JP6073650B2 - ディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体 - Google Patents
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また、ディスクロータとの接触によってライニング部材が不用意に回転すると、それにより制動トルクの伝達にロスが発生したり、ブレーキノイズが発生したりしてしまう。そのため、ライニング部材の回転を規制する手段が必要になり、部品の増加がコストアップを招くと同時に、部品の増加に伴う組み立て工程数の増加が生産性の低下を招く。
即ち、ライニング組立体から制動トルクを受ける部材と、ライニング組立体へ押圧力を作用させる部材とが別個に設定されており、ライニング組立体へ押圧力を作用させるプレート当接曲面部及び裏板当接曲面部とトルク受けプレートとの各接触部には、大きい負荷となる制動トルクが作用しない。そのため、押圧力を伝達する各接触部は、制動トルクを受け止める玉継手等の堅牢な係合にする必要がなく、加工精度の緩和によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
しかしながら、板ばねは、外径がガイド孔部よりも大きく設定され、プレート嵌合部の外周に嵌着されて、ガイドプレートと抜け止めフランジ部との間に挟まれる。このため、プレート嵌合部に板ばねが嵌着されたライニング組立体は、旋回性の自由度が低く、制動時の高温状態等によりライニング面に偏摩耗が生じる可能性があった。
(1) 制動トルクを受けるガイドプレートに旋回自在に支持されディスクロータへ押圧される複数のライニング組立体と、前記ライニング組立体の摩擦材の裏面に固着された裏板部の外周面に設けられ、前記ガイドプレートに設けられたガイド孔部に旋回自在に嵌合するプレート嵌合部と、前記ライニング組立体に設けられ前記ガイド孔部よりも大きな外径の抜け止めフランジ部と、前記裏板部との間に間隙を開けて前記ガイドプレートに固着されたトルク受けプレートと、前記トルク受けプレートと前記裏板部との間に設けられ、複数のライニング組立体に跨って配備されて前記トルク受けプレートからの押圧力を前記ライニング組立体に作用させるリンクプレートと、前記リンクプレートに設けられ、前記トルク受けプレートのリンク支持部に当接して前記リンクプレートを旋回可能に支持する単一のプレート当接曲面部と、前記リンクプレートに設けられ、それぞれの前記ライニング組立体の裏板部の中心のリンク当接部に当接して前記ライニング組立体を旋回可能に支持する複数個の裏板当接曲面部と、前記リンクプレートに設けられ、それぞれの前記ライニング組立体の裏板部の中心から離れた位置に形成された係合孔に遊嵌してそれぞれのライニング組立体の旋回挙動を規制する回転規制部と、前記リンクプレートと前記裏板部との間に挟まれ前記ライニング組立体を前記ガイドプレート側に付勢された状態に支持するばね部材と、を備えることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。
そこで、非制動時のライニング組立体は、リンクプレートに対向する裏板部とリンクプレートの正面との間に圧縮状態で装着されるばね部材によって、ガイドプレート側に付勢された状態に支持される。ばね部材は、リンクプレートと裏板部との間に挟まれた圧縮状態では、抜け止めフランジ部がガイド孔部の周縁部に当接した状態に維持されるように、ライニング組立体をガイドプレート側に付勢する。
そして、制動開始時、ディスクロータへライニング組立体を押圧する押圧力は、トルク受けプレートから、リンクプレート及びばね部材を介してライニング組立体に作用する。ディスクロータからの反力が増大すると、ばね部材とリンクプレートのプレート可撓部とが弾性変形され、ライニング組立体を押圧する押圧力は、トルク受けプレートからリンクプレートのみを介してライニング組立体に作用する。この際、ガイド孔部の周縁部から抜け止めフランジ部が離反し、ライニング組立体は裏板当接曲面部によってリンクプレートに対して旋回可能に支持され、位置調整が可能となる。従って、旋回自由度が高いライニング組立体は、それぞれ個別の旋回動作でディスクロータ表面のうねりに追従して、ディスクロータ表面に接触するため、安定した摩擦面積を維持して、安定した制動特性を維持できる。
ライニング組立体の位置調整をするリンクプレートは、ばね部材を圧縮してライニング組立体と当接するよう配設される。即ち、ばね部材のセット荷重はガイドプレートとリンクプレートとで受けられる。制動時に位置調整されたライニング組立体は、制動が解除されると、ばね部材のセット荷重によって抜け止めフランジ部がガイド孔部の周縁部に当接した位置(つまり、リセット位置)となる。従って、制動時の高温状態等によりライニング面に偏摩耗が生じた場合であっても、制動が解除されると、ライニング組立体は、偏摩耗の生じた姿勢からフランジ部がガイド孔部の周縁部に当接するリセット位置に戻される。これにより、次の制動時には、ライニング組立体は、ライニング面の凸部からディスクロータ表面に接触し始めるので、偏摩耗の成長が抑止される。
本発明の一実施形態に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体11は、鉄道車両用ディスクブレーキ装置に使用されるもので、車軸上の不図示のディスクロータの周方向に、図1及び図2に示すように、隣接配置される2つの第1摩擦パッド組立て体13と第2摩擦パッド組立て体15とから構成されている。
第1摩擦パッド組立て体13及び第2摩擦パッド組立て体15は、同様の構成を有しており、車軸上のディスクロータに対峙して配置されて車体フレームに固定されたブレーキキャリパに内蔵のアクチュエータによってディスクロータのディスクロータ表面に向かって進退駆動される。
トルク受けプレート17の第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23の側の面には、それぞれの第1リンクプレート21と第2リンクプレート23とを旋回自在に支持するための平滑面であるリンク支持部39が、第1リンクプレート21と第2リンクプレート23のそれぞれの略重心位置に対応するように、形成されている。
一方、第1リンクプレート21と第2リンクプレート23の略重心位置には、トルク受けプレート17に形成されたリンク支持部39に当接して旋回可能に支持される単一のプレート当接曲面部41が形成されている。本実施形態の場合、プレート当接曲面部41は、リンク支持部39に対して旋回自在に当接する凸湾曲面に形成されている。
なお、本実施形態の場合、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23は略重心位置のプレート当接曲面部41がトルク受けプレート17に当接して旋回自在に支持されているので、このプレート当接曲面部41を除いて、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23のトルク受けプレート側の面とトルク受けプレート17との間には、旋回を許容する隙間が形成されている。
これに対応して、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23には、係合孔61に遊嵌してそれぞれのライニング組立体27の回転挙動を規制する回転規制部63が備えられている。
先ず、図5に示すように、背面を上方に向けてセットされたガイドプレート25のガイド孔部43に、摩擦材45がガイドプレート25の正面側(図6の下側)に突出するようにライニング組立体27が挿入装着される。ガイド孔部43に挿入装着されたライニング組立体27は、抜け止めフランジ部49がガイド孔部43の周縁部に当接した状態とされる。
本実施形態に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体11において、トルク受けプレート17上での各ライニング組立体27の位置規制は、ライニング組立体27のディスクロータ表面と平行な方向に対しては、ライニング組立体27のプレート嵌合部47とガイドプレート25のガイド孔部43との嵌合によって行われ、ディスクロータ表面と直交する方向に対しては、ライニング組立体27のリンク当接部59と第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23の裏板当接曲面部57との当接によって行われる。
従って、制動時にライニング組立体27に作用する制動トルクは、ガイドプレート25に伝達され、ガイドプレート25が固定されているトルク受けプレート17にダイレクトに伝達される。
また、ディスクロータへライニング組立体27を押圧する押圧力は、トルク受けプレート17から、トルク受けプレート17のリンク支持部39と第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23のプレート当接曲面部41との接触部を介して第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23に伝達され、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23の裏板当接曲面部57とライニング組立体27のリンク当接部59との接触部を介してライニング組立体27に作用する。
そのため、押圧力を伝達するそれぞれの接触部は、制動トルクを受け止める玉継手等の堅牢な係合にする必要がなく、加工精度の緩和によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
そのため、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23は、裏板当接曲面部57の近傍及びプレート当接曲面部41のそれぞれをトルク受けプレート17に接触させて、過大な反力をトルク受けプレート17に伝達すると同時に、破損が防止される。
また、ライニング組立体27のガイドプレート25からの脱落防止のために、独立した専用部品を追加していないため、部品の増加に起因したコストアップや組み立て工程数の増加による生産性の低下といった不都合の発生を回避できる。
従って、ライニング組立体27の厚さ方向の寸法公差の影響を受けずに、安定した制動特性を維持することができる。
即ち、本実施形態のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体11では、上記のように、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23にそれぞれ設けられた単一のプレート当接曲面部41がトルク受けプレート17のリンク支持部39に当接して、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23がトルク受けプレート17に対してそれぞれ旋回可能に支持される。また、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23に設けられた裏板当接曲面部57がそれぞれのライニング組立体27の裏板部33のリンク当接部59に当接して、ライニング組立体27が第1リンクプレート21又は第2リンクプレート23に対して旋回可能に支持される。
図8(c)に示すように、ディスクロータからの反力が増大すると、皿ばね51と、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23のプレート可撓部65とが弾性変形され、ライニング組立体27を押圧する押圧力は、トルク受けプレート17から、第1リンクプレート21及び第2リンクプレート23のみを介してライニング組立体27に作用する。この際、ガイド孔部43の周縁部から抜け止めフランジ部49が離反し、ライニング組立体27は裏板当接曲面部57によって第1リンクプレート21又は第2リンクプレート23に対して旋回可能に支持され、位置調整が可能となる。
例えば、1つのディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体を複数の単位摩擦パッド組立て体から構成する場合に、構成する単位摩擦パッド組立て体の数量は、1つ又は3つ以上としても良い。また、リンクプレートの数量も、上記実施形態の2つに限らず、1つ又は3つ以上とすることができる。
17…トルク受けプレート
21…第1リンクプレート(リンクプレート)
23…第2リンクプレート(リンクプレート)
25…ガイドプレート
27…ライニング組立体
33…裏板部
39…リンク支持部
41…プレート当接曲面部
43…ガイド孔部
45…摩擦材
47…プレート嵌合部
49…抜け止めフランジ部
51…皿ばね(ばね部材)
53…内径部
55…外径部
57…裏板当接曲面部
59…リンク当接部
61…係合孔
63…回転規制部
Claims (2)
- 制動トルクを受けるガイドプレートに旋回自在に支持されディスクロータへ押圧される複数のライニング組立体と、
前記ライニング組立体の摩擦材の裏面に固着された裏板部の外周面に設けられ、前記ガイドプレートに設けられたガイド孔部に旋回自在に嵌合するプレート嵌合部と、
前記ライニング組立体に設けられ前記ガイド孔部よりも大きな外径の抜け止めフランジ部と、
前記裏板部との間に間隙を開けて前記ガイドプレートに固着されたトルク受けプレートと、
前記トルク受けプレートと前記裏板部との間に設けられ、複数のライニング組立体に跨って配備されて前記トルク受けプレートからの押圧力を前記ライニング組立体に作用させるリンクプレートと、
前記リンクプレートに設けられ、前記トルク受けプレートのリンク支持部に当接して前記リンクプレートを旋回可能に支持する単一のプレート当接曲面部と、
前記リンクプレートに設けられ、それぞれの前記ライニング組立体の裏板部の中心のリンク当接部に当接して前記ライニング組立体を旋回可能に支持する複数個の裏板当接曲面部と、
前記リンクプレートに設けられ、それぞれの前記ライニング組立体の裏板部の中心から離れた位置に形成された係合孔に遊嵌してそれぞれのライニング組立体の旋回挙動を規制する回転規制部と、
前記リンクプレートと前記裏板部との間に挟まれ前記ライニング組立体を前記ガイドプレート側に付勢された状態に支持するばね部材と、
を備えることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。 - 請求項1記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体であって、
前記ばね部材が皿ばねからなり、
前記皿ばねは、内径部が前記リンクプレートに当接し、外径部が前記裏板部に当接することを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。
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