JP2009215845A - 水栓装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検知体の動作変化を略静止を含む2つ以上の異なる状態に分別し、その状態間の時系列的な変化から被検知体とその動作状態を判定し、最適なタイミングで吐水を行うことができる水栓装置を提供する。
【解決手段】吐水部と、前記吐水部への水路を開閉するバルブと、放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号を所定の周波数帯域に分別する第1のフィルタ部と、前記分別された検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水の可否を判定し、前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部と、を備え、前記第1のフィルタ部は、第1の周波数帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域を有するフィルタが少なくとも1つ設けられた第2のフィルタ部と、を有し、前記第1の周波数帯域には、被検知体の略静止状態を検知するための直流成分が含まれていること、を特徴とする水栓装置が提供される。
【選択図】図1
【解決手段】吐水部と、前記吐水部への水路を開閉するバルブと、放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号を所定の周波数帯域に分別する第1のフィルタ部と、前記分別された検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水の可否を判定し、前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部と、を備え、前記第1のフィルタ部は、第1の周波数帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域を有するフィルタが少なくとも1つ設けられた第2のフィルタ部と、を有し、前記第1の周波数帯域には、被検知体の略静止状態を検知するための直流成分が含まれていること、を特徴とする水栓装置が提供される。
【選択図】図1
Description
本発明は、水栓装置に関し、より具体的には、手洗い場やトイレ、キッチンなどに設けられ、マイクロ波などを利用した電波センサを用いて吐水流の吐水を制御する水栓装置に関する。
マイクロ波などの送信波が被検知体に当たると反射波を生じる。この反射波を受信することにより人体などの被検知体を検知することができるので、これを検知手段として水栓装置の吐水の自動制御に使用する技術が知られている。
例えば、人体を検知して吐水を自動制御する装置としては、人体や金属物などを被検知体として、その被検知体からの反射電波の強度をもとに被検知体の有無を検知し、被検知体を検知した場合には吐水を行う装置が知られている。
ここで、電波のドップラー効果を利用して動体を検知し、外部機器の制御を行う技術が提案されている(特許文献1を参照)。
また、送信波と受信波の干渉により生じる定在波を検波して得られた検波信号に基づいて静止した人体の検知を行う技術が提案されている(特許文献2を参照)。すなわち、定在波を検波することで直流成分からなる検波信号を取り出して、これに基づいて静止した人体の検知を行う技術が提案されている。
特開2007−71658号公報
特開2004−283467号公報
例えば、人体を検知して吐水を自動制御する装置としては、人体や金属物などを被検知体として、その被検知体からの反射電波の強度をもとに被検知体の有無を検知し、被検知体を検知した場合には吐水を行う装置が知られている。
ここで、電波のドップラー効果を利用して動体を検知し、外部機器の制御を行う技術が提案されている(特許文献1を参照)。
また、送信波と受信波の干渉により生じる定在波を検波して得られた検波信号に基づいて静止した人体の検知を行う技術が提案されている(特許文献2を参照)。すなわち、定在波を検波することで直流成分からなる検波信号を取り出して、これに基づいて静止した人体の検知を行う技術が提案されている。
特許文献1に開示された技術によれば、水栓装置に対して接近してくる手の動きや水栓装置近傍における手の動きを検知することができる。しかしながら、動体のみしか検知することができないため、手の接近や離遠を検知することは可能であるが、水栓装置近傍で行われ、且つ水栓装置を使用しない動きに対しても吐水を行ってしまうおそれがある。
また、特許文献2に開示された技術によれば、静止した物体の状態を検知することができる。しかしながら、定在波を用いて物体の状態を検知しているため、静止物の検知も可能であるが、距離に応じて振幅が周期的に変動することになる。そのため、センサ部の近傍にある物体においても小さな検知信号しか得ることが出来ない場合もあり、誤検知を生じるおそれがあった。更に、定在波は直流成分の検知信号により形成されるため、時間的な振幅変動を有する交流信号の除去を行い検知信号を得るようにしている。そのため、ハイパスフィルタや信号処理によって高い周波数帯の信号が除去されてしまうので、速い動きに対しての検知信号の出力が困難となる。その結果、物体の接近や離遠に対しての判断を行うことが困難となる。すなわち、静止物のみしか検知できないため、水栓装置近傍に置かれた物体と、手の識別が困難である。特に、静止する前後の動作を検知することができないので、検知された物体が何かを判断することが非常に困難となる。更に、接近後の静止しか検知できないため検知確認までに時間を要し、タイムリーな吐水を行うことが困難であった。
本発明は、被検知体の動作変化を略静止を含む2つ以上の異なる状態に分別し、その状態間の時系列的な変化から被検知体とその動作状態を判定し、最適なタイミングで吐水を行うことができる水栓装置を提供する。
本発明の一態様によれば、吐水部と、前記吐水部への水路を開閉するバルブと、放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号を所定の周波数帯域に分別する第1のフィルタ部と、前記分別された検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水の可否を判定し、前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部と、を備え、前記第1のフィルタ部は、第1の周波数帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域を有するフィルタが少なくとも1つ設けられた第2のフィルタ部と、を有し、前記第1の周波数帯域には、被検知体の略静止状態を検知するための直流成分が含まれていること、を特徴とする水栓装置が提供される。
本発明によれば、被検知体の動作変化の順序から被検知体とその動作状態を判定することによって、誤検知を低減し、さらに最適なタイミングで吐水を行うことができる水栓装置が提供される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る水栓装置を例示するための模式斜視図である。
また、図2は、水栓装置の構成を表すためのブロック図である。
図1、図2に示すように水栓装置1は、センサ部100と、制御部200と、バルブ250と、吐水部30と、を備えている。センサ部100は、マイクロ波あるいはミリ波などの高周波の電波を放射(送信)し、放射した電波の被検知体からの反射波を受信して、被検知体の有無を検知し、その検知信号を出力する電波センサである。
図1は、本発明の実施の形態に係る水栓装置を例示するための模式斜視図である。
また、図2は、水栓装置の構成を表すためのブロック図である。
図1、図2に示すように水栓装置1は、センサ部100と、制御部200と、バルブ250と、吐水部30と、を備えている。センサ部100は、マイクロ波あるいはミリ波などの高周波の電波を放射(送信)し、放射した電波の被検知体からの反射波を受信して、被検知体の有無を検知し、その検知信号を出力する電波センサである。
制御部200は、フィルタ部210、バルブ制御部240を有している。
制御部200は、後に詳述するように、センサ部100からケーブル150を通して出力された検知信号を所定の周波数帯域に分別し、分別された検知信号に基づいて吐水部30からの吐水の可否を判定し、バルブ250の開閉を制御する。
吐水部30とバルブ250とは、配水管10によって接続されている。バルブ250は、吐水部30への水路を開閉する。すなわち、バルブ250が開放されている場合には、水は配水管10の内部を通り、吐水部30が有する吐水口32から吐水される。一方、バルブ250が閉止されている場合には、水が吐水口32から吐水されることはない。なお、本願明細書において「水」という場合には、「湯」や「温水」を含むものとする。また、配水管10の経路上に湯を生成する給湯器等を設置した場合においては、制御部200から送信されるバルブ250を駆動するための信号に基づいて給湯器等を駆動することにより、適温の湯を供給することも可能となる。
制御部200は、後に詳述するように、センサ部100からケーブル150を通して出力された検知信号を所定の周波数帯域に分別し、分別された検知信号に基づいて吐水部30からの吐水の可否を判定し、バルブ250の開閉を制御する。
吐水部30とバルブ250とは、配水管10によって接続されている。バルブ250は、吐水部30への水路を開閉する。すなわち、バルブ250が開放されている場合には、水は配水管10の内部を通り、吐水部30が有する吐水口32から吐水される。一方、バルブ250が閉止されている場合には、水が吐水口32から吐水されることはない。なお、本願明細書において「水」という場合には、「湯」や「温水」を含むものとする。また、配水管10の経路上に湯を生成する給湯器等を設置した場合においては、制御部200から送信されるバルブ250を駆動するための信号に基づいて給湯器等を駆動することにより、適温の湯を供給することも可能となる。
吐水口32の下方には吐水される水を受けるための受水部40が設けられている。受水部40は、吐水流34が着水する受水面41を有する。また、受水部40は、受水面41の周囲に設けられた左側面42と、後面43と、右側面44と、前面45と、をさらに有する(以下、左側面42と、後面43と、右側面44と、前面45と、の少なくともいずれかを「側面」とも言う)。なお、受水面41と、左側面42、後面43、右側面44、前面45などと、の境界は必ずしも明瞭である必要はない。例えば、受水面41と前面45との間が連続的な曲面により形成されていてもよい。また、受水面41と側面とは垂直の関係では無く、受水面41と側面とが識別可能な角度又は形状で形成されていてもよい。特に洗面器等においては、大部分が曲面で形成されているため、側面の識別が困難であるが、そのような形状の場合には、受水面41と異なる角度で形成され、且つ直接吐水を受けることが無い面を側面とすることができる。更に、受水面41は、水平面で形成されるものに限定されず、傾きを持って形成されたものでもよい。また側面はすべて深さ方向に対して同じ長さを有することなく、受水面41及び受水部40全体の形状に応じて変化してもよい。吐水口32から吐水された吐水流34は、矢印(流れ方向)302のように受水面41に対して斜め方向に着水する。但し、これだけに限られるわけではなく、例えば、受水面41に対して略垂直方向に着水してもよい。
センサ部100は、受水部40の左側面42の裏側に設けられている。このセンサ部100は、マイクロ波あるいはミリ波などの高周波の電波を放射(送信)し、放射した電波の被検知体からの反射波を受信して、被検知体に関する情報(被検知体の有無や状態)を検知し、その検知信号を出力する電波センサである。
また、センサ部100は左側面42の裏側に設けられているため、センサ部100からの電波が放射されやすいように、受水部40の材質は、例えば樹脂や陶器などのように、比誘電率が低い材質(例えば、εr=2〜6近傍)であることが好ましい。ただし、受水部の材質が金属であっても、少なくともセンサ部100の前面を覆う部分に非誘電率の低い材料である樹脂や陶器などからなる図示しない窓部などを設けるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、センサ部100を左側面42に設ける場合を例示したが、これに限定されるわけではない。例えば、センサ部100を吐水部30が設けられた側の側面以外の側面(左側面42、右側面44、前面45)に設けるようにすることができる。
例えば、吐水部30と対峙する側面である前面45の裏側にセンサ部100を設けるようにすることができる。特に、吐水部30と対峙する一方向のみから使用される洗面器のようなものの場合には、吐水部30と対峙する側にセンサ部100を設けるようにすることが好ましい。
吐水部30と対峙する側面(前面45)にセンサ部100を設けるようにすれば、水栓装置1の近くにいる使用者が水栓装置1を使用する目的で手(被検知体)を差し出していると判断することができる。そのため、センサ部100の前方に形成される検知範囲に手(被検知体)が略静止したことを検知した時点で吐水を開始させることができるので、従来よりも短い時間で吐水を開始させることが可能となる。その結果、使用者が手を差し出す場所を迷わずに洗浄を行うことも可能となる。ここで、略静止とは、静止状態のみならず静止しようとしている人体の僅かな揺らぎなどをも含んだ状態を言う。
吐水部30と対峙する側面(前面45)にセンサ部100を設けるようにすれば、水栓装置1の近くにいる使用者が水栓装置1を使用する目的で手(被検知体)を差し出していると判断することができる。そのため、センサ部100の前方に形成される検知範囲に手(被検知体)が略静止したことを検知した時点で吐水を開始させることができるので、従来よりも短い時間で吐水を開始させることが可能となる。その結果、使用者が手を差し出す場所を迷わずに洗浄を行うことも可能となる。ここで、略静止とは、静止状態のみならず静止しようとしている人体の僅かな揺らぎなどをも含んだ状態を言う。
また、センサ部100の近傍にのみ検知範囲を設けることで、吐水部30と対峙する側面近傍に手を差し出すことにより手の略静止状態を検知することが可能となる。一方、検知範囲を側面近傍に設けることで、吐水部30を掃除する動きのような吐水部30近傍における被検知体の動きや被検知体の静止状態を検知することが無くなる。そのため、吐水が必要でない場合の略静止状態などに対する誤検知を抑制することも可能となる。
また、センサ部100を駆動する電源のON/OFFを切り替え可能な図示しない切替部(例えばスイッチなど)を設けることができる。そのようにすれば、センサ部100を設置している受水部40の掃除をする場合などにおいて、上記切替部によりセンサ部100をOFF状態にして吐水が行われないように設定することができる。その結果、受水部40の掃除をする場合などにセンサ部100の検知範囲内に手が進入した場合でも、誤検知による吐水を防ぐことが可能となる。なお、切替部の設置に関しては、受水部40近傍で、使用者が操作しやすい部分に設置することが望ましい。例えば、受水部40を使用する際に使用者が立つ場所の近傍などに設置することができる。また、切替部はセンサ部100のON/OFFの切替に用いられるため、頻繁に使用されることが無い。また、OFF状態に操作された場合にはセンサ部100が駆動することがない。そのため、受水部40の表面に露出させず、隠蔽できるように設置することが望ましい。例えば、開閉可能な収納部などに切替部を設けることができる。
なお、後述するように、被検知体の動作変化(移動や略静止)の順序に関する情報に基づいて吐水開始の判定を行っているため、水栓装置1の近傍における動作(単に手などの被検知体が横切る等)が行われた場合においても、誤検知をすることなく確実な検知及び吐水を行うことができる。ここで、動作変化だけでは手などの被検知体の差し出しと、単に手などの被検知体が横切る等との識別が難しい。そのため、後述するように、動作変化の順序に関する情報(およその検知距離に関する情報などを含む)をも用いることによって、単に被検知体の有無を判断するのではなく、被検知体の動作や位置を識別できるようにしている。
また、吐水部30と対峙する側面以外の側面である左側面42または右側面44の裏側にセンサ部100を設けるようにすることができる。このような構成は、特にキッチンのように吐水部30と対峙する側面以外の方向から水栓装置1を使用する場合に適している。
吐水部30と対峙する側面以外の左側面42または右側面44にセンサ部100を設けるようにすれば、例えば左側面42または右側面44の側から水栓装置1を使用する場合においては、立ち位置から吐水部30までの手の動線上に検知範囲が設けられることになる。そのため、吐水操作を行うためだけに手を動かす必要がなくなり、動線上における手の移動だけで吐水をさせることが可能となる。
また、吐水部30と対峙する位置から水栓装置1を使用する場合においても、対峙する側面(前面45)側から左右方向の側面(左側面42、右側面44)に設けられたセンサ部100を目視又は認識することが容易となる。また、光電センサのように検知位置が不明確となり吐水操作を行うための検知位置が何処にあるのかを迷うということも低減させることができる。
また、吐水部30と対峙する位置から水栓装置1を使用する場合においても、対峙する側面(前面45)側から左右方向の側面(左側面42、右側面44)に設けられたセンサ部100を目視又は認識することが容易となる。また、光電センサのように検知位置が不明確となり吐水操作を行うための検知位置が何処にあるのかを迷うということも低減させることができる。
また、検知範囲に手(被検知体)が入ったことを報知手段によって使用者に知らせることで、五感による識別ができるようにすることもできる。そのようにすれば、吐水操作を行うための検知位置が何処にあるのかを明確にすることができるので、操作のための動作を更に容易にすることができる。報知手段としては、例えば、光の点灯/消灯による報知や、音声による報知等を行うものを例示することができる。報知手段は、水栓装置の設置環境に応じて適宜選択することが望ましい。例えば、公共施設等に設置された水栓装置においては、周囲の雑音が大きいため音声では認識できない。このような場合においては、光の点灯/消灯による報知とすることで、使用者に対して確実な報知を行うことが可能となる。
図3は、センサ部100を例示するためのブロック図である。
センサ部100には、アンテナ112、送信部114、受信部116、ミキサ部118が設けられている。送信部114に接続されたアンテナ112からは、高周波、マイクロ波あるはミリ波などの10kHz〜100GHzの周波数帯の電波が放射される。具体的には、アンテナ112からは、例えば10.525GHzの周波数を有する送信波T1が放射される。人体などの被検知体からの反射波または透過波T2は、アンテナ112を経由して受信部116に入力される。ここで、アンテナは、図3(a)に表したように送信側と受信側とを共通としてもよく、または、図3(b)に表したように、送信部114にはアンテナ112aを接続し、受信部116にはアンテナ112bを接続してもよい。
送信波の一部と受信波とは、ミキサ部118にそれぞれ入力されて合成され、例えばドップラー効果が反映された検知信号(反射信号)が出力される。ミキサ部118から出力された検知信号は、制御部200に向けて出力される。
センサ部100には、アンテナ112、送信部114、受信部116、ミキサ部118が設けられている。送信部114に接続されたアンテナ112からは、高周波、マイクロ波あるはミリ波などの10kHz〜100GHzの周波数帯の電波が放射される。具体的には、アンテナ112からは、例えば10.525GHzの周波数を有する送信波T1が放射される。人体などの被検知体からの反射波または透過波T2は、アンテナ112を経由して受信部116に入力される。ここで、アンテナは、図3(a)に表したように送信側と受信側とを共通としてもよく、または、図3(b)に表したように、送信部114にはアンテナ112aを接続し、受信部116にはアンテナ112bを接続してもよい。
送信波の一部と受信波とは、ミキサ部118にそれぞれ入力されて合成され、例えばドップラー効果が反映された検知信号(反射信号)が出力される。ミキサ部118から出力された検知信号は、制御部200に向けて出力される。
また、図1、図2に示すように、制御部200には、センサ部100からの検知信号を所定の周波数帯域に分別するフィルタ部210、周波数帯域に分別された検知信号に基づいて吐水部からの吐水の可否を判定し、バルブ250の開閉を制御するバルブ制御部240が設けられている。ここで、制御部200についてさらに説明をする。
図4は、第1の具体例に係る制御部を例示するためのブロック図である。
また、図5、図6は、比較例に係る制御部を例示するためのブロック図である。
まず、比較例に係る制御部から説明をする。
図5に示すように、第1の比較例に係る制御部201には、フィルタ211、フィルタ212、フィルタ213、バルブ制御部241が設けられている。センサ部100に設けられているミキサ部118から出力された検知信号は、まずフィルタ211において低周波数成分が取り除かれる。この際のフィルタリング周波数は、例えば人体の動きを検知し、それ以外の外乱を低減させるという目的より3Hzから100Hz未満とすることができる。
また、図5、図6は、比較例に係る制御部を例示するためのブロック図である。
まず、比較例に係る制御部から説明をする。
図5に示すように、第1の比較例に係る制御部201には、フィルタ211、フィルタ212、フィルタ213、バルブ制御部241が設けられている。センサ部100に設けられているミキサ部118から出力された検知信号は、まずフィルタ211において低周波数成分が取り除かれる。この際のフィルタリング周波数は、例えば人体の動きを検知し、それ以外の外乱を低減させるという目的より3Hzから100Hz未満とすることができる。
ここで、ミキサ部118から出力された検知信号は、ある一定の電圧または周波数の低いベースラインに周波数の高い信号が重畳した波形を有する。この高周波数成分には、ドップラー効果に関する情報が含まれている。そのため、フィルタ211において低周波数成分を取り除くことでドップラー効果に関する情報を含む高周波数成分(ドップラー周波数信号)のみを取り出すようにしている。
ここで、人体などの被検知体が移動すると、ドップラー効果によって反射波の波長がシフトする。ドップラー周波数ΔF(Hz)は、下記の式(1)により表すことができる。
ΔF=Fs−Fb=2×Fs×v/c ・・・式(1)
但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×106m/s)
センサ部100に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表されるように、その速度vに比例した周波数ΔFを含む検知信号が得られる。検知信号は周波数スペクトラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には相関関係がある。そのため、フィルタ211を介することで取り出された高周波数成分をフィルタ212、フィルタ213を介することでさらに所定の周波数帯域に分割し、ドップラー周波数ΔFを測定するようにすれば、速度vを求めることができる。また、各周波数帯域の移り変わりを見れば速度の変化(減速/加速)を知ることができる。そして、例えば、バルブ制御部241により減速していることが確認された場合には、バルブ250を開放して吐水を行うようにすることができる。なお、日本においては、人体を検知する目的には10.50〜10.55GHzまたは24.05〜24.25GHzの周波数が使用できる。
ΔF=Fs−Fb=2×Fs×v/c ・・・式(1)
但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×106m/s)
センサ部100に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表されるように、その速度vに比例した周波数ΔFを含む検知信号が得られる。検知信号は周波数スペクトラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には相関関係がある。そのため、フィルタ211を介することで取り出された高周波数成分をフィルタ212、フィルタ213を介することでさらに所定の周波数帯域に分割し、ドップラー周波数ΔFを測定するようにすれば、速度vを求めることができる。また、各周波数帯域の移り変わりを見れば速度の変化(減速/加速)を知ることができる。そして、例えば、バルブ制御部241により減速していることが確認された場合には、バルブ250を開放して吐水を行うようにすることができる。なお、日本においては、人体を検知する目的には10.50〜10.55GHzまたは24.05〜24.25GHzの周波数が使用できる。
このような制御部201によれば、特許文献1に開示された技術のように、水栓装置に対して接近してくる手の動きや水栓装置近傍における手の動きを検知することができる。しかしながら、動体のみしか検知できないため、手の接近や離遠を検知することは可能であるが、水栓装置近傍の動きをも検知してしまう。そのため、水栓近傍に物を置く、または水栓近傍にある物を取るような水栓装置近傍で行われ、且つ水栓装置1を使用しない動きに対しても吐水を行ってしまうおそれがある。
また、図6に示すように、第2の比較例に係る制御部202には、フィルタ214、バルブ制御部241が設けられている。センサ部100に設けられているミキサ部118から出力された検知信号は、まずフィルタ214において高周波数成分が取り除かれる。そのため、ミキサ部118から出力された検知信号のうち、周波数の低いベースラインのもの(直流成分)のみが取り出されるようになっている。この直流成分にはドップラー効果に関する情報が含まれていないが、センサ部100から被検知体までの距離に応じて発生する検知信号を得ることが出来る。
このような制御部202によれば、特許文献2に開示された技術のように、静止した手の状態を検知することができる。しかしながら、距離に応じて発生する検知信号を得ることが出来るが、定在波は周期的に電圧値が変動する信号であるため、電圧値に対して一義的に距離を求めることが困難である。そのため、センサ部100近傍に被検知体があった場合においても、小さな電圧値しか得られない場合もある。その結果、遠方の物体との識別が困難となる恐れがあった。特にドップラー信号を含む高周波数成分を除去しているため、被検知体の動きを検知信号より予測することが困難となる。そのため、検知された被検知体の状態(例えば距離等)を判断することが非常に困難となる。その結果、被検知体の検知確定の判断に時間を要し、タイムリーな吐水を行うことが困難となる。
これらに対し、図4に示すように本実施の形態に係る制御部200には、フィルタ部210、バルブ制御部240が設けられている。また、フィルタ部210には、フィルタ210aと、フィルタ210bとが設けられている。フィルタ210aは、直流成分を含む低周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタである。そして、フィルタ210bはフィルタ210aの周波数帯域よりも高い周波数の検知信号を通過させるフィルタとなっている。ここで、フィルタ210aを通過した検知信号に基づいて略静止した使用者の手などを検知することができるようになっている。前述したように、略静止とは、静止状態のみならず静止しようとしている人体の僅かな揺らぎなどをも含んだ状態を言う。そのため、フィルタ210aにおいては、僅かな揺らぎなどをも検知するために直流成分のみならず低周波数帯域の検知信号を通過させるようにしている。フィルタ210aを通過する直流成分を含む検知信号としては、例えば、直流成分(0Hz)と0Hzを超え3Hz以下の周波数成分とを含む検知信号を例示することができる。
フィルタ部210をこのような構成とし、検知信号を2つに分割して、フィルタ210aを通過する検知信号で略静止状態を検知し、フィルタ210bを通過する高い周波数成分を含む検知信号で被検知体の移動(速い動き)を検知するようにすれば、水栓装置1の吐水判定を正確に行うことが可能となる。例えば、水栓装置1の近傍で手を動かしている状態を検知した場合においては、フィルタ210bを通過する検知信号のみしか検知されないため、略静止状態に至らない動作として吐水を禁止する判定を行うことが可能となる。また、例えば、水栓装置1の近傍に単に物(例えば、鍋やフライパンなど)が置かれた場合においては、フィルタ210aを通過する検知信号のみしか検知されないため、水栓装置1の吐水操作を行うための動作ではないとして吐水を禁止する判定を行うことが可能となる。
また、フィルタ210aを通過した信号と、フィルタ210bを通過した信号と、に基づいて被検知体の減速を検知することもできる。そのため、フィルタ210aを通過した信号と、フィルタ210bを通過した信号と、に基づいて被検知体の減速を検知した後に、フィルタ210aを通過した信号に基づいて被検知体の略静止を検知した場合には、吐水部30からの吐水を行う判定をすることもできる。
フィルタ部210をこのような構成とし、検知信号を2つに分割して、フィルタ210aを通過する検知信号で略静止状態を検知し、フィルタ210bを通過する高い周波数成分を含む検知信号で被検知体の移動(速い動き)を検知するようにすれば、水栓装置1の吐水判定を正確に行うことが可能となる。例えば、水栓装置1の近傍で手を動かしている状態を検知した場合においては、フィルタ210bを通過する検知信号のみしか検知されないため、略静止状態に至らない動作として吐水を禁止する判定を行うことが可能となる。また、例えば、水栓装置1の近傍に単に物(例えば、鍋やフライパンなど)が置かれた場合においては、フィルタ210aを通過する検知信号のみしか検知されないため、水栓装置1の吐水操作を行うための動作ではないとして吐水を禁止する判定を行うことが可能となる。
また、フィルタ210aを通過した信号と、フィルタ210bを通過した信号と、に基づいて被検知体の減速を検知することもできる。そのため、フィルタ210aを通過した信号と、フィルタ210bを通過した信号と、に基づいて被検知体の減速を検知した後に、フィルタ210aを通過した信号に基づいて被検知体の略静止を検知した場合には、吐水部30からの吐水を行う判定をすることもできる。
本実施の形態によれば、センサ部100に設けられているミキサ部118から出力された検知信号を分割して、フィルタ210aを通過した信号と、フィルタ210bを通過した信号と、に基づいて吐水部30からの吐水の可否を判定するようにしている。また、後述するように被検知体の動作変化の順序から被検知体とその動作状態をさらに詳細に判定するようにしている。そのため、被検知体とその動作状態の詳細を把握することができ、誤検知を防止することが可能となる。例えば、フィルタ210bを通過した信号から被検知体が加速している状態が検知された場合には、水栓装置1の吐水操作を行うための動作ではないと判断することができるので、誤検知を防止することができる。そして、吐水を禁止することによって、誤検知による吐水を防止することができる。
また、被検知体とその動作状態を正確に把握することができるので、迅速な判定をすることができ、最適なタイミングで吐水を行うことができるようになる。例えば、フィルタ210aとフィルタ210bを通過した信号に基づいて被検知体が減速している状態が検知され、これに続いてフィルタ210aを通過した信号に基づいて被検知体が略静止した状態が検知された場合には、水栓装置1の吐水操作を行うための動作と判断することができる。そのため、バルブ制御部240により直ちにバルブ250を開放してタイムリーなタイミングで吐水を行うことができる。
尚、本実施の形態においては、検知信号を2つに分割する場合を例示したが、これに限定されるわけではない。例えば、後述するように検知信号を3つ以上に分割して、高い周波数の検知信号の分割数を複数にすることもできる(図9〜図11を参照)。そのようにすれば、被検知体の動作状態の解析をさらに詳細に行うことができる。
また、本実施の形態において、被検知体の略静止状態を検知するための直流成分を含む第1の周波数帯を有する第1のフィルタと、第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯を有するフィルタとを例示したがこれに限定されるわけではない。
第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯は、第1の周波数帯の最小周波数よりも高い周波数を最小周波数とし、第一の周波数帯の最大周波数よりも高い周波数を最大周波数とする周波数帯とすることもできる。すなわち、各周波数帯に重複する範囲があってもよい。
第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯は、第1の周波数帯の最小周波数よりも高い周波数を最小周波数とし、第一の周波数帯の最大周波数よりも高い周波数を最大周波数とする周波数帯とすることもできる。すなわち、各周波数帯に重複する範囲があってもよい。
次に、バルブ制御部240における判定についてさらに詳細に例示をする。
図7、図8は、バルブ制御部における判定方法を例示するための模式グラフ図である。 なお、図7(a)、図8(a)は、フィルタ210bを通過する検知信号の様子を表したものであり、図7(b)、図8(b)は、フィルタ210aを通過する検知信号の様子を表したものである。なお、各図とも縦軸は電圧を表し、横軸は時間を表している。
図7、図8は、バルブ制御部における判定方法を例示するための模式グラフ図である。 なお、図7(a)、図8(a)は、フィルタ210bを通過する検知信号の様子を表したものであり、図7(b)、図8(b)は、フィルタ210aを通過する検知信号の様子を表したものである。なお、各図とも縦軸は電圧を表し、横軸は時間を表している。
水栓装置1の吐水操作を行うために、手などの被検知体がセンサ部100の電波の送信範囲内にある検知範囲に対して近づいてくる場合には、振幅値である電圧値が時間の経過に対して増大することになる。逆に、被検知体が検知範囲から遠ざかる場合には、振幅値である電圧値が時間の経過に対して減少することになる。
そのため、図7(a)のA部に示すような波形が現れた場合には、被検知体が検知範囲に近づいてきていると判定することができる。この際、判定条件である所定の電圧値(図中の判定条件1、判定条件2)に検知された信号の振幅値が達すれば、判定条件を満たす(被検知体が近づいてきている)ものとしている。
一方、図8(a)のC部に示すような波形が現れた場合には、被検知体が検知範囲から遠ざかっていると判定することができる。この際、判定条件である所定の電圧値(図中の判定条件1、判定条件2)に検知された信号の振幅値が達すれば、判定条件を満たす(被検知体が遠ざかり始めている)ものとしている。
また、手などの被検知体がセンサ部100の電波の送信範囲内にある検知範囲で略静止状態となった場合には、電圧値の周期的な変動が無く、直流成分が出力されることになる。 そのため、図7(b)のB部や図8(b)のD部に示すような波形が現れた場合には、被検知体が検知範囲で略静止した状態にあると判定することができる。この際、所定位置の近傍(例えば、センサ部100の近傍)における略静止状態を条件とするために、判定条件である所定の電圧値(図中の判定条件3)に検知された信号が達すれば、判定条件を満たす(被検知体が略静止状態となった)ものとしている。
このように、バルブ制御部240における判定においては、判定条件が満たされたか否か(振幅値などが所定の電圧値に達したか否か)によって判定を行うようにしているので、後述するように所定の距離に入った被検知体に対して判定を行うことができる。そのため、誤検知を防止することが可能となる。
また更に、バルブ制御部240における判定においては、判定条件が満たされたか否か(振幅値が所定の電圧値に達したか否か)だけではなく、判定条件が満たされた順序をも考慮することで、被検知体の動作状態の詳細を正確に把握するようにしている。
このように、バルブ制御部240における判定においては、判定条件が満たされたか否か(振幅値などが所定の電圧値に達したか否か)によって判定を行うようにしているので、後述するように所定の距離に入った被検知体に対して判定を行うことができる。そのため、誤検知を防止することが可能となる。
また更に、バルブ制御部240における判定においては、判定条件が満たされたか否か(振幅値が所定の電圧値に達したか否か)だけではなく、判定条件が満たされた順序をも考慮することで、被検知体の動作状態の詳細を正確に把握するようにしている。
例えば、図7(a)に示すように、まずフィルタ210bを通過する検知信号が検知されるとともに、その波形から被検知体が検知範囲に近づいてきていると判定され、その後に、図7(b)に示すように、フィルタ210aを通過する検知信号が検知されるとともに、その波形から被検知体が所定位置で静止状態になったと判定された場合には、バルブ制御部240によりバルブ250を開放して吐水を行うようにしている。
これに対して、図8(b)に示すように、まずフィルタ210aを通過する検知信号が検知されるとともに、その波形から被検知体が所定位置で静止状態に有ると判定され、その後に、図8(a)に示すように、フィルタ210bを通過する検知信号が検知されるとともに、その波形から被検知体が検知範囲から遠ざかっていると判定された場合には、吐水を行わないようにしている。これにより、例えば、水栓装置1を使用し、止水した直後に使用者の手が検知範囲内で静止している状態から、手を使用者側へ戻す場合などにおいても、誤検知することを防ぐことができる。
このような状況においては、使用者は吐水がされることを認識していないため、吐水が行われると使用者の袖口などを濡らしてしまう等の不具合が発生するおそれがある。しかしながら、バルブ制御部240における判定においては、検知信号が検知される順序から被検知体の動作状態(動作の軌跡)をも正確に把握することができる。そのため、このような意図しない吐水が行われることもなく、また迅速で正確な判定を行うことができるので最適なタイミングで吐水を行うことができる。
次に、バルブ制御部240における判定要素について更に詳述する。
バルブ制御部240における判定要素としては、例えば、センサ部100から出力された検知信号をフィルタリングした信号の振幅値、周波数値、時間などを例示することができる。
バルブ制御部240における判定要素としては、例えば、センサ部100から出力された検知信号をフィルタリングした信号の振幅値、周波数値、時間などを例示することができる。
波形の振幅値を用いた判定においては、被検知体との距離を知ることができる。この場合、図7、図8に示したように、被検知体を検知したい範囲に対して所定の閾値(例えば、前述の判定条件1〜3)を設定して判断を行うようにすることができる。振幅値は、距離に依存するパラメータであるため検知範囲に直接反映することができる。そのため、所望の検知範囲に対して閾値を設定することが容易である。また、図7、図8に例示をした場合においては、閾値を基準値に対して高い側/低い側に設定(上下限の設定)しているが、どちらか一方とすることができる。例えば、所定の信号処理(例えば半波整流、全波整流)を行うことによって、1つの閾値に対して判定を行うことが可能となる。
また、閾値を3つ以上設けることも可能である。設定する閾値の数を増やすようにすれば、振幅値が閾値を順に超えて行くことを検知することができる。そのため、例えば、フィルタ210bを通過する検知信号に対して3つ以上の閾値を設けるようにすれば、被検知体がどの範囲を移動しているのかを識別することが可能となる。その結果、被検知体物体の動作、位置などを正確かつ確実に把握することが可能となり、例えば、水を切る動作のような吐水口近傍では行われにくい動作に対しての誤検知を防ぐことができる。
波形の周波数を用いた判定においては、被検知体の加減速などの状態を知ることができる。例えば、フィルタ210bを通過する検知信号に対して、周波数の変化を検知することで、減速/加速/等速の区別を知ることができるようになる。例えば、周波数が変化しなければ等速、周波数が高くなれば加速、低くなれば減速と判断することができる。そのため、被検知体の加減速などの状態を正確かつ確実に把握することが可能となる。この場合、例えば、図7、図8に例示をしたものの場合には、現れる波形の周期の変化から周波数の変化を検知することができる。
また、例えば、等速状態から加速状態に移行すれば、検知範囲から遠ざかっている可能性が高いため、吐水を行わない判定を行うようにすることができる。また、等速状態から減速状態に移行すれば、被検知体が検知範囲に近づいたため減速していると判断することができるため、吐水を行う判定を行うようにすることができる。なお、振幅値を用いた判定の閾値と組み合わせることで、おおよその距離情報を含めるようにすることが可能となるため、更に精度の高い検知を行うことが可能となる。
波形の傾きを用いた判定においては、被検知体の接近/離遠の判断を行うことができる。この場合、例えば、振幅の極値を結んだ直線(基準値に対して片側ずつ、または整流した場合には各極値)の傾きによって、接近/離遠の判定を行うことができる。ここで、個々の被検知体により反射量が変化するため、前述した振幅値も変化する場合がある。そのような場合、波形の傾きを用いた判定を行うようにすれば、個々の被検知体に合わせて閾値などを設定する必要がなく、傾き量だけでおよその距離を把握することができる。そのため、容易に被検知体の移動(接近/離遠)の判断を行うことが可能となる。また、センサ部100(電波センサ)の放射ベクトル方向とは異なる方向から検知範囲内に物体が進入した場合には、波形の傾きが急になる。そのため、このような動きを知ることができ、これに対してより確実な吐水制御を行うことができる。すなわち、キッチンのような多方向から手などの被検知体が差し出される場合の判定要素として有効である。
波形の極値の個数に関しては、前述した振幅値と組み合わせることで、時間と同じような基準として用いることが可能となる。
時間に関しては、例えば、振幅値と組み合わせることにより誤検知などの判断に用いることができる。前述した振幅値を用いた判定においては、ノイズ等により瞬間的に閾値を超えてしまう可能性がある。そのような場合であっても、閾値を超えた時間によって判定を行うようにすれば、ノイズによる誤検知を防止することができるので、より検知精度に高い水栓装置とすることが可能となる。
波形の極値の個数に関しては、前述した振幅値と組み合わせることで、時間と同じような基準として用いることが可能となる。
時間に関しては、例えば、振幅値と組み合わせることにより誤検知などの判断に用いることができる。前述した振幅値を用いた判定においては、ノイズ等により瞬間的に閾値を超えてしまう可能性がある。そのような場合であっても、閾値を超えた時間によって判定を行うようにすれば、ノイズによる誤検知を防止することができるので、より検知精度に高い水栓装置とすることが可能となる。
図9は、第2の具体例に係る制御部を例示するためのブロック図である。
また、図10は、バルブ制御部における判定方法を例示するための模式グラフ図である。
図9に示すように、制御部203には、フィルタ部216、バルブ制御部240が設けられている。また、フィルタ部216には、フィルタ210aとフィルタ部215とが設けられている。前述したように、フィルタ210aは、直流成分を含む低周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタである。また、フィルタ部215はフィルタ210aの周波数帯域よりも高い周波数の検知信号を通過させるフィルタを備えている。
また、図10は、バルブ制御部における判定方法を例示するための模式グラフ図である。
図9に示すように、制御部203には、フィルタ部216、バルブ制御部240が設けられている。また、フィルタ部216には、フィルタ210aとフィルタ部215とが設けられている。前述したように、フィルタ210aは、直流成分を含む低周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタである。また、フィルタ部215はフィルタ210aの周波数帯域よりも高い周波数の検知信号を通過させるフィルタを備えている。
ここで、フィルタ部215においては、通過する周波数帯域をさらに細かく分別するために、複数の異なる周波数帯域を有するフィルタを並列接続した構成としている。すなわち、図9に例示をするものの場合には、フィルタ部215をフィルタ215a、フィルタ215b、・・・、フィルタ215n(n:整数)のn個のフィルタで構成するようにしている。なお、各フィルタは、異なる周波数帯域を有するものとされている。この場合、例えば、フィルタ215aを10〜15Hz、フィルタ215bを15〜20Hzのように周波数帯域を連続的に設定するようにすることもできるし、フィルタ215aを10〜20Hz、フィルタ215bを30〜40Hzのように検知のために必要となる最低限の周波数帯域だけを設定するようにすることもできる。
図9に示す場合においても、図7において例示をしたもののように、フィルタ部215を通過する検知信号に基づいて被検知体の移動を検知した後に、フィルタ210aを通過する検知信号に基づいて被検知体の略静止状態を検知した場合には、バルブ制御部240からバルブ250へ開放のための信号が送信される。図10は、そのような検知が行われる場合を例示したものである。
フィルタ部215には、異なる周波数帯域を有するフィルタが複数段設けられており、図10に例示をしたものの場合には、上方に記載されたものほど高い周波数帯域となっており、下方に記載されたものほど低い周波数帯域となっている。
一般的に、被検知体は、速い速度で接近し、水栓装置1の操作を行うために徐々に減速する動きを行うため、図10のように時間が経過するに従って低い周波数の検知信号が検知されることになる。
被検知体のこのような動きの特性により、フィルタ215aからフィルタ215nまでの判定条件が時系列的に満たされた後に、フィルタ210aの判定条件が満たされた場合には、吐水開始の判定を行うように設定することができる。この場合、被検知体が吐水操作を行う動作の順に合わせて順次判定を行うことが可能となるため、より誤検知の少ない確実な吐水を行うことができる。また、より迅速で正確な判定を行うことができるので更に最適なタイミングで吐水を行うことができる。
図11は、第3の具体例に係る制御部を例示するためのブロック図である。
図11に示すように、制御部204には、フィルタ部218、バルブ制御部240が設けられている。また、フィルタ部218には、フィルタ210a、フィルタ部219、フィルタ217が設けられている。前述したように、フィルタ210aは、直流成分を含む低周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタである。また、フィルタ部219においては、前述したフィルタ部215と同様に周波数帯域をさらに細かく各周波数ごとに分別するために、複数の異なる周波数帯域を有するフィルタ(フィルタ219a〜フィルタ219n)を並列接続した構成としている。
図11に示すように、制御部204には、フィルタ部218、バルブ制御部240が設けられている。また、フィルタ部218には、フィルタ210a、フィルタ部219、フィルタ217が設けられている。前述したように、フィルタ210aは、直流成分を含む低周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタである。また、フィルタ部219においては、前述したフィルタ部215と同様に周波数帯域をさらに細かく各周波数ごとに分別するために、複数の異なる周波数帯域を有するフィルタ(フィルタ219a〜フィルタ219n)を並列接続した構成としている。
ここで、本具体例の場合においては、フィルタ部219の前段に、検知信号(AC信号)の通過上限を設定するフィルタ217が直列に接続されている。このような構成とすれば、後段のフィルタ部219に入力する前に所定の周波数以下の検知信号を通過させる状況を作り出すことが可能となる。そのため、後段のフィルタ部219に設けられる各フィルタ(フィルタ219a〜フィルタ219n)を、前述したようなバンドパスフィルタ(BPF)とする必要がなくなり、例えば、ハイパスフィルタ(HPF)としても所定の周波数に対する通過幅を設定することが可能となる。これにより、ハードウエアで設計する場合に部品点数を低減させることが可能となり、同時にコストや組み立て工程を低減させることが出来る。
ここで、本発明においては、各フィルタをハードウエアまたはソフトウエアにより構成させることができる。
各フィルタをハードウエアにより構成したものとしては、例えば抵抗器(R)とキャパシタ(C)を構成要素として備えたものを例示することができる。そして、例えば、センサ部100からの検知信号に対して抵抗器(R)、キャパシタ(C)で構成したハイパスフィルタ、及びローパスフィルタを組み合わせることで、必要な周波数帯を分別及び抽出するフィルタを構成することが可能である。ハードウエアによりフィルタを構成した場合には、安価で簡易的な構成のフィルタを得ることが可能となる。ただし、各電子部品(抵抗器(R)、キャパシタ(C))の抵抗値や容量値のバラツキの影響を受けて設定した周波数に変動が生じるおそれがあるので、より厳密な周波数設定をすることが困難となる場合もある。
各フィルタをハードウエアにより構成したものとしては、例えば抵抗器(R)とキャパシタ(C)を構成要素として備えたものを例示することができる。そして、例えば、センサ部100からの検知信号に対して抵抗器(R)、キャパシタ(C)で構成したハイパスフィルタ、及びローパスフィルタを組み合わせることで、必要な周波数帯を分別及び抽出するフィルタを構成することが可能である。ハードウエアによりフィルタを構成した場合には、安価で簡易的な構成のフィルタを得ることが可能となる。ただし、各電子部品(抵抗器(R)、キャパシタ(C))の抵抗値や容量値のバラツキの影響を受けて設定した周波数に変動が生じるおそれがあるので、より厳密な周波数設定をすることが困難となる場合もある。
各フィルタをソフトウエアにより構成したものとしては、例えばマイクロコンピュータを用いた演算処理によってフィルタリングを行うディジタルフィルタを例示することができる。ディジタルフィルタを用いるようにすれば、フィルタリングする周波数を厳密に設定することができる。そのため、細かい周波数区分を行うことができるので、使用者の動作を的確に判断するのに適しているといえる。ただし、マイクロコンピュータのような演算素子を用いたフィルタリングのため、フィルタの数が多くなると演算時間が長くなる場合もある。この場合、演算時間が長くなると、バルブ250の開閉時間が遅くなるなどの問題が発生するおそれがある。また、直流(DC)や直流(DC)近傍の周波数に対してフィルタリングを行うことが出来ないなどの問題もある。
そのため、ハードウエアまたはソフトウエアにより構成されたフィルタを適宜選択するようにするか、両者を組み合わせることでフィルタ部を構成するようにしてもよい。
そのため、ハードウエアまたはソフトウエアにより構成されたフィルタを適宜選択するようにするか、両者を組み合わせることでフィルタ部を構成するようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、水栓装置1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、フィルタの数、周波数帯域、接続形態なども例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、バルブ制御部には、分別された検知信号に基づいて吐水部からの吐水の可否を判定する部分と、バルブの開閉を制御する部分とが一体に設けられていてもよいし、両部分が別々に設けられていてもよい。例えば、1個のCPUで吐水の可否の判定とバルブの開閉制御を行ってもよいし、複数のCPUを設けて吐水の可否の判定とバルブの開閉制御を別のCPUで行ってもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、水栓装置1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、フィルタの数、周波数帯域、接続形態なども例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、バルブ制御部には、分別された検知信号に基づいて吐水部からの吐水の可否を判定する部分と、バルブの開閉を制御する部分とが一体に設けられていてもよいし、両部分が別々に設けられていてもよい。例えば、1個のCPUで吐水の可否の判定とバルブの開閉制御を行ってもよいし、複数のCPUを設けて吐水の可否の判定とバルブの開閉制御を別のCPUで行ってもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1 水栓装置、10 配水管、30 吐水部、32 吐水口、40 受水部、41 受水面、42 左側面、43 後面、44 右側面、45 前面、100 センサ部、200 制御部、203 制御部、204 制御部、210 フィルタ部、210a フィルタ、210b フィルタ、215 フィルタ部、215a〜215n フィルタ、216 フィルタ部、217 フィルタ、218 フィルタ部、219 フィルタ部、219a〜219n フィルタ、240 バルブ制御部、250 バルブ
Claims (6)
- 吐水部と、
前記吐水部への水路を開閉するバルブと、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号を所定の周波数帯域に分別する第1のフィルタ部と、
前記分別された検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水の可否を判定し、前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部と、
を備え、
前記第1のフィルタ部は、第1の周波数帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域を有するフィルタが少なくとも1つ設けられた第2のフィルタ部と、を有し、
前記第1の周波数帯域には、被検知体の略静止状態を検知するための直流成分が含まれていること、を特徴とする水栓装置。 - 前記バルブ制御部は、前記第1のフィルタを通過した信号と、前記第2のフィルタ部を通過した信号と、に基づいて前記吐水部からの吐水の可否を判定し、前記バルブの開閉を制御すること、を特徴とする請求項1記載の水栓装置。
- 前記バルブ制御部は、前記第2のフィルタ部を通過した信号に基づいて前記被検知体の減速を検知した後に、前記第1のフィルタを通過した信号に基づいて前記被検知体の略静止を検知した場合には、前記吐水部からの吐水を行う判定をし、前記バルブを開放して吐水を行うこと、を特徴とする請求項1または2に記載の水栓装置。
- 前記バルブ制御部は、前記第2のフィルタ部を通過した信号と、前記第1のフィルタを通過した信号と、に基づいて前記被検知体の減速を検知した後に、前記第1のフィルタを通過した信号に基づいて前記被検知体の略静止を検知した場合には、前記吐水部からの吐水を行う判定をし、前記バルブを開放して吐水を行うこと、を特徴とする請求項1または2に記載の水栓装置。
- 前記第2のフィルタ部には、周波数帯域の異なる複数のフィルタが並列接続されていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の水栓装置。
- 前記並列接続された複数のフィルタの前段には、通過上限を設定するフィルタが直列に接続されていること、を特徴とする請求項5記載の水栓装置。
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---|---|---|---|
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