JP6070913B1 - プレス成形装置およびプレス成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2015年5月11日に、日本に出願された特願2015−096908号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
図8Aおよび図8Bに示すように、サイドシルインナーパネル0は、通常、鋼板からなる素材(ブランク)にパンチおよびダイを用いてプレス成形を行うことにより、下記(a)〜(e)により構成されるハット型断面を有するプレス成形品として製造される。
(a)天板部0−1
(b)天板部0−1の両縁に形成される二つの稜線部0−2a,0−2b
(c)二つの稜線部0−2a,0−2bにそれぞれつながる二つの縦壁部0−3a,0−3b
(d)二つの縦壁部0−3a,0−3bにそれぞれつながる二つの屈曲部0−4a,0−4b
(e)二つの屈曲部0−4a,0−4bにそれぞれつながる二つのフランジ部0−5a,0−5b
また、本明細書で用いる「略U字型断面を有するプレス成形品」とは、少なくとも上記(a)、(b)、(c)を有する部品を意味する。また、「ハット型断面を有するプレス成形品」は、「略U字型断面を有するプレス成形品」に屈曲部とフランジ部とを加えた部品である。
(i)一列に配列された多数の成形用ロールに素材である帯板を連続的に通して順次曲げ加工を行い、最終ロールで所望の断面形状の製品とするロールフォーミングを行う
(ii)プレスボルスター上にセットされた多工程金型内のブランクである帯板を、機体に付属されたトランスファー機構により、フィンガーでグリップして搬送するプレス機械であるトランスファープレスを用いるプレス成形を行う
(1)図9Aに示すように、曲げ工具1008にブランク1001を載置する第一工程と、
(2)図9Bに示すように、ダイ1003およびしわ押さえ1006によりブランク1001における縦壁部に成形される部分を挟持した状態でブランク1001の幅方向端部をフランジ曲げ工具1008により曲げてフランジ部を形成する第二工程と、
(3)図9Cに示すように、ブランク1001における縦壁部に形成される部分からしわ押さえ1006をシリンダ1009により下方へ退避させる第三工程と、
(4)図9Dに示すように、ダイ1003およびパンチ1002による曲げ加工により縦壁部を形成する第四工程と、
によりプレス成形品を製造する。
尚、図9A〜図9Dにおける符号1004はパンチ1002の肩部を示し、符号1005はダイ1003の肩部を示し、符号1007はハット頭部押さえを示し、符号1010はシリンダ1009を駆動するための配管を示す。
(1)本発明の第一の態様は、ダイとパンチをプレス方向に近接させることで、被加工板から、天板部と、前記天板部の両縁に形成される稜線部を介してつながる第一縦壁部及び第二縦壁部と、を有するプレス成形品を製造するプレス成形装置であって、前記ダイが、ダイスライドと;前記ダイと前記パンチとが最も近接した状態において前記パンチの第一側面に隣り合うように、前記ダイスライドに設けられる第一分割ダイと;前記ダイと前記パンチとが最も近接した状態において前記パンチの前記第一側面とは反対側の第二側面に隣り合うように、前記ダイスライドに設けられる第二分割ダイと;前記第二分割ダイを前記ダイスライドから離間させるように、前記第二分割ダイを前記プレス方向に移動させる第二分割ダイ駆動部と;前記第一分割ダイと前記第二分割ダイとの間に設けられるダイパッドと;前記ダイパッドを前記プレス方向に移動させるダイパッド駆動部と;前記ダイスライドと前記第二分割ダイとが離間した状態で前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間に挿入される基端部を有するインサートブロックと;前記インサートブロックを前記プレス方向に直交する方向に移動させるインサートブロック駆動部と;を備えるプレス成形装置である。
(2)上記(1)に記載のプレス成形装置では、前記インサートブロックが、前記基端部から前記プレス方向に直交する方向に延出するとともに前記ダイスライドと前記ダイパッドとが離間した状態で前記ダイスライドと前記ダイパッドとの間に挿入される先端部を有し、前記基端部の厚さが、前記先端部の厚さよりも大きくてもよい。
(4)上記(3)に記載のプレス成形装置では、前記ダイと前記パンチとの間に設けられるフランジ形成工具と;前記フランジ形成工具を、前記第一分割ダイ又は前記第二分割ダイのストローク域に干渉する位置と、前記第一分割ダイ又は前記第二分割ダイのストローク域に干渉しない位置と、の間で移動させるフランジ形成工具駆動部と;を備え、前記フランジ形成工具の上面と、前記第一分割ダイ及び前記第二分割ダイの少なくとも一方の下面とが、前記屈曲部と前記フランジ部の面形状に対応する形状を有してもよい。
(5)上記(4)に記載のプレス成形装置では、前記フランジ形成工具駆動部は、前記フランジ形成工具を前記プレス方向に直交する方向に移動させてもよい。
(6)上記(4)又は(5)に記載のプレス成形装置では、前記フランジ形成工具の下面が前記パンチの底面と面接触してもよい。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載のプレス成形装置では、前記第一分割ダイが、前記ダイスライドと一体に形成されてもよい。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のプレス成形装置では、前記ダイスライドが、一つの駆動軸に接続されてもよい。
(11)上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載のプレス成形装置では、前記被加工板の引張強度が980MPa以上であってもよい。
(12)上記(1)〜(11)のいずれか一項に記載のプレス成形装置では、前記被加工板の全長が1700mm超であってもよい。
(15)上記(14)に記載のプレス成形方法では、前記第一縦壁部形成工程において、前記第二分割ダイにより、前記被加工板における第二縦壁部に相当する部位を予加工してもよい。
(16)上記(13)に記載のプレス成形方法では、前記第二縦壁部形成工程を行った後に前記インサートブロックを前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間から抜き出し、前記第一縦壁部形成工程を行ってもよい。
(17)上記(16)に記載のプレス成形方法では、前記第二縦壁部形成工程において、前記第一分割ダイにより、前記被加工板における第一縦壁部に相当する部位を予加工してもよい。
以下、図1及び図2A〜図2Dを参照し、本発明の第一実施形態に係るプレス成形装置1について詳細に説明する。
被加工板である鋼板Sは、例えば引張強度980MPa以上、長手方向の長さ1700mm超、厚さ0.8〜2.3mmの板材であればよい。本実施形態では、鋼板Sとして、形状が付与されていない平板を用いるが、平板に予加工されて特定の形状が付与されたものであってもよい。
プレス成形品100は、図1に示すように略U字型断面を有し、天板部101と、前記天板部101の両縁に形成される稜線部102a,102bを介してつながる第一縦壁部103及び第二縦壁部105と、を有する。図1に示すように、天板部101、第一縦壁部103、第二縦壁部105には所定の面形状が形成されていてもよい。
パンチ20は、ダイ10にプレス方向に対向して設けられ、第一縦壁部103に対応する形状を有する第一側面20aと、第一側面20aの反対側の面であり、第二縦壁部105に対応する形状を有する第二側面20bと、ダイ10に対向する頂面20cと、を有する。
ダイ10は、ダイスライド11と、第一分割ダイ13と、第二分割ダイ15と、第二分割ダイ駆動部15Dと、ダイパッド17と、ダイパッド駆動部17Dと、インサートブロック19と、インサートブロック駆動部19Dと、を有する。以下、各構成について説明する。
ダイスライド11は、図2Aに示すように、下面に第一分割ダイ13と第二分割ダイ15が設けられ、図示しない単一又は複数の駆動軸に接続されて上下方向に移動可能に構成される。ダイスライド11には、第二分割ダイ15との上下方向の離間距離を調整するための第二分割ダイ駆動部15Dを埋め込むための凹部が構成されていてもよい。ダイスライド11には、後述するインサートブロック駆動部19Dの端部が固定される垂下部11Aが形成される。
第一分割ダイ13は、ダイ10とパンチ20とが最も近接した状態において、パンチ20の第一側面20aに隣り合うように、前記ダイスライド11に設けられる。図2A〜図2Dに示す例では、第一分割ダイ13とダイスライド11とが互いに別個の部材として描かれているが、第一分割ダイ13とダイスライド11とは一体に形成されていてもよい。
第二分割ダイ15は、ダイ10とパンチ20とが最も近接した状態において、パンチ20の第二側面20bに隣り合うように、ダイスライド11に設けられる。
第二分割ダイ駆動部15Dはダイスライド11と第二分割ダイ15との間に設けられ、図示しない制御部に接続されて第二分割ダイ15をダイスライド11と近接又は離間するように第二分割ダイ15を駆動する。具体的には、第二分割ダイ駆動部15Dは、ガス圧、油圧、空圧、ばね圧等を発生する加圧機構や、電動モータであればよい。
ダイパッド17は第一分割ダイ13と第二分割ダイ15との間に設けられ、天板部101に対応する形状を有する下面と、上下方向に延在するシャフト17aの下端部が連結される上面とを有する。鋼板Sは、ダイパッド17により押圧された状態でプレス成形される。尚、本実施形態に示す例では、シャフト17aはダイスライド11を貫通するように設けられ、シャフト17aの上端部がダイパッド駆動部17Dに連結される。
ダイパッド駆動部17Dはダイスライド11の内部又は上部に設けられ、図示しない制御部に接続されて少なくともプレス加工中にパンチ20とダイパッド17とにより鋼板Sを挟圧するようにダイパッド17をプレス方向に駆動させる。具体的には、ダイパッド駆動部17Dは、ガス圧、油圧、空圧、ばね圧等を発生する加圧機構や、電動モータであればよい。
インサートブロック19は、ダイスライド11と第二分割ダイ15とが離間した状態で、ダイスライド11と前記第二分割ダイ15との間に挿入される基端部19aと、基端部19aからプレス方向に直交する方向(図面右方向)に延出し、ダイスライド11とダイパッド17とが離間した状態で、ダイスライド11とダイパッド17との間に挿入される先端部19bと、を有する。基端部19aの高さ(厚さ)は、先端部19bの高さ(厚さ)よりも小さい。
従って、図2Dに示すように、インサートブロック19が挿入された状態においては、基端部19aがダイスライド11と第二分割ダイ15との間の高さ間隔を基端部19aの高さ(厚さ)分だけ調整するとともに、先端部19bがダイスライド11とダイパッド17との間の高さ間隔を先端部19bの高さ(厚さ)分だけ調整することができる。
従って、第一分割ダイ13によるプレス成形と、第二分割ダイ15によるプレス成形とを、異なるタイミングで実施することが可能となると共に、第一分割ダイ13によるプレス成形時と第二分割ダイ15によるプレス成形時の両方において、パンチ20とダイパッド17により天板部を挟持することができる。
インサートブロック駆動部19Dは一端がダイスライド11の垂下部11Aに固定されるとともに他端がインサートブロック19の基端部19aの側面に固定される。インサートブロック駆動部19Dは、図示しない制御部に接続されてダイスライド11と第二分割ダイ15との間、及び、ダイスライド11とダイパッド17との間にインサートブロック19を水平方向に挿入する、又は、水平方向に抜き出すように、インサートブロック19を水平方向に移動させる。具体的には、インサートブロック駆動部19Dは、ガス圧、油圧、空圧、ばね圧等を発生する加圧機構や、電動モータであればよい。
本実施形態に係るプレス成形装置1を用いたプレス成形方法の一例を図2A〜図2Dに沿って説明する。
以下、図3及び図4A〜図4Fを参照し、本発明の第二実施形態に係るプレス成形装置1’について詳細に説明する。
説明を簡略化するため、第一実施形態に係るプレス成形装置1と同じ部材には同じ参照符号を付与すると共に、重複する説明を省略する。
被加工板である鋼板Sは、例えば引張強度980MPa以上、長手方向の長さ1700mm超、厚さ0.8〜2.3mmの板材であればよい。本実施形態では、鋼板Sとして、形状が付与されていない平板を用いるが、平板に予加工されて特定の形状が付与されたものであってもよい。
プレス成形品100’は、図3に示すようにハット型断面を有し、天板部101と、前記天板部101の両縁に形成される稜線部102a,102bを介してつながる第一縦壁部103及び第二縦壁部105と、第一縦壁部103及び第二縦壁部105の端部に形成される屈曲部106a,106bを介してつながるフランジ部107a,107bとを有する。
パンチ20’は、ダイ10に上下方向に対向して設けられ、第一縦壁部103に対応する形状を有する第一側面20aと、第一側面20aの反対側の面であり、第二縦壁部105に対応する形状を有する第二側面20bと、ダイ10に対向する頂面20cと、を有する。
更に、本実施形態においては、パンチ20’は、第一側面20a、第二側面20bから外側に水平方向に延在する底面20dと、底面20dから上方に延出する側壁部20Aとを有する。
フランジ形成工具30a,30bは、それぞれパンチ20’の上で水平方向に移動可能に配置される。フランジ形成工具30a,30bの上面は、プレス成形品100’の屈曲部106a,106b及びフランジ部107a,107bに対応する形状(凹部)を有する。そして、同様に屈曲部106a,106b及びフランジ部107a,107bに対応する形状を有する第一分割ダイ13の底端部13a、第二分割ダイ15の底端部15aがフランジ形成工具の上面に押し込まれることにより、屈曲部106a,106b及びフランジ部107a,107bが形成される。
フランジ形成工具30a,30bの下面は、パンチの底面20dに面接触してもよい。
フランジ形成工具30a,30bの下面、及び/又は、パンチ20’の上面(底面20d)には、摩擦力を低減するために、リニアガイド、ウエアプレート、ライナー等を設けることもできる。
フランジ形成工具駆動部30Dは一端がパンチ20’の側壁部20Aに固定されるとともに他端がフランジ形成工具30a,30bの、パンチ20’の側面に対向しない側面に固定される。フランジ形成工具駆動部30Dは、図示しない制御部に接続されてフランジ形成工具30a,30bを第一分割ダイ13、第二分割ダイ15のストローク域に干渉する位置と干渉しない位置とに水平移動させる。具体的には、フランジ形成工具駆動部30Dは、ガス圧、油圧、空圧、ばね圧等を発生する加圧機構や、電動モータであればよい。
本実施形態に係るプレス成形装置1’を用いたプレス成形方法の一例を図4A〜図4Fに沿って説明する。
更に、水平方向に移動するように構成されたフランジ形成工具30a,30bを用いるため、プレス成形工具の高さ方向のサイズを大きくすることなく、1セットの金型で(すなわち、フランジ部107a,107bを形成するための金型セットと縦壁部を形成するための金型セットを別個に容易することなく)、ハット型断面を有するプレス成形品100’を製造することができる。
従って、例えば、既存の1200トン程度のプレス成形装置によって、引張強度980MPa以上かつ長さ1700mm超のブランクからハット型断面を有するプレス成形品100’を高い寸法精度で効率良く得ることができる。
以下、図5A〜図5Fを参照し、本発明の第三実施形態に係るプレス成形装置1’’について詳細に説明する。
説明を簡略化するため、第一実施形態に係るプレス成形装置1、第二実施形態に係るプレス成形装置1’と同じ部材には同じ参照符号を付与すると共に、重複する説明を省略する。
すなわち、図5A〜図5Fに示すように、本実施形態に係るプレス成形装置1’’は、ダイ10とパンチ20’’をプレス方向に相対移動させることで、鋼板Sからプレス成形品100’を製造する。
パンチ20’’は、ダイ10に上下方向に対向して設けられ、第一縦壁部103に対応する形状を有する第一側面20aと、第一側面20aの反対側の面であり、第二縦壁部105に対応する形状を有する第二側面20bと、ダイ10に対向する頂面20cと、を有する。
更に、本実施形態においては、パンチ20’’は、第一側面20a、第二側面20bから外側に水平方向に延在する底面20dと、底面20dから上方に延出する側壁部20Aとを有すると共に、パンチ20’’の頂面20cに凹部が形成される。
パンチパッド27は、パンチ20’’の頂面20cに形成された凹部に収容され、天板部101に対応する形状を有する上面と、上下方向に延在するシャフト27aの上端部が連結される下面とを有する。鋼板Sは、ダイパッド17とパンチパッド27との間で挟持された状態でプレス加工される。パンチパッド27は、パンチ20’’の頂面20cの凹部に完全に収容された状態において、パンチパッド27の上面とパンチ20’’の頂面20cとの端縁部同士が面一となるように構成されることが好ましい。尚、シャフト27aはパンチ20’’を貫通するように設けられ、シャフト27aの下端部がパンチパッド駆動部27Dに連結される。
パンチパッド27としては、例えば国際公開第2013/094705号パンフレットにより開示されたものを用いればよい。このパンチパッド27を用いて、プレス成形品100’の稜線部102a,102bおよび第一縦壁部103、第二縦壁部105のプレス成形の開始時には、鋼板Sをパンチ20’’の頂面20cから上方へ離しておくことにより、プレス成形品100’におけるスプリングバックの発生を大幅に抑制することができる。
パンチパッド駆動部27Dはパンチ20’’の内部又は下部に設けられ、図示しない制御部に接続されて少なくともプレス加工中にパンチパッド27とダイパッド17とにより鋼板Sを挟圧するようにパンチパッド27を駆動させる。具体的には、パンチパッド駆動部27Dは、ガス圧、油圧、空圧、ばね圧等を発生する加圧機構や、電動モータであればよい。
本実施形態に係るプレス成形装置1’’を用いたプレス成形方法の一例を図5A〜図5Fに沿って説明する。
尚、パンチパッド27は、第一分割ダイ13の押し込みが完了するタイミングと、パンチパッド27がパンチ20’’の凹部に完全に収容されるタイミングとが同時になるように上下方向の動きが制御される。換言すると、パンチパッド27は、プレス成形品100’の形成時には、ダイパッド17により押されて徐々にパンチ20’’へ向けて押し下げられ、プレス成形下死点でパンチ20’’の凹部に完全に収容されてパンチ20’’の頂面20cと面一をなす。このようにパンチパッド27の上下方向の動きを制御することにより、スプリングバックの発生を抑制して寸法精度を高めることができる。
ここでも、パンチパッド27は、第二分割ダイ15の押し込みが完了するタイミングと、パンチパッド27がパンチの凹部に完全に収容されるタイミングとが同時になるように上下方向の動きが制御される。このようにパンチパッド27の上下方向の動きを制御することにより、スプリングバックの発生を抑制して寸法精度を高めることができる。
更に、水平方向に移動するように構成されたフランジ形成工具30a,30bを用いるため、プレス成形工具の高さ方向のサイズを大きくすることなく、1セットの金型で(すなわち、フランジ部107a,107bを形成するための金型セットと縦壁部を形成するための金型セットを別個に容易することなく)、ハット型断面を有するプレス成形品100’を製造することができる。
更に、縦壁部を形成する際に、パンチパッド27を上下方向に制御するため、縦壁部のスプリングバックを抑制することができるため、寸法精度を更に高めることができる。
従って、例えば、既存の1200トン程度のプレス成形装置によって、引張強度980MPa以上かつ長さ1700mm超のブランクからハット型断面を有するプレス成形品100’を高い寸法精度で効率良く得ることができる。
・天板部101の幅が100mm,
・稜線部102a,102bの曲率半径が5.5mm,
・第一縦壁部103の高さが60mm,
・第二縦壁部105の高さが90mm
・屈曲部106a,106bの曲率半径が5.5mm,
・フランジ部107a,107bの幅が20mm
のハット型断面を有するプレス成形品100’を製造した場合におけるストロークと成形荷重との関係を示すグラフである。
上述の説明では被加工板として鋼板を用いる場合を例示したが、被加工板は、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板などのめっき鋼板であってもよく、また、アルミ板やチタン板等の金属板、FRPやFRTP等のガラス繊維強化樹脂板、更にはこれらの複合板であってもよい。
上述の説明ではダイ10を降下させる場合を例示したが、パンチ20,20’,20’’を上昇させる、あるいはダイ10とパンチ20,20’,20’’を共に近づけるように上昇・加工させてもよい。
上述の説明ではフランジ形成工具30a,30bがパンチ20’,20’’の底面20dの上に接触して配置される場合を例示したが、フランジ部107a,107bの形成時の負荷を担うことが可能であれば、パンチ20’,20’’の底面20dの上に接触せずに配置されてもよい。
上述の説明では第一縦壁部103と第二縦壁部105の高さが異なる場合を例示したが、第一縦壁部103と第二縦壁部105は同じ高さであってもよい。
上述の説明ではハット型断面を有するプレス成形品100’に関し両側にフランジ部107a,107bが形成される場合を例示したが、フランジ部が片側のみに形成されるプレス成形品であってもよい。
上述の説明では上下方向がプレス成形方向である場合を例示したが、左右方向がプレス成形方向のプレス成形装置であってもよい。
10 ダイ
11 ダイスライド
11A 垂下部
13 第一分割ダイ
13a 底端部
15 第二分割ダイ
15a 底端部
15D 第二分割ダイ駆動部
17 ダイパッド
17D ダイパッド駆動部
19 インサートブロック
19a 基端部
19b 先端部
19D インサートブロック駆動部
20、20’、20’’ パンチ
20a 第一側面
20b 第二側面
20c 頂面
20d 底面
20A 側壁部
27 パンチパッド
27D パンチパッド駆動部
30a,30b フランジ形成工具
30D フランジ形成工具駆動部
100、100’ プレス成形品
101 天板部
102a、102b 稜線部
103 第一縦壁部
105 第二縦壁部
106a、106b 屈曲部
107a、107b フランジ部
S 鋼板
Claims (19)
- ダイとパンチをプレス方向に近接させることで、被加工板から、天板部と、前記天板部の両縁に形成される稜線部を介してつながる第一縦壁部及び第二縦壁部と、を有するプレス成形品を製造するプレス成形装置であって、
前記ダイが、
ダイスライドと;
前記ダイと前記パンチとが最も近接した状態において前記パンチの第一側面に隣り合うように、前記ダイスライドに設けられる第一分割ダイと;
前記ダイと前記パンチとが最も近接した状態において前記パンチの前記第一側面とは反対側の第二側面に隣り合うように、前記ダイスライドに設けられる第二分割ダイと;
前記第二分割ダイを前記ダイスライドから離間させるように、前記第二分割ダイを前記プレス方向に移動させる第二分割ダイ駆動部と;
前記第一分割ダイと前記第二分割ダイとの間に設けられるダイパッドと;
前記ダイパッドを前記プレス方向に移動させるダイパッド駆動部と;
前記ダイスライドと前記第二分割ダイとが離間した状態で前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間に挿入される基端部を有するインサートブロックと;
前記インサートブロックを前記プレス方向に直交する方向に移動させるインサートブロック駆動部と;
を備えることを特徴とするプレス成形装置。 - 前記インサートブロックが、前記基端部から前記プレス方向に直交する方向に延出するとともに前記ダイスライドと前記ダイパッドとが離間した状態で前記ダイスライドと前記ダイパッドとの間に挿入される先端部を有し、
前記基端部の厚さが、前記先端部の厚さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。 - 前記プレス成形品が、前記第一縦壁部及び前記第二縦壁部の少なくとも一方の縁に形成される屈曲部を介してつながるフランジ部を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形装置。 - 前記ダイと前記パンチとの間に設けられるフランジ形成工具と;
前記フランジ形成工具を、前記第一分割ダイ又は前記第二分割ダイのストローク域に干渉する位置と、前記第一分割ダイ又は前記第二分割ダイのストローク域に干渉しない位置と、の間で移動させるフランジ形成工具駆動部と;
を備え、
前記フランジ形成工具の上面と、前記第一分割ダイ及び前記第二分割ダイの少なくとも一方の下面とが、前記屈曲部と前記フランジ部の面形状に対応する形状を有する
ることを特徴とする請求項3に記載のプレス成形装置。 - 前記フランジ形成工具駆動部は、前記フランジ形成工具を前記プレス方向に直交する方向に移動させる
ことを特徴とする請求項4に記載のプレス成形装置。 - 前記フランジ形成工具の下面が前記パンチの底面と面接触している
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のプレス成形装置。 - 前記パンチの頂面に形成された凹部に収容されるパンチパッドと;
前記パンチパッドを前記プレス方向に移動させるパンチパッド駆動部と;
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレス成形装置。 - 前記第一分割ダイが、前記ダイスライドと一体に形成される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプレス成形装置。 - 前記ダイスライドが、一つの駆動軸に接続される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプレス成形装置。 - 前記被加工板が鋼板である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のプレス成形装置。 - 前記被加工板の引張強度が980MPa以上である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプレス成形装置。 - 前記被加工板の全長が1700mm超である
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のプレス成形装置。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載された前記プレス成形装置を用いて前記プレス成形品を製造するプレス成形方法であって、
前記インサートブロックが前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間に挿入されていない状態で、前記ダイスライドを前記パンチに向けて移動させ、前記第一縦壁部を形成する第一縦壁部形成工程と;
前記インサートブロックが前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間に挿入された状態で、前記ダイスライドを前記パンチに向けて移動させ、前記第二縦壁部を形成する第二縦壁部形成工程と;
を備えることを特徴とするプレス成形方法。 - 前記第一縦壁部形成工程を行った後に前記インサートブロックを前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間に挿入し、前記第二縦壁部形成工程を行う
ことを特徴とする請求項13に記載のプレス成形方法。 - 前記第一縦壁部形成工程において、前記第二分割ダイにより、前記被加工板における第二縦壁部に相当する部位を予加工する
ことを特徴とする請求項14に記載のプレス成形方法。 - 前記第二縦壁部形成工程を行った後に前記インサートブロックを前記ダイスライドと前記第二分割ダイとの間から抜き出し、前記第一縦壁部形成工程を行う
ことを特徴とする請求項13に記載のプレス成形方法。 - 前記第二縦壁部形成工程において、前記第一分割ダイにより、前記被加工板における第一縦壁部に相当する部位を予加工する
ことを特徴とする請求項16に記載のプレス成形方法。 - 前記第一縦壁部形成工程及び前記第二縦壁部形成工程の前に、フランジ形成工具を前記第一分割ダイ及び前記第二分割ダイのストローク域に干渉する位置に設置した状態で前記ダイスライドを前記パンチに向けて相対移動させ、前記フランジ形成工具と、前記第一分割ダイ及び前記第二分割ダイの少なくとも一方とにより前記被加工板にフランジ部を形成する
ことを特徴とする請求項13〜17のいずれか一項に記載のプレス成形方法。 - 前記第一縦壁部形成工程及び第二縦壁部形成工程の少なくとも一方において、前記パンチの頂面に形成された凹部に収容されるパンチパッドを前記パンチの頂面よりも高い位置に上昇させた状態で前記ダイスライドを下降させ、前記ダイスライドの下降に伴い前記パンチパッドを下降させてプレス成形を完了する
ことを特徴とする請求項13〜18のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
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