JP2011080860A - テラヘルツレーダ装置 - Google Patents

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直之 山田
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真 大門
Mineki Soga
峰樹 曽我
Hisayoshi Fujikawa
久喜 藤川
Takeshi Yasui
武史 安井
Tsutomu Araki
勉 荒木
Shuko Yokoyama
修子 横山
Yasuhiro Kabetani
泰宏 壁谷
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Abstract

【課題】短時間で距離の測定ができるテラヘルツレーダ装置を実現すること。
【解決手段】モード同期周波数制御手段12によってフェムト秒レーザ10、11のモード同期周波数を安定させ、モード同期周波数の差を一定とする。フェムト秒レーザ10からのポンプ光を光伝導アンテナ13に入射させ、テラヘルツコムを発生させる。一方、フェムト秒レーザ11からのプローブ光は、光伝導アンテナ14に入射させ、光伝導アンテナ14に測定物Xにより反射されたテラヘルツコムを入射させることにより、RFコムを発生させる。このRFコムのコムモードを位相差計17により抽出し、抽出したコムモードの位相を測定することにより、測定物Xまでの距離を算出する。複数のコムモードを選択、抽出することで、高ダイナミックレンジな測距が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、テラヘルツ波を測定物に照射し、測定物によって反射されたテラヘルツ波から距離測定や測定物の識別を行うテラヘルツレーダ装置に関する。
近年、光と電波の境界の帯域であるテラヘルツ波(周波数0.1〜10THz)が注目されている。このテラヘルツ領域は、これまで良質なレーザ光源や高感度検出器の開発が遅れていたため、ほとんど研究が行われていなかったが、安定な超短パルスレーザの出現、超高速光技術の発達により、パルス状のテラヘルツ波が比較的容易に生成・検出できるようになり、センシングやイメージングなどの応用開発が加速している。特に、生体分子、ビタミン、糖、医薬品、農薬など、さまざまな物質がテラヘルツ領域において固有の吸収スペクトル(指紋スペクトル)を有することが明らかとなっており、テラヘルツ分光法が新しいセンシング技術として注目されている。
特許文献1には、テラヘルツパルス波を用いたTOF(タイム・オブ・フライト)法により、塗装膜の厚さを測定する方法が示されている。また、テラヘルツパルス波の時間波形は、プローブ光を機械的ステージを用いて時間遅延させることにより、テラヘルツパルス波とプローブ光の重なるタイミングを少しずつずらしていき、この重なるタイミングを測定することによりテラヘルツパルス波の時間波形をサンプリング測定して求めることが示されている。
また、特許文献2には、非同期光サンプリング法(AOS法)と呼ばれる技術が記載されている。従来は、特許文献1に記載のように、機械的ステージによるプローブ光の時間遅延走査によりテラヘルツパルス波の時間波形を求めていたが、機械的ステージによる走査は時間がかかるため、テラヘルツパルス波の時間波形を高速に測定することはできなかった。しかし、AOS法を用いると、機械的ステージを用いることなくテラヘルツパルス波の時間波形を高速に測定することができる。
このAOS法の原理について、図8を参照に説明する。モード同期周波数が僅かに異なる2台のフェムト秒レーザを用い、一方はポンプ光(モード同期周波数f1)、他方はプローブ光(モード同期周波数f2)として用いる。ポンプ光は光伝導アンテナなどに入射させてテラヘルツパルス波を発生させる。テラヘルツパルス波と、プローブ光の重なるタイミングは、モード同期周波数が異なるため、パルスごとにS(S=Δf/(f1*f2)、Δf=f1−f2)ずつずれていく。このテラヘルツパルス波とプローブ光の重なるタイミングを測定することは、テラヘルツパルス波の時間波形を時間的に拡大した波形をサンプリング測定することと等価である。この時間的に拡大されたテラヘルツパルス波の時間波形は、オシロスコープで直接リアルタイムに観測することができる。
また、非特許文献1には、多周波ヘテロダイン光伝導検出法によりテラヘルツコムをRF帯の周波数コムにダウンスケーリングする技術が示されている。
多周波ヘテロダイン光伝導検出法の原理について、図9を参照に説明する。モード同期周波数が僅かに異なる2台のフェムト秒レーザを用い、一方はポンプ光(モード同期周波数f1)、他方はプローブ光(モード同期周波数f2)として用いる。ポンプ光およびプローブ光は、周波数スペクトル領域で見ると、モード同期周波数の間隔で規則的に多数の周波数モード列が並んだ離散スペクトル構造を有しており、周波数コムと呼ばれている。ポンプ光は光伝導アンテナに入射させ、テラヘルツ領域に展開された周波数コムであるテラヘルツコムを放射させる。
一方、プローブ光を検出用光伝導アンテナに入射させると、超短パルス光による繰り返し超高速スイッチングの結果、検出用光伝導アンテナ内に光励起電流の周波数コム(PCコム)が生成される。このPCコムは、モード同期周波数がf2で、周波数帯域はテラヘルツコムと同じである。このPCコムが励起された検出用光伝導アンテナにテラヘルツコムが入射すると、両者の相互作用により、ビート周波数Δf(Δf=f1−f2)を周波数間隔とする2次的な周波数コムがRF帯域に電気信号として発生する。このRF帯域の周波数コム(RFコム)は、テラヘルツコムの周波数スケールをΔf/f1でスケーリングしたものである。したがって、このRFコムをスペクトラムアナライザで直接観測し、周波数軸をリスケーリングすれば、テラヘルツコムの周波数スペクトルを得ることができる。従来は、機械的ステージによるプローブ光の時間遅延走査をしてテラヘルツ波の時間波形を測定し、FFT処理することで周波数スペクトルを測定していたが、多周波ヘテロダイン光伝導検出法を用いると、直接テラヘルツ波の周波数スペクトルを得られるので、高速に測定することができる。
特開2004−28618 WO2006/092874
T. Yasui, Y. Kabetani, E. Saneyosh, S. Yokoyama, and T. Araki, "Terahertz frequency comb by multi-frequency-heterodyning photoconductive detection for high-accuracy, high-resolution terahertz spectroscopy", Appl. Phys. Lett., Vol. 88, 241104 (2006)
しかし、特許文献1に記載のテラヘルツパルス波を用いたTOF法による膜厚測定では、機械的ステージによる時間遅延走査のためテラヘルツ波の時間波形を測定するのに時間がかかり、その結果膜厚測定にも時間がかかった。
また、特許文献2や非特許文献1に記載のAOS法、多周波ヘテロダイン光伝導検出法によって測定物までの距離を測定するテラヘルツレーダ装置については、知られていない。
そこで本発明の目的は、AOS法や多周波ヘテロダイン光伝導検出法によって測定物までの距離測定を短時間で行うことができるテラヘルツレーダ装置を提供することである。
第1の発明は、モード同期周波数が異なる2台のフェムト秒レーザと、2台のフェムト秒レーザのそれぞれのモード同期周波数が安定化され、かつモード同期周波数の差が一定値に保持されるよう制御するモード同期周波数制御手段と、一方のフェムト秒レーザの出力光をポンプ光として用いてテラヘルツコムを発生させるテラヘルツ波発生手段と、テラヘルツ波発生手段により発生させたテラヘルツコムを任意の方向に走査して測定物に照射するテラヘルツ波照射手段と、他方のフェムト秒レーザの出力光をプローブ光として用い、測定物により反射されたテラヘルツコムと、プローブ光とを入射し、多周波ヘテロダイン光伝導検出により、プローブ光のモード同期周波数とテラヘルツコムのモード同期周波数との差周波数をコム間隔とする周波数コムである電気信号を生成して検出するテラヘルツ波検出手段と、電気信号から単数または複数のコムモードを抽出し、各コムモードで位相を測定する位相測定手段と、を備えていることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第2の発明は、第1の発明において、位相測定手段は、位相の変化量により測定物の移動量を測定する手段である、ことを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第3の発明は、第1の発明から第2の発明において、テラヘルツ波検出手段から出力される電気信号の周波数スペクトルを測定する周波数スペクトル測定手段と、測定した周波数スペクトルを、テラヘルツ吸収または散乱の指紋スペクトルのデータベースと比較して測定物を識別する測定物識別手段と、をさらに備えていることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、位相測定手段はロックインアンプを有し、ロックインアンプを用いて参照信号に同期させることで電気信号からコムモードを抽出することを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第5の発明は、第4の発明において、モード同期周波数制御手段は、ポンプ光およびプローブ光からモード同期周波数の差周波数のn倍周波数の信号を生成して出力する手段を有し、この信号をロックインアンプの参照信号とする、ことを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第6の発明は、第5の発明において、モード同期周波数制御手段は、参照信号の周波数を掃引可能であることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第7の発明は、モード同期周波数が異なる2台のフェムト秒レーザと、2台のフェムト秒レーザのそれぞれのモード同期周波数が安定化され、かつモード同期周波数の差が一定値に保持されるよう制御するモード同期周波数制御手段と、一方のフェムト秒レーザの出力光をポンプ光として用いてテラヘルツコムを発生させるテラヘルツ波発生手段と、テラヘルツ波発生手段により発生させたテラヘルツコムを任意の方向に走査して測定物に照射するテラヘルツ波照射手段と、他方のフェムト秒レーザの出力光をプローブ光として用い、測定物により反射されたテラヘルツパルス波と、プローブ光とを入射し、非同期光サンプリング法により、テラヘルツパルス波とプローブ光が同じタイミングで入射したときのみ、テラヘルツパルス波の電場に比例した電気信号を生成して検出するテラヘルツ波検出手段と、ポンプ光とプローブ光とから時間原点信号であるSFG(和周波混合)相互相関信号を生成する時間原点信号生成手段と、電気信号を増幅して電気信号の時間波形を、時間原点信号をトリガーとして高速デジタイザーで測定し、時間原点信号を基準とした電気信号の遅れから、測定物までの距離を算出する距離算出手段と、を備えていることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第8の発明は、第7の発明において、モード同期周波数制御手段は、モード同期周波数の差を所望の値に設定することができる、ことを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。モード同期周波数の差は、2台のフェムト秒レーザの一方または双方のモード同期周波数を変えることで所望の値に設定できる。
第9の発明は、第7の発明または第8の発明において、モード同期周波数制御手段は、出力光をポンプ光として用いる方のフェムト秒レーザのモード同期周波数を掃引可能可能である、ことを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第10の発明は、第9の発明において、距離算出手段は、ポンプ光のモード同期周波数を変化させた場合の、電気信号の遅れの変化量から測定物までの距離を算出する手段であることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第11の発明は、第1の発明から第10の発明において、テラヘルツ波生成手段は、光伝導アンテナまたは非線形光学結晶であることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第12の発明は、第1の発明から第11の発明において、テラヘルツ波検出手段は、光伝導アンテナまたは電気光学結晶であることを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第13の発明は、第1の発明から第12の発明において、モード同期周波数制御手段は、原子時計を基準として2台のフェムト秒レーザのそれぞれのモード同期周波数を制御する、ことを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第14の発明は、第1の発明から第13の発明において、測定物の距離画像を生成し、その距離画像から測定物の識別を行う手段をさらに備える、ことを特徴とするテラヘルツレーダ装置である。
第1の発明によると、多周波ヘテロダイン光伝導検出法を用いることにより、測定物までの距離を位相差によって短時間で測定することができる。また、複数のコムモードを抽出すれば、それぞれのコムモードにおいて位相差を求めることができ、高分解能で高ダイナミックレンジな測距が可能である。また、テラヘルツ波をレーダー波として利用するので、天候の影響を受けることなく測距が可能である。
また、第2の発明のように、測定物が移動体である場合にも、位相の変化量を高速に求めることができるので、測定物の移動量をリアルタイムで計測することができる。
また、第3の発明のように、多周波ヘテロダイン光伝導検出法を用いているため周波数スペクトルを高速に測定することができ、距離の測定と同時に測定物の識別をすることができる。
また、第4の発明のように、コムモードの抽出はロックインアンプを用いて行うことができ、第5の発明のようにロックインアンプの参照信号はポンプ光およびプローブ光から生成することができる。また、第6の発明のように、ロックインアンプの参照信号を掃引することで複数のコムモードを抽出することができる。
また、第7の発明によると、AOS法により短時間でテラヘルツパルス波の時間波形を得ることができるため、測定物までの距離を短時間で測定することができる。したがって、測定物が移動体である場合にもリアルタイムで測定物の移動量を計測することができる。また、AOS法によりテラヘルツ波の時間波形を時間的に拡大できるので、検出器の応答速度によらず、フェムト秒レーザの出力光のパルス幅のみに依存する高分解測距が可能である。また、テラヘルツ波をレーダー波として利用するので、天候の影響を受けることなく測距が可能である。
また、第8の発明のように、モード同期周波数の差を変えることで、テラヘルツパルス波の時間波形計測におけるサンプリング間隔や、テラヘルツパルス波の時間拡大率などを変更することができる。また、第9の発明のように、ポンプ光のモード同期周波数を変更することで測距レンジを変更することができる。
また、第10の発明によると、測定物が測距レンジを超える距離に位置し、電気信号の遅れからは相対的な距離(位相差)しか測定できない場合であっても、ポンプ光のモード同期周波数を変化させ、異なるモード同期周波数のテラヘルツパルス波でそれぞれ位相差を測定し、その位相差の変化量を求めれば、測定物までの距離を測定することができる。
また、第11の発明のように、テラヘルツ波の発生手段として光伝導アンテナまたは非線形光学結晶を用いることができ、第12の発明のように、テラヘルツ波検出手段として光伝導アンテナまたは電気光学結晶を用いることができる。
また、第13の発明のように、原子時計を基準としてモード同期周波数を制御することで、フェムト秒レーザのモード同期周波数を精度よく制御することができ、モード同期周波数の差を安定化することができる。
また、第14の発明のように、本発明のテラヘルツレーダ装置によれば測定物へのテラヘルツ波の照射位置を操作することができるので、測定物の距離画像を得ることができ、その距離画像から測定物を識別することが可能となる。
実施例1のテラヘルツレーダ装置の構成を示した図。 モード同期周波数制御手段12のより詳細な構成を示した図。 測定した位相の時間変化を示した図。 実施例2のテラヘルツレーダ装置の構成を示した図。 測定した変位量と真の変位量との関係を示したグラフ。 テラヘルツパルス波の時間波形を測定した結果を示す図。 得られたテラヘルツパルス波の時間波形を重ねて示した図。 AOS法の原理について説明する図。 多周波ヘテロダイン光伝導検出法の原理について説明する図。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1のテラヘルツレーダ装置は、テラヘルツ波を用い、位相差から距離を測定する装置であり、同時に測定物の識別を行う装置である。図1は、実施例1のテラヘルツレーダ装置の構成を示す図である。テラヘルツレーダ装置は、2台のフェムト秒レーザ10、11と、2台のフェムト秒レーザ10、11のモード同期周波数を制御するモード同期周波数制御手段12と、光伝導アンテナ13、14と、放射方向制御手段15と、電流電圧変換アンプ16と、位相差計17と、スペクトラムアナライザ19と、によって構成されている。
フェムト秒レーザ10、11は、モード同期チタンサファイアレーザーであり、中心波長800nm、パルス幅10fsのパルス光を出力する。モード同期周波数(パルスの繰り返し周波数)は、ピエゾ素子による共振器長の制御により可変である。フェムト秒レーザ10は、モード同期周波数f1であり、その出力光はポンプ光として用いる。フェムト秒レーザ11は、モード同期周波数f2であり、フェムト秒レーザ10のモード同期周波数f1とは異なる値である。フェムト秒レーザ11の出力光はプローブ光として用いる。フェムト秒レーザ10、11の出力光は、周波数スペクトル領域ではモード同期周波数の間隔で規則的に多数の周波数モード列(コムモード)が並んだ離散スペクトル構造を有した周波数コムである。
モード同期周波数制御手段12は、フェムト秒レーザ10、11のモード同期周波数f1、f2を安定化させ、モード同期周波数の差Δf(Δf=f1−f2)を一定に保持するよう制御する手段であり、また位相差計17に入力する参照信号を生成する手段である。
図2は、モード同期周波数制御手段12のより詳細な構成を示す図である。モード同期周波数制御手段12は、ルビジウム原子時計30と、周波数シンセサイザ31と、発振器32、33と、超高速フォトディテクタ34、35と、ミキサ36、37、38と、ローパスフィルタ39、40と、PLL回路41、42と、ピエゾ素子コントローラ43、44と、により構成されている。周波数シンセサイザ31、発振器32、33の出力信号は、ルビジウム原子時計30の出力信号を基準として制御されている。
モード同期周波数制御手段12は、以下のような動作により、フェムト秒レーザ10、11のモード同期周波数f1、f2を安定化し、Δfを一定に保持する。
ビームスプリッタ45により抽出されたフェムト秒レーザ10の出力光は、超高速フォトディテクタ34に検出される。検出される信号のうち、100次の高調波成分である、100f1を抽出するため、周波数シンセサイザ31の出力(周波数fs)をf1付近とし、超高速フォトディテクタ34の出力と周波数シンセサイザ31の出力をミキサ36に入力し、ローパスフィルタ39を通すことで、周波数100f1−fsの信号を抽出する。そして、PLL回路41において、発振器32から出力された基準信号を分周したものと、周波数100f1−fsの信号とを比較して、その誤差信号をピエゾ素子コントローラ43に入力してフィードバック制御する。100次の高調波成分100f1を用い、モード同期周波数f1の揺らぎを拡大して制御しているため、また、周波数シンセサイザ31、発振器32の出力信号はルビジウム原子時計30の出力信号を基準とすることで高精度に安定化されているため、f1の安定化を高精度に行うことができる。
フェムト秒レーザ11のモード同期周波数f2も、同様にして制御され、安定化される。すなわち、ビームスプリッタ46によりフェムト秒レーザ10の出力光を抽出して超高速フォトディテクタ35により検出し、ミキサ37とローパスフィルタ40により周波数100f2−fsの信号を抽出し、PLL回路42において、発振器33から出力された基準信号を分周したものと、周波数100f2−fsの信号とを比較して、その誤差信号をピエゾ素子コントローラ44に入力してフィードバック制御することにより、f2の安定化を高精度に行う。
また、発振器32と発振器33の周波数差がnΔfとなるようにし、発振器32、33の出力信号をミキサ38に入力して周波数がnΔfの信号を生成する。この周波数nΔfの信号は、位相差計17の参照信号とする。nの値は、発振器32、33の出力信号の周波数を調整することで任意の値を選択することができる。発振器32、33の出力信号はルビジウム原子時計30により高精度に安定化されているため、この参照信号もまた、高精度に安定化されている。
光伝導アンテナ13は、光伝導膜上にボウタイ形状の一対の電極が微小なギャップを隔てて形成された構造である。光伝導アンテナ13の電極にバイアスを印加して電極間のギャップにフェムト秒レーザ10からのポンプ光を入射させると、一種の波長変換が生じ、パルス状のテラヘルツ波が発生する。このテラヘルツ波は、周波数スペクトル領域では、基本波成分f1と多数の高調波成分(2f1、3f1、4f1、・・・)が等間隔で並び、テラヘルツ領域にまで展開された周波数コムであり、以下テラヘルツコムと呼ぶ。
光伝導アンテナ14は、測定物により反射されたテラヘルツコムを、多周波ヘテロダイン光伝導検出法により検出するための装置であり、構造は光伝導アンテナ13と同様のボウタイ型である。多周波ヘテロダイン光伝導検出法は、テラヘルツコムを電波周波数(RF)帯まで正確にダウンスケーリングする方法である。光伝導アンテナ14には、フェムト秒レーザ11からのプローブ光が入力され、光伝導アンテナ14内に光励起電流の周波数コム(PCコム)が生成される。そして、このPCコムが励起された光伝導アンテナ14にテラヘルツコムを入射させ、PCコムとテラヘルツコムとを相互作用させることによって、ビート周波数Δf(Δf=f1−f2)を周波数間隔とする2次的な周波数コムがRF帯域に電気信号として発生する。このRF帯域の周波数コム(RFコム)は、テラヘルツコムの周波数スケールをΔf/f1でスケーリングしたものである。
放射方向制御手段15は、ミラーやビームスプリッタによって構成され、光伝導アンテナ13によって発生したテラヘルツコムを任意の方向に走査して測定物Xに照射し、測定物Xによって反射されたテラヘルツコムを光伝導アンテナ14に導く手段である。
電流電圧変換アンプ16は、光伝導アンテナ14から出力されるRFコムを増幅して、位相差計17とスペクトラムアナライザ19に出力する。位相差計17はロックインアンプであり、モード同期周波数制御手段12からの参照信号に同期する周波数のコムモードをRFコムから抽出し、そのコムモードの信号の位相差を測定する。
スペクトラムアナライザ19は、RFコムの周波数スペクトルを測定し、その周波数スペクトルをもとの周波数スケールに戻し、データベース21に記憶された各物質が有するテラヘルツ帯域における固有の吸収または散乱スペクトル(指紋スペクトル)と比較することで、測定物Xの識別を行う。
なお、テラヘルツレーダ装置内におけるポンプ光、プローブ光、およびテラヘルツコムの伝搬は、空間を伝搬させてもよいし、光ファイバや光導波路を用いて伝搬させてもよい。
次に、実施例1のテラヘルツレーダ装置による測定物Xまでの距離測定方法、および測定物Xの識別方法について説明する。
まず、モード同期周波数制御手段12によってフェムト秒レーザ10、11のモード同期周波数f1、f2を安定させ、モード同期周波数の差Δfを一定とする。そして、フェムト秒レーザ10からのポンプ光を光伝導アンテナ13に入射させ、テラヘルツコムを発生させる。発生したテラヘルツコムは、放射方向制御手段15によって導かれ、テラヘルツコムの放射方向を制御して走査し、測定物Xにテラヘルツコムを照射する。測定物Xにより反射されたテラヘルツコムは、放射方向制御手段15に導かれて光伝導アンテナ14に入射する。
一方、フェムト秒レーザ11からのプローブ光は、光伝導アンテナ14に入射させ、光伝導アンテナ14内にPCコムを励起させる。このPCコムが励起された状態で、光伝導アンテナ14に測定物Xにより反射されたテラヘルツコムを入射させることにより、RFコムを発生させる。RFコムは、電流電圧変換アンプ16によって増幅された後、位相差計17とスペクトラムアナライザ19に入力される。
位相差計17では、参照信号に同期させることでRFコムの特定のコムモードを抽出する。参照信号はモード同期周波数制御手段12により生成された周波数nΔfの信号を用いる。これにより、周波数がnΔfのコムモードを抽出することができる。そして、抽出したコムモードの位相を測定することにより、測定物Xまでの相対的な距離、たとえば測定物Xの移動量や、測定物X表面の凹凸形状などを求めることができる。また、参照信号の周波数は可変であり、複数のコムモードを選択、抽出することができるので、たとえば、周波数のオーダーが異なる複数のコムモードを抽出して位相を測定すれば、高ダイナミックレンジな測距が可能となる。また、異なる周波数のコムモード(つまり次数の異なるコムモード、たとえば1600次と1601次のコムモード)を抽出し、それぞれの位相を求めてその差を算出すれば、絶対距離が原理的に測定可能である。
他方、スペクトラムアナライザ19では、RFコムの周波数スペクトルを測定する。この得られた周波数スペクトルの周波数スケールをf1/Δf倍することでリスケーリングし、データベース21に記憶された指紋スペクトルと比較することで、測定物Xの材質を識別する。
以上のように、実施例1のテラヘルツレーダ装置によると、さまざまな波長での位相測定により高分解で高ダイナミックレンジな測距が高速で可能であり、また、測距と同時に測定物の識別も行うことができる。また、テラヘルツ波を用いるため、天候の影響を受けることなく高精度な測距を行うことが可能である。
図3は、f1=81.8MHz、Δf=10Hzとし、1600次のコムモード(テラヘルツコムでは131GHz(波長2.29mm)、RFコムでは16kHz)を選択し、測定物Xまでの位相差(距離)を1秒ごとに測定した結果である。図3のグラフにおいて横軸は測定を開始してからの経過時間(単位は秒)であり、縦軸は測定開始時の位相を基準とした位相差(単位は度)である。測定物Xは50秒毎に500μmずつ階段状に移動させた。
図3を見ると、値に揺らぎはあるが、約50秒ごとに位相が約77°変化していることがわかる。波長2.29mmであるから77°の位相変化量は約500μmであって、測定物Xの移動量とおおよそ一致していることから、確かに実施例1のテラヘルツレーダ装置により測距が可能であることがわかる。
次に、図3での条件と同じく1600次のコムモードを選択して求めた位相変化量と、測定物Xの移動量との線形性を評価したところ、次の結果を得た。0.5mm、1mm、1.5mm、2mmの測定物Xの移動に伴う位相変化量を各5回測定し、位相変化を光路長と比べて評価した。位相の変動する時間を無視し、その前後での平均値の変化を位相変化量とした。そして、5回測定した位相変化量の平均値と標準偏差を計算した。測定物Xの移動量の真値と測定値との誤差の標準偏差を測距精度とすると、100μmの測距精度が達成されていることがわかった。
実施例2のテラヘルツレーダ装置は、テラヘルツパルス波を用い、TOF(タイム・オブ・フライト)法により測定物Xまでの距離を測定する装置である。図4は、実施例2のテラヘルツレーダ装置の構成を示す図である。実施例2のテラヘルツレーダ装置は、2台のフェムト秒レーザ110、111と、2台のフェムト秒レーザ110、111のモード同期周波数を制御するモード同期周波数制御手段112と、光伝導アンテナ113、114と、放射方向制御手段115と、電流電圧変換アンプ116と、SFG強度相互相関計122と、高速デジタイザ123と、コンピュータ124と、レンズ125、126によって構成されている。
フェムト秒レーザ110、111は、実施例1のテラヘルツレーダ装置に用いたフェムト秒レーザ10、11と同様である。フェムト秒レーザ110の出力光はポンプ光として用い、フェムト秒レーザ111の出力光はプローブ光として用いる。ポンプ光のモード同期周波数f1と、プローブ光のモード同期周波数f2は、僅かに異なる値である。
モード同期周波数制御手段112は、図2に示すモード同期周波数制御手段12から参照信号を生成するミキサを省略した構成である。モード同期周波数制御手段112により、ポンプ光のモード同期周波数f1、およびプローブ光のモード同期周波数f2は高精度に安定化されている。フェムト秒レーザ10のモード同期周波数f1は掃引可能であり、モード同期周波数の差Δf(=f1−f2)は所望の値に設定することができる。
光伝導アンテナ113は、櫛形電極構造を持つ大口径の光伝導アンテナである。フェムト秒レーザ110からのポンプ光をレンズ125により集光して光伝導アンテナ113に入射させることで、高強度で広帯域のテラヘルツパルス波を発生させる。このテラヘルツパルス波は、モード同期周波数f1で、パルス幅はpsオーダーである。
光伝導アンテナ114は、光伝導アンテナ13、14と同様のボウタイ型の電極構造であり、非同期光サンプリング法(AOS法)により時間的に拡大されたテラヘルツパルス波の時間波形を検出する手段である。光伝導アンテナ114には、レンズ126によって集光されてプローブ光が入射し、測定物Xにより反射されて戻ってきたテラヘルツパルス波が入射する。光伝導アンテナ114は、プローブ光とテラヘルツパルス波が同じタイミングで入射した場合のみ、テラヘルツパルス波の電場に比例した電気信号を出力する。この電気信号の時間波形は、テラヘルツパルス波の電場時間波形を時間的にf1/Δf倍に拡大したものである。これは、テラヘルツパルス波のモード同期周波数f1と、プローブ光のモード同期周波数f2が僅かに異なるので、光伝導アンテナ114においてテラヘルツパルス波とプローブ光の重なるタイミングが、パルスごとにS(S=Δf/(f1*f2)、Δf=f1−f2)ずつ自動的にずれていくためであり、その重なるタイミングの計測は、テラヘルツパルス波の時間波形を間隔Sでサンプリング計測して時間的に拡大したのと等価である。ずれていったテラヘルツパルス波とプローブ光の重なるタイミングが、再びもとに戻るまでに要する時間は、1/Δfであり、これはテラヘルツパルス波の電場時間波形を得るのに要する時間(測定周期)である。
放射方向制御手段115は、光伝導アンテナ113から放射されたテラヘルツパルス波を軸外し放物面鏡により平行光にコリメートして測定物Xに照射し、測定物Xにより反射されたテラヘルツパルス波を導いて光伝導アンテナ114に入射させる手段である。テラヘルツパルス波は、ミラーによって放射方向を制御して走査することで測定物Xに照射する。測定物Xにより反射されたテラヘルツパルス波は、軸外し放物面鏡により集光して光伝導アンテナ114に入射させる。
SFG強度相互相関計122は、和周波光を発生させるための非線形光学結晶と、その和周波光を検出する光電子増倍管と、光電子増倍管からの出力を増幅する電流電圧変換アンプにより構成されていて、ポンプ光およびプローブ光からSFG強度相互相関信号を生成する手段である。ビームスプリッタ127、128によって抽出されたポンプ光とプローブ光は、非線形光学結晶に入力され、和周波混合によりSFG相互相関信号光を発生させる。これを光電子増倍管により検出し、電流電圧変換アンプにより増幅することで、SFG強度相互相関信号を得る。SFG強度相互相関信号は、高速デジタイザ123のトリガー信号、つまり時間原点信号として用いる。
高速デジタイザ123は、光伝導アンテナ114から出力され、電流電圧変換アンプ116により増幅された電気信号の時間波形を測定する。サンプリング速度は、500kサンプル/秒である。
コンピュータ124は、高速デジタイザ123によって測定されたテラヘルツパルス波の時間波形からパルスの遅れを求め、パルスの遅れから測定物Xまでの距離を算出する手段である。
なお、実施例1のテラヘルツレーダ装置の場合と同様に、テラヘルツレーダ装置内におけるポンプ光、プローブ光、およびテラヘルツパルス波の伝搬は、空間を伝搬させてもよいし、光ファイバや光導波路を用いて伝搬させてもよい。
次に、実施例2のテラヘルツレーダ装置による測定物Xまでの距離測定方法について説明する。
まず、モード同期周波数制御手段112によってフェムト秒レーザ110、111のモード同期周波数f1、f2を安定させる。そして、フェムト秒レーザ110からのポンプ光をレンズ125により集光して光伝導アンテナ113に入射させ、テラヘルツパルス波を発生させる。発生したテラヘルツパルス波は、放射方向制御手段115によって導かれ、テラヘルツパルス波の放射方向を制御して走査し、測定物Xにテラヘルツパルス波を照射する。測定物Xにより反射されたテラヘルツパルス波は、放射方向制御手段115に導かれて光伝導アンテナ114に入射する。
一方、フェムト秒レーザ111からのプローブ光を光伝導アンテナ114に入射させ、プローブ光とテラヘルツパルス波が同じタイミングで入射した場合のみ、テラヘルツパルス波の電場に比例した電気信号を出力する。この電気信号の時間波形は、上述のように、テラヘルツパルス波の電場時間波形を間隔S(=Δf/(f1*f2)でサンプリングして時間的にf1/Δf倍に拡大したものである。光伝導アンテナ114から出力された電気信号は、電流電圧変換アンプ116によって増幅された後、高速デジタイザ123に入力される。
また、ビームスプリッタ127、128によってポンプ光、プローブ光を抽出してSFG強度相互相関計122に入射させ、SFG強度相互相関信号を発生させる。
次に、高速デジタイザ123により、SFG強度相互相関信号をトリガー信号(時間原点信号)として電流電圧変換アンプ116からの電気信号の時間波形を測定する。そして、コンピュータ124において、測定された電気信号の時間波形からパルスの遅れ(トリガー信号からのパルスの遅れ)を求め、パルスの遅れから測定物Xまでの距離を算出する。たとえば、パルスの時間遅れがtであれば、時間スケールをリスケーリングしてt*(Δf/f1)とし、光速cを乗じた値、ct*(Δf/f1)が、テラヘルツレーダ装置と測定物X間の往復の光路長であるから、測定物Xまでの距離は、ct*(Δf/f1)*(1/2)となる。1回の時間波形取得に要する時間は、測定周期1/Δfであるから、1/Δfごとに測定物Xの距離測定を行うことができる。
また、テラヘルツパルス波のサンプリング間隔S、時間拡大率、測定周期は、いずれもモード同期周波数の差Δfに依存しているので、モード同期周波数制御手段112によりf1、f2を変えることで、サンプリング間隔S、時間拡大率、測定周期を所望の値に設定することができる。特に、f1を変更することで、測距レンジc/f1を変更することができる。
また、異なるf1でパルスの遅れを測定し、パルスの遅れの変化量を測定すれば、測定物Xの距離が測距レンジを超えている場合であっても、測定物Xまでの距離を測定することができる。
以上のように、実施例2のテラヘルツレーダ装置によると、機械的ステージを用いないため、テラヘルツパルス波の時間波形を高速に求めることができ、テラヘルツパルス波を時間的に拡大して計測するので検出器の応答速度によらず高分解な計測が可能であるため、高分解な測距を高速に行うことができる。したがって、測定物が移動体の場合にもリアルタイムで測距を行うことが可能である。また、測定レンジを超える距離に測定物がある場合であっても、測定物までの距離を測定することができる。また、テラヘルツ波を用いるため、天候の影響を受けることなく高精度な測距を行うことが可能である。
図5は、測定物Xの真の変位量と、実施例2のテラヘルツレーダ装置を用いて測定した変位量との関係を示したグラフである。f1は81.8MHz、Δfは10Hzとした。ここで変位量は、機械的ステージに乗せた測定物Xをテラヘルツレーダ装置から1m遠方に配置し、測定物Xを1cmずつ動かした時の、初期位置(テラヘルツレーダ装置から1m遠方の位置)からの測定物Xの移動量である。なお、測定物Xにはアルミ板を用い、初期位置から20cmの距離まで測定物Xを移動させた。図5より、真の変位量と測定した変位量とに良好な線形関係が得られていることがわかる。また、測定物Xの真の変位量と測定した変位量との誤差の標準偏差を測距精度とすると、800μmの測距精度が得られていることがわかった。
図6は、測定物Xを機械的ステージに乗せて40mm/sの速度で連続的に移動させながら、テラヘルツパルス波の時間波形を測定した結果である。f1は81.8MHz、Δfは10Hzとした。図6は1秒ごとの時間波形を示しており、グラフの横軸は時間をサンプリング点数で表わしたものである。パルス1周期は50000pointであり、グラフでは10000point分、つまりパルス1/5周期分の時間波形を示している。図6をみると、1秒後ごとにパルスのピークが約1100point移動していることがわかる。1100pointは距離にして約40mmであり、測定物Xの1秒間の移動量におおよそ一致している。このように、実施例2のテラヘルツレーダ装置によると、測定物Xが移動体である場合にも、距離の測定が可能である。
また、図7は、測定物Xとして階段状の段差(各段差は50mm、50mm、70mm、170mm)が設けられたサンプルを用意し、テラヘルツパルス波を走査してサンプルの各段に照射して時間波形を測定し、得られた時間波形を重ねて示したグラフである。グラフの横軸はテラヘルツレーダ装置からの距離であり、時間波形のピーク位置は、各段までの距離を示している。f1は81.8MHz、Δfは10Hzとした。図7のように、ピークの間隔として50mm、70mm、170mmが得られており、これは確かにサンプルの各段差の距離に一致している。
なお、実施例1、2において、テラヘルツ波の発生手段、検出手段として光伝導アンテナを用いているが、非線形光学結晶を用いてテラヘルツ波を発生、検出してもよい。
また、実施例2のテラヘルツレーダ装置において、テラヘルツパルス波の時間波型を元の時間スケールに戻し、フーリエ変換して周波数スペクトルを測定し、テラヘルツ吸収または散乱の指紋スペクトルのデータベースと比較する手段を設ければ、実施例1のテラヘルツレーダ装置のように、測定物の距離測定と平行して測定物の識別を行うことも可能である。
また、実施例1、2において、テラヘルツ波を放射方向制御手段により2次元的に走査すれば、測定物の2次元的な距離画像を得ることもできる。また、得られた測定物の距離画像を画像データベース等で比較することにより測定物を識別する手段を、実施例1、2のテラヘルツレーダ装置に設けてもよい。
本発明のテラヘルツレーダ装置によると、短時間で測定物の距離を測定することができるので、リアルタイムでの測距が可能である。
10、11、110、111:フェムト秒レーザ
12、112:モード同期周波数制御手段
13、14、113、114:光伝導アンテナ
15、115:放射方向制御手段
16、116:電流電圧変換アンプ
17:位相差計
19:オシロスコープ
122:SFG強度相互相関計
123:高速デジタイザ
124:コンピュータ

Claims (14)

  1. モード同期周波数が異なる2台のフェムト秒レーザと、
    2台の前記フェムト秒レーザのそれぞれのモード同期周波数が安定化され、かつモード同期周波数の差が一定値に保持されるよう制御するモード同期周波数制御手段と、
    一方のフェムト秒レーザの出力光をポンプ光として用いてテラヘルツコムを発生させるテラヘルツ波発生手段と、
    前記テラヘルツ波発生手段により発生させたテラヘルツコムを任意の方向に走査して測定物に照射するテラヘルツ波照射手段と、
    他方のフェムト秒レーザの出力光をプローブ光として用い、前記測定物により反射されたテラヘルツコムと、プローブ光とを入射し、多周波ヘテロダイン光伝導検出により、プローブ光のモード同期周波数とテラヘルツコムのモード同期周波数との差周波数をコム間隔とする周波数コムである電気信号を生成して検出するテラヘルツ波検出手段と、
    前記電気信号から単数または複数のコムモードを抽出し、各コムモードで位相を測定する位相測定手段と、
    を備えていることを特徴とするテラヘルツレーダ装置。
  2. 前記位相測定手段は、位相の変化量により前記測定物の移動量を測定する手段である、ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツレーダ装置。
  3. 前記テラヘルツ波検出手段から出力される前記電気信号の周波数スペクトルを測定する周波数スペクトル測定手段と、
    測定した周波数スペクトルを、テラヘルツ吸収または散乱の指紋スペクトルのデータベースと比較して前記測定物を識別する測定物識別手段と、
    をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテラヘルツレーダ装置。
  4. 前記位相測定手段は、ロックインアンプを有し、前記ロックインアンプを用いて参照信号に同期させることで前記電気信号からコムモードを抽出する、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のテラヘルツレーダ装置。
  5. 前記モード同期周波数制御手段は、ポンプ光およびプローブ光からモード同期周波数の差周波数のn倍周波数の信号を生成して出力する手段を有し、この信号を前記ロックインアンプの前記参照信号とする、
    ことを特徴とする請求項4に記載のテラヘルツレーダ装置。
  6. 前記モード同期周波数制御手段は、前記参照信号の周波数を掃引可能であることを特徴とする請求項5に記載のテラヘルツレーダ装置。
  7. モード同期周波数が異なる2台のフェムト秒レーザと、
    2台の前記フェムト秒レーザのそれぞれのモード同期周波数が安定化され、かつモード同期周波数の差が一定値に保持されるよう制御するモード同期周波数制御手段と、
    一方のフェムト秒レーザの出力光をポンプ光として用いてテラヘルツパルス波を発生させるテラヘルツ波発生手段と、
    前記テラヘルツ波発生手段により発生させたテラヘルツパルス波を任意の方向に走査して測定物に照射するテラヘルツ波放射手段と、
    他方のフェムト秒レーザの出力光をプローブ光として用い、前記測定物により反射されたテラヘルツパルス波と、プローブ光とを入射し、非同期光サンプリング法により、テラヘルツパルス波とプローブ光が同じタイミングで入射したときのみ、テラヘルツパルス波の電場に比例した電気信号を生成して検出するテラヘルツ波検出手段と、
    前記ポンプ光と前記プローブ光とから、時間原点信号であるSFG相互相関信号を生成する時間原点信号生成手段と、
    前記電気信号を増幅して前記電気信号の時間波形を、前記時間原点信号をトリガーとして高速デジタイザーで測定し、前記時間原点信号を基準とした前記電気信号の遅れから、前記測定物までの距離を算出する距離算出手段と、
    を備えていることを特徴とするテラヘルツレーダ装置。
  8. 前記モード同期周波数制御手段は、モード同期周波数の差を所望の値に設定することができる、ことを特徴とする請求項7に記載のテラヘルツレーダ装置。
  9. 前記モード同期周波数制御手段は、出力光をポンプ光として用いる方の前記フェムト秒レーザのモード同期周波数を掃引可能可能である、
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のテラヘルツレーダ装置。
  10. 前記距離算出手段は、ポンプ光のモード同期周波数を変化させた場合の、前記電気信号の遅れの変化量から前記測定物までの距離を算出する手段である、
    ことを特徴とする請求項9に記載のテラヘルツレーダ装置。
  11. 前記テラヘルツ波生成手段は、光伝導アンテナまたは非線形光学結晶であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のテラヘルツレーダ装置。
  12. 前記テラヘルツ波検出手段は、光伝導アンテナまたは電気光学結晶であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のテラヘルツレーダ装置。
  13. 前記モード同期周波数制御手段は、原子時計を基準として2台の前記フェムト秒レーザのそれぞれのモード同期周波数を制御する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のテラヘルツレーダ装置。
  14. 前記測定物の距離画像を生成し、その距離画像から前記測定物の識別を行う手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のテラヘルツレーダ装置。
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