JP6070125B2 - 固液分離方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体中に含まれている固体粒子を濃縮して分離するための固液分離方法及び装置に関するものである。
海水の淡水化処理やシェールガス随伴水等の脱塩処理を行う手法として、逆浸透膜法や正浸透膜法がある。かかる逆浸透膜法や正浸透膜法を実施する場合は、膜処理の実施前に、前処理として、水中に含まれている砂、粘土、コロイド等の固体粒子を分離して除去することが求められる。更に、上記海水の淡水化処理やシェールガス随伴水等の脱塩処理の場合は、水中に含まれている藻類やその他の微生物、その死骸や代謝物等の固体粒子についても、前処理で分離して除去することが望まれる。
又、藻類、細胞やその他の微生物を培養して、医薬品、燃料やその他の有用物質を生産する場合は、上記有用物質の回収処理を開始する際、培養された微生物や細胞等を、水中(培養液中)より分離する前処理が必要とされる。
更には、湖沼の浄化を目的として、水から藻類等の微生物を分離することも行われている。
固液分離を実施する場合は、分離対象となる固体粒子と、該固体粒子の分散媒となっている液体との密度差を利用した固液分離手法が広く一般的に行われている。すなわち、固体粒子の密度が液体の密度よりも大きい場合は、沈降分離が行われる。一方、固体粒子の密度が液体の密度よりも小さい場合は浮上分離が行われている。又、上記固体粒子と液体との密度差が比較的小さい場合は、上記と同様の固液密度差に基づく固体粒子の沈降や浮上を、遠心力を利用して促進させるようにした遠心分離が広く行われている。
しかし、上記砂、粘土、コロイド、藻類、細胞やその他の微生物及びその死骸や代謝物は、粒径が小さく、更には、水との密度差がないか又は該密度差が微小な粒子となっている場合があり、このような固体粒子は、上記した沈降分離や浮上分離や遠心分離のような固液密度差を利用した従来の一般的な固液分離手法では、液体から分離させることが困難である。
又、上記沈降分離や浮上分離や遠心分離以外の固液分離手法としては、中立浮力粒子を含む流体を渦巻状チャネルに流通させて、中立浮力粒子に作用するようになる内壁からの揚力、サフマン力、マグヌス力、及び、遠心力の複合効果と平衡状態を利用する手法が従来提案されている。かかる手法によれば、上記流体中の中立浮力粒子は、上記渦巻状チャネルを流れる流体中で密集させて、上記チャネルの内壁近くを流れる管状帯とさせることができ、該管状帯を含む流体と、残りの流体とを分けて回収することで、該中立浮力粒子を分離できるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
なお、液体中の粒子を或る分離粒径を基準として分離する手法の1つとしては、透過性を有する膜に液体の透過流を形成させるときに、該膜の上流面側に、膜表面に沿う方向の剪断速度勾配を有する液体の流れを生じさせて、上記分離粒径に対応する粒径の粒子に作用する剪断揚力が、上記透過流の速度と等しくなるようにさせる手法が従来提案されている。かかる手法によれば、上記分離粒径以上の粒径を持つ粒子は、上記膜の上流面側に保持されるようになることから、該膜を透過する上記分離粒径よりも小さい粒径の粒子との分離を行うことができるとされている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2009−113035号公報 特表2001−503669号公報
ところが、上記特許文献1に示された手法では、渦巻状チャネルに流通させる流体中の中立浮力粒子に対してサフマン力(サフマン揚力)を作用させるようにしてあるが、該中立浮力粒子を密集させるためには、上記サフマン力に加え、粒子に作用する遠心力を含むその他の力との複合効果と平衡状態が必要とされている。そのため、上記中立浮力粒子の密度と、該中立浮力粒子の分散媒となっている流体(液体)の密度に差(固液密度差)がない場合は、固液分離処理を行うことが困難である。
又、上記特許文献2に示された手法は、液体中の粒子を粒径に応じて分離するための手法であって、粒径が小さく、更に、液体との密度差がないか又は微小な粒子の固液分離処理を実施できるものではない。
したがって、上記特許文献1、2に示された手法は、いずれであっても、前述したような逆浸透膜法や正浸透膜法による海水やシェールガス随伴水の脱塩処理の前処理として、水中に含まれている砂、粘土、コロイド、藻類やその他の微生物及びその死骸や代謝物のような固体粒子を液体から分離させるための固液分離処理や、藻類、細胞や微生物を水中(培養液中)より分離するための固液分離処理への適用は難しい。
更に、上記特許文献1に示されたものでは、上記粒子に作用させるサフマン力、揚力、マグヌス力、遠心力は、上記渦巻状チャネルの形状と流体の流速により受動的に決定されてしまう。そのため、上記流体中の中立浮力粒子の分離効率を高めるためには、上記渦巻状チャネルの流路長を長く設定する必要が生じることから、装置構成が大型化するという問題がある。
ところで、一般に、流体中の粒子は、密集させられて粒子濃度が高くなると、粒子同士の干渉(相互作用)が著しくなるため、粒子拡散を生じるようになる。
そのため、上記特許文献1に示された手法では、渦巻状チャネルにおける流体の流れを適切に制御しないと、管状帯に密集させられて濃縮された中立浮力粒子が、粒子拡散を生じるようになることから、該渦巻状チャネルの下流側端部で上記管状帯を含まないように分離される流体の上記粒子に関する清澄度が低下してしまう。
しかも、上記特許文献1に示されたものでは、渦巻状チャネルにおける流体の流れは、該渦巻状チャネルの形状に大きく依存するため、設計の自由度が小さく、処理時間を短くすることや、処理量を増加させることは難しい。
なお、上記特許文献2に示されたものは、透過性の膜の透過流の抗力と、剪断揚力(サフマン揚力)との均衡を利用する必要があるため、上記膜を必要とすると共に、該膜の上流面に隣接して流体の剪断流を発生させるようにしてあり、そのため、上記膜の洗浄作業を要すると共に、処理速度が遅い。
そこで、本発明は、粒径が小さく、更には、固体粒子の分散媒となる液体との密度差がないか又は微小な固体粒子についても、固液分離を効率よく実施することができ、しかも、上記固体粒子に関する清澄度の高い液体を回収することができて、固液分離効率を高いものとすることができる等、上記した従来の問題点を解消できるようにする固液分離方法及び装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、液体を満たすための液体充填空間を、移動壁と、該移動壁との距離が液体充填空間の一端から他端に向けて連続的に又は段階的に小さくなる静止壁との間に形成し、上記液体充填空間に液体を満たした状態で、上記移動壁を静止壁に対して一方向に連続的に相対移動させることにより、該液体充填空間内の液体に、上記静止壁側から移動壁側に向けて流速が次第に増加する剪断速度勾配を有する流れ場を形成し、該液体充填空間に、一端から粒子を含む原液を供給して、該原液中の粒子に対し、上記剪断速度勾配を有する流れ場により、上記静止壁側より移動壁側に向く方向のサフマン揚力を作用させ、その後、上記液体充填空間の一端から他端に至る途中の複数個所で、上記静止壁近くで粒子濃度が低下する領域の液体を清澄液として抜き出して回収すると共に、該液体充填空間の他端部より、上記サフマン揚力の作用により濃縮された上記粒子を含む粒子濃縮液を回収するようにする固液分離方法とする。
又、請求項2に対応して、液体を満たすための液体充填空間を、移動壁と、該移動壁との距離が液体充填空間の一端から他端に向けて連続的に又は段階的に小さくなる静止壁との間に形成し、上記移動壁は、上記静止壁に対して一方向へ連続的に相対移動可能として、該移動壁の上記静止壁に対する一方向への連続的な相対移動により、上記液体充填空間内の液体に、上記静止壁側より移動壁側に向けて流速が次第に増加する剪断速度勾配を有する流れ場を形成できるようにし、上記液体充填空間の一端に、原液入口を設け、更に、上記静止壁に、上記液体充填空間の一端から他端に至る途中の複数個所で、上記液体充填空間内の剪断速度勾配を有する流れ場中で作用するサフマン揚力により粒子が上記移動壁寄りに濃縮されることに伴って該静止壁近くで粒子濃度が低下する領域の液体を、清澄液として回収するための清澄液出口を設け、上記液体充填空間の他端部に、粒子濃縮液を回収するための濃縮粒子出口を設けた構成を有する固液分離装置とする。
更に、請求項3に対応して、上記請求項2の構成において、液体充填空間は、回転駆動可能な移動壁としての回転周壁と、該回転周壁の内側に隙間を隔てて同心状に配置した静止壁としての固定周壁との間に軸心方向の一端から他端に間隔が大きくなるよう環状に形成させてなり、上記両周壁の間隔が大きい側の軸心方向一端に原液入口を設けると共に、軸心方向他端に、濃縮粒子出口を設け、更に、上記固定周壁に、軸心方向に配列した複数の清澄液出口を設けるようにした構成とする。
同様に、請求項4に対応して、上記請求項2の構成において、液体を貯留するための一方向に延びる樋状の容器の上端側開口部に、該容器の長手方向の全長に亘りベルトを循環駆動できるように設けたベルト蓋装置を設け、且つ上記容器内における上下方向複数個所に、該容器の長手方向途中位置から長手方向他端部まで水平に延びる仕切壁を、下段側の仕切壁がその上段側に隣接する仕切壁よりも、上記容器長手方向一端寄りに順次突出するように配置して、液体充填空間を、上記ベルトの下部走行部分と、該ベルトの下部走行部分に対向する上記容器の内底面、及び、上記各仕切壁の突出部分との間に形成し、更に、各仕切壁の下側を、清澄液出口とすると共に、上記容器の長手方向他端部における最上段の仕切壁よりも上側の部分を、濃縮粒子出口とするようにした構成とする。
本発明の固液分離方法及び装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)原液中に含まれる粒子は、分散媒となっている液体との固液密度差がないか又は微小な粒子、あるいは、粒径の小さい粒子であっても、該粒子に作用する流体力であるサフマン揚力を利用して濃縮することができる。このため、粒子を含む原液を連続的に固液分離処理して、濃縮された粒子を含む粒子濃縮液と、粒子の清澄化が図られた清澄液とを分離して回収することができる。
(2)したがって、本発明の固液分離方法及び装置は、逆浸透膜法や正浸透膜法による海水やシェールガス随伴水の脱塩処理の前処理として、水中に含まれている砂、粘土、コロイド等の固体粒子、更には、水中に含まれている藻類やその他の微生物、その死骸や代謝物等の固体粒子について分離して除去する処理、あるいは、藻類、細胞や微生物を水中(培養液中)より分離する処理に適した固液分離処理を実施することが可能になる。
(3)更に、液体充填空間では、一対の静止壁と移動壁のうち、移動壁を、静止壁に対して一方向に連続して相対移動させて、液体充填空間内の液体に剪断速度勾配を有する流れ場を強制的に形成させることができるため、原液中の粒子に対して作用させるサフマン揚力を、確実に且つ効率よく発生させることができる。よって、上記液体充填空間は、原液の供給側から、清澄液及び粒子濃縮液の出口側までの距離を短く設定することができて、固液分離処理を行う装置の全体構成をコンパクトなものとすることができる。
(4)しかも、清澄液の分離、回収は、粒子拡散の発生を抑制した状態で行うことができる。よって、回収される清澄液は、粒子に関する清澄度を高いものとすることができる。(5)以上により、固液分離効率を高めることができる。又、上記液体充填空間は、設計の自由度を大きくすることができて、清澄液の分離回収時間の短縮化を図ることができる。更には、固液分離処理の処理量の増加、及び、分離回収率の向上化を図ることができる。
(6)上記清澄液と粒子濃縮液との分離は、上記特許文献2に示されたような透過性の膜は使用しない。このため、膜の洗浄作業を要することはなく、固液分離処理の処理速度を高めることができる。
本発明の固液分離方法及び装置の実施の一形態を示す概略切断側面図である。 図1の装置における各分離ゾーンで形成される剪断速度勾配を有する流れ場の概要を示す図である。 図1の装置における液体充填空間内での上下方向の粒子濃度分布を示す図で、(a)は液体充填空間の長手方向一端部について、(b)は一段目の分離壁の一端部の配置位置について、(c)は二段目の分離壁の一端部の配置位置について、(d)は三段目の分離壁の一端部の配置位置について、(e)は四段目の分離壁の一端部の配置位置について、をそれぞれ示すものである。 本発明の実施の他の形態として、固液分離装置の別の構成を示す概略切断側面図である。 図4のA−A方向矢視図である。 図4の装置における分離ゾーンで形成される剪断速度勾配を有する周方向の流れ場の概要を示す図で、(a)は図4のBの高さ位置について、(b)は図4のCの高さ位置について、(c)は図4のDの高さ位置について、をそれぞれ示すものである。 図4の装置における液体充填空間内での粒子濃度分布を説明するもので、(a)は固定周壁と回転周壁との間に形成された液体充填空間の断面を、軸心方向を横にした状態で示す概要図、(b)は原液位置入口側となる軸心方向一端部における径方向の粒子濃度分布を示す図、(c)は、軸心方向他端側へ或る寸法移動した位置における径方向の粒子濃度分布を示す図、(d)は軸心方向一端側から1番目の清澄液出口を設ける位置での径方向の粒子濃度分布を示す図、(e)は軸心方向一端側から2番目の清澄液出口を設ける位置での径方向の粒子濃度分布を示す図、(f)は軸心方向一端側から3番目の清澄液出口を設ける位置での径方向の粒子濃度分布を示す図である。 図4の装置における清澄液出口を設ける位置の条件式を導くために用いる円筒座標系を示す図である。 本発明の実施の更に他の形態として、図4の装置の応用例を示す概略切断側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3(a)(b)(c)(d)(e)は本発明の固液分離方法及び装置の実施の一形態を示すものである。
すなわち、本発明の固液分離装置は、図1に符号1で示すもので、液体を貯留するための容器として、水平面内で一方向に延びる樋状の容器2を備える。
上記容器2の上側には、該容器2の長手方向の一端部と他端部(図1では左端部と右端部)と対応する位置に配置した一対のベルト車4a,4bと、該各ベルト車4aと4b同士の間に無端状に掛け回したベルト5と、いずれか一方のベルト車4a又は4bに接続した図示しない回転駆動装置とを備えてなる所謂ベルトコンベヤ構造のベルト蓋装置3を設ける。該ベルト蓋装置3は、上記ベルト5におけるベルト車4aと4bの間で移動する上部と下部の走行部分5aと5bのうちの下部の走行部分5bにより、上記容器2の上端側開口部全体を覆うことができるように配置してある。
上記容器2の上端側開口部の外周縁には、上記ベルト蓋装置3の外周を取り囲むように配置した矩形枠状の液体貯留枠6が一体に取り付けてある。これにより、上記容器2に液体を貯留するときには、その液面が上記液体貯留枠6の内側で上記ベルト5の下部走行部分5bよりも上方に位置するようにさせることで、該容器2に貯留する液体が、該容器2の長手方向の全長に亘り、上記ベルト5の下部走行部分5bに確実に接するようにしてある。
なお、上記ベルト5の下部走行部分5bと、上記容器2の上端側開口部の周縁との隙間は、小さくなるように設定して、該両者間の隙間を通る液体の流通を抑制できるようにしてあるものとする。
上記ベルト蓋装置3は、図示しない回転駆動装置を運転して、ベルト5を一方向(図1
では反時計回り方向)に循環駆動させることにより、該ベルト5の下部走行部分5bを、
上記容器2の長手方向の一端から他端(図1では左側から右側)に向く一方向に連続
的に走行させることができるようにしてある。
更に、上記容器2内には、上下方向複数個所、たとえば、図1に示すように上下方向の4個所に、該容器2の長手方向途中位置から長手方向他端部まで水平に延びる仕切壁8a,8b,8c,8dが設けてある。
上記各仕切壁8a,8b,8c,8dは、下から一段目の仕切壁8a、二段目の仕切壁8b、三段目の仕切壁8c、四段目の仕切壁8dの順に、それぞれの容器2の長手方向一端寄りの端部(図1では左端部、以下、単に一端部と云う)が、順次、容器2の長手方向他端寄りにずれた配置となるようにしてある。すなわち、上下に隣接する仕切壁8aと8b同士,8bと8c同士,8cと8d同士では、相対的に下側に配置された仕切壁8a,8b,8cの一端部が、上側に配置された仕切壁8b,8c,8dよりも、容器2の長手方向一端寄りに或る寸法突出するようにしてある。
これにより、図1に示すように、上記容器2内には、長手方向一端より順に、容器内底面2aを静止壁とし、その上方に対向配置されている上記ベルト5の下部走行部分5bが移動壁となる第1分離ゾーン9aと、一段目の仕切壁8aの一端部の突出部分を静止壁とし、それに対向するベルト5の下部走行部分5bが移動壁となる第2分離ゾーン9bと、二段目の仕切壁8bの一端部の突出部分を静止壁とし、それに対向するベルト5の下部走行部分5bが移動壁となる第3分離ゾーン9cと、三段目の仕切壁8cの一端部の突出部分を静止壁とし、それに対向するベルト5の下部走行部分5bが移動壁となる第4分離ゾーン9dとを備え、更に、四段目の仕切壁8dとベルト5の下部走行部分5bとの間に形成される濃縮粒子排出ゾーン10を備えた液体充填空間7が形成されるようにしてある。
したがって、上記液体充填空間7では、容器長手方向一端から他端に向けて配列されている上記第1から第4の各分離ゾーン9a,9b,9c,9dの順に、それぞれの静止壁となる容器内底面2a及び一、二、三段目の各仕切壁8a,8b,8cから、これらに対して一方向に連続的に相対移動させる共通の移動壁となる上記ベルト5の下部走行部分5bまでの間隔が、段階的に小さくなるようにしてある。
これにより、上記液体充填空間7に液体が満たされている状態では、上記ベルト蓋装置3によりベルト5を上記所定の方向へ循環駆動させると、下部走行部分5bの近傍の液体が同伴される。これにより、該液体充填空間7内の液体には、図2に概略を示すように、上述した各分離ゾーン9a,9b,9c,9dにて、それぞれの静止壁となる容器内底面2a及び一、二、三段目の各仕切壁8a,8b,8c側から上記ベルト5の下部走行部分5b側、すなわち、下側から上側に向けて流速が次第に増加する剪断速度勾配を有する流れ場が、容器2の長手方向の全域に亘り形成されるようにしてある。
更に、この際、上記各分離ゾーン9a,9b,9c,9dでは、共通の移動壁となるベルト5の下部走行部分5bから、それぞれ対応する静止壁となる容器内底面2aと一、二、三段目の各仕切壁8a,8b,8cまでの間隔が順次小さくなることに起因して、形成される流れ場の剪断速度勾配が、第1、第2、第3、第4の分離ゾーン9a,9b,9c,9dの順に大きくなるようにしてある。これにより、上記液体充填空間7内では、貯留されている液体に対して、上記のような剪断速度勾配を有する流れ場が形成されることに伴い、該液体中に分散されているすべての粒子11に対して、図2に矢印fa,fb,fc,fdで示すように、該液体充填空間7の下側から上側に向く方向のサフマン揚力が作用するようにしてある。更に、この粒子11に作用するサフマン揚力は、分離ゾーン9a,9b,9c,9dの順に大きくなるようにしてある。
上記液体充填空間7の長手方向一端部となる上記容器2の長手方向一端部には、原液入口13を設けて、原液供給管14の下流側端部が接続してある。該原液供給管14の上流側端部は、粒子11が分散媒となる液体に分散された状態の原液12を供給するための図示しない原液供給部に接続されている。これにより、上記液体充填空間7では、その長手方向一端部に、上記原液供給管14を通して上記図示しない原液供給部より導かれる原液12を、連続的に供給できるようにしてある。
上記液体充填空間7における各仕切壁8a,8b,8c,8dの下側は、それぞれが上記容器2の長手方向他端部に連通する清澄液出口15a,15b,15c,15dとしてあり、該各清澄液出口15a,15b,15c,15dには、個別の清澄液取出管16a,16b,16c,16dが容器2の長手方向他端の外部から接続してある。
更に、上記容器2の長手方向他端部における上記ベルト5の下部走行部分5b寄りとな
る上部には、四段目の仕切壁8dの上側に形成されている濃縮粒子排出ゾーン10に連通
する濃縮粒子出口17が設けられている。該濃縮粒子出口17には、容器2の長手方向他
の外部から濃縮粒子取出管18が接続されている。
ここで、上記構成としてある本発明の固液分離装置1による固液分離処理の具体的な内容と共に、上記容器2内における各仕切壁8a,8b,8c,8dの位置の設定手法について説明する。
図3(a)(b)(c)(d)(e)は、上記液体充填空間7内に供給された上記原液12中の粒子11の該液体充填空間7の上下方向に関する濃度分布を示すものである。図3(a)(b)(c)(d)(e)において、横軸は粒子濃度、縦軸は液体充填空間7における上下方向位置を示す。
上記液体充填空間7における長手方向一端部では、原液入口13より原液12が供給された直後であるため、図3(a)に示すように、該液体充填空間7の上下方向に関して粒子濃度分布は、一様になっている。
その後、上記液体充填空間7に供給された原液12は、上記第1分離ゾーン9aを、該
液体充填空間7の長手方向他端へ進む。この際、該原液12中の粒子11は、上記した
ように第1分離ゾーン9aに形成される剪断速度勾配を有する流れ場の中でサフマン揚力
を受けるため、該粒子11は、原液12中で、上記ベルト5の下部走行部分5bに近接す
る方向、すなわち、上方に移動させられるようになる。
このため、上記第1分離ゾーン9aでは、原液12が液体充填空間7の長手方向他端に向けて進行するにしたがい、該原液12中では、図3(a)に示したように当初上下方向に一様であった粒子濃度分布が、全体的に徐々に上方へシフトされるようになる。したがって、該第1分離ゾーン9aを液体充填空間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置では、該原液12中の粒子濃度分布は、図3(b)に示すようになり、上記ベルト5の下部走行部分5bに近接する該第1分離ゾーン9aの上端寄りに、粒子11が濃縮された領域が形成される。一方、上記容器内底面2aに近接する該第1分離ゾーン9aの下端寄りには、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rが形成されるようになる。
このことに鑑みて、上記一段目の仕切壁8aは、上記第1分離ゾーン9aを液体充填空
間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置で、且つ図3(b)に示したように粒子濃度
分布がゼロ近くまで低下した領域rの上限となる位置に、該仕切壁8aの一端部を配置さ
せるようにしてある。
これにより、上記一段目の仕切壁8aでは、上記粒子11を含んだ状態の原液12と、上記粒子11の濃度分布がゼロ近くまで低下するように清澄化が図られた清澄液19とを、該仕切壁8aの上下に分離させて、それぞれ、該仕切壁8aの上側の第2分離ゾーン9bと、該仕切壁8a下側の清澄液出口15aへ導くことができるようにしてある。
次に、上記のようにして第2分離ゾーン9bに導かれた原液12は、該第2分離ゾーン
9bを液体充填空間7の長手方向他端へ進む。この際、該原液12中の粒子11は、上
記したように第2分離ゾーン9bに形成される上記第1分離ゾーン9aよりも大きな剪断
速度勾配を有する流れ場の中で、サフマン揚力を受けるため、該粒子11は、原液12中
で、上記ベルト5の下部走行部分5b側となる上方に、上記第1分離ゾーン9aよりも早
く移動させられるようになる。
このため、上記第2分離ゾーン9bでは、原液12が液体充填空間7の長手方向他端に向けて進行するにしたがい、該原液12中の粒子濃度分布が、全体的に更に上方へシフトされるようになる。したがって、該第2分離ゾーン9bを液体充填空間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置では、該原液12中の粒子濃度分布は、図3(c)に示すようになり、上記ベルト5の下部走行部分5b側の上端寄りに、粒子11が更に濃縮された領域が形成される一方、上記一段目の仕切壁8aに近接する該第2分離ゾーン9bの下端寄りには、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rが形成されるようになる。
このことに鑑みて、上記二段目の仕切壁8bは、上記第2分離ゾーン9bを液体充填空間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置で、且つ図3(c)に示したように粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rの上限となる位置に、該仕切壁8bの一端部を配置させるようにしてある。
これにより、上記二段目の仕切壁8bでは、上記粒子11を含んだ状態の原液12と、上記粒子11に関する清澄化が図られた清澄液19とを、該仕切壁8bの上下に分離させて、それぞれ、該仕切壁8bの上側の第3分離ゾーン9cと、該仕切壁8b下側の清澄液出口15bへ導くことができるようにしてある。
次いで、上記のようにして第3分離ゾーン9cに導かれた上記原液12は、該第3分離ゾーン9cを液体充填空間7の長手方向他端へ進む際に、該原液12中の粒子11が、上記第2分離ゾーン9bよりも大きな剪断速度勾配を有する流れ場の中で、より大きなサフマン揚力を受けるため、該粒子11は、原液12中で、上記ベルト5の下部走行部分5bに近接する方向である上方に、より早く移動させられるようになる。
このため、上記第3分離ゾーン9cでは、原液12が液体充填空間7の長手方向他端に向けて進行するにしたがい、該原液12中の粒子濃度分布が、全体的に更に上方へシフトされるようになる。したがって、該第3分離ゾーン9cを液体充填空間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置では、該原液12中の粒子濃度分布は、図3(d)に示すようになり、上記ベルト5の下部走行部分5b側の上端寄りに、粒子11が更に濃縮された領域が形成される一方、上記二段目の仕切壁8bに近接する該第3分離ゾーン9cの下端寄りには、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rが形成されるようになる。
このことに鑑みて、上記三段目の仕切壁8cは、上記第3分離ゾーン9cを液体充填空
間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置で、且つ図3(d)に示したように粒子濃度
分布がゼロ近くまで低下した領域rの上限となる位置に、該仕切壁8cの一端部を配置さ
せるようにしてある。
これにより、上記三段目の仕切壁8cでは、上記粒子11を含んだ状態の原液12と、上記粒子11に関する清澄化が図られた清澄液19とを、該仕切壁8cの上下に分離させて、それぞれ、該仕切壁8cの上側の第4分離ゾーン9dと、該仕切壁8c下側の清澄液出口15cへ導くことができるようにしてある。
更に、上記のようにして第4分離ゾーン9dに導かれた上記原液12は、該第4分離ゾーン9dを液体充填空間7の長手方向他端へ進む際に、該原液12中の粒子11が、上記第3分離ゾーン9cよりも大きな剪断速度勾配を有する流れ場の中で、更に大きなサフマン揚力を受けるため、該粒子11は、原液12中で、上記ベルト5の下部走行部分5bに近接する方向である上方に、更に早く移動させられるようになる。
このため、上記第4分離ゾーン9dでは、原液12が液体充填空間7の長手方向他端に向けて進行するにしたがい、該原液12中では、粒子濃度分布が、全体的に更に上方へシフトされるようになる。このため、該第4分離ゾーン9dを液体充填空間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置では、該原液12中の粒子濃度分布は、図3(e)に示すようになり、上記ベルト5の下部走行部分5b側の上端寄りに、粒子11が更に濃縮された領域が形成される一方、上記三段目の仕切壁8cに近接する該第4分離ゾーン9dの下端寄りには、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rが形成されるようになる。
このことに鑑みて、上記四段目の仕切壁8dは、上記第4分離ゾーン9dを液体充填空間7の長手方向他端へ或る距離進んだ位置で、且つ図3(e)に示したように粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rの上限となる位置に、該仕切壁8dの一端部を配置させるようにしてある。
これにより、上記四段目の仕切壁8dでは、上記濃縮された粒子11を含んだ状態の原液12と、上記粒子11に関する清澄化が図られた清澄液19とを、該仕切壁8dの上下に分離させて、それぞれ、該仕切壁8cの上側の濃縮粒子排出ゾーン10と、該仕切壁8d下側の清澄液出口15dへ導くことができるようにしてある。
以上の構成としてある本発明の固液分離装置1を使用して固液分離処理を行う場合は、予め、上記容器2の内部の液体充填空間7に、液体、たとえば、固液分離処理の対象となる原液12において粒子11の分散媒となっている液体を、ベルト5の下部走行部分5bに接するレベルまで貯留させておく。
この状態で、ベルト蓋装置3における図示しない回転駆動装置による上記ベルト5の循環駆動を開始させることにより、上記液体充填空間7内の各分離ゾーン9a,9b,9c,9dに、前記したように順次大きくなる剪断速度勾配を有する流れ場を形成させる。
又、同時に、上記液体充填空間7の長手方向一端には、原液入口13からの原液12
の連続的な供給を開始させる。この際、原液12の供給量は、上記容器2内に形成される
流れ場の平均流速と、該容器2の断面積との積の値に対応するように設定しておくように
する。
これにより、上記原液入口13より液体充填空間7の長手方向一端に供給された原液12は、該液体充填空間7内を、長手方向一端から他端へ、上記各分離ゾーン9a,9b,9c,9dで順に大きくなる剪断速度勾配を有する流れ場を形成しながら連続的に移動するようになる。この際、該原液12に含まれている粒子11は、粒径が小さくても、又、たとえ、分散媒となっている液体との密度差がないか又は微小であっても、上記各分離ゾーン9a,9b,9c,9dでの剪断速度勾配を有する流れ場内で生じる上向きのサフマン揚力により、上記ベルト5の下部走行部分5bに近接する該液体充填空間7の上部寄りに次第に濃縮されるようになる。
その後、上記各分離ゾーン9a,9b,9c,9dを経ることで液体充填空間7の上部に濃縮された後、四段目の仕切壁8dの上側の濃縮粒子排出ゾーン10に導かれた粒子11は、液体の一部と一緒に粒子濃縮液20となった状態で、液体充填空間7の長手方向他端部の上部に該濃縮粒子排出ゾーン10に連通するよう設けられている濃縮粒子出口17に達するようになる。よって、上記粒子濃縮液20は、該濃縮粒子出口17より濃縮粒子取出管18へ取り出して回収されるようになる。
一方、上記各仕切壁8a,8b,8c,8dの下側に設けてある各清澄液出口15a,15b,15c,15dには、前記したように粒子11の濃度が低下した清澄液19が導かれるようになる。この清澄液19は、その後、該各清澄液出口15a,15b,15c,15dに個別に接続してある各清澄液取出管16a,16b,16c,16dへ取り出されて回収されるようになる。
このように、本発明の固液分離方法及び装置によれば、粒径が小さい粒子11、あるいは、分散媒の液体との固液密度差がないか又は微小な粒子11であっても、サフマン揚力を利用して該粒子11を濃縮することができるため、該粒子11を含む原液12を連続的に固液分離処理して、濃縮された粒子11を含む粒子濃縮液20と、清澄液19とを分離して回収することができる。
したがって、本発明の固液分離方法及び装置は、逆浸透膜法や正浸透膜法による海水やシェールガス随伴水の脱塩処理の前処理として、水中に含まれている砂、粘土、コロイド等の固体粒子、更には、藻類やその他の微生物、その死骸や代謝物等の固体粒子を分離して除去する処理、あるいは、藻類、細胞や微生物を水中(培養液中)より分離する処理に適したものとすることができる。
上記において、上記液体充填空間7では、第1から第4の各分離ゾーン9a,9b,9c,9dにて静止壁となる容器内底面2a及び各仕切壁8a,8b,8cに対し、移動壁となるベルト5の下部走行部分5bを一方向に連続して相対移動させて、該液体充填空間7内の原液12に剪断速度勾配を有する流れ場を強制的に形成させることができるため、上記液体充填空間7内では、原液12中の粒子11に対して作用させるサフマン揚力を、確実に且つ効率よく発生させることができる。よって、上記液体充填空間7は、原液12の供給側となる長手方向一端から、清澄液19及び粒子濃縮液20の取出側となる長手方向他端までの距離を短く設定することができて、本発明の固液分離装置1の全体構成をコンパクトなものとすることができる。
しかも、上記本発明の固液分離方法及び装置では、液体充填空間7の長手方向一端から他端へ順に形成してある各分離ゾーン9a,9b,9c,9dのうち、長手方向一端寄りに位置する各分離ゾーン9aと9bと9cでは、原液12中の粒子11の濃度を、最終的に回収する粒子濃縮液20の粒子濃度まで高めることなく、清澄液19を清澄液出口15a,15b,15cに分離させることができる。したがって、上記各分離ゾーン9aと9bと9cでは、粒子拡散の発生を抑制した状態で、清澄液19を分離させて清澄液出口15a,15b,15cより清澄液取出管16a,16b,16cへ回収できるようになる。
更に、上記第4の分離ゾーン9dでは、移動壁となるベルト5の下部走行部分5bと、静止壁となる三段目の仕切壁8cとの間隔が狭くなっていることに起因して、原液12の流れに生じさせる剪断速度勾配を大きくして、原液12中の粒子11に大きなサフマン揚力を作用させることができる。このため、上記第4の分離ゾーン9dでは、該粒子11の粒子拡散の発生を抑制することができ、この粒子拡散を抑制した状態で、清澄液19を清澄液出口15dへ分離させて、清澄液取出管16dへ回収させることができる。
これにより、本発明の固液分離方法及び装置では、回収される清澄液19の粒子11に関する清澄度を高いものとすることができる。
一方、上記濃縮粒子出口17からは、上記回収される清澄液19が粒子11に関する清澄度の高いものになることに相関して、粒子11が十分に濃縮された粒子濃縮液20を、濃縮粒子取出管18を経て回収することができる。
以上により、本発明の固液分離方法及び装置は、固液分離効率を高めることができ、又、清澄液19の分離回収時間の短縮化を図ることができ、更には、固液分離処理の処理量の増加、及び、分離回収率の向上化を図ることができる。
しかも、本発明の固液分離方法及び装置では、上記清澄液19と粒子濃縮液20とを分離する際に、前述した特許文献2に示されたような透過性の膜は使用していないため、膜の洗浄作業を要することはなく、固液分離処理の処理速度を高めることができる。
なお、上記においては、液体充填空間7内に、四段の仕切壁8a,8b,8c,8dを備える構成を示したが、仕切壁の段数は、二、三段、あるいは、五段以上としてもよい。
この場合、液体充填空間7内で発生させる流れ場の剪断速度勾配と、原液12中の粒子11に作用するサフマン揚力の大きさとの相関、及び、粒子11に作用するサフマン揚力の大きさと、該粒子11が原液12中を上向きに移動する速度との相関、並びに、液体充填空間7内を原液入口13側から粒子濃縮液20と清澄液19の出口側へ向かう原液12の流れの速さを基に、原液12が液体充填空間7内を長手方向一端から他端へ移動する距離(流れる距離)と、その移動距離に関して該液体充填空間7の下端寄りに粒子濃度分布がゼロ近くまで低下する領域rが形成される範囲が分かる。このため、上記粒子濃度分布がゼロ近くまで低下する領域rの範囲に合わせて、上記複数段の各仕切壁の上下方向間隔、及び、該各仕切壁の一端部の配置を液体充填空間7の長手方向にずらす量を設定するようにすればよい。
次に、図4乃至図8は本発明の実施の他の形態を示すものである。
すなわち、本実施の形態の固液分離装置は、図4及び図5に符号1Aで示すもので、液体を貯留するための容器として、上下方向に延びる円筒形状の周壁22と、該周壁22の下端側を閉塞させる端壁23とからなり、且つ該端壁23の中央に取り付けた駆動軸24を中心として上記周壁(以下、回転周壁と云う)22を回転可能にした回転容器21を備える。
上記回転周壁22の内側には、該回転周壁22に対応する軸心方向寸法を有し、且つ該回転周壁22よりも小径としてある上端部から下端部に向けて徐々に縮径する逆円錐台面形状(截頭円錐面の上下を反転させた形状)の固定周壁25を、同心状に配置する。これにより、上記固定周壁25の外周面と、上記回転周壁22の内周面との間には、軸心方向、すなわち、上下方向に延びる環状の液体充填空間26が形成されるようにしてある。且つ該液体充填空間26では、径方向の内外で互いに対向する壁面となる上記回転周壁22と、固定周壁25との間隔が、軸心方向一端部となる下端側から軸心方向他端部となる上端側に向けて次第に減少するようにしてある。なお、上記固定周壁25の下端は、上記回転容器21の端壁23の内面に近接配置させることにより、両者間の隙間を小さくして、該隙間を通した固定周壁25の内外方向の液体の流通を抑制できるようにしてある。
上記回転容器21の駆動軸24は、図示しない回転駆動装置に接続してある。これにより、該回転駆動装置を運転して上記駆動軸24と一体に上記回転容器21を回転駆動させると、上記液体充填空間26では、静止壁となる上記固定周壁25に対し、上記回転周壁22を移動壁として周方向の一方向(図5では、平面視時計回り方向)に連続的に相対移動させることができるようにしてある。
このため、上記液体充填空間26に液体が満たされている状態では、上記回転周壁22を回転させると、該回転周壁22近傍の液体が同伴される。これにより、該液体充填空間26内の液体には、図6(a)(b)(c)に概略を示すように、上記固定周壁25側から回転周壁22側、すなわち、内周側から外周側に向けて流速が次第に増加する剪断速度勾配を有する流れ場が、周方向の全域に亘り形成されるようにしてある。
この際、上記液体充填空間26は、図6(a)と(b)と(c)に、下端側(図4にBで示す高さ位置)と、上下方向中間部(図4にCで示す高さ位置)と、上端側(図4にDで示す高さ位置)での切断平面図をそれぞれ示すように、該液体充填空間26の下端側から上端側に向けて、回転周壁22と固定周壁25の間隔dが漸減している。このため、上記液体充填空間26に形成される周方向の流れ場の剪断速度勾配は、図6(a)(b)(c)に示すように、該液体充填空間26の下端側から上端側に向けて、次第に大きくなる。
これにより、上記液体充填空間26内では、貯留されている液体に対して、上記のような剪断速度勾配を有する流れ場が形成されることに伴い、該液体中に分散されているすべての粒子11に対して、図6(a)(b)(c)に矢印Fa,Fb,Fcで示すように、該液体充填空間26の静止壁側である内周側から、移動壁側である外周側に向く方向のサフマン揚力が作用するようにしてある。更に、この粒子11に作用するサフマン揚力は、上記液体充填空間26の下端側から上端側に向けて、次第に大きくなるようにしてある。
上記液体充填空間26の下端部には、図4に示すように、上記固定周壁25の内側を通して配管した原液供給管14(図1に示した原液供給管14と同様のもの)の下流側端部が、固定周壁25を貫通して開口させてある。これにより、上記液体充填空間26には、上記原液供給管14を通して図示しない原液供給部より導かれる原液12を、該原液供給管14の下流側端部の原液入口27から連続的に供給できるようにしてある。
上記液体充填空間26の軸心方向他端(上端側)は、上記サフマン揚力の影響により外周方向に濃縮される粒子11を、一部の液体と一緒に粒子濃縮液20として、回転周壁22の上端をオーバーフローさせて排出させるための濃縮粒子出口28としてある。
上記固定周壁25には、軸心方向の複数個所に、周方向に等間隔で配列させた複数の清澄液出口29a,29b,29cが設けてある。図4、図5では、固定周壁25の軸心方向の3個所に、周方向に90度間隔で清澄液出口29a,29b,29cを4つずつ設けた構成例が示してある。
ここで、上記液体充填空間26の固定周壁25に設ける清澄液出口29a,29b,29cの位置の設定手法について説明する。
図7(a)は、上記液体充填空間26の周方向の一部の断面図であり、軸心方向を横にして示すものである。
上記液体充填空間26では、回転周壁22の周方向の移動速度(回転速度)は一定のため、軸心方向の一端から他端(図7(a)では左端側から右端側)に向けて、回転周壁22と固定周壁25同士の間隔が徐々に狭くなると、前述したように、周方向の流れ場の剪断速度勾配が大きくなり、該液体充填空間26に供給される原液12中の粒子11に作用するサフマン揚力が大きくなるため、該粒子11の回転周壁22側(外周方向)への移動による濃縮が速く進むようになる。
又、上記液体充填空間26では、液体の供給排出による原液12の流れ方向(移動方向)は、原液入口27(図4参照)と濃縮粒子出口28とを結ぶ軸心方向の一端から他端に向かう方向になる。
図7(b)(c)(d)(e)(f)は、それぞれ上記液体充填空間26内に供給された上記原液12中の粒子11の該液体充填空間26の径方向(内外周方向)に関する濃度分布を示すものであり、横軸は粒子濃度、縦軸は液体充填空間26における径方向位置を示す。
上記液体充填空間26における原液12の供給側となる軸心方向一端部では、径方向の粒子濃度分布は、図7(b)に示すように一様になっている。
その後、上記原液12は、上記液体充填空間26内を軸心方向他端へ移動し、その間に、上記周方向の流れ場が形成されるため、該原液12中の粒子11(図4参照)には、上記サフマン揚力が作用するようになる。
この際、上記液体充填空間26における上記両周壁22と25同士の間隔が広い原液入口27に近い軸心方向一端寄り個所では、粒子11に作用するサフマン揚力が比較的小さい。そのために、原液12が軸心方向他端へ或る距離移動する期間中に粒子11がサフマン揚力によって回転周壁22側(外周方向)に移動させられる距離よりも、該原液12の軸心方向の移動距離分で両周壁22と25同士の間隔が減少する変化量の方が大きくなる場合がある。
この場合は、該液体充填空間26内では、粒子11の濃縮が十分に進行していない状態、すなわち、図7(c)に示すように、径方向の粒子濃度分布において、粒子濃度がゼロ近くまで低下する領域は形成されない状態となる。
その後、上記原液12が、上記液体充填空間26内を更に軸心方向他端へ移動すると、上記両周壁22と25同士の間隔が徐々に減少して、粒子11に作用するサフマン揚力が大きくなる。このため、原液12が軸心方向他端へ或る距離移動する期間中に該サフマン揚力により粒子11が回転周壁22側(外周方向)に移動させられる距離が、上記両周壁22と25同士の間隔が減少する変化量を上回るようになると、径方向の粒子濃度分布は、図7(d)に示すようになり、固定周壁25に近接する液体充填空間26の内周寄りに、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下する領域rが形成されるようになる
そこで、上記固定周壁25における最も軸心方向一端寄りの清澄液出口29aは、この粒子濃度分布がゼロ近くまで低下する領域rが、固定周壁25の近傍に或る大きさで形成される軸心方向位置に対応させて設けるようにしてある。これにより、上記清澄液出口29aでは、この固定周壁25近傍の粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rに存在する液体を、清澄液19として抜き出すことができるようにしてある。
上記のようにして、清澄液出口29aより清澄液19を取り出すと、その直ぐ下流側となる軸心方向他端位置では、径方向の粒子濃度分布にゼロ近くまで粒子濃度が低下する領域が一旦なくなる。
しかし、上記したように、清澄液出口29aの位置よりも軸心方向他端では、原液12が軸心方向他端へ或る距離移動する期間中に、より大きなサフマン揚力により粒子11が回転周壁22側(外周方向)に移動させられるようになることから、その移動距離は、上記両周壁22と25同士の間隔が減少する変化量を上回るようになる。このため、上記原液12が、上記清澄液出口29aの位置より軸心方向他端へ或る距離移動すると、図7(e)に示すように、固定周壁25に近接する液体充填空間26の内周寄りに、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下する領域rが再び形成されるようになることから、該領域rが、固定周壁25の近傍に或る大きさで形成される軸心方向位置に対応させて、上記固定周壁25の軸心方向一端から2番目の清澄液出口29bを設けるようにしてある。更に同様の考えに基づいて、上記固定周壁25の軸心方向一端から3番目の清澄液出口29cは、上記清澄液出口29bより軸心方向他端へ或る距離離れた位置で、図7(f)に示すように、固定周壁25に近接する液体充填空間26の内周寄りに、粒子濃度分布がゼロ近くまで低下する領域rが再形成される軸心方向位置に設けるようにしてある。これにより、上記清澄液出口29bと29cでは、固定周壁25近傍の粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rに存在する液体を、清澄液19として抜き出すことができるようにしてある。
この清澄液出口29a,29b,29cの位置の設定条件は、条件式で表現すると以下のようになる。
すなわち、図8は、固定周壁25の軸心をz軸、該固定周壁25の仮想の底面をrθ面とする円筒座標系であり、この円筒座標系を基に考えるものとする。
上記円筒座標系において、原液入口27の軸心方向位置で最も固定周壁25に近い粒子11の位置、あるいは、軸心方向一端からn番目の清澄液出口29a,29b,29cでの清澄液19の取り出し後に、最も固定周壁25に近い粒子11の位置を、
Figure 0006070125
とする。なお、Rinはz=0での固定周壁25の半径である。
この状態から時間Δt経過後に、この粒子11がいる高さ(z方向)以上の位置に清澄液出口29a,29b,29cを設けて、清澄液19を取り出すことを考える。
Δt後の粒子11の位置は、
Figure 0006070125
となる。なお、上記において、Vとu、すなわち、式(2)、式(3)のFとVはtの関数である。
この高さz=Δzにおける固定周壁25の半径は、
Figure 0006070125
αは固定周壁の水平面からの傾き(図8参照)
となる。
上記清澄液出口29a,29b,29cの設置位置の条件は、t=0において最も固定周壁の近くにいた粒子11が、該清澄液出口29a,29b,29cからの清澄液19の取出時(t=Δt)に、固定周壁25よりも外側(回転周壁22寄り位置)に存在しているようにすればよい。したがって、上記式(1)(2)(3)及び式(5)より、
Figure 0006070125
となり、この式(6)より、Δtの条件式が導出できる。このΔtの条件式によれば、Δtの下限値が求まる。Δtが該下限値を下回る場合は、粒子11が、まだ固定周壁25より十分に離れていない状態であり、該粒子11の濃縮とそれに伴う清澄液19の分離が進行していない状態である。
上記Δtの条件式を満たすt=Δtが求まったら、それを上記式(3)に代入することにより、Δz、すなわち、上記原液入口27の軸心方向位置から、軸心方向一端側より1番目の清澄液出口29aまでの軸心方向に沿う方向の距離、あるいは、固定周壁25の軸心方向に配列される清澄液出口29a,29b,29c同士の距離を、導出することができる。
又、固定周壁25の水平面からの傾斜に沿う方向に関する上記清澄液出口29a,29b,29cの大きさLは、図8より、
Figure 0006070125
を満たすように設定すればよい。
上記固定周壁25は、上端側が閉塞板30により気密に閉塞させてある。該閉塞板30には、上記原液供給管14が上下方向に貫通させてあり、該原液供給管14は、上記閉塞板30の貫通部で気密に保持されている。
更に、上記閉塞板30には、ポンプ32を備えた清澄液回収管31の上流側端部が、外側から気密に接続してある。これにより、上記液体充填空間26より固定周壁25の内側に抜き出された清澄液19は、上記ポンプ32の運転により、上記清澄液回収管31に回収することができるようにしてある。
上記閉塞板30は、後述する外部固定容器33に図示しない支持材を介して支持させるか、あるいは、図示しない支持構造に支持させることで、位置を固定できるようにしてある。これにより、該閉塞板30と一体の上記固定周壁25は、上記回転容器21の回転に干渉する虞のない状態で、該回転容器21の回転周壁22及び端壁23との相対位置を保持できるようにしてある。
上記回転容器21の外側には、該回転容器21の下方と外周を覆う外部固定容器33が設けてある。なお、上記回転周壁22の上端よりオーバーフローさせる粒子濃縮液20は、上記回転容器21の回転に伴う遠心力の作用により外周側へ飛ばされる可能性がある。よって、上記外部固定容器33は、その上端の高さ位置が、上記回転容器21の回転周壁22の上端の高さ位置以上となるように設定してある。これにより、上記濃縮粒子出口28より回転周壁22の上端の外周側へオーバーフローされる粒子濃縮液20は、上記外部固定容器33の内側に受けることができるようにしてある。
上記外部固定容器33の底部は、中央に上記駆動軸24を貫通させて配置させるための開口部34が設けてあり、且つ該開口部34の周縁は、該外部固定容器33の内底面より或る寸法立ち上げた形状として、上記粒子濃縮液20を内底部に溜めることができるようしてある。更に、該外部固定容器33は、底部の或る個所に、上記粒子濃縮液20を回収するための粒子濃縮液回収口35が設けてある。なお、上記外部固定容器33の内底面には、全体に亘り上記粒子濃縮液回収口35に向けて下方傾斜する傾斜面を設けるようにしてもよい。これにより、上記したように外部固定容器33の内側に受けられた粒子濃縮液20は、該外部固定容器33の内底部に集められた後、上記粒子濃縮液回収口35より回収できるようにしてある。
以上の構成としてある本実施の形態の固液分離装置1Aを使用して固液分離処理を行う場合は、予め、回転容器21の内部、すなわち、液体充填空間26及び固定周壁25の内側に、液体、たとえば、固液分離処理の対象となる原液12において粒子11の分散媒となっている液体を、回転周壁22の上端と一致するレベルまで貯留させておく。
この状態で、図示しない回転駆動装置による上記回転容器21の回転駆動を開始させることにより、上記液体充填空間26内には、前記した内外周方向に剪断速度勾配を有する流れ場を、周方向の全域に亘り形成させる。
その後、上記液体充填空間26には、原液供給管14を通して導かれる原液12を、原液入口27から該液体充填空間26の下端部へ、連続的に供給させる。更に、上記液体充填空間26では、清澄液回収管31のポンプ32の運転開始に伴い、固定周壁25の各清澄液出口29a,29b,29cを通して該固定周壁25の内側への清澄液19の回収を開始させるようにする。
上記液体充填空間26の下端部に供給された原液12は、該液体充填空間26内を、下端側(軸心方向一端)から上端側(軸心方向他端)へ、上記剪断速度勾配を有する周方向の流れ場が生じた状態で順次移動するようになる。この際、該原液12に含まれている粒子11は、粒径が小さくても、又、たとえ、分散媒となっている液体との密度差がないか又は微小であっても、上記剪断速度勾配を有する流れ場内で、該粒子11に作用する流体力である外周方向に向いたサフマン揚力により、上記回転周壁22に近接する外周寄りに次第に濃縮されるようになる。
この際、上記液体充填空間26では、図7(d)に示したように、上記粒子11が外周寄りに濃縮されることに伴って、内周側の固定周壁25付近に粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rが形成されるようになると、該領域rに存在する液体が、清澄液19として、軸心方向の複数個所に設けてある上記各清澄液出口29a,29b,29cを通して固定周壁25の内側へ順次取り出される。
該固定周壁25の内側に取り出された清澄液19は、その後、上記清澄液回収管31を通して回収される。
一方、上記清澄液19の回収に伴って上記液体充填空間26の外周寄りに濃縮された粒子11は、残存している液体の一部と一緒に粒子濃縮液20となった状態で、上記液体充填空間26の上端側に設けられている濃縮粒子出口28より回転周壁22をオーバーフローさせられて、外部固定容器33の内側に受けられる。しかる後、該粒子濃縮液20は、外部固定容器33内で集められ、粒子濃縮液回収口35より回収されるようになる。
このように、本実施の形態の固液分離方法及び装置によれば、図1乃至図3(a)(b)(c)(d)(e)に示した実施の形態の場合と同様に、粒径が小さい粒子11、あるいは、分散媒の液体との固液密度差がないか又は微小な粒子11であっても、該粒子11を含む原液12を連続的に固液分離処理して、濃縮された粒子11を含む粒子濃縮液20と、清澄液19とを分離して回収することができる。
したがって、本実施の形態の固液分離方法及び装置は、逆浸透膜法や正浸透膜法による海水やシェールガス随伴水の脱塩処理の前処理として、水中に含まれている砂、粘土、コロイド等の固体粒子、更には、藻類やその他の微生物、その死骸や代謝物等の固体粒子を分離して除去する処理、あるいは、藻類、細胞や微生物を水中(培養液中)より分離する処理に適したものとすることができる。
上記において、上記液体充填空間26では、回転周壁22を、固定周壁25に対し一方向に連続的に相対移動させて、該液体充填空間26内の原液12に剪断速度勾配を有する流れ場を強制的に形成させることができるため、原液12中の粒子11に対して作用させるサフマン揚力を、確実に且つ効率よく発生させることができる。よって、上記液体充填空間26は、原液12の供給側となる軸心方向一端から、粒子濃縮液20の出口側となる軸心方向他端までの距離を短く設定することができて、本実施の形態の固液分離装置1Aの全体構成をコンパクトなものとすることができる。
更に、本実施の形態の固液分離方法及び装置では、原液12中の粒子11にサフマン揚力を作用させるために上記液体充填空間26で発生させる剪断速度勾配を有する流れ場の方向と、上記原液入口27側と濃縮粒子出口28とを結ぶ液体の供給排出による原液12の流れ方向とが、それぞれ周方向と軸心方向になっていて、直角に異なっている。このため、上記液体充填空間26内では、上記原液12の該液体充填空間26内での供給排出による流れ方向(軸心方向)の移動速度に依存することなく、上記周方向の流れ場における剪断速度勾配の大きさを設定することが可能になる。よって、上記本実施の形態の固液分離装置1Aは、上記回転周壁22を有する回転容器21の回転速度や、該回転容器21(回転周壁22)の高さ寸法、原液12の処理量等を、それぞれ独立して変更できるため、装置の設計の自由度を大きいものとすることができる。
しかも、上記本実施の形態の固液分離方法及び装置では、液体充填空間26の静止壁となる固定周壁25に設けてある各清澄液出口29a,29b,29cのうち、軸心方向一端寄りに位置する清澄液出口29aと29bでは、原液12中の粒子11の濃度を、最終的に回収する粒子濃縮液20の粒子濃度まで高める以前に、清澄液19を該清澄液出口29a,29bを通して分離、回収することができる。したがって、上記清澄液出口29a,29bでは、粒子拡散の発生を抑制した状態で、清澄液19を分離させて回収できるようになることから、回収される清澄液19の粒子11に関する清澄度を高いものとすることができる。
更に、上記液体充填空間26の軸心方向一端から3番目の清澄液出口29cの配置個所では、移動壁となる回転周壁22と、静止壁となる固定周壁25との間隔が狭くなっていることに起因して、原液12の周方向の流れ場に生じさせる剪断速度勾配を大きくして、原液12中の粒子11に大きなサフマン揚力を作用させることができる。このため、上記清澄液出口29cでは、該粒子11の粒子拡散の発生を抑制した状態で、清澄液19を該清澄液出口29cを通して固定周壁25の内側へ、分離、回収することができる。
これにより、本実施の形態の固液分離方法及び装置では、回収される清澄液19の粒子11に関する清澄度を高いものとすることができる。
一方、上記液体充填空間26の濃縮粒子出口28からは、上記回収される清澄液19が粒子11に関する清澄度の高いものになることに相関して、粒子11が十分に濃縮された粒子濃縮液20を、外部固定容器33に向けて排出させることができる。
以上により、本実施の形態の固液分離方法及び装置は、図1乃至図3(a)(b)(c)(d)(e)の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
更に、本実施の形態の場合は、液体充填空間26の移動壁となる回転周壁22に対し、静止壁となる固定周壁25を傾斜させた状態で対面させるよう配置し、この固定周壁25の軸心方向の複数個所に清澄液出口29a,29b,29cを設けるという構成で、上記原液12からの清澄液19の分離を多段階に行わせることができるため、構成部材の点数を削減できて、製造工数、製造コストの抑制を図ることができる。
次いで、図9は本発明の実施の更に他の形態として、図4乃至図8の実施の形態における固液分離装置1Aの応用例を示すものである。
すなわち、本実施の形態の個液分離装置は、図9に符号1Bで示すもので、図4及び図5に示した固液分離装置1Aと同様の構成において、回転周壁22の内側に、上端側から下端側へ向けて縮径する逆円錐台面形状の固定周壁25を同心状配置した構成に代えて、回転周壁22の内側に、上端側から下端側に向けて拡径する円錐台面形状(截頭円錐面形状)の固定周壁25aを同心状に配置した構成としたものである。これにより、上記両周壁22と25aの間に、上下方向に延びる環状の液体充填空間26aを形成すると共に、該液体充填空間26aでは、径方向の内外で互いに対向する壁面となる上記両周壁22と25aとの間隔が、軸心方向一端部となる上端側から軸心方向他端部となる下端側に向けて次第に減少するようにしてある。
更に、上記液体充填空間26aは、両周壁22と25aの間隔の減少する方向が、上端側から下端側に向かう方向になることに鑑みて、該液体充填空間26aの上端部を原液入口27としてあり、その上方に原液供給管14の下流側端部を配置させるようにしてある。
又、上記液体充填空間26aは、その下端側から濃縮された粒子11を粒子濃縮液20として排出するために、該液体充填空間26aの下端部に、上記固定周壁25aの内側を通して配管した粒子濃縮液回収管36の上流側端部を接続して、該粒子濃縮液回収管36の上流側端部が、上記液体充填空間26aの濃縮粒子出口28となるようにしてある。上記粒子濃縮液回収管36は、図示しないポンプに接続されているものとする。
これにより、本実施の形態の固液分離装置1Bでは、上記図示しないポンプの運転により、上記液体充填空間26aの外周寄りに濃縮された状態で該液体充填空間26aの下端部まで送られる粒子11を、一部の液体と一緒の粒子濃縮液20の状態で上記濃縮粒子出口28を通して粒子濃縮液回収管36へ抜き出して回収することができるようにしてある。
上記液体充填空間26aの固定周壁25aには、図4乃至図8の実施の形態で示した設定条件と同様の設定条件により設定された位置に、清澄液出口29a,29b,29cが設けてある。
なお、本実施の形態の固液分離装置1Bは、上記したように、粒子濃縮液20を、液体充填空間26aの下端部より粒子濃縮液回収管36へ直接抜き出して回収するようにしてあることから、外部固定容器33は省略した構成としてある。
その他の構成は図4乃至図8に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
以上の構成としてある本実施の形態の固液分離装置1Bによれば、回転容器21の回転駆動により、回転周壁22と固定周壁25aとの間に形成される液体充填空間26aにて、剪断速度勾配を有する周方向の流れ場を形成できると共に、該剪断速度勾配を、該液体充填空間26aの軸心方向の一端から他端に向けて次第に増大させることができる。
したがって、本実施の形態の固液分離装置1Bによっても、図4乃至図8に示した実施の形態の場合と同様に固液分離処理を行うことができる。よって、本実施の形態の固液分離装置1Bは、図4乃至図8に示した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、図4乃至図8の実施の形態、及び、図9の実施の形態では、固定周壁25,25aの軸心方向の3個所に清澄液出口29a,29b,29cを設ける構成を示したが、上述した設定条件に当てはまるようにすれば、液体充填空間26,26aの軸心方向寸法や、固定周壁25,25aの回転周壁22に対する傾斜角度や、液体充填空間26,26a内で発生させる剪断速度勾配を有する周方向の流れ場の速度や、液体充填空間26,26a内における原液12の軸心方向の移動速度等、種々の条件に応じて、清澄液出口の軸心方向の配列数を2又は4以上としてもよい。更に、清澄液出口29a,29b,29cの形状は適宜変更してもよい。又、固定周壁25,25aが、回転周壁22との間で剪断速度勾配を有する周方向の流れ場(層流)を形成させるための静止壁としての機能を果たせるようにしてあれば、上記清澄液出口29a,29b,29cの軸心方向や周方向のサイズ、周方向の配列数は適宜変更してもよい。
又、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、上記各実施の形態では、液体充填空間7,26,26a内で形成される粒子濃度分布がゼロ近くまで低下した領域rに存在する液体を清澄液19として回収するものとして示したが、清澄液19に所望される清澄度に応じた閾値を設定して、図1乃至図3(a)(b)(c)(d)(e)の実施の形態では、図3(a)(b)(c)(d)(e)に示した如き液体充填空間7の上下方向の粒子濃度分布が、又、図4乃至図8の実施の形態、及び、図9の実施の形態では、図7(b)(c)(d)(e)(f)に示した如き液体充填空間26,26aの径方向の粒子濃度分布が、それぞれ上記所定の閾値よりも小さくなる領域に存在する液体を、清澄液19として回収するようにしてもよい。
図1乃至図3(a)(b)(c)(d)(e)の実施の形態では、液体充填空間7の断面積や長手方向寸法は、所望する原液12の処理量や固液分離効率に応じて適宜変更してよい。又、液体充填空間7の濃縮粒子出口17は、必要とされる粒子11の濃縮率や、清澄液19の清澄度に応じて、上下方向の寸法を適宜変更してもよい。
図4乃至図8の実施の形態、及び、図9の実施の形態では、液体充填空間26,26aの断面積や軸心方向寸法は、所望する原液12の処理量や固液分離効率に応じて適宜変更してよい。このことに関連して、固定周壁25,25aの壁面の軸心方向からの傾斜角度は、図示した以外の角度に設定してよい。又、回転周壁22と固定周壁25,25aとの間隔は、必要とされる粒子11の濃縮率や、清澄液19の清澄度に応じて適宜変更してもよい。
図4乃至図8の実施の形態、及び図9の実施の形態では、固液分離処理の対象とする原液12は、該原液12において粒子11の分散媒となっている液体の密度に比して、密度が大きくなる側へ比較的大きな密度差を有する粒子11を含んでいてもよい。この場合、上記液体に対して大きな密度差を有する粒子11は、環状の液体充填空間26,26a内で周方向に形成される流れ場内で、サフマン揚力に加えて、遠心力を利用して外周側に濃縮させて、濃縮粒子出口28より回収することができる。
本発明の固液分離方法及び装置は、固液分離処理が必要とされる粒子11を含んだ液体であれば、任意の粒子11を含んだ原液12や、水以外の分散媒に粒子11が分散された原液12の固液分離処理に適用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1,1A,1B 固液分離装置
2 容器
2a 容器内底面(静止壁)
4 ベルト蓋装置
5 ベルト
5b 下部走行部分(移動壁)
7 液体充填空間
8a,8b,8c8d 仕切壁(静止壁)
11 粒子
12 原液
13 原液入口
15a,15b,15c,15d 清澄液出口
17 濃縮粒子出口
19 清澄液
20 粒子濃縮液
22 回転周壁(移動壁)
25,25a 固定周壁(静止壁)
26,26a 液体充填空間
27 原液入口
28 濃縮粒子出口
29a,29b,29c 清澄液出口

Claims (4)

  1. 液体を満たすための液体充填空間を、移動壁と、該移動壁との距離が液体充填空間の一端から他端に向けて連続的に又は段階的に小さくなる静止壁との間に形成し、
    上記液体充填空間に液体を満たした状態で、上記移動壁を静止壁に対して一方向に連続的に相対移動させることにより、該液体充填空間内の液体に、上記静止壁側から移動壁側に向けて流速が次第に増加する剪断速度勾配を有する流れ場を形成し、
    該液体充填空間に、一端から粒子を含む原液を供給して、該原液中の粒子に対し、上記剪断速度勾配を有する流れ場により、上記静止壁側より移動壁側に向く方向のサフマン揚力を作用させ、
    その後、上記液体充填空間の一端から他端に至る途中の複数個所で、上記静止壁近くで粒子濃度が低下する領域の液体を清澄液として抜き出して回収すると共に、該液体充填空間の他端部より、上記サフマン揚力の作用により濃縮された上記粒子を含む粒子濃縮液を回収するようにする
    ことを特徴とする固液分離方法。
  2. 液体を満たすための液体充填空間を、移動壁と、該移動壁との距離が液体充填空間の一端から他端に向けて連続的に又は段階的に小さくなる静止壁との間に形成し、
    上記移動壁は、上記静止壁に対して一方向へ連続的に相対移動可能として、該移動壁の上記静止壁に対する一方向への連続的な相対移動により、上記液体充填空間内の液体に、上記静止壁側より移動壁側に向けて流速が次第に増加する剪断速度勾配を有する流れ場を形成できるようにし、
    上記液体充填空間の一端に、原液入口を設け、
    更に、上記静止壁に、上記液体充填空間の一端から他端に至る途中の複数個所で、上記液体充填空間内の剪断速度勾配を有する流れ場中で作用するサフマン揚力により粒子が上記移動壁寄りに濃縮されることに伴って該静止壁近くで粒子濃度が低下する領域の液体を、清澄液として回収するための清澄液出口を設け、
    上記液体充填空間の他端部に、粒子濃縮液を回収するための濃縮粒子出口を設けた構成
    を有することを特徴とする固液分離装置。
  3. 液体充填空間は、回転駆動可能な移動壁としての回転周壁と、該回転周壁の内側に隙間を隔てて同心状に配置した静止壁としての固定周壁との間に軸心方向の一端から他端に間隔が大きくなるよう環状に形成させてなり、上記両周壁の間隔が大きい側の軸心方向一端に原液入口を設けると共に、軸心方向他端に、濃縮粒子出口を設け、更に、上記固定周壁に、軸心方向に配列した複数の清澄液出口を設けるようにした請求項2記載の固液分離装置。
  4. 液体を貯留するための一方向に延びる樋状の容器の上端側開口部に、該容器の長手方向の全長に亘りベルトを循環駆動できるように設けたベルト蓋装置を設け、且つ上記容器内における上下方向複数個所に、該容器の長手方向途中位置から長手方向他端部まで水平に延びる仕切壁を、下段側の仕切壁がその上段側に隣接する仕切壁よりも、上記容器長手方向一端寄りに順次突出するように配置して、液体充填空間を、上記ベルトの下部走行部分と、該ベルトの下部走行部分に対向する上記容器の内底面、及び、上記各仕切壁の突出部分との間に形成し、更に、各仕切壁の下側を、清澄液出口とすると共に、上記容器の長手方向他端部における最上段の仕切壁よりも上側の部分を、濃縮粒子出口とするようにした請求項2記載の固液分離装置。
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