JP6534068B2 - 高分子溶液中の成分分子を分画する孔拡散膜分離用モジュール - Google Patents

高分子溶液中の成分分子を分画する孔拡散膜分離用モジュール Download PDF

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Description

本発明モジュールは流動分別効果を最大限に生かして、溶液中に溶解している高分子物質を孔拡散膜分離法で分画するモジュールに関する。本発明中、孔拡散膜分離とは(1)膜を介しての物質輸送において、膜内部の孔を通過する媒体である水以外の物質の透過速度が拡散機構によって支配される、(2)媒体である水分子の膜透過が膜間差圧を駆動力としている、(3)膜間差圧が0.1気圧以下で、(4)膜を通過する物質の拡散の活性化エネルギーが5 kcal/mole以下である、の膜透過機構の特性を持つ拡散機構を利用した分離を意味する。流動分別型孔拡散膜分離とは上記の孔拡散膜分離において特に流動分別効果を強調した膜分離で、(5)膜表面での被処理液体のひずみ速度が10/秒以上で、(6)被処理液体の膜表面上の流れが層流である条件下での孔拡散膜分離技技術を意味する。また膜分画とは、多成分の混合溶液より、膜分画技術を利用して、成分物質を特定の分子特性値に基づいて3種以上を連続的に分画分取する物質の分離精製法である。膜分離用モジュールとは、分離用膜と、該膜を介して1次側の処理対象液を充填する空間部と処理後の液を通過した溶液を回収するための二次側回路を構成する空間部とを有し、これらの部分を利用して膜分離を実施する一組の装置の構成単位を意味する。
さらに詳しくは、本発明の膜分離用モジュールでは、通常0.1気圧以下の低い膜間差圧が膜の全面に均等に負荷され、かつ膜処理対象液が層流で該膜表面上に流れ、この流れによって生じる流動分別効果の反映である粒子(あるいは分子)の流れの中心に向かう運動(揚力)を利用する。この運動と粒子が持つブラウン運動に基づく拡散とのバランスにより粒子をその大きさに対応する膜表面からの距離に局在化させる。この局在化の存在が粒子径による分別が行われていることを意味する。すなわち流動分別により分別と濃縮、除去、隔離が膜の目詰まりなく実行できる。膜内部での物質の輸送機構は液媒体(水、油などの液体)についてはろ過機構で溶質の輸送は主として膜中の孔を満たしている媒体中の拡散機構(孔内拡散機構)である。従来技術において流動分別効果を強調した孔拡散膜分離技術を想定することはほとんど不可能である。実際、孔拡散を利用した膜分離技術の実用化例が5年前より提案されはじめた(特許文献1)
膜を利用した物質の精製技術の大部分は膜ろ過法による。膜ろ過では膜間差圧を0.5~50気圧を負荷し、これを物質移動の駆動力として、主として篩効果で物質を分離する。この方法は熱や化学薬品に対して不安定で変性しやすい物質を分離精製する方法として、固液分離に適する。しかし前記の膜分画の技術の必要条件である「成分物質の3種以上を連続的に分画分取する技術」にはなりえない。なぜならば膜ろ過により膜の孔は目詰まりするため連続的に分離することは難しいし、3種以上に分離することも難しいし、また3種以上に分取することも難しいからである。膜ろ過法以外にタンパクや糖タンパクなどの生理活性物質を分離精製する方法として、超遠心分離、各種クロマトグラフィ、吸着、透析、沈殿・溶解法などがある。解析目的では少量の処理でよいのでこれらの技術で目的は達成される。しかし、大量の処理が必要な場合には沈殿・溶解法以外はむつかしい。またほとんどがバッチ処理であり連続的なプロセスとして製造ラインに組み込むのがむつかしい。
膜ろ過法が抱える問題点として上述のように孔の目詰まりする現象がある。この現象は分離機構として篩機構を利用する限り不可避である。目詰まりを防止する膜分離法として従来から透析法が採用
されていた。該透析法では物質の膜への溶解とそれに引き続く膜の実体部での拡散(溶解・拡散機構と略称)が利用される。しかし溶解・拡散機構では拡散係数が極端に小さいため、大量処理を連続的なプロセスで実用化された例はほとんどない。実用化されない最大の理由は分離速度がろ過の場合の1000分の1以下であることによる。溶解・拡散機構のこの欠点を解消した膜分離技術として新たに孔拡散法が提案された(特許文献2および非特許文献1)。
特許文献2および非特許文献1に紹介されている孔拡散は定常孔拡散法であり、媒体(水)と溶質とのいずれもが拡散機構で移動する特徴を持ち、目詰まりの問題は完全に解消され、分離速度は溶解・拡散機構のそれの1000倍となり分離速度の遅さも解消されている。しかし、いずれの溶質もそれらの濃度は低下し、濃縮はできない。 定常孔拡散では膜間差圧は事実上零であり、そのために定常孔拡散モジュールでは一次側の液体を流動させるためのポンプはモジュールの入口と出口との流速が同じにするための連動ポンプが利用される。利用する膜が中空糸膜である場合には、一次側の液体を中空糸内部に流動させるために常に入口側の圧力は出口側の圧力以上となり定常孔拡散を中空糸膜で実施することが難しい。すなわち中空糸膜ではその内径が0.5 mmの場合では糸長として7 cm以下でないと1次側の液体を流すための圧力によりろ過での輸送が支配的となり目詰まりの問題点が現れる。また定常孔拡散では膜を介して2次側の液体をあらかじめ供給しておかなくてはならない。2次側の液体の選択の自由度があるため物質の拡散速度が設定できることの利点はあるが、1次側の液体を処理する目的では、この自由度の存在は条件設定の煩わしさを伴う。定常孔拡散法では2成分を連続的に分離し分画分取することは可能(例えば1次側液体と2次側液体とに分取するなど)であるが成分数が3種以上となると連続的な分離と分取は不可能である。
定常孔拡散の問題点を解消し、微粒子除去を目的とした液体の処理を単純化した孔拡散法として流動分別型の孔拡散が検討され始めた。(特許文献1)1次側の液体を膜表面に平行に流しつつわずかに膜間差圧を負荷し、この膜間差圧に原因して膜を介して膜の裏面側に流出する液体を2次側の液体として利用する技術である。この技術の特徴は1次側および2次側の液体の速度を制御することにより間接的に膜間差圧を0.1気圧になるように制御している点にある。この流動分別型の孔拡散用モジュールとして層流化するための1次側の流路の確保とさらに2次側の液体の流れ速度を制御する流路と膜間差圧に耐えるための平膜の支持体が確保されなくてはならない。また膜分画の定義に示したように3成分以上が混合した溶液より成分物質の3種以上を連続的に分画分取することは出来ない。
特許公開2015-100774 特許公開2006-055780 藤岡留美子、吉田雅子、吉村知珠、山村知子、真鍋征一、福岡女子大学人間環境学部紀要、29巻、13頁〜20頁、1998年。
流動分別効果によって一次側液体内で実現されている粒子径に対応した分離の状態(粒子径が大きいほど流れの中心部に集中して存在する)をそのまま利用し、かつ定常孔拡散の特徴である孔の目詰まり無しでの物質輸送を生かした膜分画の可能な流動分別型孔拡散膜分離モジュールを提供することが本発明の目的である。流動分別効果を最大限に利用するには、膜表面での一次側液体の流れのひずみ速度が大きくなければならない。たとえば10/秒以上である。該ひずみ速度を大きくすると従来の膜モジュールでは膜間差圧が大きくなる箇所が存在する。例えばモジュール設計において膜の充填度を高めかつモジュール内での残留液量を小さくするように作られる。そのためひずみ速度を大きくするには、一次側の液体の入口と出口との静圧の差を大きくして液体の流れ速度を高めなくてはならない。入口の静圧を高めることに入口付近では膜表面に負荷される圧力が大きくなり膜ろ過による物質輸送の寄与が大きくなり膜の目詰まりが大きくなる。膜間差圧を膜全域にわたって均等に0.1気圧以下、望ましくは0.05気圧以下に維持しつつ所定のひずみ速度を与えることが可能なモジュールであることが必要である。膜への負荷圧力が局所的にも0.1気圧を超える可能性が否定できるモジュール形状が必要である。
孔拡散膜モジュールで高分子物質を対象にした膜分画を可能にする際に処理対象の高分子が変性することのないモジュールでなければならない。処理速度を大きくかつ処理の際に局所的な発熱やひずみの発生等によるタンパク質などの生理活性が失われない工夫、特に1次側の流路の設計が必要である。一次側の流路内での液体の流れを層流化することが膜分画では不可欠である。一定の膜間差圧での処理速度の極大化は、有効膜面積を大きくすることにより原理上は可能であるが、モジュールとしての容積を極小化する工夫が必要でなる。
本発明モジュールの最大の特徴は一次側の液体(被処理液体)の流路を形成する壁面の大部分(30%以上)が特定の孔特性を持つ高分子多孔膜で構成されている点である。特定の孔特性として、該膜の平均孔径が分画対象の高分子の水中での拡がり(慣性半径rp)の6倍以上であり、空孔率が60%以上で膜厚が50μm以上である特性である。分画対象の分子の直径(2 × rp)の3倍以上の孔径の膜によって分子が分画される現象の発見により本発明モジュールの設計が初めて可能になった。従来の膜ろ過での分離では膜の平均孔径とほぼ同等の粒子径の粒子に対して除去性を示すことを考慮すると粒子成分の分画目的での膜の孔径設計には膜ろ過の経験はほとんど役立たないことが明らかである。孔拡散膜分離用のモジュールである前提条件にはモジュールの処理対象液が層流状態で流動していることを意味するので、流動する液体の粒子に対する作用が分画機能を与えていると解釈できる。すなわち孔拡散膜分離での流動分別効果が生かされることによって多孔膜の特定された平均孔径が定まる。分画対象の高分子の慣性半径と多孔膜の平均孔半径rmとは経験的に(1)式の関係が見出された。
rm = 2*(rp)1.1 (1) (ただし、単位はnm)
本発明で採用される高分子多孔膜のもう一つの特徴は、膜素材が親水性高分子である点にある。前提とする処理対象液は高分子溶液であり、その溶液中には生理活性を持つ高分子、例えば、たんぱく質、糖タンパク質、糖鎖、核酸(DNAやRNA)が水中に溶解している場合が大部分である。孔壁面を親水性にすることにより高分子の持つ生理活性の消失を防ぐことができる。膜素材が疎水性高分子であっても膜表面のみを親水化処理することも膜素材として親水性高分子とここでは定義される。該親水性高分子多孔膜として乾湿での寸法変化が5%以下であるセルロース不織布か、または膜表面が再生セルロースの多孔膜で裏面側が合成高分子の不織布で構成される多段多層構造膜で乾湿の寸法変化が3%以下である複合膜である。ここで多段多層構造膜とは、多孔膜部分の断面を観察すると厚さ約0.2μmの層の積み重ね状態の多層が観察され層の面は多孔膜面に平行であり、該多層構造膜部分が多段に積重なった構造を持つ膜を意味する。
本発明の第二の特徴は、一次側の流路が層流での流れが実現されるような流路面を形成している点である。すなわち流路を形成するすべての壁面は平滑でなくてはならない。特に壁面を構成する該高分子多孔膜の表面の凹凸は平均孔径以下でなくてはならない。平滑な表面で形成される一次側の流路によって一次側の流れはレイノルズ数が1000以下では層流となる。本モジュール内での層流状態にある一次側流路の長さは50 cm以上必要で、該流路を多数直列的に連結することは可能である。ただし該連結部の回路の断面積は一次側流路の断面積に近いことが望ましい。
一次側流路の断面形状が円形あるいは長方形で、その断面積が0.1 平方cm以上で10平方cm以下であり、流路としては直線の組み合わせで表されることが望ましい。
一次側の液体の円筒状の流路の場合には壁部の一部に少なくとも一個の支持体が存在する。すなわち、該壁部の外表面に密着して流路方向に延びる少なくとも1個の支持体が存在することである。該支持体の形状は短冊状あるいは針金状であり、その長手方向は流路方向に直線的にある。該支持体は孔拡散領域の該流路の全域にわたって壁部の外表面に密着している。該壁部の全面積に占める密着部の面積は1/10以下である。支持体の材質は疎水性高分子でありガラス転移温度が40℃以上の無定形高分子かあるいは融点が100℃以上の結晶性高分子である。支持体の形状が短冊状である場合には、厚さが0.5 mm 以上で4 mm以下、幅1 mm以上で8 mm以下である。この支持体の存在により、一次側流路に液体が充填された際に起こる重力の作用による流路の変形および膜の変形が完全に防止されまた流路内の圧力による流路の断面形状を円形化する変形作用を確実にすることができる。
本発明モジュールの第三の特徴は、高分子多孔膜を介して2次側へ輸送された回収液の取り出し口が一次側流路に沿って所定の長さごとに複数個設けられていることである。すなわち処理対象の液は一次側の流路を該膜表面でのひずみ速度として例えば100/秒で流れる。該膜表面の流れに沿って所定の長さを経過するごとに該膜を介して回収される処理後の液ごとに定められた取り出し口よりモジュール外に個別に回収される。ただし本発明モジュールとは流動分別型の孔拡散膜分離部が繰り返し直列的に複数連結した部分で構成され、連結部での一次側液体の流れが孔拡散膜分離部の流れと事実上同等の層流流れとみなされる場合には該一体化された連結体も本発明モジュールと定義する。この場合には取り出し口は複数個あり、分画数に対応して取り出し口の個数は設定される。高分子水溶液を本発明の一次側流路に沿って層流状態で流動させわずかな膜間差圧を加えて膜を介しての回収液の組成を測定した結果、取り出し口が1次側液体の入口に近いほど回収液中の分子量が低く、また一次側を流れる残留液の分子量は時間とともに増加する現象を発見して本発明モジュールの一次側流路設計と2次側の回収液の取り出し口の設計とに到達した。取り出し口の間隔は20 cm以上で60 cm以下が望ましく、この間隔は分画される溶液中の成分の分離性に影響する。
平膜を用いて本発明のモジュールを作製する際、流路の断面形状が長方形の場合には、流路を形成する一対の平行な壁面をプラスチック製の板で作製すれば、これが高分子多孔膜の支持体の役割も果たすので該多孔膜を装着するのは容易である。一次側の流路の断面形状が円である場合には以下のような困難な点が内在している。すなわち、(1)平膜を壁面にして円形断面を持つ支持体を用いずに円形断面に変形する方法、(2)流路内に液体が充填された際に発生する重力と力学的に釣り合う張力を分担する支持体と膜との接着方法が従来のモジュールでは付加できない。モジュール作製でのこの問題を以下のように解決した。まず平膜の幅を[(一次側の流路の直径)x (円周率) + 短冊状の支持体の幅x2]とし長さを流路長さに切りだす。切り出された平膜の両端面の裏面に2本の短冊状の支持体を密着させて接着する。該流路の棒に該平膜を巻き付け円形断面の形状を記憶させつつ2本の支持体を接着剤を用いて密着させることにより一本の短冊状の支持体が作製される。
本発明の孔拡散膜分離用モジュールを孔拡散を実現する操作条件で使用することが膜分画を実現するのに必要である。すなわち、膜間差圧を0.05気圧以下に本モジュール内で物質輸送に寄与する平膜のすべての場所で維持することと一次側流体の流れ速度を膜表面でのひずみ速度が2/秒以上、望ましくは100/秒で維持させる。この2条件が満足されていれば、媒体(通常、水)の輸送を除いて膜ろ過の寄与をほぼ零にすることができるので孔拡散膜モジュールを利用する場合には目詰まりの進行を無視することが可能となる。該膜間差圧は液体媒体を構成する分子(通常水)のみが膜の孔中を体積流で通過するのを実現するための最重要操作条件である。
膜を利用した高分子物質の分画が本発明モジュールを孔拡散モジュールとしての操作条件で運転することで可能となった。すなわち、2次側の回収液の取り出し口では一次側の流体の入口側に近いほど分子量の小さい高分子物質が分画回収され、成分中の最大の分子量を持つ成分の高分子は一次側の濃縮溶液として回収される。また処理中での膜の目詰まりは完全に防止される。高分子量の成分の一部は分画の過程中で会合体を作る場合もあり、その場合は濃縮側で回収される。
高分子物質がタンパク質のように生理活性を持つ分子である場合には特に本発明モジュールの有益さが顕著となる。すなわち、本発明モジュールを孔拡散膜分離モジュールとして適用することで、生理活性物質を多種類含む生物原料(例えば、血液やリンパ液などの体液、細胞内液、細胞外液)より生理活性を維持したまま多数の分子を分画回収できる。すなわち、バイオプロセスでの分画工程に本発明モジュールは適用可能である。本発明モジュールは有効な平膜の面積当たりの体積および重量は極小化可能である。そのため本モジュールを組み込んだ装置の設置が容易である。本モジュールを組み込んだ膜濃縮装置、微粒子除去装置、高分子分画装置、など分離・精製工程に適用できる。特に分離・除去・濃縮の対象となる物質と媒体との密度差が小さい場合には、本発明モジュールの適用によって初めて分画・分離・除去・濃縮が可能となる。具体的には水溶液中で粒子径を異にして分散しているエマルジョンなどに対しては本発明モジュールでは粒子径に対応して分画回収され、本発明モジュールの有効性が顕著である。
第1図に本発明の孔拡散膜分離用モジュールを2台を直列的に連結し処理対象溶液Aを一次側液体として該液体中の成分を3種(Aの残液、回収液F1とF2)に分画する装置の概略図を示す。図中のM1とM2で示される本発明の流動分別型孔拡散膜分離モジュールに装着したセルロース系多孔膜膜の平均孔径をタンパク系の水溶液を処理する際には約70 nm に設定する。孔拡散分離膜は極細糸で作製されたポリエステルの不織布(目付け15 g/平方メートル)上にミクロ相分離法で製膜された再生セルロース多孔膜を作製することにより膜厚100 μmの平膜として利用される。多数本のチューブ(図中tで表示)はその内壁部の断面積は共通で、該モジュール内の一次側流路の断面積とほぼ同一である。エッダーHには外部の大気と気体が自由に出入りするフィルター部Fと多数のチューブtとくみ上げポンプPと連結するチューブTで構成されヘッダー部には常に処理対象液Aが補充されその水柱頭(静水圧)は一定に保たれる。それぞれのモジュールでの膜間差圧は静水圧差(すなわちヘッド差)で与えられ、膜面でのひずみ速度は一次側の流路の入口と出口でのヘッド差によって制御される。
本発明の流動分別型孔拡散膜分離用モジュールを多数直列的に連結することにより、膜による処理長さを設定できる。処理後の液組成は該処理長さに依存して系統的に変化する。処理後の膜を介して流出する液をそれぞれのモジュールからの出口より回収される。2個(M1とM2)直列的に連結装填した孔拡散分離装置の概略図が図1でありこの場合の処理後の回収液がF1およびF2である。回収液F1の組成はF2の組成に比較して分子量の小さい成分が豊富に存在する。M1とM2とを連結したモジュールを作製することは可能であり、該モジュールでは回収液の出口の個数は2個である。該2種のモジュールで使用される平膜の平均孔径は同一の場合、あるいは流路に沿って順次大きくする場合がある。膜間差圧は静水圧で与えられる。静水圧は装置上での高さで制御され流路の断面積が均等であるため常に一定である。静水圧を与える駆動力は図中のポンプPである。膜を介して拡散してくる溶液はF1およびF2で回収される。一次側の液体の流速は一次側流路の入口と出口のヘット差によって制御される。流路を形成する平膜は平均孔径が80 nmの場合には膜厚は100 μmで空孔率は75 %でありあらかじめ水中でのバブルポイントが0.2気圧以上であることが確認されている。モジュールとしてのバブルポイントは0.1気圧以上でなくてはならない。
平均孔径70 nmのセルロース製不織布(厚さ80 μm)平膜を用いて幅4mm高さ3mmの長方形形断面の一次側液体の流路で上下の平行な壁面を該平膜で、左右の平行な壁面を膜の支持体としてポリカーボネート製の短冊状(厚さ0.5 mm、幅3 mm)で長さ100 cmに設計する。図2のように流動分別効果を強調した孔拡散膜モジュール2台を直結に組み入れて一体化した本発明モジュールを組み込んだ装置を作製した。ただし該モジュールは2種の連結ではなく1種のモジュールでの回路上で一体化され回収液の取り出し口は2個あった。処理用の液体として牛の胸腺のDNA(SIGMA-ALDRICH社製、分子量約2000万)を10 mM Tris-HCl緩衝液に0.16 wt%で溶解した水溶液(15℃)と卵白アルブミン1wt%混合溶解した溶液を採用した。膜間差圧0.01気圧、膜面におけるひずみ速度100/秒、処理速度LMH=0.15であった。本モジュールの処理による膜処理後のF1のDNA濃度は0.01wt%アルブミン濃度は0.15wt%,F2の組成はDNAの濃度で0.05wt%、アルブミン濃度は0.12wt%であった。処理を継続するとそれぞれの成分の濃度は徐々に増加し、最終的にはF1の組成でDNAは0.02wt%、アルブミン濃度は0.3wt%にF2の組成ではDNAは0.15wt%、アルブミンは0.18wt%となった。残液(濃縮液)中のDNAは最終的には1.8wt%、アルブミン濃度は0.3wt%に達していた。
ほぼ同一の孔特性を持つ平膜M1、M2を組み入れた孔拡散膜モジュールが1次側液体の下部から上部へ向かう流れ(図中の右から左へ向かうソウリュ)によって流動分別効果が(株)のM1と上部のM2とで異なった効果をもたらす。この効果により回収液F1の組成中の低分子量の高分子物質の濃度がF2からの回収液中の濃度より高い。処理後の液体(濃縮液)は濃縮槽に戻り再びポンプPでヘッダーH内に揚げられる。一次側液体の流れ速度はヘッダーの水位とモジュールの一次側の流路の大気圧への開放部での推移の差Δhによって決定される。回収液F1とF2との速度の和と処理前の液体の流れ速度Jiとが一致するば定常状態で連続的に高分子量成分の濃縮が進む。
膜を利用した分離、濃縮、除去、隔離の機能を要求される産業で、成分を分画回収されている産業で利用できる。典型的には血漿分画工程あるいは体液の分画工程に適用される。農業での濃縮、例えば肥料(液体)成分中での微粒子成分の濃縮による長期安定する飼糧の製造にも利用できる。醗酵業での加熱滅菌に代替する微生物除去に適用し、新しい生製品の製造(例、生プラセンタの製造)に利用できる。大きさに基づく分離。分画用途に利用した、リサイクル分野(例、絶縁油のリサイクル、天ぷら油のリサイクル)に利用できる。天然資源の有効利用のための有害物の除去と分離(例、雪解け水より精製水の製造、地下水からのヒ素除去など)など一般産業分野での省資源化のための基本技術を提供できる。
2個のモジュールを直列的に連結した組み込みモジュールを利用した分画用分離装置の概略図。 一次側液体の流路の長さを100 cm以上に長くした本発明モジュールを組み込んだ分画用分離装置の典型例
A;孔拡散処理対象液、C;濃縮液貯留槽、f;大気と通じる出口部に設置された除菌フィルター、F1;2次側の液体(膜を透過した液体成分)の第一画分回収口、F2;2次側の液体(膜を透過した液体成分)の第二画分回収口、H;一次側の液体の流れと膜間差圧を与えるヘッダー、Δh;一段目の分画工程でのモジュールM1を流れる液体の流動の駆動力となる水位差でヘッダ内の水位とモジュール内一次側流れの出口部での水位との差、Ji;被処理液体の濃縮液貯留槽への流入速度、M1;1段目の分画工程で使用されるモジュール、図2では1次側液体は下部より上部に向かって流動する、M2;2段目の分画工程で使用されるモジュール、P;濃縮用タンク内の被処理溶液をヘッダーHに輸送するためのポンプ。t;一次側液体の流れを形成するチューブ(図1)でその内径は一次側流路の断面積とほぼ等しい断面を与えるように設計されている。


Claims (3)

  1. 高分子溶液中に溶解している成分の中での高分子物質を大きさに基づいて分離する孔拡散膜分離モジュールにおいて膜分画可能なモジュールで、
    (1) 平均孔径が分画対象の高分子の水中での拡がり(慣性半径rp)の6倍以上で空孔率が60以上、膜厚が50μm以上の高分子多孔膜が装填され、
    (2) 該多孔膜が膜モジュールの一次側の流路の一部または全部を構成し、該多孔膜の表面の凹凸は平均孔径以下であり、該モジュール内での該流路の長さは50 cm以上であり、かつ
    (3) 一次側回路内の所定位置にある膜を介して2次側へ輸送された回収液の取り出し口の位置が、一次側の流路の沿って計測された所定の長さの該膜ごとに設定され、取り出し口より回収される液は混合することなく相互に独立し、かつ該取り出し口は複数個存在することを特徴とする高分子を分画する孔拡散膜分離用モジュール。
  2. 請求項1において平膜は親水性高分子多孔膜あるいは親水性高分子繊維の不織布であり、乾湿での寸法変化が5%以下であるセルロース不織布か、または再生セルロースが50%以上の素材で構成されかつ該寸法変化が10%以下である多段多層構造膜であることを特徴とするモジュール。
  3. 請求項1あるいは2において、一次側流路の断面形状が円形状あるいは長方形でその断面積が0.1平方センチメートル以上、10平方センチメートル未満であり、該流路の所定の長さが20 cm以上で60 cm未満であることを特徴とするモジュール。

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