JP2008051202A - 車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して安定した制動特性を維持でき、しかも、使用部品の加工精度の緩和によるコストの低減、生産性の向上を実現することのできる車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体を得る。
【解決手段】ライニング部材8に作用する制動トルクは、ライニング部材8の裏板6のトルク伝達用ボス部6aが嵌合したガイドプレート3を介してトルク受けプレート17に伝達させる構成で、ライニング部材8をガイドプレート3に止める板ばね9は、トルク伝達用ボス部6aの先端に一体形成された球面当接用ボス部6bに係合する線ばね12により固定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して安定した制動特性を維持でき、しかも、構成部品の削減や使用部品の加工精度の緩和によってコストの節減や生産性の向上を実現することのできるように改良した車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体に関する。
ディスクブレーキ装置は、車軸に固定されるディスクロータと、このディスクロータに対峙して配置されるトルク受けプレートと、このトルク受けプレートをディスクロータに向かって進退駆動するアクチュエータを内蔵して車体フレームに固定されるブレーキキャリパと、トルク受けプレートのディスクロータ側の面に組み付けられるライニング部材等から構成されていて、トルク受けプレートをディスクロータ側に進出させて前記ライニング部材をディスクロータに押圧させた時の摺動摩擦により、制動力を発生する。
鉄道車両用のディスクブレーキ装置では、ディスクロータやブレーキライニングが大型であるため、ディスクロータに押圧させるライニング部材を一体部品で形成すると、摩擦熱等でディスクロータに発生するうねり等のために非接触の領域が多くなり、安定した摩擦面積を維持できず、安定した制動特性が得られない。
そこで、このような問題を解決するために、トルク受けプレート上には多数個の第2リンクプレートを略平面上に敷設し、各第2リンクプレート上には多数個の第1リンクプレートを互いに独立に旋回自在に敷設し、各第1リンクプレート上には多数個のライニング部材を互いに独立に旋回自在に配設して、トルク受けプレートのディスクロータ側への移動により、各第1リンクプレート上の各ライニング部材をディスクロータに接触させる構成のブレーキライニングが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような構成のブレーキライニングでは、小さく分割された各ライニング部材が、それぞれ個別の旋回動作でディスクロータ表面のうねりに追従して、ディスクロータ表面に接触するため、安定した摩擦面積を維持して、安定した制動特性を維持できる。
特表平10−507250号公報
ところで、上記特許文献1に記載のブレーキライニングでは、トルク受けプレート上でのライニング部材の位置規制は、ライニング部材の表面と平行な方向、及びライニング部材の表面と直交する方向のいずれも、球面接触部によりライニング部材を旋回自在に第1リンクプレートに連結している第1のユニバーサルジョイントで行っている。
また、第1リンクプレート上での第2リンクプレートの位置規制も、ライニング部材の表面と平行な方向、及びライニング部材の表面と直交する方向のいずれも、球面接触部により第1リンクプレートを旋回自在に第2リンクプレートに連結している第2のユニバーサルジョイントで行っている。
その結果、制動時にライニング部材に作用する制動トルクは、全て、ユニバーサルジョイントの球面接触部を介して、ライニング部材から第1リンクプレートへ、第1リンクプレートから第2リンクプレートへと順に伝達され、そして最終的に第2リンクプレートが結合されているトルク受けプレートに伝達されることになり、各ユニバーサルジョイントを堅牢に、且つ、各ユニバーサルジョイントの球面接触部を高精度に加工しておかないと、一部のユニバーサルジョイントに過大な負荷が集中して、破損を招く虞がある。
しかし、ユニバーサルジョイントの使用箇所が多いため、全てのユニバーサルジョイントを堅牢な構成とし、且つ、その球面接触部、及び該球面接触部が接触する相手側接触部を高精度に加工しなければならないとなると、部品の加工コストが嵩み、ブレーキライニングのコストアップや、生産性の低下を招くという問題があった。
また、上記特許文献1に記載のブレーキライニングは、鉄道車両用で、制動時にライニング部材に作用する制動トルクを、ライニング部材から第1リンクプレートへ、第1リンクプレートから第2リンクプレートへと順に伝達する構成のため、構成部品が多く、装置が大型化するため、乗用車等の小型車両のディスクブレーキへの転用ができなかった。
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して安定した制動特性を維持でき、しかも、構成部品の削減や使用部品の加工精度の緩和によってコストの低減、生産性の向上を実現することができ、また、小型化が可能で、乗用車等の小型車両のブレーキ装置としても好適な車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体を提供することである。
上記目的は下記構成により達成される。
(1)ディスクロータに対向配置されると共に、複数個のガイド穴が貫通形成されたガイドプレートと、
前記ディスクロータに接触させるライニング本体の裏面に裏板が貼付されると共に、前記裏板に突設したトルク伝達用ボス部の外周面が前記ガイドプレートの表面側から前記ガイド穴に旋回自在に嵌合する複数個のライニング部材と、
前記トルク伝達用ボス部の先端中央に突設された球面当接用ボス部に前記ガイドプレートの裏面側から外嵌し、前記球面当接用ボス部の外周に係合した線ばねにより球面当接用ボス部に固定されると共に、外周部を前記ガイド穴の周縁部に当接することにより、前記ライニング部材を前記ガイド穴に抜け止めする板ばねと、
前記ガイドプレートの裏面側に配置されて複数個のライニング部材の球面当接用ボス部の端面を球面当接構造により旋回自在に支持するリンクプレートと、
前記ガイドプレートに固定されて前記リンクプレートを球面当接構造により旋回自在に支持すると共に、ディスクロータに向かって進退駆動されるトルク受けプレートと、
を備え、
前記ライニング本体がディスクロータに押圧された際にライニング本体に作用する制動トルクは、前記裏板のトルク伝達用ボス部が嵌合するガイドプレートを介して前記トルク受けプレートに伝達することを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
(2)上記(1)の構成に加えて、前記リンクプレートは、前記球面当接用ボス部を収容する凹部の底部に、前記球面当接用ボス部の先端面と接触して該球面当接用ボス部を旋回自在に支持する球面当接面を備え、
且つ、前記球面当接用ボス部の外径と前記凹部の内径との差が、前記線ばねの線径よりも小さく設定されたことを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
(3)上記(1)又は(2)の構成に加えて、前記トルク伝達用ボス部は外周面に凸の円弧面を形成したガイドリングを嵌着して前記ガイド穴の内周面に接触することを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
(4)上記(1)乃至(3)の構成に加えて、前記球面当接構造は、球面凸面と該球面凸面の曲率より大きい曲率で球面接触する球面凹面とで構成することを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
上記(1)に記載の摩擦パッド組立体では、ディスクロータに押圧されるライニング部材が、小さく分割された複数個のライニング部材から構成されると共に、それぞれのライニング部材が球面当接構造により旋回自在に嵌合しているため、ディスクロータ面の変形に対して各ライニング部材がディスクロータ面の変形に柔軟に追従して、ディスクロータ表面との接触性を良好に維持する。従って、ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して安定した制動特性を維持することができる。
しかも、トルク受けプレート上でのライニング部材の位置規制は、ディスクロータ面と平行な方向に対しては、ライニング部材の裏板に突設されたトルク伝達用ボス部と、ガイドプレートに形成されたガイド穴との嵌合により行っており、また、ディスクロータ面と直交する方向に対しては、球面当接構造により行っている。
従って、制動時にライニング部材に作用する制動トルクは、ライニング部材からガイドプレートを介して、当該ガイドプレートに固定されているトルク受けプレートに伝達される。また、トルク受けプレートをディスクロータ側に押してライニング部材をディスクロータに押圧接触させるピストンの押圧力は、球面当接構造を介して、トルク受けプレートからリンクプレートに、リンクプレートから各ライニング部材に伝達される。
即ち、ライニング部材から制動トルクを受ける部材と、ライニング部材から押圧力を受ける部材とが別個に設定されており、球面当接構造には、押圧力のみで大きい負荷となる制動トルクが作用しない。
そのため、球面当接構造を構成する球面状の当接面や当接保持面には、加工精度を緩和して加工を容易にしても、制動トルクを受け止める堅牢な位置決めが実現でき、球面当接構造部品の加工精度の緩和によるコストの低減、生産性の向上を実現することができる。
さらに、ライニング部材の裏板と板ばねとを締結する機構としては、例えば、これらの構成部品を貫通する支持軸と、この支持軸に形成した溝に嵌合する止め輪を使った構成とすることができるが、このように裏板と別体の支持軸と止め輪を利用する機構では、部品点数の増加や組立工程の増加がコストアップを招く。
しかし、上記構成の摩擦パッド組立体の場合は、裏板に一体形成された球面当接用ボス部に板ばねを嵌合させた後、球面当接用ボス部に線ばねを係合させることで、裏板に板ばねが締結され、裏板と別体の支持軸を使用しない分、部品点数の削減や組立工程の削減を図って、コストの低減を図ることができる。
また、上記(2)に記載の摩擦パッド組立体では、球面当接用ボス部の外径と該球面当接用ボス部を収容するリンクプレートの凹部の内径との間の隙間は、板ばねの固定のために球面当接用ボス部に係合させた線ばねの線径より小さく設定されており、凹部の内周面が、球面当接用ボス部の先端側への線ばねの移動を規制する。
従って、球面当接用ボス部に係合させた線ばねが球面当接用ボス部の先端側に抜けることを確実に防止でき、線ばねによる板ばねの固定機能の信頼性を向上させることができる。
さらに、上記(3)に記載の摩擦パッド組立体では、トルク伝達用ボス部が、外周面を凸の円弧面として外周に嵌着されたガイドリングを介して、ガイド穴の内周面に旋回自在に嵌合している。
従って、ガイドリングの凸の円弧面は、ディスクロータ面の変形によってライニング部材が旋回するとき、ライニング部材の旋回に伴うトルク伝達用ボス部の傾斜を許容し、ライニング部材の旋回動作を円滑にすることができる。
また、上記(4)に記載の摩擦パッド組立体では、球面当接構造として、球面凸面と該球面凸面の曲率より大きい曲率で球面接触する球面凹面とを備えた構成とし、例えば球面凸面とした球面当接用ボス部の先端面と球面凹面としたリンクプレートの球面当接面とが曲率差を持って接触している。
従って、曲率差を持って接触していることで、ライニング部材は裏板の球面当接用ボス部を介してリンクプレートとの接触部で旋回自主性が保たれるようになっている。
以下、本発明に係る車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図10は本発明に係る摩擦パッド組立体の一実施の形態を示したもので、図1は本発明に係る車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体の正面図、図2は図1のA矢視図、図3は図1に示した摩擦パッド組立体を構成する2つの摩擦パッド組立体ユニットの内の一方のユニットを正面側上方から見た斜視図、図4は図3に示した摩擦パッド組立体ユニットの裏面側下方から見た斜視図、図5は図1のB−B断面図、図6は図5に示したガイドプレートの各ガイド穴にライニング部材が取り付けられたライニング組立体をその裏面側下方から見た斜視図、図7は図5のC部の拡大図、図8は図5のD部の拡大図、図9は図6に示したライニング組立体の裏面に、各ライニング部材の旋回自在性を維持するように当接するリンププレートを組み付けた状態の斜視図、図10は図9に示した組立体のガイドプレートにカバーを組み付けた状態の斜視図である。
この一実施の形態の車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体1は、鉄道車両用ディスクブレーキ装置に使用されるもので、図1に示すように、ディスクロータの回転方向の前側と後側とで2つに分割された2つの摩擦パッド組立体ユニット1A,1Bとから構成されている。
各摩擦パッド組立体ユニット1A,1Bは、略同一の部品構成をなしたもので、車軸上のディスクロータに対向配置されると共に複数個のガイド穴3a(図5参照)が貫通形成されたガイドプレート3と、ディスクロータに接触させるライニング本体5の裏面に裏板(プレッシャプレート)6が貼付されると共に、裏板6に突設した円柱状のトルク伝達用ボス部6aの外周面がガイドプレート3の表面側から円筒状のガイド穴3aに旋回自在に嵌合する複数個のライニング部材8と、トルク伝達用ボス部6aの先端中央に突設された球面当接用ボス部6bにガイドプレート3の裏面側から外嵌する板ばね9と、球面当接用ボス部6bの外周に係合して球面当接用ボス部6bに嵌合している板ばね9の内周縁を球面当接用ボス部6bに位置決め固定する線ばね12と、ガイドプレート3の裏面側に配置されて複数個のライニング部材8の球面当接用ボス部6bの端面における球面当接構造によりライニング部材8の旋回自在性を維持する複数個の第1リンクプレート11(図5及び図9参照)と、第1リンクプレート11相互の球面当接構造を介して第1リンクプレート11の旋回自在性を維持する第2リンクプレート13(図9参照)と、各リンクプレート11,13の上を覆うカバー15(図4及び図10)を介してガイドプレート3に固定されるトルク受けプレート17とを備えている。
ガイドプレート3は、図6に示すように、カバー15をねじ止めにより固定する取付穴3bが、周縁部に適宜間隔で形成されている。
本実施の形態の場合、ライニング部材8を取り付けるガイド穴3aは5個形成されている。裏板6のトルク伝達用ボス部6aは、図5に示すように、その外周に嵌着されたガイドリング14を介して、円筒状のガイド穴3aに旋回自在に嵌合している。
ガイド穴3aの内周面に接触するガイドリング14の外周面は、図8に示すように、凸の円弧面14aになっている。この凸の円弧面14aは、ディスクロータ面の変形によってライニング部材8が旋回するとき、ライニング部材8の旋回に伴うトルク伝達用ボス部6aの傾斜を許容し、ライニング部材8の旋回動作を円滑にする。
ライニング本体5に貼付される裏板6は、金属板にプレス加工等を施して、ライニング本体5の裏面に固着する板部から突出するトルク伝達用ボス部6aや球面当接用ボス部6bを一体形成したものである。
トルク伝達用ボス部6a及び球面当接用ボス部6bは、何れも、円柱状である。また、球面当接用ボス部6bは、トルク伝達用ボス部6aよりも小径で、中心軸をトルク伝達用ボス部6aに一致させた形態に設けられている。
線ばね12は、適度なばね性を有した鋼線材をリング状に成形したもので、図7に示すように、球面当接用ボス部6bの基端側の外周に形成した溝部61に係合することで、球面当接用ボス部6bに固定される。
線ばね12は、球面当接用ボス部6bの外周の溝部61に係合させると、図7、11に示すように、その外周面が球面当接用ボス部6bに嵌合している板ばね9の内周縁を押圧し、板ばね9の内周縁を球面当接用ボス部6bの基端の段差(トルク伝達用ボス部6aの端面)に押し付けた状態に位置決め固定する。
板ばね9は、図6に示すように、球面当接用ボス部6bに外嵌する穴が中心部に形成された円板状で、外周部9aがガイド穴3aの周縁部に当接するように外径が設定されている。そして、外周部9aから中心部の穴の近傍に向かって、スリット9bが形成されている。このスリット9bは、外周部9aの板厚方向の弾性変形を容易にして、外周部9aがガイド穴3aの周縁部に当接したときのばね特性を得ている。
この板ばね9は、図5に示すように、ガイドプレート3のガイド穴3aを挿通してガイドプレート3の裏面側に突出した状態の球面当接用ボス部6bに中心部の穴を嵌合させ、球面当接用ボス部6bに組み付けた状態にする。そして、球面当接用ボス部6bの溝部61に線ばね12を係合させることで、板ばね9が球面当接用ボス部6bに固定された状態になる。板ばね9の球面当接用ボス部6bへの固定が完了すると、それと同時に、板ばね9の外周部9aがガイド穴3aの周縁部を押さえて、ライニング部材8がガイド穴3aから抜け落ちないようにする抜け止めが完了する。
摩擦パッド組立体1の製造工程では、まず、図6に示すように、ガイドプレート3の全てのガイド穴3aにライニング部材8を組み込み、その後、線ばね12を球面当接用ボス部6bに装着することで、各ライニング部材8に板ばね9を固定したライニング組立体10を完成させる。そして、このライニング組立体10に対して、第1リンクプレート11、第2リンクプレート13、カバー15、トルク受けプレート17を順に組み付けてゆく。
第1リンクプレート11は、図5及び図7に示すように、ガイドプレート3上のガイド穴3aの配列ピッチに対応して、球面当接用ボス部6bを収容する凹部11aが2個設けられている。この凹部11aは、略円柱形の空洞でその底部には、球面当接用ボス部6bの先端面である球面凸面の当接面63と球面接触する球面凹面の球面当接面11bが形成されている。そして、球面当接面11bの球面凹面は、球面当接用ボス部6bの球面凸面より大きい曲率で形成されている。球面当接面11bは、この球面当接面11bと曲率差を持った球面当接用ボス部6bの先端の当接面63との協働で、ライニング部材8の旋回自在性を維持するための球面当接構造を構成する。
即ち、第1リンクプレート11の装着により、その第1リンクプレート11の凹部11aの球面当接面11bに球面状の当接面63を当接した2個のライニング部材8が、互いに独立に旋回自在に支持される。
そして、本実施の形態の場合、図7に示すように、球面当接用ボス部6bの外径d1と凹部11aの内径d2との差が、線ばね12の線径よりも小さく設定されている。
第2リンクプレート13は、図9に示すように、2個の第1リンクプレート11の上に被せられ、上記と同様に構成された図示せぬ球面当接構造により、これら2個の第1リンクプレート11と、第1リンクプレート11に支持されていないライニング部材8とに旋回自在に当接して、互いに独立してこれら部材の旋回自在性を確保する。
この第2リンクプレート13が第1リンクプレート11又はライニング部材8の旋回自在性を維持する球面当接構造は、図示はしていないが、各第1リンクプレート11の第2リンクプレート13側の面の重心付近位置を旋回自在に押圧するもので、第1リンクプレート11がライニング部材8を旋回自在に押圧する構造と同様の当接構造とすることができる。
この第2リンクプレート13のトルク受けプレート17側の面の重心位置には、図9に示すように、トルク受けプレート17との間で球面当接構造を形成する球面状の当接面13aが形成されている。
カバー15は、図10に示すようにライニング組立体10の裏面に第1リンクプレート11と第2リンクプレート13とを組み付けた状態にした後、これらの各リンクプレート11,13の上を覆うようにライニング組立体10の裏面に被せられ、図3及び図4に示すように、その周縁部がガイドプレート3の表面側から挿入されたねじ16aとこのねじ16aに螺合するナット16bとによりガイドプレート3の取付穴3bに締結固定される。
図10に示すように、カバー15には、第2リンクプレート13を露出させる窓部15aが開口している。
トルク受けプレート17は、図4に示すように、リベット18によりカバー15の外面に固定される。従って、トルク受けプレート17は、カバー15を介してガイドプレート3に固定される。
トルク受けプレート17のカバー15側の面には、図示はしていないが、カバー15に開口した窓部15aに露出する球面状の当接面13aに接触して、第2リンクプレート13の旋回自在性を維持する、当接面13aより曲率の大きい当接保持面が形成されている。
カバー15に固定されたトルク受けプレート17は、車体フレームに固定された不図示のブレーキキャリパに内蔵されたアクチュエータによってディスクロータに向かって進退駆動される。このトルク受けプレート17のディスクロータ側への移動によって、ライニング本体5がディスクロータに押圧接触して、制動力を発揮する。
以上に説明した摩擦パッド組立体1では、ディスクロータに押圧されるライニング部材8が、小さく分割された複数個のライニング部材8から構成されると共に、それぞれのライニング部材8がガイドプレートに設けたガイド穴に旋回自在に支持されているため、ディスクロータ面の変形に対しては各ライニング部材8が追従して、ディスクロータ表面との接触性を良好に維持する。従って、ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して安定した制動特性を維持することができる。
しかも、トルク受けプレート上でのライニング部材8の位置規制は、ディスクロータ面と平行な方向に対しては、ライニング部材8の裏板6に突設されたトルク伝達用ボス部6aと、ガイドプレート3に形成されたガイド穴3aとの嵌合によって達成されており、また、ディスクロータ面と直交する方向に対しては、ライニング部材8と第1リンクプレート11との間、第1リンクプレート11と第2リンクプレート13との間、第2リンクプレート13とトルク受けプレート17との間の曲率差を持ったそれぞれの球面当接構造によって達成されている。
従って、制動時にライニング部材8に作用する制動トルクは、ライニング部材8からガイドリング14さらにガイドプレート3を介して、当該ガイドプレート3に固定されているトルク受けプレート17にダイレクトに伝達される。また、トルク受けプレート17をディスクロータ側に押してライニング本体5をディスクロータに押圧接触させるピストンの押圧力は、上記の各球面当接構造を介して、トルク受けプレート17から第2リンクプレート13に、第2リンクプレート13から第1リンクプレート11に、第1リンクプレート11から各ライニング部材8に伝達される。
即ち、ライニング部材8から制動トルクを受ける部材と、ライニング部材8から押圧力を受ける部材とが別個に設定されており、球面当接構造には、大きい負荷となる制動トルクが作用しない。
そのため、球面当接構造を構成する球面状の当接面や当接保持面には、加工精度を緩和して加工を容易にしても、制動トルクをしっかりと受け止める堅牢な位置決めが実現できるので、球面当接構造部品の加工精度の緩和によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
さらに、ライニング部材8の裏板6と板ばね9とを締結する機構としては、例えば、これらの構成部品を貫通する支持軸と、この支持軸に形成した溝に嵌合する止め輪を使った構成とすることができるが、このように裏板と別体の支持軸と止め輪を利用する機構では、部品点数の増加や組立工程の増加がコストアップを招く。
しかし、本実施の形態の摩擦パッド組立体1の場合は、裏板6に一体形成された球面当接用ボス部6bに板ばね9を嵌合させた後、球面当接用ボス部6bに線ばね12を係合させることで、裏板6に板ばね9が締結され、裏板6と別体の支持軸を使用しない分、部品点数の削減や組立工程の削減を図って、コストの低減を図ることができる。
また、ライニング部材8の裏板6に、トルク伝達用ボス部6aや球面当接用ボス部6bを一体形成することにより、部品点数を削減してコンパクト化を図ることが可能になり、乗用車等の小型車両のブレーキ装置として有用な小型化を図ることができる。
また、裏板6に一体形成するトルク伝達用ボス部6aは、その先端に一体形成する球面当接用ボス部6bよりも大径に設定するが、その大径化したトルク伝達用ボス部6aの外周をガイド部材に嵌合させることで、ライニング部材8からガイドプレート3への制動トルクの伝達に必要な強度確保が容易になり、耐久性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態の摩擦パッド組立体1では、球面当接用ボス部6bの外径d1と該球面当接用ボス部6bを収容する第1リンクプレート11の凹部11aの内径d2との間の隙間は、板ばね9の固定のために球面当接用ボス部6bに係合させた線ばね12の線径より小さく設定されており、凹部11aの内周面が、球面当接用ボス部6bの先端側への線ばね12の移動を規制する。
従って、球面当接用ボス部6bに係合させた線ばね12が球面当接用ボス部6bの先端側に抜けることを確実に防止でき、線ばね12による板ばね9の固定機能の信頼性を向上させることができる。
本発明に係る車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体の一実施の形態の正面図である。 図1のA矢視図である。 図1に示した摩擦パッド組立体を構成する2つの摩擦パッド組立体ユニットの内の一方のユニットを正面側上方から見た斜視図である。 図3に示した摩擦パッド組立体ユニットの裏面側下方から見た斜視図である。 図1のB−B断面図である。 図5に示したガイドプレートの各ガイド穴にライニング部材が取り付けられたライニング組立体をその裏面側下方から見た斜視図である。 図5のC部の拡大図である。 図5のD部の拡大図である。 図6に示したライニング組立体の裏面に、各ライニング部材の旋回自在性を維持するリンププレートを組み付けた状態の斜視図である。 図9に示した組立体のガイドプレートにカバーを組み付けた状態の斜視図である。
符号の説明
1 摩擦パッド組立体
1A,1B 摩擦パッド組立体ユニット
3 ガイドプレート
3a ガイド穴
5 ライニング本体
6 裏板(プレッシャプレート)
6a トルク伝達用ボス部
6b 球面当接用ボス部
8 ライニング部材
9 板ばね
9a 外周部
9b スリット
11 第1リンクプレート
11a 凹部
11b 球面当接面
12 線ばね
13 第2リンクプレート
13a 球面状の当接面
15 カバー
17 トルク受けプレート
61 溝部
62 底面
63 球面状の当接面

Claims (4)

  1. ディスクロータに対向配置されると共に、複数個のガイド穴が貫通形成されたガイドプレートと、
    前記ディスクロータに接触させるライニング本体の裏面に裏板が貼付されると共に、前記裏板に突設したトルク伝達用ボス部の外周面が前記ガイドプレートの表面側から前記ガイド穴に旋回自在に嵌合する複数個のライニング部材と、
    前記トルク伝達用ボス部の先端中央に突設された球面当接用ボス部に前記ガイドプレートの裏面側から外嵌し、前記球面当接用ボス部の外周に係合した線ばねにより球面当接用ボス部に固定されると共に、外周部を前記ガイド穴の周縁部に当接することにより、前記ライニング部材を前記ガイド穴に抜け止めする板ばねと、
    前記ガイドプレートの裏面側に配置されて複数個のライニング部材の球面当接用ボス部の端面を球面当接構造により旋回自在に支持するリンクプレートと、
    前記ガイドプレートに固定されて前記リンクプレートを球面当接構造により旋回自在に支持すると共に、ディスクロータに向かって進退駆動されるトルク受けプレートと、
    を備え、
    前記ライニング本体がディスクロータに押圧された際にライニング本体に作用する制動トルクは、前記裏板のトルク伝達用ボス部が嵌合するガイドプレートを介して前記トルク受けプレートに伝達することを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
  2. 前記リンクプレートは、前記球面当接用ボス部を収容する凹部の底部に、前記球面当接用ボス部の先端面と接触して該球面当接用ボス部を旋回自在に支持する球面当接面を備え、
    且つ、前記球面当接用ボス部の外径と前記凹部の内径との差が、前記線ばねの線径よりも小さく設定されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
  3. 前記トルク伝達用ボス部は外周面に凸の円弧面を形成したガイドリングを嵌着して前記ガイド穴の内周面に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
  4. 前記球面当接構造は、球面凸面と該球面凸面の曲率より大きい曲率で球面接触する球面凹面とで構成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用ディスクブレーキ装置の摩擦パッド組立体。
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