JP6070378B2 - サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような接続方法を用いた際に、上記開口部内の第2配線層の端部がカバー層から露出し、腐食等の不具合が生じるといった問題がある。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第1絶縁層と、上記第1絶縁層上に形成された第1配線層と、上記第1配線層上に形成された第2絶縁層と、上記第2絶縁層上に形成された第2配線層と、上記第2配線層上に形成されたカバー層と、を有するサスペンション用基板であって、上記第2絶縁層は、上記第1配線層が露出する第2絶縁層開口部を有し、上記第2配線層のうち少なくとも一部は、上記第2絶縁層開口部内で上記第1配線層上に形成され、上記第1配線層は、上記第2絶縁層開口部内に上記第1絶縁層が露出する第1配線層開口部を有し、上記第2絶縁層開口部内に、上記第1絶縁層、上記第1配線層および上記第2配線層がこの順で階段状に積層され、上記カバー層により覆われる段差部が形成され、上記段差部が、上記第1配線層の端部および上記第2配線層の端部間の距離が10μm〜30μmの範囲内であり、上記第1配線層および上記第2配線層の総厚が16.4μm以下である安定保護段差部を有し、上記カバー層の上記段差部に含まれる第2配線層上の厚みが6μm以下であることを特徴とするものである。
また、図1(b)に示すように、サスペンション用基板100は、金属支持基板1と、金属支持基板1上に形成された第1絶縁層2aと、第1絶縁層2a上に形成された第1配線層3aと、第1配線層3a上に形成された第2絶縁層2bと、第2絶縁層2b上に形成された第2配線層3bと、第2配線層3bを覆うように形成されたカバー層4とを有するものである。
図2〜図4に例示するように、本発明のサスペンション用基板10は、金属支持基板1と、上記金属支持基板1上に形成された第1絶縁層2aと、上記第1絶縁層2a上に形成された第1配線層3aと、上記第1配線層3a上に形成された第2絶縁層2bと、上記第2絶縁層2b上に形成された第2配線層3bと、上記第2配線層3b上に形成されたカバー層4と、を有するサスペンション用基板であって、上記第2絶縁層2bは、上記第1配線層3aが露出する第2絶縁層開口部2cを有し、上記第2配線層3bのうち少なくとも一部は、上記第2絶縁層開口部2c内で上記第1配線層3a上に形成され、かつ、上記第2絶縁層開口部2c内に上記第1配線層3aが露出する第2配線層開口部3bcを有し、上記第1配線層3aは、上記第2絶縁層開口部2c内の上記第2配線層開口部3bc内で上記第1絶縁層2a上に形成され、かつ、上記第2絶縁層開口部3c内の上記第2配線層開口部3bc内に上記第1絶縁層2aが露出する第1配線層開口部3acを有し、上記第2絶縁層開口部2c内に、上記第1絶縁層2a、上記第1配線層3aおよび上記第2配線層3bがこの順で階段状に積層され、上記カバー層4により覆われる段差部5が形成され、上記段差部5が、上記第1配線層3aの端部および上記第2配線層3bの端部間の距離bが10μm〜30μmの範囲内であり、上記第1配線層3aおよび上記第2配線層3bの総厚aが16.4μm以下である安定保護段差部5aを有し、上記カバー層4の上記安定保護段差部5aに含まれる第2配線層3b上の厚みcが6μm以下であることを特徴とするものである。
このため、カバー層の第2配線層上の厚みが6μm以下といった薄い場合であっても、上記第2配線層端部がカバー層により安定的に保護されたものとすることができる。
ここで、上記第2配線層端部の保護が上記第1配線層および第2配線層の総厚により影響を受ける理由については、以下のように推察される。
また、上記安定保護段差部における上記第1配線層端部および第2配線層端部間の距離が10μm〜30μmの範囲内であることにより、上記第1配線層上に上記第2配線層を安定的に形成できる。
さらに、上記安定保護段差部が上記第1絶縁層を含むこと、すなわち、第2絶縁層が含まれないことにより、剛性の調整が可能となる。このため、上記段差部のように第2配線層が上記第1配線層上に直接積層されることにより剛性が大きくなる場合であっても、上記カバー層の厚みにより全体としての剛性を所望の範囲内とすることが可能となるからである。このようなことから、例えば、治具孔部のような第1配線層および第2配線層のような一般的に両層の直接積層されている面積が広く、大きく剛性を上げてしまうような場合でも、その調整が可能となる。
以下、本発明のサスペンション用基板の各構成について説明する。
本発明における第1配線層は上記第1絶縁層上に形成されるものであり、上記第2配線層は上記第2絶縁層上に形成されるものである。
上記第2配線層に対する上記第1配線層の厚さ比(第1配線層の厚さ/第2配線層の厚さ)としては、上記総厚を上述の範囲内とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、設計上同一であることが好ましい。
なお、設計上同一であるとは、設計上は同一であるが、形成方法により生じるばらつきにより、実測値が異なる場合も含むことをいうものである。
具体的には、上記第2配線層に対する上記第1配線層の厚さ比が、4/6〜8/6の範囲内であることをいうものであり、なかでも、5/6〜7/6の範囲内であることが好ましく、特に、1であることが好ましい。配線設計の容易なものとすることができるからである。
また、上記第1配線層および第2配線層は、それぞれ、異なる材料であっても良いが、同一材料を用いることが好ましい。低コスト化を図ることができるからである。
また、本発明における上記第1配線層および第2配線層は、通常、ライト用配線層およびリード用配線層を有し、さらに必要に応じて、ノイズシールド用配線層、クロストーク防止用配線層、電源用配線層、グランド用配線層、フライトハイトコントロール用配線層、センサー用配線層、熱アシスト用配線層、アクチュエータ用配線層を有していても良い。
例えば、上記第1配線層および第2配線層の材料からなる配線層形成用層を電界めっき法等により形成した後、ドライフィルムレジスト(DFR)等を用いてレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する配線層形成用層をウェットエッチングする方法を挙げることができる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液の種類は、導体部材の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば波上記材料がCuである場合には、塩化鉄系エッチング液等を用いることができる。
また、上記第1配線層および第2配線層を形成する箇所に開口を有するレジストパターンを形成した後に、上記開口内に電解めっき法等によりパターン状の第1配線層および第2配線層を形成する方法を挙げることができる。
本発明における第2配線層の形成方法としては、開口を有するレジストパターンを形成した後に、その開口内にめっき法により形成する方法であることが好ましい。上記第2配線層の上記第1配線層との断面視上の境界形状が上記第1配線層に対して直角または逆テーパー形状等、急激に変化するものとすることができ、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
電解めっき法を用いる場合、上記配線層形成用層の形成前に、上記配線層形成用層が形成される表面(例えば、第1絶縁層、第2絶縁層、上記段差部に含まれる第2配線層が形成される第1配線層)上に、スパッタリング法によりシード層を形成することが好ましい。
本発明における第1絶縁層は、上記金属支持基板上に形成されるものである。上記第2絶縁層は、上記第1配線層上に形成されるものである。
上記第1絶縁層および第2絶縁層の材料は、異なるものであっても良いが、同一であることが好ましい。
上記第1絶縁層および第2絶縁層の厚さは、それぞれ、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
上記第1絶縁層および第2絶縁層の材料に応じて適宜選択することが好ましい。
例えば、上記第1絶縁層および第2絶縁層の材料が感光性材料である場合には、全面形成した絶縁層形成用層に露光現像を行う方法を用いることができる。また、上記材料が非感光性材料である場合は、全面形成した絶縁層形成用層の表面に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出した部分を、ウェットエッチングにより除去する方法や、上記絶縁層を形成する箇所に開口を有するレジストパターンを形成した後に、上記開口内に上記材料を塗布し、次いで、レジストパターン上の絶縁層形成用層をレジストパターンの剥離と同時に剥離する方法を挙げることができる。
本発明における第1絶縁層の形成方法としては、絶縁層形成用層を形成した後、エッチングする方法であることが好ましい。また、第2絶縁層の形成方法としては、開口を有するレジストパターンを形成した後に、その開口内に上記材料を塗布する方法であることが好ましい。
本発明における金属支持基板は、サスペンション用基板の支持体として機能するものである。金属支持基板の材料は、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的にはステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属支持基板の厚さは、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内である。
本発明における段差部は、上記第2絶縁層開口部内に、上記第1絶縁層、上記第1配線層および上記第2配線層がこの順で階段状に積層され、上記カバー層により覆われるように形成されるものである。
また、上記安定保護段差部を有するものである。
また、カバー層に覆われるとは、上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間を最短距離で結ぶ断面視上、上記段差部に含まれる上記第1絶縁層、上記第1配線層および上記第2配線層上に連続的にカバー層が形成されることをいうものである。
具体的には、上記第1絶縁層および第1配線層間や、上記第1配線層および第2配線層間に形成されるシード層等を有するものとすることができる。
上記段差部が上記安定保護段差部を有するとは、上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間を最短距離で結ぶ直線を含む断面視上、上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間距離ならびに上記総厚を満たす部位を含むことをいうものである。
また、上記第1配線層端部とは、平面視上、上記第1配線層上面の端部をいうものである。
上記第1配線層上面とは、上記第1配線層のうち、平面視上、上記第1絶縁層および上記第1配線層の境界線に直交する方向1μm当たりの上記第1絶縁層表面からの厚みの変化が±0.1μm以下となる領域をいうものである。また、上記第1配線層上面の端部とは、上記第1配線層上面のうち、上記第1絶縁層に最も近い箇所をいうものである。
また、上記第2配線層端部とは、平面視上、上記第2配線層上面の端部をいうものである。また、上記第2配線層上面とは、上記第2配線層のうち、平面視上、上記第1配線層および上記第2配線層の境界線に直交する方向1μm当たりの上記第1配線層表面からの厚みの変化が±0.1μm以下となる領域をいうものである。また、上記第2配線層上面の端部とは、上記第2配線層上面のうち、上記第1配線層に最も近い箇所をいうものである。
なお、上記第1配線層および上記第2配線層の総厚とは、上記第1絶縁層表面から上記第1配線層上に形成された上記第2配線層までの高さ、より具体的には、平面視上、上記第1絶縁層表面から上記第2配線層端部までの高さをいうものであり、具体的には、図4中のaで示されるものである。
また、上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間の距離とは、上記第1配線層端部および上記第2配線接続端部間の平面視上の最短距離をいうものであり、具体的には、図4中のbで示されるものである。
また、上記幅の上限については広ければ広い程、上記第2配線層を上記第1配線層上に安定的に形成できるため、特に限定されるものではない。
なお、上記幅は、上記第1配線層上に形成された上記第2配線層上面の上記第2配線層端部から、上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間を結ぶ方向の幅をいうものであり、具体的には、図4中のdで示されるものである。
また、上記幅の上限については広ければ広い程、上記第1配線層を安定的に露出することができるため、特に限定されるものではない。
なお、上記幅は、上記第1絶縁層および上記第1配線層の境界上の上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間を結ぶ方向と交わる点から、上記第1配線層端部および上記第2配線層端部間を結ぶ方向の幅をいうものであり、具体的には、図4中のeで示されるものである。
具体的には、上記第1絶縁層に対して鋭角状または垂直状であることが好ましく、なかでも、30°〜90°の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。なお、上記角度は、上記第1絶縁層および上記第1配線層の境界と上記第1絶縁層端部とがなす角度をいうものであり、具体的には、図4中のβで示されるものである。
本発明におけるカバー層は、上記第2配線層上に形成されるものである。
また、上記カバー層は、上記段差部を覆うように形成され、上記安定保護段差部に含まれる第2配線層上の厚みが6μm以下であるものである。
なお、上記厚みとは、上記第2配線層端部が形成される上記第2配線層上面上に形成されるカバー層のうち、上記第2配線層上面からの厚みが最も厚い箇所の厚みをいうものである。
具体的には、上記材料を含む液状カバー材を塗布した後、露光・現像またはフォトリソ法によりパターニングする方法や、パターン状のレジストを形成した後、レジストの第2絶縁層開口部に上記液状カバー材を塗布する方法を用いることができる。
上記液状カバー材の塗布方法としては、一般的な塗布方法を用いることができ、例えば、スプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法およびフレキソ法等、公知の塗布方法を挙げることができる。
なお、粘度の測定方法については、粘度を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、キャピラリー式粘度計等の粘度測定装置を用いる方法が挙げられる。上記キャピラリー式粘度測定法は、DIN 53015又はISO/DIS 12058に記載されている方法に準じて行うことができる。より具体的には、測定装置として、キャピラリー式粘度計Anton Paar製「AMVn」(商品名)を用い、測定温度25℃にて測定を行うことができる。
本発明のサスペンション用基板は、上記金属支持基板、第1絶縁層、第1配線層、第2絶縁層、第2配線層、段差部およびカバー層を有するものであるが、必要に応じて他の部材を有するものであっても良い。
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
記録再生用素子としては、特に限定されるものではないが、磁気発生素子を有するものが好ましい。具体的には、磁気ヘッドスライダを挙げることができる。
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第1絶縁層と、上記第1絶縁層上に形成された第1配線層と、上記第1配線層上に形成された第2絶縁層と、上記第2絶縁層上に形成された第2配線層と、上記第2配線層上に形成されたカバー層と、を有し、上記第2絶縁層は、上記第1配線層が露出する第2絶縁層開口部を有し、上記第2配線層のうち少なくとも一部は、上記第2絶縁層開口部内で上記第1配線層上に形成され、上記第1配線層は、上記第2絶縁層開口部内に上記第1絶縁層が露出する第1配線層開口部を有し、上記第2絶縁層開口部内に、上記第1絶縁層、上記第1配線層および上記第2配線層がこの順で階段状に積層され、上記カバー層により覆われる段差部が形成され、上記段差部が、上記第1配線層の端部および上記第2配線層の端部間の距離が10μm〜30μmの範囲内であり、上記第1配線層および上記第2配線層の総厚が16.4μm以下である安定保護段差部を有し、上記カバー層の上記安定保護段差部に含まれる第2配線層上の厚みが6μm以下であるサスペンション用基板の製造方法であって、上記安定保護段差部を有する段差部を形成する段差部形成工程と、上記段差部上に液状カバー材を塗布し、上記安定保護段差部に含まれる上記第2配線層上の厚みが6μm以下であるカバー層を形成するカバー層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
図8に例示するように、本発明のサスペンション用基板の製造方法は、まず、金属支持基板1Xと、金属支持基板1X上に形成された第1絶縁層2Xと、第1絶縁層2X上に形成された第1配線層3Xとを有する積層部材を準備する(図8(a)および(f))。次に、第1配線層3Xおよび金属支持基板1Xの表面に、ドライフィルムレジスト(DFR)を用いて、所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する第1配線層3Xおよび金属支持基板1Xをウェットエッチングすることにより、上記第1絶縁層2Xが露出する第1配線層開口部3acを有する第1配線層3aおよび金属支持基板1を形成する(図8(b)および(g))。
なお、図8(a)〜(d)および(f)〜(i)が安定保護段差部形成工程であり、(e)および(j)がカバー層形成工程である。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法の各工程を詳細に説明する。
本発明における安定保護段差部形成工程は、上記安定保護段差部を有する段差部を形成する工程である。
上記段差部を形成する方法としては、上記段差部を構成する第1絶縁層、第1配線層、第2絶縁層および第2配線層、さらには、上記第1絶縁層を支持する金属支持基板の形成により形成され、さらにその際に、上記第1配線層の端部および上記第2配線層の端部間の距離が10μm〜30μmの範囲内であり、上記第1配線層および上記第2配線層の総厚が16.4μm以下である安定保護段差部を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、サスペンション用基板の形成に一般的に用いられる形成方法とすることができる。
このような上記段差部を構成する各部材の形成方法としては、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容を用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記積層体を用いる方法であることが好ましい。上記各構成を精度良く形成することができるからである。
本発明におけるカバー層形成工程は、上記段差部上に液状カバー材を塗布し、上記段差部を覆うように形成され、上記安定保護段差部に含まれる上記第2配線層上の厚みが6μm以下であるカバー層を形成する工程である。
また、上記液状カバー材についても、一般的なサスペンション用基板の製造に用いられるものを使用することができ、具体的には、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上記安定保護段差部形成工程およびカバー層形成工程を有するものであるが、必要に応じて他の工程を有するものであっても良い。
具体的には、上記第1配線層および第2配線層の一部に配線めっき部を形成する配線めっき部形成工程を有していても良い。配線めっき部を形成する方法としては、具体的には、電解めっき法を挙げることができる。
[作製例1]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持基板)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(第1絶縁層)、厚さ9μmの電解銅層(第1配線層)を有する積層部材を準備した(図8(a)および(f))。次に、ドライフィルムレジストを積層部材の両面にラミネートし、レジストパターンを形成した。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行い、パターニングされた第1配線層を形成した(図8(b)および(g))。なお、図示しないが、金属支持基板には治具孔を形成した。
また、評価用のサスペンション用基板を合計861個作製した。
・第1配線層端部および上記第2配線層端部間の距離:20μm
・第2配線層の上記第2配線層端部からの幅:10μm
・第1絶縁層の上記第1配線層端部からの幅:10μm
・第1配線層および第2配線層の総厚:11μm(設計上の両配線層の厚み同一)
・カバー層の上記段差部に含まれる第2配線層上の厚み:2μm
第1配線層および第2配線層の総厚の設計値を12μm、12.5μm、13μm、13.5μm、14μm、15μm、16μm、21μm、28μmとした以外は、作製例1と同様にしてサスペンション用基板を得た。
なお、各実施例毎に、評価用のサスペンション用基板を合計861個作製した。
カバー層の上記段差部に含まれる第2配線層上の厚みを4μmとした以外は、実施例1〜10と同様にしてサスペンション用基板を得た。
なお、各作製例毎に、評価用のサスペンション用基板を合計861個作製した。
カバー層の上記段差部に含まれる第2配線層上の厚みを6μmとした以外は、実施例1〜10と同様にしてサスペンション用基板を得た。
なお、各作製例毎に、評価用のサスペンション用基板を合計861個作製した。
各作製例で作製したサスペンション用基板(各作製例毎に861個)について、それぞれの第1配線層および第2配線層の総厚の実測値、ならびに、上記段差部に含まれる第2配線層端部の露出の有無を共焦点レーザー顕微鏡を用いて200倍にて確認した。
結果を、図9のグラフに示す。グラフは、各サンプルの任意の安定保護段差部の1箇所について観察した結果であり、第1配線層および第2配線層の総厚の設計値に対する、第1配線層および第2配線層の総厚の実測値(μm)ならびに保護層欠け(第2配線層端部がカバー層から露出したサンプルの割合(%))を示すものである。
グラフ中の折れ線グラフは右縦軸の保護層欠けを示すものであり、バーは左縦軸の第1配線層および第2配線層の総厚の実測値を示すものである。
ここで、第1配線層および第2配線層の総厚の設計値に対するとは、総厚の設計値が同じものを1グループとしてまとめたことをいうものであり、具体的には、グラフの一番左側のバーは、実施例1(設計上総厚11μm、カバー層厚2μm)、実施例11(設計上総厚11μm、カバー層厚4μm)および実施例21(設計上総厚11μm、カバー層厚6μm)の評価用サスペンション用基板全てについての総厚の実測値(合計サンプル数861個×3)を示すものであり、折れ線の値も、上記評価用サスペンション用基板全て(合計サンプル数861個×3)について第2配線層端部がカバー層から露出したサンプルの割合を示すものである。
また、バーの細線部は同総厚設計値のサンプルについての全実測値(合計サンプル数861個×3)の分布を示し、太線部は全実測値の6σの範囲を示すものである。
具体的には、総厚設計値が15μm以下の場合には、第2配線層端部のカバー層からの露出がないことが確認できた。また、設計値15μmの場合の最大の総厚実測値は16.4μmであった。
また、総厚設計値16μmの結果について更に調査をしたところ、総厚実測値が16.4μm以下では、第2配線層端部のカバー層からの露出がないことが確認できた。また、総厚実測値が16.4μmより厚い場合では、第2配線層端部のカバー層からの露出が生じる場合があることが確認できた。
2a…第1絶縁層
2b…第2絶縁層
3a…第1配線層
3b…第2配線層
4…カバー層
5…段差部
5a…安定保護段差部
10…サスペンション用基板
11…素子実装領域
20…サスペンション
21…ロードビーム
30…素子付サスペンション
40…ハードディスクドライブ
Claims (5)
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された第1配線層と、前記第1配線層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第2配線層と、前記第2配線層上に形成されたカバー層と、を有するサスペンション用基板であって、
前記第2絶縁層は、前記第1配線層が露出する第2絶縁層開口部を有し、
前記第2配線層のうち少なくとも一部は、前記第2絶縁層開口部内で前記第1配線層上に形成され、
前記第1配線層は、前記第2絶縁層開口部内に前記第1絶縁層が露出する第1配線層開口部を有し、
前記第2絶縁層開口部内に、前記第1絶縁層、前記第1配線層および前記第2配線層がこの順で階段状に積層され、前記カバー層により覆われる段差部が形成され、
前記段差部が、前記第1配線層の端部および前記第2配線層の端部間の距離が10μm〜30μmの範囲内であり、前記第1配線層および前記第2配線層の総厚が16.4μm以下である安定保護段差部を有し、
前記カバー層の前記安定保護段差部に含まれる第2配線層上の厚みが6μm以下であることを特徴とするサスペンション用基板。 - 請求項1に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
- 請求項2に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
- 請求項3に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された第1配線層と、前記第1配線層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第2配線層と、前記第2配線層上に形成されたカバー層と、を有し、
前記第2絶縁層は、前記第1配線層が露出する第2絶縁層開口部を有し、
前記第2配線層のうち少なくとも一部は、前記第2絶縁層開口部内で前記第1配線層上に形成され、
前記第1配線層は、前記第2絶縁層開口部内に前記第1絶縁層が露出する第1配線層開口部を有し、
前記第2絶縁層開口部内に、前記第1絶縁層、前記第1配線層および前記第2配線層がこの順で階段状に積層され、前記カバー層により覆われる段差部が形成され、
前記段差部が、前記第1配線層の端部および前記第2配線層の端部間の距離が10μm〜30μmの範囲内であり、前記第1配線層および前記第2配線層の総厚が16.4μm以下である安定保護段差部を有し、
前記カバー層の前記安定保護段差部に含まれる第2配線層上の厚みが6μm以下であるサスペンション用基板の製造方法であって、
前記安定保護段差部を有する段差部を形成する安定保護段差部形成工程と、
前記段差部上に液状カバー材を塗布し、前記安定保護段差部に含まれる前記第2配線層上の厚みが6μm以下であるカバー層を形成するカバー層形成工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
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