相殺的干渉に対応する。従って、これを、オブジェクトが所定の厚さの表面層を有しているか、またはその厚さか既知であるか、入射角度に関する情報を引き出せるか、を見分けるために使用することができる。周期的変動が出現する周波数範囲は、2次効果のせいで変化することがあるが、しかし、周期的変動の存在は表面層に典型的である。
本発明の信号処理装置は、ハードウエア、コンピュータソフトウエア、またはこれらの組合せとして実現可能である。この信号処理装置は、汎用プロセッサ、埋め込みプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはその他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウエア部品、または、ここで記載される機能を達成するように設計された全ての組合せ、を含むことができる。信号処理装置は、さらに、計算デバイスの組合せ、例えば、FPGAとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、FPGAと連結する1個またはそれ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のこのような構成、を含むことができる。
本発明はさらに、計算デバイス上で実行する場合に、本発明に係る全ての方法の機能を提供する、コンピュータプログラム製品を含む。処理エンジン上で実行された場合に、本発明に係るソフトウエアは、サブミリ波長のアクティブレーダーシステムを使用する方法を提供する、コードセグメントを含むことができる。この方法は、送信器を用いて視野を放射するために使用され、ソフトウエアは視野からの信号の受信し、さらに、ダウンコンバート信号が視野内のコンテンツに依存する位相および振幅情報を有する周期的成分を有するように、送信器に位相ロックされた復調器を用いて、受信した信号をコヒーレントにダウンコンバートすることを可能とするように適応されている。ソフトウエアは、実行された場合、信号中の位相および振幅情報からコンテンツに関する情報を識別するために、ダウンコンバート信号をさらに処理するように適応されている。
この信号は、レーダーシステムの視野内のコンテンツに依存する位相および振幅情報を有する周期的成分を有することが可能で、ソフトウエアはレーダーシステムの送信器に位相ロックされたローカル発振器信号を用いてその信号をダウンコンバートし、さらに、その信号中の位相および振幅情報からコンテンツに関する情報を識別するように適応されている。
ソフトウエアは、1個またはそれ以上の演算子を受信信号に適用して、受信信号のスペクトルの空間的または時間的特徴を抽出することによって、情報を識別するように適応されていても良い。
その他の変形も、本発明の特許請求の範囲内で想定可能である。

Claims (12)

  1. 視野を有するサブミリ波アクティブレーダーシステムのための信号処理装置において、
    前記信号処理装置は、前記視野から受信し且つ前記レーダーシステムによってダウンコンバートされた信号を処理するように構成され、
    所定のピクセルに対応する前記ダウンコンバート信号は、時間的に変動する振幅成分と時間的に変動する位相成分とを有し、前記振幅成分と位相成分は共に前記視野内の前記所定のピクセルにおけるコンテンツに依存する周期的成分を有し、前記ダウンコンバート信号は異なる複数のサブミリ波周波数で受信した別個の信号を含み、さらに、前記信号処理装置は、前記異なるサブミリ波周波数に対応する前記ダウンコンバート信号を別個に分析するように構成されており、さらに、
    前記信号処理装置は、前記周期的成分からコンテンツに関する情報を識別するように構成されており、
    前記周期的成分から識別された情報は、コンテンツフラター、コンテンツに特有の時間的かつ空間的スペックルパターン、および無線周波数依存周期性を生じるコンテンツ中の薄層における複数の反射からの干渉効果、から選択された少なくとも1個からの効果を含む、信号処理装置。
  2. 請求項1に記載の信号処理装置において、前記ダウンコンバート信号はIF信号であり、さらに、前記信号処理装置は前記IFスペクトルの2個またはそれ以上の領域を別個に分析するように構成されている、信号処理装置。
  3. 請求項1又は2に記載の信号処理装置において、識別された情報を用いて前記コンテンツ内のオブジェクトを検出し且つ分類するように構成されている、信号処理装置。
  4. 請求項1乃至の何れか1項に記載の信号処理装置において、前記受信信号の一部分を視野内の対応位置に関係付けるための部分を有する、信号処理装置。
  5. 請求項1乃至の何れか1項に記載の信号処理装置において、前記ダウンコンバート信号の成分の空間的または時間的特徴を抽出するために、前記ダウンコンバート信号の成分に1個またはそれ以上の演算子を適用して前記情報を識別するための部分を有する、信号処理装置。
  6. 請求項に記載の信号処理装置において、前記演算子は、サブミリ波バンド、または、放射方向、または受信器の焦点位置、または、偏光に依存性を有する特徴のうちの1個またはそれ以上を抽出するための1個の演算子を備える、信号処理装置。
  7. 視野を放射するための送信器と、前記視野からの信号を受信する受信器と、さらに、復調器とを有するサブミリ波レーダーシステムにおいて、前記復調器は前記送信器に位相ロックされており、さらに前記システムは、請求項1乃至の何れか1項に記載の信号処理装置を有する、サブミリ波レーダーシステム。
  8. 請求項に記載のレーダーシステムと識別された情報を使用するための出力システムとを有する車両。
  9. サブミリ波アクティブレーダーシステムを使用する方法において、前記方法は、
    送信器を用いて視野を放射し、
    前記視野から信号を受信し、
    前記視野の所定のピクセルに対応するダウンコンバート信号が、時間的に変動する振幅成分と、時間的に変動する位相成分とを有し、前記振幅成分と位相成分は共に前記視野内の前記所定のピクセルにおけるコンテンツに依存する周期的成分を有し、且つ、前記ダウンコンバート信号が異なる複数のサブミリ波周波数で受信した別個の信号を含むように、前記送信器に位相ロックされた復調器を用いて、前記信号をコヒーレントにダウンコンバートし
    前記異なるサブミリ波周波数に対応する前記ダウンコンバート信号を別個に分析し、さらに
    前記周期的成分から前記コンテンツに関する情報を識別するために、前記ダウンコンバート信号を処理する、各ステップを有し、
    前記周期的成分から識別された情報は、コンテンツフラター、コンテンツに特有の時間的かつ空間的スペックルパターン、およびコンテンツ中の薄層における複数の反射からの干渉効果であって無線周波数依存の周期性を生じる干渉効果、から選択される少なくとも1個からの効果を含む、方法。
  10. サブミリ波レーダーシステムの受信器からの信号を処理するための方法において、
    前記信号は、前記レーダーシステムの視野内のコンテンツに依存し、さらに
    前記方法は、
    前記視野の所定のピクセルに対応するダウンコンバート信号が、時間的に変動する振幅成分と、時間的に変動する位相成分とを有し、前記振幅成分と位相成分は共に周期的成分を有し、且つ、前記ダウンコンバート信号が異なる複数のサブミリ波周波数で受信した別個の信号を含むように、前記レーダーシステムの送信器に位相ロックされた復調器を用いて、前記信号をダウンコンバートし
    前記異なるサブミリ波周波数に対応する前記ダウンコンバート信号を別個に分析し、さらに、
    前記周期的成分から前記コンテンツに関する情報を識別する、各ステップを有し、
    前記周期的成分から識別された情報は、コンテンツフラター、コンテンツに特有の時間的かつ空間的スペックルパターン、およびコンテンツ中の薄層における複数の反射からの干渉効果であって無線周波数依存の周期性を生じる干渉効果、から選択される少なくとも1個からの効果を含む、方法。
  11. 請求項10に記載の方法において、さらに、受信信号のスペクトルの空間的または時間的特徴を抽出するために、前記受信信号に1個またはそれ以上の演算子を適用することによって、前記情報を識別するステップを有する、方法。
  12. コンピュータによって実行された場合、コンピュータに請求項10又は11に記載のステップを実行させる、記憶されたプログラムを有する、コンピュータ可読媒体。
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